JPH091205A - 鋼板の湿式調質圧延方法 - Google Patents

鋼板の湿式調質圧延方法

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JPH091205A
JPH091205A JP15505795A JP15505795A JPH091205A JP H091205 A JPH091205 A JP H091205A JP 15505795 A JP15505795 A JP 15505795A JP 15505795 A JP15505795 A JP 15505795A JP H091205 A JPH091205 A JP H091205A
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temper rolling
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Masahiro Matsuura
征浩 松浦
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Abstract

(57)【要約】 【目的】湿式調質圧延におけるロールと鋼板間の油膜厚
を任意に制御でき、かつ油膜厚の変更が即時可能な調質
圧延方法を提供する。 【構成】冷延鋼板を焼鈍後調質圧延するに際し、少なく
とも調質圧延入り側の鋼板表面に平均粒径で30μm以下
の液滴とした霧状の調質圧延油を吹き付けると共に、鋼
板を圧延した後のワークロール表面に付着している調質
圧延油を、ワークロールに圧接配置した吸引ロールまた
はスクレーパナイフ等で鋼板を圧延した後のワークロー
ル表面に付着している調質圧延油を吸引しつつ圧延する
湿式調質圧延方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、冷延鋼板の降伏点伸
びの低減、表面粗度の調整、形状修正、及び表面硬度の
調整等を目的として行われる調質圧延方法に関する。
【0002】
【従来の技術】調質圧延は、焼鈍後のコイルの機械的性
質及び表面仕上げ状態を改善し、形状を矯正するために
調質圧延機により軽圧下圧延を行うものである。特に表
面仕上げの調整は、ユーザーから指定される粗度及び用
途を考慮して調質圧延ロールの表面粗度を調整すること
により行われる。調質圧延は、潤滑剤として数%の油を
含む水溶液からなる圧延油を被圧延材とロール間に供給
しながら圧延する湿式調質圧延方式が多用されている。
【0003】湿式調質圧延では潤滑のために圧延時に鋼
板とロール間に圧延油を液状で供給して油膜を形成させ
るのであるが、その油膜に圧延時に高圧がかかっても油
膜の体積は減少しない。そのためロールの表面粗度がそ
のまま鋼板表面に転写されることはなく、転写率は悪く
なり目標の粗度より小さくなってしまう傾向にある。
【0004】従って、ロール表面の粗度は、転写目標の
粗度よりも粗くしておけばよいことになるが、ロール表
面を粗くすればするほど摩耗が激しくなるという問題が
ある。
【0005】転写率を良好にするためには、圧延中の油
膜厚さを薄くすることが考えられる。しかし、従来の圧
延油をノズルにより液体で供給する調質圧延では、下記
の理由により油膜厚の制御はできないのが現状である。
【0006】図2は通常の湿式調質圧延状態を示す側面
図である。圧延油は液体の状態で、圧延ロール1の入り
側に設けたノズル4より鋼板3の表面に噴射され、圧延
入口のワークロール1と鋼板で形作られる楔状になった
部分に油溜まり9を作り、ワークロールと鋼板の間で絞
られた圧延油が実際のロールバイト8内に導入されてい
く。この時導入される液量はよく知られているように、
流体力学的に、ワークロールと鋼板の速度、ワークロー
ル径、圧延油の粘度に支配されている。
【0007】導入される圧延油量を「冷間圧延に関する
実験」(塑性と加工、 vol.7、No.66 (1966)、P383)に
示される入口圧延油の油膜パラメーターtdで現すと下
記式となる。
【0008】td =η(UR +US )/αP ここで、td :圧延油の油膜パラメーター η :圧延油の粘度 UR :ワークロールの周速 US :鋼板の速度 α :咬み込み角度 [α=(△h/R)1/2 、△h:圧下量、R:ロール
径) P :鋼板の変形抵抗 この式から明かなように圧延油の粘度以外は圧延条件に
よって決まってしまい、供給する調質圧延油量は油膜厚
には影響しないので圧延油量の調整による圧延中の油膜
厚制御はできない。また、粘度調整により油膜厚を制御
しょうとしても、調質圧延に使用される圧延油は通常の
冷間圧延油に比べ極端に粘度が低く、一般的には油を数
%含む水溶液として使用されるため実際の粘度としては
水と変わらない程度であるから、粘度調整により圧延中
の油膜厚調整することは実質上できない。
【0009】このように、圧延油を液体で供給する従来
の湿式圧延を行う限りロールバイト内に一定厚の油膜が
形成され、その厚さ制御はできないので、油膜に高圧が
負荷されても油膜厚は小さくならない。従って、従来の
湿式圧延法では転写率が悪いためにロール面粗さを大き
くしなければならないので、ロールの摩耗が著しかっ
た。
【0010】さらに、ロール表面の鋼板表面への転写は
圧延時の鋼板の伸び率によっても支配されるが、鋼種に
より調質圧延での伸び率の最適値は決まっている。例え
ば、極低炭素鋼などは伸び率は低いほど好ましく、0%
であっても問題ない。しかし、低炭素鋼や高炭素鋼等の
ような固溶炭素を有する鋼板は、降伏点伸びを小さくす
るために1%以上の伸び率が要求される。従って、鋼種
の異なった鋼板を同じ粗度に仕上げる場合、調質圧延に
おける最適伸び率が異なるので、ロール表面粗度が同じ
ロールで圧延することができない。そのために、表面粗
度の異なるロール2本用が必要で、必ずロール替えの作
業が必要となり、製造効率が悪くなる。
【0011】図3は、ロール出側から圧延油を供給する
ことにより圧延中の油膜厚を小さくする調質圧延方法を
示す図である。この方法は特開昭56ー74303号公報に開示
されており、スプレーノズル4をロール出側に配置し、
バックアップロール2とワークロール1との間に圧延油
を噴射し、圧延油をバックアップロールとワークロール
の間で絞り、湿式圧延より薄い油膜を形成する圧延方法
であるが、これとても上式のロール径Rが少し小さくな
るだけで、導入圧延油量はやはり流体力学的因子に支配
され、油膜厚の調整には限界がある。
【0012】ロール面の鋼板表面への転写をよくする手
段として、圧延油を用いないドライ圧延方式がとられる
場合がある。ところが、ドライ圧延方式によって調質圧
延を行うと以下のような問題が発生する。
【0013】完全なドライ圧延では、摩擦係数が高く
なりすぎ調質圧延での高伸び率圧延が不可能になる。
ドライ圧延では、圧延油によるロール及び材料の清浄効
果が期待できないため、ロール疵等の原因となり、歩留
を低下させる。
【0014】湿式調質圧延とドライ調質圧延双方の利点
を生かした調質圧延として特開昭60-227906 号公報に
は、ワークロール胴長方向にスリット状に開口する油路
及び該油路開口部に圧延油塗布用コーティングロールを
有する塗油部材と、該塗油部材の先端に取り付けられた
ロール表面清浄用スクレーパ−と、前記コーティングロ
ールおよびスクレーパーをロール表面に当接させる塗油
部材押圧支持機構とから構成され、塗油部材の油路に圧
延油を供給するための給油系を備えた塗油、ロール清浄
機構を、調質圧延機の上下ワークロール入側に設けた調
質圧延装置が開示されている。しかし、この装置は、コ
ーティングロールで圧延油の塗布を行うもので、コーテ
ィングロールをワークロールに押圧するので疵が付き易
く、ロール振動等で隙間が生じた場合、潤滑過多や不足
が部分的に生じて鋼板表面に光沢ムラが発生し、商品価
値が低下する問題がある。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、上記従
来の圧延油の供給方法による湿式調質圧延方法では、鋼
板とロール間の油膜厚制御ができないという問題を解消
すべく、平均粒径で30μm 以下の霧状の調質圧延油を
ワークロール周辺に噴射することにより、油膜厚制御が
可能で極薄油膜を形成することができ、鋼板表面の粗度
の調整が容易な調質圧延方法を開発した(特願平7-2380
0 号、同7-24232 号)。
【0016】しかしながら、かかる圧延油供給方法で調
質圧延するにあたり、下記のような問題点が明かになっ
た。
【0017】(1)鋼種により表面粗度を変更するために
油膜厚さ(潤滑状態)を変化させる際、薄膜から厚膜に
は容易に切り替えることが可能であるが、厚膜から薄膜
に切り替えるためにはロール上に残った調質圧延油を回
収しなければ直ちに薄膜状態にすることができない。
【0018】(2)鋼種によってはドライ圧延に切り替え
る必要があるが、その度毎にロール替えが必要になるこ
と。
【0019】本発明は、このような問題点を解決するこ
とを目的としてなされたものである。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、湿式調質
圧延を行うに際し、ロール表面の鋼板表面への転写を最
も効率良く安定的に行うには、油膜厚を制御することが
有効であるとの認識のもとに、潤滑状態(油膜厚)を切
り替える必要がある際、ロール替えを伴わずに、最も効
率良く切り替える方法につき鋭意実験検討した結果、圧
延中に圧延後ロール表面に付着している圧延油を除去す
ることにより油膜の厚さを即時減じることが可能である
との知見を得るに至り本発明を完成させた。その要旨
は、「冷延鋼板を焼鈍後調質圧延するに際し、平均粒径
で30μm以下の液滴とした調質圧延油を霧状にして、少
なくとも調質圧延入り側の鋼板表面に吹き付けると共
に、ワークロールに圧接配置した吸引ロール及び/また
はスクレーパナイフ等で鋼板を圧延した後のワークロー
ル表面に付着している調質圧延油を除去しつつ圧延する
ことを特徴とする湿式調質圧延方法」にある。
【0021】
【作用】通常の調質圧延油をノズルから液状で供給する
方法では、仮に流量を絞っても板幅方向にむら無く調質
圧延油を塗布するためには、ロール入り側の鋼板表面に
油溜まりを形成することは避けられなかった。この理由
は、調質圧延時に流体力学的にロールバイト内に導入さ
れる油膜厚はたかだか数μm程度の厚みである。
【0022】これより薄い油膜形成を達成するためには
入側部で数μm以下の油膜を鋼板全面に均一に形成しな
ければならない。
【0023】図4は、従来のノズルにより液状調質圧延
油を供給した場合の鋼板表面での圧延油の広がり状態を
示す図である。同図(a)のように通常のノズルによる
液状圧延油を供給する方法では調質圧延油は不均一に広
がるため、過不足なく板幅方向に均一厚みで供給するこ
とは不可能である。仮に、薄膜化するため極端に流量を
絞れば(b)のように板幅方向で調質圧延油5の無い部
分が発生してしまい、かえって製品品質や生産性を損ね
る結果となる。これに対して、調質圧延油を霧状に噴霧
すれば極小径の液滴ができる。これを板幅方向に均一に
噴射すれば、均一な極薄油膜を形成することができる。
【0024】以下に、調質圧延油を平均粒径で30μm
以下の霧状にする方法について述べる。
【0025】図5は、調質圧延油を霧状にするのに用い
るノズルの断面図である。圧延油を噴射する内側ノズル
11とその外部に気体と調質圧延油5とを同時に噴射す
る外側のノズル12とを有する2重構造のノズルにより
調質圧延油を平均粒径で30μm以下の微細な霧状6に
することができる。
【0026】なお、圧延油を霧状にする手段は上記のノ
ズル以外に気体を使用しないで圧延油に圧力をかけノズ
ルから圧延油のみを噴射する方法もあるが、この方法で
は粒径100μm程度の大きさの液滴にしかできない。
【0027】液体、気体は各々流量および圧力調整が可
能なポンプにより供給される。このような2重構造を持
ったノズルにおいて液体と気体を同時に噴射すると、液
体は気圧・液圧・液流量に応じた大きさの微細な球形の
液滴となり、大気中に霧状に噴射される。
【0028】図6は、気体流量と調質圧延油の流量を変
化させた時の液滴径の変化を示す図である。同図から、
気体流量と調質圧延油の流量を変更して気体圧と液圧と
を調節することで液滴の大きさを自由に制御することが
できることが分かる。極端に油流量を絞ればサブミクロ
ンの大きさまで調節可能である。霧状に噴射された液滴
は、一定の付着効率のもとで鋼板上に点々と付着し各々
一定面積に広がる。広がった液滴は圧延中に更にロール
と板の間で絞られ、当初の粒径の数分の1〜数十分の1
の厚みの油膜となる。
【0029】ところで、本発明の方法では、ロール転写
を容易にするためや後述のオイルピットの発生を防止す
るために入側に油溜まりが形成されない量の圧延油を供
給する必要がある。圧延速度に応じて圧延油の鋼板への
付着量を調整することで達成できるが、付着量を均一に
するためにはこれだけでは不十分である。圧延油流量
(鋼板付着量)一定の場合を考えると、粒径が小さけれ
ば、液滴の数が多く、薄くかつ均一な油膜を形成するこ
とができるが、粒径が大きくなると液滴どうしの間隔が
広くなりすぎ、ロールと板の間で絞られても完全に板面
全体には潤滑油が広がらない。すなわち、ある一部に非
常に油膜の厚いところができそのまわりには全く油の行
きわたらないところが出来てしまう。このような状態の
まま圧延すると油の有るところは、油膜が厚すぎてオイ
ルピット状の欠陥ができ、製品自体に斑が出来てしまう
ことになる。なお、本発明ではオイルピットとは、ロー
ルバイト内でロールと材料により封じ込められた圧延油
が、その体積を減じないため材料の表面に部分的に発生
する数μm 〜十数μm の窪みいう。
【0030】適当な圧延油の粒径を求めるために次のよ
うな試験を行った。
【0031】図1は試験の調質圧延状態を示す側面図
で、1はワークロール、2はバックアップロール、4は
圧延油噴霧ノズルである。使用したワークロールは直径
300mm、ロール粗度Ra0.5μm のブライトロールで
あった。
【0032】なお、図示する吸引ロール6とスクレーパ
7はこの試験では用いなかった。
【0033】板厚0.8mm、幅400mmの焼鈍後の冷延
鋼板を用い、圧延速度、液圧・気圧を種々変化させ、伸
び率は1%と一定にし、表1に示す条件で圧延を行っ
た。同一ノズルでもその流量・液滴径を10倍のレンジ
で可変にできた。
【0034】
【表1】
【0035】圧延中の油溜まりの有無、圧延後の表面性
状を目視で判定し、その結果を表1に示す。表面性状
は、圧延後の鋼板表面のオイルピットの有無により評価
した。
【0036】油溜まりの出来ない条件の平均圧延油滴径
が30μm 以下のものの表面性状が優れていることが分
かる。
【0037】従って、斑点のない美麗な表面性状を得る
ために圧延油の液滴粒径を30μm以下とした。
【0038】特に粒径が20μm 以下の時には、入り側
で油溜まりが出来ないように液流量を調整する範囲が広
くなり、安定した圧延が可能である。例えば、粒径が小
さい場合は比較的油溜まりができる圧延限界速度が遅く
なり、圧延速度の調整範囲が広がる。
【0039】なお、圧延油の液滴の平均粒径を求める方
法は、圧延油を空気中に噴霧し、空気中を飛行している
状態を超高速度(約25万分の1秒)で写真撮影し、写
真上の粒子径を測定するか、画動処理装置等を使用し、
自動的に測定して粒径分布を得る等の方法がある。空気
の圧力と流量及び圧延油の圧力と流量とを一定にしたと
きに生成できる平均粒径は一定となるので、ノズル毎に
噴霧条件と平均粒径及び油溜まりのできない条件を予め
求めておくのがよい。
【0040】以上のようにして調質圧延油を霧状に噴霧
できるが、次に実際に圧延中に鋼板上に供給する方法に
ついて述べる。図1に示すように、2重構造を持ったノ
ズルを圧延機入り側に設置し、各々、液圧・気圧を調整
できるポンプにより調質圧延油及び空気を供給する。液
流量はノズル径の他に、液圧・気圧によって制御可能で
あり、圧延速度や目標とする潤滑状態により適正に選択
する。噴射された液滴の鋼板面上への広がりはノズル開
口角度及び板とノズルとの距離により決まるが、板幅方
向の分布ムラを避けるためには、板幅方向に複数のノズ
ルを設置し、広がった噴霧が隣接する噴霧と少しラップ
する程度に、距離、開口角度、ノズル個数を決めるのが
よい。
【0041】圧延油を吹き付けるのは少なくとも圧延ロ
ール入り側の鋼板表面であればよく、ロール表面のみか
または双方でもよい。
【0042】上記したような方法で、鋼板上に噴霧させ
つつ液圧、気圧を調整し、鋼板表面への付着量を変化さ
せれば、圧延の摩擦係数及びロール粗度の板への転写は
ドライ並みから通常の湿式圧延まで自由に変化させるこ
とができた。
【0043】本発明方法による潤滑方法が従来法と異な
るのは、導入される油量を、ロール径・圧延速度とは独
立して制御することが可能な点である。
【0044】本発明の方法によれば極薄油膜はもちろん
入口に油溜まりが形成される条件も可能である。従っ
て、同じノズルで従来の湿式並みの大供給量も可能であ
り、本発明によればドライ並みから通常の湿式圧延まで
油量を制御可能となりロール表面の板への転写を比較的
自由に制御できる。
【0045】しかしながら、このように潤滑状態を薄膜
から厚膜まで可変とできる。しかし、連続的に異なった
潤滑状態を形成する際、薄膜から厚膜へは容易に切り替
えができるが、厚膜から薄膜へ切り替える場合、厚膜状
態でロール上に残った油のため、直ちに安定した薄膜状
態が実現できない。そこで潤滑状態を厚膜から薄膜に変
化させる際に、上下ワークロールのそれぞれに、吸引管
を内蔵したフェルトまたはブラシ、あるいはスポンジで
形成された吸引ロール6を圧接させてロール表面の余分
な調質圧延油を、除去することでこの問題を解決するこ
とができる。吸引管を内蔵したフェルトまたはブラシあ
るいはスポンジで形成された吸引ロールの配置は圧延機
の出側、入側どちらでもかまわない。しかしながら、圧
延機が4段ロール以上になると出側に配置するのが望ま
しい。また、吸引管を内蔵したフェルトまたはブラシ、
あるいはスポンジで形成された吸引ロールは常時ワーク
ロールに圧接させてもよいが、鋼種の切り替えまたは潤
滑状態の切り替え時のみ圧接させるようにしてもよい。
【0046】ワークロール上の残った余分な油を取り除
く方法としては、これ以外にスクレーパーナイフ7をロ
ールに圧接させてもよく、吸引管を内臓したフェルトま
たはブラシ、あるいはスポンジで形成された吸引ロール
と組み合わせることも可能である。この方法によれば、
ロール上に付着した異物を除去できるとともに吸引排除
することがでるので効果はより顕著となる。
【0047】
【実施例】以下、本発明の効果を実施例に基づいて説明
する。
【0048】(実施例1)板厚0.8mm、幅1200mm
の冷延鋼板を焼鈍後、ロール直径600mm、ロール粗度
Ra2.0μm のダルロールにて圧延した。圧延条件は伸
び率1.5%一定で、圧延中に潤滑状態を0.07l/分の
厚膜圧延から0.03l/分の薄膜圧延に切り替えた。ま
た、調質圧延油としては、有機系圧延油を5%含む水溶
液を用い、液滴の径は平均25μm とした。
【0049】吸引ロールは吸引管を内臓したスポンジの
ロールを用い、吸引ロールを用いない場合と比較した。
【0050】また、従来例として、図2に示すようにノ
ズル4から圧延油を液体の状態で0.2 l/分の量で供給
して油溜りを形成した通常の湿式調質圧延を実施した。
切り替え点で調質圧延油の量を0.1 l/分と少なくし
た。
【0051】圧延後の長手方向の鋼板表面粗度を粗さ計
により測定した。また、厚膜圧延、薄膜圧延及び比較例
の各圧延における転写率をそれぞれ求めた。
【0052】なお、転写率とは、調質圧延後の鋼板表面
粗度/ロール表面粗度×100である。
【0053】図7は、圧延後の測定結果を示す図で、鋼
板表面の長手方向の粗さの変化状況を示す。
【0054】潤滑油の量を切り替えるだけで吸引ロール
を用いない場合は、同図のように切り替え後しばらく厚
膜状態の影響が残り、粗度の転写が不安定になってい
る。これに対して、吸引ロールを用いた本発明方法で
は、切り替え直後から目標の粗度となり転写良好である
ことが分かる。
【0055】従来例における圧延油の供給量の多少にも
拘らず転写率は本発明法の方が優れていることが分か
る。
【0056】(実施例2)板厚0.8mm、幅1000mm
のC含有量が0.045 %の低炭素鋼板と同じく板厚0.8
mm、幅1200mmのC含有量が0.003 %の極低炭素鋼板
を溶接して繋ぎ、連続して調質圧延した。このとき、各
々の適正伸び率は、低炭素鋼板は1.5%、極低炭素鋼
板は0.2%である。調質圧延油の液滴平均粒径を20
μm に調整して圧延を行った。200m/min の速度で連
続圧延中に溶接部の圧延が始まると50m/min に減速し
た。本発明法として、溶接部の圧延が開始されると同時
に実施例2で用いた吸引ロールをワークロールに圧接し
た。また、比較例として、吸引ロールを用いないで潤滑
状態を変化させないで圧延を続行した。
【0057】図8は、圧延後の鋼板の圧延方向の伸び率
の変化を示す。吸引ロールが無い場合、溶接点通過後、
しばらく伸び率が過多となり、極低炭素鋼の機械特性が
劣化して歩留が低下した。これに対して本発明のように
吸引ロールで余分な調質圧延油を吸引排除すると溶接点
通過後、直ちに適正な伸び率で安定した。
【0058】
【発明の効果】本発明方法によれば、調質圧延油を微細
な霧状にして噴霧することにより、潤滑油量をドライ並
から湿式圧延まで可変とすることができ、ワークロール
に吸引管を内蔵したフェルトまたはブラシ、あるいはス
ポンジ等で形成された吸引ロールを圧接し、余分な油を
吸引排除することで、連続して潤滑条件が変化しても、
直ちに適正な潤滑状態にすることが可能となり最適な転
写効率を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の調質圧延状態を示す側断面概要図であ
る。
【図2】従来の湿式圧延のロールバイト入側の圧延油導
入メカニズムを示す図である。
【図3】バックアップロールとワークロールで圧延油を
絞る圧延法を示す図である。
【図4】通常のスプレー法で圧延油を供給した場合に液
の広がり状態を示す図である。
【図5】本発明法に使用するノズルの構造を示す断面概
要図である。
【図6】液圧と気圧を変化させたときの粒径・流量を示
す図である。
【図7】転写率の変化状況を示す図である。
【図8】伸び率の変化状況を示す図である。
【符号の説明】
1 ワークロール 2 バックアップロール 4 ノズル 5 調質圧延油 6 吸引ロール 7 スクレーパ

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】冷延鋼板を焼鈍後調質圧延するに際し、少
    なくとも調質圧延入り側の鋼板表面に平均粒径で30μm
    以下の液滴とした霧状の調質圧延油を吹き付けると共
    に、鋼板を圧延した後のワークロール表面に付着してい
    る調質圧延油を除去しつつ圧延することを特徴とする湿
    式調質圧延方法。
  2. 【請求項2】請求項1記載の調質圧延方法において、調
    質圧延油の除去に、ワークロールに圧接配置した吸引ロ
    ールとスクレーパナイフのどちらか一方または双方を用
    いることを特徴とする請求項1記載の湿式調質圧延方
    法。
JP15505795A 1995-06-22 1995-06-22 鋼板の湿式調質圧延方法 Expired - Lifetime JP2924715B2 (ja)

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