JPH0892472A - 樹脂組成物 - Google Patents

樹脂組成物

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JPH0892472A
JPH0892472A JP23160294A JP23160294A JPH0892472A JP H0892472 A JPH0892472 A JP H0892472A JP 23160294 A JP23160294 A JP 23160294A JP 23160294 A JP23160294 A JP 23160294A JP H0892472 A JPH0892472 A JP H0892472A
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resin composition
acid
mol
imide
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JP23160294A
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Mitsuo Miura
光雄 三浦
Toshiaki Yamada
敏明 山田
Hajime Ban
一 伴
Hidefumi Harada
英文 原田
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Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
Original Assignee
Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 耐熱性、機械的強度、および成形加工性、更
に難燃性にすぐれた樹脂組成物を提供すること。 【構成】 一般式(1)および(2)、 に示される構造を繰り返し単位として有する芳香族ポリ
アミドイミド共重合体とポリエステル樹脂及び燐酸エス
テル化合物からなる樹脂組成物。 【効果】 従来技術の芳香族ポリアミドイミド樹脂とポ
リエステル樹脂からなる樹脂組成物の耐熱性、機械的強
度および溶融成形性、更には難燃性を改良したものであ
り、広い範囲の成形材料用途に好適に使用される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐熱性、機械的強度、
難燃性および溶融成形性に優れた芳香族ポリアミドイミ
ド系樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】芳香族ポリアミドイミド樹脂は、耐熱
性、機械的強度、難燃性、電気特性、耐薬品性に優れた
プラスチック材料であり、従来ワニス、フイルム等とし
て使用されてきたが、成形加工性に劣り、そのほとんど
のものは、射出成形が困難であるためコンプレッション
モールド法により成形加工を行っているのが現状であ
る。芳香族ポリアミドイミド樹脂は、(イ)芳香族トリ
カルボン酸無水物とジイソシアネートを溶媒中で反応さ
せるか(イソシアネ−ト法)、(ロ)芳香族トリカルボ
ン酸無水物ハライドとジアミンを溶媒中で反応させるこ
とによって製造するのが一般的であり、イソシアネ−ト
法は、特公昭44ー19274に開示されている。この
方法は、(ロ)で必要であった高温、長時間の後処理を
施すことなく高い耐熱性と強靭性を有するポリアミドイ
ミドを得ることが可能であり、またハロゲン残基がポリ
アミドイミドに残存しないため、最近の電子、電気用途
には好適な方法でもある。しかしながら、これらの方法
より製造したポリアミドイミドは、ワニス、キャストフ
イルム等の用途には、好適であっても溶融成形性に劣る
ため溶融成形加工用途には不適であった。芳香族ポリア
ミドイミド樹脂の耐熱性を損なうこと無しに、溶融成形
性を改良する技術としては、既にイソフタル酸等の芳香
族ジカルボン酸成分を芳香族トリカルボン酸成分と両者
の合計100モル%に対して、20〜80モル%併用し
た芳香族ポリアミドイミド共重合体が提案されている
(米国特許 4,313,868号)。この共重合体
は、単なる芳香族ポリアミドイミドと比べると、溶融成
形性は改良されているが、溶融成形する際の流動開始温
度はポリアミドイミド共重合体の溶融時の分解温度に近
い高温を必要とし、良好な成形加工が出来ないのが現状
である。またこの方法は、芳香族トリカルボン酸クロラ
イドを原料とするため、ハロゲン原子が樹脂中に残存す
るので、この方法で得られる材料を電子部品用途に使用
するには問題がある。
【0003】一方、ポリエステル樹脂は、高い融点と、
優れた溶融流動性を有することが特徴であるが、ガラス
転移点温度は低く、ガラス繊維等の充填剤で補強しない
限り高い耐熱性は得られない。ちなみに代表的な芳香族
ポリエステルである、ポリブチレンテレフタレートのガ
ラス繊維強化物の熱変形温度は210℃と高いが、非強
化の熱変形温度は50〜60℃にすぎない。また、ガラ
ス繊維強化物の耐熱性も100℃以上の高温下の機械的
特性の保持と言う観点から見ると、低いガラス転移点温
度が災いして十分とは言えない。すなわち、ポリブチレ
ンテレフタレートのガラス繊維強化の室温での弾性率は
約10GPaであるが、100℃では3GPaまで低下
してしまう。このようにポリエステル樹脂、特に結晶性
の芳香族ポリエステル樹脂は、高い流動性すなわち、優
れた成形加工性を有する反面、本質的に耐熱性が劣ると
言う欠点を有している。更に、ポリエステル樹脂は、一
般に難燃性が低く、例えばハロゲン系の難燃剤を多量に
用いないと難燃性を必要とする用途には使用できない。
また燐酸エステル系難燃剤を用いた場合は、効果が見ら
れないだけでなく、耐熱性が大幅に低下する。
【0004】そこで、芳香族ポリアミドイミド樹脂の優
れた耐熱性および難燃性で、ポリエステル樹脂の低い耐
熱性および難燃性を補い、同時に芳香族ポリアミドイミ
ド樹脂の流動性を改良する技術の創出が望まれる。これ
までに、これに対する試みもなされており、例えば、芳
香族ポリアミドイミド樹脂の成形加工性を芳香族ポリア
ミドイミドより流動性の優れた全芳香族ポリエステル樹
脂とブレンドすることにより改良する技術も特開昭59
−8755公報等に提案されている。しかしながら、こ
れらの先行技術によっては、芳香族ポリアミドイミド樹
脂の成形加工性は改良されるものの、耐熱性および難燃
性の改良は不十分であり、さらに両樹脂の相溶性不足の
ために機械的強度も劣った材料しか得られなかった。更
に、成形加工性を改良するために、ポリエチレンテレフ
タレート、ポリブチレンテレフタレート等に代表される
結晶性芳香族ポリエステル樹脂を芳香族ポリアミドイミ
ド樹脂にブレンドしたところ、成形加工性は十分に改良
されるものの、耐熱性は低下し、さらに両樹脂の相溶性
不足のために、機械的強度も劣った材料しか得られなか
った。また、この材料も難燃性を満足するものではなか
った。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記の問題点を解決す
べく、本発明者らは特定構造の芳香族ポリアミドイミド
共重合体とポリエステル樹脂からなる樹脂組成物につい
て先に出願した(特願平5−28092号公報)。この
樹脂組成物により、芳香族ポリアミドイミド樹脂の成形
加工性を改良し、耐熱性および機械的強度に優れた樹脂
組成物を提供した。しかしながら、難燃性については未
だ充分に満足出来るものではなかった。本発明は、上記
のような従来の芳香族ポリアミドイミド樹脂組成物にみ
られる種々の問題点を解決したもので、成形加工性、耐
熱性、機械的強度、更に難燃性に優れた芳香族ポリアミ
ドイミド系樹脂組成物を提供するにある。
【0006】
【問題点を解決するための手段】本発明者らは、鋭意検
討した結果、特定構造の芳香族ポリアミドイミド共重合
体とポリエステル樹脂からなる樹脂組成物に燐酸エステ
ル化合物を添加することにより、耐熱性を低下させず
に、難燃性を改良し、更に機械的強度(特に引張り強
度)が改良されることを見いだした。この燐酸エステル
化合物の添加による機械的強度の改良は、従来予想し得
ない特異的な効果を発現する。即ち、本発明は、(A)
一般式(1)および(2)の構造を繰り返し単位として
有する芳香族ポリアミドイミド共重合体、(B)ポリエ
ステル樹脂および(C)燐酸エステル化合物からなる樹
脂組成物に関するものである。
【化2】 [一般式(1)においてArは少なくとも一つの炭素6
員環を含む3価の芳香族基を示す。また、一般式(2)
において、Ar1 は少なくとも一つの炭素6員環を含む
2価の芳香族基を示す。さらに(1)、(2)において
Rは2価の芳香族および/または脂肪族基を示す。]
【0007】本発明の樹脂組成物に使用される芳香族ポ
リアミドイミド共重合体は、一般式(1)および(2)
の構造を繰り返し単位として有し、(1)、(2)各構
造の合計100モル%に対し、(1)が5モル%〜95
モル%で、(2)が5モル%〜95モル%からなる構造
であり、好ましくは(1)が10モル%〜70モル%
で、(2)が90モル%〜30モル%、より好ましくは
(1)が10モル%〜50モル%で、(2)が90モル
%〜500モル%、最も好ましくは(1)が10モル%
〜30モル%で、(2)が90モル%〜70モル%から
なる構造を有する樹脂組成物である。(1)と(2)の
構造の構成比が前記した量範囲を外れると、耐熱性と機
械的強度等が損なわれる。(1)の構造単位は、芳香族
トリカルボニル基を含むポリアミドイミド構造単位、
(2)の構造は、芳香族ジカルボニル基を含むポリアミ
ド構造単位である。
【0008】前記した一般式(1)のArの具体例とし
ては、次の化3に示すものが挙げられる。
【化3】
【0009】これらのうち好ましいものは、次の化4に
示すものである。
【化4】
【0010】また前記した一般式(1)、(2)のRは
2価の芳香族および/または脂肪族基であり、その具体
例としては次の化5、化6に示したものが挙げられる。
【0011】
【化5】
【化6】
【0012】これらのうち好ましいものとしては次の化
7が挙げられる。
【化7】
【0013】また特に好ましいものとしては次の化8が
挙げられる。
【化8】
【0014】最も好ましいものは次の化9である。
【化9】
【0015】また、前記した一般式(2)のAr1 は、
2価の芳香族基であり、その具体例としては、次の化1
0に示すものが挙げられる。
【化10】
【0016】これらのうち好ましいものとしては次の化
11が挙げられる。
【化11】
【0017】また特に好ましいものとしては次の化12
が挙げられる。
【化12】
【0018】本発明の樹脂組成物に使用する芳香族ポリ
アミドイミド共重合体は、(イ)芳香族トリカルボン酸
無水物および芳香族ジカルボン酸とジイソシアネートよ
りアミド系、非アミド系溶媒中で製造する方法、(ロ)
芳香族トリカルボン酸無水物ハライドおよび芳香族ジカ
ルボン酸ジハライドとジアミンから前記溶媒中で製造す
る方法、更には(ハ)芳香族トリカルボン酸無水物およ
び芳香族ジカルボン酸とジアミンより前記溶媒中で燐
酸、亜燐酸エステル系等の触媒を使用し製造する方法、
のいずれの方法によっても製造可能である。これらの方
法のうち、(ロ)は、前述のハロゲン残存の問題があり
更にイミド環形成のための高温での後処理が必要であ
り、(ハ)も高温での後処理が必要であることから、
(イ)が最も好ましい製造方法である。本発明におい
て、高い耐熱性、機械的強度、難燃性および良好な成形
加工性を有する樹脂組成物を与える芳香族ポリアミドイ
ミド共重合体は、実質的にアミドイミド構造とアミド構
造が、ランダムに配列したランダム共重合体と、アミド
イミド構造とアミド構造がそれぞれ一定鎖長で連続して
結合したブロック共重合体、アミドイミド構造とアミド
構造が交互に結合した交互共重合体があり、このいずれ
の構造のものであっても構わない。
【0019】本発明の樹脂組成物に好適な芳香族ポリア
ミドイミド共重合体を製造する方法として、最も好まし
い(イ)の方法で使用する芳香族トリカルボン酸無水
物、芳香族ジカルボン酸、ジイソシアネートとは、次の
一般式化13、化14、化15で表示される化合物であ
る。
【0020】
【化13】 (式中Arは、前記一般式(1)のArと同じ意味を有
する。)
【化14】 (式中Ar1 は、前記一般式(2)のAr1 と同じ意味
を有する。)
【化15】O=C=N−R−N=C=O (式中Rは、一般式(1)と(2)のRと同じ意味を有
する。)
【0021】本発明において、高い耐熱性、機械的強
度、難燃性および良好な成形加工性を有する樹脂組成物
を与える芳香族ポリアミドイミド共重合体を高い重合度
と収率で製造するためには、前記(イ)の方法において
は、ジイソシアネートのモル数をP、芳香族トリカルボ
ン酸無水物および芳香族ジカルボン酸の合計のモル数を
Qとしたとき両者のモル比は、0.9<Q/P<1.1
に保たれることが好ましく、0.99<Q/P<1.0
1に保たれる事がより好ましい。
【0022】本発明に使用される芳香族ポリアミドイミ
ド共重合体は、好適には、一般式化13〜化15の成分
の所定量を溶媒中で重合して得られる。本発明の芳香族
ポリアミドイミド共重合体の製造に際して、反応温度、
反応時間、触媒添加方法は重要な条件であり、これを最
適に保つことによりアミド化反応とイミド化反応を制御
することができるが、基本的には、アミド化反応が実質
的に終了するまで、即ち、少なくとも70%、好ましく
は80%以上、更に好ましくは90%以上、最も好まし
くは95%以上終了するまでイミド化反応が起こらない
条件でアミド化反応を行い、ついでイミド化反応を行う
条件下で実施するのであれば差し支えない。アミド化反
応が実質的に終了するまでイミド化反応を開始しないた
めには、アミド基の成分とイミド基の成分を重合反応の
間追跡する必要があるが、この方法は、公知の赤外分光
法、ガスクロマトグラム法等により可能である。
【0023】すなわち、アミド化反応の温度範囲は50
〜110℃、好ましくは60〜110℃、より好ましく
は80〜110℃で行い、次いでイミド化反応の温度範
囲は110〜200℃、好ましくは110〜180℃、
より好ましくは110〜170℃で行うことにより、実
質的にアミド化反応が終了してからイミド化反応が起こ
り、溶融成形性に優れかつ強靭なポリアミドイミドが製
造される。アミド化反応とイミド化反応における温度
は、上記の温度範囲内であればいかように設定してもよ
いが、最も好ましいのは、アミド化反応温度に対しイミ
ド化反応温度を20から80℃高くし、それぞれ一定温
度に保つのが好ましい。この範囲より低い場合はアミド
化反応とイミド化反応が完結せず、その結果ポリアミド
イミドの重合度が上がらず、高い場合はアミド化反応と
イミド化反応が同時に進行し、これを用いて本発明の樹
脂組成物を製造しても溶融成形性の劣ったものしか得ら
れない。また反応時間は、アミド化反応は30分から5
時間、好ましくは30分から2時間、イミド化反応は3
0分から10時間、好ましくは1時間から8時間であ
る。反応時間が、これより短すぎると重合度は上がら
ず、長すぎると樹脂組成物の溶融時の流動性及び滞留安
定性が損なわれる。
【0024】本発明の樹脂組成物に好適に使用される芳
香族ポリアミドイミド共重合体の製造に用いられる溶媒
は、生成するポリアミドイミドに相溶性を有する、N−
メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルア
セトアミド、 ジメチルスルフォキシド、ジメチルスル
ホラン、テトラメチレンスルホン、ジフェニルスルフォ
ン、γーブチロラクトン等と、ポリアミドイミドと相溶
性を有しない極性溶媒、具体的には、ニトロベンゼン、
ニトロトルエン、アセトニトリル、ベンゾニトリル、ア
セトフェノン、ニトロメタン、ジクロロベンゼン、アニ
ソール等に大別されるが、これらは、混合して使用して
もさしつかえない。前記した内、好ましい溶媒は、ポリ
アミドイミドと相溶性を有する溶媒である。またこれら
の溶媒は、モノマー原料の溶媒に対する割合で、0.1
〜4モル/リットルで使用するのが好ましい。
【0025】本発明の樹脂組成物に好適に使用される芳
香族ポリアミドイミド共重合体の製造には、従来技術に
記載されている各種触媒を使用することができるが、溶
融成形加工性を損なわないためには、その使用量は必要
最小限に制限されるべきであり、重合速度が十分な実用
水準にある限りは、使用しないことが好ましい。触媒を
具体的に例示するならば、ピリジン、キノリン、イソキ
ノリン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブ
チルアミン、N,N−ジエチルアミン、γ−ピコリン、
N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、トリエ
チレンジアミン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,
0]ウンデセン−7等の第三級アミン、また酢酸コバル
ト、ナフテン酸コバルト、オレイン酸ナトリウム、等の
弱酸の金属塩、重金属塩、アルカリ金属塩等を挙げるこ
とが出来る。
【0026】また、本発明の樹脂組成物に好適な芳香族
ポリアミドイミド共重合体を製造するにあたり、溶媒、
モノマー等から構成される重合系の含有水分は、500
ppm以下に保つことが好ましく、より好ましくは10
0ppm、最も好ましくは50ppm以下に保たれる。
系内含有水分の量がこれらより多いと、これにより得ら
れる樹脂組成物の溶融成形性を損なう。
【0027】また、分子量調整剤の少量の使用は何等制
限されるものではない。代表的な分子量調節剤として
は、安息香酸等のモノカルボン酸類、無水フタル酸、無
水コハク酸、ナフタレンジカルボン酸無水物等のジカル
ボン酸無水物類、フェニルイソシアネート等のモノイソ
シアネート類、フェノール類といった一官能性化合物が
挙げられる。
【0028】また、本発明の樹脂組成物に好適な芳香族
ポリアミドイミド共重合体の重合度は、ジメチルホルム
アミド中30℃で濃度1g/dlで測定した還元粘度で
表示するならば、0.1dl/gから2.0dl/g
が好適に用いられ、より好ましくは0.1dl/gから
1.0dl/gが、最も好ましくは、0.2dl/gか
ら0.7dl/gが好適に使用される。
【0029】本発明に好適に使用される芳香族ポリアミ
ドイミド共重合体は、メタノール、イソプロパノール等
のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケ
トン類、ヘプタン、トルエン等の脂肪族、芳香族炭化水
素類により沈澱、洗浄することにより回収されるが、重
合溶媒を直接濃縮して得ても構わない。更には、ある程
度まで濃縮した後、押出機等により減圧下に溶媒を除去
しペレット化する方法も好適である。
【0030】本発明の樹脂組成物に用いられるポリエス
テル樹脂とは、分子の主鎖にエステル結合を有する熱可
塑性樹脂を言い、具体的には、ジカルボン酸またはその
誘導体と、2価のアルコールまたは、2価のフェノール
化合物から得られる重縮合物;ジカルボン酸または、そ
の誘導体と環状エーテル化合物とから得られる重合体;
ジカルボン酸の金属塩とジハロゲン化合物とから得られ
る重縮合物;環状エステル化合物の開環重合物等が挙げ
られる。ここでジカルボン酸誘導体とは、酸無水物、エ
ステル、酸ハライド等を言う。ジカルボン酸は、脂肪族
であっても芳香族であってもよい。また芳香族ジカルボ
ン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、
フタル酸、クロルフタル酸、ニトロフタル酸、p−カル
ボキシルフェニル酢酸、p−フェニレンジ酢酸、m−フ
ェニレンジグリコール酸、p−フェニレンジグリコール
酸、ジフェニルジ酢酸、ジフェニル−p,p’−ジカル
ボン酸、ジフェニルエーテル−p,p’−ジカルボン
酸、ジフェニル−m,m’−ジカルボン酸、ジフェニル
−4,4’−ジ酢酸、ジフェニルメタン−p,p’−ジ
カルボン酸、ジフェニルエタン−p,p’ジカルボン酸
−スチルベンジカルボンン酸、ジフェニルブタン−p,
p−ジカルボン酸、ベンゾフェノン−4,4’−ジカル
ボン酸、ナフタリン−1,4−ジカルボン酸、ナフタリ
ン−1,5−ジカルボン酸、ナフタリン−2,6−ジカ
ルボン酸、ナフタリン−2,7−ジカルボン酸、p−カ
ルボキシフェノキシ酢酸、p−カルボキシフェノキシブ
チル酸、1,2−ジフェノキシプロパン−p,p−ジカ
ルボン酸、1,3−ジフェノキシプロパン−p,p’−
ジカルボン酸、1,4−ジフェノキシブタン−p,p’
−ジカルボン酸、1,5−ジフェノキシペンタン−p,
p’−ジカルボン酸、1,6−ジフェノキシヘキサン−
p,p’−ジカルボン酸、p−(p−カルボキシフェノ
キシ)安息香酸、1,2−ビス(2−メトキシフェノキ
シ)−エタン−p,p’−ジカルボン酸、1,3−ビス
(2−メトキシフェノキシ)−プロパン−p,p’−ジ
カルボン酸等を挙げることができる。また、脂肪族ジカ
ルボン酸としては、例えば、蓚酸、琥珀酸、アジピン
酸、コルク酸、マゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジ
カルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、マレイン酸、フ
マル酸等が挙げられる。好ましいジカルボン酸の例は、
芳香族ジカルボン酸であり、さらに好ましくは、テレフ
タル酸、イソフタル酸、ナフタリン−2,6−ジカルボ
ン酸を挙げることができる。
【0031】2価アルコールとしては、エチレングリコ
ール、プロパン−1,2−ジオール、プロパン−1,3
−ジオール、ブタン−1,3−ジオール、ブタン−1,
4−ジオール、2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジ
オール、cis−2−ブテン−1,4−ジオール、tr
ans−2−ブテン−1,4−ジオール、テトラメチレ
ングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチ
レングリコール、ヘプタメチレングリコール、オクタメ
チレングリコール、デカメチレングリコール等が挙げら
れる。好ましい2価のアルコールの例は、エチレングリ
コール、プロパン−1,2−ジオール、プロパン−1,
3−ジオール、ブタン−1,3−ジオール、ブタン−
1,4−ジオールを挙げることができ、さらに好ましく
は、エチレングリコール、ブタン−1,4−ジオールを
挙げることができる。2価フェノール化合物としては、
ヒドロキノン、レゾルシン、4,4’−ジヒドロキシジ
フェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサ
ン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス
(4−ヒドロキシフェニル)スルフォン、ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)ケトン、4−ヒドロキシフェニル3−ヒドロ
キシフェニルケトン等を挙げることができる。前記、環
状エーテル化合物としては、エチレンオキサイド、プロ
ピレンオキサイド等を挙げることができ、また前記環状
エステル化合物としては、ε−カプロラクトン、δ−バ
レロラクロンを挙げることができる。ジカルボン酸金属
塩と反応させる、ジハロゲン化合物とは、上記2価アル
コールまたは、2価フェノール化合物の水酸基を塩素、
または、臭素と言ったハロゲン原子で置換することによ
って得られる化合物を言う。本発明の樹脂組成物に使用
されるポリエステルは、以上の原料を使用し公知の方法
例えば、エステル交換法、直接脱水縮合、界面重縮合に
よる脱ハロゲン化金属等の方法よって製造される。
【0032】本発明の樹脂組成物の溶融成形性と耐熱性
バランスを好適に保つために、好ましいポリエステル樹
脂は、芳香族ジカルボン酸およびこれの誘導体と二価の
アルコールを原料とする結晶性芳香族ポリエステル類で
あり、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレ
フタレート等のテレフタル酸またはその誘導体を原料と
するポリエステル類;ポリエチレンナフタレート、ポリ
ブチレンナフタエート等のナフタリンジカルボン酸、特
にナフタリン−2,6−ジカルボン酸または、その誘導
体を原料とするポリエステル類を例示することができ
る。さらに好ましいものは、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリブチレンテレフタレート等のテレフタル酸また
は、これの誘導体と二価のアルコールを原料とするポリ
エステル類であり、最も好ましいものは、ポリエチレン
テレフタレート、ポリブチレンテレフタレートである。
【0033】本発明の樹脂組成物に用いられる燐酸エス
テルとは、種々の燐酸とアルコールから誘導されるエス
テルをいい、具体例として 非ハロゲン燐酸エステルと
しては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェ
ート、トリプロピルホスフェート、トリブチルホスフェ
ート、トリ−2−エチルヘキシルホスフェート、トリブ
トキシエチルホスフェート、トリフェニルホスフェー
ト、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフ
ェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニル
ジフェニルホスフェート、2−エチルヘキシルジフェニ
ルホスフェート、前記化合物とフェノール類との縮合燐
酸エステル等が挙げられる。また含ハロゲン燐酸エステ
ルとしては、トリス(クロロエチル)ホスフェート、ト
リス(クロロプロピル)ホスフェート、トリス(ジクロ
ロプロピル)ホスフェート、トリス(トリブロモネオペ
ンチル)ホスフェート、前記化合物とフェノール類との
縮合燐酸エステル等が挙げられる。これらのうち好まし
いものは、非ハロゲン燐酸エステルが好ましく、特に芳
香環を2個以上有するトリフェニルホスフェート、トリ
クレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、
クレジルフェニルホスフェート、キシレニルジフェニル
ホスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェ
ート及び前記化合物とフェノール類との縮合燐酸エステ
ルが挙げられる。特に好ましくは、トリフェニルホスフ
ェートおよび前記化合物とフェノール類との縮合燐酸エ
ステルが挙げられる。縮合燐酸エステルの一例として化
16に示すものが挙げられる。
【0034】
【化16】
【0035】本発明の樹脂組成物において、(A)前記
一般式(1)および(2)の構造を繰り返し単位として
有する芳香族ポリアミドイミド共重合体と(B)ポリエ
ステル樹脂は、両者の合計100重量%に対して(A)
を5〜95重量%、好ましくは10〜70重量%、より
好ましくは10〜65重量%、最も好ましくは、10〜
50重量%を配合する。また(B)は、5〜95重量
%、好ましくは30〜90重量%、より好ましくは35
〜90重量%、最も好ましくは50〜90重量%を配合
する。(A)成分がこの量より多いと溶融時の流動性が
低下し、少ないと耐熱性は低下する。また、(C)燐酸
エステル化合物は、(A)および(B)両者の合計10
0重量部に対して1〜50重量部、好ましくは1〜30
重量部、より好ましくは3〜20重量部を配合する。
(C)成分がこの量より多いと耐熱性が低下し、少ない
と良好な難燃性が得られない。
【0036】本発明の樹脂組成物は各成分を溶融混練し
て製造されるが、溶融混練の温度は200〜400℃、
好ましくは230〜380℃で、混練方法は押出機、ニ
ーダー、バンバリーミキサー、ロールその他で行うこと
ができる。好ましい方法は2軸押出機による方法であ
る。
【0037】本発明の樹脂組成物には、所望に応じて、
充填材、顔料、滑剤、可塑剤、安定剤、紫外線吸収剤、
難燃助剤の各種の添加剤、他の樹脂、エラストマーな
ど、その他の成分が適宜配合され得る。充填材の例とし
ては、ガラスビーズ、ウオラストナイト、マイカ、タル
ク、クレー、アスベスト、炭酸カルシウム、水酸化マグ
ネシウム、シリカ、ケイソウ土、グラファイト、カーボ
ランダム、二硫化モリブデンで示される鉱物質充填剤;
ガラス繊維、ミルドファイバー、チタン酸カリウム繊
維、ボロン繊維、炭化ケイソ繊維、黄銅、アルミニウ
ム、亜鉛などの金属繊維等の無機繊維;炭素繊維、アラ
ミド繊維に代表される有機繊維;アルミニウムや亜鉛の
フレークを挙げることができる。充填材は、全樹脂と充
填材の合計100重量%に対して1〜50重量%使うこ
とが好ましい。好ましい充填剤は、ミルドファイバー、
ガラス繊維であり、これらをエポキシ系、アミノ系等の
シランカップリング剤で処理したものも好適に使用され
る。
【0038】顔料としては、酸化チタン、硫化亜鉛、酸
化亜鉛等が例示される。滑剤としては、鉱油、シリコン
オイル、エチレンワックス、ポリプロピレンワックス、
ステアリン酸のナトリウム、リチウムなどの金属塩、モ
ンタン酸のナトリウム、リチウム、亜鉛などの金属塩、
モンタン酸のアミド、エステル、などが代表的なものと
して例示される。
【0039】また各種の添加剤の例を挙げると、この樹
脂組成物には難燃助剤が使用されてもよく、その例とし
てはアンチモン、ほう素、亜鉛あるいは鉄の化合物など
が挙げられる。更にその他の添加剤として立体障害性フ
ェノール、ホスファイト系化合物のごとき安定剤;蓚酸
ジアミド系化合物、立体障害性アミン系化合物で例示さ
れる紫外線吸収剤などがある。
【0040】前述の他の樹脂の例としては、エピクロル
ヒドリンと2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プ
ロパン等の2価フェノールより製造される、エポキシ樹
脂、フェノキシ樹脂;ナイロン−6、ナイロン−10、
ナイロン−12、ナイロン−6,6、ナイロン−MX
D,6、ナイロン−4,6、ナイロン−6,T、ナイロ
ン−6,I等の脂肪族、芳香族の結晶性ポリアミド;脂
肪族、芳香族の非晶性ポリアミド;ヒドロキノン、レゾ
ルシン、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4
−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)スルフォン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スル
フィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、4−
ヒドロキシフェニル3−ヒドロキシフェニルケトン等の
二価フェノールとホスゲンあるいはジフェニルカーボネ
ート、ジメチルカーボネートをモノマーとして使用製造
されるポリカーボネート類;二価フェノールとホスゲン
あるいはジフェニルカーボネート、ジメチルカーボネー
トおよび前述のジカルボン酸およびその誘導体ををモノ
マーとして使用し製造されるポリエステルカーボネート
類;2,6−ジメチルフェノールの酸化カップリング重
合により得られるポリフェニレンエーテル;ポリスルフ
ォン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルフ
ォン、ポリエーテルイミド、ポリチオエーテルケトン、
ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン等の
芳香族樹脂などが例示的に挙げられる。これらの中で好
ましいものは、ポリフェニレンスルフィドおよびポリカ
ーボネート類であり、特に二価フェノールとして、2,
2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを使用す
るポリカーボネートである。
【0041】またエラストマーの例としては、前述の二
価のアルコールとテレフタル酸からなる、アルキレンテ
レフタレート単位を主体とする高融点ハードセグメント
とポリ(エチレンオキサイド)グリコール、ポリ(プロ
ピレンオキサイド)グリコール等のポリエーテルグリコ
ール、もしくは、脂肪族ジカルボン酸と二価のアルコー
ルから製造される脂肪族ポリエステルからなるソフトセ
グメントとのブロック共重合体に代表されるポリエステ
ルエラストマー(代表的商品としては東洋紡┻製ペルプ
レン、デユポン社製ハイトレルが挙げられる);ナイロ
ン11およびナイロン12等のハードセグメントとポリ
エーテル、もしくは、ポリエステルのソフトセグメント
のブロック共重合体に代表されるポリアミドエラストマ
ー(代表的商品としてはEMS CHEMIE社製グリ
ルアミドが挙げられる);低密度、高密度、超高分子
量、直鎖低密度等の各種ポリエチレン;ポリプロピレ
ン;エチレン、プロピレンの共重合体であるEPエラス
トマー;エチレン、プロピレンとノルボルネン類、シク
ロペンタジエン類、1,4−ヘキサジエン等の非共役の
共重合体であるEPDMエラストマー;エチレン、プロ
ピレン、ブテン−1等のα−オレフィンとグリシジルア
クリレート、グリシジルメタクリレート等のα、β−不
飽和酸のグリシジルエステルとの共重合体エラストマ
ー;エチレン、プロピレン、ブテン−1等のα−オレフ
ィンと酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、アクリル酸メ
チル、メタクリル酸メチル等の不飽和エステルとの共重
合体エラストマー;以上のポリエチレレン、ポリプロピ
レン、EP、EPDM、α−オレフィン共重合体エラス
トマーの無水マレイン酸に代表されるα、β−不飽和ジ
カルボン酸無水物、あるいは、グリシジルメタクリレー
ト等のα、β−不飽和酸のグリシジルエステルのグラフ
ト変性体;スチレン等のビニル芳香族化合物のA成分と
ブタジエン、イソプレン等のジエン成分のBよりなる、
A−B−A’、A−B型エラストマー状ブロック共重合
体;B成分が水添されたA−B−A’、A−B型エラス
トマー状ブロック共重合体さらには、無水マレイン酸に
代表されるα、β−不飽和ジカルボン酸無水物、あるい
は、グリシジルメタクリレート等のα、β−不飽和酸の
グリシジルエステルによりグラフト変性されたA−B−
A’、A−B型エラストマー状ブロック共重合体および
同様にグラフト変性された、B成分が水添されたA−B
−A’、A−B型エラストマー状ブロック共重合体;ポ
リスルフィドゴム、シリコンゴムなどが例示される。
【0042】
【発明の効果】本発明の芳香族ポリアミドイミド共重合
体、ポリエステル樹脂および燐酸エステル化合物からな
る樹脂組成物は、従来技術の芳香族ポリアミドイミド樹
脂とポリエステル樹脂からなる樹脂組成物の耐熱性、溶
融成形性、機械的強度及び難燃性を改良したものであ
る。これらの樹脂組成物は、高耐熱性と高い機械的強度
と優れた溶融成形性、さらに優れた難燃性を必要とされ
る成形材料用途に好適に使用される。
【0043】以下、参考例、実施例、および比較例によ
って本発明の樹脂組成物を更に詳細に説明する。また、
参考例で製造した芳香族ポリアミドイミド共重合体は表
1に、実施例、比較例の結果は、表2〜4に示した。
【0044】参考例1 水分含有量15ppmのN−メチルピロリドン3リット
ルを、攪拌機、温度計及び先端に塩化カルシウムを充填
した乾燥管を装着した還流冷却器を備えた反応器(容量
5リットル)に仕込んだ。ここに無水トリメリット酸1
55.5g(全モノマー成分のモル数の和に対し14モ
ル%)、イソフタル酸345.7g(同36モル%)、
次いで2,4−トリレンジイソシアネート503.3g
(同50モル%)を加えた。無水トリメリット酸とイソ
フタル酸添加時の系内水分は30ppmであった。最
初、室温から20分を要して内容物温度を100℃と
し、この温度で70分間重合を行った。重合を行いなが
ら、イソシアネート基の減少量とイミド基の生成量を測
定した。測定法は、少量の反応液を注射器でサンプリン
グし、赤外法でイソシアネート基の2276cm-1の吸
収を定量することによって行った。70分間重合を行っ
たところでイソシアネート基の量は14モル%に減少し
た。この時イミド基の吸収(1780cm-1)は全く認
められなかった。これによりイミド化反応が起こる以前
に、アミド化反応が終了したことを確認した。この後1
5分を要して115℃に昇温し、この温度に保ったまま
重合を4時間継続し、さらに160℃で2時間重合を行
った。重合終了後ポリマー溶液をN−メチルピロリドン
の2倍容のメタノール中に強力な攪拌下に滴下した。析
出したポリマーを吸引ろ別し、さらにメタノール中に再
分散させてよく洗浄後ろ別し、200℃で10時間減圧
乾燥を行い、ポリアミドイミド粉末を得た。ジメチルホ
ルムアミド溶液(濃度1.0g/dl)でこのものの3
0℃における還元粘度を測定したところ0.42dl/
gであった。またガラス転移点温度を、デファレンシャ
ルスキャンニングカロリメトリー(DSC)法により測
定した。結果は、他の参考例とともに表1に示した。
【0045】参考例2 水分含有量15ppmのN−メチルピロリドン3リット
ルを、5リットルの攪拌機、温度計、先端に塩化カルシ
ウムを充填した乾燥管を装着した還流冷却器を備えた反
応器に仕込んだ。ここに無水トリメリット酸222.1
g(同20モル%)、イソフタル酸288.1g(同3
0モル%)、次いで2,4−トリレンジイソシアネート
503.3g(同50モル%)を加えた。無水トリメリ
ット酸とイソフタル酸添加時の系内水分は30ppmで
あった。この後、参考例1と同様に重合、処理をおこな
い、ポリアミドイミド粉末を得た。ジメチルホルムアミ
ド溶液(濃度1.0g/dl)でこのものの30℃にお
ける還元粘度を測定したところ0.40d/gであっ
た。
【0046】参考例3 水分含有量15ppmのN−メチルピロリドン3リット
ルを、参考例1と同一の反応器に仕込んだ。ここに無水
トリメリット酸333.1g(同30モル%)、イソフ
タル酸192.0g(同20モル%)、次いで2,4−
トリレンジイソシアネート503.3g(同50モル
%)を加えた。無水トリメリット酸とイソフタル酸添加
時の系内水分は30ppmであった。この後、参考例1
と同様に重合、処理をおこない、ポリアミドイミド粉末
を得た。ジメチルホルムアミド溶液(濃度1.0g/d
l)でこのものの30℃における還元粘度を測定したと
ころ0.33dl/gであった。
【0047】参考例4 水分含有量15ppmのN−メチルピロリドン3リット
ルを、参考例1と同一の反応器に仕込んだ。ここに無水
トリメリット酸555.3g(同50モル%)、次いで
2,4−トリレンジイソシアネート503.3g(同5
0モル%)を加えた。無水トリメリット酸添加時の系内
水分は25ppmであった。最初、室温から20分を要
して内容物温度を90℃とし、この温度で70分間重合
を行った。重合を行いながら、参考例1と同様にイソシ
アネート基の減少量とイミド基の生成量を赤外法により
追跡したところ、70分間重合を行ったところでイソシ
アネート基の量は50モル%に減少した。この時イミド
基の吸収は全く認められなかった。これにより、イミド
化反応が起こる以前に、アミド化反応が終了したことを
確認した。この後15分を要して115℃に昇温し、こ
の温度に保ったまま重合を4時間継続した。重合終了後
ポリマー溶液をN−メチルピロリドンの2倍容のメタノ
ール中に強力な攪拌下に滴下した。析出したポリマーを
吸引ろ別し、さらにメタノール中に再分散させてよく洗
浄後ろ別し、200℃で15時間減圧乾燥を行い、ポリ
アミドイミド粉末を得た。ジメチルホルムアミド溶液
(濃度1.0g/dl)でこのものの30℃における還
元粘度を測定したところ0.30dl/gであった。
【0048】実施例1 参考例1で製造した芳香族ポリアミドイミド共重合体3
0重量%、ポリエチレンテレフタレート(PET、三菱
レーヨン(株)製PA200D)30重量%、ガラス繊
維(GF、旭ファイバーグラス(株)製03JAFT5
40)40重量%およびトリフェニルホスフェート(T
PP、大八化学工業(株)製、芳香族ポリアミドイミド
とPETとの合計100重量部あたり7重量部)を2軸
押出機を用いて280℃で溶融混練しペレット化した。
得られたペレットより、1mm厚の燃焼試験片および1
/8インチ厚の試験片を射出成形した。1mm厚の燃焼
試験片より、得られた材料の難燃性をUL−94法に基
づき測定し、更に1/8インチ試験片より耐熱性評価を
目的として18.6kg/cm2 応力下の熱変形温度
(HDT)を、また機械的強度は曲げ強度および引張り
強度を測定した。さらに、溶融成形性は270℃、30
kg/cm2 応力下の溶融流れ値を高化式フローテスタ
ーにより測定した。結果は、表2に示した。
【0049】実施例2〜3 実施例1を参考例2及び3で製造した芳香族ポリアミド
イミド共重合体にそれぞれ変えて繰り返した。結果は、
表2に示した。
【0050】実施例4 実施例1を表2に示す芳香族ポリアミドイミド共重合
体、PET、及びTPPの量に変えて繰り返した。結果
は、表2に示した。
【0051】実施例5 実施例1のPETをポリブチレンテレフタレート(PB
T,三菱レーヨン(株)製N1100C)に変更して繰
り返した。結果は、表2に示した。
【0052】実施例6 実施例1のTPPを縮合燐酸エステル(CR733S、
大八化学工業(株)製)に変更し、更にその組成を変え
て繰り返した。結果は、表3に示した。
【0053】実施例7 実施例1のTPPを縮合燐酸エステル(CR733S、
大八化学工業(株)製)に変更し、更に芳香族ポリアミ
ドイミド及びPETの組成を変えて繰り返した。結果
は、表3に示した。
【0054】比較例1 実施例1を参考例4で製造した芳香族ポリアミドイミド
に変えて繰り返した。結果は、表3に示した。
【0055】比較例2 実施例4を参考例4で製造した芳香族ポリアミドイミド
に変えて繰り返した。結果は、表3に示した。
【0056】比較例3 実施例1をTPPを除いて繰り返した。結果は、表3に
示した。
【0057】比較例4 比較例3のPETをPBTに変えて繰り返した。結果
は、表4に示した。
【0058】比較例5 PET60重量%、ガラス繊維40重量%及びTPP
(PET100重量部当り7重量部)を2軸押出機を用
いて280℃で溶融混練しペレット化した。得られたペ
レットより実施例1と同様にして、試験片を成形し、難
燃性、HDT、機械的強度の測定を行い、更に溶融流れ
値を測定した。結果は、表4に示した。
【0059】比較例6 比較例5のPETをPBTに変えて繰り返した。結果
は、表4に示した。
【0060】
【発明の効果】本発明の樹脂組成物は、従来技術の芳香
族ポリアミドイミド樹脂とポリエステル樹脂からなる樹
脂組成物の耐熱性、難燃性、機械的強度及び溶融流動性
を改良した。本発明の樹脂組成物は、高耐熱性、難燃
性、高い機械的強度及び優れた溶融成形性を必要とされ
る成形材料用途に好適に使用される。
【0061】
【表1】参考例 酸成分組成 ジイソシアネート ガラス転移点 TMA / IPA TDI ℃ (モル%) (モル%) (モル%) ────────────────────────────────── 1 14 / 36 50 273 2 20 / 30 50 290 3 30 / 20 50 305 4 50 / 0 50 326 ────────────────────────────────── TMA;無水トリメリット酸 IPA;イソフタル酸 TDI;2,4−トリレンジイソシアネート
【0062】
【表2】 実施例1 実施例2 実施例3 実施例4 実施例5 アミドイミド 種類 参考例1 参考例2 参考例3 参考例1 参考例1 (重量%) 30 30 30 15 30 ポリエステル 種類 PET PET PET PET PBT (重量%) 30 30 30 45 30 燐酸エステル 種類 TPP TPP TPP TPP TPP (重量部) 7 7 7 10 7 ガラス繊維 (重量%) 40 40 40 40 40 HDT (℃) 240 240 236 234 225 曲げ強度 (MPa) 202 195 190 234 160 引張り強度 (MPa) 130 119 120 134 108 難燃性 Vー0 Vー0 Vー0 Vー0 Vー0 溶融流れ値 (cc/sec) 0.45 0.34 0.24 0.45 0.37
【0063】
【表3】 実施例6 実施例7 比較例1 比較例2 比較例3 アミドイミド 種類 参考例1 参考例1 参考例4 参考例4 参考例1 (重量%) 30 15 30 15 30 ポリエステル 種類 PET PET PET PET PET (重量%) 30 45 30 45 30 燐酸エステル 種類 CR733S CR733S TPP TPP (重量部) 3 7 7 10 0 GF (重量%) 40 40 40 40 40 HDT (℃) 244 230 210 205 235 曲げ強度 (MPa) 190 220 140 160 175 引張り強度 (MPa) 128 135 66 71 56 難燃性 Vー0 Vー0 Vー0 Vー0 Vー1 溶融流れ値 (cc/sec) 0.33 0.46 0.32 0.40 0.34
【0064】
【表4】 難燃性:*印は、炎が試験片上部まで燃え上がり、測定
不能を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 原田 英文 茨城県つくば市和台22番地 三菱瓦斯化学 株式会社総合研究所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)一般式(1)および(2)の構造を
    繰り返し単位として有する芳香族ポリアミドイミド共重
    合体と、(B)ポリエステル樹脂および(C)燐酸エス
    テル化合物からなる樹脂組成物。 【化1】 [一般式(1)においてArは少なくとも一つの炭素6
    員環を含む3価の芳香族基を示す。また、一般式(2)
    において、Ar1 は少なくとも一つの炭素6員環を含む
    2価の芳香族基を示す。さらに(1)、(2)において
    Rは2価の芳香族および/または脂肪族基を示す。]
  2. 【請求項2】(A)芳香族ポリアミドイミド共重合体の
    構造が、(1)が5〜95モル%、(2)が95〜5モ
    ル%である請求項1記載の樹脂組成物。
  3. 【請求項3】(A)と(B)の合計量に対して、(A)
    芳香族ポリアミドイミド共重合体の比率が5〜95重量
    %であり、また(A)と(B)の合計100重量部に対
    して、(C)燐酸エステル化合物の配合量が1〜50重
    量部である請求項1記載の樹脂組成物。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1036815A1 (en) * 1997-12-03 2000-09-20 Chisso Corporation Flame retardant for styrene resins and flame-retardant styrene resin composition
JP2002537429A (ja) * 1999-02-19 2002-11-05 アクゾ ノーベル インコーポレーテッド リン含有難燃性熱可塑性ポリエステル組成物

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