JPH0892638A - 容器用原板の製造方法 - Google Patents
容器用原板の製造方法Info
- Publication number
- JPH0892638A JPH0892638A JP23577294A JP23577294A JPH0892638A JP H0892638 A JPH0892638 A JP H0892638A JP 23577294 A JP23577294 A JP 23577294A JP 23577294 A JP23577294 A JP 23577294A JP H0892638 A JPH0892638 A JP H0892638A
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- Japan
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- rolling
- hot
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 缶のさらなる薄手化を可能にし、缶の軽量
化、資源の節約を可能にする容器用原板を提供する。 【構成】 冷延まま材を容器用鋼板として使用するに当
たって、極低炭素鋼の成分および熱延・巻取条件を限定
し、Tiの析出物を大きく析出させることにより、耐ネ
ックしわ性およびフランジ加工性を向上させる技術を開
示したもので、具体的にはTi添加極低炭素鋼をAr3
変態点以下、750℃以上の温度域で少なくとも全圧下
率が50%以上の熱延を行ない、800℃以下、650
℃以上の温度で巻き取ることをポイントとしている。
化、資源の節約を可能にする容器用原板を提供する。 【構成】 冷延まま材を容器用鋼板として使用するに当
たって、極低炭素鋼の成分および熱延・巻取条件を限定
し、Tiの析出物を大きく析出させることにより、耐ネ
ックしわ性およびフランジ加工性を向上させる技術を開
示したもので、具体的にはTi添加極低炭素鋼をAr3
変態点以下、750℃以上の温度域で少なくとも全圧下
率が50%以上の熱延を行ない、800℃以下、650
℃以上の温度で巻き取ることをポイントとしている。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は加工組織を有するにもか
かわらず、優れたネック加工性およびフランジ加工性を
示す容器用原板に関するものである。
かわらず、優れたネック加工性およびフランジ加工性を
示す容器用原板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】容器用原板はDI(Drawing & Ironing)
缶に代表される2ピース缶、溶接缶、接着缶などの3ピ
ース缶、それに缶蓋などに使われる。最近は缶の軽量化
の促進に従い、原板の薄手化が進められている。しか
し、従来のように冷延後、焼鈍を行ない1%から8%程
度のスキンパスをして容器用原板を製造しようとする
と、焼鈍時の板厚が薄くなり過ぎ、連続焼鈍をしようと
すると通板性が悪く、途中で破断したり、形状が変化し
たりする問題がある。そのため、焼鈍時の板厚を比較的
厚く保ち、焼鈍後に20%から50%の圧延を行なうD
R(Double Reduce)法による容器用原板の製造方法が特
公平1−52451号公報に開示されている。
缶に代表される2ピース缶、溶接缶、接着缶などの3ピ
ース缶、それに缶蓋などに使われる。最近は缶の軽量化
の促進に従い、原板の薄手化が進められている。しか
し、従来のように冷延後、焼鈍を行ない1%から8%程
度のスキンパスをして容器用原板を製造しようとする
と、焼鈍時の板厚が薄くなり過ぎ、連続焼鈍をしようと
すると通板性が悪く、途中で破断したり、形状が変化し
たりする問題がある。そのため、焼鈍時の板厚を比較的
厚く保ち、焼鈍後に20%から50%の圧延を行なうD
R(Double Reduce)法による容器用原板の製造方法が特
公平1−52451号公報に開示されている。
【0003】しかし、この方法では焼鈍することを前提
にしているので、製造コスト的には大幅なコストダウン
は達成できない。そこで、より低廉価な容器用原板の製
造方法として冷延後の焼鈍を省略した技術が特公昭54
−1244号公報に開示されている。当時の容器用鋼板
は比較的厚く、缶成形時の加工度も低かった関係で、フ
ランジ割れの起こる頻度は小さかった。しかし、近年の
鋼板の薄手化に伴い、冷延まま材を用いて容器を成形す
るとフランジ加工部で割れが発生したり、ネック加工時
にしわが生じたりする頻度が著しく高くなった。
にしているので、製造コスト的には大幅なコストダウン
は達成できない。そこで、より低廉価な容器用原板の製
造方法として冷延後の焼鈍を省略した技術が特公昭54
−1244号公報に開示されている。当時の容器用鋼板
は比較的厚く、缶成形時の加工度も低かった関係で、フ
ランジ割れの起こる頻度は小さかった。しかし、近年の
鋼板の薄手化に伴い、冷延まま材を用いて容器を成形す
るとフランジ加工部で割れが発生したり、ネック加工時
にしわが生じたりする頻度が著しく高くなった。
【0004】一方、焼鈍を省略して、加工性(製缶特
性)が良好な鋼板を製造する技術としてNbを添加した
極低炭素鋼をα域熱延して熱延板の結晶粒を大きくする
技術が特開平4−280926号公報に開示されてい
る。その技術をもっても高冷延率になると製缶時にフラ
ンジ加工部で割れが発生したり、ネック加工時にしわが
生じたりするのを避けることが難しいことが分かった。
性)が良好な鋼板を製造する技術としてNbを添加した
極低炭素鋼をα域熱延して熱延板の結晶粒を大きくする
技術が特開平4−280926号公報に開示されてい
る。その技術をもっても高冷延率になると製缶時にフラ
ンジ加工部で割れが発生したり、ネック加工時にしわが
生じたりするのを避けることが難しいことが分かった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は製造コストの
低い冷延まま材を用いて容器を成形する際、ネック加工
時にしわの発生を、そしてフランジ加工において割れが
極力発生しない鋼板を提供することを目的とする。
低い冷延まま材を用いて容器を成形する際、ネック加工
時にしわの発生を、そしてフランジ加工において割れが
極力発生しない鋼板を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明の要旨
とするところは下記のとおりである。 C :0.01%以下、 N:0.01
%以下、Al:0.005%以上、0.5%以下、S:
0.003%以上、0.02%以下、必要に応じB:
0.005%以下を含み、そしてTiをC/12+N/
14+S/32<1.2(Ti/48)なる条件を満足
するように含有し、残部Feおよび不可避的不純物から
なる鋼をAr3 変態点以下、750℃以上の温度域で少
なくとも全圧下率が50%以上の熱延を行ない、800
℃以下、650℃以上の温度で巻き取り、通常の酸洗後
70%以上、95%以下の冷延を行ない、その後焼鈍を
施さないことを特徴とする容器用原板の製造方法にあ
る。
とするところは下記のとおりである。 C :0.01%以下、 N:0.01
%以下、Al:0.005%以上、0.5%以下、S:
0.003%以上、0.02%以下、必要に応じB:
0.005%以下を含み、そしてTiをC/12+N/
14+S/32<1.2(Ti/48)なる条件を満足
するように含有し、残部Feおよび不可避的不純物から
なる鋼をAr3 変態点以下、750℃以上の温度域で少
なくとも全圧下率が50%以上の熱延を行ない、800
℃以下、650℃以上の温度で巻き取り、通常の酸洗後
70%以上、95%以下の冷延を行ない、その後焼鈍を
施さないことを特徴とする容器用原板の製造方法にあ
る。
【0007】本発明者らは様々な熱延鋼板を50%以上
冷延し、冷延まま材を用いて容器を製造し、ネック加工
時のしわの発生、フランジ加工性などを検討した。その
結果、高冷延率で冷延したままの鋼板を用いて缶を成形
すると、ネック加工時のしわの発生、フランジ加工性が
成分および熱延条件に大きく依存することを見出した。
前記の特開平4−280926号公報開示の技術ではα
域圧延を行ない熱延板の粒径が粗粒になること、ならび
に固溶C,NをNbによって析出物の形で固定すること
が重要であると述べられているが、本発明者らは冷延ま
ま材の製缶性に及ぼす成分および熱延条件の影響を検討
した結果、熱延板の粒径の影響は大きくなく、逆に細粒
の方が若干ではあるがフランジ割れの感受性の低いこと
が分かった。また、固溶C,Nを析出物の形で固定する
ことは製缶性の向上に寄与することとなり、開示技術と
同じ結果であるが、析出物の形態が製缶時のネックしわ
の発生およびフランジ割れの発生頻度に大きく影響を与
えるという新しい知見を得た。
冷延し、冷延まま材を用いて容器を製造し、ネック加工
時のしわの発生、フランジ加工性などを検討した。その
結果、高冷延率で冷延したままの鋼板を用いて缶を成形
すると、ネック加工時のしわの発生、フランジ加工性が
成分および熱延条件に大きく依存することを見出した。
前記の特開平4−280926号公報開示の技術ではα
域圧延を行ない熱延板の粒径が粗粒になること、ならび
に固溶C,NをNbによって析出物の形で固定すること
が重要であると述べられているが、本発明者らは冷延ま
ま材の製缶性に及ぼす成分および熱延条件の影響を検討
した結果、熱延板の粒径の影響は大きくなく、逆に細粒
の方が若干ではあるがフランジ割れの感受性の低いこと
が分かった。また、固溶C,Nを析出物の形で固定する
ことは製缶性の向上に寄与することとなり、開示技術と
同じ結果であるが、析出物の形態が製缶時のネックしわ
の発生およびフランジ割れの発生頻度に大きく影響を与
えるという新しい知見を得た。
【0008】本発明はこれらの知見に基づくものであっ
て、以下に本発明の限定理由を述べる。C量の上限添加
量を0.01%としたのは、これ以上の添加では後記す
るTi量との関係式を満たすことにより析出物の量が増
加し、冷延時の加工硬化が大きくなり、製缶時にネック
しわの抑制が難しくなるためである。C添加量の下限は
強いて限定する必要はない。N量を0.01%以下とし
たのは、これ以上の添加では冷延時の加工硬化が大きく
なり、製缶時にネックしわの抑制が難しくなるためであ
る。N添加量の下限もCと同様に強いて限定する必要は
ない。
て、以下に本発明の限定理由を述べる。C量の上限添加
量を0.01%としたのは、これ以上の添加では後記す
るTi量との関係式を満たすことにより析出物の量が増
加し、冷延時の加工硬化が大きくなり、製缶時にネック
しわの抑制が難しくなるためである。C添加量の下限は
強いて限定する必要はない。N量を0.01%以下とし
たのは、これ以上の添加では冷延時の加工硬化が大きく
なり、製缶時にネックしわの抑制が難しくなるためであ
る。N添加量の下限もCと同様に強いて限定する必要は
ない。
【0009】Al量の限定は、0.005%以下では他
の脱酸元素が添加されない場合、脱酸が不十分になるた
めで、Tiなどの脱酸元素が添加されている場合は、こ
れらの高価な元素が脱酸に使用されてしまうためであ
る。一方、上限を0.5%としたのは、これ以上の添加
は加工性、溶接性に好ましくないためである。Sが多量
添加されると熱延時に耳割れなどの欠陥が頻繁に起こる
ので、その上限を0.02%とする。また、下限はγ域
で熱延が終了した場合に比べてα域熱延を行なうことに
よって得られる加工性の向上がS量が0.003%以上
で見られることから、この量をその下限とした。その原
因は推論の域を超えないが変態点以下の温度域で析出す
るTiの析出物の組成がSが存在することによりTiC
からT14C2 S2 となり、析出物が粗大に析出するため
と考えられる。
の脱酸元素が添加されない場合、脱酸が不十分になるた
めで、Tiなどの脱酸元素が添加されている場合は、こ
れらの高価な元素が脱酸に使用されてしまうためであ
る。一方、上限を0.5%としたのは、これ以上の添加
は加工性、溶接性に好ましくないためである。Sが多量
添加されると熱延時に耳割れなどの欠陥が頻繁に起こる
ので、その上限を0.02%とする。また、下限はγ域
で熱延が終了した場合に比べてα域熱延を行なうことに
よって得られる加工性の向上がS量が0.003%以上
で見られることから、この量をその下限とした。その原
因は推論の域を超えないが変態点以下の温度域で析出す
るTiの析出物の組成がSが存在することによりTiC
からT14C2 S2 となり、析出物が粗大に析出するため
と考えられる。
【0010】一方、Bは粒界強度を増加させるためか、
添加すると成形性を向上するので、必要に応じ0.00
5%以下の添加は好ましい。ここで、上限の設定はこれ
以上Bを添加しても効果が飽和するためである。Tiの
添加量をC/12+N/14+S/32<1.2(Ti
/48)の条件式で限定したのは、固溶C,Nを大部分
Tiの析出物として固定することにより、製缶時の成形
性が向上するためである。
添加すると成形性を向上するので、必要に応じ0.00
5%以下の添加は好ましい。ここで、上限の設定はこれ
以上Bを添加しても効果が飽和するためである。Tiの
添加量をC/12+N/14+S/32<1.2(Ti
/48)の条件式で限定したのは、固溶C,Nを大部分
Tiの析出物として固定することにより、製缶時の成形
性が向上するためである。
【0011】次に、製造プロセスの限定理由について述
べる。缶成形に使用される原板が冷延まま材であること
をもとに、本発明の最も重要な限定条件は熱延・巻取条
件で、Ar3 変態点以下、750℃以上の温度域で少な
くとも全圧下率が50%以上の熱延を行ない、800℃
以下、650℃以上の温度で巻き取ることにより、製缶
時のフランジ加工部で割れの発生ならびにネック加工時
のしわの発生が顕著に減少する事実に基づく。
べる。缶成形に使用される原板が冷延まま材であること
をもとに、本発明の最も重要な限定条件は熱延・巻取条
件で、Ar3 変態点以下、750℃以上の温度域で少な
くとも全圧下率が50%以上の熱延を行ない、800℃
以下、650℃以上の温度で巻き取ることにより、製缶
時のフランジ加工部で割れの発生ならびにネック加工時
のしわの発生が顕著に減少する事実に基づく。
【0012】まず、熱延条件でAr3 変態点以下、75
0℃以上の温度域で少なくとも全圧下率が50%以上の
熱延を行なうよう限定したのは、この温度域で加工をす
ることにより、析出物の析出が促進されるためで、その
促進効果を十分に発揮するには少なくとも全圧下率が5
0%以上の熱延がこの温度域で必要なためである。析出
が促進され比較的大きな析出物が形成されると、冷延時
ならびに製缶時の加工硬化が小さく、ネック加工時の降
伏点(YP)が低く、しわの発生が抑制される。また、
フランジ割れの感受性も減少することが確認されてい
る。
0℃以上の温度域で少なくとも全圧下率が50%以上の
熱延を行なうよう限定したのは、この温度域で加工をす
ることにより、析出物の析出が促進されるためで、その
促進効果を十分に発揮するには少なくとも全圧下率が5
0%以上の熱延がこの温度域で必要なためである。析出
が促進され比較的大きな析出物が形成されると、冷延時
ならびに製缶時の加工硬化が小さく、ネック加工時の降
伏点(YP)が低く、しわの発生が抑制される。また、
フランジ割れの感受性も減少することが確認されてい
る。
【0013】温度域の上限をAr3 としたのは、組織が
オーステナイトではTiのFe内での拡散が遅いことと
Tiの析出物の溶解度が大きいために、析出がα−Fe
中に比べ起こりにくいためである。また、下限を750
℃としたのは、温度が低くなり過ぎるとTiのFe内で
の拡散が遅くなり析出しにくくなるためである。ところ
で、本発明ではAr3 変態点以上の温度域における熱延
条件に何ら限定条件を設けていないが、その理由はAr
3 以上の温度域での加工の履歴は製缶時の成形性にほと
んど影響を及ぼさないことが分かったためである。ま
た、熱延をすべてα域で行なっても本発明の範囲の条件
を満たせば、期待する特性が得られることを確認してい
る。
オーステナイトではTiのFe内での拡散が遅いことと
Tiの析出物の溶解度が大きいために、析出がα−Fe
中に比べ起こりにくいためである。また、下限を750
℃としたのは、温度が低くなり過ぎるとTiのFe内で
の拡散が遅くなり析出しにくくなるためである。ところ
で、本発明ではAr3 変態点以上の温度域における熱延
条件に何ら限定条件を設けていないが、その理由はAr
3 以上の温度域での加工の履歴は製缶時の成形性にほと
んど影響を及ぼさないことが分かったためである。ま
た、熱延をすべてα域で行なっても本発明の範囲の条件
を満たせば、期待する特性が得られることを確認してい
る。
【0014】巻取温度の上限を800℃としたのは、巻
取温度がこれ以上になると鋼板の酸化スケールが厚くな
り、酸洗時間が長くなったり、歩留が低下したりして経
済的に好ましくないためである。また、下限を650℃
としたのは、これ以下の温度で巻き取ると熱延板の組織
に未再結晶の部分が存在することが多くなり、缶成形時
の成形性が劣化するためである。
取温度がこれ以上になると鋼板の酸化スケールが厚くな
り、酸洗時間が長くなったり、歩留が低下したりして経
済的に好ましくないためである。また、下限を650℃
としたのは、これ以下の温度で巻き取ると熱延板の組織
に未再結晶の部分が存在することが多くなり、缶成形時
の成形性が劣化するためである。
【0015】冷延率の下限を70%と限定したのは、こ
れ以下の冷延率で容器用原板を製造しようとすると、熱
延板の板厚を極薄化しなければならなくなり、熱延での
負荷が大きくなり過ぎるためである。また、上限を95
%としたのは、現状の冷延設備ではこれ以上の冷延は経
済的負荷が大きくなり過ぎるためである。
れ以下の冷延率で容器用原板を製造しようとすると、熱
延板の板厚を極薄化しなければならなくなり、熱延での
負荷が大きくなり過ぎるためである。また、上限を95
%としたのは、現状の冷延設備ではこれ以上の冷延は経
済的負荷が大きくなり過ぎるためである。
【0016】
【実施例】表1に本発明鋼と比較鋼の化学成分を示す。
これらの鋼は転炉精練を行なった連続鋳造材である。表
2はこれらの鋼種を用いて容器用原板を製造した時の製
造条件とそれを用いて製缶した時の加工性を示す。実験
番号2を除いて、熱延は250mm厚のスラブを1100
℃から1250℃の間で加熱し、γ域で圧延を行なった
後、α域熱延を行なっている。実験番号2は50mm厚の
スラブを溶製し、すべてをα域で熱延したものである。
容器製造における加工性の評価はDI(Drawing & Iron
ing)缶と溶接缶のネック加工性とその後のフランジ加工
性で整理した。定量的評価としてはラボの製缶機で10
0缶を製造し、その際の不良缶発生率を%で示した。錫
めっき量はDI缶では1平方メーター当たり2.8g、
溶接缶では1平方メーター当たり1gである。ネック加
工はスピンネッカーを用いて行なった。また、フランジ
加工にはスピンフランジアーを用いた。
これらの鋼は転炉精練を行なった連続鋳造材である。表
2はこれらの鋼種を用いて容器用原板を製造した時の製
造条件とそれを用いて製缶した時の加工性を示す。実験
番号2を除いて、熱延は250mm厚のスラブを1100
℃から1250℃の間で加熱し、γ域で圧延を行なった
後、α域熱延を行なっている。実験番号2は50mm厚の
スラブを溶製し、すべてをα域で熱延したものである。
容器製造における加工性の評価はDI(Drawing & Iron
ing)缶と溶接缶のネック加工性とその後のフランジ加工
性で整理した。定量的評価としてはラボの製缶機で10
0缶を製造し、その際の不良缶発生率を%で示した。錫
めっき量はDI缶では1平方メーター当たり2.8g、
溶接缶では1平方メーター当たり1gである。ネック加
工はスピンネッカーを用いて行なった。また、フランジ
加工にはスピンフランジアーを用いた。
【0017】
【表1】
【0018】
【表2】
【0019】本発明の範囲内である実験番号1,2,
3,4,7,8,10,11はネック加工性ならびにフ
ランジ加工性共に良好である。ここで、実験番号4の不
良缶率が高くなっているが、これは板厚が薄いためで、
同じ板厚の比較例である実験番号16と比較すれば、本
発明鋼が優れた製缶成形性を持っていることが分かる。
一方、巻取温度が本発明の範囲外である実験番号5では
熱延板の組織が未再結晶であったためかネックしわおよ
びフランジ割れが起こる頻度が高かった。Ar3 変態点
以下、750℃以上の温度域での圧下率が30%と本発
明の範囲外の実験番号6でも欠陥の発生頻度が高かっ
た。
3,4,7,8,10,11はネック加工性ならびにフ
ランジ加工性共に良好である。ここで、実験番号4の不
良缶率が高くなっているが、これは板厚が薄いためで、
同じ板厚の比較例である実験番号16と比較すれば、本
発明鋼が優れた製缶成形性を持っていることが分かる。
一方、巻取温度が本発明の範囲外である実験番号5では
熱延板の組織が未再結晶であったためかネックしわおよ
びフランジ割れが起こる頻度が高かった。Ar3 変態点
以下、750℃以上の温度域での圧下率が30%と本発
明の範囲外の実験番号6でも欠陥の発生頻度が高かっ
た。
【0020】Cの添加量が本発明の範囲以上であった鋼
を用いた実験番号9でも製缶時に欠陥が発生した。Sの
添加量が本発明の範囲外であった鋼を用いた実験番号1
2,13の内、熱延条件については本発明の範囲を満足
する実験番号12ではα域熱延において析出するTiの
析出物が、Sが少なかったために比較的微細なTiCで
あり、製缶時にネックしわならびにフランジ割れが発生
した。一方、熱延をすべてAr3 変態点以上で行なった
場合は実験番号13と14の比較より分かるように、S
の少ない方が欠陥の発生頻度は少なくなるが、α域熱延
をしたものに比べるとその頻度は高い。
を用いた実験番号9でも製缶時に欠陥が発生した。Sの
添加量が本発明の範囲外であった鋼を用いた実験番号1
2,13の内、熱延条件については本発明の範囲を満足
する実験番号12ではα域熱延において析出するTiの
析出物が、Sが少なかったために比較的微細なTiCで
あり、製缶時にネックしわならびにフランジ割れが発生
した。一方、熱延をすべてAr3 変態点以上で行なった
場合は実験番号13と14の比較より分かるように、S
の少ない方が欠陥の発生頻度は少なくなるが、α域熱延
をしたものに比べるとその頻度は高い。
【0021】Tiの添加量がC/12+N/14+S/
32<1.2(Ti/48)なる条件を満足しなかった
鋼を用いた実験番号15,16では固溶C,Nが多く存
在したためか欠陥の発生頻度が高かった。また、Nbを
添加した極低炭素鋼を用いた実験番号17においても析
出物制御が十分でないためか欠陥発生の頻度が比較的高
かった。
32<1.2(Ti/48)なる条件を満足しなかった
鋼を用いた実験番号15,16では固溶C,Nが多く存
在したためか欠陥の発生頻度が高かった。また、Nbを
添加した極低炭素鋼を用いた実験番号17においても析
出物制御が十分でないためか欠陥発生の頻度が比較的高
かった。
【0022】
【発明の効果】本発明により、容器用原板の製造におい
て焼鈍工程を省略でき、かつ缶材のさらなる薄手化が可
能になり省エネルギー、省資源に結びつき、工業的意味
は大きい。
て焼鈍工程を省略でき、かつ缶材のさらなる薄手化が可
能になり省エネルギー、省資源に結びつき、工業的意味
は大きい。
Claims (2)
- 【請求項1】 重量%で、 C :0.01%以下、 N :0.01%以下、 Al:0.005%以上、0.5%以下、 S :0.003%以上、0.02%以下を含有し、更
にTiをC/12+N/14+S/32<1.2(Ti
/48)なる条件を満足するように含有し、残部Feお
よび不可避的不純物からなる鋼をAr3 変態点以下、7
50℃以上の温度域で少なくとも全圧下率が50%以上
の熱延を行ない、800℃以下、650℃以上の温度で
巻き取り、通常の酸洗後70%以上、95%以下の冷延
を行ない、その後焼鈍を施さないことを特徴とする容器
用原板の製造方法。 - 【請求項2】 重量%で、 C :0.01%以下、 N :0.01%以下、 Al:0.005%以上、0.5%以下、 S :0.003%以上、0.02%以下、 B :0.005%以下を含有し、更にTiをC/12
+N/14+S/32<1.2(Ti/48)なる条件
を満足するように含有し、残部Feおよび不可避的不純
物からなる鋼をAr3 変態点以下、750℃以上の温度
域で少なくとも全圧下率が50%以上の熱延を行ない、
800℃以下、650℃以上の温度で巻き取り、通常の
酸洗後70%以上、95%以下の冷延を行ない、その後
焼鈍を施さないことを特徴とする容器用原板の製造方
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP23577294A JPH0892638A (ja) | 1994-09-29 | 1994-09-29 | 容器用原板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP23577294A JPH0892638A (ja) | 1994-09-29 | 1994-09-29 | 容器用原板の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0892638A true JPH0892638A (ja) | 1996-04-09 |
Family
ID=16991017
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP23577294A Pending JPH0892638A (ja) | 1994-09-29 | 1994-09-29 | 容器用原板の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JPH0892638A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2010101074A1 (ja) | 2009-03-05 | 2010-09-10 | Jfeスチール株式会社 | 曲げ加工性に優れた冷延鋼板、その製造方法およびそれを用いた部材 |
WO2021125684A1 (ko) * | 2019-12-19 | 2021-06-24 | 주식회사 포스코 | 경도와 가공성이 우수한 구조부용 냉연강판 및 그 제조방법 |
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1994
- 1994-09-29 JP JP23577294A patent/JPH0892638A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2010101074A1 (ja) | 2009-03-05 | 2010-09-10 | Jfeスチール株式会社 | 曲げ加工性に優れた冷延鋼板、その製造方法およびそれを用いた部材 |
WO2021125684A1 (ko) * | 2019-12-19 | 2021-06-24 | 주식회사 포스코 | 경도와 가공성이 우수한 구조부용 냉연강판 및 그 제조방법 |
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