JPH09111269A - 水系金属加工油剤 - Google Patents

水系金属加工油剤

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JPH09111269A
JPH09111269A JP29371595A JP29371595A JPH09111269A JP H09111269 A JPH09111269 A JP H09111269A JP 29371595 A JP29371595 A JP 29371595A JP 29371595 A JP29371595 A JP 29371595A JP H09111269 A JPH09111269 A JP H09111269A
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JP
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group
water
compound
cutting
general formula
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JP29371595A
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English (en)
Inventor
Sho Onodera
祥 小野寺
Munehiro Yamada
宗宏 山田
Shinji Nakamura
信次 中村
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NOF Corp
Original Assignee
Nippon Oil and Fats Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】優れた潤滑性が得られるとともに、防錆性能に
優れ、かつそれ自身が両性金属を腐食しないだけでな
く、酸性またはアルカリ性に液性が変化しても、アルミ
ニウムなどの両性金属の腐食が少ない水系金属加工油剤
を提供する。 【解決手段】カルボキシアルキルチオコハク酸、そのエ
ステルもしくはアミドまたはそれらの塩を含有してなる
水系金属加工油剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水系金属加工油剤
に関する。さらに詳しくは、本発明は、切削加工および
研削加工に適した潤滑性を備え、優れた防錆能力と両性
金属に対して広いpH領域で防食能力を有し、使用後の洗
浄除去性にも優れる水系金属加工油剤に関する。
【0002】
【従来の技術】各種機械の製造現場で行われている、各
種金属材料の圧延、プレス、切削、研削では、作業時に
種々の液状油剤を加工面に供給することにより、切り屑
を除去し、また油剤の潤滑効果や冷却効果により、被加
工材料や工具の摩耗、発熱による損傷を防止している。
近年、火災防止、作業環境の改善、加工装置の自動化の
進展により、これまで用いられてきた鉱物油主体の非水
系金属加工油剤から、皮膚への刺激性が少なく、火災発
生の危険性が低い水系金属加工油剤へ転換する傾向が強
まっている。特に切研削油剤の分野においては、非水系
切研削油剤(JIS 1種および2種)からエマルショ
ン型(JIS W1種)やソリュブル型(JIS W2
種)への移行が進んでいる。これらの水系金属加工油剤
は、鉱物油、脂肪酸、油脂(脂肪酸グリセリンエステ
ル)、油脂以外の脂肪酸エステル、極圧添加剤、界面活
性剤、消泡剤、金属防錆剤、防腐・防カビ剤(殺菌剤)
などを組成成分として含み、これら成分を目的に応じて
適宜混合して製造される。水系切研削油剤は、通常0.
5〜30重量%のエマルションまたは水溶液(クーラン
ト)として使用される。クーラントには、切研削の速
度、精度および工具寿命など、切研削に直接関わる性能
と、防錆性能や工具および切研削材料に対する防食性、
切研削油剤自身の安定性、使用後の切研削油剤の洗浄除
去性など、被加工材の後処理や作業環境などに関連する
性能とが要求される。しかし、現在用いられている水系
切研削油剤には、以下の如き問題点がある。すなわち、
一般的な切研削では、既存の水系切研削油剤で問題なく
加工できるが、被切研削性に特に劣るステンレス鋼や合
金鋼などの切研削加工では、潤滑性が不十分であり、非
水系切研削油剤と比較して、切研削の精度、速度、加工
精度、工具の摩耗などの面で劣る。潤滑性に関しては、
特開平4−178500号公報で提案されているよう
に、硫黄系極圧剤や金属石鹸などの添加により、一次性
能の向上を図ることが試みられている。しかし、この添
加剤は、切研削で生じる金属の新生面との反応性に富む
ため、切研削面の変色や腐食などの原因となりやすい。
また、水系切研削油剤には、被切研削材や工具の発錆を
促進する物質が多く含まれているので防錆性に乏しい。
防錆性に関しては、各種の防錆剤の添加が試みられてい
るが、他の添加成分として、脂肪酸、極圧添加剤など金
属の発錆および腐食を促進する物質が多く用いられてお
り、防錆剤の効果を阻害するという問題がある。さら
に、潤滑性に優れる水系切研削油剤は、酸性またはアル
カリ性であることが多く、両性金属が黒斑や白斑などの
酸・アルカリ腐食を起こすので、アルミニウムや亜鉛系
金属に対する防食性がないという問題もある。潤滑性と
防錆性を同時に向上する手段として、特開平5−438
86号公報および特開平6−287588号公報で提案
されているような、アルキルチオプロピオン酸の塩があ
り、これは潤滑性と防錆性を同時に有し、鉄系金属の加
工に対しては有力であるが、アルミニウム、亜鉛などの
両性金属を加工する際に依然として腐食の問題を有して
いる。そこで、両性金属の腐食が少ない中性領域で潤滑
性を発揮させるために、脂肪酸または脂肪族アルコール
のアルキレンオキシド付加物を中心とした非イオン系水
系切研削油剤が用いられているが、これらの中性水系切
研削油剤は、金属表面へのイオン吸着による潤滑成分の
吸着が期待できないため、脂肪酸石鹸、脂肪酸アミン石
鹸など特にアルカリ性の水系切研削油剤に比べて潤滑性
が不十分であり、切研削の速度、加工精度、工具の摩耗
などの面で劣るという問題点がある。また、この切研削
油剤は、中性であることにより両性金属の腐食を防いで
いるため、長期の使用によって酸化金属粉や劣化などに
よりpHが低下または上昇すると腐食が起こるという問題
を有している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来の
事情に鑑み、優れた潤滑性が得られるとともに、防錆性
能に優れ、かつそれ自身が両性金属を腐食しないだけで
なく、酸性またはアルカリ性に液性が変化しても、アル
ミニウムなどの両性金属の腐食が少ない水系切研削油剤
を提供することを目的としてなされたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、カルボキシアル
キルチオコハク酸誘導体を用いた水系金属加工油剤が、
切削加工や研削加工に適した高い潤滑性と、長期にわた
る防錆性能を示すとともに、酸性ないしアルカリ性の広
い液性領域下でも両性金属に対する防食性を有し、かつ
分散安定性や使用後の洗浄除去性にも優れていることを
見いだし、この知見に基づいて本発明を完成するに至っ
た。すなわち、本発明は、(1)一般式[1]
【化3】 (ただし、式中、Rは炭素数1〜30のアルキレン基で
あり、X1、X2およびX3は水酸基、アルコールの残
基、アミノ基または有機基置換アミノ基であり、X1
2およびX3は互いに同一でも異なっていてもよいが、
その少なくとも一つは水酸基である。)で表される化合
物を含有してなる水系金属加工油剤、および、(2)一
般式[1]
【化4】 (ただし、式中、Rは炭素数1〜30のアルキレン基で
あり、X1、X2およびX3は水酸基、アルコールの残
基、アミノ基または有機基置換アミノ基であり、X1
2およびX3は互いに同一でも異なっていてもよいが、
その少なくとも一つは水酸基である。)で表される化合
物の塩を含有してなる水系金属加工油剤、を提供するも
のである。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明の水系金属加工油剤は、一
般式[1]で表される化合物の塩を含有する。
【化5】 一般式[1]において、Rは炭素数1〜30のアルキレ
ン基であり、特に好ましくは炭素数1〜18のアルキレ
ン基である。炭素数が30を超えると、一般式[1]で
表される化合物の塩の水への溶解度が著しく低下する。
Rで表されるアルキレン基は、直鎖状であってもよい
し、分岐を有するものであってもよく、その具体例とし
ては、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ぺンチ
レン基、ヘキシレン基、オクチレン基、ノニレン基、デ
シレン基、ウンデシレン基、ドデシレン基、トリデシレ
ン基、テトラデシレン基、ペンタデシレン基、ヘキサデ
シレン基、ヘプタデシレン基、オクタデシレン基、ノナ
デシレン基、アイコシレン基、ヘンイコシレン基、ドコ
シレン基、トリコシレン基、テトラコシレン基、ペンタ
コシレン基、ヘキサコシレン基、オクタコシレン基、ノ
ナコシレン基、トリアコンチレン基などを挙げることが
できる。
【0006】一般式[1]において、X1、X2およびX
3は、水酸基、アルコールの残基、アミノ基または有機
基置換アミノ基であり、それらは互いに同一でも異なっ
ていてもよいが、その少なくとも1個は水酸基であり、
好ましくは2個以上が水酸基である。一般式[1]にお
いて、アルコールの残基を形成するアルコールとして
は、飽和脂肪族アルコール、不飽和脂肪族アルコール、
飽和脂肪族アルコールアルキレンオキシド付加物、不飽
和脂肪族アルコールアルキレンオキシド付加物、飽和脂
肪酸アルキレンオキシド付加物、不飽和脂肪酸アルキレ
ンオキシド付加物、アルキルフェノールアルキレンオキ
シド付加物、多価アルコールと脂肪族アルコールの部分
エーテル化物、多価アルコールと脂肪酸の部分エステル
化物、アミノアルコールなどを挙げることができる。本
発明において、アルコールの残基を形成する飽和脂肪族
アルコールの炭素数は1〜30であることが好ましく、
1〜24であることがより好ましい。アルコールの残基
を形成する不飽和脂肪族アルコールの炭素数は3〜30
であることが好ましく、3〜24であることがより好ま
しい。アルコールの残基を形成する多価アルコールと脂
肪族アルコールの部分エーテル化物の炭素数は3〜30
であることが好ましく、3〜24であることがより好ま
しい。アルコールの残基を形成する多価アルコールと脂
肪酸の部分エステル化物の炭素数は3〜30であること
が好ましく、3〜24であることがより好ましい。アル
コールの残基を形成するアミノアルコールの炭素数は2
〜30であることが好ましく、2〜24であることがよ
り好ましい。これらのアルコールの炭素数が30を超え
ると、一般式[1]で表される化合物またはその塩の水
に対する親和性が低下するおそれがある。
【0007】本発明において、アルコールの残基を形成
する飽和脂肪族アルコールアルキレンオキシド付加物の
炭素数は3〜100であることが好ましく、3〜60で
あることがより好ましい。アルコールの残基を形成する
不飽和脂肪族アルコールアルキレンオキシド付加物の炭
素数は5〜100であることが好ましく、5〜60であ
ることがより好ましい。アルコールの残基を形成する飽
和脂肪酸アルキレンオキシド付加物の炭素数は3〜10
0であることが好ましく、3〜60であることがより好
ましい。アルコールの残基を形成する不飽和脂肪酸アル
キレンオキシド付加物の炭素数は5〜100であること
が好ましく、5〜60であることがより好ましい。アル
コールの残基を形成するアルキルフェノールアルキレン
オキシド付加物の炭素数は9〜100であることが好ま
しく、9〜60であることがより好ましい。これらのア
ルコールの炭素数が100を超えると、一般式[1]で
表される化合物またはその塩の防錆性能が低下するおそ
れがある。これらのアルコールの中で、炭素数1〜22
の飽和脂肪族アルコール、炭素数3〜22の不飽和脂肪
族アルコールおよび炭素数3〜60の脂肪族アルコール
エチレンオキシド付加物を特に好適に使用することがで
きる。このようなアルコールの具体例としては、例え
ば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロ
パノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、
オクタノール、2−エチルヘキサノール、ノナノール、
デカノール、ドデカノール、トリデカノール、テトラデ
カノール、ヘキサデカノール、オクタデカノール、アイ
コサノールなどの飽和脂肪族アルコール、これらの飽和
脂肪族アルコールのエチレンオキシド1〜20モル付加
物、アリルアルコール、メタリルアルコール、ブテニル
アルコール、オクテニルアルコール、オクタデセニルア
ルコールなどの不飽和脂肪族アルコールおよびこれらの
不飽和脂肪族アルコールのエチレンオキシド1〜20モ
ル付加物などを挙げることができる。
【0008】一般式[1]における有機基置換アミノ基
の有機基としては、例えば、炭素数1〜24、好ましく
は1〜18の脂肪族炭化水素基、炭素数6〜24、好ま
しくは6〜18の芳香族炭化水素基、炭素数2〜24、
好ましくは2〜18のヒドロキシアルキル基などを挙げ
ることができる。またアミノ基に有機基が2個置換して
いる場合は、2個の有機基はたがいに同一であってもよ
いし、異なっていてもよく、さらに互いに結合して環構
造を形成していてもよい。このような有機基置換アミノ
基を形成する有機アミンとしては、例えば、メチルアミ
ン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘ
キシルアミン、オクチルアミン、2−エチルヘキシルア
ミン、デシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミ
ン、テトラデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタ
デシルアミン、オクタデセニルアミンなどの脂肪族第一
アミン、ジメチルアミン、メチルエチルアミン、ジエチ
ルアミン、エチルヘキシルアミン、ジオクチルアミン、
ジドデシルアミン、ジオクタデシルアミン、メチルオク
タデセニルアミン、ジオクタデセニルアミンなどの脂肪
族第二アミン、アニリンなどの芳香族アミン、エタノー
ルアミン、ジエタノールアミン、イソプロパノールアミ
ン、ジイソプロパノールアミンなどのアルカノールアミ
ンなどを挙げることができる。これらの有機アミンの中
で、脂肪族アミンを特に好適に使用することができる。
一般式[1]で表される化合物は、それ自体が水系金属
加工油剤成分として十分な潤滑性と防錆性を示すが、さ
らに塩基性化合物で中和して塩とすることにより、親水
性、潤滑性、防錆性が一層向上する。本発明において
は、一般式[1]で表される化合物の塩として、金属
塩、アンモニウム塩および有機アミン塩を用いることが
できる。一般式[1]で表される化合物中のX1、X2
よびX3の2個以上が水酸基である場合、すなわち、一
般式[1]で表される化合物が2個以上のカルボキシル
基を有している場合、2個以上のカルボキシル基の塩は
互いに同一の塩であってもよいし、異なる塩であってて
もよい。また塩を構成する金属カチオンまたは有機アミ
ンが2価以上の場合には、カチオンまたはアミン1個が
一般式[1]で表される化合物の同一分子内の複数のカ
ルボン酸アニオンと塩を形成してもよいし、一般式
[1]で表される化合物の複数の分子のそれぞれのカル
ボン酸アニオンと塩を形成し、複数の分子を架橋する構
造となっていてもよい。
【0009】本発明において、金属塩を構成する金属と
しては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウムなど
のアルカリ金属、マグネシウム、カルシウム、バリウム
などのアルカリ土類金属、亜鉛、アルミニウム、鉄、コ
バルト、ニッケル、銅、錫などを挙げることができる。
これらの金属の中で、アルカリ金属、アルカリ土類金
属、亜鉛、アルミニウムを特に好適に使用することがで
きる。本発明において、有機アミン塩を構成する有機ア
ミンは、炭素数1〜30であることが好ましく、炭素数
1〜22であることがより好ましい。有機アミンの炭素
数が30を超えると、工業的に入手が困難な上、親水性
が極端に低下する。このような有機アミンとしては、例
えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、
ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、2−
エチルヘキシルアミン、デシルアミン、ドデシルアミ
ン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ヘキサデ
シルアミン、オクタデシルアミン、オクタデセニルアミ
ンなどの脂肪族第一アミン、ジメチルアミン、メチルエ
チルアミン、ジエチルアミン、エチルヘキシルアミン、
ジオクチルアミン、ジドデシルアミン、ジオクタデシル
アミン、メチルオクタデセニルアミン、ジオクタデセニ
ルアミンなどの脂肪族第二アミン、アニリンなどの芳香
族アミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ト
リエタノールアミン、イソプロパノールアミン、ジイソ
プロパノールアミン、トリイソプロパノールアミンなど
のアルカノールアミン、モルホリン、ピリジン、ピロリ
ジン、ピペリジンなどの複素環式アミン、エチレンジア
ミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミ
ン、ヘキサメチレンジアミンなどの脂肪族ポリアミンな
どを挙げることができる。これらの有機アミンの中で、
アルカノールアミンおよびモルホリンを特に好適に使用
することができる。
【0010】一般式[1]で表される化合物の塩は、一
般式[1]で表されるカルボキシアルキルチオコハク酸
誘導体と金属の水酸化物、炭酸塩、酸化物、アンモニア
または有機アミンなどの塩基性化合物とを、0〜120
℃、好ましくは20〜100℃において、必要に応じて
水の存在下に、撹拌、混合して、中和反応させることに
より、容易に得ることができる。一般式[1]で表され
る化合物と塩基性化合物との反応モル比は、一般式
[1]で表される化合物が有するカルボキシル基1当量
に対して塩基性化合物2当量以下であることが好まし
く、0.5〜1.5当量であることがより好ましい。一般
式[1]で表される化合物の中和度は、残余の遊離のカ
ルボキシル基が存在しない完全中和であってもよいし、
残余の遊離のカルボキシル基が存在する部分中和であっ
てもよい。本発明に使用する一般式[1]で表される化
合物の製造方法については特に制限はなく、いかなる方
法によって製造してもよいが、一例を挙げると、無水マ
レイン酸にメルカプトカルボン酸をマイケル付加反応に
よって付加して、カルボキシアルキルチオ無水コハク酸
を得、このカルボキシアルキルチオ無水コハク酸を加水
分解してトリカルボン酸としてそのまま利用するか、ま
たは、このカルボキシアルキルチオ無水コハク酸分子中
のカルボキシル基が少なくとも1個は残存するように計
算された量のアルコール、アンモニアまたは有機アミン
とを0〜250℃、好ましくは20〜220℃で反応し
て開環反応を行い、さらに必要ならば脱水しながら縮合
反応を行い、部分エステル化物または部分アミド化物と
する方法がある。本発明の水系金属加工油剤は、一般式
[1]で表される化合物またはその塩を必須成分とし、
必要に応じて、各種の添加剤、例えば、pH調整剤、油性
向上剤、極圧添加剤、防錆剤、防腐・防かび剤などを、
潤滑性、防食性などの諸性能を損なわない範囲内で添加
することができる。本発明の水系金属加工油剤は、これ
らの成分を水に溶解または分散させた溶液または分散
液、すなわちクーラントとして、金属材料の、圧延、プ
レス、延伸、切削、研削などの水系金属加工用として、
好ましくは水系切研削油剤として使用に供される。クー
ラントにおいては、一般式[1]で表される化合物また
はその塩の濃度としては、通常0.5〜50重量%であ
ることが好ましく、1〜40重量%であることがより好
ましく、2〜35重量%であることがさらに好ましく、
3〜30重量%であることが特に好ましい。本発明の水
系金属加工油剤を適用する被加工材料である金属の種類
には特に制限はないが、本発明の水系金属加工油剤の潤
滑性、防錆性、両性金属に対する防食性などの諸特性を
十分に生かすためには、鉄および鉄系合金、銅および銅
系合金、アルミニウムおよびアルミニウム系合金、亜鉛
および亜鉛系合金用加工油剤として特に好適に使用する
ことができる。
【0011】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限
定されるものではない。なお、実施例および比較例にお
いて、水系金属加工油剤としての性能評価は下記の方法
により行った。 (1)潤滑性試験(耐圧荷重試験) 曽田式4球試験機を用い、防衛庁暫定規格NDS XX
K2740油膜強度試験法に準拠し、各試料の耐圧荷重
を測定した。試料の供給は、スプレー量0.5kg/分
(圧力0.5kgf/cm2)、試料温度50℃の条件で、ギ
ヤーポンプを使用し、玉押さえで固定した3個の試験用
鋼球の下方から、試料を3個の接触点の中心の空間を通
じて上方の回転鋼球に供給する方法を用いた。判定基準
は、下記のとおりである。 ◎:耐圧荷重16kg/cm2以上 ○:耐圧荷重15kg/cm2以上〜耐圧荷重16kg/cm2
満 △:耐圧荷重14kg/cm2以上〜耐圧荷重15kg/cm2
満 ×:耐圧荷重14kg/cm2未満 (2)耐腐食性試験 試料300gを300mlのビーカーに入れ、その中にア
ルミニウム試験片(30mm×10mm×0.5mm)を釣り
糸にて完全に浸漬するようにつり下げ、24時間後に取
り出し、流水で10秒間洗浄した後に表面状態を観察し
た。判定基準は下記の通りである。 ○:腐食は見られない。 △:一部腐食している。 ×:全面が腐食している。 (3)防錆性試験(JIS K 2246準拠) FC−25鋳鉄をドライカットすることにより得られた
切り屑(8〜12メッシュ)1.5gをペトリ皿に採取
し、これに試料25mlを添加した。ペトリ皿を十分振盪
したのち、4分間静置し、ついで試料を傾斜法で除去し
た。ペトリ皿上の鋳鉄屑の錆の発生状況を、12時間後
および24時間後に観察した。判定基準は下記のとおり
である。 ◎:錆の発生なし。 ○:1〜3点の錆の発生がある。 △:4〜10点の錆の発生がある。 ×:10点を超える錆の発生がある。 (4)分散安定性試験 試料1kgを3リットルのビーカーに入れ、ホモジナイザ
ーを用いて8,000rpmで60分間撹拌した。撹拌終了
後、60分間静置した後の試料の状態を観察した。判定
基準は下記の通りである。 ○:均一に溶解または分散している。 ×:液表面に油分が分散している。 (5)洗浄性試験 試料を塗布した試験片(冷間圧延鋼板:試験片寸法27
0mm×30mm×0.8mm)を49±1℃、相対湿度90
%の雰囲気下に720時間暴露した。暴露終了後の鋼板
を60秒間室温の水中に静置したのち、流水で60秒間
洗浄を行った。流水洗浄後の水濡れ面積の大きさで洗浄
性を評価した。判定基準は下記のとおりである。 ○:試料を除去できた。(全面水濡れ) ×:試料を除去できなかった。(水をはじく部分あり) (6)酸−アルカリ防食試験 300mlのビーカー4個にそれぞれ試料各300gを入
れ、1Nの希硫酸または1Nの水酸化ナトリウム水溶液
にて、試料のpHを、4、6、8、10の各pHに調整し
た。それぞれのビーカー中にアルミニウム試験片(30
mm×10mm×0.5mm)を釣り糸にて完全に浸漬するよ
うにつり下げ、24時間後に取り出し、流水で10秒間
洗浄した後に表面状態を観察した。判定基準は下記の通
りである。 ○:全pH領域で腐食は見られない。 △:一つのpH領域で腐食が見られる。 ×:二つ以上のpH領域で腐食が見られる。 実施例1 モルホリン52.3g(0.6モル)を500gのイオン
交換水に溶解し、70℃まで昇温した。この溶液に、一
般式[1]において、Rがエチレン、X1、X2およびX
3がともに水酸基であるカルボキシエチルチオコハク酸
44.4g(0.2モル)を加え、60分間撹拌混合して
中和反応した。得られた溶液にイオン交換水を加え、溶
液全体の重量を967gとして、カルボキシエチルチオ
コハク酸モルホリン塩の10重量%水溶液を得、これを
試料Aとした。試料Aは、潤滑性試験では耐圧荷重1
4.5kg/cm2、耐腐食性試験ではアルミニウム試験片に
腐食は見られず、防錆性試験では12時間後も24時間
後も錆は発生せず、分散安定性試験では均一溶解状態を
保ち、洗浄試験では鋼板試験片は全面水濡れし、酸−ア
ルカリ防食試験では全pH域で腐食は見られなかった。 実施例2 カルボキシエチルチオ無水コハク酸204.2g(1.0
モル)にトルエン200gを加え、窒素雰囲気下、撹拌
しながら80℃まで昇温した。80℃を保持しながら、
1時間かけて、1−ヘキサデカノールのエチレンオキシ
ド15モル付加物902.5g(1.0モル)を滴下し、
その後80℃のまま3時間エステル化反応を行った。得
られた反応液は、60℃で減圧下エバポレータにて脱ト
ルエンを行い、一般式[1]において、Rがエチレン、
1が水酸基、X2、X3のいずれか一方が水酸基で他方
が1−ヘキサデカノールのエチレンオキシド15モル付
加物の残基である化合物1,106.7g(1.0モル)
を得た。この化合物150gにイオン交換水を加えて溶
解し、溶液全体の重量を1,500gとして10重量%
水溶液を得、これを試料Bとした。試料Bは、潤滑性試
験では耐圧荷重15.5kg/cm2、耐腐食性試験ではアル
ミニウム試験片に腐食は見られず、防錆性試験では12
時間後には錆は発生せず、24時間後に1点の錆の発生
があり、分散安定性試験では均一溶解状態を保ち、洗浄
試験では鋼板試験片は全面水濡れし、酸−アルカリ防食
試験では全pH域で腐食は見られなかった。 実施例3 カルボキシエチルチオ無水コハク酸204.2g(1.0
モル)にトルエン200gを加え、窒素雰囲気下、撹拌
しながら70℃まで昇温した。70℃を保持しながら、
1時間かけて、2−エチルヘキシルアミン129.3g
(1.0モル)を滴下し、その後80℃に昇温して3時
間無水環の開環アミド化反応を行った。得られた反応液
は、60℃で減圧下エバポレータにて脱トルエンを行
い、一般式[1]において、Rがエチレン、X1が水酸
基、X2、X3のいずれか一方が水酸基で他方が2−エチ
ルヘキシルアミノ基であるカルボキシエチルチオコハク
酸モノ(2−エチルヘキシル)アミド333.5g(1.0
モル)を得た。このカルボキシエチルチオコハク酸モノ
(2−エチルヘキシル)アミド166.8g(0.5モル)
と、ジエタノールアミン105.1g(1.0モル)およ
びイオン交換水1,000gを混合し、60℃で1時間
撹拌して中和を行い、その後得られた溶液にイオン交換
水を加えて溶液全体の重量を2,719gとして、カル
ボキシエチルチオコハク酸モノ(2−エチルヘキシル)ア
ミドのジエタノールアミン塩の10重量%水溶液を得、
これを試料Cとした。試料Cは、潤滑性試験では耐圧荷
重16.5kg/cm2、耐腐食性試験ではアルミニウム試験
片に腐食は見られず、防錆性試験では12時間後も24
時間後も錆は発生せず、分散安定性試験では均一溶解状
態を保ち、洗浄試験では鋼板試験片は全面水濡れし、酸
−アルカリ防食試験では全pH域で腐食は見られなかっ
た。 実施例4〜9 第1表に示すR、X1、X2およびX3を有する一般式
[1]で表される化合物および中和塩基を用い、実施例
1、2または3に準じて一般式[1]で表される化合物
の塩の10重量%水溶液を得、これらを試料D〜Iとし
た。なお、第1表において、実施例4、5、6、8およ
び9においては、実施例2と同様に合成上、実際はX2
またはX3のいずれか一方が水酸基で他方がアミノ基、
有機基置換アミノ基、ポリオキシエチレンアルキルエー
テル基またはポリオキシエチレン脂肪酸エステル基であ
る化合物の混合物が得られているが、便宜上両者を表中
の同じ欄内に示した。また、中和率100%とは、一般
式[1]で表される化合物が有するカルボキシル基と当
量の中和塩基を用いて中和したことを表し、中和率80
%とは、一般式[1]で表される化合物が有するカルボ
キシル基の80当量%の中和塩基を用いて中和したこと
を表す。試料D〜Iの水系金属加工油剤としての性能評
価結果を、試料A、BおよびCの評価結果とともに第3
表に示す。 比較例1 カルボキシエチルチオコハク酸の代わりにクエン酸を用
いた以外は、実施例1に準じた中和反応を行って、クエ
ン酸モルホリン塩の10重量%水溶液を得、これを試料
Jとした。 比較例2 カルボキシエチルチオコハク酸の代わりに2−エチルヘ
キサン酸を用いた以外は、実施例1に準じた中和反応を
行って、2−エチルヘキサン酸モルホリン塩の10重量
%水溶液を得、これを試料Kとした。 比較例3 カルボキシエチルチオ無水コハク酸の代わりに無水コハ
ク酸を用いた以外は、実施例2および3に準じたアミド
化と中和反応を行い、コハク酸モノ(2−エチルヘキシ
ル)アミドのジエタノールアミン塩の10重量%水溶液
を得、これを試料Lとした。 比較例4〜11 第2表に示す内容の水系防錆剤の10重量%水溶液(ま
たは10重量%水分散液)を得、これを試料M〜Tとし
た。試料J〜Tの水系金属加工油剤としての性能評価結
果を、第3表に示す。また、水系金属加工油剤の代わり
に、イオン交換水のみを用いて試験した結果を参考例1
として第3表に併記した。
【0012】
【表1】
【0013】
【表2】
【0014】
【表3】
【0015】第3表より明らかなように、従来の非水系
切削加工油剤(比較例6)では、潤滑性、防錆性、耐腐
食性とも優れるものの洗浄性が悪く、従来のエマルショ
ン型水系切削加工油剤(比較例7)では、分散安定性、
酸−アルカリ防食性が悪く、従来の脂肪酸塩系ソリュブ
ル型水系切削加工油剤(比較例8、9)では、防錆性に
劣り、耐腐食性および酸−アルカリ防食性が悪い。従来
の非イオン系ソリュブル型水系切削加工油剤(比較例1
0)では、耐腐食性はあるものの潤滑性、防錆性、アル
ミニウムに対する酸−アルカリ防食性が悪い。ドデシル
チオプロピオン酸塩を用いた比較例11では、潤滑性、
防錆性は有するものの、それ自身アルミニウムに対する
腐食性があり、かつアルミニウムに対する酸−アルカリ
防食性も悪い。実施例1〜9の本発明の水系金属加工油
剤は、比較例の類似構造の化合物(比較例1〜5)およ
び従来の金属加工油剤(比較例6〜10)に比べ、潤滑
性、防錆性、耐腐食性、分散安定性、洗浄性に優れ、そ
れ自身がアルミニウムを腐食しないだけでなく、pHが広
範囲で変動してもアルミニウムの腐食を防止できること
がわかる。
【0016】
【発明の効果】本発明の水系金属加工油剤は、切削加工
および研削加工に適した潤滑性、優れた防錆能力と両性
金属に対して広いpH領域で防食能力を有するとともに、
水に任意の割合で溶解または分散して、安定な溶液また
は分散液を形成するため、クーラントの液分離に関する
トラブルは起こらず、そのうえ使用後の洗浄除去性にも
優れている。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C10N 40:22

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式[1] 【化1】 (ただし、式中、Rは炭素数1〜30のアルキレン基で
    あり、X1、X2およびX3は水酸基、アルコールの残
    基、アミノ基または有機基置換アミノ基であり、X1
    2およびX3は互いに同一でも異なっていてもよいが、
    その少なくとも一つは水酸基である。)で表される化合
    物を含有してなる水系金属加工油剤。
  2. 【請求項2】一般式[1] 【化2】 (ただし、式中、Rは炭素数1〜30のアルキレン基で
    あり、X1、X2およびX3は水酸基、アルコールの残
    基、アミノ基または有機基置換アミノ基であり、X1
    2およびX3は互いに同一でも異なっていてもよいが、
    その少なくとも一つは水酸基である。)で表される化合
    物の塩を含有してなる水系金属加工油剤。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015089952A (ja) * 2013-11-06 2015-05-11 株式会社アーレスティ マグネシウム合金部材の製造方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015089952A (ja) * 2013-11-06 2015-05-11 株式会社アーレスティ マグネシウム合金部材の製造方法

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