JPH09111941A - 鉄筋コンクリート床板型枠 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】トラス高さが同じであっても、従来よりも、よ
り長いスパン長をとることのできるコンクリート床板用
型枠を得る。 【構成】型枠用床鋼板１０の上に所定の間隔でトラス筋
２０が並設固着された床板型枠Ａの該トラス筋２０の間
に、例えば合成樹脂発泡成形品である荷重軽減材３０を
設置する。コンクリート床の施工に際して、荷重軽減材
３０の容積分だけ打設コンクリートの量を少なくするこ
とができ、コンクリート床の荷重を低減できる。それに
より、トラス成が同じであっても、従来の床型枠を用い
る場合と比較して、より長いスパン長をとることが可能
となる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は鉄筋コンクリート床
板型枠に関し、特に、軽量化した鉄筋コンクリート床板
を構築することを可能とした鉄筋コンクリート床板型枠
に関する。

【０００２】

【従来の技術】コンクリート床板の型枠として、施工時
にサポートによる支持が不必要な床鋼板（デッキプレー
ト）が使用されている。この床鋼板はスパンの梁間に設
置され、この上からコンクリートが打設される。床鋼板
に主鉄筋としての機能を果たすトラス筋を並設してトラ
ス化し、このトラスによって型枠の支持スパンをさらに
大きくする工法も行われている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】このようなコンクリー
ト床板の施工において、支持スパンの大きさはコンクリ
ート打設時の荷重による床鋼板の変形量が許容範囲を超
えない大きさとされる。すなわち、支持スパンが大きく
なるほど打設コンクリート量は多くなり、トラス化した
主鉄筋のトラス高さ（トラス成）が同じ場合には、変形
量も大きくなる。支持スパンを大きくしかつ床鋼板の変
形量が許容範囲内のものとするためには、トラス成を大
きくすることが必要となり、結果として、スラブ厚が厚
くなる。

【０００４】支保工なしで大きなスパンの梁間に設置し
てコンクリートを打設しても、床鋼板の変形量を許容範
囲内におさえることのできるコンクリート床板用型枠が
得られれば、梁部材数を減らすことができ建物全体を経
済的に設計施工できることからきわめて望ましいが、前
記のように、鉄筋コンクリート床板においてスパン長と
スラブ厚とは相矛盾する関係にあることから、通常のス
ラブ厚では支持スパンは３．８ｍ程度が実際上の限界と
なっているのが実情である。

【０００５】従って、本発明の目的は、スラブ厚を経済
的かつ合理的なものとし、より長いスパン長をとること
のできるコンクリート床板用型枠を得ることにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めの本発明による鉄筋コンクリート床板型枠は、基本的
に、型枠用床鋼板の上に所定の間隔でトラス筋が並設固
着され、該トラス筋の間には荷重軽減材が設置されてい
ることを特徴とする。型枠用床鋼板の種類に特に制限は
なく、従来の鉄筋コンクリート床板型枠に用いられてい
る床鋼板を任意に用いることができる。例えば、全く平
坦な鋼板でもよく、一定の間隔で所定巾の絞り部を平行
に形成したいわゆるデッキプレート、のようなものであ
ってよい。

【０００７】トラス筋の形状も任意であり、また、型枠
用床鋼板上に所定の間隔でトラス筋を並設固着する態様
も任意であるが、トラス筋のトラス材を用いて床鋼板と
固着するタイプ、あるいは、並設するトラス筋に直交す
る波型（山型）の補助材により鋼板に固着するタイプ、
のようなものが特に好ましい。荷重軽減材は、打設時の
コンクリートの重量よりも軽いものでありかつ打設コン
クリートにより形状損壊を起こさないものであれば任意
であり、樹脂製品、金属製品等であってよい。樹脂製品
の場合に、発泡成形品であることは、成形性、コスト、
単位容積当たりの荷重軽減率等の点から特に好ましい。
合成樹脂としては、スチレン系樹脂、ポリエチレンやポ
リプロピレン等のオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル系
樹脂等が挙げられるが、耐荷重強度の点からポリスチレ
ンは適している。なかでも、耐熱性に優れた耐熱性スチ
レン系樹脂は、養生時に発熱しやすいコンクリート組成
に対しても変形等することなく、特に好ましく使用する
ことができる。また、発泡成形品の場合、それは中実体
であってもよく中空部を持つものであってもよい。さら
に、非発泡樹脂製品あるいは金属製品の場合には、中空
部を持つものとして形成することが好ましい。

【０００８】荷重軽減材の全体形状は並設されるトラス
筋間に設置できる形状であれば任意であり、直方体状、
かまぼこ状、半球状、等であってよい。荷重軽減材の型
枠用床鋼板への取り付けは、打設コンクリートにより荷
重軽減材の浮き上がりが生じないことを前提に任意であ
るが、接着剤による固着、床鋼板側に配置した刺込片を
荷重軽減材側に差し込むことによる固着、等が実際的で
ある。また、荷重軽減材が合成樹脂である場合には、床
鋼板を加熱して熱融着により取付け固定することも可能
であり、金属材料の場合には、溶着により固着すること
もできる。

【０００９】本発明による鉄筋コンクリート床板型枠は
上記の構成であり、梁間に配置してコンクリートを打設
する場合に、荷重軽減材の容積分だけ打設コンクリート
の量は減少することから、現場でのコンクリート床の重
量は軽減し、結果として床鋼板の変形量は減少する。そ
の結果、トラス成が同じであっても、従来構造の鉄筋コ
ンクリート床板型枠の場合よりも大きいスパンをとるこ
とが可能となり、構造物における梁部材数を減らすこと
できる。

【００１０】

【発明の実施の形態】以下、図面を参照しつつ本発明に
よる鉄筋コンクリート床板型枠の好ましい実施の形態を
説明する。図１は、本発明の鉄筋コンクリート床板型枠
のベースとなる床板型枠Ａを示しており、床鋼板（デッ
キプレート）１０に対して主鉄筋としての機能を果たす
複数本のトラス筋２０が一定の間隔をおいて並設固定さ
れている。この床板型枠Ａ自体は従来知られたものであ
り、この例では、平板状の鋼板に所定間隔で浅い凹所１
１を平行に形成した床鋼板１０の該凹所１１にトラス筋
２０が固定されている。トラス筋２０も従来知られたも
のを任意に使用可能であり、この例では、１本の上弦材
２１と２本の下弦材２２とがラチス材２３で連結された
構成のものを用いている。なお、下弦材２２は鉄筋の周
りにコンクリートのかぶりを確保するために、床鋼板１
０から所定距離（２５〜３０ｍｍ程度）離れた位置にお
いてラチス材２３で連結されている。

【００１１】本発明の鉄筋コンクリート床板型枠は、上
記のような従来知られた床板型枠Ａのトラス筋２０とト
ラス筋２０の間に荷重軽減材３０を設置することにより
形成される。図１の仮想線及び図２の施工後の状態の断
面図に示すように、この実施例において、荷重軽減材３
０は断面方形を有する長尺部材であり、素材としては発
泡ポリスチレンが用いられ、床鋼板１０に接着剤により
固定されている。荷重軽減材３０の横幅は隣接するトラ
ス筋２０の下弦材２２の間に入り込む寸法とされ、好ま
しくは、下弦材２２と荷重軽減材３０との間に所定の間
隔（２５〜３０ｍｍ程度）がとれるような幅とされる。
荷重軽減材３０の高さは上弦材２１の下端よりも１０〜
２０ｍｍ程度低い位置となるようにされている。長さ
は、好ましくは床板型枠Ａの長さの全長にわたるものと
されるが、部分的に配置してもよい。また、全長にわた
り一体成形品であってもよく、複数の成形品を連接する
ものであってもよい。

【００１２】この鉄筋コンクリート床板型枠は工場にお
いて製造され、施工現場に搬入される。施工現場で、構
築物の梁（図示されない）間に設置し、スラブ上端筋４
０等の補強筋を配設した後、コンクリートＣを打設する
ことにより、コンクリート床が構築される。本発明によ
る鉄筋コンクリート床板型枠においては、前記荷重軽減
材３０の容積分だけ打設コンクリートの量が減少する。
それにより、コンクリート床そのものの重量が軽減し、
その分だけ、床鋼板１０の変形量は減少する。その結
果、従来構造の鉄筋コンクリート床板型枠とトラス成が
同じであっても、本発明による鉄筋コンクリート床板型
枠はよりも大きいスパンをとることが可能となる。

【００１３】図３は、他の実施例の鉄筋コンクリート床
板型枠を用いて構築したコンクリート床を示す断面図で
あり、この鉄筋コンクリート床板型枠は床板型枠Ａの構
造において、図１、図２に示したものと異なっている。
すなわち、この床板型枠Ａは、床鋼板１０に並設固定さ
れるトラス筋２０の下端筋２２に沿った位置に逆Ｌ字状
に折曲した係止爪２５を所定の間隔で取り付けている。
そして、設置される荷重軽減材３０は該係止爪２５によ
り、床鋼板１０上に固定される。当初は係止爪２５は図
３で仮想線で示す開いた状態であり、係止爪２５間に荷
重軽減材３０を配置した後で、係止爪２５の先端を荷重
軽減材３０内に実線で示すように食い込ませる。それに
より、荷重軽減材３０を床鋼板１０に容易かつ確実に固
定することができる。

【００１４】図４は、本発明による鉄筋コンクリート床
板型枠の他の例を用いて構築したコンクリート床を示す
断面図であり、この例では、トラス筋２０の下端筋２２
ａはラチス材２３の下端位置近傍に取り付けられてい
る。上記の説明では発泡スチロール製の直方体状の荷重
軽減材３０を示したが、これはあくまでも一実施例であ
って、これに限ることはなく、打設コンクリートの比重
よりも小さい比重であり、打設コンクリートにより圧壊
しないことを条件に、その素材及び形状は任意である。
また、荷重軽減材３０は中実体であってもよく中空体で
あってもよい。さらに、その上面側の隅部に丸みを持た
せることは好ましく、それにより、荷重軽減材３０近傍
の打設コンクリートにひび割れが生じるのを回避でき
る。

【００１５】荷重軽減材３０をトラス筋２０の間にすべ
ての配置する必要もなく、必要とされるスパン長に応じ
て必要とされる重量軽減分に見合うだけの荷重軽減材３
０を設置すればよく、一つ飛びあるいは二つ飛びで設置
してもよく、長さ方向に間隔を置いた状態で設置しても
よい。

【００１６】

【発明の効果】本発明による鉄筋コンクリート床板型枠
を用いることにより、トラス化した主鉄筋のトラス高さ
（トラス成）が同じであっても、従来の床型枠を用いる
場合と比較して、より長いスパン長をとることのできる
コンクリート床板用型枠を得ることができる。それによ
り、スラブ厚を経済的かつ合理的なものとすることがで
きる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の鉄筋コンクリート床板型枠のベースと
なる床板型枠を示す斜視図。

【図２】本発明の鉄筋コンクリート床板型枠を用いて施
工されたコンクリート床の断面状態を示す図。

【図３】他の実施例の鉄筋コンクリート床板型枠を用い
て施工されたコンクリート床の断面状態を示す図。

【図４】さらに他の実施例の鉄筋コンクリート床板型枠
を用いて施工されたコンクリート床の断面状態を示す
図。

【符号の説明】

１０…型枠用床鋼板、２０…トラス筋、３０…荷重軽減
材、Ｃ…打設コンクリート。

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】型枠用床鋼板の上に所定の間隔でトラス筋
   が並設固着され、該トラス筋の間には荷重軽減材が設置
   されていることを特徴とする鉄筋コンクリート床板型
   枠。
2. 【請求項２】該荷重軽減材が合成樹脂発泡成形品である
   請求項１記載の鉄筋コンクリート床板型枠。
3. 【請求項３】該荷重軽減材が中空の型材である請求項１
   記載の鉄筋コンクリート床板型枠。