JPH0882774A - ソフトコンタクトレンズとその製造方法 - Google Patents

ソフトコンタクトレンズとその製造方法

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JPH0882774A
JPH0882774A JP24211794A JP24211794A JPH0882774A JP H0882774 A JPH0882774 A JP H0882774A JP 24211794 A JP24211794 A JP 24211794A JP 24211794 A JP24211794 A JP 24211794A JP H0882774 A JPH0882774 A JP H0882774A
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soft contact
sol
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polymer compound
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Zenichi Ogita
善一 荻田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】非常に安価で使い捨て可能な高含水率のソフト
コンタクトレンズと、その製造方法を提供することにあ
る。 【構成】 水溶液が水と、0〜37℃でゾル−ゲル転移す
る高分子化合物を含み、かつゾル−ゲル転移温度より高
温で実質的に水不溶性を示し、ゾル−ゲル転移温度より
低温で可逆的に水可溶性を示し、高分子化合物が曇点を
有する複数のブロックと、親水性ブロックとの結合物で
あり、その水溶液をゲル化させて形成したソフトコンタ
クトレンズ。コンタクトレンズ成形鋳型5内にゾル−ゲ
ル転移温度より低温で高分子化合物水溶液1を注入し、
鋳型5内をゾル−ゲル転移温度より高くして、鋳型5内
で高分子化合物水溶液1をゲル化させ、これを鋳型5か
ら取出して形成するソフトコンタクトレンズの製造方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、角膜に接触して使用す
るソフトコンタクトレンズとその製造方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】コンタクトレンズは材料の硬さによって
ハードコンタクトレンズとソフトコンタクトレンズに分
類される。ハードコンタクトレンズの素材として最も汎
く使用されているものとして、ポリメチルメタクリレー
ト(以下、PMMAと称する)が知られている。該PM
MAの光学的特性や機械的強度等は、コンタクトレンズ
としての特性を充分に満足させるものであるが、幾つか
の欠点を有している。即ち、PMMAコンタクトレンズ
は硬く、角膜等に機械的損傷を与え易いこと、酸素透過
性が低く、角膜への酸素供給が不足し角膜の膨潤、肥厚
等の原因となること、レンズ表面は疎水性で水濡れが悪
く装用時に涙液はじき、及び涙液の脂質層が沈着し”く
もり”が生じること、無機イオンの透過性がなく角膜中
の無機イオンバランスが乱れることである。
【0003】最近、PMMAコンタクトレンズの酸素透
過性能を向上させるために、PMMA樹脂に酸素透過性
に寄与するシロキサン基、或いはフロン基を導入し、酸
素透過性を向上した酸素透過性樹脂が開発され、該樹脂
にてハードコンタクトレンズを形成することも試みられ
てるが、酸素透過性コンタクトレンズにあっては、酸素
透過性の著しい向上は認められたものの、前記したハー
ドコンタクトレンズ特有の問題点は未解決であった。
【0004】ハードコンタクトレンズの問題点を解決す
る目的で開発されたソフトコンタクトレンズは、大別す
ると含水ゲル(ハイドロゲル)とシリコンラバーのよう
な非含水に分類される。非含水系ソフトコンタクトレン
ズの素材としては、主に架橋ポリジメルシロキサンが用
いられているが、この材料は柔軟性に富み角膜への機械
的損傷が小さいこと、酸素透過性及び透明性が著しく良
好なこと、耐熱性、耐薬品性が良いことなど大きな特徴
を有しているものの、レンズ表面の発水性が強く先にも
述べた涙液はじき、及び涙液中の脂質成分が強固に付着
することが認められたり、ゴム弾性に起因して角膜へ固
着してしまうこと、また非含水ゲルであるため加工性が
著しく悪いことなどの重大な欠点が指摘されている。
【0005】これらの問題を解決するために含水ゲルか
らなるソフトコンタクトレンズが開発されるに至ってい
る。含水ソフトコンタクトレンズはポリヒドロキシエチ
ルメタクリレート(PHEMA)、ポリビニルピロリド
ン(PVP)、ポリビニルアルコール(PVA)等の親
水性、或いは水溶性高分子に架橋を導入し不溶化するこ
とによって製造される。架橋の導入率によって含水率を
変化させることが可能である。含水ゲルよりなるソフト
コンタクトレンズの特徴は、含水率を高めることによっ
て柔軟性が著しく向上し角膜への相用性が良くなるこ
と、酸素及び無機イオンの透過性が顕著に向上するこ
と、表面の親水性が向上し、先に述べた涙液はじき、及
び脂質の吸着による「くもり」等が防止されることなど
である。しかし含水率が高くなるとハイドロゲルの機械
的強度は極端に低下し、装脱着時に破損され易くなるこ
と、またハイドロゲルの孔径が大きくなりすぎて、涙液
中のタンパク質等がゲル中に侵入、沈着し、汚れ、或い
は細菌汚染の原因となるなど重大な問題が生じる。
【0006】コンタクトレンズは角膜に直接触れ、長期
間に亘り使用するものであるから、機械的相容性という
観点から硬い材料からなるハードコンタクトレンズより
も柔軟性に富んだソフトコンタクトレンズのほうが適し
ていると考えられる。またソフトコンタクトレンズの中
でも角膜との生理的な相容性という点では、角膜と類似
の性質を有する高含水率のハイドロゲルから成るソフト
コンタクトレンズが適していると考えられる。しかし、
先にも述べたように高含水率のソフトコンタクトレンズ
は取り扱い中に破損し易いこと、及び長期間使用すると
タンパク質の付着、或いは細菌による汚染が激しいとい
う致命的な問題を有している。
【0007】これらの問題に対する対策として、レンズ
の破損や変形を防止するために、レンズホルダーに保存
したり、或いは特定の保存液中に保存し、またレンズ装
脱着後、表面に付着している汚染物を洗浄除去するこ
と、及び無菌処理等が行われているが、これらの処理の
手間、及びコストが問題になっている。
【0008】ハードコンタクトレンズは、通常、視力矯
正等を必要とする患者のレンズパラメーターに合わせ
て、一個毎に切削研磨法によって製造される場合が最も
多い。含水ソフトコンタクトレンズの場合でも、含水時
のレンズパラメーターを予め推定して、乾燥時に切削研
磨法によって製造される場合が最も多い。患者のパラメ
ーターに合わせて一個毎に機械的にベベル、エッジ加工
し、最後に仕上げとして研磨する必要があるため、長時
間の加工と高度の加工技術が要求され、非常にコストが
高くなり、実質的に使い捨て可能なほどにコストを低減
させることはほとんど不可能であった。
【0009】他のソフトコンタクトレンズ製造法として
は、凹型の回転鋳型内にモノマーや架橋剤、重合開始剤
等を注入、回転し、遠心力によってレンズ型状を作りな
がら熱や紫外線等によって重合を行う遠心回転法、凸面
鋳型と凹面鋳型からなる割鋳型内にモノマー、架橋剤、
重合開始剤等を注入し、熱等によって重合を行う注型重
合法等が開発されている。これらの製造法においても患
者の多様なパラメーターに合わすためには多種類の鋳型
が必要であること、重合収縮率の予測、脱酸素等の厳密
な重合工程管理、残存モノマー及び未反応開始剤等の洗
浄工程が必要となり、切削研磨法の場合と同様に、使い
捨て可能なほどにコストを低減させることは困難であ
る。従って、含水ソフトコンタクトレンズの場合、高含
水率にすればするほど角膜への生体適合性は向上するこ
とが知られているものの、先にも述べた経済性の理由で
実質的には使用されていない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】より良い解決法として
は、ソフトコンタクトレンズが破損、或いは汚染するた
びに交換できるように使い捨て可能にすることである。
本発明者は鋭意研究の結果、水溶液が特定のゾル−ゲル
転移温度を有し、且つゾル−ゲル転移温度よりも高温で
実質的に水不溶性のゲル状態を示し、水とゾル−ゲル転
移温度よりも低温で可逆的に水可溶性を示す高分子化合
物を含み、その水溶液から形成し得る、安価で使い捨て
可能な高含水率のソフトコンタクトレンズと、その製造
方法を発明するに至ったものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明のソフトコンタクトレンズは、水溶液が水
と、0〜37℃でゾル−ゲル転移する高分子化合物を含
み、かつゾル−ゲル転移温度より高温で実質的に水不溶
性を示し、ゾル−ゲル転移温度より低温で可逆的に水可
溶性を示し、高分子化合物が曇点を有する複数のブロッ
クと、親水性ブロックの結合物であり、その水溶液をゲ
ル化させて形成したものである。
【0012】また、本発明によるソフトコンタクトレン
ズの製造方法は、ゾル−ゲル転移可能な高分子化合物を
含む水溶液を、ゾル−ゲル転移温度より低温のコンタク
トレンズ成形鋳型内に注入し、その鋳型内をゾル−ゲル
転移温度より高くすることにより、鋳型内で高分子化合
物水溶液をゲル化させ、これを鋳型から取出して使用す
るものである。
【0013】
【作用】水溶液が水とゾル−ゲル転移温度を有する高分
子化合物から形成されていて、ゾル−ゲル転移温度より
低温で水に溶解し、ゾル−ゲル転移温度より高温で直ち
に含水ゲル状態に変化する特徴を有しているので、この
性質を利用して高含水率のソフトコンタクトレンズを簡
単容易に製造できる。
【0014】
【実施例】先ず、本発明において用いる「ゾル状態」と
「ゲル状態」、及び「ゾル−ゲル転移温度」は、以下の
ように定義する。高分子溶液1mlを内径1cmの試験管に
入れ、所定の温度(一定温度)とした水浴中で12時間保
持する。この後、試験管の上下を逆にし、溶液/空気の
界面(メニスカス)が溶液の自重で変形した場合(溶液
が流出した場合を含む)、上記所定温度において高分子
溶液は「ゾル状態」であると定義する。一方、上記試験
管の上下を逆にしても、溶液/空気の界面(メニスカ
ス)が溶液の自重で変形しない場合、該溶液は所定温度
において「ゲル状態」であると定義する。この定義につ
いては文献(Polymer Journal 18(5),411-416,1986)
を参照することができる。
【0015】(ゾル−ゲル転移温度)上記測定におい
て、例えば約3Wt %濃度の高分子溶液を用い、上記し
た「所定温度」を徐々に(例えば1℃きざみで)上昇さ
せ、「ゾル状態」から「ゲル状態」に転移する温度を求
めた場合、これによって求められる転移温度を「ゾル−
ゲル転移温度」と定義する。また、「所定温度」を反対
に1℃きざみで下降し、「ゲル状態」から「ゾル状態」
に転移する温度を求め、これを「ゾル−ゲル転移温度」
と定義しても良い。
【0016】次に、本発明によるソフトコンタクトレン
ズを詳細に説明する。水溶液が水と、0℃より高く37℃
以下でゾル−ゲル転移する高分子化合物を含み、かつゾ
ル−ゲル転移温度より高温で実質的に水不溶性を示すと
共に、ゾル−ゲル転移温度より低温で可逆的に水可溶性
を示し、その水溶液をゲル化したものであり、勿論、角
膜上の温度(32℃付近)でゲル化状態を保ち、コンタク
トレンズとしての役目を果たすものである。ゾル−ゲル
転移温度が例えば4℃以上32℃以下、更には10℃以上25
℃以下であれば、冷蔵庫の温度でゾル化が可能であると
いう点で好ましい。
【0017】本発明における好適なゾル−ゲル転移温度
を有する高分子化合物は、上記したスクリーニング方法
(ゾル−ゲル転移温度測定法)に従って容易に選択する
ことができる。即ち本発明のソフトコンタクトレンズに
使用可能な高分子化合物は、ゾル−ゲル転移温度(0℃
より高く、37℃以下)を有する限り特に制限されない
が、速やかな水不溶性/水可溶性の変化が容易な点か
ら、ゾル−ゲル転移温度を有する高分子化合物は、曇点
を有する複数のブロックと、親水性ブロックが結合して
なる高分子であることが望ましい。高分子化合物の曇点
を有するブロックは、曇点より高温で水に不溶性にな
り、曇点より低温で水溶性に変化する部分である。
【0018】このような高分子化合物水溶液の熱可逆的
ゾル−ゲル転移は、「曇点を有するブロック」間の疎水
結合の性質に基づく。即ち、温度の上昇と共に強くなる
一方、温度の低下と共に弱くなり、且つ疎水結合の強弱
の変化が温度に対して可逆的であるという「曇点を有す
るブロック」間の疎水結合の性質に基づき、上記高分子
溶液の熱可逆的ゾル−ゲル転移が生ずる。「曇点を有す
るブロック」が1分子内に複数個存在することにより、
高分子化合物水溶液がゾル−ゲル転移温度より高温で水
に不溶性のゲルを作製する。
【0019】「曇点を有するブロック」は、水に対する
溶解温度係数が負を示す高分子化合物から構成されてい
ることが望ましい。また「曇点を有するブロック」とし
ては、例えばポリプロピレンオキサイド、プロピレンオ
キサイドと他のアルキレンオキサイドとの共重合体;ポ
リN−置換(メタ)アクリルアミド誘導体、N−置換
(メタ)アクリルアミド誘導体と他の親水性または疎水
性単量体との共重合体;ポリビニルメチルエーテル、ポ
リビニルアルコール部分酢化物からなる群より選ばれる
高分子化合物から構成されることが好ましい。また、曇
点は0℃より高く37℃以下であることが好ましい。
【0020】上記N−置換(メタ)アクリルアミドと他
の親水性または疎水性単量体との共重合体においては、
親水性単量体と共重合すると生成物の曇点は上昇し、疎
水性単量体と共重合すると生成物の曇点は下降する。従
って、これらの共重合すべき単量体を選択することによ
っても、所望の曇点(例えば0℃より高く37℃以下の曇
点)を有する高分子化合物を得ることができる。曇点の
測定は、例えば高分子化合物(曇点を有するブロック)
の約1Wt %の水溶液を冷却して透明な均一溶液とした
後、徐々に昇温(昇温温度約1℃/min)し、該水溶液が
初めて白濁する点を曇点とするも可能である。
【0021】高分子化合物中の親水性ブロックは、水と
高分子化合物を含む水溶液が、ゾル−ゲル転移温度以下
で液体(ゾル)状態であるために必須であると同時に、
ゾル−ゲル転移温度以上で曇点を有するブロック間での
疎水結合が強すぎて、ポリマーが凝集沈殿してしまうこ
とを防止し、含水ゲルの状態を維持するために必須であ
る。
【0022】親水性ブロックとしては、例えばメチルセ
ルロース、デキストラン、ポリエチレンオキサイド、ポ
リビニルアルコール、ポリN−ビニルピロリドン、ポリ
ビニルピリジン、ポリアクリルアミド、ポリメタアクリ
ルアミド、ポリN−メチルアクリルアミド、ポリヒドロ
キシメチルアクリレート、ポリアクリル酸、ポリメタク
リル酸、ポリビニルスルホン酸、ポリスチレンスルホン
酸及びそれらの塩等が好ましいが、ポリN−ジメチルア
ミノエチルメタクリレート、ポリN,N−ジエチルアミ
ノエチルメタアクリレート、ポリN,N−ジメチルアミ
ノプロピルアクリルアミド、及びそれらの塩等であって
もよい。
【0023】曇点を有するブロックの結合方法は制限さ
れないが、例えば何ずれかのブロック中に重合性官能基
(例えばアクリロイル基)を導入し、他方のブロックを
与える単量体を共重合させることによって行うことがで
きるし、予め両者に反応活性な官能基(例えば水酸基、
アミノ基、カルボキシル基、イソシアネート基等)を導
入し、両者を化学反応により結合させることによって行
うこともできる。その際、親水性ブロック中には通常、
反応活性な官能基を複数導入する。また曇点を有するブ
ロックと親水性ブロックの結合物は、曇点を有するブロ
ックを与える単量体と、親水体ブロックを与える単量体
とのブロック共重合によって得ることも可能である。
【0024】例えば曇点を有するポリプロピンオキサイ
ドと親水性ブロックの結合は、アニオン重合またはカチ
オン重合で、プロピレンオキサイドと「他の水溶性高分
子」を構成するモノマー(例えばエチレンオキサイド)
とを繰り返し逐次重合させることで、ポリプロピレンオ
キサイドと「他の水溶性高分子」(例えばポリエチレン
オキサイド)が結合したブロック共重合体を得ることが
できる。このようなブロック共重合体は、ポリエチレン
オキサイドの末端に重合性基(例えばアクリロイル基)
を導入後、水溶性高分子を構成するモノマーを共重合さ
せることによっても得ることができる。
【0025】また本発明に用いる高分子化合物は、水溶
性高分子中にポリエチレンオキサイド末端の官能基(例
えば水酸基)と結合反応し得る官能基を導入し、両者を
反応させることによっても得ることができるし、ポリプ
ロピレンオキサイドとポリエチレンオキサイドが結合し
た商品名「プルロニック−127 」(旭電化工業(株)
製)のような材料を連結させることによっても得ること
ができる。曇点を有するブロックと親水性ブロックの組
成、両ブロックの疎水性度、親水性度、及び/またはそ
れらの分子量を調整することによって、本発明に用いる
高分子化合物水溶液のゾル−ゲル転移温度を調節するこ
とができる。本発明のソフトコンタクトレンズとして用
いる高分子化合物水溶液の高分子濃度は、実質的にゾル
−ゲル転移が生ずる濃度範囲であれば特に制限されない
が、2%〜70%(更には5%〜30%)の範囲であること
が好ましい。
【0026】更に、本発明によるソフトコンタクトレン
ズの製造方法を図1に基ずき説明すると、予め患者のレ
ンズパラメーターに応じたコンタクトレンズ用鋳型5を
製作しておき、その鋳型5を例えば冷蔵庫に入れて冷却
し、鋳型5を高分子化合物水溶液1のゾル−ゲル転移温
度より低温にし、冷却した鋳型5内に高分子化合物水溶
液1を注入した後、該鋳型5を外気温や熱源によりゾル
−ゲル転移温度より高くし、鋳型5内で高分子化合物水
溶液1をゲル化させ、ゲル化したコンタクトレンズ2を
鋳型5より取出すものである。
【0027】本発明に用いられる鋳型5としては、凸面
を有する雄鋳型5aと凹面を有する雌鋳型5bからなる割鋳
型が最も都合よいが、凹面のみから成る遠心回転鋳造鋳
型も使用可能である。鋳型5の材質としては、本発明の
ハイドロゲルの離型性に優れた発水性の高いプラスチッ
クが都合よい。
【0028】実験例 1 N−イソプロピルアクリルアミド((株)興人製)9.
61gと、N−アクリロキシスクシンイミド(国産化学
(株)製)1.71g、n−ブチルメタクリレート(和光純
薬工業(株)製)1.42gとを、クロロホルム400ml に溶
解し、反応容器内を窒素置換した後、N,N' −アゾビ
スイソブチロニトリル0.135 gを加え、60℃で6時間重
合させた。 反応生成物を濃縮しジエチルエーテル中に再沈、瀘集
した後、真空乾燥し、ポリ(N−イソプロピルアクリル
アミドーコーN−アクリロキシスクシンイミドーコーn
−ブチルメタクリレート)を得た。 得られたポリ(N−イソプロピルアクリルアミドーコ
ーN−アクリロキシスクシンイミドーコーn−ブチルメ
タクリレート)1.0 gと、両末端アミノ化ポリエチレン
オキシド(分子6.000 、川研ファインケミカル(株)
製)0.5 gとを、クロロホルム100ml に溶解した後、50
℃で3時間反応させた。 その反応生成物を室温まで冷却した後、イソプロピル
アミン0.1 gを加え、1時間放置した。 得られた生成物を濃縮した後、ジエチルエーテルに沈
殿させた。 沈殿物を瀘集、真空乾燥して1.5 gの本発明のソフト
コンタクトレンズ用の高分子化合物(A)を得た。 この高分子化合物(A)を氷冷下、5Wt %の濃度で生
理的食塩水に溶解し、徐々に加温すると、約9℃で流動
性を失いゲル化した。このゲルを冷却すると約9℃で流
動性を取り戻し、再び溶液状態に戻った。即ち、高分子
化合物(A)の生理的食塩水溶液のゾル−ゲル転移温度
は約9℃であった。
【0029】実験例 2 トリメチロールプロパン1モルに対し、エチレンオキ
サイド160 モルをカチオン重合により付加し、ポリエチ
レンオキサイドトリオール体を得た。 このポリエチレンオキサイドトリオール体0.02モルを
蒸留水100ml に溶解し、 室温で過マンガン酸カリウ
ム12gを徐々に加えて反応させた。 瀘過後、生成物をクロロホルムに抽出し、溶媒を減圧
留去してポリエチレンオキサイドトリカルボキシル体を
得た。 このようにして得たポリエチレンオキサイドトリカル
ボキシル体10gと、ポリプロピレンオキサイドジアミノ
体(プロピレンオキサイド平均重合度約65、ジェファー
ミンD−4000(米国ジェファーソンケミカル社製)5g
と、ポリエチレンオキサイドジアミノ体(分子量6.000
、川研ファインケミカル(株)製)5gとを、四塩化
炭素1000mlに溶解し、ジシクロヘキシルカルボジイミド
1.2 gを加え、沸点環流下に6時間反応させた。 反応液を冷却、瀘過した後、溶媒を減圧留去し、残渣
を真空乾燥し、本発明のソフトコンタクトレンズ用高分
子化合物(B)を作製した。
【0030】実験例 3 実験例1で合成した高分子化合物(A)を、蒸留水中
に濃度がそれぞれ5,10,15,20,25Wt %になるよう
に氷冷下に溶解し、各種濃度の水溶液を作製した。 次に冷蔵庫内で冷却したガラス板(10cm×10cm×0.5
cm)上に、氷冷下に冷却した各種濃度の高分子化合物
(A)水溶液をそれぞれ10mlずつ注入し、直ちにコータ
ー(Yasuda Seiki Co.Ltd製)により厚さ約0.
2mm の膜をガラス上に形成した後、室温約25℃に放置
し、キャステイング溶液をゲル化させた。 該ゲル化膜の酸素透過性を蒸留水中で30℃で溶存酸素
計(MY−900 ,飯島電子工業(株))を用いて測定し
た所、表1の如く結果が得られた。
【0031】
【表1】
【0032】実験例 4 実験例1で合成した高分子化合物(A)を、生理的食
塩水中に濃度がそれぞれ5,10,15,20,25Wt %にな
るように冷蔵庫内(約4℃)で溶解し、各種濃度の生理
的食塩水溶液を作製した。 凹面を有するシリコンゴム製の雌鋳型5bと、ガラス球
からなる雄鋳型5aを冷蔵庫内で予め冷却し、 冷却した雌鋳型5bの凹面に高分子化合物(A)の生理
的食塩水溶液を充分に注入した後、その上に雄鋳型5aを
空気の巻込みがないように充分注意しながら静置し、 そのまま室温(約25℃)に10分間放置して、鋳型内の
高分子化合物水溶液をゲル化させる。 鋳型5内でゲル化した本発明のソフトコンタクトレン
ズ2を、例えば柔軟性に富んだシリコンゴム製の雌鋳型
5bをねじることによって、雄鋳型5aの表面から剥離し、
離型した。
【0033】このようにして直径が約14mm,中心の肉厚
が約0.2mm の本発明ソフトコンタクトレンズを得た。各
種濃度の高分子溶液から形成した本発明のソフトコンタ
クトレンズを約25℃の生理的食塩水中に2日間浸漬して
も、形状変化は認められなかった。また、何ずれの濃度
で形成したソフトコンタクトレンズも透明性は良好であ
った。しかし濃度5Wt %のソフトコンタクトレンズは
機械的物性が弱く、取り扱いが多少困難であったもの
の、濃度10,15,20,25Wt %のソフトコンタクトレン
ズは、ソフトコンタクトレンズとしての取り扱いに耐え
るに充分な機械的強度を有していた。
【0034】実験例 5 実験例2で合成した高分子化合物(B)を用い、実験例
4と同様の方法により本発明のソフトコンタクトレンズ
を形成した。その結果、濃度5,10,15,20,25Wt %
の高分子化合物(B)からなる本発明のソフトコンタク
トレンズは、生理的食塩水中(25℃)で保存しても形
状、或いは寸法の変化は全く認められず、何ずれ透明性
が良好であった。しかし濃度5Wt %のソフトコンタク
トレンズのみは機械的に脆弱で、ソフトコンタクトレン
ズとして取り扱いづらかったが、濃度10,15,20,25W
t %のソフトコンタクトレンズの機械的強度は充分であ
った。また本発明のソフトコンタクトレンズをゾル−ゲ
ル転移温度(約12℃)以下の蒸留水中に浸漬放置すると
完全に溶解した。
【0035】尚、本発明によるソフトコンタクトレンズ
とその製造方法は、前記実施例や実験例に限定されるも
のではなく、例えばソフトコンタクトレンズの成形鋳型
は、高分子化合物水溶液の注入が容易で、しかも成形レ
ンズの取出しも容易であると共に、熱伝導が良好であれ
ば、適宜の鋳型を用いることが可能である。また実施例
や実験例は本発明の充分な全範囲を網羅するものではな
く、本発明の要旨に反しない限り適宜変更可能である。
【0036】
【発明の効果】本発明のソフトコンタクトレンズとその
製造方法は上記の通りであるから、次に記載する効果を
奏する。水溶液が水と、ゾル−ゲル転移温度を有する高
分子化合物を含み、ゾル−ゲル転移温度より低温で水に
溶解し、ゾル−ゲル転移温度より高温で直ちに含水ゲル
状態に変化する特徴を有しているので、この性質を利用
して高含水率のソフトコンタクトレンズを、一般家庭に
おいても簡単容易に製造できる。その結果、非常に破損
しやすく汚染され易いが、柔軟性や物質透過性、生体適
合性等に優れた高含水率ソフトコンタクトレンズを、非
常に安価に提供し得るため、使い捨てにすることも可能
となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)(B)(C)本発明によるソフトコンタ
クトレンズの成形工程図である。
【符号の説明】 1 高分子化合物水溶液 2 ソフトコンタクトレンズ 5 コンタクトレンズの成形鋳型

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水溶液が水と、0℃より高く37℃以下で
    ゾル−ゲル転移する高分子化合物を含み、かつゾル−ゲ
    ル転移温度より高温で実質的に水不溶性を示し、ゾル−
    ゲル転移温度より低い温度で可逆的に水可溶性を示し、
    その水溶液をゲル化させて形成したソフトコンタクトレ
    ンズ。
  2. 【請求項2】 高分子化合物が、曇点を有する複数のブ
    ロックと親水性ブロックとの結合物である請求項1に記
    載のソフトコンタクトレンズ。
  3. 【請求項3】 ゾル−ゲル転移可能な高分子化合物を含
    む水溶液(1)を、ゾル−ゲル転移温度より低温のコン
    タクトレンズ成形鋳型(5)内に注入し、その鋳型
    (5)内をゾル−ゲル転移温度より高くすることによ
    り、鋳型(5)内で高分子化合物水溶液(1)をゲル化
    させ、これを鋳型(5)から取出して使用するソフトコ
    ンタクトレンズの製造方法。
JP24211794A 1994-09-10 1994-09-10 ソフトコンタクトレンズとその製造方法 Pending JPH0882774A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN111607043A (zh) * 2020-05-22 2020-09-01 广州悦清再生医学科技有限公司 一种隐形眼镜材料及其制备方法及隐形眼镜

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN111607043A (zh) * 2020-05-22 2020-09-01 广州悦清再生医学科技有限公司 一种隐形眼镜材料及其制备方法及隐形眼镜
CN111607043B (zh) * 2020-05-22 2022-06-24 广州悦清再生医学科技有限公司 一种隐形眼镜材料及其制备方法及隐形眼镜

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