JPH0892685A - 高靭性被覆焼結合金 - Google Patents

高靭性被覆焼結合金

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JPH0892685A
JPH0892685A JP25867694A JP25867694A JPH0892685A JP H0892685 A JPH0892685 A JP H0892685A JP 25867694 A JP25867694 A JP 25867694A JP 25867694 A JP25867694 A JP 25867694A JP H0892685 A JPH0892685 A JP H0892685A
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JP
Japan
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substrate
sintered alloy
coating
coated sintered
high toughness
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JP25867694A
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English (en)
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Manabu Sato
学 佐藤
Hisashi Sasaki
恒 佐々木
Kunio Shibuki
邦夫 渋木
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Tungaloy Corp
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Toshiba Tungaloy Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 被膜の耐剥離性と、耐衝撃性および耐欠損性
を向上させた被覆焼結合金を提供する。 【構成】 超硬合金またはサ−メットの基体表面に被膜
を被覆してなる被覆焼結合金における該被膜の表面にク
ラックが存在しなく、かつ該基体の表面から内部に向っ
て50μmまでの基体表面部に30kgf/mm2 以上
の圧縮応力が付与されている高靭性被覆焼結合金。 【効果】 応力処理を施してない従来の被覆焼結合金に
比べて、耐衝撃性,耐欠損性において、約80%〜6倍
も向上し、応力付与処理を施されて被膜のクラックが発
生している従来の被覆焼結合金に比べて、約40%〜
3.8倍も耐衝撃性,耐欠損性が向上し、特に基体表面
部全体に亘って30kgf/mm2 以上の圧縮応力が付
与されている本発明の被覆焼結合金の場合には、より顕
著な効果がある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐衝撃性および耐欠損
性に優れる被覆焼結合金に関し、具体的には、例えば旋
削工具,フライス工具,ドリル,エンドミルに代表され
る切削工具、製缶工具等の切断刃,ノズルに代表される
耐摩耗工具または各種の工具として最適な高靭性被覆焼
結合金に関するものである。
【0002】
【従来の技術】超硬合金やサーメットに代表される焼結
合金の基体の表面に、化学蒸着法(CVD法)、プラズ
マCVD法または物理蒸着法(PVD法)により硬質被
膜を被覆してなる被覆焼結合金が実用されている。これ
らの被覆焼結合金は、基体の優れた強度および靭性と、
硬質被膜の優れた耐摩耗性および耐溶着性とを組合わせ
て、基体と被膜の優れた特性によるシナジ−効果を発揮
させようとしたものである。ところが、実際には、被覆
焼結合金は、製造条件に基づく残留応力、または被膜の
材質と基体の材質による熱膨張係数の差に基づく残留応
力が被膜および基体の表面部に残在して耐衝撃性,耐欠
損性,耐剥離性に劣るという問題がある。
【0003】被覆焼結合金に内在する残留応力と被覆焼
結合金の諸特性との関係について検討されている代表的
なものとしては、山本らの日本金属学会誌50(3)
(1986)320、特開昭64−31972号公報お
よび特開平6−173014号公報がある。また、被覆
焼結合金の残留応力とその分布に関して検討されている
ものとして、吉川らの熱処理29(1)(1989)9
がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】山本らの日本金属学会
誌50(3)(1986)320によると、CVD法に
よる被覆焼結合金は、基体の表面部に存在する硬質相で
ある炭化タングステンおよび被膜である窒化チタンの両
方に引張応力が作用していると記載されている。そし
て、山本らの同文献には、CVD法による被覆焼結合金
は、PVD法による被覆焼結合金または被膜の被覆され
てない焼結合金に比べて、抗折強度および破壊靭性値が
極端に低下するという問題が記載されている。
【0005】また、特開昭64−31972号公報に
は、CVD法による被覆焼結合金の基体表面部に存在す
る硬質相および/または被膜に、50kg/mm2以上
の圧縮応力を付与した被覆焼結合金が記載されている。
同公報の被覆焼結合金は、従来のCVD法による被覆焼
結合金の被膜表面からショットピーニング法またはサン
ドブラスト法等により衝撃力を付加して、基体表面部の
硬質相および/または被膜に存在する引張応力を圧縮応
力とし、被覆焼結合金の強度を顕著に高めたという優れ
た合金であるが、基体の結合相量,被膜の厚さ,被膜の
膜質および多重層被膜によっては、逆に強度低下になる
という問題がある。
【0006】さらに、吉川らの熱処理29(1)(19
89)9によると、CVD法による被覆焼結合金には、
基体と被膜との界面近傍±0.3μmの範囲に限り、異
常な応力分布が存在すると記載されている。
【0007】そして、特開平6−173014号公報に
は、焼結合金の基体の表面から内部に向かって圧縮応力
が漸増し、表面から2〜20μm内部で最大の圧縮応力
となった後漸減して内部における残留応力になっている
基体上に、被膜の被覆された被覆焼結合金について開示
されている。同公報に記載の被覆焼結合金は、基体表面
部に圧縮応力を付与しているものの、圧縮応力を付与す
るための衝撃力により被膜にクラックが発生してくるこ
とになる。実際に、ショットピ−ニング等の方法によ
り、被覆焼結合金の被膜表面から衝撃力を加えて、被膜
にクラックを付与していることが、例えば特開平2−1
08702号公報,特開平2−254144号公報,特
開平3−92204号公報,特開平3−92205号公
報および特開平3−153875号公報に記載されてい
る。このように、被膜にクラックが発生しているとクラ
ックの発生状況によっては、被膜の剥離が容易になると
いう問題がある。
【0008】本発明は、上述のような従来の問題点を解
決したもので、具体的には、被覆焼結合金における被膜
にはクラックを発生させないようにし、かつ焼結合金の
基体表面部に最適な圧縮応力を付与することにより、被
膜の耐剥離性と、耐衝撃性および耐欠損性を最高に維持
できるようにした被覆焼結合金の提供を目的とするもの
である。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、被覆焼結
合金の基体表面部に付与する圧縮応力の最適値について
検討していたところ、基体表面部の硬質相に付与される
残留応力と、この残留応力の付与時に発生する被膜表面
のクラックとの関係において、基体の表面から基体の内
部に向って所定深さの位置に、所定分布の圧縮応力を付
与すると共に、この圧縮応力の付与時に被膜表面にクラ
ックを発生させないようにすると、被膜の特性と基体の
特性とのシナジ−効果を最大に発揮させ得ること、特
に、被膜の剥離性と、耐衝撃性および耐欠損性を最高に
維持できるという知見を得て、本発明を完成するに至っ
たものである。
【0010】すなわち、本発明の被覆焼結合金は、C
o,Ni、またはCoおよび/またはNiを主成分とし
て含む固溶合金でなる結合相2〜25重量%と、残りが
周期律表の4a,5a,6a族金属の炭化物,窒化物,
炭酸化物,窒酸化物およびこれらの相互固溶体から選ば
れた少なくとも1種の硬質相と不可避不純物とでなる焼
結合金の基体の表面に単層または多層でなる被膜を被覆
してなる被覆焼結合金であって、該被膜の表面にはクラ
ックが存在しなく、該基体の表面から内部に向って50
μmまでの基体表面部における該硬質相に30kgf/
mm2 以上の圧縮応力が付与されていることを特徴とす
る。
【0011】本発明の被覆焼結合金における基体は、従
来から公知公用されている超硬合金またはサーメットで
なり、具体的には、例えばTiC,ZrC,HfC,V
C,NbC,TaC,WC,Cr32,Mo2C,Ti
N,ZrN,HfN,VN,NbN,TaN,Ti
(C,N),(Ti,Ta)C,(Ti,Ta,W)
C,(Ti,Ta,Nb,W)C,(Ti,Ta)
(C,N),(Ti,Ta,W)(C,N)の中の1種
以上の硬質相と、Ni,CoまたはNi−Co合金、も
しくはこれらに硬質相の元素やFeが数%以下固溶して
なる結合相とからなるものである。これらの内、WCを
ベースとする硬質相でなる超硬合金、またはTiCやT
i(C,N)をベースとする硬質相でなるサーメットか
らなる基体の場合は、その効果が顕著になることから特
に好ましい。
【0012】基体を構成する結合相は、基体全体の2重
量%未満になると、硬質相に残存する応力を制御しても
その効果が弱く、逆に基体全体の25重量%を超えて多
くなると、本発明を構成する残留応力の範囲では、その
効果が弱くなるために、基体の結合相量を2〜25重量
%と定めた。従って、硬質相量は、結合相量と相対的関
係にあることから、75〜98重量%からなるものであ
る。
【0013】以上の硬質相と結合相とで構成される基体
の表面に被覆される被膜は、被膜の表面にクラックが存
在しなく、かつ以下に詳述する基体表面部への圧縮応力
を付与し、被覆焼結合金としての特性を高めるために、
被膜厚さが0.5〜15.0μmでなることが好まし
く、その被膜の材質が具体的には、例えばTiC,Ti
N,Ti(C,N),Ti(C,O),Ti(N,
O),Ti(C,N,O),(Ti,Al)C,(T
i,Al)N,(Ti,Al)(C,N,),(Ti,
Al)(C,O),(Ti,Al)(N,O),(T
i,Al)(C,N,O),(Ti,Zr)C,(T
i,Zr)(C,N),(Ti,Zr)N,(Ti,H
f)N,(Ti,V)N,(Ti,W)C,(Ti,C
r)C,Al23の中の1種の単層または2種以上の多
層でなるなることが好ましく、さらに被膜自体にも50
kgf/mm2以上の圧縮応力が付与されていることが
好ましいことである。
【0014】この基体の表面部に付与される圧縮応力
は、基体の表面部から内部に向って50μmまでの基体
表面部の一箇所に30kgf/mm2以上の圧縮応力が
付与されていればよいが、基体の表面から内部に向って
50μmまでの間でできるだけ長い距離区間に30kg
f/mm2以上の圧縮応力が付与されていることが好ま
しく、特に、基体の表面から内部に向って50μmまで
の全体に亘って30kgf/mm2以上の圧縮応力が付
与されていることが好ましい。このときの基体の表面部
における圧縮応力は、基体の表面から内部に向って5〜
15μm内部の位置で最大値となっていることが好まし
い。
【0015】本発明の被覆焼結合金は、従来のCVD法
またはPVD法による被覆焼結合金の表面から最適衝撃
力を付加し、基体表面部の硬質相に付与される応力を制
御することにより作製することができる。具体的には、
例えばショットピーニング法またはサンドブラスト法で
もって、所定の特性を有する物質を所定速度で被覆焼結
合金の被膜表面に飛翔衝突させることにより作製するこ
とができる。
【0016】さらに、本発明の被覆焼結合金を作製する
方法について、詳細に説明すると、基体の表面部に所定
の位置および所定の大きさの圧縮応力を付与するには、
被膜の厚さおよび材質、基体の材質、特に基体の結合相
量により大きく影響を受けるのであるが、例えばショッ
トピーニング条件、特に被膜表面から飛翔衝突させる所
定の特性を有する物質(飛翔物質)の密度,ヤング率,
ポアソン比および直径を考慮した球状体、これを飛翔さ
せる圧縮空気圧力および処理時間を制御し、被膜表面に
クラックを発生させずに基体表面部に圧縮応力を付与す
るのである。
【0017】
【作用】本発明の被覆焼結合金は、基体の表面部に存在
する硬質相に付与された圧縮応力が合金全体の耐衝撃
性,強度および耐欠損性を高める作用をし、また実用時
に、被膜表面からの大きな衝撃力によって被膜内にクラ
ックが発生した場合においても、基体の表面部の圧縮応
力がこのクラックの基体内部への進展を阻止する作用を
し、さらに被膜表面にクラックが存在しないことによ
り、被膜と基体界面方向へのクラックの進展がなく、結
果として被膜の耐剥離性を高める作用をしているもので
ある。
【0018】
【実施例1】市販のISO規格M20相当のWC基超硬
合金を基体とし、この基体の表面にア−クイオンプレ−
ティング法により、(Ti0.5,Al0.5)N0.95の被膜
を0.5〜20μm厚さ被覆した。この被覆超硬合金の
被膜表面から、平均直径0.08mmの鋼球を0.2〜
4.0kgf/mm2の圧縮空気で所定時間衝突させる
ショットピーニングを施し、本発明品1〜10を得た。
【0019】比較として、ショットピーニングを施さな
い上述の被覆超硬合金を比較品1〜5とした。またショ
ットピーニング条件の内、飛翔物質であるボ−ルを平均
粒直径0.5mmとした以外は、本発明品1〜10と略
同様に施して比較品6〜8を得た。
【0020】このときの本発明品1〜10および比較品
6〜8のショットピーニング時の圧縮空気圧力を表1に
示した。こうして得た本発明品1〜10および比較品1
〜8の被膜厚さを走査型電子顕微鏡にて測定し、その結
果を表1に併記し、さらに被膜の残留応力および基体の
表面からの基体表面部深さにおける残留応力をX線回折
法による2θ−sin2ψ法で求めて、その結果を表1
に併記した。このときの被膜および基体表面部における
残留応力は、全て圧縮応力であった。
【0021】次に、本発明品1〜10および比較品1〜
7(但し、比較品8はショットピーニング時に刃先欠損
のために、その後のテストを中止した)の被膜表面を金
属顕微鏡で観察し、被膜におけるクラックの有無を表2
に示した。さらに、本発明品1〜10および比較品1〜
7を用いて、被削材:S48C(4本スロット入り)、
切削速度:150m/min、送り:0.1mm/re
v、切込み:1.7mm、切削油:なし、工具形状:T
NMA160408の条件でもって、外周断続切削試験
を行い、その結果を表2に併記した。
【0022】
【表1】
【0023】
【表2】
【0024】
【発明の効果】本発明の被覆焼結合金は、ショットピ−
ニング処理に代表されるような応力付与処理を施さない
従来の被覆焼結合金に比べて、耐衝撃性,耐欠損性にお
いて約80%〜6倍も向上し、特に基体表面部の全体に
亘って30kgf/mm2以上の圧縮応力が付与された
本発明の被覆焼結合金の場合には、約3.7倍〜6倍も
向上するという顕著な効果があること、また応力付与処
理を施されて、被膜の表面にクラックが発生している従
来の被覆焼結合金に比べて、約40%〜3.8倍も向上
し、特に基体表面部の全体に亘って30kgf/mm2
以上の圧縮応力が付与された本発明の被覆焼結合金の場
合には、約3倍〜3.8倍も向上するという顕著な効果
がある。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Co,NiまたはCoおよび/またはN
    iを主成分として含む固溶合金でなる結合相2〜25重
    量%と、残りが周期律表の4a,5a,6a族金属の炭
    化物,窒化物,炭酸化物,窒酸化物およびこれらの相互
    固溶体から選ばれた少なくとも1種の硬質相と、不可避
    不純物とでなる焼結合金の基体の表面に単層または多層
    でなる被膜を被覆してなる被覆焼結合金であって、該被
    膜の表面にはクラックが存在しなく、該基体の表面から
    内部に向って50μmまでの基体表面部における該硬質
    相に30kgf/mm2 以上の圧縮応力が付与されてい
    ることを特徴とする高靭性被覆焼結合金。
  2. 【請求項2】 上記被膜は、膜厚が0.5〜15.0μ
    mでなることを特徴とする請求項1記載の高靭性被覆焼
    結合金。
  3. 【請求項3】 上記被膜は、Tiの炭化物,窒化物,炭
    窒化物,炭酸化物,窒酸化物,炭窒酸化物およびTiと
    Al,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Cr,Mo,Wの
    中の1種以上との複合炭化物,複合窒化物,複合炭窒化
    物,複合炭酸化物,複合窒酸化物,複合炭窒酸化物,A
    lの酸化物の中から選ばれた1種の単層または2種以上
    の多層でなり、該被膜に50kgf/mm2以上の圧縮
    応力が付与されていることを特徴とする請求項1または
    2記載の高靭性被覆焼結合金。
  4. 【請求項4】 上記基体の表面部は、該基体表面部の全
    体に亘っての上記硬質相に30kgf/mm2以上の圧
    縮応力が付与されていることを特徴とする請求項1,2
    または3記載の高靭性被覆焼結合金。
  5. 【請求項5】 上記基体の表面部における圧縮応力は、
    上記基体の表面から内部に向って5〜15μmの内部の
    位置で最大値となっていることを特徴とする請求項1,
    2,3または4記載の高靭性被覆焼結合金。
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