JPH0891830A - 高可塑性アルミナ粒子及びその製造法 - Google Patents
高可塑性アルミナ粒子及びその製造法Info
- Publication number
- JPH0891830A JPH0891830A JP6231252A JP23125294A JPH0891830A JP H0891830 A JPH0891830 A JP H0891830A JP 6231252 A JP6231252 A JP 6231252A JP 23125294 A JP23125294 A JP 23125294A JP H0891830 A JPH0891830 A JP H0891830A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- alumina particles
- alumina
- particles
- highly plastic
- alkali metal
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Compounds Of Alkaline-Earth Elements, Aluminum Or Rare-Earth Metals (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 高可塑性のアルミナ粒子を得、優れた成形材
料を提供する。 【構成】 α−アルミナ粒子の表面にアルミン酸化合物
を形成してなることを特徴とする高可塑性アルミナ粒子
及びその製造法。
料を提供する。 【構成】 α−アルミナ粒子の表面にアルミン酸化合物
を形成してなることを特徴とする高可塑性アルミナ粒子
及びその製造法。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高い可塑性を保有する
アルミナ粒子及びその製造法に関するもので、セラミッ
クス用成形材料として好適なアルミナ粒子に関する。
アルミナ粒子及びその製造法に関するもので、セラミッ
クス用成形材料として好適なアルミナ粒子に関する。
【0002】
【従来の技術】α−アルミナはセラミックス原料とし
て、広く活用されている。そのα−アルミナの製造方法
はバイヤー法などで製造されており、従来アルミナ原料
として、製造されているのはα−アルミナ単相である。
しかし、粘土と比較して、α−アルミナの可塑性は乏し
いことが水田、芝崎、酒井、片桐、藤本;粉体および粉
末冶金、35巻、7号、(1988)、619頁などで
指摘されている。そのためアルミナセラミックスを、押
出し成形や射出成形などの可塑成形で作る場合は、成形
助剤として有機物を添加する必要がある。しかし、焼結
時には、成形助剤中の不純物無機物や分解しきれないカ
ーボンが影響し、緻密なアルミナセラミックを作ること
は困難である。そこで成形助剤を使用しなくても容易に
可塑成形ができる可塑性の良いアルミナ粉体が切望され
ている。
て、広く活用されている。そのα−アルミナの製造方法
はバイヤー法などで製造されており、従来アルミナ原料
として、製造されているのはα−アルミナ単相である。
しかし、粘土と比較して、α−アルミナの可塑性は乏し
いことが水田、芝崎、酒井、片桐、藤本;粉体および粉
末冶金、35巻、7号、(1988)、619頁などで
指摘されている。そのためアルミナセラミックスを、押
出し成形や射出成形などの可塑成形で作る場合は、成形
助剤として有機物を添加する必要がある。しかし、焼結
時には、成形助剤中の不純物無機物や分解しきれないカ
ーボンが影響し、緻密なアルミナセラミックを作ること
は困難である。そこで成形助剤を使用しなくても容易に
可塑成形ができる可塑性の良いアルミナ粉体が切望され
ている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、セラ
ミックス原料として高可塑性に富む、アルミナ粒子及び
その製造法を提供することにある。特に板状アルミナの
可塑性を更に向上させることにある。そして、すぐれた
成形性とともに成形密度の向上を図るものである。
ミックス原料として高可塑性に富む、アルミナ粒子及び
その製造法を提供することにある。特に板状アルミナの
可塑性を更に向上させることにある。そして、すぐれた
成形性とともに成形密度の向上を図るものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意検討し
た結果、α−アルミナ粒子の表面に水に対して活性の高
いアルミン酸化合物を偏析させ、粒子水面水膜を厚くす
ることによって上記課題が解決されることを見出し本発
明に至った。即ち、本発明は次の(1)〜(10)であ
る。 (1)α−アルミナ粒子の表面にアルミン酸化合物を形
成してなることを特徴とする高可塑性アルミナ粒子。 (2)α−アルミナ粒子の形状が六角板状粒子であるこ
とを特徴とする(1)記載の高可塑性アルミナ粒子。 (3)六角板状粒子の大きさが1.0μm以下、厚さが
0.1μm以下であることを特徴とする(2)記載の高
可塑性アルミナ粒子。 (4)α−アルミナ粒子の表面をアルミン酸化合物で被
覆してなる(1)記載の高可塑性アルミナ粒子。
た結果、α−アルミナ粒子の表面に水に対して活性の高
いアルミン酸化合物を偏析させ、粒子水面水膜を厚くす
ることによって上記課題が解決されることを見出し本発
明に至った。即ち、本発明は次の(1)〜(10)であ
る。 (1)α−アルミナ粒子の表面にアルミン酸化合物を形
成してなることを特徴とする高可塑性アルミナ粒子。 (2)α−アルミナ粒子の形状が六角板状粒子であるこ
とを特徴とする(1)記載の高可塑性アルミナ粒子。 (3)六角板状粒子の大きさが1.0μm以下、厚さが
0.1μm以下であることを特徴とする(2)記載の高
可塑性アルミナ粒子。 (4)α−アルミナ粒子の表面をアルミン酸化合物で被
覆してなる(1)記載の高可塑性アルミナ粒子。
【0005】(5)α−アルミナ粒子をアルカリ金属元
素を含む水又はアルカリ水溶液中で水熱処理を施し、そ
の後、熱処理を施すことを特徴とする高可塑性アルミナ
粒子の製造方法。 (6)水熱処理の温度が100〜500℃、熱処理の温
度が250〜1300℃であることを特徴とする(5)
記載の高可塑性アルミナ粒子の製造方法。 (7)アルカリ金属元素のアルミナに対する含有量が
0.005〜0.1重量%である(5)記載の高可塑性
アルミナ粒子の製造方法。 (8)アルカリ金属元素及びアルミニウム水酸化物を含
むα−アルミナ粒子に熱処理を施すことを特徴とする高
可塑性アルミナ粒子の製造方法。 (9)熱処理の温度が250〜1300℃であることを
特徴とする(8)記載の高可塑性アルミナ粒子の製造方
法。 (10)アルカリ金属元素のアルミナに対する含有量が
0.005〜0.1重量%であることを特徴とする
(8)記載の高可塑性アルミナ粒子の製造方法。
素を含む水又はアルカリ水溶液中で水熱処理を施し、そ
の後、熱処理を施すことを特徴とする高可塑性アルミナ
粒子の製造方法。 (6)水熱処理の温度が100〜500℃、熱処理の温
度が250〜1300℃であることを特徴とする(5)
記載の高可塑性アルミナ粒子の製造方法。 (7)アルカリ金属元素のアルミナに対する含有量が
0.005〜0.1重量%である(5)記載の高可塑性
アルミナ粒子の製造方法。 (8)アルカリ金属元素及びアルミニウム水酸化物を含
むα−アルミナ粒子に熱処理を施すことを特徴とする高
可塑性アルミナ粒子の製造方法。 (9)熱処理の温度が250〜1300℃であることを
特徴とする(8)記載の高可塑性アルミナ粒子の製造方
法。 (10)アルカリ金属元素のアルミナに対する含有量が
0.005〜0.1重量%であることを特徴とする
(8)記載の高可塑性アルミナ粒子の製造方法。
【0006】本発明のα−アルミナ粒子はα−アルミナ
粒子の表面にアルミン酸化合物が形成されているもの
で、特にはα−アルミナ粒子の表面をアルミン酸化合物
で被覆した構造となっている。本発明においてα−アル
ミナ粒子は球状、板状、棒状などの形状は特に問わな
い。この中で板状α−アルミナ粒子が好ましい。アルミ
ン酸化合物は特に限定されないが、具体的にはアルミン
酸ナトリウム(アルミン酸ソーダ)が特に好ましい。上
記のようにα−アルミナ粒子の粒子形状は特には問わな
いが、その中で微細な六角板状であることより、水で練
ると可塑性が強く発現し、その表面に保水性を保つのに
有用である。その粒子の大きさとしては6.0μm以下
で、厚さが0.1μm以下であることが有効である。特
には大きさは2.0μm以下であることが好ましい。
粒子の表面にアルミン酸化合物が形成されているもの
で、特にはα−アルミナ粒子の表面をアルミン酸化合物
で被覆した構造となっている。本発明においてα−アル
ミナ粒子は球状、板状、棒状などの形状は特に問わな
い。この中で板状α−アルミナ粒子が好ましい。アルミ
ン酸化合物は特に限定されないが、具体的にはアルミン
酸ナトリウム(アルミン酸ソーダ)が特に好ましい。上
記のようにα−アルミナ粒子の粒子形状は特には問わな
いが、その中で微細な六角板状であることより、水で練
ると可塑性が強く発現し、その表面に保水性を保つのに
有用である。その粒子の大きさとしては6.0μm以下
で、厚さが0.1μm以下であることが有効である。特
には大きさは2.0μm以下であることが好ましい。
【0007】アルミナの板状粒子を得る方法としては、
例えば仮焼工程で弗化アルミニウム等の鉱化剤を添加し
て製造する方法、アルミン酸ソーダ液に水酸化アルミニ
ウムを加えて加水分解して微細板状水酸化アルミを得
て、これを仮焼して製造する方法、水熱合成法などがあ
る。本発明においては、得られた粒子が微細な板状であ
れば特に好ましいが、板状粒子を得る方法については特
には限定しない。
例えば仮焼工程で弗化アルミニウム等の鉱化剤を添加し
て製造する方法、アルミン酸ソーダ液に水酸化アルミニ
ウムを加えて加水分解して微細板状水酸化アルミを得
て、これを仮焼して製造する方法、水熱合成法などがあ
る。本発明においては、得られた粒子が微細な板状であ
れば特に好ましいが、板状粒子を得る方法については特
には限定しない。
【0008】本発明の高可塑性アルミナ粒子の製造法と
しては次の二つがある。請求項5の方法においては、ア
ルカリ金属元素を含む水又はアルカリ水溶液で水熱処理
することにより、α−アルミナ粒子の表面にアルカリ金
属元素(Na,Kなど)とアルミニウム水酸化物(ギブ
サイト、ダイアスポア、ベーマイトなど)とが存在した
ものとすることができる。又、同様に請求項8の方法に
おいては、アルカリ金属元素を含む水酸化アルミニウム
又はアルミナ水和物を水又はアルカリ水溶液中で水熱処
理することにより、アルカリ金属元素を含む表面にアル
ミニウム水酸化物が存在したα−アルミナ粒子を得るこ
とができる。これを熱処理することより、前者の場合、
表面のアルカリ金属元素と、アルミニウム水酸化物とが
反応し、アルミン酸化合物を表面に形成する。後者の場
合、内部に含まれているアルカリ金属元素も表面に現出
し、表面に存在するアルカリ金属元素とともに、アルミ
ニウム水酸化物と反応し、アルミン酸化合物を表面に形
成する。このようにして得られたアルミナ粒子は内部が
α−アルミナ(コランダム)で、その表面にアルミン酸
化合物が存在又は被覆されたものとなる。
しては次の二つがある。請求項5の方法においては、ア
ルカリ金属元素を含む水又はアルカリ水溶液で水熱処理
することにより、α−アルミナ粒子の表面にアルカリ金
属元素(Na,Kなど)とアルミニウム水酸化物(ギブ
サイト、ダイアスポア、ベーマイトなど)とが存在した
ものとすることができる。又、同様に請求項8の方法に
おいては、アルカリ金属元素を含む水酸化アルミニウム
又はアルミナ水和物を水又はアルカリ水溶液中で水熱処
理することにより、アルカリ金属元素を含む表面にアル
ミニウム水酸化物が存在したα−アルミナ粒子を得るこ
とができる。これを熱処理することより、前者の場合、
表面のアルカリ金属元素と、アルミニウム水酸化物とが
反応し、アルミン酸化合物を表面に形成する。後者の場
合、内部に含まれているアルカリ金属元素も表面に現出
し、表面に存在するアルカリ金属元素とともに、アルミ
ニウム水酸化物と反応し、アルミン酸化合物を表面に形
成する。このようにして得られたアルミナ粒子は内部が
α−アルミナ(コランダム)で、その表面にアルミン酸
化合物が存在又は被覆されたものとなる。
【0009】アルカリ金属元素のアルミナに対する含有
量は0.005〜0.1重量%であることが好ましく、
これ以下であると本発明の目的である高可塑性を有する
ためのアルミン酸化合物が十分得られない。水熱処理に
おいて、α−アルミナを100〜500℃で水熱処理す
ることにより、α−アルミナが一部溶解し、キブサイ
ト、ベーマイトなどの水酸化アルミニウムが表面に析出
する。ここで温度を規定している理由は、100℃以下
では水熱処理効果が弱く、α−アルミナの溶解が少ない
ため、表面水酸化物ができにくいからである。又、50
0℃以上ではα−アルミナの溶解が激しく、表面以外に
水酸化アルミが析出してしまうため、本発明の目的とす
る表面処理が達成できないからである。圧力は20kg
/cm2〜250kg/cm2が好ましい。これらの範囲
が好ましい理由は上記の温度範囲と同様に、アルミナの
溶解度、析出物の構造に因るものである。又、水熱処理
の時間は48時間以内が好ましく、これ以上であると、
ベーマイト粒子が見られ、又、工業的にも適当でない。
熱処理において、α−アルミナ表面の水酸化アルミニウ
ムは熱的に不安定であるため、250〜1300℃の加
熱処理によりナトリウムと反応し、アルミン酸ナトリウ
ムになる。250℃以下ではアルミン酸ナトリウムが生
成しないためで、1300℃以上では粒子同士の焼結が
激しいためで可塑性は乏しくなるからである。
量は0.005〜0.1重量%であることが好ましく、
これ以下であると本発明の目的である高可塑性を有する
ためのアルミン酸化合物が十分得られない。水熱処理に
おいて、α−アルミナを100〜500℃で水熱処理す
ることにより、α−アルミナが一部溶解し、キブサイ
ト、ベーマイトなどの水酸化アルミニウムが表面に析出
する。ここで温度を規定している理由は、100℃以下
では水熱処理効果が弱く、α−アルミナの溶解が少ない
ため、表面水酸化物ができにくいからである。又、50
0℃以上ではα−アルミナの溶解が激しく、表面以外に
水酸化アルミが析出してしまうため、本発明の目的とす
る表面処理が達成できないからである。圧力は20kg
/cm2〜250kg/cm2が好ましい。これらの範囲
が好ましい理由は上記の温度範囲と同様に、アルミナの
溶解度、析出物の構造に因るものである。又、水熱処理
の時間は48時間以内が好ましく、これ以上であると、
ベーマイト粒子が見られ、又、工業的にも適当でない。
熱処理において、α−アルミナ表面の水酸化アルミニウ
ムは熱的に不安定であるため、250〜1300℃の加
熱処理によりナトリウムと反応し、アルミン酸ナトリウ
ムになる。250℃以下ではアルミン酸ナトリウムが生
成しないためで、1300℃以上では粒子同士の焼結が
激しいためで可塑性は乏しくなるからである。
【0010】このように、本発明の高可塑性アルミナ粒
子は、その表面だけにアルミン酸ナトリウムを持つ構造
が特徴である。α−アルミナは可塑性は乏しいが、それ
は表面に吸着される水の量が少ないことが原因である。
そこでα−アルミナ粒子表面に保水性の高いアルミン酸
ナトリウムを偏在させることにより、保水性の高いα−
アルミナを製造することができる。ここでアルミン酸ナ
トリウムを混合しただけでも同じ特性を達成できるが、
アルミナセラミックスとしては、ナトリウムは異常粒成
長の原因となったり粒界に存在して電気的、機械的な特
性を低下させる原因となり、セラミックス材料としては
望ましくない。しかし、本発明では粒子表面だけに偏在
させたために、混合系よりもナトリウム混入量が0.1
wt%以下と少なくても、可塑性を向上させる効果が発
現されている。
子は、その表面だけにアルミン酸ナトリウムを持つ構造
が特徴である。α−アルミナは可塑性は乏しいが、それ
は表面に吸着される水の量が少ないことが原因である。
そこでα−アルミナ粒子表面に保水性の高いアルミン酸
ナトリウムを偏在させることにより、保水性の高いα−
アルミナを製造することができる。ここでアルミン酸ナ
トリウムを混合しただけでも同じ特性を達成できるが、
アルミナセラミックスとしては、ナトリウムは異常粒成
長の原因となったり粒界に存在して電気的、機械的な特
性を低下させる原因となり、セラミックス材料としては
望ましくない。しかし、本発明では粒子表面だけに偏在
させたために、混合系よりもナトリウム混入量が0.1
wt%以下と少なくても、可塑性を向上させる効果が発
現されている。
【0011】
【実施例】以下、実施例を用いて本発明を更に詳しく説
明する。 実施例1 α−アルミナの製造は、特開平5−17132号公報に
示されるようにバイヤー法による水酸化アルミニウムを
ボールミルにて中心径0.7μmに粒度調整を行ったも
のと所定量の純水とでスラリーを作製し、これを小型オ
ートクレーブに充填し、温度600℃、圧力200kg
/cm2にて2時間水熱処理を行った。処理後の生成物
は水洗、濾過、乾燥して板状α−アルミナを作製した。
この板状アルミナは比表面積5.1m2/g、中心粒径
1.3μm(ストークス径)であった。水熱処理条件は
25mlテフロン容器を使用し、アルミナ4.0gと純
水15.0ml、Na2.8mg(0.07重量%相
当)を投入し、220℃で加熱して、処理時間を変化さ
せ、水酸化の度合いが異なるα−アルミナとした。水酸
化の度合いは100℃から700℃間での加熱減量を指
標とした。
明する。 実施例1 α−アルミナの製造は、特開平5−17132号公報に
示されるようにバイヤー法による水酸化アルミニウムを
ボールミルにて中心径0.7μmに粒度調整を行ったも
のと所定量の純水とでスラリーを作製し、これを小型オ
ートクレーブに充填し、温度600℃、圧力200kg
/cm2にて2時間水熱処理を行った。処理後の生成物
は水洗、濾過、乾燥して板状α−アルミナを作製した。
この板状アルミナは比表面積5.1m2/g、中心粒径
1.3μm(ストークス径)であった。水熱処理条件は
25mlテフロン容器を使用し、アルミナ4.0gと純
水15.0ml、Na2.8mg(0.07重量%相
当)を投入し、220℃で加熱して、処理時間を変化さ
せ、水酸化の度合いが異なるα−アルミナとした。水酸
化の度合いは100℃から700℃間での加熱減量を指
標とした。
【0012】次に水熱処理した各試料を700℃で仮焼
(昇降温速度100℃/時間、保持時間2時間の条件)
し、中間アルミナ(温度的にはγ−アルミナの可能性が
高い)量の異なるα−アルミナを作成した。試料練土の
調製は、重量で固形分1に対して3〜4に相当する純水
を加えてスラリーを作製した後、遠心分離で濃縮したも
のについてペッファーコルン法に準拠した方法により塑
性変形量を測定した。変形比3.3を示す試料を40
℃、100℃で乾燥して水分率を測定し、100℃で蒸
発する水分を可塑含水率(PI)、40℃から100℃
で蒸発する水分の差を保水率(WR)として測定し、両
者の比から可塑特性値(CV=WR/PI×100)を
算出した。水熱処理時間を変化させた場合のX線回折結
果を図1に示す。水熱処理時間が長くなるに従い、ベー
マイト(γ−AlOOH)が生成していることが確認さ
れる。
(昇降温速度100℃/時間、保持時間2時間の条件)
し、中間アルミナ(温度的にはγ−アルミナの可能性が
高い)量の異なるα−アルミナを作成した。試料練土の
調製は、重量で固形分1に対して3〜4に相当する純水
を加えてスラリーを作製した後、遠心分離で濃縮したも
のについてペッファーコルン法に準拠した方法により塑
性変形量を測定した。変形比3.3を示す試料を40
℃、100℃で乾燥して水分率を測定し、100℃で蒸
発する水分を可塑含水率(PI)、40℃から100℃
で蒸発する水分の差を保水率(WR)として測定し、両
者の比から可塑特性値(CV=WR/PI×100)を
算出した。水熱処理時間を変化させた場合のX線回折結
果を図1に示す。水熱処理時間が長くなるに従い、ベー
マイト(γ−AlOOH)が生成していることが確認さ
れる。
【0013】試料の加熱減量及び粘土の可塑性の指標を
表1に示す。試料Aと試料Bの比較から、加熱減量が大
きい(ベーマイトが多い)と、可塑特性値(CV)は小
さくなっている。この原因として、結晶中に多くの水酸
基を持つベーマイトの量が増加することにより、粒子表
面の束縛水が少なくなったためと考えた。試料Aを仮焼
したものが本発明のα−アルミナの試料Cであるが、仮
焼により可塑特性値(CV)が向上している。この原因
として、ベーマイトが分解して生成した中間アルミナ
は、α−アルミナより水に対して活性が高いために、こ
れらの粒子表面に束縛水が多くなったと推定される。
表1に示す。試料Aと試料Bの比較から、加熱減量が大
きい(ベーマイトが多い)と、可塑特性値(CV)は小
さくなっている。この原因として、結晶中に多くの水酸
基を持つベーマイトの量が増加することにより、粒子表
面の束縛水が少なくなったためと考えた。試料Aを仮焼
したものが本発明のα−アルミナの試料Cであるが、仮
焼により可塑特性値(CV)が向上している。この原因
として、ベーマイトが分解して生成した中間アルミナ
は、α−アルミナより水に対して活性が高いために、こ
れらの粒子表面に束縛水が多くなったと推定される。
【0014】実施例2 α−アルミナの製造は特開平5−17132号公報に示
されるようにバイヤー法によるNaを0.07重量%含
む水酸化アルミニウムをボールミルにて中心径0.7μ
mに粒度調整を行ったものと所定量の純水とでスラリー
を作製し、これを小型オートクレーブに充填し、温度6
00℃、圧力200kg/cm2にて2時間水熱処理を
行った。処理後の生成物は水洗、濾過、乾燥して板状α
−アルミナを作製した。得られたα−アルミナはその表
面に微量のNaが存在していた。これを700℃で仮焼
し、中間アルミナ量の異なるα−アルミナを作製した。
得られたα−アルミナは前記と同様のα−アルミナ粒子
であった。このα−アルミナを用いて実施例1と同様の
実験を行ったところ、ほぼ同じ結果が得られた。
されるようにバイヤー法によるNaを0.07重量%含
む水酸化アルミニウムをボールミルにて中心径0.7μ
mに粒度調整を行ったものと所定量の純水とでスラリー
を作製し、これを小型オートクレーブに充填し、温度6
00℃、圧力200kg/cm2にて2時間水熱処理を
行った。処理後の生成物は水洗、濾過、乾燥して板状α
−アルミナを作製した。得られたα−アルミナはその表
面に微量のNaが存在していた。これを700℃で仮焼
し、中間アルミナ量の異なるα−アルミナを作製した。
得られたα−アルミナは前記と同様のα−アルミナ粒子
であった。このα−アルミナを用いて実施例1と同様の
実験を行ったところ、ほぼ同じ結果が得られた。
【0015】
【表1】
【0016】
【発明の効果】本発明によれば高可塑性を有するアルミ
ナ質材料が得られ、緻密で密度の高い成形体を得ること
ができる。したがって、構造用部品、電子部品その他の
分野に耐熱性、電気絶縁性、機械的強度等の優れた材料
として広く応用することができる。又、本発明のアルミ
ナ粒子は表面が一部γ−アルミナとなっているため、高
可塑性アルミナ以外に高活性アルミナ粉体としても応用
できる。周知のようにγ−アルミナは高活性で触媒担体
としても応用されており、触媒担体など表面活性を利用
する分野に応用できるのは言うまでもない。また本発明
粉体は焼結性も優れているため、アルミナセラミック用
の焼結助剤やアルミナ表面処理用の前駆体としても応用
可能である。
ナ質材料が得られ、緻密で密度の高い成形体を得ること
ができる。したがって、構造用部品、電子部品その他の
分野に耐熱性、電気絶縁性、機械的強度等の優れた材料
として広く応用することができる。又、本発明のアルミ
ナ粒子は表面が一部γ−アルミナとなっているため、高
可塑性アルミナ以外に高活性アルミナ粉体としても応用
できる。周知のようにγ−アルミナは高活性で触媒担体
としても応用されており、触媒担体など表面活性を利用
する分野に応用できるのは言うまでもない。また本発明
粉体は焼結性も優れているため、アルミナセラミック用
の焼結助剤やアルミナ表面処理用の前駆体としても応用
可能である。
【図1】水熱処理時間を変化させた場合のX線回折結
果。
果。
フロントページの続き (72)発明者 小田 喜一 愛知県名古屋市東区平和が丘1−70 (72)発明者 佐野 三郎 愛知県名古屋市千種区北千種3−2−3 (72)発明者 前田 雅喜 愛知県知多郡阿久比町大字草木字東郷54番 地 (72)発明者 田村 稔 愛知県名古屋市北区志賀本通1−3 (72)発明者 市川 ゆかり 愛知県半田市星崎町3−48−1 (72)発明者 小泉 憲一 愛知県名古屋市北区光音寺町1−66 (72)発明者 深草 久幸 愛知県名古屋市東区砂田橋3−2 (72)発明者 竹中 日出男 愛知県名古屋市北区金城2−1−11
Claims (10)
- 【請求項1】 α−アルミナ粒子の表面にアルミン酸化
合物を形成してなることを特徴とする高可塑性アルミナ
粒子。 - 【請求項2】 α−アルミナ粒子の形状が六角板状粒子
であることを特徴とする請求項1記載の高可塑性アルミ
ナ粒子。 - 【請求項3】 六角板状粒子の大きさが6.0μm以
下、厚さが0.1μm以下であることを特徴とする請求
項2記載の高可塑性アルミナ粒子。 - 【請求項4】 α−アルミナ粒子の表面をアルミン酸化
合物で被覆してなる請求項1記載の高可塑性アルミナ粒
子。 - 【請求項5】 α−アルミナ粒子をアルカリ金属元素を
含む水又はアルカリ水溶液中で水熱処理を施し、その
後、熱処理を施すことを特徴とする高可塑性アルミナ粒
子の製造方法。 - 【請求項6】 水熱処理の温度が100〜500℃、熱
処理の温度が250〜1300℃であることを特徴とす
る請求項5記載の高可塑性アルミナ粒子の製造方法。 - 【請求項7】 アルカリ金属元素のアルミナに対する含
有量が0.005〜0.1重量%であることを特徴とす
る請求項5記載の高可塑性アルミナ粒子の製造方法。 - 【請求項8】 アルカリ金属元素及びアルミニウム水酸
化物を含むα−アルミナ粒子に熱処理を施すことを特徴
とする高可塑性アルミナ粒子の製造方法。 - 【請求項9】 熱処理の温度が250〜1300℃であ
ることを特徴とする請求項8記載の高可塑性アルミナ粒
子の製造方法。 - 【請求項10】 アルカリ金属元素のアルミナに対する
含有量が0.005〜0.1重量%であることを特徴と
する請求項8記載の高可塑性アルミナ粒子の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6231252A JPH0891830A (ja) | 1994-09-27 | 1994-09-27 | 高可塑性アルミナ粒子及びその製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6231252A JPH0891830A (ja) | 1994-09-27 | 1994-09-27 | 高可塑性アルミナ粒子及びその製造法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0891830A true JPH0891830A (ja) | 1996-04-09 |
Family
ID=16920711
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP6231252A Pending JPH0891830A (ja) | 1994-09-27 | 1994-09-27 | 高可塑性アルミナ粒子及びその製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0891830A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009242226A (ja) * | 2008-03-13 | 2009-10-22 | Denso Corp | アルミナ粒子の製造方法 |
JP2010194542A (ja) * | 2008-03-13 | 2010-09-09 | Denso Corp | アルミナ粒子の製造方法 |
-
1994
- 1994-09-27 JP JP6231252A patent/JPH0891830A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009242226A (ja) * | 2008-03-13 | 2009-10-22 | Denso Corp | アルミナ粒子の製造方法 |
JP2010194542A (ja) * | 2008-03-13 | 2010-09-09 | Denso Corp | アルミナ粒子の製造方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US4117105A (en) | Process for preparing dispersible boehmite alumina | |
US5413985A (en) | Partially crystalline, transitional aluminum oxides, methods for their synthesis and use for obtaining molded articles, which consist essentially of gamma Al2 O3 | |
JP2002068854A (ja) | アルミナ多孔体及びその製造方法 | |
KR20170020326A (ko) | 개별화된 무기 입자들 | |
JPH0280361A (ja) | 配向性リン酸カルシウム系化合物成形体及び焼結体並びにそれらの製造方法 | |
JPH02239113A (ja) | ベーマイトの製造方法 | |
EP0294988B1 (en) | Method for the chemical preparation of a ceramic article having good fracture toughness | |
JPS61201623A (ja) | ジルコニア超微結晶の球状凝集粒子の製造方法 | |
Parya et al. | Co-precipitated ZnAl2O4 spinel precursor as potential sintering aid for pure alumina system | |
RU2076851C1 (ru) | Формованное пористое изделие, полученное из пирогенного диоксида титана, и способ его изготовления | |
JPH0323213A (ja) | 希土類酸化物粉末の製造方法 | |
WO1997012670A1 (fr) | Procede de preparation d'un support d'oxyde d'aluminium | |
JPH0891830A (ja) | 高可塑性アルミナ粒子及びその製造法 | |
KR20160137530A (ko) | 포르스테라이트 미립자의 제조 방법 | |
JP5827564B2 (ja) | 新規混合含水カオリン粘土製品 | |
EP2938431B1 (en) | Preparation of silica-alumina composition | |
US4774068A (en) | Method for production of mullite of high purity | |
Sathiyakumar et al. | Synthesis of sol–gel derived alumina powder: effect of milling and calcination temperatures on sintering behaviour | |
JPH02293371A (ja) | α―Al↓2O↓3焼結物体の製造 | |
CN114728807A (zh) | 适度分散的Dy2O3颗粒 | |
JPS5969424A (ja) | 低嵩密度アルミナの製造方法 | |
JPS6126554A (ja) | セラミツク焼結体の製造方法 | |
KR20000039561A (ko) | 활성 알루미나 성형체의 제조방법 | |
KR0146983B1 (ko) | 마이크로웨이브를 이용한 지르코니아 미분말의 제조방법 | |
JPH10109030A (ja) | 触媒担体用擬べーマイト及びその製造方法 |