JPH0885402A - 自動車用交流発電機の電圧制御装置 - Google Patents

自動車用交流発電機の電圧制御装置

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JPH0885402A
JPH0885402A JP6225055A JP22505594A JPH0885402A JP H0885402 A JPH0885402 A JP H0885402A JP 6225055 A JP6225055 A JP 6225055A JP 22505594 A JP22505594 A JP 22505594A JP H0885402 A JPH0885402 A JP H0885402A
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浩司 柴田
Tadatoshi Asada
忠利 浅田
Tadashi Uematsu
忠士 植松
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Abstract

(57)【要約】 【目的】最も温度上昇の影響が重大であるドライバ素子
用ICチップの温度上昇を抑止しつつ、装置の小型化又
は大出力電流化を実現可能な自動車用交流発電機の電圧
制御装置を提供する。 【構成】界磁電流制御式の自動車用交流発電機のハウジ
ングに固定される放熱プレート2に接着された回路基板
3上に、界磁電流制御用のドライバ素子用Trチップ4
と、ドライバ素子用Trチップ4へのベース電流の供給
を制御する制御回路用ICチップ5と、上記ベース電流
を制限するベース電流制限抵抗素子6とが、三角関係に
配設される。このようにすれば、回路基板3を大型化す
ることなく発熱源を分散させてドライバ素子用Trチッ
プの温度上昇を許容温度以内に抑止できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、界磁電流制御式の自動
車用交流発電機の電圧制御装置に関する。
【0002】
【従来技術】オルタネータと通常呼ばれる従来の自動車
用交流発電機は、バッテリ端子電圧などに基づいてバイ
ポーラトランジスタからなる界磁電流制御用のドライバ
素子(スイッチングトランジスタ)により界磁電流をス
イッチングすることにより発電制御を行っている。
【0003】このため、界磁電流の通電損失を低減する
ために界磁電流制御用のドライバ素子をできるだけ界磁
コイルに近接配置することが好ましく、そのために、従
来はドライバ素子及びこのドライバ素子を制御するため
の制御回路部が搭載されたレギュレータ(電圧制御装
置)を自動車用交流発電機のハウジングに固定するのが
通例となっている。
【0004】一方、自動車用交流発電機はその出力電流
を車両両負荷及びバッテリに給電するために少なくとも
数Aの界磁電流を駆動する必要があり、これを単一のバ
イポーラトランジスタで断続するためにはベース電流が
数十mA以上必要となり、バッテリ電圧が12Vとする
場合、ベース電流を安定な所定値に設定するためのベー
ス電流制限抵抗素子の消費電力が1W超となってしま
う。このため、従来は、図9に示すように、ベース電流
が極めて小さいダーリントン接続タイプのバイポーラト
ランジスタ401で界磁電流制御用のドライバ素子用T
rチップを構成する場合もあるが、ダーリントン接続タ
イプのバイポーラトランジスタ401はコレクタ・エミ
ッタ間電圧降下が大きい為電力消費が大きいので、上記
過酷な熱的条件下での使用を可能とするために、図10
に示すように、回路基板300上にヒートシンク700
を介してドライバ素子用Trチップ400を配設するの
が一般的である。
【0005】なお、図9において、500はベース電流
給電制御用の制御回路用ICチップ、501はベース電
流制御トランジスタ、502はベース電流制限抵抗素
子、10は界磁コイルであり、図10において、200
は放熱プレートである。なお、本出願人により出願中の
実開昭61−97896号公報及び実開昭61−119
396号公報は、上記ヒートシンクを有する電子回路装
置、特にレギュレータの出力段の例を開示している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記説明したように、
従来の自動車用交流発電機の電圧制御装置では、ヒート
シンクを設けることにより、過渡的熱抵抗及び定常的熱
抵抗を低減することにより、ダーリントン接続タイプの
バイポーラトランジスタで構成したドライバ素子の温度
を低減することが行われている。
【0007】しかしながら、装置の小型化(その反対と
して大出力電流化)を図る場合、ドライバ素子用Trチ
ップから周囲に張り出すヒートシンクの張出部分の面積
だけドライバ素子の所要スペースが増大するという不具
合がある。もちろん、上記張出しをなくせば所要スペー
スの増大は無いが、その結果として、ヒートシンクをド
ライバ素子用Trチップ及び回路基板間に接合すること
で熱伝導経路が増加する為上記定常的熱抵抗はかえって
増大してしまう欠点が生じる。
【0008】また、ヒートシンクの材質選定にあたって
は、接合材の熱疲労寿命を考慮して、パワートランジス
タの材質であるシリコンと通常使用される絶縁基板(回
路基板)の材質であるアルミナ(Al2 3 )との線熱
膨張率の整合をはかる為に、3.5ppm/℃(シリコ
ンの線熱膨張率)から7ppm/℃(Al2 3 の線熱
膨張率)の間の線熱膨張率を有する高価な材料(モリブ
デン(線熱膨張率5.3ppm/℃やタングステン(線
熱膨張率4.5ppm/℃))を選定せねばならないと
いう面倒も生じる。
【0009】一方、発熱が大きいダーリントン接続タイ
プのバイポーラトランジスタの代わりに単一のバイポー
ラトランジスタを用いる場合には、ベース電流制限抵抗
素子とドライバ素子用Trチップとを接近させて配設さ
せると、上記説明したようにベース電流制限抵抗素子の
発熱が大きいので、ベース電流制限抵抗素子の発熱の影
響によりドライバ素子用Trチップの温度が上昇してし
まうという不具合があった。
【0010】本発明は上記問題点に鑑みなされたもので
あり、最も温度上昇の影響が重大であるドライバ素子用
Trチップの温度上昇を抑止しつつ、装置の小型化又は
大出力電流化を実現可能な車両用交流発電機の出力電力
制御装置を提供することを、その目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の自動車用交流発
電機の電圧制御装置の第1の構成は、金属を素材として
形成されて界磁電流制御式の自動車用交流発電機のハウ
ジングに固定される放熱プレートと、前記放熱プレート
の主面に接着された回路基板と、前記発電機の界磁電流
を制御する単一の出力用バイポーラトランジスタからな
り前記回路基板の表面に配設されるドライバ素子用Tr
チップと、前記ドライバ素子用Trチップと別個に前記
回路基板に配設されて前記トランジスタのベース電流を
制限するベース電流制限抵抗素子と、前記ベース電流制
限抵抗素子を通じての前記出力用バイポーラトランジス
タへのベース電流の供給を制御する制御回路用ICチッ
プとを備え、前記ドライバ素子用Trチップと前記ベー
ス電流制限抵抗素子と前記制御回路用ICチップとは、
前記回路基板上にて三角関係に配設されることを特徴と
している。
【0012】本発明の第2の構成は、上記第1の構成に
おいて更に、前記ベース電流制限抵抗素子が、前記制御
回路用ICチップ及び前記ドライバ素子用Trチップと
の間にて前記制御回路用ICチップ寄りに配設される
か、あるいは前記ドライバ素子用Trチップが前記ベー
ス電流制限抵抗素子及び前記制御回路用ICチップとの
間にて前記制御回路用ICチップ寄りに配設されること
を特徴としている。
【0013】本発明の第3の構成は、上記第1の構成に
おいて更に、前記制御回路用ICチップが、前記ドライ
バ素子用Trチップ及び前記ベース電流制限抵抗素子と
の間にて前記ベース電流制限抵抗素子寄りに配設される
ことを特徴としている。
【0014】
【作用及び発明の効果】本発明の第1の構成では、界磁
電流制御式の自動車用交流発電機のハウジングに固定さ
れる放熱プレートに接着された回路基板上に、界磁電流
制御用のドライバ素子用Trチップと、ドライバ素子用
Trチップへのベース電流の供給を制御する制御回路用
ICチップと、上記ベース電流を制限するベース電流制
限抵抗素子とが、三角関係に配設されるので、最も温度
上昇の影響が重大であるドライバ素子用Trチップの温
度上昇を抑止しつつ、装置の小型化又は大出力電流化を
実現することができる。
【0015】具体的に説明すれば、熱的に過酷な環境で
あるエンジン近傍に配設され、しかも、自身が発熱体で
ある自動車用交流発電機に放熱プレートを介して固定さ
れる回路基板上に、それぞれが発熱源であるドライバ素
子用Trチップ、制御回路用ICチップ及びベース電流
制限抵抗素子がヒートシンクなしに配設される。ドライ
バ素子用Trチップは単一の(いわゆるシングル構成
の)バイポーラトランジスタからなる。
【0016】このようにすれば、ダーリントン接続タイ
プのバイポーラトランジスタによりドライバ素子用Tr
チップを構成するのに比べて、ベース電流制限抵抗素子
の発熱は増加するものの、ドライバ素子用Trチップの
発熱が格段に減少する。言い換えれば、発熱源を分散さ
せることができる。したがって、ドライバ素子用Trチ
ップ及び抵抗素子に発熱が分散するので、従来、最も発
熱が大きく、接合温度上昇が大きくてそれにより最大出
力電流が制限されるドライバ素子用Trチップの最高温
度が低減されるか、もしくは出力電流の増大やヒートシ
ンクの省略が可能となる。
【0017】ただ、ドライバ素子用Trチップ及び抵抗
素子に発熱を分散しても、これらが近接していてはそれ
らの発熱が互いに影響し合って、熱源分散効果が生じな
い。又、比較的発熱の小さい制御回路用ICチップへの
熱的影響も大きくなる。かといって、これらの両チップ
及び抵抗素子を離し過ぎると、回路基板の大型化、装置
の大型化を招いてしまう。
【0018】そこで、本発明では、発熱源であるシング
ル構成のバイポーラトランジスタからなるドライバ素子
用Trチップと、比較的発熱の少ない制御回路用ICチ
ップと、発熱源であるベース電流制限抵抗素子とを回路
基板上にて三角関係に配置する。このようにすれば、回
路基板の必要面積の増大を抑止しつつ、ドライバ素子用
Trチップとベース電流制限抵抗素子との間の距離(以
下、d1とする)、ベース電流制限抵抗素子と制御回路
用ICチップとの間の距離(以下、d2とする)、ドラ
イバ素子用Trチップと制御回路用ICチップとの間の
距離(以下、d3とする)をそれぞれ増大することがで
き、これにより両チップ及び抵抗素子間の熱的影響を抑
止し、その結果として、回路基板面積増大を招くことな
く出力電流の増大を実現することができる。又は、出力
電流(界磁電流)の低下を招くことなく回路基板面積を
縮小することができる。
【0019】本発明の第2の構成によれば、上記第1の
構成において更に、上記距離d2が、上記距離d1より
小さく設定される。あるいは、上記第1の構成において
更に、上記距離d3が、上記距離d1より小さく設定さ
れるものである。この構成によれば、比較的発熱の少な
い制御回路用ICチップとの距離を、互いに発熱源であ
るドライバ素子用Trチップとベース電流制限抵抗素子
との間の距離よりも小さく設定する事で、発熱の大小に
より部品の配置関係を合理的に行なうことができ、回路
基板面積をさらに縮小することができる。具体的に説明
すれば、発熱源であるベース電流制限抵抗素子がドライ
バ素子用Trチップに近づくことにより、ベース電流制
限抵抗素子の発熱の影響でドライバ素子用Trチップの
バイポーラトランジスタの接合温度が△T1だけ上昇す
ると、この温度上昇△T1は距離d1の対数関数値(底
は1超過)に略比例する。従って、上記距離d1がある
所定のしきい値より小さくなると、ベース電流制限抵抗
素子の発熱の影響により、ドライバ素子用Trチップの
接合温度が急激に増大して許容温度を越えてしまう。
【0020】また、発熱源であるベース電流制限抵抗素
子が、比較的発熱の少ない制御回路用ICチップに近づ
くことにより、ベース電流制限抵抗素子の発熱の影響に
より制御回路用ICチップ内のトランジスタの接合温度
が△T2だけ上昇するとすると、この温度上昇△T2も
△T1と同様に、距離d2の対数関数値(底は1超)に
略比例する。従って、上記距離d2がある所定のしきい
値より小さくなると、ベース電流制限抵抗素子の発熱の
影響により、制御回路用ICチップ内のトランジスタの
接合温度が急激に増大して許容温度を越えてしまう。
又、制御回路用ICチップの温度上昇についてはドライ
バ素子用Trチップからの発熱の影響についてもベース
電流制限抵抗素子の場合と同様のことが言える。
【0021】したがって、両チップの接合温度を許容温
度以内とするために、回路基板にて上記各しきい値によ
り規定される両チップ及び抵抗素子の配設可能領域が存
在することになる。しかしながら両チップ及び抵抗素子
は、それぞれ発熱の大小がある為に、距離d1、d2、
d3は回路基板内にてただやみくもに大きくするのでは
なく、配線引回し等を考慮しつつ、部品をコンパクトに
配設するのが好ましい。
【0022】本構成では、ドライバ素子用Trチップ及
びベース電流制限抵抗素子が発熱源であり、互いに発熱
の影響を及ぼし合うこと、さらに制御回路用ICチップ
の発熱量は、ドライバ素子用Trチップ及びベース電流
制限抵抗素子の発熱量と比較して小さいことに基づいて
距離d2を距離d1より小さく設定するか、あるいは距
離d3を距離d1より小さく設定している。この様にす
れば、発熱量の異なる両チップの接合温度を許容温度以
内に維持しつつ、効率良くコンパクトにドライバ素子用
Trチップ、制御回路用ICチップ及びベース電流制限
抵抗素子を配設することができる。
【0023】本発明の第3の構成では、上記第1の構成
において更に、上記距離d2が、上記距離d3より小さ
く設定される。この構成では、ドライバ素子用Trチッ
プの発熱量がベース電流制限抵抗素子の発熱量に比較し
て、大きいことに基づいて、発熱のより小さい制御回路
用ICチップをベース電流制限抵抗素子寄りに配設され
る。
【0024】すなわち、ドライバ素子用Trチップは、
ダーリントン接続タイプのバイポーラトランジスタでは
なくシングル構成のバイポーラトランジスタで構成され
るので、従来より電力消費は低減されているものの、元
々、制御回路用ICチップよりは格段に大きくかつベー
ス電流制限抵抗素子よりも大きいので、制御回路用IC
チップをドライバ素子用Trチップより電力消費の少な
い方のベース電流制限抵抗素子に近づけることにより、
回路基板面積を縮小しつつ、両チップの接合温度を許容
温度以内にすることができる。
【0025】
【実施例】以下、本発明の自動車用交流発電機の電圧制
御装置の一実施例を図面に基づいて説明する。図1及び
図2に示すように、後述する界磁電流制御式の自動車用
交流発電機1のハウジングにはアルミニウムからなる放
熱プレート2が固定されており、放熱プレート2には高
熱伝導の接着剤20により例えばアルミナからなる回路
基板3が接着されている。回路基板3上には、互いに三
角形となる位置にドライバ素子用Trチップ4、制御回
路用ICチップ5が接着され、更にベース電流制限抵抗
素子6が厚膜抵抗により形成されている。
【0026】21は放熱プレート2の放熱フィンであ
り、31は、回路基板3上に半田付け等により固着され
たボンディング用のパッドであり、32はパッド31と
ベース電流制限抵抗素子6の一端とを、さらにベース電
流制限抵抗素子6の他端と制御回路用ICチップ5の外
部引出し電極(図示せず)とを個別に接続する印刷配線
であり、41はドライバ素子用Trチップ上のボンディ
ング用のパッドであり、7は、パッド31とパッド41
とを個別に接続するボンディングワイヤである。
【0027】図3にこの電圧制御装置の界磁電流駆動部
回路図を示す。52は、制御回路用ICチップ5の出力
回路段であって、バッテリ電圧端(又は発電電圧端)と
接地端との間に、ベース電流制限抵抗素子6、エミッタ
接地トランジスタT1が直列接続されており、トランジ
スタT1を動作させて出力端53の電位をスイッチング
している。
【0028】ドライバ素子用Trチップ4は、1段のエ
ミッタ接地パワートランジスタ40により構成されてお
り、制御回路用ICチップ5の出力端はベース電流制限
抵抗素子6とトランジスタ40のベース電極の接続点に
接続されており、エミッタ接地トランジスタT1がOF
Fの時ベース電流を給電し、エミッタ接地トランジスタ
T1がONの時ベース電流を遮断している。トランジス
タ40のコレクタは後述する自動車用交流発電機1の界
磁コイル10を通じてバッテリ電源に接続されている。
Dは界磁コイル10と並列接続されたフライホイルダイ
オードである。
【0029】両チップ4、5及びベース電流制限抵抗素
子6は、図1に示す三角関係に配置されている。ドライ
バ素子用ICチップ4の端部とベース電流制限抵抗素子
6の端部との距離はd1、制御回路用ICチップ5の端
部とベース電流制限抵抗素子6の端部との距離はd2、
両チップ4、5の端部間の距離はd3とされている。発
熱体であるドライバ素子用Trチップ4及びベース電流
制限抵抗素子6と、比較的発熱の少ない制御回路用IC
チップ5をこのように三角配置とすることにより、必要
な回路基板3の面積を縮小しつつ、相互の距離d1〜d
3を充分に確保し、相互の発熱の影響による両チップ
4、5のトランジスタの接合温度上昇を抑止することが
できる。
【0030】例えば、ドライバ素子用Trチップ4の通
電電流を5Aとすると、ダーリントン接続タイプのトラ
ンジスタの出力トランジスタのエミッタ・コレクタ間の
電圧降下は4mm×4mm相当のチップにおいて1V程
度となるので、その損失は約5Wとなる。シングルトラ
ンジスタでは、そのエミッタ・コレクタ間の電圧降下は
同等のサイズのチップで約0.4V程度であるので、そ
の損失は約2Wとなる。
【0031】一方、図3のシングル構成のトランジスタ
40の電流増幅率を約60倍とすれば、トランジスタ4
0にて5Aのコレクタ電流を駆動する為に必要なベース
電流は約80mAとなる。そこで、安定なベース電流を
得るためにベース電流制限抵抗素子6の抵抗値を充分余
裕をみて100オームに設定するものとすれば、ベース
電流制限抵抗素子6の損失はバッテリ電圧を14V、ト
ランジスタ40のベース・エミッタ間電圧降下を0.8
Vとすると(14−0.8)2 /100=約1.7Wと
なる。
【0032】また、制御回路用ICチップ5の損失は、
バッテリ電圧を約14Vとすれば、バッテリ電圧などを
所定のしきい値電圧と比較する周知のコンパレータなど
を集積して微少電流で駆動しているために、その消費電
流はせいぜい10mA程度で、消費電力としては約0.
14Wとなる。これは上記のドライバ素子用Trチップ
4及びベース電流制限抵抗素子6に比較して相当小さい
値となることがわかる。
【0033】一方、回路基板3内において発熱体からの
距離と、その距離における発熱体との温度差との関係は
一般的に次の様に表わすことができる。発熱体の中心か
らの距離d、発熱体の発熱量P、発熱体との温度差△
T、回路基板の熱伝導率K、回路基板の厚みt及び発熱
体を円板として半径rとすると、
【0034】
【数1】 まずドライバ素子用Trチップが発熱体とした場合、回
路基板3はアルミナを主体としたセラミック基板で熱伝
導率K=0.171W/cm・℃、厚みt=0.8m
m、ドライバ素子用Trチップ4のサイズは4mm×4
mmで、これを半径r=2mmの円板の発熱体として近
似し、発熱量P=2Wとすると、
【0035】
【数2】△T4 =23.3×lnd−16.1 次にベース電流制限抵抗素子6の場合、同様の計算で、
【0036】
【数3】△T6 =19.8×lnd−13.7 (但し、P=1.7Wとし、その他は同条件) 数2、数3の式をグラフに表わしたものが図4である。
この数2、数3の式によれば、例えば発熱体中心から4
mm離れた点においては発熱体温度より数2の式で1
6.1℃、数3の式で13.7℃低減される。
【0037】また、発熱体の温度は、ドライバ素子用T
rチップ4の温度をTj4、発熱量をP4 、放熱プレート
2までの熱抵抗をθ4 とし、ベース電流制限抵抗素子6
の温度をT6 、発熱量P6 、放熱プレート2までの熱抵
抗をθ6 とすると、放熱プレート2の温度TF はアルミ
ニウムで高熱伝導の金属から成る為、位置によらずほぼ
同等の温度分布をするので次の様な関係が成り立つ。
【0038】 Tj4−TF =P4 ×θ4 、 T6 −TF =P6 ×θ6 これらの式に有限要素法により計算した定常熱抵抗θ4
=6.7℃/W、θ6=6.5℃/Wと前述の発熱量P4
=2W、P6 =1.7Wを代入すると(但し、発熱体
面積は同じとする)
【0039】
【数4】Tj4=13.4+TF
【0040】
【数5】T6 =11.1+TF 前出の数2、数3の式では、回路基板3が高熱伝導の接
着剤20により放熱プレート2に接着されていることが
考慮されていないので、例えば発熱体中心から4mm離
れた点においては数4、数5の式より、
【0041】
【数6】Tj4−△T4 =TF −2.7
【0042】
【数7】T6 −△T6 =TF −2.6 となり、いずれも放熱プレート2の温度TF より温度が
低くなる様な結果が得られる。図5にドライバ素子用T
rチップ4を発熱体とした場合の発熱体中心からの距離
dと放熱プレート2からの温度上昇との関係を表わすグ
ラフを示す。発熱体としてのドライバ素子用Trチップ
4からの距離が4mmの位置では放熱プレート2からの
熱伝導により破線グラフで示す様に、温度がややもち上
げられると考えられるが、いずれにせよ上記条件下にお
いては発熱体中心から4mm離れた点ではすでに発熱体
の発熱の影響を無視して良いことを示しているといえ
る。即ち、上記条件下においては比較的発熱の大きいド
ライバ素子用Trチップ4やベース電流制限抵抗素子6
だけではなく、その他の例えば比較的発熱の小さい制御
回路用ICチップ5についても、互いに4mm以上離し
て配設する事により効果的に温度低減が可能となる。一
般論としては、回路基板3がアルミナ(熱伝導率K=
0.171W/cm・℃)、発熱体のサイズがr=2m
mの場合に、回路基板3の厚みtと温度差を少なくとも
15℃とする為の距離dとの関係は数1の式により、d
=exp(8.05t+0.69)・・・(5)とな
る。温度差を15℃としたのは、前述の具体例で示した
様に発熱体からの発熱の影響を無視できる温度差であ
り、発熱体のサイズをr=2mmとしたのは、ドライバ
素子用Trチップ4のサイズとして最も大きいクラスで
あるためである。また回路基板3の材料としてはアルミ
ナが安価で最も一般的な為である。
【0043】(5)式において発熱体端部からの距離
d’としては、d’=exp(8.05t+0.69)
−2・・・(5)’となる。回路基板3としては最も一
般的なアルミナのなかでもt=0.6〜0.8mm程度
の厚みのものがよく使用され、この時の距離d’はd’
=1.2mm(t=0.6mm)〜1.8mm(t=
0.8mm)であり、回路基板3の厚みに対し距離d’
は2〜2.25倍でこの厚みt=0.6〜0.8mmク
ラスの基板に対しては発熱体端部からの距離を回路基板
3の厚みの2倍程度離せば発熱体の影響を無視できると
考えてよい。
【0044】さらに発熱体の発熱量を考え合わせれば、
発熱量の大小により発熱体からの距離を変える方が合理
的である。発熱量は比較的発熱が大きく同等の発熱のド
ライバ素子用Trチップ4及びベース電流制限抵抗素子
6と、比較的発熱小さい制御回路用ICチップ5とに大
別できる。この場合、発熱の大きいドライバ素子用Tr
チップ4とベース電流制限抵抗素子6の距離を制御回路
用ICチップ5との距離よりも大きくとる様な配置が考
えられる。即ち、d1>d2あるいはd1>d3なる関
係に配設することである。発熱の大きいドライバ素子用
Trチップ4とベース電流制限抵抗素子6との距離を互
いの発熱の影響のない距離(例えば回路基板3の厚さの
2倍以上)だけ離しさえすれば、発熱の小さい制御回路
用ICチップ5の温度上昇は殆どないので、発熱体から
の熱的影響を受ける距離(回路基板3の厚さの2倍未
満)でも構わない。但し、この時発熱体からの熱的影響
を受けて許容接合温度を越える様な位置まで近づけるこ
とはないのは言うまでもない。
【0045】さらにつけ加えれば、比較的発熱量の大き
いドライバ素子用Trチップ4とベース電流制限抵抗素
子6の両者においても、ベース電流制限抵抗素子6の発
熱がやや小さい。この場合には、発熱のより小さい制御
回路用ICチップ5を、ドライバ素子用Trチップ4よ
りもベース電流制限抵抗素子6寄りに配置することが考
えられる。即ちd3>d1なる関係に配設することであ
る。発熱体のうちでも大きいドライバ素子用Trチップ
4に近いよりは、発熱が小さい方のベース電流制限抵抗
素子6に近い方が有利である。
【0046】以上説明した通りドライバ素子用Trチッ
プ4、制御回路用ICチップ5及びベース電流制限抵抗
素子6は互いに熱的影響の及ばない様な距離(回路基板
3の厚みの2倍以上)を保ちつつ三角関係に配設されれ
ば発熱体の分散配置による温度低減効果の恩恵を享受
し、かつ、むやみに回路基板を大型化する必要もなくな
るのでコンパクトな設計が可能となる利点がある。さら
に発熱量の大小により、発熱体の熱的影響の及ぶ距離
(回路基板3の2倍未満)に配設したり、発熱の殆どな
い制御回路用ICチップ5を発熱体のうちでも発熱の小
さい方のベース電流制限抵抗素子6に近い方に配設した
りすることで回路基板3をさらにコンパクトにできる。
【0047】図6に上記自動車用交流発電機の一例を示
す。1は自動車用交流発電機で、ベルト駆動などの手段
により内燃機関に隣接されるとともに駆動される。9は
電圧制御装置で、図6の如く発電機1内部に一体的に内
蔵される(ビルトイン)が、その代わりに外部に密着し
一体的に搭載してもよい(アドオン、図示せず)。
【0048】13はリアカバーで、車両用発電機1の構
成部品を外部からの異物侵入などから保護している。リ
アカバー13には、冷却の為に外気を導入する目的で、
電圧制御装置9や整流装置(図示せず)に対応した位置
にそれぞれ吸気孔13a、13bが設置されている。次
に、図7及び図8に基づいて、電圧制御装置9を説明す
る。
【0049】94は電圧制御装置9のケースで、ガラス
繊維などの充填剤で強化されたエンジニアリングプラス
チック(PPS、PBT、PETなど)で形成されてい
る。ケース94にはターミナル130などがインサート
成形されており、コネクタハウジング94a、後述する
回路基板3を収納する為のスペース94bを形成してい
る。
【0050】21は、放熱プレート2の放熱フィンで熱
伝導率の良好な材料、例えばAl、Cuなどの材料で、
板状のベース材22に所定間隔で設けてある。接着剤2
0には熱伝導率の良好な材料を使用する。回路基板3は
セラミックより成る絶縁回路基板かまたは、Alなどを
ベースとした金属基板上に絶縁層を介して形成された金
属ベース回路基板である。セラミック材としては通常は
アルミナ(Al2 3)であるが、窒化アルミ(Al
N)、炭化ケイ素(SiC)などからも構成される。図
1に示す配線32は回路基板3上に印刷焼成された厚膜
配線(一般的にはAg系、Cu系)で形成されている。
また、ベース電流制限抵抗素子6も回路基板3上に印
刷、焼成により形成されている。両チップ4、5は、は
んだ材、導電性接着剤などの高導電性の接合材で回路基
板3上の所定のランド(図示せず)に接合されている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の自動車用交流発電機の電圧制御装置の
一実施例を示す模式平面図である。
【図2】図1のA−A線矢視断面図である。
【図3】図1の電圧制御装置の界磁電流駆動部の一実施
例を示す回路図である。
【図4】発熱体中心からの距離と、発熱体中心から離れ
た回路基板上の点での発熱体との温度差を示す特性図で
ある。
【図5】ドライバ素子用Trチップ4の中心からの距離
と、ドライバ素子用Trチップ4の中心から離れた回路
基板3上の点での放熱プレート2からの温度上昇との関
係を示す特性図である。
【図6】実施例1の電圧制御装置の搭載状態を示す自動
車用交流発電機の平面図である。
【図7】図6の電圧制御装置の平面図である。
【図8】図7のB−B線矢視断面図である。
【図9】従来の自動車用交流発電機の電圧制御装置の界
磁電流駆動部の一実施例を示す回路図である。
【図10】図9の電圧制御装置のドライバ素子用Trチ
ップ搭載部の断面図である。
【符号の説明】
1は自動車用交流発電機、2は放熱プレート、3は回路
基板、4はドライバ素子用Trチップ、5は制御回路用
ICチップ、6はベース電流制限抵抗素子。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】金属を素材として形成されて界磁電流制御
    式の自動車用交流発電機のハウジングに固定される放熱
    プレートと、 前記放熱プレートの主面に接着された回路基板と、 前記発電機の界磁電流を制御する単一の出力用バイポー
    ラトランジスタからなり前記回路基板の表面に配設され
    るドライバ素子用Trチップと、 前記ドライバ素子用Trチップと別個に前記回路基板に
    配設されて前記トランジスタのベース電流を制限するベ
    ース電流制限抵抗素子と、 前記ベース電流制限抵抗素子を通じての前記出力用バイ
    ポーラトランジスタへのベース電流の供給を制御する制
    御回路用ICチップとを備え、 前記ドライバ素子用Trチップと前記ベース電流制限抵
    抗素子と前記制御回路用ICチップとは、前記回路基板
    上にて三角関係に配設されることを特徴とする自動車用
    交流発電機の電圧制御装置。
  2. 【請求項2】前記ベース電流制限抵抗素子は、前記制御
    回路用ICチップ及び前記ドライバ素子用Trチップと
    の間にて前記制御回路用ICチップ寄りに配設される
    か、あるいは前記ドライバ素子用Trチップは前記ベー
    ス電流制限抵抗素子及び前記制御回路用ICチップとの
    間にて前記制御回路用ICチップ寄りに配設される請求
    項1記載の自動車用交流発電機の電圧制御装置。
  3. 【請求項3】前記制御回路用ICチップは、前記ドライ
    バ素子用Trチップ及び前記ベース電流制限抵抗素子と
    の間にて前記ベース電流制限抵抗素子寄りに配設される
    請求項1記載の自動車用交流発電機の電圧制御装置。
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