JPH09105807A - レーザ用反射鏡の製造方法 - Google Patents

レーザ用反射鏡の製造方法

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JPH09105807A
JPH09105807A JP7264166A JP26416695A JPH09105807A JP H09105807 A JPH09105807 A JP H09105807A JP 7264166 A JP7264166 A JP 7264166A JP 26416695 A JP26416695 A JP 26416695A JP H09105807 A JPH09105807 A JP H09105807A
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JP
Japan
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substrate
reflecting mirror
film
laser
reflecting
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Withdrawn
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JP7264166A
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English (en)
Inventor
Takeshi Okada
岡田  健
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Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Electric Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 レーザ用反射鏡の基板上に、付着力が高く、
剥離を起こさない膜を形成することのできるレーザ用反
射鏡の製造方法を提供する。 【解決手段】 この製造方法は、不活性ガス、水素ガス
またはそれらの混合ガスからなる0.1〜100mTo
rrの雰囲気下で反射鏡基板6にバイアス電圧を印加す
ることにより放電処理を行なって、反射鏡基板の表面を
清浄にする工程と、清浄にされた反射鏡基板の表面に、
反射膜を形成する工程とを備えている。上述の放電処理
の際には、反射鏡基板6がターゲットとなってスパッタ
リングが起こっていることになり、この処理により、基
板上に付着している不純物を除去させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、可視レーザ、また
はCOレーザやCO2 レーザなどの赤外レーザのような
レーザ装置に使用されるレーザ用反射鏡の製造方法に関
し、特に、均一かつ強力な付着力を有する反射膜を基板
上に形成させてレーザ用反射鏡を製造する方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】レーザ装置に使用される反射鏡は、鏡面
加工した反射鏡基板上に反射膜をコーティングして製造
することができる。特公平7−15523号公報は、鏡
面加工された銅または銅合金からなる反射鏡基板上に、
モリブデンの薄膜を形成してレーザ用反射鏡を製造する
ことを開示する。
【0003】このような製造方法において、コーティン
グを施すための基板表面は、清浄である必要がある。基
板表面を清浄にする方法として、真空チャンバ内で基板
を加熱し、基板表面の吸着ガス等を離脱させる方法が一
般的に実施される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、加熱処理では
洗浄不良によるシミや汚れの残滓を十分に除去すること
ができず、また、基板が銅などの酸化しやすい材料の場
合、基板表面に形成された酸化膜を除去するまでの能力
は持たない。基板にこのような汚れ等が付着してる場
合、このような部分に対するコーティング膜の付着力は
格段に低くなる。したがって、コーティングの前処理と
して基板に加熱処理を施す場合、基板上に上述のような
コーティング材料の付着力の格段に低い部分が存在する
ことから、基板上の膜が剥離を起こしやすいという問題
があった。また、コーティングの前処理として加熱処理
を施す場合、反射鏡基板がしばしば熱歪みにより変形す
ることがあり、それにより反射鏡の集光特性が低下する
という問題もあった。
【0005】本発明の目的は、レーザ用反射鏡の製造方
法において、付着力が高く、剥離を起こさない膜を基板
に形成することのできる方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明によるレーザ用反
射鏡の製造方法は、反射鏡基板上に反射膜を形成して反
射膜とするレーザ用反射鏡の製造方法である。この製造
方法は、不活性ガス、水素ガスまたはそれらの混合ガス
からなる0.1〜100mTorrの雰囲気下で反射鏡
基板にバイアス電圧を印加することにより放電処理を行
なって、反射鏡基板の表面を清浄にする工程と、清浄に
された反射鏡基板の表面に、反射膜を形成する工程とを
備えている。
【0007】反射膜基板は、銅または銅合金からなると
することができる。また、上述の反射膜は、金属、誘電
体、あるいはそれらの積層膜であることが好ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明のレーザ用反射鏡の製造方
法において、反射鏡基板の前処理として、基板に対して
放電処理を施す。この放電処理は、たとえば、以下のよ
うにして行なうことができる。
【0009】まず、RF電力等の電力を、処理を施そう
とする反射鏡基板に対して投入できる装置、たとえばマ
グネトロンスパッタ装置の真空チャンバ内に、反射鏡基
板を設置する。この反射鏡基板は、たとえば無酸素銅等
の銅製のものとすることができる。また、反射鏡基板に
は、たとえば精密加工等により、その表面が鏡面仕上げ
されたものが用いられる。
【0010】次に、真空チャンバを真空排気した後、不
活性ガス、水素ガスまたはそれらの混合ガスを導入す
る。このとき導入されるのは不活性ガスと水素ガスの混
合ガスが好ましいが、これに限定されるものではない。
また、導入されるガスの全圧は、0.1〜100mTo
rrであることが好ましい。0.1mTorrに満たな
いと、放電処理の際の放電が不可能となり、100mT
orrを超えると異常放電が起こり、放電処理を行なう
際の投入電力等の他の条件のコントロールが困難となる
からである。
【0011】その後で、反射鏡基板に対して、RF電力
等を投入することによりバイアス電圧を印加し、放電処
理を行なう。この場合の電力は、60〜2400Wが好
ましい。この範囲の投入電力が好ましいのは、60Wに
満たないと、放電が不可能であり、2400Wを超える
と、基板表面に荒れが生じるからである。放電によって
発生したプラズマ中では、ガス粒子がイオン化する。ガ
スイオンは、クーロン引力でバイアス電圧が印加されて
いる基板に衝突する。このスパッタ現象によって、基板
上の吸着ガスのみならず、酸化膜、水分あるいはシミ、
汚れなどまで除去され、清浄な基板表面が創成できる。
【0012】以上説明したような方法によって得られた
清浄な基板表面上にコーティングされた反射膜は、基板
表面全体にわたって強力な膜付着力を有するようにな
る。また、以上説明したような方法により基板表面を清
浄にすれば、基板の変形(熱による変形)を防ぐことが
できる。
【0013】
【実施例】以下、本発明に従って、反射鏡基板へのコー
ティング前処理を施し、反射鏡を製造した一例を示す。
【0014】図1は、放電処理およびマグネトロンスパ
ッタ法によるコーティングを行なうためのマグネトロン
スパッタ装置の一例を示す概略図である。
【0015】このマグネトロンスパッタ装置において、
ガス導入口7および真空排気口8を有する真空チャンバ
1内には、コーティング原料が取付けられた陰極2、シ
ャッタ3、基板ホルダ4およびシールド5が設けられて
いる。基板ホルダ4上には、反射鏡基板6が設置され
る。陰極2は、DC電源10に接続され、基板ホルダ4
は、RF電源9に接続される。
【0016】以下、このような装置を用いて反射鏡基板
の表面を放電処理により清浄にし、次いで、清浄にした
基板表面上にコーティングを施して反射鏡を製造してい
くプロセスを具体的に示す。
【0017】(実施例1)図1に示すように、鏡面加工
した無酸素銅製の反射鏡基板6(直径1〜4インチφの
平板)を真空チャンバ1内の基板ホルダ4上に配置し
た。その後、真空チャンバ1内の排気を行なった。続い
て、ガス導入口7より、アルゴンガス80%、水素ガス
20%の混合ガスを導入し、真空チャンバ1内のガス圧
を0.1〜100mTorr域で制御した。そして、反
射鏡基板6にRF電源9から60〜2400WのRF電
力を投入することによって反射鏡基板6の放電処理を行
なった。実質的には、反射鏡基板6がターゲットとなっ
てスパッタリングが起こっていることになり、これによ
り基板上に付着している不純物を除去させた。
【0018】このようにして、反射鏡基板6の放電処理
を行なった後、反射鏡基板6に対するRF電力の投入を
停止し、水素ガスの導入を停止した。
【0019】その後、コーティング原料の一例としてモ
リブデンが取付けられた陰極2にDC電極10によって
DC電力を投入した。モリブデンがスパッタされ始めて
しばらくしてからシャッタ3を開け、基板へのモリブデ
ンのコーティングを開始した。モリブデンがスパッタさ
れ始めてからしばらくしてからシャッタ3を開けたの
は、モリブデンのスパッタの初期には、陰極2の表面に
付着する不純物もスパッタされるので、その不純物を基
板に到達させないようにするためである。モリブデンの
スパッタ条件は、アルゴン圧0.4mTorr、投入電
力2kWであった。この一連の過程において、反射鏡基
板の温度は、間接的に水冷することにより、30〜50
℃に保った。基板の熱変形を防ぐためである。その後、
チャンバ内をパージして、コーティングが完了した反射
鏡を取出した。
【0020】以上の工程により、無酸素銅製の反射鏡基
板上に約1μmの厚さでモリブデン膜を形成させ、レー
ザ反射鏡を製造した。
【0021】(実施例2)次に、コーティング膜が金属
膜と誘電体膜の積層膜である実施例を示す。実施例1と
同様の放電処理を行なった基板上に、コーティング原料
として金を用い、アルゴン圧3mTorr、投入電力2
kW、膜厚0.3μmの条件にて金層をスパッタ法でコ
ーティングした。さらに真空蒸着により、誘電体材料で
あるセレン化亜鉛とフッ化トリウムの各層をコーティン
グした。よって、膜構造は基板側から、金/セレン化亜
鉛/フッ化トリウムとなる。また、誘電体層の膜厚はセ
レン化亜鉛:1.15μm、フッ化トリウム:2.27
μmとして増反射効果を持たせた。セレン化亜鉛のコー
ティング条件は、真空度3×10-6Torr、蒸着速度
6Å/秒であった。そして、フッ化トリウムのコーティ
ング条件は、真空度3×10-6Torr、蒸着速度4Å
/秒であった。その後、チャンバ内をパージしてコーテ
ィングが完了した反射鏡を取出した。
【0022】(比較例)実施例1および2で用いたマグ
ネトロンスパッタ装置に、反射鏡基板に加熱処理を施す
ための加熱機構が設けられたものを用い、反射鏡基板に
加熱処理(100℃、60分)を施し、その後、各実施
例と同様にマグネトロンスパッタ法によりモリブデンの
コーティングを行なった。
【0023】(実験) [膜剥離に対する効果]上記実施例1および比較例で作
製した反射鏡について、スコッチテープの引き剥がしテ
ストを行なった。比較例による反射鏡に関しては、コー
ティング前の加熱処理によっては反射鏡基板表面に付着
した不純物が完全に除去されず、その部分のコーティン
グは、このテープテストにおいて容易に剥離した。これ
に対して実施例1による反射鏡においては、テープテス
トにおけるコーティングの剥離は見られず、反射鏡の全
面にわたって、コーティング膜の付着力がテープの粘着
力を上回ることが確認された。
【0024】さらに、実施例1で作製した反射鏡につい
て、引っ張り試験を行なったところ、膜の付着力はいず
れの反射鏡も1000kgf/cm2 以上であることを
確認した。
【0025】[基板表面に対する効果]さらに、上記実
施例1および比較例において前処理(放電処理または熱
処理)を施された反射鏡基板の基板表面について、その
表面の形状を測定し調べた。両者の凹凸値(ピークから
バレーの最大値)を測定し、その結果を表1に示す。
【0026】
【表1】
【0027】表1の結果から、比較例の反射鏡基板に関
しては、加熱処理による熱歪みによって、大きな変形が
見られるが、実施例1の反射鏡基板に関しては、そのよ
うな変形が全く見られないことが確認された。
【0028】なお、実施例2で作製した反射鏡における
膜剥離と基板表面の変形に対する効果は、実施例1と比
較して全く遜色なかった。
【0029】以上説明したように、本発明による前処理
を施すことにより、反射鏡基板上にコーティングした薄
膜が均一かつ強力な付着力を有し、かつ、加熱による基
板の熱変形も見られなかった。
【0030】特に、反射膜をモリブデンの薄膜とする場
合に関しては、条件によってモリブデン膜は膜内残留応
力が強くなるため、少しの付着力の低下に際しても、即
座に剥離に繋がることから、この発明の貢献するところ
は大きいといえる。
【0031】なお、以上示してきた例では、コーティン
グ材料として、金属単層の例としてはモリブデンを用い
たが、これに限定されるものではなく、金や銀等を用い
てもかまわない。また、誘電体としてはセレン化亜鉛と
フッ化トリウムの積層膜を用い、金と上記誘電体との積
層膜を例として示した。
【0032】また、本発明に従う前処理は、レーザ装置
に用いるような反射鏡の基板においてはいかなる形状の
ものに対しても用いることができる。さらに、前処理後
のコーティング方法としてスパッタ法を採用している
が、スパッタ法以外の、たとえば、イオンビーム蒸着法
やイオン支援蒸着法などを用いてもよい。
【0033】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、反射鏡
基板上に反射膜のコーティングを施してレーザ用反射鏡
を製造する方法においては、基板の変形を防止し、均一
かつ強力な付着力を有する反射膜を形成せしめること
で、性能の高いレーザ用反射鏡を提供することができ
る。
【0034】今回開示された実施例はすべての点で例示
であって制限的なものではないと考えられるべきであ
る。本発明の範囲は上記の説明ではなくて、特許請求の
範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味およ
び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図され
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いられるマグネトロンスパッタ装置
の概略図である。
【符号の説明】
1 真空チャンバ 2 陰極 3 シャッタ 4 基板ホルダ 5 シールド 6 反射鏡基板 7 ガス導入口 8 真空排気口 9 RF電源 10 DC電源

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 反射鏡基板上に反射膜を形成したレーザ
    用反射鏡の製造方法であって、 不活性ガス、水素ガスまたはそれらの混合ガスからなる
    0.1〜100mTorrの雰囲気下で前記反射鏡基板
    にバイアス電圧を印加することにより放電処理を行なっ
    て、前記反射鏡基板の表面を清浄にする工程と、 清浄にされた前記反射鏡基板の表面に、反射膜を形成す
    る工程とを備える、レーザ用反射鏡の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記反射鏡基板が銅または銅合金からな
    ることを特徴とする、請求項1に記載のレーザ用反射鏡
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記反射膜が、金属、誘電体、あるいは
    それらの積層膜であることを特徴とする、請求項1また
    は2に記載のレーザ用反射鏡の製造方法。
JP7264166A 1995-10-12 1995-10-12 レーザ用反射鏡の製造方法 Withdrawn JPH09105807A (ja)

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Effective date: 20030107