JPH09111447A - スパッタリング装置 - Google Patents

スパッタリング装置

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JPH09111447A
JPH09111447A JP26860695A JP26860695A JPH09111447A JP H09111447 A JPH09111447 A JP H09111447A JP 26860695 A JP26860695 A JP 26860695A JP 26860695 A JP26860695 A JP 26860695A JP H09111447 A JPH09111447 A JP H09111447A
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gas
wafer
sputtering
shield
target
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JP26860695A
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Takeshi Jinbo
毅 神保
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Applied Materials Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 スパッタリング領域へのガスの通気性を改善
し、且つスパッタ粒子のシールドを充分に確保して、効
率良くプラズマを維持し、高品質の膜を効率良く成膜で
きるスパッタリング装置を提供することを目的とする。 【解決手段】 ウエハ保持手段が、ウエハの搬送の際に
は、シールドがウエハの搬入の障害とならないように、
シールドと充分な距離をもつ位置に下降し、スパッタリ
ングによるウエハ上への成膜の際には、ウエハ保持手段
の一部がシールドと所定の間隔をもってシールドを包囲
する位置に上昇してターゲットとシールドとウエハ保持
手段とにより画成され、前記ターゲットのスパッタされ
る表面とウエハとを内部に包含する領域をチャンバ内に
形成し、所定の間隔が領域の内外へのガスの流通路とな
ることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、反応性スパッタリ
ングによる金属化合物の成膜に用いられる装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】スパッタリングの技術の進歩に伴い、そ
の応用例も広範な範囲にわたっている。その中でも、反
応性スパッタリングは、Ti等の金属化合物の膜を得る
重要な方法の1つであるが、同じく金属化合物の成膜に
多用されるCVDとは異なる特徴を有する。
【0003】TiN等の金属化合物の薄膜を成膜しよう
とする場合、CVDと並んで反応性スパッタリングがし
ばしば用いられる。CVDに比べて、反応性スパッタリ
ングは析出温度が低いため、良質な表面を得やすい。ま
た、成膜させるための基材の選択の幅が大きい等、様々
な利点が反応性スパッタリングにはある。
【0004】図4は、従来から用いられているスパッタ
リング装置の一例の断面図である。図4に示されるよう
に、従来からのスパッタリング装置500は、チャンバ
壁502に包囲された円筒状のチャンバ504の内部
に、ウエハ506を保持するサセプタ508と、ウエハ
506上へ堆積するためのスパッタリング材料のターゲ
ット510とを備える。ターゲット510の裏側には、
放電を収斂させるためのマグネット512が配置されて
いる。ターゲット510を包囲するようにシールド51
3が、チャンバ内に設置され、スパッタリング粒子が空
間Bへと飛散してチャンバ壁に付着することを防止す
る。
【0005】従来からのスパッタリング装置500は、
チャンバ壁502に接続されたガス流入口514を1つ
以上有する。ガス流入口514は、ガスソースに接続さ
れており、例えば、通常のスパッタリングではAr等の
雰囲気ガスが、反応性スパッタリングでは、プロセスガ
スと雰囲気ガスの混合ガスが、ガス流入口514を介し
てチャンバ504内部へと導入される。シールド513
には、ところどころに開口があり(図示されず)、シー
ルドの外側の「空間B」の雰囲気は、シールドの内側の
「空間A」内に流通する。即ち、ガス流入口514を介
してチャンバ504内部の空間Bへ導入されたプロセス
ガスは空間Aに至る。
【0006】電力の印加によりスパッタリングされたタ
ーゲット510を構成する物質は、空間Aに存在するプ
ロセスガスと反応して、ターゲット材料の化合物として
ウエハ506上に堆積する。シールド513の下方にも
開口(図示されず)が設けられ、空間Aのガスが空間B
へと移動した後、クライオポンプ518によりチャンバ
504の外へ排出される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】スパッタ粒子を空間B
へと飛散させないために空間Aと空間Bとの間の流通路
を小さくすれば、同時に空間Aと空間Bの間のガスの流
通に悪影響を与え、装置部材の表面から揮発する水等を
含むアウトガスがスパッタリングが行われる空間Aに滞
留しやすくなり、成膜された膜質に少なからず影響を与
える。ここで、Al、Ti、W等の金属の化合物を反応
性スパッタリングで成膜を行おうとすれば、チャンバ内
の圧力が約5.0x10-4トール(Torr)〜約2.
0x10-2トールの範囲の比較的低い圧力においてスパ
ッタリングを行う必要があるが、アウトガス滞留の問題
は、特に圧力の低い場合に顕著である。
【0008】本発明は、以上の問題点に鑑みてなされた
ものであり、低圧条件下において行われるスパッタリン
グプロセスにおいて、アウトガスをスパッタリング領域
から速やかに排出させ、効率良くプラズマを維持し、且
つ、スパッタリング領域からスパッタ粒子を有効にシー
ルドして、高品質の膜を効率良く成膜できるスパッタリ
ング装置を提供することを目的とする。
【0009】また、本発明の別の目的は、反応性スパッ
タリングの効率を高め且つチャンバ内部の汚染を減少さ
せて、均一な膜質の薄膜を長時間安定して形成できるス
パッタリング装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明のスパッタリング
装置は、スパッタされて成膜のための物質を放出するタ
ーゲットと成膜されるウエハを保持する上下昇降可能な
ウエハ保持手段とを収容するチャンバと、チャンバ内
で、ターゲットと、ウエハ保持手段上に配置されたウエ
ハとを包囲するシールドとチャンバ内にガスを導入する
ガス流入手段と、チャンバ内のガスをチャンバの外へ排
出するガス排出手段と、を備え、ウエハ保持手段が、ウ
エハの搬送の際には、シールドがウエハの搬入の障害と
ならないように、シールドと充分な距離をもつ位置に下
降し、スパッタリングによるウエハ上への成膜の際に
は、ウエハ保持手段の一部がシールドと可変である所定
の間隔をもってシールドを包囲する位置に上昇して、タ
ーゲットとシールドとウエハ保持手段とにより画成され
前記ターゲットのスパッタされる表面とウエハとを内部
に包含する領域をチャンバ内に形成し、所定の間隔が領
域の内外へのガスの流通路となることを特徴とする。
【0011】ウエハ保持手段が昇降可能で、スパッタリ
ングの際にウエハ保持手段の一部がシールドと所定の間
隔をもってシールドを包囲するような位置に移動できる
ため、ウエハ保持手段を昇降させることにより、チャン
バの内部にスパッタリングのための領域を容易に形成
し、且つ、この領域の内外へのガスの流通路の大きさ
を、圧力やガス種、ターゲット材料等のプロセス条件に
応じて容易に変化させることことが可能となる。
【0012】また、本発明のスパッタリング装置は、ガ
ス流入手段とガス排出手段により与えられるチャンバ内
に導入されるガスの圧力Pに対して、所定の間隔が、圧
力Pにおける平均自由行程λに関して、0.5λ〜2.
0λであることを特徴としてもよい。
【0013】与えられたガス圧力Pに対して、ウエハ保
持手段とシールドの間の間隔が0.5λ〜2.0λとな
ることにより、ガス流通路に適切なコンダクタンスが与
えられてガスの流通性が充分に確保され、且つ、スパッ
タリングのための領域からスパッタ粒子が領域外へと飛
散することが防止される。
【0014】また、本発明のスパッタリング装置は、ガ
スの圧力Pが、5.0X10-4トール〜2.0X10-2
トールであることを特徴としてもよい。
【0015】本発明のスパッタリング装置は、特に低圧
プロセスにおいて顕著であるガス滞留の問題を有効に解
決するすることに適している。
【0016】また、本発明のスパッタリング装置は、ガ
ス流入手段により導入されるガスが、ターゲットに衝突
させるためのガスである雰囲気ガスから成ることを特徴
としてもよい。
【0017】また、本発明のスパッタリング装置は、ガ
ス流入手段により導入されるガスが、ターゲットに衝突
させるためのガスである雰囲気ガスと、ターゲットを構
成するターゲット物質と化学反応を生じて化合物を生成
してウエハ上に成膜させるためのプロセスガスとを備え
ることを特徴としてもよい。
【0018】本発明のスパッタリング装置は、化学反応
を伴わない通常のスパッタリングにおいても有効であ
り、また、プロセスガスを用いて化学反応を伴う反応性
スパッタリングにおいても有効である。
【0019】また、本発明のスパッタリング装置は、雰
囲気ガスがアルゴン(Ar)ガスであり、平均自由行程
λがArの平均自由行程λArであることを特徴としても
よい。
【0020】また、本発明のスパッタリング装置は、平
均自由行程λが、プロセスガスの平均自由行程λprであ
ることを特徴としてもよい。
【0021】また、本発明のスパッタリング装置は、タ
ーゲットがTiから成り、且つ、プロセスガスがN2
ら成ることを特徴としてもよい。
【0022】本発明のスパッタ装置は、反応性スパッタ
リングによるTiNの成膜に非常に適している。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、添付した図面を参照して、
本発明を詳細に説明する。尚、図面においては、共通の
要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0024】図1は、本発明に従ったスパッタリング装
置の一例の断面図である。図1では、半導体ウエハのス
パッタリング処理のプロセスにおいて、ウエハがチャン
バへ搬送される際のペデスタルのポジションを示す。一
方、図2は、ウエハに対してスパッタリングによる成膜
を行っている際のペデスタルのポジションを示す。
【0025】図1に示されるように、円筒状のスパッタ
リング装置100は、チャンバ壁102に囲まれたチャ
ンバ104を備える。チャンバ104内には、ウエハ1
06を保持するためのウエハ保持手段であるペデスタル
108と、ターゲット110とが備えられ、ウエハ10
6は、ターゲット110に対してある一定の距離を保っ
て対向するように配置される。ターゲット110の裏側
には、ターゲット110とウエハ106との間の放電を
収斂させるためのマグネット112が配置される。ター
ゲット110の底面は円板状である。このターゲット1
10の底面は、スパッタされてターゲット材料の粒子を
放出するスパッタリング表面である。ターゲット110
は、スパッタリング表面がペデスタル108の方を向く
ように設置される。ターゲット110のスパッタリング
表面から放出された粒子は、ペデスタル108の上に保
持されているウエハ106の表面上に堆積される。ウエ
ハ搬送の段階では、図1に示されるようなペデスタル1
08のポジションで、チャンバに接続された周知のウエ
ハ搬送手段(図示されず)のロボットにより、ウエハが
チャンバ104内に搬送され、ペデスタル108の上に
配置される。図1に示されるように、ウエハ搬送の際に
は、ペデスタル108は充分下降した位置にあり、シー
ルド114がウエハの搬送を妨げることはない。ペデス
タル108は、円筒状のベローズ111に支持されてい
る。ベローズ111は上下駆動機構を備えており、上下
に伸縮が可能であり、ベローズ111が上下に伸縮する
ことにより、ペデスタル108は上下に移動が可能であ
る。
【0026】図1に示されるスパッタリング装置100
のチャンバ104では、スパッタされたターゲット材料
の粒子の飛散による汚染を防止するための、円筒形の部
分を有するSUS304製のシールド114が、ターゲ
ット110を包囲する。アッパーシールド114は、タ
ーゲット110の側面に近接してこれを包囲し、ターゲ
ット110からペデスタル108へ向かう方向へ延長
し、そして内側へ巻き込むような部分をもって形成され
ている。このシールド114とペデスタル108の配置
及び幾何的関係に関しては後に詳述する。
【0027】図1に示されるように、チャンバ104に
おいて、プラズマを形成するためのArガス等の雰囲気
ガスや、雰囲気ガスと反応性スパッタリングのためのプ
ロセスガスとの混合ガスを供給する、ガス流入管116
が、チャンバ壁102に形成されたガス流入口118に
接続されている。ガス流入管116には、流量調節手段
を備えた従来から多用されるガスソース(図示せず)が
接続され、所望のガスを所望の流量でチャンバ104内
部に供給することが可能である。このガスソースは、プ
ロセスガスと雰囲気ガスの混合ガスを供給することがで
きる。また、チャンバ104からガスを排出するため
に、図1に示されるように、チャンバ104にはガス排
出口120が具備される。そして、ガス排出口120は
クライオポンプ122に接続され、空間Bのガスを、チ
ャンバ104の外部へと排出する。また、チャンバ10
4のチャンバ壁102には更に、圧力計124が接続さ
れて、チャンバ内の圧力がモニターされる。
【0028】図2は、スパッタリングによりウエハに成
膜を行っている際の、チャンバ104の状態を表す断面
図である。図2に示されるように、本発明に従ったチャ
ンバ104では、ウエハの成膜を行うために、ベローズ
111が伸びて、ペデスタル108がシールド114の
外側を包囲するような位置に配置されている。ここで、
シールド114とペデスタル108により、チャンバ1
04の内部が、空間Aと空間Bの2つの空間に画され
る。シールド114は円筒状であり、ペデスタルは円板
状であるので、シールド114とペデスタル108とが
隙間をもって重なり合う部分は、環状を形成している。
【0029】図2に示されるように、空間Aは、ターゲ
ット110と、ターゲット110のスパッタリング表面
に面したウエハ106を含み、空間Bには、ガス供給の
ためのガス流入口118と、ガス排出のためのガス排出
口120が接続されている。シールド114とペデスタ
ル108の間に形成される隙間の大きさ等によって、空
間Aと空間Bの間にガス流通のコンダクタンスが与えら
れる。
【0030】スパッタリングを行う際は、ターゲット1
10とウエハ106の間に電力が印加されて、ターゲッ
ト110を構成するターゲット材料がスパッタリングさ
れウエハ106上に薄膜が堆積される。ターゲット材料
は、典型的には、W、Ti、Al合金、WSi、Ti
W、MoSi、Si、Cu等の物質である。このとき、
スパッタされたターゲット材料と反応してターゲット材
料の化合物を形成してウエハ106上にこの化合物の薄
膜を形成する反応性スパッタリングを行う場合は、ター
ゲット材料と反応して化合物を形成するためのガスをタ
ーゲット110とウエハ106との間に流通させる。例
えば、TiN薄膜をウエハ106上に成膜させる場合、
ターゲット110にTiを用い、N2 ガスをプロセスガ
スとして空間Aに流通させる。このとき、プロセスガス
であるN2 と共にAr等の雰囲気ガスも流通させる。反
応性スパッタリングではなく、化学反応を伴わない通常
のスパッタリングを行う際は、プラズマ発生のためのA
rガス等の雰囲気ガスのみを流通させればよい。
【0031】図2に示されるペデスタル108のポジシ
ョンにおいては、シールド114とペデスタル108の
間に形成された隙間を介し、ガス流入口118を介して
空間Bに供給された雰囲気ガスあるいはプロセスガス
が、空間A内に供給され、また、空間Aで発生したアウ
トガスがこの隙間を介して、空間Bへと移動し、ガス排
出口120からクライオポンプ122により引き抜か
れ、チャンバ104から外へ排出される。従って、この
隙間をある程度大きく設定して、空間Aと空間Bの間の
流通路に適当なコンダクタンスを与える必要がある。
【0032】一方、空間Aでは、スパッタリングにより
ウエハ上だけではなくペデスタル上にも成膜されるが、
空間B内が成膜されて汚染しないために、空間Bにスパ
ッタ粒子を移動させない必要がある。シールド114と
ペデスタル108の間に形成される隙間ないし間隔をあ
る程度小さく設定することにより、スパッタ粒子が空間
Aから空間Bへと移動することを防止する必要がある。
【0033】即ち、相反する2つの現象を実現させるよ
うに、空間Aと空間Bの間に形成される流通路(隙間)
の大きさ(幅)を決定して形成しなければならない。
【0034】そこで、このシールド114とペデスタル
108の間に形成される隙間の大きさを、流通するガス
の平均自由行程λとほぼ同じか多少大きく与えることに
より、この相反する2つの現象を実現させることが可能
となる。
【0035】即ち、この隙間の幅を、ガスの平均自由行
程と同じか多少大きく設定することにより、流通路のコ
ンダクタンスをガスの流通性が確保される最低限のレベ
ルに与え、空間Bへのスパッタ粒子の流通を最小に抑え
ることが可能となる。このような隙間の大きさが、満足
なガス流通性を与える最小の大きさである。
【0036】平均自由行程λの対象たるガスは、スパッ
タリングの形態によって異なる。化学反応を伴わないス
パッタリングの場合は、プラズマ形成のための雰囲気ガ
スの流通が改善されれば、雰囲気ガスが空間A内のアウ
トガスを同伴して空間Bへと移動させやすくなるため、
平均自由行程λの対象たるガスはこの雰囲気ガスのこと
を指す。例えば、雰囲気ガスにArが用いられている場
合は、Arの平均自由行程を指す。
【0037】また、化学反応を伴う反応性スパッタリン
グでは、反応に用いられるプロセスガスは新鮮なガスを
供給して空間A内のプロセスガスの密度を一定にするこ
とが好ましいため、平均自由行程λの対象たるガスはプ
ロセスガスのことを指す。例えば、Tiターゲットを用
いて、プロセスガスにN2 を用いてTiNの反応性スパ
ッタリングを行う場合は、N2 の平均自由行程を指す。
但し、場合によっては、プロセスガスの流通性を高める
ために雰囲気ガスの流通性を高めてこれにプロセスガス
を同伴させればよい場合もあるため、この様な場合は、
平均自由行程λの対象たるガスは雰囲気ガスの平均自由
行程を指す。いずれの場合も、反応性スパッタリングで
は、プロセスガスが自由に流通できることが確保される
必要がある。
【0038】平均自由行程λとほぼ同じか多少大きいと
は、ガスの流通性を確保し且つスパッタ粒子の流通を防
止する観点から、流通路の幅wが、 0.5λ≦w≦2.0λ の関係にあることをいう。更に好ましくは、wは0.7
λ≦w≦1.5λの範囲にあってもよく、最も好ましく
は、0.9λ≦w≦1.2λの範囲にあってもよい。
【0039】ここで、流通路の幅wが平均自由行程λに
対して上記の関係であるとは、流通路において最も幅の
狭い部分の幅wが平均自由行程λに対して上記の関係に
あることをいう。図3は、図2に示されたスパッタリン
グ装置100のシールド114とペデスタル108の部
分的な断面図である。このスパッタリング装置において
は、シールド114とペデスタル108の隙間の形で形
成されている空間Aと空間Bの流通路は、図3に示され
るように、幅a、幅b及び幅cの3種類の幅の部分を有
しているが、この場合はcが最も小さな幅である。従っ
て、このスパッタリング装置では、幅cが上記の幅wと
して、上記の関係を満足するように与えられればよい。
勿論、ペデスタル108とシールド114の配置によっ
て、幅aが最も小さい場合もあり、幅bが最も狭くなる
場合もある。また、流通路の幅が流通路全体にわたって
変化している場合もあるが、そのような場合は、全流通
路の内、流通路の流通方向に垂直な断面において最も小
さな幅が、上記の関係を満足させればよい。
【0040】このように、空間Aと空間Bの流通路の幅
がガスの平均自由行程λで与えられてコンダクタンスが
決まれば、ガス流量と排出量とをガスソースの流量調節
手段とクライオポンプ122で与えることにより、空間
A及び空間Bの圧力はそれぞれ調整される。ここで、上
記のように流通路の幅がガスの平均自由行程λで与えら
れて、空間Aと空間Bの間にガスの流通性が確保されれ
ば、空間Aから空間Bへのガス流通の滞りがなくなるこ
とから、スパッタリングが行われる空間Aの圧力を容易
に制御できるようになる。
【0041】ここで、平均自由行程λは圧力Pに依存す
るため、チャンバ内の圧力Pに応じて、流通路の幅の大
きさを変える必要がある。例えば、常温でArガスのみ
が供給されているチャンバ104内において、圧力計1
24に検知される圧力が3.0X10-3トールである場
合は、Arガスの平均自由行程λArは約17mmであ
り、シールド114とペデスタル108の間に形成され
る隙間の大きさは、約8mm〜約33mmに設定されれ
ばよい。
【0042】このように、空間A内から空間Bへのガス
の充分な流通性が確保され、且つスパッタ粒子の空間B
への流通が防止されるため、空間Aのスパッタリング領
域では、常に新鮮なガスの存在下でスパッタリングを行
うことが可能となる。従って、汚染の原因となるアウト
ガスをチャンバ内に滞留させないと共に、特に反応性ス
パッタリングにおいては、スパッタリング領域における
プロセスガスの濃度を均一に保つことができるため膜質
が向上する等、特に有効である。
【0043】但し、スパッタされる金属粒子の種類によ
っては、空間Bへ飛散する程度が少ないため、空間Aと
空間Bの流通路の幅を上記よりも多少広めにとって、ガ
スの流通性を更に向上させてもよい場合がある。しか
し、ガス流通性は確保されなければならないため、上記
の流通路の幅を多少狭めにとることはすべきでない。
【0044】ペデスタル108には、ウエハ106を所
望の温度に加熱するためのヒーターが具備されるが、チ
ャンバ内が低圧の状態でスパッタリングを行う際は、ヒ
ーターによる加熱の効率が低くなるため、ヒーターガス
導入管126を介してアルゴン等のヒーターガスをペデ
スタル108に供給し、ヒーターにより加熱されたヒー
ターガスを加熱のための媒体としてウエハ106とペデ
スタル108との間の僅かな隙間へ流通させている。ヒ
ーターガスは、通常、スパッタリングのための付に雰囲
気ガスと同じガスであることが好ましいが、他の不活性
ガスを用いてもよい。
【0045】以上説明してきたように、本発明の装置
は、特に、反応性スパッタリングに用いることにより、
非常に有利な効果を得ることができる。一方、本発明の
装置は、化学反応のためのプロセスガスを用いずプラズ
マのためのAr等の雰囲気ガスのみ流通させて行う通常
のスパッタリング等のPVDに用いても、汚染の原因と
なるアウトガスの効果的な除去やスパッタリング領域の
圧力の安定化によるプラズマの効率化や安定化等、顕著
な効果を与える。
【0046】以上、本発明に従った好ましい装置の具体
例に関して説明してきたが、本具体例は本発明に従って
様々な変形が可能である。例えば、上記の好ましい実施
の形態の説明では、ウエハ1枚づつを処理する枚葉式の
PVD装置に関して説明してきたが、ガス導入の手段を
具備するシールドを用いて、ガスをシールド内のスパッ
タリング領域へ直接導入する構成は、複数のウエハを処
理するバッチ式PVD装置等に用いられても、上述と同
様の効果を与える。
【0047】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明の
スパッタリング装置では、ウエハ保持手段が昇降可能
で、スパッタリングの際にウエハ保持手段の一部がシー
ルドと所定の間隔をもってシールドを包囲するような位
置に移動できることにより、ウエハ保持手段の昇降によ
り、チャンバの内部にスパッタリングのための領域を容
易に形成し、且つ、この領域の内外へのガスの流通路の
大きさを変えることが可能となる。
【0048】このため、シールド内空間は常に新鮮なガ
スで満たされ、アウトガスが滞留することが防止され
る。また、反応性スパッタリングにおいては、反応に用
いられるプロセスガスの濃度が、スパッタリングが行わ
れる領域で一定に保たれる。
【0049】従って、高品質の膜を効率良く成膜するこ
とを実現するスパッタリング装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従ったスパッタリング装置の縦断面図
であり、ウエハ搬送の段階のペデスタルの状態を表す図
である。
【図2】図1のスパッタリング装置であり、スパッタリ
ングの段階のペデスタルの状態を表す図である。
【図3】図2のスパッタリング装置において、シールド
とペデスタルとの位置関係を表す拡大断面図である。
【図4】従来技術のスパッタリング装置の断面図であ
る。
【符号の説明】
100…スパッタリング装置、102…チャンバ壁、1
04…チャンバ、106…ウエハ、108…ペデスタ
ル、110…ターゲット、112…マグネット、114
…シールド、116…ガス流入管、118…ガス流入
口、120…ガス排出口、122…クライオポンプ、1
24…圧力計、500…スパッタリング装置、502…
チャンバ壁、504…チャンバ、506…ウエハ、50
8…ペデスタル、510…ターゲット、512…マグネ
ット、513…シールド、514…ガス流入口、518
…クライオポンプ、520…圧力計。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スパッタされて成膜のための物質を放出
    するターゲットと成膜されるウエハを保持する上下昇降
    可能なウエハ保持手段とを収容するチャンバと、 前記チャンバ内で、前記ターゲットと、前記ウエハ保持
    手段上に配置されたウエハとを包囲するシールドと前記
    チャンバ内にガスを導入するガス流入手段と、 前記チャンバ内のガスを前記チャンバの外へ排出するガ
    ス排出手段と、を備えるスパッタリング装置であって、 前記ウエハ保持手段が、 ウエハの搬送の際には、前記シールドがウエハの搬入の
    障害とならないように、前記シールドと充分な距離をも
    つ位置に下降し、 スパッタリングによるウエハ上への成膜の際には、前記
    ウエハ保持手段の一部が前記シールドと可変である所定
    の間隔をもって前記シールドを包囲する位置に上昇し
    て、前記ターゲットと前記シールドと前記ウエハ保持手
    段とにより画成され前記ターゲットのスパッタされる表
    面とウエハとを内部に包含する領域を前記チャンバ内に
    形成し、前記所定の間隔が前記領域の内外へのガスの流
    通路となることを特徴とするスパッタリング装置。
  2. 【請求項2】 前記ガス流入手段と前記ガス排出手段に
    より与えられる前記チャンバ内に導入されるガスの圧力
    Pに対して、前記所定の間隔が、圧力Pにおける平均自
    由行程λに関して、0.5λ〜2.0λであることを特
    徴とする請求項1に記載のスパッタリング装置。
  3. 【請求項3】 前記ガスの圧力Pが、5.0X10-4
    ール〜2.0X10-2トールであることを特徴とする請
    求項2に記載のスパッタリング装置。
  4. 【請求項4】 前記ガス流入手段により導入されるガス
    が、前記ターゲットに衝突させるためのガスである雰囲
    気ガスから成ることを特徴とする請求項1〜3のいずれ
    かに記載のスパッタリング装置。
  5. 【請求項5】 前記ガス流入手段により導入されるガス
    が、前記ターゲットに衝突させるためのガスである雰囲
    気ガスと、前記ターゲットを構成するターゲット物質と
    化学反応を生じて化合物を生成してウエハ上に成膜させ
    るためのプロセスガスとを備えることを特徴とする請求
    項1〜3のいずれかに記載のスパッタリング装置。
  6. 【請求項6】 前記雰囲気ガスがアルゴン(Ar)ガス
    であり、前記平均自由行程λがArの平均自由行程λAr
    であることを特徴とする請求項4又は5のいずれかに記
    載のスパッタリング装置。
  7. 【請求項7】 前記平均自由行程λが、前記プロセスガ
    スの平均自由行程λprであることを特徴とする請求項5
    に記載のスパッタリング装置。
  8. 【請求項8】 前記ターゲットがTiから成り、且つ、
    前記プロセスガスがN2 から成ることを特徴とする請求
    項7に記載のスパッタリング装置。
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