JPH0897875A - 位相検出回路 - Google Patents

位相検出回路

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JPH0897875A
JPH0897875A JP23351494A JP23351494A JPH0897875A JP H0897875 A JPH0897875 A JP H0897875A JP 23351494 A JP23351494 A JP 23351494A JP 23351494 A JP23351494 A JP 23351494A JP H0897875 A JPH0897875 A JP H0897875A
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JP23351494A
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Mikio Hayashibara
幹雄 林原
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Toshiba Corp
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Toshiba Corp
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  • Digital Transmission Methods That Use Modulated Carrier Waves (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 位相検出の非線形性を取り除いたΣ−Δ変調
技術を用いた位相検出回路の構成法を明らかにし、これ
により大容量ROMや除算器さらにはADCも必要とせ
ずに、検出性能のよい位相検出回路を提供し、これによ
り移動体通信の移動器の小型化・軽量化・経済化・低消
費電力化を実現する。 【構成】 第1の位相情報検出部10が入力された複素
ベースバンド信号のI,Q成分から第1の粗位相値S1
bと第1の微位相値S1aとを出力し、第2の位相情報
検出部20が、第1の位相情報検出部10の分割された
複数の位相領域に対してπ/Nシフトした複数の位相領
域により第2の粗位相値S2bと第2の微位相値S2a
とを出力する。そして、位相合成部30が各粗位相値と
微位相値とを加算し、該加算結果を平均化して、各粗位
相値と微位相値との加算出力による位相誤差を相殺した
検出位相値を出力する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、通信機器の受信機にお
いて、角度変調された受信波形から変調情報を復元する
復調器に用いられる位相検出回路に関し、特に移動通信
の分野で多く用いられるFM変調やπ/4シフトDQP
SK変調された受信波形から変調情報を復元するのに好
適な位相検出回路に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、移動体通信における移動機では、
携帯電話機に見られるように小型化・軽量化・経済化・
低消費電力化による利便性の向上を追求することが一段
と重要となっている。
【0003】このうちの小型化・軽量化・経済化を実現
するためには、従来のディスクリート部品を用いて構成
されたブロックをより多くIC化/LSI化することが
効果的である。
【0004】しかし、この従来のディスクリート部品の
IC化/LSI化は、一般に消費電力を増加させる傾向
にあり、消費電力を少なくする回路技術の開発が重要な
課題となっている。
【0005】一方、移動体通信における通信方式は、従
来からキャリアをFM変調して情報を伝送することが一
般的である。また、近年、電波の有効利用・通信の高品
質化を目指して、移動体通信のディジタル化が推進され
ており、変調方式としてπ/4シフトDQPSK変調方
式が多くの移動体通信システムで採用されるに至ってい
る。
【0006】周知のように、これらの変調方式に対する
受信機の中には、受信した信号を直交復調して生じる複
素ベースバンド信号(基準となるI軸とこれに直交する
Q軸の成分からなる信号:以後、I軸成分の信号を「I
信号]、Q軸成分の信号を「Q信号」と呼称する)から
原変調信号を復調する受信方式を採用したものがある。
【0007】この受信方式は、別の受信方式であるスー
パーヘテロダイン受信方式の受信機と比較した場合に、
キャリア周波数とローカル周波数とが等しいことから、
(a)イメージ抑圧用のフィルタが不要である。
【0008】(b)チャネル選択度は、ベースバンドの
IC内蔵のフィルタによって得ることができる。
【0009】(c)復調もベースバンドで行うため、こ
れもIC内蔵化できる。
【0010】等の利点を有しており、受信機の小型化・
軽量化・経済化を実現する方式として注目を集めてい
る。
【0011】ここで、直交復調は受信周波数で直接行っ
てもよいし、中間周波数に落として行ってもよい。
【0012】この種の受信/復調方式による従来の受信
機としては、次のようなものがある。すなわち、図10
は、従来の直交復調方式を採用した受信機の構成を示す
図である。
【0013】まず図10(a)において、端子101か
ら入力された受信信号は、直交復調器102に入力さ
れ、発信器103との乗算により複素ベースバンド信号
であるI信号SIとQ信号SQに分離される。I信号S
IおよびQ信号SQは、それぞれロー・パス・フィルタ
104,105により不要信号が取り除かれた後、A/
D変換器(ADC)106,107でディジタル値に変
換される。ディジタル化されたI信号およびQ信号のそ
れぞれは、読出専用メモリ(ROM)108にアドレス
情報として入力される。ここで、ROM108には、I
軸上のディジタル値およびQ軸上のディジタル値をアド
レスとする複素ベースバンド信号の位相値θが書き込ま
れている。すなわち、 θ=arc(tan(Q/I)) の関係がROM108に書き込まれている。
【0014】従って、ディジタル化されたI信号および
Q信号のディジタル値がROM108に入力されると、
該ディジタル値をアドレスとして複素ベースバンド信号
の位相値、すなわち瞬時位相値が出力され、ROM10
8は、位相検出回路としての動作を行う。
【0015】このROM108から出力された位相値θ
は、差分位相生成回路109に入力され、一定時間間隔
Tの間の位相変化値Δθが出力される。すなわち、 Δθ=θn−θn-1 で与えられる位相変化値が得られる。
【0016】ここで、受信信号が周波数変調されたFM
信号の場合、単位時間T当たりの位相変化は、角周波数
ωに近似できる。すなわち、 ω≒(Δθ/T) とする式に角周波数ωは近似される。従って、単位時間
Tを適切に選ぶことにより、差分位相生成回路108に
よりFM復調信号を得ることができる。
【0017】なお、一般に、移動体FM通信の送信時に
おいては、FM通信の特性から、音声情報信号をコンプ
レッサによりレベル圧縮した後、プリエンファシスをか
けてから変調することが行われる。したがって、移動体
FM通信の受信時においては、原変調音声情報を得るた
めに、差分位相生成回路109からの出力信号は、帯域
外雑音除去用フィルタ、ディエンファシス回路、エキス
パンダ回路などにより構成される変調情報再生回路11
0に入力され、該変調情報再生回路110の出力により
原変調音声情報を得ることができる。
【0018】一方、受信信号がπ/4シフトDQPSK
信号の場合は、単位時間Tを1シンボル時間に選ぶこと
により、差分位相生成回路109の出力に1シンボル毎
の位相変化値が得られる。これは、原変調信号が差分変
調され、1シンボル時間Tの間の相対位相差を伝送すべ
き位相情報としているためである。π/4シフトDQP
SK信号による1シンボル毎の位相変化値は、伝送され
た2ビットの情報により、±π/4および±3π/4の
4値に限定され、該4値のなかで、どの位相変化が生じ
たかを判定し、伝送された2ビットの情報が復元され
る。
【0019】ところで、図10(a)に示す従来の受信
機を構成する各ブロック101〜110は、1あるいは
2個程度のIC/LSIで実現することが望ましい。
【0020】しかし、位相検出回路の動作を行う構成と
して、ROM108を用いているため、例えばI信号お
よびQ信号のディジタル値がそれぞれ8ビット、出力さ
れる位相値の角度データが8ビットであるとすると、5
12キロビットのROMが必要となり、LSIのチップ
面積の増大によるコストアップ、LSI寸法の大型化に
よる機器の経済化・小型化への阻害要因となっている。
また、これを避けるためI信号およびQ信号並びに位相
値のビット数を削減しようとすると復調器の性能が劣化
してしまうという不具合が生じる。
【0021】そこで、このROM108に伴う不具合に
着目して改良した受信機が考えられた。すなわち、図1
0(b)は、図10(a)を改良した従来の受信機であ
り、この受信機は、予め、d=(Q/I)なる値dを割
算器111を用いて計算し、この値dをROM112の
アドレスとして与え、ROM112からROM108の
出力と同様な位相値を出力させるものであり、図10
(a)のROM108を、対応する位相検出器113と
したものである。この場合、値dを10ビットとする
と、ROM112は8キロビットで済み、大幅な記憶容
量の削減が可能となる。なお、その他の構成については
説明の便宜上同一構成要素に対しては同一符号を付して
いる。
【0022】ところで、この除算器111による除算の
方式としては、逆数ROM方式、対数計算方式、減算シ
フト方式、収束型除算方式の4種類が知られているが、
現在のところ、精度よく、かつ高速に除算結果を得るた
めの有効な手法がないのが実状であり(丸田力男、西谷
隆男著「シグナルプロセッサとその応用」昭晃堂、38
〜41頁参照)、このため、除算にかかる回路部分の制
約がこの種の位相検出回路を実現するための大きな障害
となっていた。
【0023】さらに、直交復調器の出力は、アナログ信
号であるのに対し、除算器111、ROM112は、デ
ィジタル回路であるから、図10(a)と同様に位相検
出回路の前段にADC106,107が必要であり、こ
のADC106,107が受信機の回路規模や消費電力
を大きくする要因のひとつとなっていた。
【0024】これに対し、上述した従来の受信機の不具
合を解決するための位相検出回路として、次のようなも
のが提案されている(特願平5−113162号「位相
検出回路及びこれに用いる位相検出方式」におけるΣ−
Δ変調技術を用いた位相検出回路を参照)。
【0025】図11は、Σ−Δ変調技術を用いて従来の
受信機の不具合を解決した位相検出回路の構成を示す図
である。
【0026】図11において、この位相検出回路は、入
力されたI信号SIおよびQ信号SQからなる複素ベー
スバンド信号の位相が、予め2π/Nラジアン(Nは4
以上の整数)づつに等分割した複数の位相領域のうちの
どの領域に属するかを検出し、該検出結果を粗位相値と
して出力する位相領域検出回路111と、前記複素ベー
スバンド信号の位相の該位相の増加あるいは減少方向を
示す指示信号SSに応じて+π/Nラジアンまたは−π
/Nラジアン回転させ、これを前記位相領域検出回路1
11により検出された位相領域を2等分する中心軸に直
交し、かつその交点を原点とし当該位相領域の位相の増
加方向を正とする直線に投影した値を出力する回転投影
回路112と、回転投影回路112の出力を積分する積
分回路113と、積分回路113の出力を2値量子化
し、微位相値として出力する量子化回路114と、量子
化回路114の出力を遅延させ、指示信号SSとして出
力する遅延回路115と、位相領域検出回路111の粗
位相値出力と量子化回路114の微位相値出力とを合成
する位相値合成回路116と、位相合成回路116の出
力をろ波するフィルタ回路117とから構成されてい
る。
【0027】次に、図11に示す位相検出回路の動作を
図12に示すI,Qの直交座標を用いて説明する。
【0028】まず、2π/Nラジアンづつに等分割され
た位相領域の1つ(直線L1と直線L2とにより挟まれた
位相領域E1)に入力された複素ベースバンド信号ベク
トルvinが入っている場合を考える。ここで、この位相
領域E1を2等分する中心軸の直線L3とI軸との角を
粗位相値θcとし、複素ベースバンド信号ベクトルvin
と直線L3との角を微位相値θfとする。従って、入力さ
れた複素ベースバンド信号ベクトルvinとI軸との角が
該複素ベースバンド信号ベクトルvinの全位相値θであ
り、この全位相値θは、次式で表せる。すなわち、 θ=θc+θf である。
【0029】また、直線L3と直交し、かつその交点を
原点とし位相領域E1の位相の増加方向を正とする直線
を直線L4とする。
【0030】さらに、図12においては、遅延回路11
5から出力される指示信号としての2値信号である”
0”または”1”に応じて、+π/Nラジアン回転させ
たベクトルをv1、−π/Nラジアン回転させたベクト
ルをv2としている。
【0031】このベクトルv1およびv2を直線L4の方
向を考慮して直線L4に投影した値はそれぞれ、 +|vin|cos(π/2-π/N-θf) および -|vin|cos(π/2-π/N+θf) となる。従って、これら2つの直線L4に投影した値
が、遅延回路115から出力される2値信号の”0”ま
たは”1”に応じて積分回路113に入力される。
【0032】ここで、積分回路113の入力において
は、遅延回路を含むフィードバック動作の働きにより、
平均値がゼロに近づくようになる。
【0033】すなわち、単位時間あたりに、+|vin|c
os(π/2-π/N-θf)の値が入力される回数をm回とし、-
|vin|cos(π/2-π/N+θf)の値が入力される回数をn
回とすると、積分回路113に入力される平均値は、 n|vin|cos(π/2-π/N-θf)-m|vin|cos(π/2-π
/N+θf)=0 に近づく。従って、 m/n=cos(π/2-π/N-θf)/cos(π/2-π/N+θf) の関係を有することになる。
【0034】また、量子化回路114の出力である2値
信号の”1”,”0”をそれぞれ+1、−1の整数値に
対応させるとすると、その平均値Daveは、低域フィル
タをかけることに相当し、平均値Daveは、次式で表せ
る。すなわち、 Dave=(m-n)/(m+n) ={cos(π/2-π/N-θf)-cos(π/2-π/N+θf)}/ {cos(π/2-π/N-θf)+cos(π/2-π/N+θf)} =tanθf/tan(π/N) となる。但し、-π/N≦θf≦+π/Nである。
【0035】ここで、微位相値θfの近似値として、平
均値Daveを用いる。従って、全位相値θに相当する位
相検出回路の検出出力θ’は、 θ’=θc’+Dave として近似的に表せる。なお、全位相値θ’および粗位
相値θc’は、角度(ラジアン)をπ/Nで正規化した
ものである。
【0036】このようにπ/Nで正規化された全位相値
θ’は、π/Nで正規化された粗位相値θc’と平均値
Daveとの加算した値として表すことができ、結果的に
全位相値θが、粗位相値θcと微位相値θfを示す平均値
Daveとの加算により近似的に表現されることになる。
【0037】そして、図11に示す位相検出回路は、平
均値Daveを用いて工学的に近似された全位相値θを出
力することにより、回路規模および消費電力を削減する
ことができる。
【0038】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述した図1
1に示すΣ−Δ変調技術を用いた従来の位相検出回路の
位相検出出力は、工学的な近似式を用いることから非線
形性の入出力特性を有し、これにより、FM復調時にお
いては、復調波形歪率を大きくし、π/4シフトDQP
SK復調時においては、ビット誤り率の劣化を招くとい
う問題点があった。
【0039】例えば、図13は、図11の位相検出回路
において、分割領域の分割数N=4としてI軸とQ軸と
で4分割された位相領域を設定した場合における入力位
相θに対する正規化されて出力される全位相値θ’との
入出力特性を示す図である。
【0040】図13において、破線の直線LL1は理想
の入出力特性を示し、実線の曲線LL2は、位相領域を
分割数N=4で分割した場合における実際の入出力特性
を示している。
【0041】これにより、図11の位相検出回路から出
力される全位相値θ’は、正規化された理想の入出力特
性に近似していることがわかる。
【0042】しかし、入力位相に対する全位相値θ’の
出力は、なおも入力位相に対して周期的に変動してお
り、この周期的な変動に伴う理想の入出力特性との誤差
が生じており、この理想の入出力特性と実際の入出力特
性との誤差、すなわち工学的近似に伴う誤差により、復
調波形歪率あるいはビット誤り率が劣化するという問題
点があった。
【0043】本発明は、位相検出の非線形性を取り除い
たΣ−Δ変調技術を用いた位相検出回路の構成法を明ら
かにし、これにより大容量ROMや除算器さらにはAD
Cも必要とせずに、検出性能のよい位相検出回路を提供
し、これにより移動体通信の移動器の小型化・軽量化・
経済化・低消費電力化を実現することを目的とする。
【0044】
【課題を解決するための手段】第1の発明は、入力され
た複素ベースバンド信号の位相情報を抽出する位相検出
回路において、前記複素ベースバンド信号の位相が、予
め2π/Nラジアン(Nは4以上の整数)づつに等分割
した第1の複数の位相領域のうちのどの領域に属するか
を検出し、該検出結果を第1の粗位相値として出力する
第1の位相領域検出手段、前記複素ベースバンド信号の
位相の増加または減少方向を示す第1の指示信号に応じ
て+π/Nラジアンまたは−π/Nラジアン回転させ、
これを前記第1の位相領域検出手段により検出された位
相領域を2等分する中心軸に直交し、かつその交点を原
点とし当該位相領域の位相の増加方向を正とする直線に
投影した値を出力する第1の回転投影手段、前記第1の
回転投影手段の出力を積分する第1の積分手段、前記第
1の積分手段の出力を2値量子化し、第1の微位相値と
して出力する第1の量子化手段、前記第1の量子化手段
の出力を遅延させ、前記第1の指示信号として出力する
第1の遅延手段を有する第1の位相情報検出手段と、前
記複素ベースバンド信号の位相が、前記第1の位相領域
検出手段の有する前記第1の複数の位相領域のそれぞれ
をπ/Nだけシフトした第2の複数の位相領域のうちの
どの領域に属するかを検出し、該検出結果を第2の粗位
相値として出力する第2の位相領域検出手段、前記複素
ベースバンド信号の位相の増加または減少方向を示す第
2の指示信号に応じて+π/Nラジアンまたは−π/N
ラジアン回転させ、これを前記第2の位相領域検出手段
により検出された位相領域を2等分する中心軸に直交
し、かつその交点を原点とし当該位相領域の位相の増加
方向を正とする直線に投影した値を出力する第2の回転
投影手段、前記第2の回転投影手段の出力を積分する第
2の積分手段、前記第2の積分手段の出力を2値量子化
し、第2の微位相値として出力する第2の量子化手段、
前記第2の量子化手段の出力を遅延させ、前記第2の指
示信号として出力する第2の遅延手段を有する第2の位
相情報検出手段と、前記第1の位相情報検出手段が出力
する前記第1の粗位相値と前記第1の微位相値とを加算
出力する第1の加算手段、前記第2の位相情報検出手段
が出力する前記第2の粗位相値と前記第2の微位相値と
を加算出力する第2の加算手段、前記第1の加算手段に
よる加算出力と前記第2の加算出力とを合成して前記複
数のベースバンド信号の位相情報として出力する合成手
段を有した位相合成手段とを具備したことを特徴とす
る。
【0045】第2の発明は、入力された複素ベースバン
ド信号の位相情報を抽出する位相検出回路において、前
記複素ベースバンド信号の位相が、予め2π/Nラジア
ン(Nは4以上の整数)づつに等分割した複数の位相領
域のうちのどの領域に属するかを検出し、該検出結果を
粗位相値として出力する位相領域検出手段、前記複素ベ
ースバンド信号の位相の増加または減少方向を示す指示
信号に応じて+π/Nラジアンまたは−π/Nラジアン
回転させ、これを前記位相領域検出手段により検出され
た位相領域を2等分する中心軸に直交し、かつその交点
を原点とし当該位相領域の位相の増加方向を正とする直
線に投影した値を出力する回転投影手段、前記回転投影
手段の出力を積分する積分手段、前記積分手段の出力を
2値量子化し、微位相値として出力する量子化手段、前
記量子化手段の出力を遅延させ、前記指示信号として出
力する遅延手段を有する位相情報検出手段と、前記位相
領域検出手段の粗位相値出力と前記量子化手段の微位相
値出力とを合成し、該合成値を検出位相情報として出力
する位相合成手段と、出力されるべき前記複素ベースバ
ンド信号の位相に対する理想の位相情報と前記位相合成
手段から入力された前記検出位相情報との予め定められ
た入出力位相変換特性に基づき、該検出位相情報を前記
理想の位相情報に変換して出力する変換手段とを具備し
たことを特徴とする。
【0046】
【作用】第1の発明では、入力された複素ベースバンド
信号のI成分およびQ成分から第1の位相情報検出手段
が、第1の粗位相値と第1の微位相値とを出力し、一方
第2の位相情報検出手段が、第1の位相情報検出手段の
分割された複数の位相領域に対してπ/Nシフトした複
数の位相領域により第2の粗位相値と第2の微位相値と
を出力する。そして、位相合成手段の第1の加算手段が
第1の粗位相値と第1の微位相値とを加算し、位相合成
手段の第2の加算手段が第2の粗位相値と第2の微位相
値とを加算する。さらに位相合成手段の合成手段が第1
の加算手段と第2の加算手段との出力を合成し、最終的
に検出された位相情報として出力する。
【0047】これにより、第1の位相情報検出手段の第
1の粗位相値および第1の微位相値のみから検出された
位相の非線形性が打ち消されるように合成されるため、
精度の高い位相検出回路を実現することができる。
【0048】また、第2の発明では、入力された複素ベ
ースバンド信号のI成分およびQ成分から位相情報検出
手段が、粗位相値と微位相値とを出力し、この出力され
た値に対して、変換手段が、予め定められた入出力位相
変換特性に基づいて、補正変換する補償を行い、検出さ
れた位相情報として出力する。
【0049】これにより、精度の高い位相検出回路を実
現することができる。
【0050】また、第1の発明および第2の発明とも
に、第1および第2の位相情報検出手段あるいは位相情
報検出手段内の回転投影手段、積分手段、および量子化
手段をアナログ回路で構成し、本位相検出回路にAD変
換機能を持たせることにより、該位相検出回路の前段に
ADCを必要とせず、回路規模、消費電力を削減するこ
とができる。
【0051】さらに、第1の発明および第2の発明にお
いて、N=4とすると、位相領域検出手段の機能は、入
力された複素ベースバンド信号のI成分およびQ成分の
正負判定に帰着し、回転投影手段の機能は、入力された
複素ベースバンド信号のI,Q成分および−I,−Q成
分の4つの信号のうちの1つの信号を選択することに帰
着することから位相検出回路の回路構成が簡単になる。
【0052】
【実施例】以下、図面を参照して、本発明の一実施例に
ついて説明する。
【0053】図1は、本発明の第1の実施例である位相
検出回路の構成を示す図である。
【0054】図1において、第1の実施例である位相検
出回路は、入力された複素ベースバンド信号であるI信
号SIおよびQ信号SQとから第1の微位相値S1aと
第1の粗位相値S1bとを出力する第1の位相情報検出
部10、入力された複素ベースバンド信号であるI信号
SIおよびQ信号SQとから第2の微位相値S2aと第
2の粗位相値S2bとを出力する第2の位相情報検出部
20、および第1の微位相値S1a,第1の粗位相値S
1b,第2の微位相値S2a,第2の粗位相値S2bか
ら合成した全位相値Sθを出力する位相生成部30から
構成される。
【0055】この複素ベースバンド信号であるI信号S
IおよびQ信号SQは、図示しない直交復調より分離さ
れた後にロー・パス・フィルタにより波形整形された信
号である。
【0056】第1の位相情報検出部10は、図11に示
す従来の位相検出回路において、加算回路116および
ロー・パス・フィルタ117を削除した構成と同じもの
である。
【0057】すなわち、第1の位相情報検出部10は、
位相領域検出部11、回転投影部12、積分回路13、
量子化回路14、および遅延回路15を有する。
【0058】位相領域検出部11は、入力されたI信号
およびQ信号からなる複素ベースバンド信号SI,SQ
の示す位相が、予め2π/Nラジアンづつに等分割した
複数の位相領域のうちのどの位相領域に属するかを検出
し、この検出結果を2ビットの第1の粗位相値S1bと
して出力する。ここで、「N」は、4以上の整数であ
り、2πラジアンの全位相領域は、4以上の位相領域に
等分割される。
【0059】回転投影部12は、入力された複素ベース
バンド信号SI,SQを遅延回路15から出力される2
値信号の”0”または”1”に応じて+π/Nラジアン
または−π/Nラジアン回転させ、さらに位相領域検出
部11により検出された位相領域を2等分する中心軸に
直交し、かつその交点を原点とし、検出された位相領域
の位相の増加方向を正とする直線に投影した値を積分回
路13に出力する。
【0060】積分回路13は、回転投影部12から入力
された値を積分し、その結果を量子化回路14に出力す
る。
【0061】量子化回路14は、積分回路13から出力
された値を2値量子化し、この2値量子化された値を第
1の微位相値S1aとして出力するとともに、遅延回路
15に出力し、遅延回路15により所定時間遅延された
第1の微位相値S1aは、回転投影部12に入力され
る。これにより、第1の微位相値S1aは、フィードバ
ックされ、平均化される。
【0062】そして、この結果、入力された複素ベース
バンド信号SI,SQの示す位相の第1段階の近似値を
構成する第1の粗位相値S1bと第1の微位相値S1a
とが出力される。
【0063】なお、この第1の位相情報検出部10の構
成は、図11に示した従来の位相検出回路内の構成と同
様であり、その動作も従来の技術で説明したものと同様
であり、その出力も全く同じであるため、第1の位相情
報検出部10の動作については、説明を割愛する。
【0064】次に、第2の位相情報検出部20について
説明する。
【0065】第2の位相情報検出部20は、位相領域検
出部21、回転投影部22、積分回路23、量子化回路
24、および遅延回路25を有し、これらの構成部分
は、それぞれ位相領域検出部11、回転投影部12、積
分回路13、量子化回路14、および遅延回路15に相
当し、基本的には第1の位相情報検出部10と同様の構
成、動作である。
【0066】しかし、第2の位相情報検出部20におい
ては、2π/Nラジアンづつに等分割される複数の位相
領域が、第1の位相情報検出部10の複数の位相領域に
比べて、π/Nラジアンだけシフトしている点で異な
る。すなわち、位相領域検出部21が位相領域の判定を
行う際のI−Q平面上での複数の位相領域は、位相領域
検出部11の複数の位相領域と異なる。
【0067】ここで、第1の位相情報検出部10の複数
の位相領域と第2の位相情報検出部20の複数の位相領
域との関係について説明する。
【0068】図2は、第1の位相情報検出部10におけ
る複数の位相領域と第2の位相情報検出部20における
複数の位相領域との関係を示す図である。
【0069】図2において、第1の位相情報検出部10
での2π/Nラジアンづつに等分割された複数の位相領
域の1つを、I−Q平面上の直線L1と直線L2とで挟ま
れた位相領域として表しており、第2の位相情報検出部
20での2π/Nラジアンづつに等分割された複数の位
相領域の1つを、I−Q平面上の直線L3と直線L6とで
挟まれた位相領域として表している。
【0070】ここで、第1の位相情報検出部10の位相
領域と第2の位相情報検出部20の位相領域とは、π/
Nラジアン、すなわち分割位相である2π/Nラジアン
の1/2の位相分だけシフトしている関係となってい
る。従って、第2の位相情報検出部20での位相を等分
割する直線、例えば直線L3は、第1の位相情報検出部
10の複数の位相領域、例えば直線L1と直線L2とで挟
まれた位相領域を2分割することになる。
【0071】このように第2の位相情報検出部20は、
第1の位相情報検出部10の複数の位相領域とπ/Nラ
ジアン分シフトした複数の位相領域が設けられ、このπ
/Nラジアンシフトした複数の位相領域により、第1の
位相情報検出部10に入力される信号と同じ複素ベース
バンド信号SI,SQが示す位相を検出して、第1の微
位相値S1aと第1の粗位相値S1bとにそれぞれ対応
する第2の微位相値S2aと第2の粗位相値S2bとを
位相合成部30に出力する。
【0072】すなわち、入力された複素ベースバンド信
号SI,SQの位相が、第1の位相情報検出部10にお
ける複数の位相領域に対してπ/Nラジアン分シフトし
た複数の位相領域のうちのどの位相領域に属するかを検
出し、この検出結果を2ビットの第2の粗位相値S2b
として出力する。
【0073】そして、回転投影部22は、入力された複
素ベースバンド信号SI,SQを遅延回路25から出力
される2値信号の”0”または”1”に応じて+π/N
ラジアンまたは−π/Nラジアン回転させ、さらに位相
領域検出部21により検出された位相領域を2等分する
中心軸に直交し、かつその交点を原点とし、検出された
位相領域の位相の増加方向を正とする直線に投影した値
を積分回路23に出力する。さらに、積分回路23は、
回転投影部22から入力された値を積分し、その結果を
量子化回路24に出力する。量子化回路24は、積分回
路23から出力された値を2値量子化し、この2値量子
化された値を第1の微位相値S2aとして出力するとと
もに、遅延回路25に出力し、遅延回路25により所定
時間遅延された第2の微位相値S2aは、回転投影部2
2に入力される。そして、これにより第2の微位相値S
2aは、フィードバックされ、平均化される。
【0074】この結果、入力された複素ベースバンド信
号SI,SQが示す位相の第1段階の近似値を構成する
位相値であって、第1の粗位相値S1bと第1の微位相
値S1aとは異なる近似値を構成する第2の粗位相値S
2bと第2の微位相値S2aとが位相生成部30に出力
される。
【0075】さて、図1に示す位相生成部30は、第1
の位相情報検出部10から出力された第1の微位相値S
1aおよび第2の粗位相値S1bと、第2の位相情報検
出部20から出力された第2の微位相値S2aおよび第
2の粗位相値S2bとを合成し、複素ベースバンド信号
SI,SQの全位相値Sθを出力する。
【0076】このため、位相生成部30は、第1の微位
相値S1aおよび第1の粗位相値S1bとを加算する第
1の加算回路31、第2の微位相値S2aおよび第2の
粗位相値S2bとを加算する第2の加算回路32、およ
び第1の加算回路31と第2の加算回路32の出力を合
成する第3の合成回路33とを有する。
【0077】すなわち、位相生成部30は、まず第1の
加算回路31が第1の微位相値S1aと第1の粗位相値
S1bとを加算し、第1の位相情報検出部10の複数の
位相領域により検出された全位相値S1を合成回路33
に出力するとともに、第2の加算回路32が第2の微位
相値S2aと第2の粗位相値S2bとを加算し、第2の
位相情報検出部20の複数の位相領域により検出された
全位相値S2を合成回路33に出力する。そして、合成
回路33は、全位相値S1と全位相値S2とを平均化す
る合成を行うことにより、複素ベースバンド信号SI,
SQが示す位相の理想値への誤差を互いに相殺し、より
理想値に近い複素ベースバンド信号SI,SQの全位相
値Sθとして出力する。
【0078】ここで、図2を参照して入力された複素ベ
ースバンド信号SI,SQが示す位相の理想値に近い全
位相値Sθが図1の位相検出回路により出力されること
について説明する。
【0079】まず図2において、入力された複素ベース
バンド信号のベクトルvinが直線L2と直線L3とに挟ま
れた領域に入力された場合を考える。なお、直線L1と
直線L2とで挟まれた位相領域内の直線L3の位相値(第
1の位相情報検出部10における粗位相値)を粗位相値
θc1、直線L3と直線L6とで挟まれた位相領域内の直線
L2の位相値を粗位相値θc2、ベクトルvinの直線L1と
直線L2とで挟まれた位相領域に対する2分割線として
の直線L3との位相値を微位相値θf1、ベクトルvinの
直線L3と直線L6とで挟まれた位相領域に対する2分割
線としての直線L2との位相値を微位相値θf2とする。
【0080】すなわち、粗位相値θc1および微位相値θ
f1は、第1の位相情報検出部10から出力される第1の
粗位相値S1bおよび第1の微位相値S1aに対応し、
粗位相値θc2および微位相値θf2は、第2の位相情報検
出部20から出力される第2の粗位相値S2bおよび第
2の微位相値S2aに対応するものである。
【0081】ここで、対応するとしたのは、第1の粗位
相値S1bおよび第2の粗位相値S2bは、粗位相値θ
c1および粗位相値θc2をπ/Nで正規化した粗位相値θ
c1’および粗位相値θc2’として出力され、第1の微位
相値S1aおよび第2の微位相値S2aは、微位相値θ
f1および微位相値θf2をそれぞれ次式で近似した微位相
値θf1’および微位相値θf2’として出力されるからで
ある。すなわち、第1の微位相値S1aおよび第2の微
位相値S2aは、それぞれ、 θf1’=tanθf1/tan(π/N) θf2’=tanθf2/tan(π/N) とする近似値として出力される。
【0082】従って、第1の加算回路31で加算した全
位相値S1および第2の加算回路32で加算した全位相
値S2を、それぞれ全位相値θ1’および全位相値θ2’
とすると、 θ1’=θc1’+θf1’ =θc1’+tanθf1/tan(π/N) θ2’=θc2’+θf2’ =θc2’+tanθf2/tan(π/N) となる。なお、上述したように、 θc1’=θc1/(π/N) θc2’=θc2/(π/N) であり、 θc2=θc1-π/N の時、θf2=θf1+π/N θc2=θc1+π/N の時、θf2=θf1-π/N である。
【0083】次に、全位相値θ1’および全位相値θ2’
は、合成回路33でさらに次式により合成される。すな
わち、この合成された全位相値Sθを全位相値θ’とす
ると、 θ’=(θ1’+θ2’)/2 ={θc1’+θc2’+(tanθf1+tanθf2)/tan(π/N)} になる。従って、 θc2=θc1-π/N の時、θf2=θf1+π/N であるから、 θ’=[2θc1’-1+{tanθf1+tan(θf1+π/N)}/tan(π/
N)]/2 となり、 θc2=θc1+π/N の時、θf2=θf1-π/N であるから、 θ’=[2θc1’+1+{tanθf1+tan(θf1-π/N)}/tan(π/
N)]/2 となる。
【0084】この位相合成回路30から出力される全位
相値θ’は、従来の第1の位相情報検出部10のみから
出力される粗位相値と微位相値を加算した全位相値θ
1’に比較し、入力された複素ベースバンド信号の位相
の理想値との誤差が格段に減少した値として出力され
る。
【0085】一例として、位相領域の分割数N=4とし
た場合について説明する。
【0086】図3は、分割数N=4とした場合における
第1の位相情報検出部10および第2の位相情報検出部
20での分割された複数の位相領域の状態を示す図であ
り、図3(a)は、第1の位相情報検出部10での分割
された複数の位相領域を示し、図3(b)は、第2の位
相情報検出部20での分割された複数の位相領域を示し
ている。
【0087】また、図4は、複素ベースバンド信号の入
力位相θに対する全位相値θ’,θ1’,θ2’の出力と
の関係を示す図である。
【0088】図4において、破線で示す直線Lθは、理
想の検出位相θをπ/4で規格化した理想の入出力特性
すなわち、誤差のない入出力特性を示している。また、
曲線Lθ1’は、第1の位相情報検出部10から出力さ
れた値をもとに第1の加算回路31から出力される全位
相値θ1’を示しており、曲線Lθ2’は、第2の位相情
報検出部20から出力された値をもとに第2の加算回路
32から出力される全位相値θ2’を示している。さら
に、曲線Lθ’は、合成回路33において全位相値θ
1’と全位相値θ2’とを合成した出力である全位相値
θ’を示している。
【0089】すなわち、全位相値θ1’は、図3(a)
に示すI−Q平面を4つの位相領域に等分割した場合の
出力値であり、全位相値θ2’は、図3(b)に示すI
−Q平面を図3(a)に示す位相領域をπ/4ラジアン
分シフトした4つの等分割した位相領域とした場合の出
力値である。
【0090】図4において、全位相値θ1’の入出力特
性を示す曲線Lθ1’は、理想の入出力特性の直線Lθ
に対し、入力位相のπ/2の周期で誤差を有している。
一方、全位相値θ2’の入出力特性を示す曲線Lθ2’
も、同様に理想の入出力特性の直線Lθに対し、入力位
相のπ/2の周期で誤差を有しているが、その理想の入
出力特性に対する誤差は、反対の符号を有し、かつほぼ
同一の絶対値誤差を有する。なお、理想の入出力特性に
対する誤差は、上述したように第1の微位相値あるいは
第2の微位相値の近似誤差により生ずるものである。
【0091】これに対し、全位相値θ’の入出力特性を
示す曲線Lθ’は、全位相値θ1’と全位相値θ2’との
平均をとるという合成を行うことにより、曲線Lθ1’
と曲線Lθ2’との凹凸、すなわち上述した第1の微位
相値および第2の微位相値の近似誤差を打ち消すため、
理想の入出力特性を示す直線Lθとほぼ同様の入出力特
性となっている。
【0092】これにより、入力位相に対して非線形性を
有した検出位相出力の入出力特性が改善され、この位相
検出回路を用いることにより、最終的に復調波形歪率あ
るいはビット誤り率の劣化をさらに軽減することができ
る。
【0093】次に第2の実施例について説明する。
【0094】上述した第1の実施例では、粗位相値と微
位相値とを出力する2つの位相情報検出部を有して、そ
れぞれの位相情報検出部が有する位相近似誤差を相殺す
るような位相合成を行うことにより、位相検出誤差を低
減するものであったが、第2の実施例では、1つの位相
情報検出部から出力された位相検出誤差を、予め定めら
れた入力位相に対する位相検出誤差出力の入出力特性を
もとに、該位相検出誤差を削除する補償を行って、位相
検出誤差の少ない位相を出力しようとするものである。
【0095】図5は、第2の実施例である位相検出回路
の構成を示す図である。
【0096】図5において、第2の実施例である位相検
出回路は、位相情報検出部40、位相合成回路46、ロ
ー・パス・フィルタ47、および補償変換回路48から
構成される。
【0097】位相情報検出部40は、位相領域検出部4
1、回転投影部42、積分回路43、量子化回路44お
よび遅延回路45を有し、図1の位相領域検出部11、
回転投影部12、積分回路13、量子化回路14および
遅延回路15にそれぞれ対応した第1の位相情報検出部
10と同様な構成である。そして、入力された複素ベー
スバンド信号SI,SQは、最終的に第1の粗位相値S
1bおよび第1の微位相値S1aとして出力される。
【0098】位相合成回路40は、位相情報検出部40
から出力された第1の粗位相値S1bと第1の微位相値
S1aとを加算した合成位相値をロー・パス・フィルタ
47に出力する。
【0099】ロー・パス・フィルタ47は、入力された
合成位相値の不要成分を除去し、該不要成分が除去され
た合成位相値を補償変換回路48に出力する。
【0100】補償変換回路48は、剰余回路50、補正
ROM51、および合成回路49を有し、入力された合
成位相値を理想の合成位相値に補償変換して出力する。
【0101】例えば図4の曲線Lθ1’が示す合成位相
値に対し、該合成位相値と直線Lθが示す理想の位相値
との位相誤差を予め補正ROM51に格納しておくこと
により、該位相誤差をなくすように入力された合成位相
値を合成回路49で合成して補償された位相値を出力す
る。なお、剰余回路50は、補正ROM51の記憶容量
を削減するために用いられる。すなわち、図4に示すよ
うに合成位相値の入出力特性が理想の入出力特性に対し
周期性を有していることから、補正ROM51には、1
周期のみの補正データが格納され、剰余回路50は、該
周期で除算した余りを補正ROM51の入力アドレスと
して、全ての入力位相に対応するようにしている。
【0102】ここで、具体的に、位相情報検出部40の
分割数N=4とした場合における補償変換回路48の補
償変換動作について説明する。
【0103】まず、分割数N=4とした場合、入力位相
値(理想の位相検出値)θをπ/4(π/N)で規格化
した検出位相値θ’は、図4の直線Lθで示す入出力特
性を示す。すなわち、理想の検出位相値θ’は、 θ’=θ/(π/4) となる。そして、補償変換回路48は、この理想の検出
位相値θ’と、位相情報検出部40から位相合成回路4
6およびロー・パス・フィルタ47を介して出力された
近似値としての合成位相値θ1’との位相誤差Δθ’
(=θ’−θ1’)を加えることにより、理想の検出位
相値θ’に補償変換して出力する。
【0104】補償変換回路48において、入力された合
成位相値θ1’は、合成回路49に入力されるととも
に、剰余回路50にも入力される。
【0105】剰余回路50では、この入力された合成位
相値θ1’に対して、「mod2」の剰余演算を行い、
剰余出力θmを得る。すなわち、 θm=θ1’ mod 2 なる式により、剰余出力θmが得られ、補正ROM51
に出力される。
【0106】補正ROM51には、剰余回路50から出
力された剰余出力θmがアドレスとして入力される。そ
して、この補正ROM51は、このアドレス(剰余出
力)θmには、次式に示す補正データΔθが格納されて
いる。すなわち、 Δθ=(4/π)arctan(θm -1)+1-θm となる補正データΔθが格納されており、入力されたア
ドレスθmに従って、対応する補正データΔθが合成回
路49に出力される。
【0107】そして、合成回路49は、ロー・パス・フ
ィルタ47から直接入力された合成位相値θ1’と補正
データΔθとを加算し、補償変換された検出位相値θ’
(θ’=θ1’+θd)を出力する。
【0108】ここで、剰余回路50において「mod 2」
の演算を行ったのは、図4において、入力される合成位
相値θ1’の入出力特性(曲線Lθ’)が理想の検出位
相値θ’の入出力特性(破線の直線Lθ)に対して周期
が2(入力位相に対しては、2×(π/4)=π/2)
で増減する特性を有するからであり、「mod 2」の演算
を行うことにより、補正ROM51は入力位相が0〜π
/2までの1周期分の補正データのみを格納すればよい
からである。
【0109】なお、上述した補正ROM51の補正デー
タΔθは、次のようにして求められる。
【0110】まず、ロー・パス・フィルタ47から入力
される合成位相値θ1’は、上述したように、 θ1’=θc1’+Dave であり、 θ’=θ/(π/4) であるから、 θ1’=θc1/(π/4)+tanθf1/tan(π/4) =(π/4)/(π/4)+tanθf1/1 =1+tanθf1 =1+tan(θ-θc1) =1+tan(θ-π/4) となる。従って、 θ=arctan(θ1’-1)+π/4 となる。従って、 θ’=(4/π)arctan(θ1’-1)+1 一方、Δθ=θ’-θ1’であるから、 Δθ=(4/π)arctan(θ1’-1)+1-θ1’ θが0〜π/2においては、θ1’=θmであるから、上述
したように、 Δθ=(4/π)arctan(θm -1)+1-θm となり、この補正データΔθがアドレスθmに従って補
正ROM51に格納されている。
【0111】そして、合成回路49が、合成位相値θ
1’と補正データΔθとを加算することにより、補償変
換された検出位相値θ’が出力される。すなわち、 θ’=θ/(π/4) =θ1’+Δθ が補償変換回路48から出力される。
【0112】これにより、位相情報検出部40から出力
され、位相合成回路46により合成され、さらにロー・
パス・フィルタ47によりフィルタリングされた位相誤
差を含む合成位相値θ1’は複素ベースバンド信号の真
の位相を示す位相値θ’に補償されて出力されることに
なる。
【0113】上述した第2の実施例によれば、第1の実
施例に比べて、2つの位相情報検出部10,20を必要
とせず、1つの位相情報検出部40のみを用いる簡易な
構成であるとともに、例えば分割数N=4の場合、補正
ROM51に記憶される補正情報は、0からπ/2まで
の入力位相のアドレスに対応する補正情報のみでよいた
め、小容量のROMで第1の実施例と同様に、入力され
た複素ベースバンド信号の位相に限りなく近い合成位相
値として補償された位相検出器を実現できるという利点
を有する。
【0114】ところで、上述した第1の位相情報検出部
10、位相情報検出部40の回路構成は、分割数N=4
とすると、非常に簡単なものとなる。すなわち、分割数
N=4とすると、例えば図1の位相検出回路において、
位相領域検出部11の機能は、入力された複素ベースバ
ンド信号のI成分およびQ成分の正負判定に帰着し、回
転投影部12の機能は、入力された複素ベースバンド信
号のI,Q成分および−I,−Q成分の4つの信号のう
ちの1つの信号を選択することに帰着するからである。
【0115】そこで、第1の実施例における第1および
第2の位相情報検出部10,20と、第2の実施例にお
ける位相情報検出部40との構成をアナログ回路とした
場合について説明する。
【0116】ここで、アナログ回路とする利点は、第1
および第2の位相情報検出部10,20あるいは位相情
報検出部40の全段にADCを設ける必要がないため、
位相検出回路あるいは該位相検出回路を含む復調器全体
の構成がさらに簡略化されるからである。
【0117】図6は、分割数N=4とした場合における
第1の位相情報検出部10あるいは位相情報検出部40
をアナログ回路で構成した位相情報検出部60の詳細構
成を示す図である。
【0118】図6において、位相情報検出部60は、位
相領域検出部61、回転投影部62、積分回路63、量
子化回路64、および遅延回路65から構成され、それ
ぞれ第1の位相情報検出部10の位相領域検出部11、
回転投影部12、積分回路13、量子化回路14、およ
び遅延回路15に相当するものである。
【0119】位相領域検出部61は、2つの比較器CO
MP1,COMP2で構成され、比較器COMP1は、
入力された複素ベースバンド信号のI成分であるI信号
SIの正負判定を行い、比較器COMP2は、入力され
た複素ベースバンド信号のQ成分であるQ信号SQの正
負判定を行う。そして、その結果はそれぞれ第1の粗位
相値S1bとして出力されるとともに、回転投影部62
に入力される。なお、比較器COMP1,COMP2が
正負判定は、基準電圧Vagとの比較において行う。
【0120】回転投影部62は、論理回路66と、4組
のスイッチトキャパシタ回路67−1〜67−4で構成
されたスイッチトキャパシタ回路67とから構成され
る。
【0121】積分回路63は、オペアンプOPAとキャ
パシタCoとで構成され、スイッチトキャパシタ回路6
7から入力された信号の積分を行う。なお、信号の積分
は、基準電圧Vagを基準として行う。
【0122】量子化回路64は、比較器COMP3で構
成され、基準電圧Vagを基準として積分回路63から入
力された信号の2値量子化を行う。そして、この2値量
子化された信号は、第1の微位相値S1aとして出力さ
れるとともに、遅延回路65に入力される。
【0123】遅延回路65は、Dフリップフロップであ
り、量子化回路64から入力された信号を、後述するク
ロックCK2に同期して遅延させ、該遅延した信号を回
転投影部62の論理回路66に入力する。これにより、
第1の微位相値S1aは、フィードバックされ、平均化
される。
【0124】ここで、図7は、クロックCK1,CK2
を示す図であり、このクロックCK1,CK2は、図示
しないクロック源から発生され、第1の位相情報検出部
60の回転投影部62および遅延回路65に使用され
る。
【0125】すなわち、回転投影部62の論理回路66
にクロックCK2が供給され、このクロックCK2が
「H」レベルの時、オンとなり、クロックCK2が
「L」レベルの時、オフとなることにより、論理回路6
6では、次式で示す選択信号a〜d、すなわち、 a=(x´・y´・z+x・y´・z´)・CK2 b=(x・y・z+x´・y・z´)・CK2 c=(x・y・z´+x・y´・z)・CK2 d=(x´・y・z+x´・y´・z´)・CK2 が、スイッチトキャパシタ回路67に供給される。ここ
で、x,yは、それぞれ比較器COMP1,COMP2
により正負判定された結果出力であり、I成分あるいは
Q成分が正であることを示し、「1」が出力され、x
´,y´は、x,yの補集合であり、I成分あるいはQ
成分が負であることを示し、「0」が出力される。ま
た、zおよびzの補集合であるz´は、遅延回路65の
出力される回転の指示信号であり、±π/4の回転を指
示する「1」と「0」が出力される。なお、「CK2」
は、クロックCK2が「H」すなわち「1」のときを示
している。
【0126】また、上述した4組のスイッチトキャパシ
タ回路67−1〜67−4は、アナログスイッチSW1
1,SW12,SW21,SWaおよびキャパシタCa
からなるスイッチトキャパシタ回路67−1、アナログ
スイッチSW13、SWbおよびキャパシタCbからな
るスイッチトキャパシタ回路67−2、アナログスイッ
チSW14,SW15,SW22,SWcおよびキャパ
シタCcからなるスイッチトキャパシタ回路67−3、
並びにアナログスイッチSW16,SWdおよびキャパ
シタCdからなるスイッチトキャパシタ回路67−4で
それぞれ構成され、アナログスイッチSW11〜16
は、クロックCK1が「H」のときに起動され、アナロ
グスイッチSW21〜22はは、クロックCK2が
「H」のときに起動され、アナログスイッチSWa〜S
Wdは、選択信号a〜dが「H」のときに起動される。
【0127】ここで、4組のスイッチトキャパシタ回路
67−1〜67−4のうち、スイッチトキャパシタ回路
67−1,67−3は、積分回路63とともに正相積分
器としての機能を実現しており、スイッチトキャパシタ
回路67−2,67−4は、積分回路63とともに逆相
積分器としての機能を実現している。
【0128】すなわち、クロックCK1が「H」レベル
のときに4組のスイッチトキャパシタ回路67−1〜6
7−4にI成分およびQ成分の電荷がキャパシタCa〜
Cdに取り込まれる。そして、この取り込まれた電荷の
うち、上述した論理回路66の論理式を満足する、すな
わち「H」レベルとなる選択信号a〜dにより選択され
た1つのキャパシタの電荷のみが、クロックCK2が
「H」のときに積分回路63に入力される。
【0129】これにより、入力された複素ベースバンド
信号のI成分、−I成分、Q成分、−Q成分のうちのど
れか1つが選択され、積分回路63に入力される。
【0130】そして、積分回路63、量子化回路64を
介して平均化された出力が第1の微位相値S1aとして
出力される。
【0131】上述したアナログ回路により構成された位
相情報検出部60は、アナログ信号として入力された複
素ベースバンド信号を最終的に1ビットの第1の微位相
値S1aあるいは2ビットの第1の粗位相値S1bとす
るディジタル信号として出力される。従って、アナログ
回路とした位相情報検出部60から出力されたディジタ
ル信号は、その後、ディジタル信号処理回路により信号
処理することができる。例えば、第1の微位相値S1a
は、量子化雑音を含んでいるが、後段にディジタル・フ
ィルタを設けることにより、容易に該量子化雑音を除去
することができる。
【0132】この位相情報検出部60は、図1における
第1の位相情報検出部10あるいは図5における位相情
報検出部40の構成として採用することができる。もち
ろん、第1の位相情報検出部10あるいは位相情報検出
部40の構成をディジタル回路構成としてもよい。この
場合、位相検出部の前段にADCを設ける必要がある。
【0133】ところで、図1の第2の位相情報検出部2
0も位相情報検出部60と同様な考えを用いることによ
り、アナログ回路で構成することができる。
【0134】ここで、第2の位相情報検出部20は、第
1の位相情報検出部10に比べて異なることは、分割数
N=4とする場合、分割された位相領域をπ/4シフト
させることである。
【0135】このπ/4シフトすなわち第1の位相情報
検出部10の分割領域をπ/4回転することを実現する
ためには、位相情報検出部60における位相領域検出部
61および回転投影部61に、入力された複素ベースバ
ンド信号のI成分およびQ成分をそれぞれ(Q+I)成
分および(Q−I)成分とする変換を行う機能を持たせ
るようにすればよい。換言すれば、入力された複素ベー
スバンド信号の位相のI−Q平面を(Q+I)−(Q−
I)平面に座標変換する処理を行うとともに、入力され
たI成分の信号およびQ成分の信号と、該信号から生成
される−I成分の信号および−Q成分の信号とからの1
つの信号の選択を、該4つの信号のうち2つの信号の組
合せ選択を行うことにより、±(Q+I)および±(Q
−I)の成分の信号を選択すればよい。
【0136】具体的には、位相領域検出部61における
I,Q成分の正負判定を、Qと−Iとの大小判定および
QとIとの大小判定に置き換え、回転投影部62から積
分回路63へ±I,±Qの入力を±(Q+I),±(Q
−I)に変更すればよい。
【0137】まず、位相領域検出部71の比較器COM
P11の正相入力にQを、逆相入力に−Iを入力し、比
較器COMP12の正相入力にQを入力し、逆相入力に
Iを入力する。これにより、(Q+I)および(Q−
I)の大小判定を行うことができる。
【0138】また、論理回路66における論理式および
該論理式により出力される選択信号を次のように変更す
る設定を行えばよい。ここで、変更前の選択信号a〜d
に対応して変更される変更後の選択信号を選択信号a’
〜d’とする。
【0139】すなわち、変更前において、選択される信
号と選択信号との関係は、選択される信号 対 選択信
号 I a −I b Q c −Q d との関係であったが、変更後においては、選択される信
号 対 選択信号 Qと I aとc −Qと−I bとd Qと−I cとb −Qと I dとa との関係を満足する選択信号a’〜d’を出力するよう
にすればよい。
【0140】従って、変更後の選択信号a’〜d’と変
更前の選択信号a〜dとの関係は、 a’=a+c b’=b+d c’=b+c d’=a+d となる。この関係式に図6の論理回路66での選択信号
a〜dを示す論理式を当てはめると次のような論理式と
なる。すなわち、 a’=(x・z´+y´・z)・CK2 b’=(x´・z´+y・z)・CK2 c’=(x・z+y・z´)・CK2 d’=(x´・z+y´・z´)・CK2 となる。この論理式に基づいた選択信号a’〜d’をそ
れぞれアナログスイッチSWa〜SWdに入力すれば、
回転投影部63から積分回路63への±I,±Qの出力
が±(Q+I),±(Q−I)に変更されて出力され
る。
【0141】これにより、第1の位相情報検出部10に
比べて分割領域がπ/4シフトした分割領域における処
理を可能とする第2の位相情報検出部20に対応したア
ナログ回路を構成することができる。
【0142】次に、上述した各種の位相検出回路あるい
は位相情報検出部を応用した復調装置について説明す
る。
【0143】図8は、本発明の一実施例である位相検出
回路を応用した復調装置の構成を示す図である。
【0144】図8において、本復調装置は、直交復調器
72、発振器73、ロー・パス・フィルタ74,75、
位相検出部76、差分位相生成部77、および変調情報
再生部78から構成される。
【0145】まず、端子71から受信したFM信号は、
直交復調器72において、発振器73と乗算を行うこと
により、I成分およびこれに直交するQ成分に分離され
た複素ベースバンド信号を生成する。そして、複素ベー
スバンド信号は、ロー・パス・フィルタ74,75によ
り波形整形され、位相検出部76に入力される。
【0146】位相検出部76は、図1で示した第1の位
相情報検出部10および第2の位相情報検出部20にそ
れぞれ相当する位相情報検出部81,82を有してい
る。そして、それぞれの位相情報検出部81,82から
入力位相に関する位相情報としての第1の粗位相値S1
bと第1の微位相値S1a、および第2の粗位相値S2
bと第2の微位相値S2aが差分位相生成部77に出力
される。なお、位相情報検出部81,82は、図6で示
したようなアナログ回路で構成されている。従って、位
相検出部76とロー・パス・フィルタ74,75との間
に、ADCは不要である。
【0147】差分位相生成部77は、一定時間間隔Tの
間の位相変化Δθ=θn−θn-1を生成し、FM復調信号
を得る。ここで、FM受信信号の場合、単位時間当たり
の位相変化は、角周波数ωに近似でき、ω≒(Δθ/
T)で表せることから、Tを適切に選ぶことにより、F
M復調信号を生成することができる。
【0148】変調情報再生部78は、送信時に対応させ
た、図示しない、帯域外雑音除去フィルタ、ディエンフ
ァシス回路、エキスパンダ回路を有し、差分位相生成部
77から出力されたFM復調信号から原変調音声情報を
獲得し、出力する。
【0149】ここで、差分位相生成部77の詳細構成に
ついて説明する。
【0150】図9は、差分位相生成部77の詳細構成を
示す図である。図9において、差分位相生成部77は、
第1の差分位相生成回路91、第2の差分位相生成回路
92、および合成回路93から構成されている。
【0151】第1の差分位相生成回路91には、位相情
報検出部81から出力された1ビットの第1の微位相値
S1aおよび2ビットの第1の粗位相値S1bが入力さ
れる。
【0152】第1の微位相値S1aは、分岐され、一方
は、加算回路94の端子Aに入力され、他方は、Dフリ
ップフロップで多段に構成される遅延回路95の端子D
に入力される。そして、遅延回路95に入力された第1
の微位相値S1aは、該遅延回路で一定時間遅延した
後、2の補数がとられて、加算回路94の端子Bに入力
される。ここで、2の補数をとるのは、加算回路94に
おいて減算を実行するためである。従って、加算回路9
4からは、第1の微位相値に対する差分微位相値が出力
される。
【0153】一方、第1の粗位相値S1bは、まずグレ
イ符号から元の2進符号に変換する変換回路96に入力
されて2進符号に変換される。そして、この変換された
2ビットの第1の粗位相値S1bのうち、一方は、加算
回路97の端子A1,A0に入力され、他方は、Dフリッ
プフロップで多段に構成される遅延回路98の端子Dに
入力される。そして、遅延回路98に入力された2ビッ
トの第1の粗位相値S1bは、それぞれ一定時間遅延し
た後、2の補数がとられて、加算回路97の端子B1,
B0に入力される。ここで、2の補数をとるのは、上述
したように加算回路97において、減算を実行するため
であり、加算回路97からは、第1の粗位相値に対する
差分粗位相値が出力される。
【0154】加算回路99は、加算回路94から入力さ
れる差分微位相値と加算回路97から入力される差分粗
位相値とを加算した第1の合成差分位相値を出力する。
【0155】第2の差分位相生成回路92は、第1の差
分位相生成回路91と全く同様の構成であるため、図9
において詳細構成は省略している。そして、第2の差分
位相生成回路92は、位相情報検出部82から出力され
た1ビットの第2の微位相値S2aと2ビットの第2の
粗位相値S2bとからそれぞれ、差分微位相値および差
分粗位相値を生成して該差分微位相値および差分粗位相
値とを加算して、第2の合成差分位相値を生成し出力す
る。
【0156】そして、合成回路93が、第1の差分位相
生成回路91から出力された第1の差分合成位相値と第
2の差分位相生成回路92から出力された第2の差分合
成位相値とを合成し、最終的な差分合成位相値として出
力する。
【0157】このように差分変調信号を復調する場合、
図1に示す位相生成部30により出力された合成位相値
に対して、その後差分位相を求めるようにしてもよい
が、図9に示す差分位相生成部では、それぞれの微位相
値あるいは粗位相値の段階で先に差分位相を求め、その
後それぞれの差分位相を合成している。
【0158】なお、図8の位相検出部76は、図1にお
ける第1の位相情報検出部10、第2の位相情報検出部
20を用いるものであるが、この位相検出部76を図5
に示す位相検出回路とし、差分位相生成部77を差分位
相生成回路91のみで構成することにより、図8と同様
に、位相検出の非線形性を大幅に軽減することができ
る。
【0159】
【発明の効果】以上説明したように、第1の発明では、
入力された複素ベースバンド信号のI成分およびQ成分
から第1の位相情報検出手段が、第1の粗位相値と第1
の微位相値とを出力し、一方第2の位相情報検出手段
が、第1の位相情報検出手段の分割された複数の位相領
域に対してπ/Nシフトした複数の位相領域により第2
の粗位相値と第2の微位相値とを出力する。そして、位
相合成手段の第1の加算手段が第1の粗位相値と第1の
微位相値とを加算し、位相合成手段の第2の加算手段が
第2の粗位相値と第2の微位相値とを加算する。さらに
位相合成手段の合成手段が第1の加算手段と第2の加算
手段との出力を合成し、最終的に検出された位相情報と
して出力するようにしている。
【0160】従って、第1の位相情報検出手段の第1の
粗位相値および第1の微位相値のみから検出された位相
の非線形性が打ち消されるように合成されるため、精度
の高い位相検出回路を実現することができるという利点
を有する。
【0161】また、第2の発明では、入力された複素ベ
ースバンド信号のI成分およびQ成分から位相情報検出
手段が、粗位相値と微位相値とを出力し、この出力され
た値に対して、変換手段が、予め定められた入出力位相
変換特性に基づいて、補正変換する補償を行い、検出さ
れた位相情報として出力するようにしている。
【0162】従って、精度の高い位相検出回路を実現す
ることができるという利点を有する。
【0163】このため、第1の発明および第2の発明に
より、FM復調においては復調波形歪率を、π/4シフ
トDQPSK等の復調においてはビット誤り率を低減
し、通信品質の劣化を防止することができる利点を有す
る。
【0164】また、第1の発明および第2の発明とも
に、第1および第2の位相情報検出手段あるいは位相情
報検出手段内の回転投影手段、積分手段、および量子化
手段をアナログ回路で構成し、本位相検出回路にAD変
換機能を持たせることにより、該位相検出回路の前段に
ADCを必要とせず、回路規模、消費電力を削減するこ
とができるという利点を有する。
【0165】さらに、第1の発明および第2の発明にお
いて、N=4とすると、位相領域検出手段の機能は、入
力された複素ベースバンド信号のI成分およびQ成分の
正負判定に帰着し、回転投影手段の機能は、入力された
複素ベースバンド信号のI,Q成分および−I,−Q成
分の4つの信号のうちの1つの信号を選択することに帰
着することから回路構成が簡単になるという利点を有す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例である位相検出回路の構
成を示す図。
【図2】第1の位相情報検出部10における複数の位相
領域と第2の位相情報検出部20における複数の位相領
域との関係を示す図。
【図3】分割数N=4とした場合における第1の位相情
報検出部10および第2の位相情報検出部20での分割
された複数の位相領域の状態を示す図。
【図4】複素ベースバンド信号の入力位相に対する全位
相値θ’,θ1’,θ2’の出力との関係を示す図。
【図5】第2の実施例である位相検出回路の構成を示す
図。
【図6】分割数N=4とした場合における第1の位相情
報検出部10あるいは位相情報検出部40をアナログ回
路で構成した位相情報検出部60の詳細構成を示す図。
【図7】クロックCK1とクロックCK2とのタイミン
グチャート。
【図8】本発明の一実施例である位相検出回路を応用し
た復調装置の構成を示す図。
【図9】差分位相生成部77の詳細構成を示す図。
【図10】従来の直交復調方式を採用した受信機の構成
を示す図。
【図11】Σ−Δ変調技術を用いて従来の受信機の不具
合を解決した従来の位相検出回路の構成を示す図。
【図12】I,Qの直交座標を用いて、図12に示す位
相検出回路の動作を説明する図。
【図13】図11の位相検出回路において、N=4とし
てI軸とQ軸とで4分割された位相領域を設定した場合
における入力位相θに対する正規化されて出力される全
位相値θ’との入出力特性を示す図。
【符号の説明】
10 第1の位相情報検出部 20 第2の位相情報検出部 11,21 位相領域検出部 12,22 回転投影部 13,23 積分回路 14,24 量子化回路 15,25 遅延回路 30 位相生成部 31 第1の加算回路 32 第2の加算回路 33 合成回路 SI,SQ 複素ベースバンド信号 S1a,S2a 微位相値 S1b,S2b 粗位相値 Sθ 合成位相値

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 入力された複素ベースバンド信号の位相
    情報を抽出する位相検出回路において、 前記複素ベースバンド信号の位相が、予め2π/Nラジ
    アン(Nは4以上の整数)づつに等分割した第1の複数
    の位相領域のうちのどの領域に属するかを検出し、該検
    出結果を第1の粗位相値として出力する第1の位相領域
    検出手段、 前記複素ベースバンド信号の位相の増加または減少方向
    を示す第1の指示信号に応じて+π/Nラジアンまたは
    −π/Nラジアン回転させ、これを前記第1の位相領域
    検出手段により検出された位相領域を2等分する中心軸
    に直交し、かつその交点を原点とし当該位相領域の位相
    の増加方向を正とする直線に投影した値を出力する第1
    の回転投影手段、 前記第1の回転投影手段の出力を積分する第1の積分手
    段、 前記第1の積分手段の出力を2値量子化し、第1の微位
    相値として出力する第1の量子化手段、 前記第1の量子化手段の出力を遅延させ、前記第1の指
    示信号として出力する第1の遅延手段を有する第1の位
    相情報検出手段と、 前記複素ベースバンド信号の位相が、前記第1の位相領
    域検出手段の有する前記第1の複数の位相領域のそれぞ
    れをπ/Nだけシフトした第2の複数の位相領域のうち
    のどの領域に属するかを検出し、該検出結果を第2の粗
    位相値として出力する第2の位相領域検出手段、 前記複素ベースバンド信号の位相の増加または減少方向
    を示す第2の指示信号に応じて+π/Nラジアンまたは
    −π/Nラジアン回転させ、これを前記第2の位相領域
    検出手段により検出された位相領域を2等分する中心軸
    に直交し、かつその交点を原点とし当該位相領域の位相
    の増加方向を正とする直線に投影した値を出力する第2
    の回転投影手段、 前記第2の回転投影手段の出力を積分する第2の積分手
    段、 前記第2の積分手段の出力を2値量子化し、第2の微位
    相値として出力する第2の量子化手段、 前記第2の量子化手段の出力を遅延させ、前記第2の指
    示信号として出力する第2の遅延手段を有する第2の位
    相情報検出手段と、 前記第1の位相情報検出手段が出力する前記第1の粗位
    相値と前記第1の微位相値とを加算出力する第1の加算
    手段、 前記第2の位相情報検出手段が出力する前記第2の粗位
    相値と前記第2の微位相値とを加算出力する第2の加算
    手段、 前記第1の加算手段による加算出力と前記第2の加算出
    力とを合成して前記複数のベースバンド信号の位相情報
    として出力する合成手段を有した位相合成手段とを具備
    したことを特徴とする位相検出回路。
  2. 【請求項2】 入力された複素ベースバンド信号の位相
    情報を抽出する位相検出回路において、 前記複素ベースバンド信号の位相が、予め2π/Nラジ
    アン(Nは4以上の整数)づつに等分割した複数の位相
    領域のうちのどの領域に属するかを検出し、該検出結果
    を粗位相値として出力する位相領域検出手段、 前記複素ベースバンド信号の位相の増加または減少方向
    を示す指示信号に応じて+π/Nラジアンまたは−π/
    Nラジアン回転させ、これを前記位相領域検出手段によ
    り検出された位相領域を2等分する中心軸に直交し、か
    つその交点を原点とし当該位相領域の位相の増加方向を
    正とする直線に投影した値を出力する回転投影手段、 前記回転投影手段の出力を積分する積分手段、 前記積分手段の出力を2値量子化し、微位相値として出
    力する量子化手段、 前記量子化手段の出力を遅延させ、前記指示信号として
    出力する遅延手段を有する位相情報検出手段と、 前記位相領域検出手段の粗位相値出力と前記量子化手段
    の微位相値出力とを合成し、該合成値を検出位相情報と
    して出力する位相合成手段と、 出力されるべき前記複素ベースバンド信号の位相に対す
    る理想の位相情報と前記位相合成手段から入力された前
    記検出位相情報との予め定められた入出力位相変換特性
    に基づき、該検出位相情報を前記理想の位相情報に変換
    して出力する変換手段とを具備したことを特徴とする位
    相検出回路。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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