JPH0910983A - インクジェットヘッドの製造方法 - Google Patents

インクジェットヘッドの製造方法

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JPH0910983A
JPH0910983A JP7165404A JP16540495A JPH0910983A JP H0910983 A JPH0910983 A JP H0910983A JP 7165404 A JP7165404 A JP 7165404A JP 16540495 A JP16540495 A JP 16540495A JP H0910983 A JPH0910983 A JP H0910983A
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    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J2202/00Embodiments of or processes related to ink-jet or thermal heads
    • B41J2202/01Embodiments of or processes related to ink-jet heads
    • B41J2202/10Finger type piezoelectric elements

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  • Laser Beam Processing (AREA)
  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 簡易な構成で、圧電体の表面に形成された電
極の一部を除去する際に発生する異物を、機能的に重要
な部位へ付着することを防ぐことで、安価で高品位なイ
ンクジェットヘッドの製造方法を提示することを目的と
する。 【構成】 圧電セラミックス基板1にインク室2となる
溝を多数形成し、次に溝内の全表面に電極を形成する。
そして、溝の底面に形成された電極に対して、インク室
2の溝と略平行の方向に不活性ガス19を噴射しつつ、
波長1.06μmであるYAGレーザ光10を照射し
て、溝底面の電極を除去する。これにより、溝内の電極
が分離されて、電極9が形成されると共に、レーザ加工
により生ずる溶融飛散物16を効率よく除去して、該溶
融飛散物16がインク室2の溝内部へ付着することを防
止する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、インクジェットヘッド
の製造方法に関し、さらに詳細には、圧電体に溝を形成
し、前記圧電体の表面に電極を形成する製造工程を有す
るインクジェットヘッドの製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】近年、これまでのインパクト方式の記録
装置にとってかわり、その市場を大きく拡大しつつある
ノンインパクト方式の記録装置の中で、原理が最も単純
で、かつ多階調化やカラー化が容易であるものとして、
インクジェット方式の記録装置が挙げられる。インクジ
ェットプリンタは高速印字、低騒音、高印字品質であ
り、且つ比較的簡易な構成で製造コストが低くできるな
どの利点があることから注目されている。
【0003】インクジェットプリンタに用いられるイン
クジェットヘッドには複数の方式が提案されており、中
でも記録に使用するインク滴のみを噴射するドロップ・
オン・デマンド型が、噴射効率の良さ、ランニングコス
トの安さなどから急速に普及している。
【0004】その1例としては、圧電式インクジェット
ヘッドが提案されている。これは、圧電体に複数のイン
ク室の溝が形成されており、圧電体に電圧パルスを印加
した際の圧電体の寸法変位によってインク室の容積を変
化させることができる。これにより、その容積減少時に
インク室内のインクをインク室に接続されたノズル部か
ら噴射し、容積増大時にインク室内にインクを導入する
ようにしたものである。そして、所定の位置のインク室
からインクを噴射させることにより、所望する文字や画
像を形成することが出来る。
【0005】このような圧電式インクジェットヘッドの
一例について、図6及び図7を用いて説明する。尚、こ
こで説明するヘッドはせん断モード型のものをあげる。
【0006】前記インクジェットヘッドは、圧電体であ
る圧電セラミックス基板51に、ダイシング加工等によ
って互いに平行な溝加工がなされ、インク室52が多数
形成されている。インク室52の一方の端には、ノズル
プレート53が接続されている。尚、図7(a)に示す
ように、インク室52を構成する圧電側壁57は分極方
向58が異なる2個の圧電側壁により形成されており、
圧電側壁57の表面には電極59が形成されている。ま
た、インク室52の一方の端には、ノズルプレート53
が接続され、前記ノズルプレート53にはノズル54が
形成されている。更に、インク室52が形成された圧電
セラミックス基板51の上部は、インク供給口55を有
する上部蓋56によって蓋をされている。インク室52
は、インク供給口55を経て、図示しないインク貯蔵タ
ンクに接続している。このような構成によって、インク
室52の断面形状は、圧電側壁57と上部蓋56に囲ま
れた長方形を呈することになる。
【0007】このような構成を有する従来のインクジェ
ットヘッドは、前記電極59に電圧パルスを印加する
と、図7(b)に示すように、圧電側壁57が内側へせ
ん断変形し、インク室52の内部を正圧として、インク
室52の一端に接続されたノズルプレート53上のノズ
ル54からインク液滴が噴射される。
【0008】電極59への電圧パルスの印加を断ち切る
と、圧電側壁57が、図7(a)に示す状態に復帰し、
その際の負圧にてインク室52にインク供給口55をよ
りインクが供給される。
【0009】このような構成のインクジェットヘッドに
おいては、インク室52が多数存在すると共に、インク
液滴を各々のインク室先端のノズル54から選択的に噴
射する必要がある。このため、各インク室52の圧電側
壁57の表面に形成する電極59は互いに電気的に独立
している必要がある。
【0010】電極59を形成するための方法としては、
真空蒸着、スパッタリング、或いはメッキ等の金属薄膜
形成手段を用いるのが一般的である。しかしながら、上
述のような手段によって、電気的に独立な電極を、効率
良く且つ安定的に形成するのは困難である。そこで、一
旦上述のような手段によって、圧電体の全表面に対して
電極を形成し、しかる後に電極の一部を選択的に除去す
ることにより、電気的に不連続な箇所を任意に形成する
方法が考えられている。
【0011】電極の一部を除去する方法としては、従来
ダイシング加工などの機械加工が考えられている他、最
近では、より高速で非接触の加工を可能とするレーザ加
工法が考えられている。
【0012】このような工程を含んだ従来のインクジェ
ットヘッドの製造方法の一例を、図8及び図9に示す。
【0013】レーザ発振器60から出射されたレーザ光
61は、その光路上に配置された反射鏡62によって方
向転換された後、反射鏡62の下方に配置された集光レ
ンズ63に入射する。レーザ光61は、集光レンズ63
によって集光され、集光レンズ63から所定の焦点距離
Fの位置において焦点64を形成する。
【0014】被加工物である圧電セラミックス基板51
は、精密テーブル65に装着され、集光レンズ63の下
方に配置されている。ここで、加工される部位である電
極59の表面近傍に、上述のレーザ光61の焦点64が
形成されるような位置関係である。
【0015】レーザ光61の焦点では高いパワー密度と
なるため、レーザ光61の照射を受けた電極59は、極
めて短時間で加熱され、溶融及び蒸発に至る。
【0016】以上のプロセスを、精密テーブル65の駆
動制御を行うことで、精度良く電極59の除去を行うこ
とができる。
【0017】以上の加工により、電極59が圧電セラミ
ックス基板51の表面より除去され、圧電セラミックス
基板51の表面において電気的に不連続な箇所形成する
ことができる。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のインクジェットヘッドの製造方法においては、下記
のような問題点がある。
【0019】即ち、上述の加工においては、レーザ光6
1の照射により、電極59の金属薄膜成分が溶融し、蒸
発する際に、様々な加速度ベクトルを有する金属薄膜の
溶融飛散物66が飛散する。このような溶融飛散物66
が、再び他の部位の電極59上に付着すると、付着時の
衝突エネルギーによって、溶融飛散物66が電極59に
入り込む。さらに、溶融飛散物66は、付着による熱伝
導によって急速に冷却され、再凝固する。このように付
着した溶融飛散物66は、電極59に固着しているた
め、洗浄などによって除去することも困難である。
【0020】通常のレーザ加工においては、このような
溶融飛散物によって、被加工物が大きな影響を受けるこ
とはない。しかしながら、上述のようなインクジェット
ヘッドに使用する圧電セラミックス基板においては、微
小変位を応答性良く行う必要があるため、このような異
物の付着による影響を無視できない。例えば、溶融飛散
物66の付着による電極59の汚損により、電極の電気
特性を劣化させるなどの悪影響が考えられる。また、こ
のような異物の付着による、圧電セラミックス基板の特
性への悪影響も懸念される。従って、溶融飛散物の電極
等への付着を最小限に抑える必要がある。
【0021】従来のレーザ加工においては、レーザ加工
部に発生する溶融飛散物を除去するために、一般に図1
0に示すように、集塵機に接続された集塵ノズル67に
よって吸引したり、或いは図11に示すように、レーザ
光と同軸に配置されたノズル68より気体69を噴射す
るといった方法が取られている。
【0022】しかし、集塵機による吸引は、溶融飛散物
が高速で飛散するため、溝内への溶融飛散物の付着を妨
げるほどの効果は期待できない。また、レーザ光と同軸
に配置されたノズルから気体を噴射する方法は、平面の
加工においては効果が期待できるが、本件のように溝を
有する部品を加工する場合においては、溝内への異物の
付着を妨げる効果は少なく、噴射の条件によっては溝内
への異物の堆積を促進させることも有り得る。
【0023】本発明は、上述した問題点を解決するため
になされたものであり、圧電体の表面に形成された電極
の一部を除去する際に、溶融飛散物などの異物が他部位
へ付着するのを防ぐことで、高品位なインクジェットヘ
ッドの製造方法を提示することを目的とする。
【0024】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に本発明のインクジェットヘッドの製造方法において
は、少なくとも一部が圧電セラミックスで形成された側
壁と、前記側壁に隔てられた複数の溝と、前記溝の一方
の側面である側壁に形成された第一電極と、前記溝の他
方の側面である側壁に形成された第二電極とを有するア
クチュエータ部材と、前記アクチュエータ部材の前記溝
を塞ぐカバー部材とを備えたインクジェットヘッドを製
造する手法であって、前記アクチュエータ部材の前記溝
が形成された表面に電極を形成する第一工程と、前記溝
の略平行である方向に気体を噴射させながら、前記表面
に形成された電極に対して高エネルギービームを照射し
て、前記電極の一部を選択的に除去する第二工程とを有
する。
【0025】尚、前記気体は、前記溝の一方の端から前
記溝の内部に導入されてもよい。
【0026】尚、前記気体は、不活性ガスであってもよ
い。
【0027】尚、前記第二工程で、前記溝の底面に形成
された電極を除去してもよい。
【0028】尚、前記高エネルギービームは、1.06
μmの波長を有するYAGレーザ光であってもよい。
【0029】尚、前記高エネルギービームは、532n
mの波長を有するYAGレーザ光であってもよい。
【0030】尚、前記高エネルギービームの最小径は前
記溝の幅よりも小さくてもよい。
【0031】尚、前記高エネルギービームは、前記アク
チュエータ部材に対して毎秒100mm以上の速度で相
対的に移動してもよい。
【0032】
【作用】上記の構成を有する本発明の請求項1に係わる
インクジェットヘッドの製造方法によれば、圧電体の溝
と略平行な方向に気体を噴射しつつ、高エネルギービー
ムを照射することで、ビーム光を電極に照射した際に発
生する溶融飛散物を前記気体によって滞りなく溝内から
効果的に除去する。
【0033】また、請求項2に係わるインクジェットヘ
ッドの製造方法によれば、アクチュエータ部材の溝内の
端々へに効率よく気体を流すことができる。
【0034】請求項3に係わるインクジェットヘッドの
製造方法によれば、不活性ガスを噴射するため、レーザ
光を電極に照射した際に生ずる酸化反応などを抑制する
ことができる。よって、電極及び圧電セラミックスの特
性を損ねることが無い。
【0035】請求項4に係わるインクジェットヘッドの
製造方法においては、前記第二工程で、前記溝の底面に
形成された電極を除去することにより、側壁全面を覆う
前記第一電極及び前記第二電極が分離・形成される。
【0036】請求項5に係わるインクジェットヘッドの
製造方法においては、高いパワー密度を有する波長1.
06μmのYAGレーザ光により、溝内表面の電極が速
やかに除去される。
【0037】請求項6に係わるインクジェットヘッドの
製造方法においては、532nmの波長を有するYAG
レーザ光により、溝内表面の電極が除去される。よっ
て、高いパワー密度を有すると共にスポット径の小さい
レーザ光を用いるため、加工速度が速く且つ高精度に電
極を分離形成できる。従って、ヘッドの高集積化にも対
応して電極の分離加工が行える。
【0038】請求項7に係わるインクジェットヘッドの
製造方法においては、前記溝の幅よりも小さい前記高エ
ネルギービームの最小径部分で、溝内表面の電極が除去
される。よって、より細密な電極のパターニングが行え
る。
【0039】請求項8に係わるインクジェットヘッドの
製造方法においては、前記高エネルギービームが、前記
アクチュエータ部材に対して、毎秒100mm以上の速
度で相対移動することにより、前記電極の一部を選択的
に除去して、溝内表面の電極を電気的に分離する。走査
が毎秒100mm以上の高速であるので、圧電セラミッ
クスへの入熱が最低限かつ局部的であり、圧電セラミッ
クスの特性変化に影響を及ぼさない。
【0040】
【実施例】以下、本発明を具体化した一実施例を図面を
参照して詳細に説明する。
【0041】最初に、図1から図3を参照して、本発明
のインクジェットヘッドの構成ならびに製造方法の一例
を説明する。
【0042】図3に示すように、圧電体である圧電セラ
ミックス基板1には、互いに平行なインク室2となる溝
が多数形成されて、溝の側壁であり、且つ各溝を隔てる
圧電側壁7が形成されている。圧電セラミックス基板1
の溝加工側の面(図3では上面)に、インク供給口5を
有する蓋6が接着されて、前記溝がインク室2となる。
そのインク室2の一方の端にノズル4が対応するよう
に、ノズルプレート3が圧電セラミックス基板1及び蓋
6の一端面に接着されている。また、インク室2は、イ
ンク供給口5を経て、図示しないインク貯蔵タンクに接
続されている。
【0043】このような構成によって、インク室2の断
面形状は、圧電側壁7と上部蓋6に囲まれた長方形を呈
することになる。また、圧電側壁7は分極方向8が互い
に反対方向である2個の圧電部により構成されており、
圧電側壁7の表面には電極9が形成されている。各電極
9は、圧電セラミックス基板1の上面に形成されたパタ
ーン(図示せず)に接続されており、パターンは図示し
ないフレキシブル基板を介して制御部に接続されてい
る。
【0044】上述の構成のインクジェットヘッドは、以
下に示す製造方法によって形成される。
【0045】まず、互いに分極方向が反対方向である圧
電層を接着した圧電セラミックス基板1に、互いに平行
なインク室2となる溝を多数形成する。溝を形成する手
段として、所望のインク室溝幅を形成できる厚みを有す
るダイヤモンドブレードを使用し、ダイシング加工によ
り前記溝を形成する。
【0046】次に、真空蒸着、スパッタリング、或いは
メッキ等の金属薄膜形成手段によって、圧電セラミック
ス基板1の表面に電極9が形成される。この際、溝内の
全表面及び圧電側壁7の上端表面にも電極9が形成され
る。なお、電極の形成が不要な部分が広範囲に及ぶ場
合、別途レジスト膜を塗布した後、電極を前述のような
手段で形成し、しかる後にリフトオフ法によって不要な
部分の電極を化学的に除去する方法を施す場合もある。
【0047】次に、インク室2である溝の底面に形成さ
れた電極9に対して、高エネルギービームであるYAG
レーザ光10を照射し、前記電極9を除去する。この
時、インク室2の一端で、ノズルプレート3の接続され
る開口端17より、不活性ガス19を導入する。この不
活性ガス19により、YAGレーザ光10を電極9に照
射した際に発生する溶融飛散物16がインク室2の内部
に付着するのを防止する。
【0048】以下、図1及び図2を参照して、本発明の
インクジェットヘッドの製造方法における電極除去の一
例を詳述する。
【0049】YAG(イットリウム・アルミニウム・ガ
ーネット)レーザ発振器11から出射された、波長1.
06μm(マイクロ・メートル)のYAGレーザ光10
は、その光路上に配置された反射ミラー12に入射した
後、方向転換されて、反射ミラー12の下方に配置され
たf・θレンズ13に入射する。YAGレーザ光10
は、f・θレンズ13によって集光され、f・θレンズ
13から所定の焦点距離Fの位置において焦点14を形
成する。
【0050】反射ミラー12の一端には、ガルバノメー
タ21及びその制御装置22が接続されており、これら
によって反射ミラー12を高速で揺動することができ
る。
【0051】被加工物である圧電セラミックス基板1
は、精密テーブル15に装着され、f・θレンズ13の
下方に配置されている。ここで、加工される部位である
インク室2である溝の底面に形成された電極9の近傍
に、上述のYAGレーザ光10の焦点14が位置するよ
うに、圧電セラミックス基板1は配置される。
【0052】YAGレーザ光10の焦点においては、一
般にレーザ光のスポット径が0.1mm以下となり、高
いパワー密度を得ることができる。この高いパワー密度
のYAGレーザ光10の照射を受けた電極9は、極めて
短時間で加熱され、蒸発に至る。電極9の金属薄膜成分
である溶融飛散物16は、蒸発の際の蒸気圧によって、
上方など様々な方向へ飛散する。
【0053】溝形状であるインク室2の一端で、ノズル
プレート3の接続が予定される開口端17の近傍にガス
噴射ノズル18を設け、開口端17からインク室2の内
部に不活性ガス19を導入できるようになっている。こ
こで、不活性ガス19はAr(アルゴン)ガスであり、
ガス噴射ノズル18に接続された図示されないガスボン
ベから供給されるものである。前述の溶融飛散物16
は、インク室2の内部に導入された前記不活性ガス19
により、インク室2の外部へ速やかに除去される。これ
により、溶融飛散物16が、機能的に重要な部位である
インク室2の溝内部へ付着することを防ぐことができ
る。特に、不活性ガスを噴射するため、レーザ光を電極
9に照射した際に生ずる酸化反応などを抑制することが
できる。よって、電極及び圧電セラミックスの特性を損
ねることが無い。尚、YAGレーザ光10は、電極9に
対して略垂直に入射する。従って、不活性ガス19の噴
射方向は、前記インク室2の溝と略平行であり、かつ前
記YAGレーザ光10と略垂直な方向である。
【0054】そして、反射ミラー12の揺動によって、
インク室2となる溝の長手方向に高速に走査しながら、
YAGレーザ光10を照射させることにより、1つの溝
底面の電極除去加工が完了する。その後、精密テーブル
15が、溝の長手方向と垂直方向に、溝中心間の距離だ
け移動し、隣の溝底面を加工する。以後、上記のプロセ
スの繰り返しにより、複数の溝底面に形成された電極の
加工を完了する。
【0055】以上の加工により、電極9が圧電セラミッ
クス基板1の表面より除去され、圧電セラミックス基板
1の表面において電気的に不連続な箇所形成することが
できる。また、上記反射ミラー12及び精密テーブル1
5の駆動を制御することにより、所望の除去パターンを
容易に得ることができる。
【0056】なお、上記YAGレーザ光10の走査は、
毎秒100mm以上の高速であるが、電極の除去に必要
な最低限の入熱量で加工することが可能である。また、
毎秒100mm以上の高速であるので、圧電セラミック
ス基板1への入熱が最低限かつ局部的であり、圧電セラ
ミックス基板1の特性変化に及ぼす影響は無視できる程
度である。
【0057】また、上記YAGレーザ光10の最小径
が、加工するインク室2となる溝幅よりも小さくなるよ
うに、f・θレンズ13の焦点距離Fなどを選択して、
溝底面以外にYAGレーザ光10が照射される不都合を
防いで、圧電側壁7の特性変化を防止する。
【0058】そして、圧電セラミックス基板1の溝加工
側の面(図2では上面)に、インク供給口5を有する蓋
6が接着されて、インク室2が形成される。そのインク
室2の一方の端にノズル4が対応するように、ノズルプ
レート3が圧電セラミックス基板1及び蓋6の一端面に
接着される。
【0059】次に、図4に示す圧電式インクジェットヘ
ッドの断面図を用いて、該インクジェットヘッドのイン
ク噴射の動作を説明する。
【0060】インクジェットヘッドにおいて、与えられ
た印字データに従って、例えばインク室2bが選択され
ると、金属電極9a,9dに正の駆動電圧が印加され、
金属電極9b,9c及びその他のインク室に対応する金
属電極は接地される。これにより圧電側壁7aには図中
右方向へ向かう駆動電界が、側壁7bには図中左方向へ
向かう駆動電界が発生する。このとき各々の駆動電界方
向と圧電セラミックスプレートの分極方向8とが直交し
ているため、側壁7a及び7bは圧電厚みすべり効果に
よって、圧電セラミックスプレートの接合部で屈曲する
ようにインク室2bの内部方向に急速に変形する(図4
(b)参照)。
【0061】これらの変形によりインク室2bの容積が
減少してインク室2bのインク圧力が急速に増大し、圧
力波が発生して、インク室2bに連通するノズル(図示
しない)からインク液滴が噴射される。
【0062】また、駆動電圧の印加を停止すると、側壁
7a及び7bが変形前の位置(図4(a)参照)に戻る
ため、インク室2b内のインク圧力が低下し、インク供
給口5からマニホールドを通してインク室2b内にイン
クが供給される。
【0063】但し、上記の動作は基本動作に過ぎず、製
品として具体化される場合には、まず駆動電圧を容積が
増加する方向に印加し、先にインク室2bにインクを供
給させた後に駆動電圧の印加を停止して、側壁7a,7
bを変形前の位置(図4(a)参照)に戻してインク液
滴を噴射させることもある。さらにインク液滴噴射後に
インク室内の圧力波を減衰させるためにキャンセルパル
スと呼ばれる駆動電圧パターンをしかるべき時間の後に
付随させることもある。
【0064】このような構成のインクジェットヘッドで
は、隣接する2つのインク室2に連通する2つのノズル
から同時にインク液滴を噴射することができないため、
例えば、左端から奇数番目のインク室2a,2cに連通
するノズルからインク液滴を噴射した後、偶数番目のイ
ンク室2bに連通するノズルからインク液滴を噴射し、
次に再び奇数番目からインク液滴を噴射するというよう
に、インク室2及びノズルを2つのグループに分割して
インク液滴の噴射を行う。さらに、インク室2及びノズ
ルを3つ以上のグループに分割してインク液滴の噴射を
行うこともある。
【0065】このように、本実施例の圧電式インクジェ
ットプリンタの製造方法においては、上記の通りレーザ
加工により容易に且つ精密にインク室2に対応した電極
9を分割形成すると共に、レーザ加工により生ずる溶融
飛散物16を効率よく除去して、該溶融飛散物16がイ
ンク室2の溝内部へ付着することを防止でき、高品位な
インクジェットヘッドを作製する。
【0066】尚、本発明は、上述した実施例に限定され
るものでなく、その主旨を逸脱しない範囲に於て種々の
変更を加えることが出来る。
【0067】例えば、図5に示すように、インク室2の
溝内部以外の部位を加工するような場合でも本発明は有
効である。特に、図示の圧電側壁7の上端部のように、
加工部の近傍にインク室2の溝が存在するような場合に
おいては好適である。つまり、不活性ガス19の噴射に
より、溶融飛散物16がインク室2の溝内部へ飛散して
溝部にて付着や堆積することを防止させ、機能的に重要
な部位への異物の干渉を防ぐことができる。
【0068】また、導入する気体としては、Ar,N
e,He等の不活性ガスの代わりに、レーザ光を照射し
た部位への酸化反応などの影響が無視できる場合には、
乾燥エアや炭酸ガスなどを使用することもでき、加工コ
ストを大幅に低減することができる。
【0069】また、レーザ加工装置において、走査方向
の異なる2つの反射ミラーを使用することで、上述の実
施例中で精密テーブル15によって移動していた部分の
走査を補うことができる。この結果、精密テーブル15
は不要となる。また、反射ミラー12によるYAGレー
ザ光10の走査を行なわず、精密テーブル15の移動の
みで、YAGレーザ光10と圧電セラミックス基板1と
を相対的に移動させて加工してもよい。更に、反射ミラ
ー12によるYAGレーザ光10の走査のみによってY
AGレーザ光10と圧電セラミックス基板1とを相対的
に移動さるのではなく、反射ミラー12によるYAGレ
ーザ光10の走査と精密テーブル15の移動との両方を
用いて、YAGレーザ光10と圧電セラミックス基板1
とを相対的に移動させて加工してもよい。
【0070】また、レーザ光等の高エネルギービームの
種類や、光学系等のビーム集束条件などは、除去加工を
施す部位の寸法に応じて、適宜選択すれば良い。例え
ば、YAGレーザの標準波である波長1.06μm(マ
イクロ・メートル)のレーザ光を用い、シングルモード
(ガウシアンモード)によって、焦点距離150mmの
f・θレンズを用いた場合、その最小スポット径は、お
よそ60から80μmとなる。より短い焦点距離のf・
θレンズを用いれば、最小スポット径をさらに小さくす
ることができる。YAGレーザの第2高調波である波長
532nm(ナノ・メートル)のYAGレーザ光を用い
れば、最小スポット径を40μm以下にすることができ
る。従って、将来の部品の高集積化にも対応可能である
ことは言うまでもない。
【0071】また、本実施例のインクジェットヘッドで
は、インク室2が圧電側壁7を挟んで隣接していたが、
各インク室の両側にインクが供給されない非噴射領域を
設けてもよい。例えば、インク室の内表面に形成される
電極が分離されていなくて電気的に接続されており、非
噴射領域の内表面に形成される電極を分離するようなも
のでもよい。
【0072】また、本実施例では、圧電側壁7は、分極
方向が互いに反対方向である2層の圧電層から構成され
ていたが、非圧電層と圧電層とからなる圧電側壁7であ
ってもよい。
【0073】
【発明の効果】以上説明したことから明かなように本発
明のインクジェットヘッドの製造方法によれば、インク
室の溝が形成された圧電セラミックス基板表面の電極に
対してレーザ光を照射しつつ、インク室の溝と略平行の
方向に不活性ガスを噴射する。これにより、レーザ光を
電極に照射した際に生じる溶融飛散物を、インク室内か
ら効率よく除去する。その結果、圧電セラミックス基板
上において機能的に重要な部位であるインク室の溝内部
への異物の付着を防止することができる。また、このた
めの構成は比較的簡易なものである。
【0074】以上の結果、安価で高品位のインクジェッ
トヘッドを製造することができるといった、産業上著し
い効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例のインクジェットヘッドの製
造方法を示す概略図である。
【図2】前記実施例のインクジェットヘッドの製造方法
における電極分離工程を示す概略図である。
【図3】本発明の一実施例のインクジェットヘッドを示
す斜視図である。
【図4】前記実施例のインクジェットヘッドの動作を示
す断面図である。
【図5】本発明のインクジェットヘッドの製造方法の別
の一例を示す概略図である。
【図6】従来のインクジェットヘッドを示す斜視図であ
る。
【図7】従来のインクジェットヘッドの動作を示す断面
図である。
【図8】従来のインクジェットヘッドの製造方法の電極
分離工程を示す概略図である。
【図9】従来のインクジェットヘッドの製造方法を示す
説明図である。
【図10】従来のインクジェットヘッドの製造方法の別
の一例を示す説明図である。
【図11】従来のインクジェットヘッドの製造方法の別
の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
1 圧電セラミックス基板 2 インク室 7 圧電側壁 9 電極 10 YAGレーザ光 15 精密テーブル 16 溶融飛散物 17 開口端 18 ガス噴射ノズル 19 不活性ガス

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも一部が圧電セラミックスで形
    成された側壁と、前記側壁に隔てられた複数の溝と、前
    記溝の一方の側面である側壁に形成された第一電極と、
    前記溝の他方の側面である側壁に形成された第二電極と
    を有するアクチュエータ部材と、前記アクチュエータ部
    材の前記溝を塞ぐカバー部材とを備えたインクジェット
    ヘッドの製造方法において、 前記アクチュエータ部材の前記溝が形成された表面に電
    極を形成する第一工程と、 前記溝の略平行である方向に気体を噴射させながら、前
    記表面に形成された電極に対して高エネルギービームを
    照射して、前記電極の一部を選択的に除去する第二工程
    とを有することを特徴とするインクジェットヘッドの製
    造方法。
  2. 【請求項2】 前記気体は、前記溝の一方の端から、前
    記溝の内部に導入されることを特徴とする請求項1記載
    のインクジェットヘッドの製造方法。
  3. 【請求項3】 前記気体は、不活性ガスであることを特
    徴とする請求項1記載のインクジェットヘッドの製造方
    法。
  4. 【請求項4】 前記第二工程で、前記溝の底面に形成さ
    れた電極を除去することを特徴とする請求項1に記載の
    インクジェットヘッドの製造方法。
  5. 【請求項5】 前記高エネルギービームは、1.06μ
    mの波長を有するYAGレーザ光であることを特徴とす
    る請求項1乃至4のいずれかに記載のインクジェットヘ
    ッドの製造方法。
  6. 【請求項6】 前記高エネルギービームは、532nm
    の波長を有するYAGレーザ光であることを特徴とする
    請求項1乃至4のいずれかに記載のインクジェットヘッ
    ドの製造方法。
  7. 【請求項7】 前記高エネルギービームの最小径は、前
    記溝の幅よりも小さいことを特徴とする請求項1乃至6
    のいずれかに記載のインクジェットヘッドの製造方法。
  8. 【請求項8】 前記高エネルギービームは、前記アクチ
    ュエータ部材に対して毎秒100mm以上の速度で相対
    的に移動することを特徴とする請求項1乃至7のいずれ
    かに記載のインクジェットヘッドの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US6959471B2 (en) 1998-11-14 2005-11-01 Xaar Technology Limited Method of manufacturing a droplet deposition apparatus

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