JPH0885205A - インクジェット記録ヘッド - Google Patents

インクジェット記録ヘッド

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JPH0885205A
JPH0885205A JP22233994A JP22233994A JPH0885205A JP H0885205 A JPH0885205 A JP H0885205A JP 22233994 A JP22233994 A JP 22233994A JP 22233994 A JP22233994 A JP 22233994A JP H0885205 A JPH0885205 A JP H0885205A
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JP
Japan
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ink
adhesive layer
piezoelectric element
reaction
recording head
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Pending
Application number
JP22233994A
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English (en)
Inventor
Haruo Kawakami
春雄 川上
Noriaki Tsunoda
典昭 角田
Ryuichi Asai
隆一 浅井
Taku Umegaki
卓 梅垣
Koji Yoshizawa
孝二 吉沢
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Fuji Electric Co Ltd
Original Assignee
Fuji Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】非結晶性熱可塑性樹脂板と圧電素子との間の熱
応力が低減されて、熱安定性とインク吐出性能に優れた
インクジェット記録ヘッドを提供する。 【構成】互いに連通した複数のインク流路4が凹溝とし
て形成された非結晶性熱可塑性樹脂からなるキャビティ
板2,および振動板3とで構成されるインク噴射容器1
と、振動板の表面に形成された共通電極6上に反応硬化
型接着剤層7を介して圧電素子8を接着したインクジェ
ット記録ヘッドにおいて、反応硬化型接着剤層のガラス
転移温度がTg ≧328(K)なる条件と、その弾性率
a が弾性率Ea と熱歪みSとの積で決まる熱応力の指
標値がP≦1×107 (N/m 2 )なる条件とを満たす
ものとする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、卓上プリンタ,ファ
ックスなどにの印刷装置に使用されるインクジェット記
録ヘッド、ことにインク噴射容器に非結晶性熱可塑性樹
脂を用いたインクジェット記録ヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】所謂インクジェット記録ヘッドを用いた
印刷装置には構成が簡素であるという利点があり、小型
軽量性が要求される卓上プリンタやファックスなどの分
野に広く用いられている。インクジェット記録ヘッドの
機構には幾つかの方式が提案されている。その中で、圧
電素子と振動板を接着し、圧電素子に電界を印加して伸
縮させ、その伸縮運動によりインク噴射容器内のインク
を吐出させる方式が、ヘッド寿命が半永久的でランニン
グコストが低いなどの点に特長があり、今後広く用いら
れようとしている。
【0003】この方式のインクジェット記録ヘッドの製
造コストを低減する方法として、インク噴射容器に非結
晶性熱可塑性樹脂を用いることが考えられている。この
場合、インク供給部,流路抵抗調整部,インク加圧室
部,噴射流路部,およびインクノズル部等からなるイン
ク流路複数条が凹溝として形成される非結晶性熱可塑性
樹脂からなるキャビティ板を射出成形等の成形加工によ
って製作し、これを同じ材質の振動板と気密に結合して
インク流路を内蔵したインク噴射容器を形成し、次いで
振動板の要所に圧電素子を接着することによりインクジ
ェット記録ヘッドを構成する製造方法が一般的である。
また、圧電素子と振動板との接着は接着強度とその信頼
性,作業性の観点から熱硬化性接着剤等の反応硬化型接
着剤を用いて接着するのが一般的である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述のように構成され
た従来のインクジェット記録ヘッドにおいて、一般に非
結晶性熱可塑性樹脂の熱膨張率(5×10-5程度)は圧
電素子の熱膨張率(1×10-6程度)に比べて極めて大
きく、ヘッド製造時の熱処理工程や使用環境における温
度変化に伴って振動板と圧電素子との間に熱応力が発生
する。この熱応力は振動板と圧電素子との間の反応硬化
型接着剤層の接着強度に悪影響を及ぼし、甚だしい場合
には接着面が剥離する事態に進展するという問題があ
る。また、圧電素子が熱応力による拘束力を受けること
によって圧電特性(電界誘起歪)が低下し、これが原因
でインクジェット記録ヘッドのインク吐出速度の低下を
招くという問題がある。
【0005】図3は代表的な圧電素子としてのpb-Zr-Ti
混合酸化物(PZT)に応力を負荷した場合の電界誘起
歪量の変化を示す特性線図であり、2×107 (N/m
2 )程度の応力(拘束力)を加えることにより、PZT
の電界誘起歪量は無拘束時の40%にまで低下してしま
う。ことに、熱硬化性接着剤を用いる場合、その硬化反
応のために加熱処理を必要とするために熱応力の発生を
回避できないという問題があり、非結晶性熱可塑性樹脂
板と圧電素子との熱膨張差に起因する熱応力を軽減する
ことがインクジェット記録ヘッドのインク吐出性能を確
保する上での大きな課題になっている。
【0006】この発明の目的は、非結晶性熱可塑性樹脂
板と圧電素子との間の熱応力を低減し、安定化したイン
ク吐出性能を有するインクジェット記録ヘッドを提供す
ることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上述の課題を解決するた
めに、この発明によれば、キャビティ板と振動板との結
合体からなるインク噴射容器の振動板と圧電素子を反応
硬化型接着剤層を介して接着し、圧電素子に電界を印加
して伸縮させ、その伸縮運動によりインク噴射容器内の
インクを吐出させるインクジェット記録ヘッドにおい
て、前記反応硬化型接着剤層のガラス転移温度が式(1)
に示す条件を,かつその弾性率が式(2) に示す条件を、 Tg ≧328(K)・・・(1) Ea ×(Tg −Tm )×(as −aPZT )≦1×107 (N/m2 )・・(2) ただし、Ea :反応硬化型接着剤層の弾性率(N/m
2 ) Tg :反応硬化型接着剤層のガラス転移温度(K) Tm :インクジェット記録ヘッドの使用温度(K) aS :振動板の熱膨張率(1/K) aPZT :圧電素子の熱膨張率(1/K) それぞれ満たすものとする。
【0008】インク噴射容器を互いに連通した複数のイ
ンク流路が凹溝として形成された非結晶性熱可塑性樹脂
からなるキャビティ板と、前記インク流路を覆うようキ
ャビティ板の表面に気密に結合された非結晶性熱可塑性
樹脂からなる振動板とで構成し、この振動板の要所に形
成された共通電極上に反応硬化型接着剤層を介して圧電
素子を接着するよう構成すると良い。
【0009】インクジェット記録ヘッドは厚み300μ
mのポリエーテルイミド樹脂シートからなる振動板と、
pb-Zr-Ti混合酸化物(PZT)からなる圧電素子とを、
弾性率約2.5 ×109N/m2,ガラス転移温度約333Kなる
アミン系エポキシ性樹脂からなる反応硬化型接着剤層に
より接着するよう構成すると良い。インクジェット記録
ヘッドは厚み300μmのポリエーテルイミド樹脂シー
トからなる振動板と、pb-Zr-Ti混合酸化物(PZT)か
らなる圧電素子とを、弾性率約3,2 ×109N/m2,ガラス転
移温度約338Kなる酸無水物硬化型エポキシ性樹脂か
らなる反応硬化型接着剤層により接着するよう構成する
と良い。
【0010】インクジェット記録ヘッドは厚み200μ
mのポリエーテルイミド樹脂シートからなる振動板と、
pb-Zr-Ti混合酸化物(PZT)からなる圧電素子とを、
弾性率約3,6 ×109N/m2,ガラス転移温度約343Kなる
アミン系エポキシ性樹脂からなる反応硬化型接着剤層に
より接着するよう構成すると良い。
【0011】
【作用】この発明の要点は、圧電素子と非結晶性熱可塑
性樹脂からなる振動板との熱膨張率の差に起因して発生
する熱応力を、両部品を接着する反応硬化型接着剤層に
よって吸収するために、反応硬化型接着剤層のガラス転
移温度Tg および弾性率Ea を限定したことにある。反
応硬化型接着剤層は一般にガラス転移温度Tg を越える
温度ではゴム状に軟化するため、この温度領域では両部
品の熱膨張率の差に起因した相対変移は反応硬化型接着
剤層によって吸収されて熱応力は発生しない。この観点
からは反応硬化型接着剤層のガラス転移温度Tg は低い
ほどよいが、一般の電気部品の保存条件を含めた耐環境
性の仕様として望まれる耐熱温度としては55°C(絶
対温度328K)が下限値であり、常温で使用されるイ
ンクジェット記録ヘッドにおいてもこの耐熱温度を有す
ることが求められる。従って、反応硬化型接着剤層のガ
ラス転移温度Tg を式(1)に示すTg ≧328(K)
とすることにより、圧電素子を非結晶性熱可塑性樹脂か
らなる振動板に反応硬化型接着剤を介して接着し、加熱
硬化する工程で発生する相対変移を反応硬化型接着剤層
によって最大限に吸収し、熱応力を緩和する機能が得ら
れる。また、ガラス転移温度Tg より高い温度で加熱硬
化処理されたインクジェット記録ヘッドがガラス転移温
度Tg にまで冷却された時点で接着剤には弾性が生ずる
が、このとき両部品の熱膨張率の差に起因して生ずる熱
歪みSは式(3)で表される。
【0012】 S=(Tg −Tm )×(as −apzt )・・・(3) ただし Ea :反応硬化型接着剤層の弾性率(N/m
2 ) Tg :反応硬化型接着剤層のガラス転移温度(K) Tm :インクジェット記録ヘッドの使用温度(K) aS :振動板の熱膨張率(1/K) aPZT :圧電素子の熱膨張率(1/K) この際、実際に両部品にかかる熱応力は具体的な構造設
計に依存しており、詳細な値を一般的に特定することは
困難である。しかし、実用的な構造においては、反応硬
化型接着剤層の剛性は圧電素子,および非結晶性熱可塑
性樹脂からなる振動板の剛性に比べて十分に小さく、上
記の熱歪みは殆ど接着剤層で吸収されると考えてよい。
【0013】図4はこの発明における反応硬化型接着剤
層による熱歪みの吸収作用を説明するための模式図であ
り、非結晶性熱可塑性樹脂からなる振動板3と圧電素子
8を接着する反応硬化型接着剤層7は、実際には共通電
極6を介して振動板3の表面に接着されるが、共通電極
として用いられるITO,金属膜,あるいは導電性接着
剤層などの弾性率が反応硬化型接着剤層のそれに比べて
十分大きく、非結晶性熱可塑性樹脂からなる振動板の一
部として機能し、以下の検討に影響を与えないので省略
して検討を進める。いま、圧電素子8の接着面側に生ず
る熱応力をF1,接着剤層7中の平均熱応力をF2,振動板
3の接着面側に発生する熱応力をF3 、それぞれの剛性
をG1,2,3 とすると、それぞれに生ずる歪みe1,
2,3 はe1 =F1 /G1,2 =F2 /G2,3 =F3
/G3,2 =F1 +F3,でそれぞれ表される。
【0014】各部位の剛性は、材料の弾性率,形状,拘
束条件に依存するが、圧電素子の弾性率は例えばPZT
の場合約8.0×1010(N/m2 )であり、これは一
般的な反応硬化型接着剤の弾性率3×109 (N/
2 )に比べて十分大きな値であること、非結晶性熱可
塑性樹脂の弾性率は反応硬化型接着剤層のそれと同じ程
度になることもあるが、振動板がこれより厚いキャビテ
ィ板に固着した状態で接着面の周囲が境界線AAの外側
で拘束されることになり、実質的に歪みが抑制されて実
効的な剛性が高くなる。その結果、G1 <<G2,3
<G2,なる条件が成り立つ。これより、熱歪みSは、 S=e1 +e2 +e3 =F1 /G1 +(F1 +F3 )/G2 +F3 /G3 =F1 /G2 (1+G2 /G1 )+F3 /G2 (1+G
2 /G3 ) ≒F1 /G2 +F3 /G2 =e2 即ち、熱歪みSは反応硬化型接着剤層の歪みe2 と等し
く、圧電素子8の接着面側に生ずる熱歪みe1,および振
動板3の接着面側に発生する熱歪みe3 は殆ど反応硬化
型接着剤層7で吸収される。反応硬化型接着剤層7中の
熱応力F2 は熱歪みSに反応硬化型接着剤層の弾性率E
a を乗じた熱応力の指標値Pで表される。
【0015】 F2 =Ea ×(Tg −Tm )×(as −aPZT )=P 即ち、反応硬化型接着剤層7中の熱応力F2 は圧電素子
にかかる熱応力F1 と、振動板にかかる熱応力F3 に分
配されるので、Pは圧電素子にかかる熱応力F 1 の上限
値と考えることができ、この値を実験的に求めた一定
値、即ち式(2)におけるP≦1×107 (N/m2
とすることにより、インクジェット記録ヘッドにおける
熱応力による圧電素子の電界誘起歪の低下を防ぎ、接着
強度を安定化する機能が得られる。
【0016】例えば、上述の手段に示すように各部位の
材料を特定した場合にば、常温(25°C)においてP
=4.8×106 N/m2 ,7.0×106 N/m2
または8.9×106 N/m2 となり、式(1)および
式(2)の条件を満たすインクジェット記録ヘッドが得
られ、圧電素子と振動板との熱膨張率の差に起因して発
生する熱応力を、反応硬化型接着剤層が吸収し、熱応力
による圧電素子の電界誘起歪の低下を防ぎ、接着強度を
安定化する機能が得られる。
【0017】
【実施例】以下この発明を実施例に基づいて説明する。
図1はこの発明の実施例になるインクジェット記録ヘッ
ドを示し、(a)はキャヒキティ板の平面図、(b)は
インクジェット記録ヘッドの模式化した断面図である。
図において、キャビティ板2はインクノズル部4A,噴
射流路部4B,インク加圧室部4C,流路抵抗調整部4
Dからなる複数状のインク流路4がインク供給部5を介
して互いに連通する凹溝として形成されており、非結晶
性熱可塑性樹脂を用いて射出成形,加圧成形,あるいは
ブロー成形等の成形加工によって製作される。また、振
動板3は、キャビティ板と同じ材質の非結晶性熱可塑性
樹脂を押出成形,カレンダ成形などのシート成形法で成
形したシート材からなり、振動板3とキャビティ板2と
を気密に結合することによりインク流路を内蔵したイン
ク噴射容器1が形成される。また、振動板3のインク加
圧室4Dに対向する表面部分には例えば導電性ペースト
の塗膜からなる共通電極6が形成され、その表面に反応
硬化型接着剤層7を介して圧電素子8が接着されること
により、インクジェット記録ヘッドが構成される。な
お、上述のように構成されたインクジェット記録ヘッド
は、圧電素子8に適正波形の電圧を印加して電界誘起歪
みを生じさせることで、インク噴射容器1内のインク加
圧室部4Cの体積が急激に変化し、その変化量に相当す
る量のインク滴がインクノズル部4Aから記録紙などに
に向けて噴射されて印字が行われるとともに、複数のイ
ンクノズルから異なる色のインクを噴射することによ
り、カラー印刷も可能になる。
【0018】インク噴射容器1には成形性,耐候性,耐
水性などに加え、製造工程上の要求性能,例えば検査工
程のための透明性,加熱工程のための高温安定性などの
機能が要求される。これらの要求性能を満たす非結晶性
熱可塑性樹脂としては、ポリエステル,ポリエステルカ
ーボネート,ポリフェニレンオキサイド,ポリフェニレ
ンサルファイド,ポリサルホン,ポリエーテルサルホ
ン,ポリアリレート,ポリエーテルイミド,およびこれ
らの変成体,共重合体を含む合成樹脂材料が適してい
る。
【0019】次に、この発明の式(1)および式(2)
の条件を満たす3種類の実施例インクジェット記録ヘッ
ドと、式(1)および式(2)の条件を満足しない2種
類の比較例インクジェット記録ヘッドを製作し、接着層
の安定性およびインク吐出速度を測定した結果について
説明する。 実施例A:インク噴射容器1の振動板3には厚み300
μmのポリエーテルイミド樹脂シートを用い、この振動
板3とpb-Zr-Ti混合酸化物(PZT)からなる圧電素子
8とを、導電性ペーストからなる共通電極6を介して弾
性率約2.5 ×10 9N/m2,ガラス転移温度約333Kなるア
ミン系エポキシ性樹脂からなる反応硬化型接着剤層7に
より接着し、100°C1時間の乾燥,硬化処理を行っ
た。
【0020】実施例B:インク噴射容器1の振動板3に
は厚み300μmのポリエーテルイミド樹脂シートを用
い、この振動板3とpb-Zr-Ti混合酸化物(PZT)から
なる圧電素子8とを、導電性ペーストからなる共通電極
6を介して弾性率約3.2 ×10 9N/m2,ガラス転移温度約3
38Kなる酸無水物硬化型エポキシ性樹脂からなる反応
硬化型接着剤層7により接着し、120°C4時間の乾
燥,硬化処理を行った。
【0021】実施例C:インク噴射容器1の振動板3に
は厚み200μmのポリエーテルイミド樹脂シートを用
い、この振動板3とpb-Zr-Ti混合酸化物(PZT)から
なる圧電素子8とを、導電性ペーストからなる共通電極
6を介して弾性率約3.6 ×10 9N/m2,ガラス転移温度約3
43Kなるアミン系エポキシ性樹脂からなる反応硬化型
接着剤層7により接着し、120°C4時間の乾燥,硬
化処理を行った。
【0022】比較例A:インク噴射容器1の振動板3に
は厚み300μmのポリエーテルイミド樹脂シートを用
い、この振動板3とpb-Zr-Ti混合酸化物(PZT)から
なる圧電素子8とを、導電性ペーストからなる共通電極
6を介して弾性率約2.4 ×10 9N/m2,ガラス転移温度約3
83Kなるアミン系エポキシ性樹脂からなる反応硬化型
接着剤層7により接着し、100°C1時間の乾燥,硬
化処理を行った。
【0023】比較例B:インク噴射容器1の振動板3に
は厚み300μmのポリエーテルイミド樹脂シートを用
い、この振動板3とpb-Zr-Ti混合酸化物(PZT)から
なる圧電素子8とを、導電性ペーストからなる共通電極
6を介して弾性率約2.7 ×10 9N/m2,ガラス転移温度約4
03Kなる反応硬化型接着剤層7により接着し、100
°C1時間の乾燥,硬化処理を行った。
【0024】表1は実施例インクジェット記録ヘッドお
よび比較例インクジェット記録ヘッドの,熱応力P(F
2 )を式(2)を用いて計算した結果を示すデータ表で
あり、インクジェット記録ヘッドの使用温度Tm を29
8K,インク噴射容器の熱膨張率as を5.6×10-5
(1/K),圧電素子の熱膨張率aPZT を1.2×10
-6(1/K)として熱応力の指標値Pを求めた。
【0025】
【表1】
【0026】表から明らかなように、実施例A,B,C
になる各インクジェット記録ヘッドはいずれもガラス転
移温度Tg が333〜343Kと328Kを5〜15K
程度上回って式(1)の条件を満足し、かつ熱応力の指
標値Pが1×107 N/m2以下で式(2)の条件を満
たしている。これにに対して比較例A,比較例Bではガ
ラス転移温度Tg が383〜403Kと328Kを55
〜75K程度上回って式(1)の条件を満たすが、転移
温度Tg があまりにも高いために熱応力Pが1.12×
107 N/m2 〜1.56×107 N/m2 と式(2)
に示す1×10 7 N/m2 を越えてしまい、式(2)の
条件を満たしていない。
【0027】図2は実施例インクジェット記録ヘッドお
よび比較例インクジェット記録ヘッドのインク吐出速度
の測定結果を示す特性線図であり、インクジェット記録
ヘッドのインク吐出速度(m/s)は熱応力の指標値P
の増加に逆比例して低下する傾向を示すとともに、イン
ク吐出速度のばらつきが熱応力の指標Pの増加に比例し
て増大する傾向を示している。熱応力の指標値Pが最も
小さい実施例Aではインク吐出速度が平均値で約9m/
s,最低値で8m/sあり、また熱応力の指標Pが最も
大きい実施例Cでもインク吐出速度が平均値で約7.5
m/s,最低値で6.2m/sあり実用的に十分なイン
ク吐出性能が得られるとともに、乾燥,加熱硬化工程を
終了した後常温に冷却しても反応硬化型接着剤層に剥
離,亀裂などの異常は認められず、安定した接着強度を
を保持していることが実証された。さらに、実施例にな
るインクジェット記録ヘッドを55°C〜−20°Cの
雰囲気中に長時間(1000時間)放置してもインク吐
出特性に異常は認められず、長期安定性にも優れている
ことが実証された。さらに、熱応力の指標値Pを0.5
×107 N/m2 程度に抑制した実施例Aになるインク
ジェット記録ヘッドでは、9±1m/sという高く安定
したインク吐出速度を有する熱安定性の優れたインクジ
ェット記録ヘッドを提供できる利点が得られる。
【0028】一方、熱応力の指標値Pが1×107 N/
2 を幾分越える比較例Aのインクジェット記録ヘッド
は、インク吐出速度が平均値で約6.3m/s,最低値
で4.1m/sと低く、熱応力の指標値Pが1×107
N/m2 を大幅に越える比較例Bのインクジェット記録
ヘッドは、インク吐出速度が平均値で約4.2m/s,
最低値で1.8m/sとさらに低く、実用的に必要なイ
ンク吐出性能を有するインクジェット記録ヘッドが得ら
れない。さらに、乾燥,加熱硬化工程を終了した後常温
に冷却しても反応硬化型接着剤層に剥離,亀裂などの異
常は認められなかったものの、導電性ペーストの塗膜か
らなる共通電極に亀裂が生じており、反応硬化型接着剤
層7のガラス転移温度が耐環境性仕様として望まれる耐
熱温度328Kより大幅に高く、加熱加工後の熱応力を
接着層が十分吸収できない結果を示すとともに、熱応力
の指標Pがこの発明の限定値であると同時に反応硬化型
接着剤の接着強度とも一致する1×107 N/m2 を越
えるため、共通電極に亀裂などの欠陥を生ずる結果を示
している。
【0029】
【発明の効果】この発明は前述のように、振動板と圧電
素子を接着する反応硬化型接着剤層のガラス転移温度T
g の下限値を一般の電気部品の耐熱温度55°C(絶対
温度328K)に限定するとともに、接着層の弾性率を
熱応力の指標Pが1×107 N/m2 以下になるように
限定するよう構成した。その結果、インクジェット記録
ヘッドの製造過程で加熱処理を行うことによって振動板
と圧電素子との間に従来発生した熱応力を反応硬化型接
着剤層が吸収し、圧電素子の電界誘起歪の低下や接着層
の剥離などを阻止するよう機能するので、インク噴射速
度が高く,その安定性に優れたインクジェット記録ヘッ
ドを提供することができる。
【0030】また、実施例Aのように、反応硬化型接着
剤層のガラス転移温度Tg を下限値近くに限定し,かつ
熱応力の指標Pが0.5×107 N/m2 程度になるよ
う接着層の弾性率を限定するよう構成すれば、9±1m
/sと高く安定したインク吐出速度を有するインクジェ
ット記録ヘッドを提供できる利点が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例になるインクジェット記録ヘ
ッドを示し、(a)はキャヒキティ板の平面図、(b)
はインクジェット記録ヘッドの模式化した断面図
【図2】実施例インクジェット記録ヘッドおよび比較例
インクジェット記録ヘッドのインク吐出速度の測定結果
を示す特性線図
【図3】代表的な圧電素子としてのpb-Zr-Ti混合酸化物
(PZT)に応力を負荷した場合の電界誘起歪量の変化
を示す特性線図
【図4】この発明における反応硬化型接着剤層による熱
歪みの吸収作用を説明するための模式図
【符号の説明】
1 インク噴射容器 2 キャビティ板(非結晶性熱可塑性樹脂成形品) 3 振動板(非結晶性熱可塑性樹脂シート) 4 インク流路 4A インクノズル部 4B 噴射流路 4C インク加圧室部 4D 流路抵抗調整部 5 インク供給部 6 共通電極 7 反応硬化型接着剤層 8 圧電素子(PZT)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 梅垣 卓 神奈川県川崎市川崎区田辺新田1番1号 富士電機株式会社内 (72)発明者 吉沢 孝二 神奈川県川崎市川崎区田辺新田1番1号 富士電機株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】キャビティ板と振動板との結合体からなる
    インク噴射容器の振動板と圧電素子を反応硬化型接着剤
    層を介して接着し、圧電素子に電界を印加して伸縮さ
    せ、その伸縮運動によりインク噴射容器内のインクを吐
    出させるインクジェット記録ヘッドにおいて、前記反応
    硬化型接着剤層のガラス転移温度が式(1) に示す条件
    を,かつその弾性率が式(2) に示す条件を、 Tg ≧328(K)・・・(1) Ea ×(Tg −Tm )×(as −aPZT )≦1×107 (N/m2 )・・(2) ただし、Ea :反応硬化型接着剤層の弾性率(N/m
    2 ) Tg :反応硬化型接着剤層のガラス転移温度(K) Tm :インクジェット記録ヘッドの使用温度(K) aS :振動板の熱膨張率(1/K) aPZT :圧電素子の熱膨張率(1/K) それぞれ満たすことを特徴とするインクジェット記録ヘ
    ッド。
  2. 【請求項2】インク噴射容器が互いに連通した複数のイ
    ンク流路が凹溝として形成された非結晶性熱可塑性樹脂
    からなるキャビティ板と、前記インク流路を覆うようキ
    ャビティ板の表面に気密に結合された非結晶性熱可塑性
    樹脂からなる振動板とからなり、この振動板の要所に形
    成された共通電極上に反応硬化型接着剤層を介して圧電
    素子が接着されたことを特徴とする請求項1記載のイン
    クジェット記録ヘッド。
  3. 【請求項3】厚み300μmのポリエーテルイミド樹脂
    シートからなる振動板と、pb-Zr-Ti混合酸化物(PZ
    T)からなる圧電素子とを弾性率約2.5 ×109N/m2,ガラ
    ス転移温度約333Kなるアミン系エポキシ性樹脂から
    なる反応硬化型接着剤層により接着してなることを特徴
    とする請求項1記載のインクジェット記録ヘッド。
  4. 【請求項4】厚み300μmのポリエーテルイミド樹脂
    シートからなる振動板と、pb-Zr-Ti混合酸化物(PZ
    T)からなる圧電素子とを弾性率約3.2 ×109N/m2,ガラ
    ス転移温度約338Kなる酸無水物硬化型エポキシ性樹
    脂からなる反応硬化型接着剤層により接着してなること
    を特徴とする請求項1記載のインクジェット記録ヘッ
    ド。
  5. 【請求項5】厚み200μmのポリエーテルイミド樹脂
    シートからなる振動板と、pb-Zr-Ti混合酸化物(PZ
    T)からなる圧電素子とを弾性率約3.6 ×109N/m2,ガラ
    ス転移温度約343Kなるアミン系エポキシ性樹脂から
    なる反応硬化型接着剤層により接着してなることを特徴
    とする請求項1記載のインクジェット記録ヘッド。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004160915A (ja) * 2002-11-15 2004-06-10 Brother Ind Ltd 液滴噴射装置およびその製造方法

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