JPH0891965A - セラミック被覆炭素材及びその製造方法 - Google Patents

セラミック被覆炭素材及びその製造方法

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JPH0891965A
JPH0891965A JP26604094A JP26604094A JPH0891965A JP H0891965 A JPH0891965 A JP H0891965A JP 26604094 A JP26604094 A JP 26604094A JP 26604094 A JP26604094 A JP 26604094A JP H0891965 A JPH0891965 A JP H0891965A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、耐酸化消耗性、耐摩耗性、基体と
の密着性等に優れたセラミック被覆炭素材及びその製造
方法を提供することを目的とする。 【構成】 本発明に係るセラミック被覆炭素材は、炭素
材を基体とし、その表層に転化法により形成した炭化ク
ロム層があり、該炭化クロム層の上に、酸化イットリウ
ムと二酸化ジルコニウムの複合酸化物が非晶質の二酸化
ケイ素中に分散したセラミック層を有し、該セラミック
層の成分比がモル比で二酸化ジルコニウム1に対して二
酸化ケイ素0.8乃至1.2及び酸化イットリウム0.
05乃至0.20であり、該セラミック層が、前記炭化
クロム層の炭化クロムと前記セラミック層の構成成分で
ある酸化イットリウムとの反応によって生成したクロム
酸イットリウムを介在して存在するセラミック被覆炭素
材である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、炭素材を基体とし、そ
の表層をセラミックで被覆したセラミック被覆炭素材及
びその製造方法に係る。特に詳しく言えば、本発明は耐
酸化消耗性、耐摩耗性、耐熱衝撃性、熱応力緩和性、基
体との密着性等に優れたセラミック被覆炭素材を提供す
るものであり、例えば金属溶融用ルツボや金属蒸発用ル
ツボ及び金属溶融鋳型、宇宙航空機用部材・部品、セラ
ミック等の焼成炉用炉材、タービンブレードやタービン
ベーン等のガスタービンの燃焼器部材、連続鋳造用耐火
物やダイス又は鋳型、発熱体、電極、しゅう動部材、耐
熱部材、気相成長用トレイ等に好適に使用できるセラミ
ック被覆炭素材に関する。
【0002】
【従来の技術】黒鉛、炭素及び炭素繊維強化炭素複合材
(C/C複合材)などの炭素材は、その化学的、熱的安
定性により、高温用のヒーターやルツボ材をはじめとし
て多く高温下で使用されている。また、炭素材は軽量で
あり、特にC/C複合材は高い比強度や比弾性を有する
こともあり、宇宙往還機のウィングエッジやロケットの
ノズルコーン及び高温ガスタービン用材料として利用又
は期待されている。しかしながら、炭素材は酸素雰囲気
では約500℃以上の高温になると酸化によって材料が
消耗していくという欠点を有する。そのため、炭素材の
表層に金属炭化物を形成して耐酸化消耗性を向上させて
いる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】耐酸化消耗性を有した
金属炭化物として、チタン(Ti)、ケイ素(Si)、
クロム(Cr)の金属の炭化物が知られている。これら
の金属は、炭素材と高温で反応して、炭素材の表層に金
属炭化物を形成するものであり、炭素材内部に拡散し易
い金属として従来から頻繁に利用されている。そのう
ち、チタンは炭素基体と反応して炭化チタン(TiC)
層を形成するが、炭化チタンは基体に比べて格段に固
く、基体との弾性係数の差が大きいため、炭化チタン層
は極めて脆く衝撃に弱いという欠点がある。また、ケイ
素は基体と反応して炭化ケイ素(SiC)層を形成する
が、炭化ケイ素は酸化されると二酸化ケイ素(Si
)に変化するため、前記炭化ケイ素層は炭化ケイ素
と二酸化ケイ素との混合層になってしまい、比較的簡単
にき裂を生じてしまう。一方、クロムは基体と反応して
炭化クロム層を形成するが、この炭化クロム層は非常に
酸化されにくため、耐酸化消耗性を有する被覆層として
従来から広く利用されている。しかしながら、酸素雰囲
気下においては炭化クロム層中のクロム原子は表面方向
に移動し、炭素原子は基体との界面方向に移動してしま
うため、層中にクロム原子の濃度勾配が生ずる。炭化ク
ロム層は酸化されると酸化クロム(Cr)に変化
するため、層中のクロム原子濃度勾配により、炭化クロ
ム層の表面部が酸化クロム、基体界面部が炭化クロムの
層に変化してしまう。酸化クロムと炭化クロムは体積モ
ル分率が大きく異なるため、炭化クロム層が酸化される
と簡単にき裂やはく離が生じてしまう。また、酸化によ
って生成された酸化クロムは、二酸化ケイ素のように簡
単には溶解しないため、層にき裂が発生してもこのき裂
を埋めることができず、雰囲気中の酸素がこのき裂部分
から侵入して基体を酸化してしまう。したがって、炭化
クロム層で被覆しただけでは耐酸化消耗性を大きく向上
させることができなかった。
【0004】一方、特開平5−98414号には、C/
C複合材の表面に炭化クロム等の金属炭化物を被覆し、
その上にセラミックを被覆する方法が開示されている。
このセラミック被覆C/C複合材のセラミック被膜は、
溶射法、CVD(化学蒸着)法又はPVD(物理蒸着)
法により形成されているため、金属炭化物被膜との界面
部には両膜を接着する物質が存在しておらず、セラミッ
ク被膜と金属炭化物被膜との密着性があまり良くない。
さらに、金属炭化物被膜も、セラミック被膜の場合と同
様に、溶射法、CVD法又はPVD法により形成されて
いるため、金属炭化物被膜と基体との密着性もあまり良
くない。このように、基体の表面に耐酸化消耗性を有し
た被膜を形成しても、これらの被膜と基体である炭素材
(以下、炭素基体ともいう)との密着性が良くなけれ
ば、簡単に膜がはく離してしまう。さらに、溶射法、C
VD法又はPVD法は、ち密な被膜を形成できず、その
密度も低くなるため、被膜の厚みを厚くする必要があっ
たが、被膜が厚くなると、熱応力の発生によるはく離や
機械的強度の劣化問題も発生し易い。また、その被膜に
き裂が発生した場合には、そのき裂部分から基体である
炭素材の酸化が激しく起こり、材料の寿命が著しく短く
なるという問題もある。
【0005】そこで本発明は、特に炭素材の耐酸化消耗
性等を向上させる被覆層であって、基体との密着性に優
れ、被覆層の厚みが薄くても耐酸化消耗性等を有し、被
覆層が破損した場合にも自己修復機能を有したセラミッ
ク層で被覆した炭素材及びその製造方法を提供すること
を主な目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的は、炭素材を基
体とし、その表層に転化法により形成した炭化クロム層
があり、該炭化クロム層の上に、酸化イットリウムと二
酸化ジルコニウムの複合酸化物が非晶質の二酸化ケイ素
中に分散したセラミック層を有し、該セラミック層の成
分比がモル比で二酸化ジルコニウム1に対して二酸化ケ
イ素0.8乃至1.2及び酸化イットリウム0.05乃
至0.20であり、且つ該セラミック層が、前記炭化ク
ロム層の炭化クロムと前記セラミック層の構成成分であ
る酸化イットリウムとの反応によって生成したクロム酸
イットリウムを介して存在するセラミック被覆炭素材に
より達成できる。
【0007】また、上記セラミック被覆炭素材のセラミ
ック層が、酸化イットリウムと酸化タンタルの複合酸化
物が非晶質の二酸化ケイ素中に分散したセラミック層で
置き換えられ、且つ該セラミック層の成分比がモル比で
酸化タンタル1に対して二酸化ケイ素0.8乃至1.2
及び酸化イットリウム0.03乃至0.20であること
を特徴とするセラミック被覆炭素材でも同様に達成でき
る。
【0008】また、このようなセラミック被覆炭素材
は、例えば、炭素材を基体とし、該炭素材の表層に炭化
クロム層を転化法により形成する第一工程と、該炭化ク
ロム層の表面にケイ素及びイットリウム、並びにジルコ
ニウム又はタンタルを含むセラミック前駆体溶液を塗布
する第二工程と、該塗布物を熱処理して、酸化イットリ
ウムと二酸化ジルコニウムの複合酸化物が非晶質の二酸
化ケイ素中に分散したセラミック層、又は酸化イットリ
ウムと酸化タンタルの複合酸化物が非晶質の二酸化ケイ
素中に分散したセラミック層を形成する第三工程と、に
より形成することができる。
【0009】以下にこの製造例に即して本発明を更に詳
細に説明するが、本発明に係るセラミック被覆炭素材を
製造する方法はこれに限定されない。
【0010】炭化クロム層は、転化法、溶射法、スパッ
タリング法、イオンプレーティング法等のPVD法及び
CVD法等の公知の方法で形成した層が考えられるが、
そのうち、本発明に係るセラミック被覆炭素材を構成し
ている炭化クロム層は、基体との密着性及び炭化クロム
層とセラミック層との密着性の点において、転化法で形
成された層でなければならない。
【0011】基体となる炭素材としては、黒鉛成形体
(等方性黒鉛、異方性黒鉛、熱分解炭素等も包含す
る)、炭素成形体(ガラス状炭素、未黒鉛化焼成体等も
包含する)などの他、カーボンファイバーがクロムと反
応するので炭素繊維強化炭素複合材(C/C複合材)に
も適用できる。すなわち、従来から頻繁に使用されてい
るケイ素を用いた場合には、ケイ素はカーボンファイバ
ーと反応しないのでC/C複合材を炭化ケイ素(Si
C)化することは難しいが、クロムを用いた場合にはク
ロムはカーボンファイバーと反応して炭化クロムに変化
するため、C/C複合材も使用できるのである。また、
これらの炭素材は、熱履歴などの製造条件を問わず、全
ての炭素材が基体として使用できる。
【0012】まず、炭化クロム層の形成方法を説明す
る。本発明においては、炭化クロム層は転化法で形成す
る必要がある。この方法は公知の方法で行えば良い。以
下に金属クロム粉末を用いた転化法による炭化クロムの
形成方法で説明する。
【0013】炭化クロム層は、炭素基材を黒鉛製ルツボ
やセラミック製等の耐熱性を有した容器に入れて、周囲
を金属クロム粉末で包囲する方法により、クロム粉末と
炭素基体とを接触させて形成する。炭素基体の表層に均
一な厚みの炭化クロム層を形成させる観点から、クロム
粉末は98%以上の純度で、平均粒径20μm以下の粉
末が特に良い。
【0014】この炭素基体とクロム粉末の入った容器
を、アルゴンガス等の非酸化性雰囲気において、任意の
加熱炉中で熱処理して炭化クロムを形成する。この際、
熱処理温度が1400℃未満であると炭素基体とクロム
との反応が円滑に進行せず、更には炭化クロムを形成さ
せるために長時間を要する。したがって、1400℃以
上で熱処理を行う必要がある。また、熱処理温度が14
70℃を超えると、炭化クロムの形成速度は上昇する
が、金属クロムが炭素基体に付着することがあるため、
1400〜1470℃で熱処理を行って炭化クロム層を
形成した方が好ましい。
【0015】この場合、基体として使用する炭素材のう
ち、水銀圧入法で測定される平均気孔半径が10.0μ
mを超えた炭素材を使用すると、基体表層の開気孔を十
分に埋めることができにくく、均一な炭化クロム層の形
成が困難になる。また、平均気孔半径が0.2μm未満
の場合にはクロム蒸気が基体の開気孔内に侵入しにくく
なり、形成される炭化クロム層が傾斜層を構成しにくく
なる。したがって、使用する炭素基体は、水銀圧入法で
測定される平均気孔半径が0.2〜10.0μmのもの
が特に好ましい。
【0016】また、この転化法で使用する炭素基体は、
日本工業規格(JIS)R 7223に準拠して測定し
たSi、Fe、Ca、V、Na、Al、Ni、Pb、C
r、Mg、Ti、S、P等の不純物に基づく灰分が10
質量ppm未満の場合には、クロム源と炭素基体が反応
しくくなり、炭化クロム層の形成速度が非常に遅くなる
場合がある。さらには、形成された炭化クロム層が傾斜
層を構成しなくなり、熱応力の緩和等の効果を得られに
くくなる。一方、炭素基体の灰分が400質量ppmを
超えると、炭化クロム層の形成速度が非常に速くなり、
層の厚みの制御が難しくなったり、層の均一性が乏しく
なったりする。それ故、基体の灰分は10〜400質量
ppmが特に好適である。
【0017】かかる炭化クロム層の厚さは、主に熱処理
時間を変えることによって簡単に制御できる。炭化クロ
ムの形成速度は炭素基体の種類によって多少異なるが、
例えば、前記した炭化クロム層形成方法では、熱処理温
度を1450℃一定として30分の熱処理で1μm、6
0分の熱処理で10μmの厚みの炭化クロム層を形成で
きる。
【0018】炭化クロム層の厚みは適宜任意に選択する
ことができ、例えば0.1μmから数mmの各種の厚み
の炭化クロム層を形成できる。この炭化クロム層は、セ
ラミック層の熱応力緩和や密着性向上を主な目的として
設ける、いわゆる中間層であるが、従来から熱応力緩和
等を目的として形成された中間層の厚みは、通常は40
0〜600μm程度の厚みが必要であった。このような
厚みの中間層を設けた場合、基体である炭素材の強度が
著しく低下するなど、炭素材が有する本来の特性を損な
ってしまう。さらには、このように中間層を厚くすれ
ば、長時間を要し、経済的なデメリットを生じてしま
う。また、き裂やはく離も生じ易くなる。このため、中
間層はなるべく薄い方が好ましい。
【0019】本発明においては、炭素基体の特性を損な
わない厚みで、熱応力緩和性、基体と炭化クロム層との
密着性、及び炭化クロム層とセラミック層との密着性に
寄与するクロム酸イットリウムを生成するために必要な
炭化クロム層の厚みを考慮した結果、炭化クロム層の厚
みは、10〜200μmで十分に中間層としての機能を
果たすことを見いだした。また、この厚みの場合におい
て、セラミック層にき裂やはく離等を生じないような層
の健全性を確保できる炭素基体は、平均熱膨張係数(層
を形成する表面に平行方向)0.5×10−6〜5.0
×10−6/K(室温〜1273K)のものが好適であ
る。
【0020】本発明においては、炭化クロム層を中間層
として、その上に特定の成分比の二酸化ジルコニウム
(ZrO)−二酸化ケイ素(SiO)−酸化イット
リウム(Y)、又は酸化タンタル(V)(Ta
)−二酸化ケイ素(SiO)−酸化イットリウム
(Y)のセラミック層を、例えば該炭化クロム層
の表面にケイ素及びイットリウム並びにジルコニウム又
はタンタルを含むセラミック前駆体溶液を塗布し、該塗
布物を熱処理してセラミック層を形成する、いわゆるゾ
ルーゲル法で形成すれば、耐酸化消耗性等を十分に発揮
させることができる。
【0021】セラミック層の形成は、溶射法、スパッタ
リング法、イオンプレーティング法等のPVD法、CV
D法、いわゆるゾル−ゲル法などの従来の被覆方法が考
えられるが、これらの方法のうち、ゾル−ゲル法は特別
な装置を必要とせず、基体の形状に限定を受けない。ま
た、ゾル−ゲル法で形成された層は気密性を有し、特に
本発明に係るセラミック層のように多成分系のセラミッ
クの場合には、均質かつ安定な相のセラミック層を形成
でき、耐酸化消耗性等を著しく向上させることができ
る。すなわち、溶射法等で形成した多成分系セラミック
層の場合には、セラミック粒子が重なり合って基体上で
積層構造をもつため、得られた層に空隙が生じる場合が
あり、過酷な環境下では耐酸化消耗性を十分に発揮する
ことができない。さらに、溶射法等で形成したセラミッ
ク層の場合には、炭化クロム層との密着性があまり良く
ないため、セラミック層がはく離する場合もある。それ
ゆえ、ゾル−ゲル法でセラミック層を形成するのが好ま
しい。
【0022】以下にセラミック層の形成方法をゾル−ゲ
ル法に基づいて、二酸化ジルコニウム[ジルコニア]−
二酸化ケイ素[シリカ]−酸化イットリウム[イットリ
ア](ZrO−SiO−Y)、及び酸化タン
タル−二酸化ケイ素−酸化イットリウム(Ta
SiO−Y)から成るセラミック層の形成方法
を示す。
【0023】二酸化ジルコニウム源又は酸化タンタル源
として、ジルコニウム又はタンタルのアルコキシドやカ
ルボキシレート等の金属有機化合物に、ジエタノールア
ミンやトリエタノールアミン等を加えた後、プロパノー
ルやブタノール等のアルコール性溶媒で希釈する。この
溶液を前駆体溶液Aとする。
【0024】使用できる二酸化ジルコニウム源として
は、代表的にジルコニウムテトラメトキシド(Zr(O
CH)、ジルコニウムテトラエトキシド(Zr
(OC)、ジルコニウムテトラプロポキシド
(Zr(OC)、ジルコニウムテトラブトキ
シド(Zr(OC)が挙げられる。このう
ち、ジルコニウムテトラメトキシド(Zr(OCH
)は反応が遅すぎて、層形成が難しくなるため、あま
り使用しない方が良い。
【0025】また、使用できる酸化タンタル源として
は、代表的にタンタルプロポキシド(Ta(OC
)、タンタルブトキシド(Ta(OC
)が挙げられる。
【0026】一方、二酸化ケイ素源として、テトラエト
キシシラン等のケイ素アルコキシドをエタノール等のア
ルコール性溶媒に溶かし、それに酸化イットリウム源と
して硝酸イットリウム(Y(NO)等を加え、ア
ルコール性溶媒の沸点で約12時間還流する。この溶液
を前駆体溶液Bとする。
【0027】使用できる二酸化ケイ素源としては、代表
的にテトラメトキシシラン(Si(OCH)、テ
トラエトキシシラン(Si(OC)、テトラ
プロポキシラン(Si(OC)、テトラブト
キシシラン(Si(OC)が挙げられる。こ
のうち、テトラプロポキシラン(Si(OC
)とテトラブトキシシラン(Si(OC
)は、水に対する安定性が良く、加水分解が極め
て遅くなり、層形成が難しくなるので、あまり使用しな
い方が良い。
【0028】使用できる酸化イットリウム源としては、
代表的にイットリウムブトキシド(Y(OC
)、硝酸イットリウム(Y(NO)が
挙げられる。このうち、硝酸イットリウム(Y(N
)は、酸化力が強く、シリコンエトキシサイド
の加水分解を行う触媒として最も効果があるため、これ
を酸化イットリウム源として使用した方が好ましい。
【0029】これらのセラミック前駆体溶液A及びBを
混合して、基体被覆用の前駆体混合溶液を完成させる。
この混合溶液を炭化クロム層を形成させた炭素基体表面
に、はけぬり、スプレー、浸漬、引き上げ等の方法で均
一に塗布する。次いで、必要に応じて乾燥し、その後、
窒素ガス、アルゴンガス、減圧下等の非酸化性雰囲気下
において、熱処理を行う。この熱処理により酸化イット
リウム源及び二酸化ジルコニウム源、又は酸化イットリ
ウム源及び酸化タンタル源が変化して、酸化イットリウ
ム及び二酸化ジルコニウムの複合酸化物、又は酸化イッ
トリウム及び酸化タンタルの複合酸化物を形成し、所望
のセラミック層を得ることができる。この熱処理は10
00〜1250℃で行うのが好ましい。また、この熱処
理により二酸化ケイ素源は非晶質の二酸化ケイ素に変化
し、酸化イットリウムと二酸化ジルコニウムの複合酸化
物、又は酸化イットリウムと酸化タンタルの複合酸化物
を極めて均一に分散する働きを有するものになる。これ
らの複合酸化物は、酸化イットリウムと二酸化ジルコニ
ウムの固溶体、又は酸化イットリウムと酸化タンタルの
固溶体になるのが通常であるが、未反応の酸化イットリ
ウム、二酸化ジルコニウム又は酸化タンタルが若干残存
した、あるいはこれらが化合した複合酸化物になる場合
もある。また、この複合酸化物は、通常は結晶化して結
晶粒径0.005〜0.1μmの多結晶粒子になるが、
非晶質部分を若干有した複合酸化物になることがある。
セラミック層の複合酸化物の組成及び組織としては、こ
れらのものが考えられ、いずれも本発明範囲内に包含さ
れる。
【0030】この熱処理工程により、被覆した物質中に
おける酸化イットリウム源の一部が炭化クロム層の炭化
クロムと反応して、その界面の一部乃至は全面にクロム
酸イットリウムが生成し始め、結晶化する温度に到達す
るとクロム酸イットリウムの生成は完了する。その結
果、炭化クロム層とセラミック層との密着性が著しく向
上する。さらには、セラミック層の構成成分の一部は結
晶化しているため、その密着性は非常に強固である。こ
のクロム酸イットリウムの厚みは、炭化クロム層やセラ
ミック層の厚みによって異なるが、通常0.005〜1
μmの間にある。また、密着性をより向上させるため
に、この熱処理工程を繰り返し行って、クロム酸イット
リウムの生成を確実にしたり、その生成量を多くしても
良い。
【0031】また、構成成分の一部を結晶化することに
より、セラミック層の耐熱温度が向上する。全く結晶化
していないセラミック層の場合は、比較的低温で流動す
るため、耐酸化消耗性を十分に発揮できない。
【0032】セラミック層の成分比は、その生成源とな
る各物質の配合割合を変えることによって簡単に調整す
ることができる。
【0033】ここで、本発明に係るセラミック層の成分
比において、二酸化ケイ素は、二酸化ジルコニウム又は
酸化タンタルに対してモル比で0.8〜1.2:1でな
ければならない。この範囲を外れると、二酸化ケイ素は
複合酸化物を形成し、非晶質ではなくなり、クリストバ
ライト構造に変化してしまう。この変化が生じると、体
積が小さくなり、セラミック層にき裂が発生し易くなる
からである。
【0034】さらに、セラミック層の成分比において、
酸化イットリウムは、二酸化ジルコニウムに対してモル
比で0.05〜0.20:1が好適な範囲である。酸化
イットリウムが0.05未満では、二酸化ジルコニウム
を安定化させることが難しくなる。また、0.20を超
えると、酸化イットリウムだけが晶析するため、均質な
層を形成しにくくなる。この場合、特に好ましくは0.
12以下の酸化イットリウムが最適である。
【0035】このように好適範囲を外れると、セラミッ
ク層の健全性を確保できず、耐酸化消耗性等を十分に発
揮できなくなる。さらには、均質なセラミック層ではな
くなるため、クロム酸イットリウムは均一に生成せず、
密着性があまり良くない。
【0036】さらに、これらのセラミック層は、酸化イ
ットリウムが二酸化ジルコニウムに対してモル比で0.
05であればセラミックの構造は正方晶になり、0.1
0以上になると立方晶になる。立方晶の方が正方晶より
も酸素移動度が小さいので、酸化イットリウムを0.1
0以上にして立方晶のセラミック層を形成した方が耐酸
化消耗性を向上できる。また、前記した酸化イットリウ
ムの晶析性の好適範囲も含めて考えると、酸化イットリ
ウムは二酸化ジルコニウムに対してモル比で0.10〜
0.12:1が最も好ましい。なお、二酸化ジルコニウ
ム−酸化イットリウム=1:0.05〜0.10の相
は、固相法により合成された場合は単斜晶と立方晶にな
るが、前述した製造方法のようにアルコキシドを用いて
セラミック層を形成した場合、核発生・成長の過程で結
晶化し、該は極めて微小となる。このように微小な核の
場合、核粒子の表面エネルギーが大きく、成長過程でひ
ずみエネルギーも大きくなるため、二酸化ジルコニウム
−酸化イットリウム=1:0.05〜0.10の相は準
安定相である正方晶になる。
【0037】一方、酸化タンタル−二酸化ケイ素−酸化
イットリウムのセラミック層の場合において、このセラ
ミック層は二酸化ジルコニウムを含んでいないので安定
化させる必要がなく、酸化イットリウムはクロム酸イッ
トリウムを生成するのに十分な量が含まれていれば良
い。酸化イットリウムは、酸化タンタル1に対して0.
20以下であれば、酸化タンタルと固溶体を形成するの
で、得られるセラミック層は極めて均質な層になるが、
酸化イットリウムが0.20を超えると、晶析してしま
う。それ故、酸化イットリウムは酸化タンタル1に対し
てモル比で0.20以下でなければならず、また酸化イ
ットリウムが0.03未満ではクロム酸イトリウムの生
成が困難になるため0.03以上必要である。
【0038】したがって、以上のセラミック層の成分比
(モル比)をまとめると、二酸化ジルコニウムを1とし
た場合、二酸化ジルコニウム:二酸化ケイ素:酸化イッ
トリウム=1:0.8〜1.2:0.05〜0.20で
なければならず、特に好ましくは1:0.8〜1.2:
0.05〜0.12、最も好ましくは1:0.8〜1.
2:0.10〜0.12である。一方、酸化タンタルを
1とした場合、酸化タンタル:二酸化ケイ素:酸化イッ
トリウム=1:0.8〜1.2:0.03〜0.20で
ある。
【0039】かかる好適範囲の成分比を有するセラミッ
ク層を、前記したゾル−ゲル法で形成する場合には、二
酸化ケイ素源及び二酸化ジルコニウム源又は酸化タンタ
ル源の配合割合は、ケイ素がジルコニウム又はタンタル
に対してモル比で0.8〜1.2:1になるように配合
する。このような配合割合の混合溶液を用い、熱処理し
て形成されたセラミック層は、その配合割合のまま、二
酸化ケイ素が二酸化ジルコニウム又は酸化タンタルに対
してモル比で0.8〜1.2:1の成分比を有するもの
になる。
【0040】一方、酸化イットリウムの量については留
意する必要がある。すなわち、本発明に係るセラミック
層においては、酸化イットリウムが炭化クロムと反応し
て、その界面部にクロム酸イットリウムを生成するた
め、このクロム酸イットリウム生成に寄与する分を考慮
に入れなければならないからである。そこで本発明者ら
は、各物質の配合割合を好適範囲内で色々変化させて、
その配合割合と形成されたセラミック層の組成とを比較
した結果、クロム酸イットリウム生成に寄与する酸化イ
ットリウム分は、二酸化ジルコニウム又は酸化タンタル
1に対してモル比で0.03〜0.05:1であること
が判明した。したがって、所望成分比のセラミック層を
ゾル−ゲル法で形成する場合には、二酸化ジルコニウム
源又は酸化タンタル源に対してモル比で0.03〜0.
05だけ酸化イットリウム源の配合割合を増やした方が
好ましい。
【0041】セラミック層の厚みは、塗布する厚みを変
えることにより、また引上げ法による場合には、引上げ
速度を変えたり引上げ回数を増やしたりすることによ
り、変化させることができる。
【0042】かかるセラミック層は、熱処理により炭化
クロム層と反応して密着性を有した被覆層になり、前記
したようにセラミック層の構成成分である酸化イットリ
ウムが炭化クロムと反応して、その界面部にクロム酸イ
ットリウムを生成するため、この生成に寄与する厚みを
考慮に入れて、セラミック層の厚みは0.2μm以上が
好ましい。この厚みより薄くなると、クロム酸イットリ
ウムの生成を阻害して、密着性が低減してしまう。この
ように薄い層でも、本発明に係るセラミック層の場合に
は、十分に耐酸化消耗性等を発揮する層になる。一方、
セラミック層が厚くなり過ぎるとき裂やはく離が生じ易
いため、層の厚みは100μm以下が好ましい。
【0043】さらに、前記したゾル−ゲル法でセラミッ
ク層を形成する場合には、層は簡単に薄く形成すること
ができるが、あまり厚く形成すると作業性が悪くなる。
さらには、層が厚くなると炭素基体が本来有する特性を
引き出しにくい。これらの点において、セラミック層の
厚みは5μm以下が特に良い。通常の耐酸化消耗性を有
した層を被覆する場合には、約20μm以上の厚みの層
でなければ、十分にその効果を発揮しないが、本発明に
係るセラミック層の場合には、厚みが0.2〜5μmで
も、十分にその効果を発揮することができる。
【0044】
【作用】本発明に係るセラミック被覆炭素材を構成して
いる炭化クロム層は、転化(コンバージョン)法に基づ
いて形成される。転化法によると、クロムと炭素基体と
の反応が基体表面から深さ方向に向かって順次進行する
ため、形成された炭化クロム層は応力が緩和され、層の
き裂や基体からのはく離が生じにくいものになっている
からである。本発明に係るセラミック被覆炭素材を構成
する炭化クロム層は、公知の転化法で形成すれば良い。
転化法を例示すれば、クロム蒸気と基体との反応などの
気相反応による転化法、クロムを含んだ液状物質中に基
体を浸漬して反応させる液相反応による転化法、予め基
体にクロムを被覆して熱処理により反応させる固相反応
による転化法がある。本発明においては、炭化クロム層
の上にセラミック層を形成する必要があるため、基体と
の密着性が良いこれらの転化法で形成された炭化クロム
層でなければならない。さらに、両層はクロム酸イット
リウムの生成によって密着性が高められているが、この
クロム酸イットリウムの生成によって生ずる応力を緩和
させる必要があり、この点においても、転化法で形成さ
れた炭化クロム層でなければならない。
【0045】各種の転化法のうち、クロム粉末を用いて
炭素基体の表層を炭化クロム層に転化する前述の方法に
よると、熱処理によって生じる基体とクロム粉末との接
触面での反応と、クロム粉末が蒸気になって基体の気孔
内へ侵入することによる基体内部での反応との二つの反
応機構により、炭化クロム層が形成される。かかる方法
により形成された炭化クロム層は、層の一部乃至は全部
が、基体内部に向かうにつれて炭化クロムの占める割合
が徐々に連続的に減少していく傾斜層を構成している。
炭化クロム層を設ける目的の一つは、セラミック層との
間に生じる熱応力を緩和することにあるため、この傾斜
した炭化クロム層を中間層にすれば、セラミック層に加
わる熱応力を、より一層緩和できる。さらに前述の方法
によると、クロムの融点(1860℃)以下の温度で基
体表層を転化するので、転化反応後においては、基体と
接触しているクロム粉末は基体に付着せず、極めて平滑
な表面の炭化クロム層を形成できる。
【0046】前記したように、炭素基体の表層に炭化ク
ロム層のみを形成した場合には、炭化クロムが酸化され
ると酸化クロム(Cr)が生成され、該炭化クロ
ム層は、表面部が酸化クロムであり、基体との界面部が
炭化クロムである混合層に変化してしまう。酸化クロム
と炭化クロムとは体積モル分率が異なるため、酸化され
ると炭化クロム層にき裂が発生していた。したがって、
炭化クロム層を基体表層に形成しただけでは、耐酸化消
耗性等に劣るため、炭化クロム層の上に更に耐酸化消耗
性等を有した材料を被覆する必要がある。そこで本発明
に係るセラミック被覆炭素材は、炭化クロム層の上に特
定の成分比の二酸化ジルコニウム(ZrO)−二酸化
ケイ素(SiO)−酸化イットリウム(Y)、
又は酸化タンタル(Ta)−二酸化ケイ素(Si
)−酸化イットリウム(Y)のセラミック層
を、いわゆるゾル−ゲル法で形成するのが好ましいので
ある。
【0047】前述したように、ゾル−ゲル法で形成した
層は、気密性を有し、特に本発明に係るセラミック層の
ように、多成分系のセラミックの場合には、均質かつ安
定な相のセラミック層を形成でき、耐酸化消耗性等を向
上させることができる。一方、溶射法等で形成した多成
分系セラミック層の場合には、セラミック粒子が重なり
合って基体上で積層構造をもつため、得られた層に空隙
が生じる場合があり、過酷な環境下では耐酸化消耗性等
を十分に発揮することができない。さらに、溶射法等で
形成したセラミック層の場合には、炭化クロム層との密
着性があまり良くないため、セラミック層がはく離する
こともある。また、ゾル−ゲル法でセラミック層を形成
する場合には、前駆体溶液を基体に塗布して、塗布した
物質は熱処理温度を変化させることによって、容易にク
ロム酸イットリウムを生成することができる。しかし、
溶射法等によってセラミック層を形成する場合には、こ
のままではクロム酸イットリウムはほとんど生成され
ず、密着性が良くない。したがって、本発明において
は、ゾル−ゲル法でセラミック層を形成した方が良いの
である。
【0048】次に、炭化クロム層の上に、二酸化ジルコ
ニウム(ZrO)−二酸化ケイ素(SiO)−酸化
イットリウム(Y)、又は酸化タンタル(Ta
)−二酸化ケイ素(SiO)−酸化イットリウム
(Y)のセラミック層を形成する理由を述べる。
【0049】炭化クロム層上に二酸化ケイ素のみを被覆
した場合、二酸化ケイ素は600℃程度の熱を受けると
クリストバライト相に転移して結晶化するため、体積が
収縮し、二酸化ケイ素層にき裂が生じてしまう。また、
二酸化ケイ素は炭化クロムと反応しないため、密着性が
極めて悪い。
【0050】一方、酸化イットリウムのみを被覆した場
合、炭化クロムとこの酸化イットリウムが界面で反応し
て、クロム酸イットリウムが形成されるため、この点に
おいては密着性の良いセラミック層が形成できる。しか
し、酸化イットリウムだけでは、脆く破損し易い。そこ
で、酸化イットリウムと二酸化ジルコニウムとのセラミ
ックを被覆することにより、密着姓の向上の他に、高じ
ん性化、更には二酸化ジルコニウムの安定化を図るもの
である。なお、このクロム酸イットリウムは、バルクの
場合はペロブスカイト構造をしているが、本発明はクロ
ム酸イットリウムの構造に制約されるものではない。
【0051】しかしながら、このような二酸化ジルコニ
ウムと酸化イットリウムのみの成分を有するセラミック
層では、この層中の酸素移動度が高いため、雰囲気中の
酸素は、中間層である炭化クロム層に短時間で到達し、
炭化クロムを酸化クロムに変化させてしまう。酸化クロ
ムは炭素基体との密着性及びセラミック層との密着性が
良くないので、かかるセラミック層は簡単に界面はく離
が生じる。
【0052】一方、二酸化ケイ素は酸素移動度が極めて
小さい。そこで、二酸化ケイ素も含んだセラミック層に
するのである。このように二酸化ジルコニウムと酸化イ
ットリウムに二酸化ケイ素も成分に含んだセラミック層
で被覆すると、雰囲気中の酸素はセラミック層中に侵入
しなくなり、炭化クロム層は健全性を保つことができ
る。さらに二酸化ケイ素は、かかるセラミック層にき裂
が生じても溶解してそのき裂を埋める働きを有し、酸素
の侵入を防止することができる。また、二酸化ケイ素
は、二酸化ジルコニウムや酸化イットリウムとは複合酸
化物を作らないことから、二酸化ジルコニウム(ZrO
)−二酸化ケイ素(SiO)−酸化イットリウム
(Y)のセラミック層は、極めて均質な層にな
る。これらの理由により、炭化クロム層の上に二酸化ジ
ルコニウム(ZrO)−二酸化ケイ素(SiO)−
酸化イットリウム(Y)のセラミック層を形成す
れば、密着性が優れ、自己修復機能を有し、高じん性の
耐酸化消耗性等を有した炭素材を得ることができる。
【0053】また、二酸化ジルコニウムの代わりに酸化
タンタルで置き換えた、酸化タンタル−二酸化ケイ素−
酸化イットリウムのセラミック層を被覆すれば、酸化タ
ンタルと二酸化ケイ素とは複合酸化物を作らず、さらに
酸化タンタルは酸素の拡散係数が極めて小さいため、密
着性が優れ、自己修復機能を持つ耐酸化消耗性等を有し
た炭素材になる。
【0054】また本発明に係るセラミック被覆炭素材
は、少なくとも1700℃までは好適に使用できる。ま
た、従来の層の厚みより薄く形成しても、十分に耐酸化
消耗性等を発揮し、セラミック層に熱応力が加わって
も、層のはく離や機械的強度の劣化問題も解消できるも
のになる。前述した製造方法によると、炭化クロム層の
形成及びセラミック層の形成は、いずれも粉末中及び溶
液の塗布又は溶液中への浸漬で行うことができるので、
大掛りな装置を必要とせず、さらには基体となる炭素材
の形状に制限を受けず、任意形状の炭素材を使用でき
る。また、炭化クロム層は傾斜層を構成しているため、
熱応力緩和性に優れている。また、炭素材の表層にセラ
ミック層を設けているので、耐摩耗性を有した材料とし
ても使用できる。さらに、各層の密着性が優れているた
め、耐熱衝撃性の良い材料でもある。
【0055】本発明に係るセラミック被覆炭素材は、耐
酸化消耗性、耐摩耗性、耐熱衝撃性、熱応力緩和性が必
要な用途に限らず、従来からセラミックや炭素材が使わ
れている部材の代替部材としても使用できる。また、本
発明に係る材料は、炭素材の表層に密着性の優れたセラ
ミック層を設けたセラミック被覆炭素材であるため、例
えば金属溶融用ルツボや金属蒸発用ルツボ及び金属溶融
鋳型として使用でき、その他に宇宙航空機用部材・部
品、セラミック焼成炉用炉材、タービンブレードやター
ビンベーン等のガスタービンの燃焼器部材、連続鋳造用
耐火物やダイス又は鋳型、発熱体、電極、しゅう動材、
耐熱部材、気相成長用トレイ等に好適に使用できるセラ
ミック被覆炭素材となる。なお、本発明においては、本
発明の目的を損なわない範囲内であれば、炭素材、炭化
クロム層及びセラミック層に、製造上不可避の不純物元
素や他の成分等が含まれていても良い。
【0056】
【実施例】以下に本発明の実施例を示す。
【0057】実施例1、2 工程<1>:炭化クロム層の形成方法 等方性黒鉛(東洋炭素(株)製、かさ密度1.77g/
cm、平均気孔半径1.5μm、灰分250質量pp
m、平均熱膨張係数4.0×10−6/K(室温〜12
73K)、寸法20×10×5mm)を高純度黒鉛製ル
ツボを使って金属クロム粉末(市販品、純度98%、平
均粒径12μm)中に完全に埋め込んだ。このルツボを
アルゴン雰囲気中1450℃で3時間加熱処理を行い、
炭化クロム層を100μmの厚みで等方性黒鉛の表層に
形成した。
【0058】<炭化クロム層の構造>形成した炭化クロ
ム層の構造を調べるため、X線回折法により炭化クロム
層の表面にX線を照射して解析した。X線回折図形を図
1に示す。図1より、形成した炭化クロム層は(Cr
)80H構造特有の回折線(112、202、42
1及び521反射)が見られることから、この構造の炭
化クロム層が形成していることが分かる。
【0059】<炭化クロム層の構成>また、形成した炭
化クロム層が傾斜層であることを示すために、表面を約
20μm毎に研磨してX線回折測定を行った。解析は、
X線回折図形の黒鉛002反射と炭化クロム421反射
との回折線面積と比較して重量法によって炭化クロム転
化率を求める方法により行ったものである。結果を図2
に示す。図2より形成した炭化クロム層は、表面から約
40μmの深さまではほぼ炭化クロムのみで構成されて
いるが、これより内部に向かうにつれて炭化クロムの占
める割合が徐々に減少していく傾斜層を構成しているこ
とが分かる。なお、表面からの距離が100μmを超え
ても炭化クロムの回折線は少し見られたが、この回折線
は研磨によって生じた傷の凸部に残っている炭化クロム
が回折したものである。
【0060】工程<2>:セラミック層の形成方法 被覆用前駆体溶液A及びBを以下のようにそれぞれ調製
する。ジルコニウムテトラ・n・ブトキシド(ZrB
u)にトリエタノールアミン(TEA)を2倍加えた
後、2−プロパノールで希釈して濃度0.05MのZr
Buプロパノール前駆体溶液Aを調製した。一方、オル
トケイ酸塩四エチル(TEOS)をエタノールに溶かし
て濃度を0.1Mとして、硝酸イットリウムを加えた
後、エタノールの沸点(78℃)で12時間還流してT
EOSのエタノール前駆体溶液Bを調製した。このとき
の硝酸イットリウムの添加量は、ZrBuに対して10
mol%(実施例1)及び15mol%(実施例2)で
ある。これら調製した2つの前駆体溶液A及びBを、Z
rとSiのモル比が1:1となるように混合し、被覆用
の前駆体混合溶液とした。この混合溶液中に、工程<1
>と同様に炭化クロム層(厚み100μm)を形成させ
た等方性黒鉛基体を浸漬して、6cm/分の速度で2回
引上げた。次いでアルゴン雰囲気中1200℃で2時間
保持してZrO−SiO−Yのセラミック層
を夫々形成した。このセラミック層の厚みは夫々0.5
μmであった。また、このセラミック層の成分比はモル
比でZrO:SiO:Y=1:1:0.05
(実施例1)及び1:1:0.10(実施例2)であっ
た。
【0061】<セラミック層の構造>実施例1と実施例
2の各試料に形成されたセラミック層の構造を調べるた
め、X線回折法によりセラミック層の表面にX線を照射
して調べた。図3に実施例1及び図4に実施例2のX線
回折図形を示す。図3(実施例1)は、酸化イットリウ
ムで安定化した二酸化ジルコニウム(いわゆるイットリ
ア安定化ジルコニア)の正方晶の回折図形を示してお
り、図4(実施例2)は、その立方晶の回折図形を示し
ている。また、図3及び図4には二酸化ケイ素の回折線
が見られないことから、非晶質であることが分かる。さ
らに、酸化イットリウム又は二酸化ジルコニウムの回折
線は検出されていないため、両者は均一に固溶体を形成
していると考えられる。なお、この結果より、通常のセ
ラミックの場合とは異なる硝酸イットリウムの添加量
で、形成されるセラミック層の結晶構造が変化すること
が分かる。
【0062】実施例3〜5 工程<1>と工程<2>において、硝酸イットリウムの
添加量及び前駆体溶液A、Bの混合量のみを変えた他は
同一の工程によって、ZrO:SiO:Y
1:1:0.20(実施例3)、1:0.8:0.10
(実施例4)及び1:1.2:0.10(実施例5)の
成分比を有するセラミック層を形成した。
【0063】<酸化消耗試験>各実施例1〜5の材料の
耐酸化消耗性を示すため、等方性黒鉛(基体)のみ(比
較例1)、工程<1>と同様の方法で等方性黒鉛に厚み
100μmの炭化クロム層のみを形成したもの(比較例
2)、工程<2>のゾル−ゲル法とほぼ同様の工程によ
り等方性黒鉛にZrO−Y(モル比1:0.1
0)のセラミック層で被覆したもの(比較例3)及び実
施例1〜5の材料を比較して、酸化消耗試験を行った。
試験は1000℃に設定した炉内に空気を200ml/
分の流量で流し、各材料を酸化させて行ったものであ
る。試験開始から10時間経過の重量減少を表1に示
す。また、図5に比較例1〜3の材料と代表として、実
施例2の材料の酸化挙動を示す。
【0064】
【表1】
【0065】実施例6 基材として2次元C/C複合材(東洋炭素(株)製、か
さ密度1.65g/cm、平均気孔半径8.8μm、
灰分100質量ppm、平均熱膨張係数0.6×10
−6/K(室温〜1273K)、寸法20×10×5m
m)を用い、工程<1>及び工程<2>と同じ方法で炭
化クロム層(厚み100μm)とセラミック層(厚み
0.5μm)を形成した。セラミック層の成分比はモル
比でZrO:SiO:Y=1:1:0.10
である。
【0066】実施例7 工程<1>と同様に等方片黒鉛に炭化クロム層を厚み1
00μmで形成して、ジルコニウムテトラ・n・ブトキ
シド(ZrBu)の代わりに、タンタルプロポキシドを
用いて、Ta−SiO−Y(セラミック
層のモル比1:1:0.10)のセラミック層を工程<
2>と同様な方法により、0.5μmの厚みで形成し
た。
【0067】実施例6及び実施例7の材料について<酸
化消耗試験>を行ったところ、実施例1〜5の材料とほ
ぼ同様の重量減少であり、耐酸化消耗性の良い材料であ
ることが分かった。
【0068】なお、図1〜図4で得たX線回折図形は、
ディフラクトメータにより、対陰極は銅(Cu)、加速
電圧は30kV、印加電流は30mA、フィルターはニ
ッケル(Ni)を使用して測定したものである。また、
基体の平均気孔半径は、水銀圧入法で測定される累積気
孔半径0.01〜50μmでの累積気孔容積の1/2に
相当する気孔半径とした。灰分は日本工業規格(JI
S)R 7223に準拠して測定した。
【0069】
【発明の効果】本発明に係るセラミック被覆炭素材は、
炭化クロム層を中間層とし、その上に特定成分比の二酸
化ジルコニウム−二酸化ケイ素−酸化イットリウム、又
は酸化タンタル−二酸化ケイ素−酸化イットリウムのセ
ラミック層を設け、その界面部にクロム酸イットリウム
が存在しているため、基体との密着性が良く耐酸化消耗
性を十分に発揮させるセラミック被覆炭素材である。
【0070】さらに、セラミック層に二酸化ケイ素が含
まれているので、セラミック層にき裂が発生しても炭素
基体に酸素が侵入することがなく、材料の寿命を長くす
ることができる。
【0071】特に本セラミック層は、薄くても十分に耐
酸化消耗性を発揮するので、セラミック層に熱応力が加
わってもはく離や機械的強度の劣化も生しにくく、炭素
材が有する特性を十分に引き出すことができるセラミッ
ク被覆炭素材を提供することができる。
【0072】また、本発明に係る材料は、炭素材の表層
にセラミック層を設けているので、耐摩耗性を有した材
料としても使用できる。さらには、各層は密着性に優れ
ているため、耐熱衝撃性の良い材料としても使用でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】炭化クロム層のX線回折図形を示した図であ
る。
【図2】X線回折法で解析した炭化クロム層の表面から
深さ方向の転化率分布を示した図である。
【図3】実施例1(ZrO:SiO:Y
1:1:0.05(モル比))のセラミック層のX線回
折図形を示した図である。
【図4】実施例2(ZrO:SiO:Y
1:1:0.10(モル比))のセラミック層のX線回
折図形を示した図である。
【図5】酸化消耗試験の酸化挙動を示したグラフであ
る。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素材を基体とし、その表層に転化法に
    より形成した炭化クロム層があり、該炭化クロム層の上
    に、 酸化イットリウムと二酸化ジルコニウムの複合酸化物が
    非晶質の二酸化ケイ素中に分散したセラミック層を有
    し、 該セラミック層の成分比がモル比で二酸化ジルコニウム
    1に対して二酸化ケイ素0.8乃至1.2及び酸化イッ
    トリウム0.05乃至0.20であり、且つ該セラミッ
    ク層が、前記炭化クロム層の炭化クロムと前記セラミッ
    ク層の構成成分である酸化イットリウムとの反応によっ
    て生成したクロム酸イットリウムを介して存在する、セ
    ラミック被覆炭素材。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のセラミック被覆炭素材
    において、前記セラミック層が、 酸化イットリウムと酸化タンタルの複合酸化物が非晶質
    の二酸化ケイ素中に分散したセラミック層で置き換えら
    れ、且つ該セラミック層の成分比がモル比で酸化タンタ
    ル1に対して二酸化ケイ素0.8乃至1.2及び酸化イ
    ットリウム0.03乃至0.20である、ことを特徴と
    するセラミック被覆炭素材。
  3. 【請求項3】 請求項1又は請求項2に記載のセラミッ
    ク被覆炭素材において、前記炭化クロム層の厚みが10
    乃至200μmであることを特徴とするセラミック被覆
    炭素材。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至請求項3のいずれか1項に
    記載のセラミック被覆炭素材において、前記セラミック
    層の厚みが0.1乃至100μmであることを特徴とす
    るセラミック被覆炭素材。
  5. 【請求項5】 炭素材を基体とし、 該炭素材の表層に、炭化クロム層を転化法により形成す
    る第一工程と、 該炭化クロム層の表面にケイ素及びイットリウム、並び
    にジルコニウム又はタンタルを含むセラミック前駆体溶
    液を塗布する第二工程と、 該塗布物を熱処理して、酸化イットリウムと二酸化ジル
    コニウムの複合酸化物が非品質の二酸化ケイ素中に分散
    したセラミック層、又は酸化イットリウムと酸化タンタ
    ルの複合酸化物が非晶質の二酸化ケイ素中に分散したセ
    ラミック層を形成する第三工程と、により形成すること
    を特徴とするセラミック被覆炭素材の製造方法。
JP26604094A 1994-09-21 1994-09-21 セラミック被覆炭素材及びその製造方法 Expired - Fee Related JP3691090B2 (ja)

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