JPH09103321A - コンパクト容器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 パウダー化粧料を収納した中容器と、この中
容器内に昇降変位可能に組付けられたメッシュ体との間
の摺動摩擦抵抗を小さくした状態で、中容器とメッシュ
体との摺動面間の隙間を塞ぐことにある。 【解決手段】 パウダー化粧料を収納した中容器３内
に、押し上げ方向に弾力を付勢されて昇降変位自在にメ
ッシュ体５を組付け、中容器３の周壁４内周面に対向す
るメッシュ体５の枠体６外周面に、周壁４内周面に密に
周設する密接塗膜７を、発泡塗料で塗布成形した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、パウダー化粧料を収納
した中容器に、使用時にパフに付着するパウダー化粧料
の付着量を適当量に抑制すると共に、非使用時にパウダ
ー化粧料の飛散を防止するメッシュを張設したコンパク
ト容器に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】パウダーファンデーション等のパウダー
化粧料を収納したコンパクト容器にあって、パウダー化
粧料を収納した中容器内に、枠体を介してメッシュを張
設し、そのメッシュと枠体との一体物（メッシュ体）
を、弾材の弾力を押し上げ方向に付勢した状態で昇降動
自在に組付けたものが多数利用されている。

【０００３】上記した構成のコンパクト容器は、パウダ
ー化粧料をメッシュで覆うことにより、パウダー化粧料
の飛散を防止すると共に、パフへの化粧料の付着量を適
当量に抑制することができ、これによりパウダー化粧料
の好適な使用状況を得ることができることになる。

【０００４】また、メッシュ体を中容器に対して昇降変
位自在とすると共に、弾材の弾力を押し上げ方向に付勢
させておくことにより、収納されている化粧料の減少変
化に対して、化粧料表面に対して常にメッシュを一定状
態で接触させることを可能とし、これによりメッシュに
よるパフへの化粧料付着量抑制効果を一定化すると共
に、非使用状態で化粧料表面とメッシュとを離反させる
ので、化粧料によるメッシュの目詰まり等によるメッシ
ュの機能低下を防止している。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た従来技術にあっては、使用時に、パフでメッシュを押
圧してメッシュ体を押し下げた際に、メッシュ体の下降
変位に伴って、パウダー化粧料の一部が中容器とメッシ
ュ体の枠体との間から噴出して飛散すると云う問題があ
った。

【０００６】これは、メッシュの保護のために、中容器
に対するメッシュ体の昇降変位が弱い力で達成できるよ
うにすべく、中容器に対するメッシュ体の昇降変位可能
な組付きを比較的ルーズにして、中容器とメッシュ体と
の摺動部分間に隙間を形成しているためで、この中容器
とメッシュ体との摺動面間の隙間から、メッシュ体の押
下げ下降に伴ってパウダー化粧料の一部が噴出するので
ある。

【０００７】この中容器とメッシュ体との間の隙間を、
中容器に対するメッシュ体の昇降変位自在な状態を維持
して塞ぐ手段としては、メッシュ体の枠体外周面にＯリ
ング等の弾性材料製のパッキン体を設ける手段が考えら
れるが、予め一定形状に成形されたパッキン体をメッシ
ュ体に組付けたのでは、合成樹脂製の中容器およびメッ
シュ体の枠体に必ず発生する成形寸法誤差が原因して、
中容器に対するメッシュ体の摺動抵抗力を、所望する値
以下に規制することは不可能であり、ましてや専用のパ
ッキン体を用いることは、コンパクト容器の構造を複雑
として、その組立て製造を面倒にすると共に、寸法およ
び形状のことなる多種のパッキン体を予め製造する必要
があるので、コンパクト容器の製造単価を高くなると云
う問題が生じることになる。

【０００８】そこで、本発明は、上記した従来技術にお
ける問題点を解決すべく創案されたもので、中容器とメ
ッシュ体との間の摺動抵抗力を小さくした状態で、中容
器とメッシュ体との摺動面間の隙間を塞ぐことを技術的
課題とし、もって使用時におけるパウダー化粧料の一部
の飛散発生をできる限り小さく抑えることを目的とす
る。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記技術的課題を解決す
る本発明の内、請求項１記載の発明は、有底短筒形状の
容器本体を有すること、この容器本体に蝶番結合により
開閉回動自在に組付いた蓋体を有すること、容器本体内
に組付き、パウダー化粧料を収納する有底短筒形状の中
容器を有すること、外周面に塗布成形した発泡塗料製の
密接塗膜を中容器の周壁内周面に密摺接させると共に、
中容器に内装された弾材の弾力を押し上げ方向に付勢さ
せて、中容器内に昇降変位自在に組付いた枠体に、パウ
ダー化粧料の通過が可能であるメッシュを張設したメッ
シュ体を有すること、にある。

【００１０】請求項２記載の発明は、請求項１記載の発
明に、中容器の周壁上端に、下面にメッシュ体の上面が
係止する内鍔片を周設した係止枠を組付けると共に、蓋
体の下面に、閉姿勢で係止枠の内鍔片の内周縁上端が密
弾接する発泡樹脂製のパッキン体を固着した構成であ
る。

【００１１】請求項３記載の発明は、請求項２記載の発
明のパッキン体を、発泡ポリエチレン樹脂で成形した構
成である。

【００１２】

【作用】蓋体を回動開放した使用状態で、パフをメッシ
ュに押圧して、中容器に収納されているパウダー化粧料
をパフに付着させる際、パフの押圧力によりメッシュ体
が中容器に対して下降変位するが、中容器の周壁内周面
とメッシュ体の枠体の外周面に設けた密接塗膜とが密摺
接しているので、中容器の周壁内周面とメッシュ体の外
周面との間には隙間が無い状態となっているため、この
中容器の周壁内周面とメッシュ体の外周面との間から、
メッシュ体の押下げ下降変位に伴ってパウダー化粧料の
一部が噴出することはない。

【００１３】メッシュ体の枠体外周面に設けた密接塗膜
は、発泡塗料により塗布成形されたものであるので、メ
ッシュ体を中容器に挿入組付けした際に、中容器の周壁
内周面に圧接する表面部分が、作用する押圧力によりそ
の発泡形状を容易に崩して、中容器の周壁内周面に倣っ
た形状に変形する。

【００１４】このため、メッシュ体の枠体外周面に塗布
形成された密接塗膜は、その外周面を中容器の周壁内周
面に殆ど圧接することなく密接する状態となり、これに
より密接塗膜は中容器の周壁内周面に殆ど隙間を形成す
ることなく密接することになる。

【００１５】中容器の上端に内鍔片を有する係止枠を取
付けると共に、蓋体に発泡樹脂製のパッキン体を設け、
閉状態で、係止枠の内鍔片の内周縁上端がパッキン体に
食い込むようにしたので、閉状態時における中容器の密
閉はパッキン体により直接達成されることになると共
に、このパッキン体による中容器の密閉は、係止枠の内
鍔片内周縁上端のパッキン体に対する食い込みにより、
きわめて強力にかつ確実に達成される。

【００１６】

【実施例】本発明の一実施例を、図１〜図３に示す。容
器本体１は、平面略長円形の有底短筒形状で、ほぼ同一
形状の蓋体１２を開閉回動自在に蝶番結合により組付け
ており、その内部は、中枠体２により、パウダー化粧料
収納容器としての中容器３組付け部分と、パフ組付け部
分とに区画されている。

【００１７】パウダー化粧料を収納する中容器３は、中
枠体２により容器本体１内に区画形成された中容器組付
け部分内に着脱自在に組付く、単純な有底短円筒形状を
しており、その周壁４上端面には、内鍔片１１を周設し
た係止枠１０が密に固着されている。

【００１８】メッシュ体５は、中容器３の周壁４内に略
密に嵌入するリング状の枠体６の上端部にメッシュ８を
張設固定すると共に、この枠体６の外周面に発泡塗料製
の密接塗膜７を直接塗布発泡形成している。

【００１９】このメッシュ体５は、中容器２に対する係
止枠１０の組付けに先立って、中容器３の底壁と枠体６
との間に弾材９を介在させた状態で、パウダー化粧料を
収納した中容器２に挿入組付けされ、係止枠１０は、メ
ッシュ体５を中容器２に挿入組付けした後に、中容器２
の周壁４上端面に密に固着され、中容器２内に昇降変位
自在に組付けられたメッシュ体５の中容器２からの抜け
出しを防止する。

【００２０】密接塗膜７は、中容器２の周壁４内周面
と、メッシュ体５の枠体６外周面との間に形成される隙
間よりもわずかに大きい厚さで塗布発泡成形され、メッ
シュ体５の中容器２に対する最初の挿入組付け処理によ
り、その周壁４内周面に接触する外表面部分を、周壁４
内周面に正確に倣ったものとする。

【００２１】それゆえ、中容器２および枠体６に多少の
成形寸法誤差があったとしても、密接塗膜７自体が、そ
の外表面部分の変形により、外表面部分を周壁４内周面
に倣った形状に変形させるので、必ず発生する摺動抵抗
力を小さくした状態で中容器２とメッシュ体５との間の
隙間を殆ど無くすことができることになる。

【００２２】容器本体１の中容器３組付け部分に対向す
る蓋体１２の下面箇所には、閉状態で上昇限に位置する
メッシュ体５のメッシュ８に軽く接触する程度の厚み
で、かつ係止枠１０の内鍔片１１が形成する開口部より
もわずかに大きい径寸法で、発泡ポリエチレン樹脂製の
パッキン体１３が固着されている。

【００２３】このため、パッキン体１３は、閉状態時
に、その周端縁部に係止枠１０の内鍔片１１の内周縁上
端が食い込むことになり、この食い込みによりパッキン
体１３と内鍔片１１とは強力にかつ確実に密に弾接する
ことになり、これにより閉状態における中容器３の密閉
を強固にかつ安定的に達成維持する。

【００２４】また、パッキン体１３を発泡ポリエチレン
樹脂製とすることにより、材料経費をきわめて安価にす
ることができる。

【００２５】

【発明の効果】本発明は、上記した構成となっているの
で、以下に示す効果を奏する。中容器の周壁内周面と対
向するメッシュ体の枠体外周面に、発泡塗料により塗布
成形した密接塗膜を、メッシュ体の中容器に対する摺接
部分としたので、中容器に対してメッシュ体を小さい摺
動抵抗力で密接させることが可能となり、もって良好な
メッシュ体の昇降変位動作を保持した状態で、メッシュ
体の下降変位時に中容器とメッシュ体との間からパウダ
ー化粧料の一部が噴出飛散することを確実に防止するこ
とができる。

【００２６】密接塗膜は、メッシュ体の枠体外周面に、
発泡塗料を直接塗布することにより成形および組付けが
達成され、またその厚みは、単に発泡塗料の塗布厚みを
調整するだけであり、さらに中容器の周壁内周面に対す
る密接塗膜の小さい摺動抵抗での密接は、中容器に対す
るメッシュ体の挿入組付けにより正確に達成されるもの
であるので、中容器に対するメッシュ体の適正な組付き
を簡単に得ることができる。

【００２７】密接塗膜は、メッシュ体の枠体外周面へ
の、発泡塗料の塗布により成形されるものであるので、
必ず枠体外周面の形状に正確に倣って成形されることに
なり、もって枠体外周面の形状に左右されることなく、
簡単にかつ確実にそして正確に成形されることになる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示す、蓋体を取り外した状
態の全体平面図。

【図２】図１に示す実施例の、中容器組付け部分におけ
る縦断側面図。

【図３】図２の要部拡大図。

【符号の説明】

１ ； 容器本体 ２ ； 中枠体 ３ ； 中容器 ４ ； 周壁 ５ ； メッシュ体 ６ ； 枠体 ７ ； 密接塗膜 ８ ； メッシュ ９ ； 弾材 １０； 係止枠 １１； 内鍔片 １２； 蓋体 １３； パッキン体

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 有底短筒形状の容器本体(1) と、該容器
   本体(1) に蝶番結合により開閉回動自在に組付いた蓋体
   (12)と、前記容器本体(1) 内に組付いた有底短筒形状の
   パウダー化粧料収納用中容器(3) と、外周面に塗布成形
   した発泡塗料製の密接塗膜(7) を前記中容器(3) の周壁
   (4) 内周面に密摺接させると共に、弾材(9) の弾力を押
   し上げ方向に付勢させて、前記中容器(3) 内に昇降変位
   自在に組付いた枠体(6) に、前記パウダー化粧料の通過
   が可能であるメッシュ(8) を張設したメッシュ体(5)
   と、から成るコンパクト容器。
2. 【請求項２】 中容器(3) の周壁(4) 上端に、下面にメ
   ッシュ体(5) の上面が係止する内鍔片(11)を周設した係
   止枠(10)を組付けると共に、蓋体(12)の下面に、閉姿勢
   で前記内鍔片(11)の内周縁上端が密弾接する発泡樹脂製
   のパッキン体(13)を固着した請求項１記載のコンパクト
   容器。
3. 【請求項３】 発泡樹脂製のパッキン体(13)を、発泡ポ
   リエチレン樹脂で成形した請求項２記載のコンパクト容
   器。