JPH0891950A - ガラス接合物及びガラス接合方法 - Google Patents

ガラス接合物及びガラス接合方法

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JPH0891950A
JPH0891950A JP23510894A JP23510894A JPH0891950A JP H0891950 A JPH0891950 A JP H0891950A JP 23510894 A JP23510894 A JP 23510894A JP 23510894 A JP23510894 A JP 23510894A JP H0891950 A JPH0891950 A JP H0891950A
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JP
Japan
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glass
melting point
fused
amount
difference
Prior art date
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JP23510894A
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English (en)
Inventor
Noriyoshi Konno
憲美 今野
Koujirou Ogami
公二郎 屋上
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 被接合物とセラミックスをガラス接合する際
に生じる応力を抑制し、クラックや割れの発生を回避
し、不良品の発生を低減化する。 【構成】 被接合物とセラミックスを融着ガラスにより
ガラス接合する際に、セラミックスと融着ガラスの間に
生じる反応層におけるガラス高融点化成分量とガラス低
融点化成分量の差DR が融着ガラスにおけるガラス高融
点化成分量とガラス低融点化成分量の差DG よりも大き
い場合に、上記DR とDG の差ΔDを変化させることに
より、上記セラミックスと融着ガラスとの見かけの固着
点を変化させてガラス接合する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、被接合物とセラミック
スが融着ガラスにより接合されたガラス接合物及びこれ
を製造するガラス接合方法に関し、特に例えば磁気ヘッ
ドと、セラミックスよりなるガード材を接合した磁気ヘ
ッド装置等に適用して好適なガラス接合物及びこれを製
造するガラス接合方法に関する。
【0002】
【従来の技術】通常、セラミックスとフェライト等の他
の材料との接合方法としては、融着ガラスを用いたガラ
ス接合方法が用いられる。そして、上記ガラス接合方法
は、例えば磁気ヘッド装置等において磁気ヘッドとセラ
ミックスよりなるガード材等の接合の際に用いられる。
【0003】上記磁気ヘッド装置としては、例えば、図
8に示されるように、フェライト基板103上に薄膜型
の磁気ヘッドが形成された薄膜磁気ヘッド101とセラ
ミックスよりなるガード材102を融着ガラス105に
より固定したもの、或いは図9に示されるように、フェ
ライトよりなるバルク型の磁気ヘッド111とセラミッ
クスよりなるスライダー112を融着ガラス115によ
り固定したものが挙げられる。
【0004】そして、これら磁気ヘッド装置において
は、上記ガード材102或いはスライダー112を図示
しない磁気記録媒体の記録再生領域上に対向ないし対接
させて、薄膜磁気ヘッド101或いは磁気ヘッド111
の磁気ギャップgを磁気記録媒体の記録トラック上に位
置させて情報の記録再生を行うようにしている。なお、
図8に示す磁気ヘッド装置の薄膜磁気ヘッド101は多
チャンネル構成であり、該薄膜磁気ヘッド101は端子
導出部104を有している。
【0005】これら磁気ヘッド装置における薄膜磁気ヘ
ッド101とガード材102或いは磁気ヘッド111と
スライダー112の接合方法としては、先ず、図10
(A)に示すように(ただし、図10には薄膜磁気ヘッ
ド101とガード材102の例を示す。)、例えば感光
性結晶化ガラス等のセラミックスよりなるガード材10
2上に融着ガラス棒106を載置し、次に上記融着ガラ
ス棒106を溶融させて、図13(B)に示すようにガ
ード材102上に融着ガラス105を形成し、続いて、
図13(C)に示すように上記融着ガラス105の表面
を研磨して平坦化し、さらに図13(D)に示すように
融着ガラス105の形成されたガード材102と薄膜磁
気ヘッド101を融着ガラス105を介して対向させ、
これらを治具107によって固定した状態で加圧熱処理
を施す、いわゆる熱圧着によるガラス接合方法が採られ
ている。
【0006】ところで、このようにしてガラス接合する
際には、応力の発生を極力低減化するために、薄膜磁気
ヘッド101のフェライト基板103、融着ガラス10
5及びガード材102のセラミックスの熱膨張率特性を
適合化させることが必要である。材料の選定を誤ると、
融着ガラス105に過剰の引張応力がかかることとな
り、融着ガラス105やガード材102を構成するセラ
ミックス或いはフェライト基板103にクラックが生じ
る。上記融着ガラス105の割れは溶融中に塞がる場合
もあるが、ガード材102には最終的に割れが残ってし
まう。
【0007】そして、このような割れを回避するために
は、用いる融着ガラス105のガラス転移点よりやや高
い温度において、融着ガラス105の熱膨張率曲線とフ
ェライト基板103,ガード材102のセラミックスの
熱膨張率曲線とが交差することが望ましいとされてい
る。
【0008】すなわち、例えば図11中実線Aで示す熱
膨張率特性を有するガラス材料Aにより図中実線P1
示す熱膨張率特性を有するセラミックスP1 と図中実線
Fで示す熱膨張率特性を有するフェライトFを接合する
場合、ガラス材料Aの熱膨張率曲線は、そのガラス転移
点TgA よりもやや高い温度でセラミックスP1 の熱膨
張率曲線及びフェライトFの熱膨張率曲線と交差してお
り、適切な冷却速度を保つことによって、クラックや割
れを生じることなくガラス接合を行うことができるとさ
れている。
【0009】一方、図11中実線Bで示す熱膨張率特性
を有するガラス材料Bを用いる場合は、フェライトFに
対しては良好な熱膨張率特性を有するが、セラミックス
1に対しては熱膨張率係数が大きすぎて、クラックや
割れの発生の要因となる恐れがあり、このガラス材料B
はフェライトFとセラミックスP1 を接合するには不適
当であるとされている。なお図11中には、各材料の1
00℃〜300℃における平均熱膨張係数(単位は×1
-7/℃)を実線を示す記号に付随して示す。
【0010】このようにガラス接合方法において発生す
る応力は、フェライトやセラミックス等の被接合材料と
融着ガラスの熱膨張率特性によって左右され、この特性
と接合の際の冷却速度、または接合部分の形状を適切に
選定することによって応力を抑制することができるとさ
れている。しかしながら、特にセラミックスの種類や溶
着条件によっては、無視できない大きさの応力が発生す
る場合があり、依然としてクラックや割れを確実に防ぐ
ことはできず、ガラス接合物の歩留りの低下を来す要因
となっている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は、従来
の実情に鑑みて提案されたものであり、例えば磁気ヘッ
ドとガード材を接合した磁気ヘッド装置、またはガラス
接合するICチップ等に適用して好適であり、被接合物
とセラミックスをガラス接合する際に生じる応力が抑制
されて、これによるクラックや割れの発生が回避され、
不良品の発生が低減化されたガラス接合物及びこれを製
造するガラス接合方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上述の課題を解決するた
めに本発明者等は鋭意検討した結果、被接合物とセラミ
ックスをガラス接合する際には、融着ガラスとセラミッ
クスとの間に反応層が形成され、この反応層の存在がガ
ラス接合の際の発生応力に大きな影響を及ぼすこと、従
来のガラス接合方法のように融着ガラス及びセラミック
スの熱膨張率特性、冷却速度又は形状等の制御のみによ
って発生応力を十分に制御することは困難であるという
ことを見い出した。
【0013】すなわち、融着ガラスとセラミックスとの
間に反応層が存在するにも関わらず、この反応層の影響
を考慮することなく接合を行う従来のガラス接合方法に
おいては、不適当な融着ガラスを用いてしまったり、ま
た溶着条件が適当でないために反応層が過剰に生じたり
するため、過剰の引張応力が発生し、これによって例え
ばガード材と磁気ヘッドのガラス接合を行った際にガー
ド材に割れが生じるものと思われる。
【0014】本発明者等は更に検討を進めた結果、上記
融着ガラスとセラミックスとの間に形成される反応層に
おいては、反応層中のガラス高融点化成分量とガラス低
融点化成分量の差DR が融着ガラスのガラス高融点化成
分量とガラス低融点化成分量の差DG とは異なったもの
となり、これによりセラミックスと融着ガラス間の見か
けの固着点が変化し、この固着点の変化により発生応力
が大きく左右されることを見い出した。
【0015】上記ガラス高融点化成分とは、ガラスを形
成する上で該ガラスを高融点化する成分を示し、例示す
ればSiO2 (融点:〜1700℃)、TiO2 (融
点:〜1870℃)、ZrO2 (融点:〜2900
℃)、Al23 (融点:〜2050℃)等が挙げら
れ、これら酸化物の融点はいずれも1000℃を越え
る。
【0016】一方のガラス低融点化成分とは、同様にガ
ラスを低融点化する成分を示し、例示すれば、アルカリ
酸化物においてはNa2 O(融点:〜920℃)、K2
O(融点:〜707℃)、Li2 O(融点:〜1727
℃)等が挙げられ、重金属酸化物においてはPbO(融
点:〜886℃)、Bi23 (融点:〜817℃)、
Tl2 O(融点:〜580℃)、TeO2 (融点:〜7
33℃)等が挙げられる。また、その他の酸化物として
は、例えばP25 (融点:〜420℃)、B23
(融点:〜460℃)、V25 (融点:〜680℃)
等が挙げられる。これらの酸化物の融点はLi2 Oを除
いていずれも1000℃以下である。上記Li2 Oは、
単体では、その融点が1000℃を越えるが、ガラス成
分として用いる場合には特異的にガラスを低融点化する
特性がある。
【0017】一般にガラス組成は、上記ガラス高融点化
成分と上記ガラス低融点化成分とから成り立っており、
ガラス高融点化成分量をAGi、ガラス低融点化成分量を
Gjとすると、融着ガラスの組成Mは数1のように表さ
れる。
【0018】
【数1】
【0019】この式から、融着ガラスとセラミックスと
の間に生じる反応層におけるガラス高融点化成分量とガ
ラス低融点化成分量の差DR は数2のように表される。
なお、このとき、反応層におけるガラス高融点化成分と
してSiO2 が含有されているものとする。
【0020】
【数2】
【0021】一方、融着ガラスにおけるガラス高融点化
成分量とガラス低融点化成分量の差DG は数3のように
表される。
【0022】
【数3】
【0023】さらに、数2,数3から反応層におけるガ
ラス高融点化成分量とガラス低融点化成分量の差DR
融着ガラスにおけるガラス高融点化成分量とガラス低融
点化成分量の差DG 間の差ΔDは以下のように表され
る。
【0024】ΔD=DR −DG そして、セラミックス,反応層,融着ガラスにおけるガ
ラス高融点化成分SiO2 の含有量は、通常、図12の
ように変化し、ガラス低融点化成分PbOの含有量は、
通常、図13のように変化するため、反応層におけるガ
ラス高融点化成分量とガラス低融点化成分量の差DR
方が、融着ガラスにおけるガラス高融点化成分量とガラ
ス低融点化成分量の差DG よりも大きくなる。従って、
反応層とセラミックス間の見かけの固着点、すなわち融
着ガラスとセラミックス間の見かけの固着点が高くなっ
てしまい、これにより融着ガラス中に発生する応力が引
張方向に増加してしまうものと思われる。
【0025】すなわち本発明のガラス接合物は、被接合
物とセラミックスが融着ガラスによりガラス接合された
ガラス接合物において、ガラス接合時に上記セラミック
スと融着ガラスの間に生じる反応層におけるガラス高融
点化成分量とガラス低融点化成分量の差DR が融着ガラ
スにおけるガラス高融点化成分量とガラス低融点化成分
量の差DG よりも大きく、上記DR とDG の差ΔDを変
化させることにより、上記セラミックスと融着ガラスと
の見かけの固着点を変化させてガラス接合されたことを
特徴とするものである。
【0026】また、本発明のガラス接合方法は、上記本
発明のガラス接合物を製造するものであり、被接合物と
セラミックスを融着ガラスにより溶融接合するガラス接
合方法において、ガラス溶融接合時に上記セラミックス
と融着ガラスの間に生じる反応層におけるガラス高融点
化成分量とガラス低融点化成分量の差DR が融着ガラス
におけるガラス高融点化成分量とガラス低融点化成分量
の差DG よりも大きく、上記DR とDG の差ΔDを変化
させることにより、上記セラミックスと融着ガラスとの
見かけの固着点を変化させることを特徴とするものであ
る。
【0027】なお、上記反応層がSiO2 を含有してい
る場合に本発明のガラス接合方法は適用される。
【0028】また、このとき、セラミックスとして融着
ガラスよりも高い軟化点を有するものを用いる。
【0029】
【作用】本発明のガラス接合物は、ガラス接合時にセラ
ミックスと融着ガラスの間に生じる反応層におけるガラ
ス高融点化成分量とガラス低融点化成分量の差DR が融
着ガラスにおけるガラス高融点化成分量とガラス低融点
化成分量の差DG よりも大きく、上記DR とDG の差Δ
Dを変化させることにより、上記セラミックスと融着ガ
ラスとの見かけの固着点を変化させてガラス接合された
ため、ガラス接合時に発生する応力が制御され、セラミ
ックスのクラックや割れが生じにくい。
【0030】前述のように、通常、融着ガラスとセラミ
ックスが溶け合って形成される反応層におけるガラス高
融点化成分量とガラス低融点化成分量の差DR が融着ガ
ラスにおけるガラス高融点化成分量とガラス低融点化成
分量の差DG よりも大きくなり、融着ガラスとセラミッ
クス間の見かけの固着点が高くなってしまい、融着ガラ
ス内に生じる応力が引張方向に増加してしまう。すなわ
ち、反応層は融着ガラスよりも高融点化される。このこ
とを以下に説明する。
【0031】図14中、実線Cにてセラミックスの熱膨
張率曲線を示し、同図中実線gにて融着ガラスの熱膨張
率曲線を示し、また、上記融着ガラスのガラス転移点を
gとして、屈服点をTc として、また融着ガラスに発
生する応力を実線at として示す。そしてこのとき、反
応層の形成によりセラミックスと融着ガラス間の見かけ
の固着点は図中破線Ta から図中破線Tb に移動してし
まう。
【0032】このため、セラミックスの熱膨張率曲線
は、見かけ上、破線aから破線bにシフトし、この結
果、発生応力は実線at から破線bt で示すように増加
する。
【0033】なお、上記発生応力の正負の方向は以下の
ようにして決定した。すなわち、図15に示すように、
セラミックスよりなる基板122上に融着ガラス125
を載置して加熱圧着して接合したときに、上記融着ガラ
ス125に該融着ガラス125側が凸状となる図中矢印
cで示すような圧縮応力が働いた場合を正とし、融着ガ
ラス125側が凹状となる図中矢印tで示すような引張
応力が働いた場合を負とした。
【0034】そして、上記応力は以下のようにして計算
される。ここでは、応力Pを図16に示すような融着ガ
ラス125の表面125aの長さL当たりの反りの量d
を用いて計算した。このとき、セラミックとしてはヤン
グ率が8.826×1010(Pa)のものを使用し、融
着ガラスとしてはヤング率が6.374×1010(P
a)のものを使用し、融着ガラス及びセラミックスの幅
を2.8、融着ガラスの厚さを0.275mm、セラミ
ックスの厚さを1.0mmとした。応力Pの計算式を以
下に示す。
【0035】P=4.258×1010/R〔ただし、P
(Pa),R(mm)〕 上記R(mm)は以下のようにして表される。
【0036】R=(d/2)+(L2 /8d)〔ただ
し、d(mm),L(mm)〕 従来は、この高融点化した反応層の存在を考慮せずに接
合を行っていたが、形成される反応層の領域平均の軟化
点が融着ガラスの軟化点よりも高くなり、反応層が元の
融着ガラスに比べて高融点化してガラスとセラミックス
の接合における見かけの固着点が高くなることに応力の
増加の原因があり、本発明のガラス接合物においては、
このような見かけの固着点を変化させることにより応力
を制御している。
【0037】なお、反応層の高融点化の度合いは、X線
マイクロアナライザー(XMA)等による組成分析によ
って求められる。すなわち、反応層におけるガラス高融
点化成分量とガラス低融点化成分量の差DR の融着ガラ
スにおけるガラス高融点化成分量とガラス低融点化成分
量の差DG に対する差ΔDにより高融点化を定義するも
のとし、上記DR が上記DG よりも大きくなった場合に
高融点化したとする。
【0038】また、反応層は例えば次のように定義され
る。すなわち、波長分散型電子線微小部分析装置(WD
X−EPMA)の線分析において、元素プロファイルの
減少、又は増加が明らかに変化しはじめる領域とする。
その際、元素マッピングによる元素強度の変化や走査型
電子顕微鏡(SEM)像等を参考にしても良い。
【0039】なお、上記本発明のガラス接合物の製造方
法としては、以下のような方法が挙げられる。すなわ
ち、被接合物とセラミックスを融着ガラスにより溶融接
合するガラス接合方法において、ガラス溶融接合時に上
記セラミックスと融着ガラスの間に生じる反応層におけ
るガラス高融点化成分量とガラス低融点化成分量の差D
R が融着ガラスにおけるガラス高融点化成分量とガラス
低融点化成分量の差DGよりも大きく、上記DR とDG
の差ΔDを変化させることにより、上記セラミックスと
融着ガラスとの見かけの固着点を変化させる方法が挙げ
られる。そして、上記反応層がSiO2 を含有している
場合に本発明のガラス接合方法は適用される。
【0040】また、セラミックスとして融着ガラスより
も高い軟化点を有するものを用いるが、従来のガラス接
合方法においては、上記反応層が顕著に高融点化してし
まっていた。しかし、本発明のガラス接合方法において
は、同条件下においても、DR とDG との差ΔDを制御
しているため、反応層が極端に高融点化することはな
く、ガラス接合時に発生する応力が制御される。
【0041】
【実施例】以下、本発明の具体的な実施例について実験
結果に基づいて説明する。
【0042】実験例1 本実験例においては、先に図8に示したようなフェライ
ト基板103上に薄膜型の磁気ヘッドの形成された薄膜
磁気ヘッド101とセラミックスよりなるガード材10
2を融着ガラス105により固定した磁気ヘッド装置の
製造に本発明のガラス接合方法を適用した例を示す。
【0043】先ず、図1に示すように、感光性結晶化ガ
ラスよりなるセラミックス製のガード材2を用意する。
本実験例においては、先に図11で示した熱膨張率特性
を有するセラミックスP1 を用い、上記ガード材2を図
中にも示すように縦27.0mm×横2.8mm×厚さ
1.0mmの大きさのものとした。
【0044】そして、上記ガード材2上に2本の融着ガ
ラス棒1を図中矢印Nで示すように載置した。なお、上
記融着ガラス棒1としては、先に図11で示した熱膨張
率特性を有するガラス材料A及びガラス材料Bを使用
し、図1中にも示すように直径0.7mmで長さ30m
mのものとした。上記ガラス材料A及びガラス材料Bは
ガラスの粘度が104 ポアズとなる作業温度Twが約5
60℃の低融点ガラスであり、ガラス材料Aは100℃
〜300℃までの平均熱膨張係数(α100-300 )が90
×10-7/℃、ガラス材料Bは96×10-7/℃のガラ
ス材料である。
【0045】続いて、前述したように、上記融着ガラス
棒1を溶融させて融着ガラスを形成し、その表面を研磨
した。なお、このとき、融着ガラス棒1溶融条件を表1
に示すような条件で変化させて融着ガラスを形成するも
のとした。上記溶融条件は、図2に示すような加熱パタ
ーンの条件を示すものであり、空気中で室温から5℃/
minの昇温速度で表1中のパック温度まで昇温し、そ
の後パック温度下で表1中に示すパック時間で保持し、
その後冷却することを示す。
【0046】
【表1】
【0047】上記種々の溶融条件による融着ガラスが形
成された試料1〜9のガード材2の反り量及び発生応
力、融着ガラスとセラミックスであるガード材2間に形
成される反応層におけるガラス高融点化成分量とガラス
低融点化成分量の差DR と融着ガラスにおけるガラス高
融点化成分量とガラス低融点化成分量の差DG との差Δ
Dを調査した。結果を表1中に併せて示す。
【0048】次に上記種々の溶融条件による融着ガラス
が形成された試料1〜9のガード材2と薄膜磁気ヘッド
を融着ガラスを介して対向させ、これらを治具によって
固定した状態で加圧熱処理を施してガード材2と薄膜磁
気ヘッドをガラス接合して磁気ヘッド装置を製造した。
【0049】なお、上記ΔDの算出にあたり、例えばガ
ラスAを用いた試料1のガード材を使用した磁気ヘッド
装置とガラスBを用いた試料8のガード材を使用した磁
気ヘッド装置について組成分析を行ってみたところ、表
2に示すような値が得られた。
【0050】
【表2】
【0051】表1中に示されるΔDと発生応力の関係を
図3に示す。図3中○はガラス材料Aの結果を示し、図
3中□はガラス材料Bの結果を示す。この結果から、被
接合材料が同一で融着ガラスが同一の場合でもΔDの違
いにより発生応力に差が生じることが確認された。ΔD
が零の場合の発生応力は材料本来の熱膨張特性により生
じる応力である。また、熱膨張特性の異なるガラス材料
Aとガラス材料Bを用いた場合の結果ももちろん異な
り、ΔDが零の場合の発生応力も異なる。
【0052】さらに、上記結果から融着ガラス棒を溶融
させるときの溶融条件(粘度,パック温度,パック時
間)を制御することによりΔDを制御することが可能で
あることも確認された。
【0053】次に、図4にガラス材料A及びガラス材料
Bの粘度とΔDの関係を示す。なお図4中○はガラス材
料Aの結果を示し、□はガラス材料Bの結果を示す。ま
た、図5に上記ガラス材料A及びガラス材料Bの粘性特
性を示す。ただしこのときガラス材料Aとガラス材料B
の特性は同様であるのでガラスAの粘性特性のみを示
す。
【0054】これらの結果からΔDは粘度が低く、温度
が高い程、また溶融条件のパック時間が長い程大きくな
ることがわかった。そして、ΔDが大きいほど発生応力
(引張応力)も増加していく傾向があることもわかっ
た。
【0055】実験例2 本実験例においても、セラミックスとして図6中実線P
2 で示す熱膨張率特性を有するセラミックP2 を用い、
融着ガラスとして図6中実線Cで示す熱膨張率特性を有
するガラス材料C及び実線Dで示す熱膨張率特性を有す
るガラス材料Dを融着ガラス棒として使用し、実験例1
と同様にセラミックス製のガード材に融着ガラスを形成
し、これらにおけるΔDと発生応力の関係を調査した。
また、上記各ガード材を使用して磁気ヘッド装置の製造
も行った。なお、セラミックスP2 の100℃〜300
℃までの平均熱膨張係数(α100-300 )は118×10
-7/℃であり、ガラス材料Cにおいては77×10-7
℃であり、ガラス材料Dにおいては115×10-7/℃
である。
【0056】結果を図7に示す。図7中実線はガラスC
を用いた場合の結果を示し、破線はガラスDを用いた場
合の結果を示す。
【0057】図7の結果からガラスDを用いた場合にお
いては、ΔDをq1 からq2 と小さくすることにより発
生応力(引張応力)を小さくすることができるが、ガラ
スCを用いた場合においては、ΔDをp2 からp1 と大
きくすることにより発生応力(圧縮応力)を小さくする
ことができることが確認された。
【0058】上記ガラス材料CとセラミックスP2 のよ
うな材料間のガラス接合は、従来の熱膨張曲線や冷却速
度を決定するのみのガラス接合方法により発生応力を抑
制して行うことは困難であったが、本発明のガラス接合
方法を用いれば、このような材料間の接合も発生応力を
制御して行うことが可能である。
【0059】すなわち、本発明のガラス接合方法のよう
に、被接合物とセラミックスを融着ガラスにより溶融接
合するガラス接合方法において、ガラス溶融接合時に上
記セラミックスと融着ガラスの間に生じる反応層におけ
るガラス高融点化成分量とガラス低融点化成分量の差D
R が融着ガラスにおけるガラス高融点化成分量とガラス
低融点化成分量の差DG よりも大きく、上記DR とDG
の差ΔDを変化させることにより、上記セラミックスと
融着ガラスとの見かけの固着点を変化させれば、ガラス
接合時に発生する応力を制御することが可能であり、セ
ラミックスへのクラックや割れの発生を回避することが
可能であることが確認された。
【0060】また、特に、上記実験例1中、ガラス材料
Aを使用した試料4と試料6の結果を比較すると、試料
4を用いた場合の発生応力が2.31×106 Pa(平
均値)であるのに対し、試料6を用いた場合の発生応力
は21.4×106 Paであり、試料4を用いた場合、
発生応力を1/10程度に抑制できることも確認され
た。さらに、試料6を用いた場合においてはガード材に
20%の割合でクラックが生じていたものの、試料4を
用いた場合においては実質的にガード材のクラックの発
生を0%とすることができた。
【0061】すなわち、本発明のガラス接合方法により
製造される本発明のガラス接合物においては、セラミッ
クスのクラックや割れの発生が回避され、不良品の発生
が低減化されることが確認された。
【0062】なお、上述の実験例1及び実験例2におい
ては、ガード材を構成するセラミックスとしてフォトラ
セム(コーニング社製,登録商標)を用い、これと薄膜
磁気ヘッドのフェライト基板のガラス接合を行うものと
したが、セラミックスとしては、デビトロン(石塚硝子
社製,商品名)や日本電気硝子社製各種結晶化ガラス、
或いは非晶質ガラス等の種々のガラス材料を用いること
が可能である。
【0063】さらに、本発明のガラス接合方法は、上述
の磁気ヘッド装置の製造の他、ICチップのガラス接合
等に適用して好適であることは言うまでもない。
【0064】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明のガラス接合物は、被接合物とセラミックスが融着ガ
ラスによりガラス接合されたガラス接合物において、ガ
ラス接合時にセラミックスと融着ガラスの間に生じる反
応層におけるガラス高融点化成分量とガラス低融点化成
分量の差DR が融着ガラスにおけるガラス高融点化成分
量とガラス低融点化成分量の差DG よりも大きく、上記
R とDG の差ΔDを変化させることにより、上記セラ
ミックスと融着ガラスとの見かけの固着点を変化させて
ガラス接合されたため、ガラス接合時に発生する応力が
制御され、セラミックスのクラックや割れが生じにく
く、不良品の発生が低減化される。
【0065】また、本発明のガラス接合方法は、被接合
物とセラミックスを融着ガラスにより溶融接合するガラ
ス接合方法において、ガラス溶融接合時に上記セラミッ
クスと融着ガラスの間に生じる反応層におけるガラス高
融点化成分量とガラス低融点化成分量の差DR が融着ガ
ラスにおけるガラス高融点化成分量とガラス低融点化成
分量の差DG よりも大きく、上記DR とDG の差ΔDを
変化させることにより、上記セラミックスと融着ガラス
との見かけの固着点を変化させる着点を変化させるた
め、ガラス接合時に発生する応力が制御され、セラミッ
クスへのクラックや割れの発生を回避することが可能と
なる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ガード材に融着ガラス棒を載置する工程を示す
斜視図である。
【図2】加熱パターンを示す模式図である。
【図3】ガラス材料A及びガラス材料Bを用いた場合の
ΔDと発生応力の関係を示す特性図である。
【図4】ガラス材料A及びガラス材料Bの粘度とΔDの
関係を示す特性図である。
【図5】ガラス材料Aの粘性特性を示す特性図である。
【図6】セラミックスP2 とガラス材料C及びガラス材
料Dの熱膨張率特性を示す特性図である。
【図7】ガラス材料C及びガラス材料Dを用いた場合の
ΔDと発生応力の関係を示す特性図である。
【図8】磁気ヘッド装置の一例を示す斜視図である。
【図9】磁気ヘッド装置の他の例を示す斜視図である。
【図10】ガラス接合方法を示す模式図である。
【図11】セラミックスP1 とフェライトF、ガラス材
料A及びガラス材料Bの熱膨張率特性を示す特性図であ
る。
【図12】ガラス高融点化成分SiO2 の含有量の変化
を示す模式図である。
【図13】ガラス低融点化成分PbOの含有量の変化を
示す模式図である。
【図14】セラミックスと融着ガラスの熱膨張率特性及
び発生応力の関係を示す特性図である。
【図15】発生応力の方向を決める方法を示す模式図で
ある。
【図16】融着ガラスの長さと反りの関係を示す模式図
である。
【符号の説明】
1 融着ガラス棒 2 ガード材

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被接合物とセラミックスが融着ガラスに
    よりガラス接合されたガラス接合物において、 ガラス接合時に上記セラミックスと融着ガラスの間に生
    じる反応層におけるガラス高融点化成分量とガラス低融
    点化成分量の差DR が融着ガラスにおけるガラス高融点
    化成分量とガラス低融点化成分量の差DG よりも大き
    く、上記DR とDG の差ΔDを変化させることにより、
    上記セラミックスと融着ガラスとの見かけの固着点を変
    化させてガラス接合されたことを特徴とするガラス接合
    物。
  2. 【請求項2】 被接合物とセラミックスを融着ガラスに
    より溶融接合するガラス接合方法において、 ガラス溶融接合時に上記セラミックスと融着ガラスの間
    に生じる反応層におけるガラス高融点化成分量とガラス
    低融点化成分量の差DR が融着ガラスにおけるガラス高
    融点化成分量とガラス低融点化成分量の差DG よりも大
    きく、上記DRとDG の差ΔDを変化させることによ
    り、上記セラミックスと融着ガラスとの見かけの固着点
    を変化させることを特徴とする請求項1記載のガラス接
    合物を製造するガラス接合方法。
  3. 【請求項3】 反応層がSiO2 を含有していることを
    特徴とする請求項2記載のガラス接合方法。
  4. 【請求項4】 セラミックスとして融着ガラスよりも高
    い軟化点を有するものを用いることを特徴とする請求項
    3記載のガラス接合方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0832858A3 (en) * 1996-09-26 1998-08-19 Hitachi, Ltd. Sealing glass, and a method for manufacturing the same
US20220223323A1 (en) * 2021-01-08 2022-07-14 Kistler Holding Ag Joint, electrical feedthrough, and sensor

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