JP3671143B2 - 化学蒸着ダイヤモンド製品およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、化学蒸着による鋳造ダイヤモンド工具のような製品およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ダイヤモンドは、材料として、高耐摩耗性、高熱伝導性、迅速な音波透過および腐食不活性のような、多くの極度な特性を有している。これらの優れた特性は、ダイヤモンドを多くの高度な応用のための理想の材料とさせている。ダイヤモンドは、たとえば、超砥粒、熱的展延材、音響装置および化学的防壁として広く用いられている。一般的に、ダイヤモンドは高圧力(大気圧の50倍以上)下で合成されるが、そのようなダイヤモンドは典型的に粒的形状である。それらは、超砥粒(たとえば、ダイヤモンド鋸)のためには理想的であるが、非機械的な応用(たとえば、熱的展延材)には適当でない。
【0003】
近年、厚さが1mmに及ぶダイヤモンド膜が化学的に堆積されている。このダイヤモンド膜は、気体反応物質を用いて化学蒸着法(以下「CVD法」という。)によって堆積される。気体は、典型的には、十分な量の水素(H2)中に薄められた少量(5%未満)の炭素化合物たとえばメタン(CH4)が含まれた気体である。処理の間に、気体は高温に熱せられ、炭素化合物の気体は炭素原子を解放するために分解する。同時に、水素分子は原子を作るために分離する。通常、炭素原子は非晶質炭素または黒鉛として堆積するが、水素原子の環境を有する場合には、メタンの場合におけるように、ダイヤモンド構造(sp3結合)を維持し、ダイヤモンドとして析出する。非ダイヤモンド炭素の構造を有する場合でさえも、水素を存在させることにより炭素をメタンに変換する。このゆえに、水素原子は、ダイヤモンドの形成に触媒作用を及ぼすことに重要な役割を演じる。このゆえに、水素原子の濃度が高ければ高いほど、形成されるダイヤモンドの品質は優れたものとなる。
【0004】
混合気体を熱する方法は種々あり、高温フィラメント(たとえば、タングステンを用いる)、マイクロ波プラズマ、酸素アセチレン炎、または直流アーク(以下「DCアーク」という。)が一般的に用いられる。ダイヤモンド堆積のための温度は典型的には800℃ないし900℃の範囲にあるが、気体のための反応温度ははるかに高い。実際、反応温度が高ければ高いほど、炭素原子および水素原子を作るための気体の分解はより完全になり、ダイヤモンドの堆積速度はより速くなる。高フィラメント方法は、2000℃またはわずかにそれを越えた温度に到達するのみであり、ダイヤモンドの堆積速度は最も遅い(1時間あたり約1ミクロン)。マイクロ波プラズマは気体をより高温に熱することができ、ダイヤモンドの堆積速度は中間である(1時間あたり約10ミクロン)。酸素アセチレン炎はさらに高プラズマ温度を達成することができ、ダイヤモンドの堆積速度は非常に高い(1時間あたり約30ミクロン)。DCアークは気体を最も高温(約6000℃)にすることができ、したがって、前記方法のうちで最も高速(たとえば、1時間あたり約50ミクロン)でダイヤモンドを堆積することができる。しかし、堆積速度が高くなればなるほど堆積領域は小さくなり、ダイヤモンド膜が生む均一性が減じられる。したがって、堆積速度と堆積領域との間には取り決めがある。
【0005】
化学蒸着ダイヤモンド(以下「CVDダイヤモンド」という。)の膜(以下「CVDダイヤモンド膜」という。)は多結晶質ダイヤモンド粒を含む。ダイヤモンド核は最初は基板の表面に形成され、この核は、図1(a)ないし(d)に示すように、さらに粗さを増大させながら成長する。したがって、核形成の側の膜は基板材料と同じ表面仕上を示す傾向があるが、成長する側は粒の粗大化を有してさらにますます粗くなる。多くの応用(たとえば、熱的展延材)に適するために、粗い表面は研磨および艶出しが行われる。しかし、ダイヤモンドは最も高硬度材料として知られているように、粗いダイヤモンドの加工は極めて困難で、長時間を要する。結果として、ダイヤモンド膜の仕上処理に関係する費用は、ダイヤモンド堆積のための費用よりも、しばしば高くなる。図1はダイヤモンド膜の核形成および成長を示している。注目するに、核形成の表面は基板表面の陰画であり、成長する表面は堆積時間の経過につれてますます粗くなる。
【0006】
さらに、ダイヤモンド表面に曲線状の溝を切る、またはダイヤモンドを貫通する方形穴をあけるような、ある特定の加工処理は、ほとんど達成することが不可能である。そのような制限により、ダイヤモンド膜の応用を非常に無理なものとする可能性がある。
【0007】
たとえば、CVDダイヤモンド膜は、品質が良くて高価な切断インサートとして用いられている。それが延性材料(たとえば、銅合金)を切断するために用いられたとき、長い切断ねじは、時々、作動を中断しなければならない。これは、ねじ切断の作動中に除去される材料を曲げるおよび切断するために、他の切断工具を用いて一般的に行われるのと同様に切断端部の付近に溝を設けることによって好都合に行われる。しかし、平坦なダイヤモンド膜にそのような溝を作ることは不可能である。したがって、化学蒸着ダイヤモンド切断具(以下「CVDダイヤモンド切断具」という。)は、極めて丈夫であるが、延性材料を切断するのに適さない。
【0008】
他の例として、多くの高度な応用、たとえば、電子産業における電気回路構成は、三角形、正方形または不規則な形をした形状の金属線材を用いることを必要とする。この線材は、円形状の穴のみを含む一般的なダイヤモンド線材延伸ダイを用いて延伸させることができない。したがって、市場からのこの重要な要求にかなう適した製品がない。
【0009】
さらに、ほとんどの応用はダイヤモンド膜の表面(たとえば、押出ダイ)を用いており、したがって、ダイヤモンド膜の表面部分の特性は重要である。しかし、一般的なCVD法は、ダイヤモンド膜を基部から上方へ形成しなければならない。したがって、上部表面を必要とする場合、上部部分に到達するために全膜がゆっくりと成長させられなければならない。
【0010】
例1 ダイヤモンドで作られた切断インサート
【0011】
一般的なダイヤモンド切断インサートは2つの主な様式を含む。最初の様式は、薄いダイヤモンド膜(たとえば、30ミクロン)を炭化タングステンインサート(以下「WCインサート」という。)に被覆することである。この設計の問題は、堆積されたダイヤモンドの表面が粗く、切断表面が優れた仕上を有さないことである。選択的に、厚いダイヤモンド膜(たとえば、300ミクロン)が成長させられる。ダイヤモンド膜は、三角形状の切断先端を形成するためにレーザによって研磨および艶出しが行われる。この先端は、WCインサート上にろう付けされる。この方法は、長時間を要し、かつ高価である。前記欠点に加えて、このダイヤモンド膜切断インサートは、上部表面が常に平坦であるという他の欠点を黙認する。したがって、このインサートでは、チップブレーカに延性材料を効率的に切断させることができない。
【0012】
図2は、各切断角の付近に中央が凹んだチップブレーカ12を有する一般的なWCインサート10を示す。図3は、チップブレーカを有しない、ダイヤモンドを被覆したWCインサート14を示す。図4は、チップブレーカを有しない、厚いダイヤモンドがろう付けされたWCインサート16を示す。
【0013】
例2 ダイヤモンドで作られた線材延伸ダイ
【0014】
多くの金属線材は、多結晶質ダイヤモンド(以下「PCダイヤモンド」という。)による工具(以下「PCダイヤモンド工具」という。)を用いて延伸されている。PCダイヤモンド30は炭化タングステン(以下「WC」という。)32によって囲まれ(図8)、穴34は、典型的にはレーザによって、PCダイヤモンド30を貫通して穴をあけられる(図9)。穴34は、図10に示すように、フレア340を形成するように拡大され、表面は優れたダイヤモンドペーストを用いて艶出しされる。困難な仕上処理作業が含まれるが、そのようなPCダイヤモンドダイは、依然として、金属線材を延伸するために用いられる最良の工具である。たとえそうでも、多結晶質ダイヤモンドダイ(以下「PCダイヤモンドダイ」という。)は丸い穴のみを含み、方形断面を有するような多角形線材を延伸することはできない。
【0015】
すべてのPCダイヤモンドは、10%以上のコバルトを含む。コバルトはダイヤモンドを非晶質炭素または黒鉛に再変換できるので、PCダイヤモンドは約700℃の温度以下で保たれる。したがって、水または他の液体による潤滑または冷却は重要である。しかし、延伸処理の間に、金属線材は、PCダイヤモンド側に加圧する傾向があり、PCダイヤモンドに埋め込まれたコバルトで溶接される。結果として、過度の加熱は避けられず、非晶質炭素または黒鉛への再変換に依存してPCダイヤモンドは速く悪化する。さらに、延伸は、溶融スポットおよび焼け跡を引き起こすことによって、金属線材の表面を損傷させる。
【0016】
例3 ダイヤモンドで作られたパッドコンディショナ
【0017】
化学機械的艶出し(以下「CMP」という。)は、精緻な構造を有するシリコンチップの製造のための必須のステップである。CMP処理の間に、シリコンウェハは、典型的にはポリウレタンで作られた回転パッド側に加圧される。テーブルは、極微細(0.2ミクロン未満)な研磨剤(たとえば、シリカまたはアルミナ)を含む懸濁液の流れによって送られる。それゆえ、ウェハは、ある一定の平坦度かつ平滑度に達成するまで研磨剤によって艶出しされる。しかし、艶出しされた破片は、パッドを被覆し、後半での使用を不能とさせるので、ダイヤモンドコンディショナは、堆積された破片を時々削り取ることを必要とする。
【0018】
パッドコンディショナは、金属基板(たとえば、ステンレス鋼)に取り付けられた複数のダイヤモンド粗粒を含む。この粗粒は、上部を研磨処理から防止するためにパッドをかきならすのに用いられる。パッドを掃除することの有効性およびコンディショナの耐久性は、2つの重大な要因に依存する。すなわち、ダイヤモンド粗粒の分離およびダイヤモンド粗粒の上部の平坦化である。この2つの要因を制御することは困難であることが極めてよく知られている。したがって、商業上用いられるほとんどすべてのダイヤモンドコンディショナは、上部の高さの高変動性を有してランダムに分布されたダイヤモンド粗粒を含む。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の主な目的は、ダイヤモンド膜形成後の高価な仕上処理を不要または最小限にするダイヤモンド製品およびその製造方法を提供することである。
【0020】
本発明の他の目的は、不規則かつ新規な本体形状および表面仕上を有するダイヤモンド製品およびその製造方法を提供することである。
【0021】
さらに、本発明の他の目的は、ダイヤモンド膜の重要部分のみを鋳造し、速く成長するダイヤモンドまたは他の材料で非重要部分を満たすことによってダイヤモンド製造工程を単純化することである。
【0022】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、化学蒸着ダイヤモンド製品は、接触境界面によって決定された表面特性を有する型によって鋳造されており、前記型の表面特性が複製された 製品表面を有する。
【0023】
前記型は金属または金属炭化物からなることができ、前記金属はW、Mo、Ta、Ti、Zr、V、CrおよびCuの群から選択され、前記金属炭化物はW、Mo、Ta、Ti、Zr、VおよびCrの炭化物の群から選択されることができる。前記型は凹形状を有することができ、前記凹形状はわん形状とすることができる。また、前記型は凸形状を有することができ、前記凸形状は円柱状とすることができる。前記化学蒸着ダイヤモンド製品は30ないし200ミクロンの厚さを有することができる。前記化学蒸着ダイヤモンド製品は、ダイヤモンドからなる切断工具、ダイヤモンドからなる線材延伸ダイ、ダイヤモンドからなるパッドコンディショナ、ダイヤモンドダイヤフラム、またはダイヤモンド管とすることができる。前記切断工具はチップブレーカを含むことができる。前記線材延伸ダイは非球形状の穴を有することができる。前記線材延伸ダイは、前記ダイヤモンド管の周りに溶融合金を浸透させることによって作られることができる。
【0024】
また、本発明によれば、化学蒸着ダイヤモンド製品の製造方法は、(a) 所期の製品の形状および表面についてのネガ型の表面特性を有する型を作るステップと、(b) 前記型の接触境界面で所望の厚さに化学蒸着ダイヤモンドを堆積させるステップと、(c) 酸または他の溶剤によって前記型を溶解し、前記型の表面特性が複製された製品表面を有するダイヤモンドを形成するステップと、(d) 前記ダイヤモンドを適当な保持具に取り付けるステップとを含む。
【0025】
前記化学蒸着ダイヤモンドは、内部で用いる気体を熱するために、高温フィラメント、マイクロ波プラズマ、酸素アセチレン炎、または直流アークを用いる方法によって堆積されることができる。前記化学蒸着ダイヤモンドの堆積のために用いる気体はメタンおよび水素を含むことができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
本発明は、本体を形成して該本体を要求形状に加工するようにダイヤモンド膜を成長させる一般的な方法と逆にする。代わりに、ダイヤモンド膜は、1つの処理で本体形状および表面を形成して仕上を行うために、型内で鋳造される。残った部分は、高価さの非常に少ない材料または方法を用いて、後の段階で埋められる。この新規な概念は、型の本体形状および表面仕上を複製する鋳造を産む。さらに、複雑な本体形状および精緻な表面仕上は、いずれも、型から達成される。結果として、新規かつ独特な幾何学形状を有するダイヤモンド膜製品を初めて作ることができる。
【0027】
本発明の重要な要素は、型の表面仕上を堆積ダイヤモンド鋳造物に複製できることであり、これの実行可能性を試験するために実験が遂行された。種々の表面仕上を有する多くの材料が、CVDダイヤモンドのための基板として用いられた。用いた化学蒸着装置(以下「CVD装置」という。)は、米国カリフォルニア州のsp3社製の大型の製造装置である。この装置は、30cm×40cmの堆積領域を有する高フィラメント装置である。基板材料が適しており(たとえば、銅、炭化タングステン)、基板の取扱いが適切(たとえば、徹底的に清潔にされている)である場合は、堆積されたダイヤモンド膜は、基板の表面特性を正確に複製することができることが見いだされた。したがって、逆堆積の概念は証明された。
【0028】
一般的なダイヤモンド膜は、適当な工具表面すなわち製品表面として用いられるダイヤモンド膜の成長する側を有する。本発明は、核生成の側を適用するために用いることに依存する。核生成の側は、基板上に形成されるダイヤモンド微結晶を含む。この新しく形成された核は、化学的に純粋でなく、構造的に堅固でもない。さらに、非晶質炭素または熱分解黒鉛が、そこに共堆積される。核生成の側は工具表面として用いられるので、この側が可能な限りダイヤモンドを含むようにさせることが重要である。
【0029】
核生成の側のダイヤモンドの品質を改善させるために、複数の技術が適用された。たとえば、ダイヤモンド堆積の初期の間に、メタンの流量度は減少させられ、気体圧は増加させられる。この方法において、炭素の分解度は減少するが、水素原子の濃度は増加する。増加された量の触媒と結合された遅い堆積度は、形成されるダイヤモンド核は高品質であることを保証することができる。
【0030】
さらに、核生成度は、基板の微少な割れを満たすように増加させられなければならない。核生成度は、基板上に負のバイアス(たとえば、100ボルト)をかけることによって、効果的に(100万倍にまで)上昇させられる。選択的に、基板は、優良なダイヤモンドペーストを用いて艶出しされる。艶出し後、埋め込まれたダイヤモンドのミクロン位の微粉は、ダイヤモンド核生成のための効果的な種として携わる。核生成度が上昇させられると、核生成の側のダイヤモンドの品質は向上し、基板の仕上は、核生成された基板上に正確に変換される。
【0031】
ある金属、たとえば、鉄、コバルト、ニッケルおよびそれらの合金は、高温(セ氏700度を越える)でダイヤモンドを非晶質炭素または黒鉛に戻すように触媒作用を及ぼす。基板材料がそのような金属を可能な限り含まないことが重要である。たとえば、ダイヤモンド堆積のための優れた基板材料は、コバルトがセメント接合されたWCである。WCがダイヤモンド堆積のために用いられるとき、コバルトの量は4%またはそれ未満に制限される。近年、結合材が不要なWC材料が入手できる。この材料は、型を作るのに適している(たとえば、線材延伸ダイのための穴)。WC粗粒が極微細(サブミクロン位)であるとき、ダイヤモンドの核生成はさらに増大する。結果は、高ダイヤモンド量の非常に平滑な表面をもたらすものであり、これは多くの応用のために理想的である。
【0032】
図5は、チップブレーカを有する一般的な切断インサートのネガ型の幾何学形状を有する薄い金属型20を示す。金属は、W、Mo、Ta、Zr、Ti、Cr、V、Cu、Siまたは他の適した材料である。図6は、この金属型20はダイヤモンド膜の堆積によって満たされることを示す。図7は、金属型20は、たとえば、酸に浸漬することによって溶解除去されることを示す。残ったダイヤモンド膜の基部22は、金属型20と同じ幾何学形状を含む。上部は、WC粒子または他の耐火性粒(たとえば、炭化シリコン(以下「SiC」という。))で詰められ、合金(たとえば、マンガン銅合金)で浸透させられる。固められた合金は、図7に示すように、切断インサートの基板として携わる。このダイヤモンドインサートは、チップブレーカを含む金属型20の原表面特性を含む。このダイヤモンド切断工具は、高価な機械的仕上作業を必要としない。
【0033】
本発明は、従来技術の前記問題点をすべて解決することができる。
【0034】
図11を参照するに、無結合材WC(または金属タングステン)から作られている中央柱40は、最初は、適当な幾何学形状および表面仕上で製造される。図12に示すように、この中央柱40は、50ないし100ミクロンの厚さのCVDダイヤモンド42が被覆される。中央柱40は、図13に示すように、中央柱40と同じ幾何学形状のダイヤモンド管鋳型を残して酸内で溶解される。このダイヤモンド管は、ステンレス鋼環46の中央に配置され、それらの空間は、WC粒子またはSiC粒が詰められる。銅マンガンニッケル合金の堆積は、これらの粒子の上部に配置される。装置は、真空炉内に隣接して配置され、銅合金の溶融を引き起こすために熱せられる。銅合金は、微粉内に浸透し、集合体を統合する。この堅い集合体は、ステンレス鋼の外環およびダイヤモンドの内管44を含む。さらに、ダイヤモンド管は、凝固過程の間に体積を著しく減少させて縮む銅合金によって圧縮される。この圧縮は非常に望ましく、線材を延伸することによって及ぼされた外方への押圧力に依存する拡大から管を保護する。さらに、この圧縮力は、延伸される線材のタイプに適するように変更することにおいて調整可能である(たとえば、銅を延伸するために低く、または、タングステンを延伸するために高く)。圧縮力は、微粉/金属比を調整することによって平易に変更でき、金属が多く用いられれば用いられるほど、圧縮力は高い。
【0035】
前記新規な技術は、高価な仕上作業を除去し、したがって製造費用を甚大に減少させるばかりでなく、多くの面において線材延伸ダイの品質を改善する。たとえば、ダイヤモンドの量において90%未満を含むPCダイヤモンドとは異なり、CVDダイヤモンドは、完全にダイヤモンドから作られ、したがって、その摩耗寿命はPCダイヤモンドより非常に高い(耐用寿命はダイヤモンド量に直線的に比例しないが、指数関数である)。
【0036】
CVDダイヤモンドは、コバルトを付着する金属を含むPCダイヤモンドより非常に艶を有しており、したがって、線材延伸処理の間に発生させられる熱は著しく少ない。さらに、CVDダイヤモンドは、PCダイヤモンドのための700℃より非常に高温である1200℃の温度に耐える。したがって、液体潤滑の使用を必要としない。液体潤滑の除去は、線材延伸ダイ自体の費用が損にならないばかりでなく、潤滑に関係する環境汚染源を回避する。環境保護についての関心事は機械加工産業において液体潤滑の使用を回避する「乾燥」的な操作であり、本発明はそのような世界的傾向を予期するものである。
【0037】
さらに、接触面におけるコバルトの除去は、線材の表面仕上を非常に改善する、たとえば、反射面仕上をもたせることである。そのような高品質の線材は、電子産業(たとえば、無汚染銅線材)および宝石産業(たとえば、輝く金線材)において非常に歓迎される。
【0038】
本発明による、さらにより重要な進歩は、非円形穴を用いた線材延伸は、円形穴と同様に容易に実行されることである。したがって、三角形または方形の断面を有する線材が容易に作られる。現在のところ入手できない非円形線材の導入は、ある分野(たとえば、電子産業)の製品のための新たな設計を可能にし、したがって、新産業の創造に拍車をかける。
【0039】
本発明による鋳造ダイヤモンドの概念を用いて、極めて高品質なダイヤモンドコンディショナは、ダイヤモンド分離および上部高さの厳格な制御を用いて製造することができる。最初に、シリコンウェハ50は、図15に示すように、特定の位置に(たとえば、隣から固定距離を有して)配置される同一の角錐の凹部を有して加工される。2番目に、刻まれたシリコンウェハは、図16に示すように、CVDダイヤモンド52で鋳造される。3番目に、エポキシ樹脂54は、図17に示すように、上部に取り付けられる。全体の構成体は、シリコン基板を熔解するためにフッ化水素酸内に浸される。残った円板は、逆転したとき、図18に示すように、同じ高さに突出する同一のダイヤモンド角錐を示す。そのようなダイヤモンド配置は、化学的機械艶出しのためのパッドコンディショナを作るために理想的である。また、この方法は、パッドコンディショナの新たな設計を可能にする。たとえば、角錐の分布は、螺旋状の模様に従うものとすることができる。この方法において、懸濁液は、研磨材の配分を改善するように模様に従うために案内される。結果として得られるのは、ウェハの増加された艶出し度および高価な懸濁液の減少された消費量である。さらに、ウェハの均一性および平坦性もまた改善される。
【0040】
ダイヤモンド管
【0041】
本発明は、腐食性流体を送るために用いられるダイヤモンド管のような、新規かつ独特のダイヤモンド装置を可能にする。製造ステップは、前記のように同じ過程に従う。最初に、管は、図19に示すように、金属(たとえば、タングステン線材60をねじることによって)を用いて製造される。2番目に、図20に示すように、ねじられた線材60は、中央の金属芯を形成するために、CVDダイヤモンド62によって外側被覆される。3番目に、中央の金属芯は、図21に示すように、中空のダイヤモンド管を残して、溶解される。最後に、このダイヤモンド管は、図22に示すように、容易に扱える工具を形成するために、エポキシ樹脂64内に鋳造される。
【0042】
同じ概念が、ダイヤモンド鋳型枠またはダイヤモンド歯車のような、他の新規な物体の製造に応用される。CVDダイヤモンドによって作られる形状の様式の制限はない。
【0043】
前記の例は、本発明を適用することの適応性を説明するために単に用いられるにすぎない。
【0044】
本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者は、前記実施例に限定することなく、本発明の範囲を逸脱しない範囲内において、種々の変更や修正が可能であることを理解できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】基板の表面に形成されたダイヤモンド核の段階を示す図。
【図2】従来の炭化タングステン工具インサートを示す図。
【図3】従来の、チップブレーカを有しない、ダイヤモンド被覆の炭化タングステン工具インサートを示す図。
【図4】従来の、チップブレーカを有しない、厚いダイヤモンドがろう付けされた炭化タングステン工具インサートを示す図。
【図5】本発明に用いる薄い金属型を示す。
【図6】本発明によるダイヤモンド膜の堆積によって満たされた図5の型を示す図。
【図7】溶解除去された図5の型を示す図。
【図8】炭化タングステンによって囲まれた従来の多結晶質ダイヤモンドを示す図。
【図9】貫通してあけられた穴を有する図8の多結晶質ダイヤモンドを示す図。
【図10】拡大された穴を有する図9の多結晶質ダイヤモンドを示す図。
【図11】本発明に用いる型を示す図。
【図12】ダイヤモンド堆積を有する図11の型を示す図。
【図13】型が溶解除去され、ダイとして形成された図12のダイヤモンド堆積を示す図。
【図14】金属によって囲まれたダイヤモンドダイを有する図13のダイヤモンドを示す図。
【図15】本発明によるシリコンウェハを示す図。
【図16】化学蒸着ダイヤモンドが鋳造された図15のシリコンウェハを示す図。
【図17】エポキシ樹脂層を有する図16のシリコンウェハを示す図。
【図18】シリコンが溶解除去された後のダイヤモンド角錐を有する円板を示す図。
【図19】本発明によるねじられた線材を示す図。
【図20】化学蒸着ダイヤモンドで被覆された図19の線材を示す図。
【図21】ダイヤモンド管を残して溶解除去された図19の線材を示す図。
【図22】樹脂に囲まれた図21のダイヤモンド管を示す図。
【符号の説明】
10、14 炭化タングステンインサート
12 チップブレーカ
20 金属型
22 基部
30 多結晶質ダイヤモンド
32 炭化タングステン
34 穴
340 フレア
40 中央柱
42、52、62 化学蒸着ダイヤモンド
44 ダイヤモンドの内管
46 ステンレス鋼環
50 シリコンウェハ
54、64 エポキシ樹脂
60 タングステン線材
Claims (14)
- 接触境界面によって決定された表面特性を有する型であって金属または金属炭化物からなる凸形状の型によって鋳造され、前記型の表面特性が複製された表面を有する、化学蒸着ダイヤモンド製線材延伸ダイ。
- 前記金属は、W、Mo、Ta、Ti、Zr、V、CrおよびCuの群から選択され、前記金属炭化物は、W、Mo、Ta、Ti、Zr、VおよびCrの炭化物の群から選択される、請求項1に記載の線材延伸ダイ。
- 30ないし200ミクロンの厚さを有する、請求項1に記載の化学蒸着ダイヤモンド製線材延伸ダイ。
- 非球形状の穴を有する、請求項1に記載の化学蒸着ダイヤモンド製線材延伸ダイ。
- ダイヤモンド管の周りに溶融合金を浸透させることによって作られる、請求項1に記載の化学蒸着ダイヤモンド製線材延伸ダイ。
- 接触境界面によって決定された表面特性を有する型であって金属または金属炭化物からなる凸形状の型によって鋳造され、前記型の表面特性が複製された表面を有する、化学蒸着ダイヤモンド製ダイヤフラム。
- 前記金属は、W、Mo、Ta、Ti、Zr、V、CrおよびCuの群から選択され、前記金属炭化物は、W、Mo、Ta、Ti、Zr、VおよびCrの炭化物の群から選択される、請求項6に化学蒸着ダイヤモンド製記載のダイヤフラム。
- 30ないし200ミクロンの厚さを有する、請求項6に記載の化学蒸着ダイヤモンド製ダイヤフラム。
- (a) 所期の線材延伸ダイの形状および表面についてのネガ型の表面特性を有する型であって金属または金属炭化物からなる凸形状の型を作るステップと、
(b) 前記型の接触境界面で所望の厚さに化学蒸着ダイヤモンドを堆積させるステップと、
(c) 酸または他の溶剤によって前記型を溶解し、前記型の表面特性が複製された線材延伸ダイ表面を有するダイヤモンドを形成するステップと、
(d) 前記ダイヤモンドを適当な保持具に取り付けるステップとを含む、
化学蒸着ダイヤモンド製線材延伸ダイの製造方法。 - 前記化学蒸着ダイヤモンドは、内部で用いる気体を熱するために、高温フィラメント、マイクロ波プラズマ、酸素アセチレン炎、または直流アークを用いる方法によって堆積される、請求項9に記載の化学蒸着ダイヤモンド製線材延伸ダイの製造方法。
- 前記化学蒸着ダイヤモンドの堆積のために用いる気体はメタンおよび水素を含む、請求項9に記載の化学蒸着ダイヤモンド製線材延伸ダイの製造方法。
- (a) 所期のダイヤフラムの形状および表面についてのネガ型の表面特性を有する型であって金属または金属炭化物からなる凸形状の型を作るステップと、
(b) 前記型の接触境界面で所望の厚さに化学蒸着ダイヤモンドを堆積させるステップと、
(c) 酸または他の溶剤によって前記型を溶解し、前記型の表面特性が複製されたダイヤフラム表面を有するダイヤモンドを形成するステップと、
(d) 前記ダイヤモンドを適当な保持具に取り付けるステップとを含む、
化学蒸着ダイヤモンド製ダイヤフラムの製造方法。 - 前記化学蒸着ダイヤモンドは、内部で用いる気体を熱するために、高温フィラメント、マイクロ波プラズマ、酸素アセチレン炎、または直流アークを用いる方法によって堆積される、請求項12に記載の化学蒸着ダイヤモンド製ダイヤフラムの製造方法。
- 前記化学蒸着ダイヤモンドの堆積のために用いる気体はメタンおよび水素を含む、請求項12に記載の化学蒸着ダイヤモンド製ダイヤフラムの製造方法。
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