JPH0882636A - 車両のヨーレート推定方法及びその装置 - Google Patents

車両のヨーレート推定方法及びその装置

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JPH0882636A
JPH0882636A JP6276405A JP27640594A JPH0882636A JP H0882636 A JPH0882636 A JP H0882636A JP 6276405 A JP6276405 A JP 6276405A JP 27640594 A JP27640594 A JP 27640594A JP H0882636 A JPH0882636 A JP H0882636A
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JP
Japan
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yaw rate
vehicle
value
delay time
neural network
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JP6276405A
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English (en)
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Mitsuru Nagaoka
満 長岡
Yoko Hirata
陽子 平田
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Mazda Motor Corp
Original Assignee
Mazda Motor Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ニューラルネットワーク演算により車両に発
生するヨーレートを推定するに当り、推定ヨーレート値
にダイナミックスを持たせ、過渡時の推定精度を高め
る。 【構成】 左右輪の回転差Rv 、操舵角Fs 及び車速V
をそれぞれ検出手段5,3,13で検出し、これらの検
出値を入力変数とするニューラルネットワーク演算によ
り推定ヨーレート値φを算出する。その際、遅れ時間
i,lの相違する過去の2つの推定ヨーレート出力値φ
i ,φl を入力変数に加えてニューラルネットワーク演
算を行う。遅れ時間i,lは、車両のヨー固有周波数が
高い程短くなるように設定される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両に発生するヨーレ
ートを推定するヨーレート推定方法及びその装置に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】従来、車両においては、4輪操舵装置等
を装備する場合に車両に発生するヨーレートを推定し、
該ヨーレートを用いてフィードバック制御をすることが
行われている。ヨーレートを推定する方法としては、左
右輪の回転差を基に円旋回時の幾何学的関係(いわゆる
二輪モデル)から導いた線形式でヨーレートを推定する
もの(例えば特開平2−40504号公報参照)と、操
舵角を基に円旋回時の力学的関係から導いた線形式でヨ
ーレートを推定するもの(例えば特開平4−35307
6号公報参照)とが知られている。
【0003】ところが、上記従来のヨーレートを推定す
る方法は、いずれも円旋回時の理論式を基本にして導い
た線形式でヨーレートを推定するものであるため、非線
形領域の運動状態の時つまり左右輪回転差が所定値以上
の時又は操舵角が所定値以上の時にはヨーレートを精度
良く推定することができなくなるという問題があった。
【0004】そこで、近年、非線形領域の運動状態の時
にもヨーレートを精度良く推定するために、ニューラル
ネットワークを用いたものが提案されている(例えば特
開平5−185947号公報参照)。このニューラルネ
ットワークは、通常、ヨーレートに関連する左右輪の回
転差、操舵角、操舵速度、車速及び車体加速度等の車両
状態量を入力変数として中間層のニューロンとシナプス
結合するとともに、該中間層のニューロンを、推定ヨー
レート値を出力する出力層のニューロンとシナプス結合
して構成されるものであって、学習回数を高めることで
線形領域から非線形領域に亘ってヨーレートを高い精度
で推定できることが実証されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記ニュー
ラルネットワーク演算は、単純な代数計算の集合体であ
るため、この演算で算出した推定ヨーレート値にダイナ
ミックスを持たせることができない。このため、操舵開
始時等の過渡時には実際のヨーレート値と推定ヨーレー
ト値とが異なり、推定精度が悪くなるという問題があ
る。
【0006】本発明はかかる点に鑑みてなされたもので
あり、その目的とするところは、ニューラルネットワー
ク演算による推定ヨーレート値にダイナミックスを持た
せることにより、過渡時の推定精度を高めるものであ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1に係わる発明は、車両に発生するヨーレー
トを推定するヨーレート推定方法として、ニューラルネ
ットワーク演算により推定ヨーレート値を算出するに当
り、所定の遅れ時間前の推定ヨーレート出力値を入力変
数に加えてニューラルネットワーク演算を行う構成とす
る。
【0008】請求項2及び3に係わる発明は、いずれも
請求項1に係わる発明の下位概念に属するものであっ
て、ニューラルネットワーク演算による推定ヨーレート
値の算出方法の一つの態様を示す。すなわち、請求項2
に係わる発明は、少なくとも左右輪の回転差、操舵角及
び車速をそれぞれ検出し、これらの検出値を入力変数と
するニューラルネットワーク演算により推定ヨーレート
値を算出するに当り、所定の遅れ時間前の推定ヨーレー
ト出力値を入力変数に加えてニューラルネットワーク演
算を行う構成とする。また、請求項3に係わる発明は、
左右輪の回転差、操舵角及びその他の1つ以上の車両状
態量をそれぞれ検出し、上記左右輪の回転差と操舵角と
を入力変数とするニューラルネットワーク演算により近
似ヨーレート値を算出し、更に該近似ヨーレート値と上
記その他の1つ以上の車両状態量とを入力変数とするニ
ューラルネットワーク演算により推定ヨーレート値を算
出するに当り、所定の遅れ時間前の推定ヨーレート出力
値を入力変数に加えてニューラルネットワーク演算を行
う構成とする。
【0009】請求項4に係わる発明は、請求項1〜3に
係わる発明において、ニューラルネットワーク演算の入
力変数に加える推定ヨーレート出力値を、1つ又は遅れ
時間が相違する2つのものに限定する。
【0010】請求項5〜8に係わる発明は、いずれも請
求項4に係わる発明において、所定の遅れ時間の設定を
限定するものである。すなわち、請求項5に係わる発明
は、所定の遅れ時間を、車両のヨー固有周波数が高い程
短くなるように設定する。請求項6に係わる発明は、所
定の遅れ時間を、車速や車体加速度等車両の運動状態量
に応じて設定する。請求項7に係わる発明は、所定の遅
れ時間を、アクセル開度や操舵角等運転者の操作状態に
応じて設定する。更に、請求項8に係わる発明は、所定
の遅れ時間を、路面の摩擦係数や凹凸状態等走行道路の
状態に応じて設定する。
【0011】請求項9に係わる発明は、請求項1に係わ
る発明の下位概念に属するものであって、所定の遅れ時
間前の推定ヨーレート出力値を用いてニューラルネット
ワーク演算による推定ヨーレート値を算出する際のノイ
ズ対策に係わる。すなわち、ニューラルネットワーク演
算により推定ヨーレート値を算出するに当り、所定の遅
れ時間前の推定ヨーレート出力値の信号をローパスフィ
ルターに通してノイズを除去した後、その信号を入力変
数に加えてニューラルネットワーク演算を行う構成とす
る。
【0012】請求項10、12及び13に係わる発明
は、いずれも請求項9に係わる発明において、ローパス
フィルターのカットオフ周波数の設定を限定するもので
ある。すなわち、請求項10に係わる発明は、上記ロー
パスフィルターのカットオフ周波数を、操舵速度が高い
程高くなるように設定する。請求項12に係わる発明
は、上記ローパスフィルターのカットオフ周波数を、車
速、操舵角及び操舵速度を入力変数とするニューラルネ
ットワーク演算により設定する。請求項13に係わる発
明は、上記ローパスフィルターのカットオフ周波数を、
車速、操舵角及び操舵速度を入力情報とするファジィ演
算により設定する。
【0013】請求項11に係わる発明は、請求項10に
係わる発明において、所定の遅れ時間を、ローパスフィ
ルターのカットオフ周波数が高い程短くなるように設定
する。
【0014】請求項14に係わる発明は、車両に発生す
るヨーレートを推定するヨーレート推定装置として、ニ
ューラルネットワーク演算により推定ヨーレート値を算
出する演算部と、該演算部から出力される推定ヨーレー
ト出力値を所定の遅れ時間記憶し、その遅れ時間後に上
記演算部の入力側に出力する遅延部とを備える構成とす
る。
【0015】
【作用】上記の構成により、請求項1又は14に係わる
発明では、ニューラルネットワーク演算により推定ヨー
レート値を算出するに当り、所定の遅れ時間前の推定ヨ
ーレート出力値を入力変数に加えてニューラルネットワ
ーク演算を行うことにより、推定ヨーレート値が、実際
のヨーレートと同様に、時々刻々と変化するダイナミッ
クスを持つようになり、実際のヨーレートと略一致す
る。
【0016】ここで、車両に搭載するマイクロコンピュ
ータは、その記憶容量・演算能力に限界があることか
ら、ニューラルネットワーク演算の入力変数に加える推
定ヨーレート出力値を、請求項4に係わる発明の如く、
1つ又は遅れ時間が相違する2つのものに限定すること
が好ましく、更に、ヨーレートの時系列変化パターンを
学習されるために、ニューラルネットワーク演算の入力
変数に加える推定ヨーレート出力値を、遅れ時間が相違
する2つのものに限定することがより好ましい。
【0017】また、実際のヨーレートの過渡応答特性
は、車両のヨー固有周波数に支配されることから、請求
項5に係わる発明の如く、所定の遅れ時間を、車両のヨ
ー固有周波数が高い程短くなるように設定すると、推定
ヨーレート値が実際のヨーレートと一層一致するように
なる。また、車速や車体加速度等車両の運動状態量、ア
クセル開度や操舵角等運転者の操作状態及び路面の摩擦
係数や凹凸状態等走行道路の状態は、車両のヨー固有周
波数と密接に関連しているので、車両のヨー固有周波数
の代りに、請求項6〜8に係わる発明の如く、所定の遅
れ時間を、車両の運動状態量、運転者の操作状態又は走
行道路の状態に応じて設定しても同様に、推定ヨーレー
ト値が実際のヨーレートと一層一致するようになる。
【0018】請求項9に係わる発明では、所定の遅れ時
間前の推定ヨーレート出力値を用いてニューラルネット
ワーク演算による推定ヨーレート値を算出する際、予め
推定ヨーレート出力値の信号をローパスフィルターに通
してノイズを除去することにより、ノイズのない推定ヨ
ーレート出力値を用いてニューラルネットワーク演算が
適正に行われる。
【0019】ここで、操舵速度が高いときにはヨーの変
化が速くなり、その周波数も高くなることから、請求項
10に係わる発明の如く、ローパスフィルターのカット
オフ周波数を、操舵速度が高い程高くなるように設定す
ると、操舵速度に応じてノイズの除去が適切に行われる
ことになる。また、ローパスフィルターのカットオフ周
波数を高くすると、ニューラルネットワークとフィルタ
ーとを合成したシステムの周波数特性が高域側に広がる
ことから、所定の遅れ時間前の推定ヨーレート出力値を
入力変数に加えてニューラルネットワーク演算により推
定ヨーレート値を算出するときには、請求項11に係わ
る発明の如く所定の遅れ時間を、ローパスフィルターの
カットオフ周波数が高い程短くすることが、推定ヨーレ
ート値に適正なダイナミックスを持たせる上で望まし
い。
【0020】さらに、請求項12及び13に係わる発明
の如く、ローパスフィルターのカットオフ周波数を、車
速、操舵角及び操舵速度を入力変数とするニューラルネ
ットワーク演算又はファジィ演算により設定すると、ノ
イズの除去を一層適切に行うことができる。
【0021】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。
【0022】図1は本発明の第1実施例に係わる車両の
ヨーレート推定装置のブロック線図である。図1におい
て、1は右車輪の所定時間当りの回転数である車輪速を
検出する右車輪速センサ、2は左車輪の車輪速を検出す
る左車輪速センサ、3は操舵輪である前輪の操舵角を検
出する操舵角検出手段としての操舵角センサである。上
記両車輪速センサ1,2で検出された車輪速Wr ,Wl
は加算点4で互いに減算されることにより左右輪の回転
差(詳しくは所定時間当りの回転数差ないし回転速度
差)Rv が算出されるようになっており、車輪速センサ
1,2及び加算点4により、左右輪の回転差を検出する
回転差検出手段5が構成されている。上記回転差Rv
は、フィルター6及び正規化処理部7を通して推定ヨー
レート値演算部8に入力される。
【0023】上記両車輪速センサ1,2で検出された車
輪速Wr ,Wl は加算点11で互いに加算されるととも
に、この加算値は係数積算部12で1/2倍されること
により車速Vが算出されるようになっており、車輪速セ
ンサ1,2、加算点11及び係数積算部12により、車
速Vを検出する車速検出手段13が構成されている。車
速Vは正規化処理部7を通して推定ヨーレート値演算部
8に入力される。上記操舵角センサ3で検出された操舵
角Fs も正規化処理部7を通して推定ヨーレート値演算
部8に入力される。
【0024】上記推定ヨーレート値演算部8は、正規化
処理部7で各々正規化された左右輪の回転差正規化値R
vn、車速正規化値Vn 、操舵角正規化値Fsn及び過去の
2つの推定ヨーレート出力値正規化値φni,φnlを入力
変数としかつ中間層に複数(本実施例の場合は6個)の
ニューロンを有するニューラルネットワークにより構成
されており、ニューラルネットワーク演算により推定ヨ
ーレート値φを算出する。
【0025】さらに、16及び17は上記推定ヨーレー
ト値演算部8からの推定ヨーレート出力値φが入力され
る記憶部であって、該両記憶部16,17は、それぞれ
遅れ時間設定部18の指令に基づいて、推定ヨーレート
出力値φを、所定の遅れ時間i,l記憶し、その遅れ時
間i,l後に上記推定ヨーレート値演算部8の入力層に
正規化処理部7を通して出力するようになっている。上
記2つの遅れ時間i,lは相違し、i>lの大小関係が
成立する。上記遅れ時間設定部18は、回転差検出手段
5で検出された左右輪の回転差Rv と操舵角センサ3で
検出された操舵角Fs とを受け、互いに相違する2つの
遅れ時間i,lを設定して記憶部16,17に出力す
る。
【0026】次に、上記第1実施例のヨーレート推定装
置において、ヨーレートを推定する場合の動作手順であ
るヨーレート推定方法について、図2に示すメインフロ
ーチャートに従って説明する。
【0027】図2において、先ず、ステップS1 で計測
タイミングとなるのを待った後、ステップS2 で車両運
動情報としての右車輪速Wr 及び左車輪速Wl をそれぞ
れ車輪速センサ1,2により計測するとともに、ステッ
プS3 でドライバー操作情報としての操舵角Fs を操舵
角センサ3により計測する。続いて、ステップS4 にお
いて上記右車輪速Wr と左車輪速Wl との差分である左
右輪回転差Rv を加算点4で求めるとともに、該左右輪
回転差Rv に対しフィルター6でフィルター計算をす
る。この左右輪回転差Rv のフィルター計算は、下記の
式 Rvf=Filter(Wl −Wr ) =b(1) ・Rv(t)+b(2) ・Rv(t-1)+b(3) ・Rv(t-3) +b(4) ・Rv(t-4)+b(5) ・Rv(t-5)−a(2) ・Rvf(t-1) −a(3) ・Rvf(t-2) −a(4) ・Rvf(t-4) −a(5) ・Rvf(t-5) … により行う。但し、フィルター定数は、例えば a=[1.0 -2.5562 2.6311 -1.2487 0.2299 ] b=[0.0199 -0.0052 0.0266 -0.0052 0.0199] である。
【0028】上記フィルター計算の後、ステップS5 で
ヨーレート遅れ時間i,lを遅れ時間設定部18により
決定する。このヨーレート遅れ時間i,lの決定は、図
3及び図4に示すフローチャートに従って行う。
【0029】続いて、ステップS6 で正規化処理部7に
てその入力情報である車速V、左右輪回転差Rv 、操舵
角Fs 及び上記遅れ時間i,l前の2つの推定ヨーレー
ト出力値φi ,φl を正規化する。この正規化計算は、
下記の式 Vn =(V−70)/70 Rvn=Rv /2 Fsn=Fs /5 φni=φi /30 φnl=φl /30 P=[Vn ,Rvn,Fsn,φni,φnl]T により行う。尚、マトリックスPのT は転置マトリック
スを意味する。
【0030】続いて、ステップS7 で推定ヨーレート値
演算部8にて車速正規化値Vn 、左右輪回転差正規化値
Rvn、操舵角正規化値Fsn及び2つの推定ヨーレート出
力値正規化値φni,φnlを入力変数とするニューラルネ
ットワーク演算をして推定ヨーレート値φを算出する。
この推定ヨーレート値φの計算(ニューラルネットの計
算)は、図5に示すフローチャートに従って行う。しか
る後、ステップS8 で推定ヨーレート値φを出力し、ス
テップS1 に戻る。
【0031】次に、ヨーレート遅れ時間の決定につい
て、図3及び図4に示すフローチャートに従って説明す
る。
【0032】図3及び図4において、先ず、ステップS
11〜S13で操舵角センサ3からの操舵角情報Fs 及び回
転差検出手段5からの左右輪回転差情報Rv をサンプリ
ング数jが所定値jm 以上になるまで収集する。続い
て、ステップS14で収集した操舵角情報Fs 及び左右輪
回転差情報Rv を用いて車両のヨー運動特性を同定す
る。つまり操舵角情報Fs を入力とし、左右輪回転差情
報Rv を出力とするモデルをARX法で同定し、下記の
式 A(z)=1+a1 z-1+a2 z-2+a3 z-3 B(z)=b1 +b2 z-1+b3 z-2 の係数a1 〜a3 ,b1 〜b3 を決定する。
【0033】続いて、ステップS15で上記A(z),B
(z)を用いて、車両の伝達関数G(z)を下記の式 G(z)=B(z)/A(z) により算出し、ステップS16で更にこのG(z)におい
て、z=exp(jωt)に置き換えることでG(z)
を周波数領域(ω領域)に変換し、ボード線図を得る。
【0034】しかる後、ステップS17でボード線図のゲ
イン特性曲線からヨーレートゲインピーク周波数(ヨー
共振周波数)ωn を読み取り、ステップS18でボード線
図の位相特性曲線から位相遅れπ/2(rad)点の周
波数ωp を読み取る。そして、ステップS19で上記両周
波数ωn ,ωp の低い方をヨー固有周波数ωYとして設
定する。このようなヨー固有周波数ωYの設定において
は、(イ)ヨー共振周波数ωn は、車速がある程度以上
高くなるとヨー固有周波数ωYと殆ど同じになるため、
このヨー共振周波数ωn をヨー固有周波数ωYとするこ
と、(ロ)ゲイン特性に明瞭なピークが発現しない場合
でも、位相角が90度(π/2)遅れる周波数をもって
ヨー固有周波数ωYとすること、(ハ)車両制御の場合
安全側にすることが何よりも大切であるから、ωn とω
p の両者が得られた場合はより低い方をヨー固有周波数
ωYとすべきであることが考慮されている。
【0035】続いて、ステップS20で更に位相特性曲線
から位相遅れπ/4点の周波数ωqを読み取り、ステッ
プS21でこのωq とωp とからヨー減衰係数ζを下記の
式 ζ={1−(ωq /ωp )2 }/2(ωq /ωp ) により決定する。
【0036】続いて、ステップS22でヨー減衰係数ζと
ヨー固有周波数ωYとの積から、予め設定されたマップ
を用いて遅れ時間iを決定するとともに、ステップS23
でヨー固有周波数ωYから、同じく予め設定されたマッ
プを用いて遅れ時間lを決定する。しかる後、ステップ
S24でサンプリング数jを零にリセットし、メインフロ
ーチャートに戻る。ここで、各遅れ時間i,l決定用の
マップでは、共に遅れ時間i,lの最大値が0.3秒、
最小値が0.1秒でかつζ・ωY又はωYが高くなるに
従って遅れ時間i又はlが一次関数的に短くなるように
設定されている。
【0037】次に、ニューラルネットの計算について、
図5に示すフローチャートに従って説明する。
【0038】図5において、先ず、ステップS31で正規
化情報P(車速正規化値Vn ,左右輪回転差正規化値R
vn,操舵角正規化値Fsn及び過去の2つの推定ヨーレー
ト出力値正規化値φni,φnl)を入力した後、ステップ
S32でこの正規化情報Pと中間層重み係数W1 (i,
j)とのマトリックス積U0 を求め、ステップS33でこ
のマトリックスU0 に中間層バイアス係数B1 (i)を
加算し、その値を新たにマトリックスU0 と置換える。
ここで、iは中間層のニューロン数、jは入力数であ
り、本実施例の場合はi=6,j=5である。
【0039】続いて、ステップS34で上記マトリックス
U0 の正接双曲線関数である中間層伝達関数U(=ta
nh(U0 ))を計算する。中間層伝達関数に正接双曲
線関数を用いたのは、入力が正負両方に分布することに
対応したものである。この中間層伝達関数Uの計算は、
図6に示すフローチャートに従って行う。しかる後、ス
テップS35で上記中間層伝達関数Uと出力層重み係数W
2 (i)とのマトリックス積である推定ヨーレート値φ
を求め、ステップS36でこの推定ヨーレート値φに出力
層バイアス係数B2 を加算し、その値を新たに推定ヨー
レート値φと置換える。その後メインフローチャートに
戻る。
【0040】尚、中間層重み係数W1 、中間層バイアス
係数B1 、出力層重み係数W2 及び出力層バイアス係数
B2 は、バックプロパゲーション法を用いた学習によ
り、本実施例に係わるヨーレート推定装置の製造前に全
装置共通に決定されたものである。
【0041】次に、中間層伝達関数Uの計算について、
図6に示すフローチャートに従って説明する。
【0042】図6において、先ず、ステップS41で変数
iiに1をセットした後、ステップS42でマトリックス
の値U0 (ii)が正であるか負であるかを判定する。
正であるときにはステッブS43でフラグfをリセット
し、ステップS46へ移行する一方、負であるときにはス
テップS44でフラグfをセットし、ステップS45でマト
リックスの値U0 (ii)にマイナス符号を掛けて正の
値に置換えた後、ステップS46へ移行する。ステップS
46では予め作成されたマップを用いて上記値U0(i
i)に対応した中間層伝達関数値U(ii)を算出す
る。上記マップは、U=tanh(U0 )を0≦U0 ≦
20の範囲で表現したものである。このようにマップを
用いて中間層伝達関数値U(ii)を算出すると計算時
間を節約することができる。
【0043】しかる後、ステップS47でフラグfがセッ
トされているか否かを判定し、セットされているときつ
まり先にマトリックスの値U0 (ii)を正の値にして
いるときには、ステップS48でこの値にマイナス符号を
掛けて元の負の値に戻す。続いて、ステップS49で変数
iiを1カウントアップした後、ステップS50で変数i
iがニューラルネットワークの入力情報の次数iより大
きいか否かを判定する。この判定がNOのときにはステ
ップS42に戻る一方、判定がYESのときには中間層伝
達関数Uを終了し、ニューラルネット計算に戻る。
【0044】以上のように、第1実施例においては、車
速正規化値Vn 、左右輪回転差正規化値Rvn及び操舵角
正規化値Fsnを入力変数とするニューラルネットワーク
演算により推定ヨーレート値φを算出するに当り、所定
の遅れ時間i,l前の2つの推定ヨーレート出力値φi
,φl (詳しくはそれらの正規化値φni,φnl)を入
力変数に加えてニューラルネットワーク演算を行うこと
により、推定ヨーレート値φが、実際のヨーレートと同
様に、図7に実線Aで示すように、時々刻々と変化する
ダイナミックスを持つようになり、実際のヨーレートと
一致するので、ヨーレートの推定精度を高めることがで
きる。尚、図7はニューラルネットワークにステップ状
の入力を印加した時の出力値の変化状態を示す図であ
り、同図中破線B1 は、遅れ時間i,lが短すぎる場合
を示し、破線B2 は遅れ時間i,lが長すぎる場合を示
す。
【0045】また、実際のヨーレートの過渡応答特性
は、車両のヨー固有周波数ωY及びヨー減衰係数ζに支
配されるが、上記遅れ時間i,l(i>l)は、車両の
ヨー固有周波数ωYとヨー減衰係数ζとの積(ωY・
ζ)又はヨー固有周波数ωYが高い程短くなるように設
定されているため、推定ヨーレート値φを実際のヨーレ
ートに一層一致させることができ、推定精度の向上をよ
り図ることができる。
【0046】さらに、遅れ時間i,lの相違する2つの
推定ヨーレート出力値φi ,φl を入力変数に加えてニ
ューラルネットワーク演算を行うため、ヨーレートの時
系列変化パターンを学習されることができ、推定精度の
向上をより一層図ることができる。しかも、ニュートラ
ルネットワーク演算の入力変数は、2つ増加するに過ぎ
ないので、マイクロコンピュータの記憶容量や演算能力
を大きくする必要はない。
【0047】(第2実施例)図8は本発明の第2実施例
に係わる車両のヨーレート推定装置のブロック線図であ
る。図8において、21は右車輪の所定時間当りの回転
数である車輪速を検出する右車輪速センサ、22は左車
輪の車輪速を検出する左車輪速センサ、23は操舵輪で
ある前輪の操舵角を検出する操舵角検出手段としての操
舵角センサである。上記両車輪速センサ21,22で検
出された車輪速Wr ,Wl は加算点24で互いに減算さ
れることにより左右輪の回転差Rv が算出されるように
なっており、車輪速センサ21,22及び加算点24に
より、左右輪の回転差を検出する回転差検出手段25が
構成されている。上記回転差Rv は、フィルター26及
び正規化処理部27を通して近似ヨーレート値演算部2
8に入力される。また、上記操舵角センサ23で検出さ
れた操舵角Fs も正規化処理部27を通して近似ヨーレ
ート値演算部28に入力される。
【0048】上記近似ヨーレート値演算部28は、正規
化処理部27で各々正規化された左右輪の回転差正規化
値Rvnと操舵角正規化値Fsnとを入力変数としかつ中間
層に複数(本実施例の場合は6個)のニューロンを有す
るニューラルネットワークにより構成されており、ニュ
ーラルネットワーク演算により近似ヨーレート値φpを
算出する。該近似ヨーレート値φp は、正規化処理部2
9を通して推定ヨーレート値演算部30に入力される。
【0049】また、上記両車輪速センサ21,22で検
出された車輪速Wr ,Wl は加算点31で互いに加算さ
れるとともに、この加算値は係数積算部32で1/2倍
されることにより車速Vが算出されるようになってお
り、車輪速センサ21,22、加算点31及び係数積算
部32により、車速Vを検出する車速検出手段33が構
成されている。車速Vは、正規化処理部29を通して推
定ヨーレート値演算部30に入力される。また車速V
は、加算点34に対し、そのまま入力されるとともに、
遅延回路35で1計測タイミング遅れた後に入力され、
該加算点34でこの両入力値が互いに減算されることに
より車体加速度gが算出されるようになっており、上記
車速検出手段33に加えて加算点34と遅延回路35と
により、車体加速度gを検出する加速度検出手段36が
構成されている。上記車体加速度gも正規化処理部29
を通して推定ヨーレート値演算部30に入力される。
【0050】上記推定ヨーレート値演算部30は、正規
化処理部29で各々正規化された近似ヨーレート値正規
化値φpn、車速正規化値Vn 、車体加速度正規化値gn
及び過去の2つの推定ヨーレート出力値正規化値φni,
φnlを入力変数としかつ中間層に複数(本実施例の場合
は6個)のニューロンを有するニューラルネットワーク
により構成されており、ニューラルネットワーク演算に
より推定ヨーレート値φを算出する。
【0051】さらに、41及び42は上記推定ヨーレー
ト値演算部30からの推定ヨーレート出力値φが入力さ
れる記憶部であって、該両記憶部41,42は、それぞ
れ遅れ時間設定部43の指令に基づいて、推定ヨーレー
ト出力値φを、所定の遅れ時間i,l記憶し、その遅れ
時間i,l後に上記推定ヨーレート値演算部30の入力
層に正規化処理部29を通して出力するようになってい
る。上記2つの遅れ時間i,lは相違し、i>lの大小
関係が成立する。上記遅れ時間設定部43は、回転差検
出手段25で検出された左右輪の回転差Rv と操舵角セ
ンサ23で検出された操舵角Fs とを受け、互いに相違
する2つの遅れ時間i,lを設定して記憶部41,42
に出力する。
【0052】次に、上記第2実施例のヨーレート推定装
置において、ヨーレートを推定する場合の動作手順であ
るヨーレート推定方法について、図9に示すメインフロ
ーチャートに従って説明する。
【0053】図9において、先ず、ステップS61で計測
タイミングとなるのを待った後、ステップS62で車両運
動情報としての右車輪速Wr 及び左車輪速Wl をそれぞ
れ車輪速センサ21,22により計測するとともに、ス
テップS63でドライバー操作情報としての操舵角Fs を
操舵角センサ23により計測する。続いて、ステップS
64において上記右車輪速Wr と左車輪速Wl との差分で
ある左右輪回転差Rvを加算点24で求めるとともに、
該左右輪回転差Rv に対しフィルター26でフィルター
計算をする。この左右輪回転差Rv のフィルター計算
は、第1実施例の場合に述べた式により行う。
【0054】しかる後、ステップS65でヨーレート遅れ
時間i,lを遅れ時間設定部43により決定する。この
ヨーレート遅れ時間i,lの決定は、第1実施例の場合
に述べた図3及び図4に示すフローチャートに従って行
う。
【0055】続いて、ステップS66で正規化処理部27
にてその入力情報(第一段入力情報)である左右輪回転
差Rv 及び操舵角Fs を正規化する。この正規化計算
は、下記の式 Rvn=Rv /2 Fsn=Fs /5 P1 =[Rvn,Fsn]T により行う。尚、マトリックスP1 のT は転置マトリッ
クスを意味する。
【0056】続いて、ステップS67で近似ヨーレート値
演算部28にて左右輪回転差正規化値Rvnと操舵角正規
化値Fsnとを入力変数とするニューラルネットワーク演
算をして近似ヨーレート値φp を算出する。この近似ヨ
ーレート値φp の計算(第一段ニューラルネットの計
算)は、図10に示すフローチャートに従って行う。
【0057】続いて、ステップS68で正規化処理部29
にてその入力情報(第二段入力情報)である近似ヨーレ
ート値φp 、車体加速度g、車速V及び過去の2つの推
定ヨーレート出力値φi ,φl を正規化する。この正規
化に先立って、車速検出手段33にて左右輪の車輪速W
r ,Wl に基づいて車速Vを検出するとともに、加速度
検出手段36にて該車速Vの微分値から車体加速度gを
検出する。また、正規化計算は、下記の式 φpn=φp /30 gn ={V(t)−V(t−1)}/10 Vn =(V−70)/70 φni=φi /30 φnl=φl /30 P2 =[φpn,gn ,Vn ,φni,φnl]T により行う。尚、マトリックスP2 のT は転置マトリッ
クスを意味する。
【0058】続いて、ステップS69で推定ヨーレート値
演算部30にて近似ヨーレート値正規化値φpn、車体加
速度正規化値gn 、車速正規化値Vn 及び過去の2つの
推定ヨーレート出力値正規化値φni,φnlを入力変数と
するニューラルネットワーク演算をして推定ヨーレート
値φを算出する。この推定ヨーレート値φの計算(第二
段ニューラルネットの計算)は、図11に示すフローチ
ャートに従って行う。しかる後、ステップS70で推定ヨ
ーレート値φを出力し、ステップS61に戻る。
【0059】次に、第一段ニューラルネットの計算につ
いて、図10に示すフローチャートに従って説明する。
【0060】図10において、先ず、ステップS71で正
規化情報P1 (左右輪回転差正規化値Rvnと操舵角正規
化値Fsn)を入力した後、ステップS72でこの正規化情
報P1 と中間層重み係数W1 (i,j)とのマトリック
ス積U0 を求め、ステップS73でこのマトリックスU0
に中間層バイアス係数B1 (i)を加算し、その値を新
たにマトリックスU0 と置換える。ここで、iは中間層
のニューロン数、jは入力数であり、本実施例の場合は
i=3,j=2である。
【0061】続いて、ステップS74で上記マトリックス
U0 の正接双曲線関数である中間層伝達関数U(=ta
nh(U0 ))を計算する。中間層伝達関数に正接双曲
線関数を用いたのは、入力が正負両方に分布することに
対応したものである。この中間層伝達関数Uの計算は、
第1実施例の場合に述べた図6に示すフローチャートに
従って行う。しかる後、ステップS75で上記中間層伝達
関数Uと出力層重み係数W2 (i)とのマトリックス積
である近似ヨーレート値φp を求め、ステップS76でこ
の近似ヨーレート値φp に出力層バイアス係数B2 を加
算し、その値を新たに近似ヨーレート値φp と置換え
る。その後メインフローチャートに戻る。
【0062】尚、中間層重み係数W1 、中間層バイアス
係数B1 、出力層重み係数W2 及び出力層バイアス係数
B2 は、後述する第二段ニューラルネットの計算のそれ
らと同じく、バックプロパゲーション法を用いた学習に
より、本実施例に係わるヨーレート推定装置の製造前に
全装置共通に決定されたものである。
【0063】次に、第二段ニューラルネットの計算につ
いて、図11に示すフローチャートに従って説明する。
【0064】図11において、先ず、ステップS81で正
規化情報P2 (近似ヨーレート値正規化値φpn、車体加
速度正規化値gn 、車速正規化値Vn 及び過去の2つの
推定ヨーレート出力値正規化値φni,φnl)を入力した
後、ステップS82でこの正規化情報P2 と中間層重み係
数W1 (i,j)とのマトリックス積U0 を求め、ステ
ップS83でこのマトリックスU0 に中間層バイアス係数
B1 (i)を加算し、その値を新たにマトリックスU0
と置換える。本実施例の場合はi=6,j=5である。
【0065】続いて、ステップS84で上記マトリックス
U0 の正接双曲線関数である中間層伝達関数U(=ta
nh(U0 ))を計算する。この中間層伝達関数Uの計
算は、第1実施例の場合に述べた図6に示すフローチャ
ートに従って行う。しかる後、ステップS85で上記中間
層伝達関数Uと出力層重み係数W2 (i)とのマトリッ
クス積である推定ヨーレート値φを求め、ステップS86
でこの推定ヨーレート値φに出力層バイアス係数B2 を
加算し、その値を新たに推定ヨーレート値φと置換え
る。その後メインフローチャートに戻る。
【0066】以上のように、第2実施例においては、左
右輪回転差正規化値Rvnと操舵角正規化値Fsnとを入力
変数とするニューラルネットワーク演算により近似ヨー
レート値φp を算出し、該近似ヨーレート値の正規化値
φpnと車速正規化値Vn と車体加速度正規化値gn とを
入力変数とするニューラルネットワーク演算により推定
ヨーレート値φを算出しているため、上記左右輪回転差
正規化値Rvnと操舵角正規化値Fsnと車速正規化値Vn
と車体加速度正規化値gn とを入力変数とするニューラ
ルネットワーク演算により推定ヨーレート値φを算出す
る場合に比べて、各ニューラルネットワーク8,10に
おける入力情報の次数及びこれらと結合される中間層の
ニューロン数を少なくすることができ、演算の迅速化及
びマイクロコンピュータの小型化に寄与することができ
る。
【0067】その上、近似ヨーレート値正規化値φp 等
を入力変数とするニューラルネットワーク演算により推
定ヨーレート値φを算出するに当り、所定の遅れ時間
i,l前の2つの推定ヨーレート出力値φi ,φl (詳
しくはそれらの正規化値φni,φnl)を入力変数に加え
てニューラルネットワーク演算を行っているため、第1
実施例の場合と同様に、推定ヨーレート値φにダイナミ
ックスを持たせることができ、ヨーレートの推定精度を
高めることができる。
【0068】また、上記遅れ時間i,lを、車両のヨー
固有周波数ωYとヨー減衰係数ζとの積(ωY・ζ)又
はヨー固有周波数ωYが高い程短くなるように設定する
ことにより、推定精度の向上をより図ることができるこ
と、さらに、遅れ時間i,lの相違する2つの推定ヨー
レート出力値φi ,φl を入力変数に加えてニューラル
ネットワーク演算を行うことにより、マイクロコンピュ
ータの記憶容量や演算能力を大きくすることなく、ヨー
レートの時系列変化パターンを学習されることができる
ことも、第1実施例の場合と同様である。
【0069】尚、上記第1及び2実施例では、車両のヨ
ー固有周波数ωY及びヨー減衰係数ζが高い程遅れ時間
i,lを短く設定したが、本発明は、このヨー固有周波
数ωY等の代りに、検出が容易な車速や車体加速度等車
両の運動状態量、操舵角やアクセル開度等運転者の操作
状態又は路面の摩擦係数や凹凸状態等走行道路の状態に
応じて遅れ時間を設定してもよい。
【0070】すなわち、車速に応じて遅れ時間を設定す
る場合、ヨー固有周波数ωYとヨー減衰係数ζとの積と
車速Vとの間には、例えば図12に示すように、車速V
が高くなるに従いωY・ζの値が次第に小さくなるとい
う相関関係がある。従って、図13に示すように、車速
Vが高くなるに従って、遅れ時間tを次第に長くするよ
うに設定すればよい。図14(a)〜(d)は、三角波
状の操舵を与えたときの車速と遅れ時間との相関関係を
見出すために行った実験結果を示し、図14(a)は車
速20km/hの時、図14(b)は車速60km/h
の時、図14(c)は車速100km/hの時、図14
(d)は車速140km/hの時をそれぞれ示す。ま
た、これらの図中、実線は実際のヨーレートを、破線は
遅れ時間(正規化値)が1のときの推定ヨーレートを、
一点鎖線は遅れ時間が3のときの推定ヨーレートを、二
点鎖線は遅れ時間が5のときの推定ヨーレートをそれぞ
れ示す。この図からも分るように、車速Vが低いときは
遅れ時間が短いときの推定ヨーレートが実際のヨーレー
トとよく一致し、車速Vが高いときは遅れ時間が長いと
きの推定ヨーレートが実際のヨーレートとよく一致す
る。
【0071】車体加速度に応じて遅れ時間を設定する場
合、FF車では、加速時には前輪駆動力が増大し、前輪
のコーナリングフォースが低下するとともに、加速に伴
い後輪荷重が増加し、後輪コーナリングフォースが増大
することから、ヨー固有周波数ωYが上昇する。FR車
では、加速時には後輪駆動力が増大し、後輪のコーナリ
ングフォースが低下する一方、加速に伴い後輪荷重が増
加し、後輪のコーナリングフォースが増大するが、後輪
コーナリングフォースの低下の方が大きいので、ヨー固
有周波数ωYが低下する。このことは、図15に示すヨ
ー固有周波数ωYと車体加減速度との関係からも分か
る。従って、図16に示すように、FF車では、車体加
速度gが増加するに従って遅れ時間tを次第に短くする
ように設定し、FR車では、逆に、車体加速度gが増加
するに従って遅れ時間tを次第に長くするように設定す
ればよい。
【0072】車両の横滑り角βに応じて遅れ時間を設定
する場合、横滑り角βの増大により車輪のコーナリング
フォースが低下し、一般的にヨー固有周波数ωYが低下
する。従って、図17に示すように、横滑り角βが増大
するに従って遅れ時間tを次第に長くするように設定す
ればよい。
【0073】図18(a)〜(d)は、三角波状の操舵
を与えたときの最大操舵角と遅れ時間との相関関係を見
出すために行った実験結果を示し、図18(a)は最大
操舵角が5度の時、図18(b)は最大操舵角が10度
の時、図18(c)は最大操舵角が15度の時、図18
(d)は最大操舵角が20度の時をそれぞれ示す。ま
た、これらの図中、実線は実際のヨーレートを、破線は
遅れ時間(正規化値)が1のときの推定ヨーレートを、
一点鎖線は遅れ時間が3のときの推定ヨーレートを、二
点鎖線は遅れ時間が5のときの推定ヨーレートをそれぞ
れ示す。この図から分るように、操舵角が小さいときは
遅れ時間が短いときの推定ヨーレートが実際のヨーレー
トとよく一致し、操舵角が大きいときは遅れ時間が長い
ときの推定ヨーレートが実際のヨーレートとよく一致す
る。従って、操舵角に応じて遅れ時間を設定する場合、
図19に示すように、操舵角Fstg が増大するに従って
遅れ時間tを次第に長くするように設定すればよい。
【0074】アクセル開度に応じて遅れ時間を設定する
場合、アクセルの踏み込みによる車両の運動特性、特に
ヨー固有周波数の影響は、車体加速度の場合と同じであ
ることから、図20に示すように、FF車では、アクセ
ル開度が増加するに従って遅れ時間tを次第に短くする
ように設定し、FR車では、逆に、アクセル開度が増加
するに従って遅れ時間tを次第に長くするように設定す
ればよい。
【0075】路面摩擦係数μに応じて遅れ時間を設定す
る場合、低μ路では、車輪のコーナリングパワー及び最
大コーナリングフォースが低下するため、一般的に操舵
に対する車両応答性は鈍くなり、車両の運動特性として
みると、ヨー固有周波数は低下する。このことは、横滑
り角が増大し、コーナリングパワー及びコーナリングフ
ォースが低下した状況と同じである。従って、図21に
示すように、路面摩擦係数μが高いときは遅れ時間tを
小さくし、路面摩擦係数μが低くなるに従って遅れ時間
tを長くするように設定すればよい。
【0076】(第3実施例)図22は本発明の第3実施
例に係わる車両のヨーレート推定装置のブロック線図で
ある。図22において、51は右車輪の所定時間当りの
回転数である車輪速を検出する右車輪速センサ、52は
左車輪の車輪速を検出する左車輪速センサ、53は操舵
輪である前輪の操舵角を検出する操舵角検出手段として
の操舵角センサである。上記両車輪速センサ51,52
で検出された車輪速Wr ,Wl は加算点54で互いに減
算されることにより左右輪の回転差Rv が算出されるよ
うになっており、車輪速センサ51,52及び加算点5
4により、左右輪の回転差を検出する回転差検出手段5
5が構成されている。上記回転差Rv は、フィルター5
6及び正規化処理部57を通して推定ヨーレート値演算
部58に入力される。
【0077】上記両車輪速センサ51,52で検出され
た車輪速Wr ,Wl は加算点61で互いに加算されると
ともに、この加算値は係数積算部62で1/2倍される
ことにより車速Vが算出されるようになっており、車輪
速センサ51,52、加算点61及び係数積算部62に
より、車速Vを検出する車速検出手段63が構成されて
いる。車速Vは正規化処理部57を通して推定ヨーレー
ト値演算部58に入力される。
【0078】上記操舵角センサ53で検出された操舵角
Fs は正規化処理部57を通して推定ヨーレート値演算
部58に入力される。また、操舵角Fs は、加算点64
に対し、そのまま入力されるとともに、遅延回路65で
1計測タイミング遅れた後に入力され、該加算点64で
この両入力値が互いに減算されることにより操舵速度D
fsが算出されるようになっており、操舵角センサ53に
加えて加算点64と遅延回路65とにより、操舵速度D
fsを検出する操舵速度検出手段66が構成されている。
操舵速度Dfsも正規化処理部57を通して推定ヨーレー
ト値演算部58に入力される。
【0079】上記推定ヨーレート値演算部58は、正規
化処理部57で各々正規化された左右輪の回転差正規化
値Rvn、車速正規化値Vn 、操舵角正規化値Fsn、操舵
速度正規化値Dfsn 及び過去の2つの推定ヨーレート出
力値正規化値φni,φnlを入力変数としかつ中間層に複
数のニューロンを有するニューラルネットワークにより
構成されており、ニューラルネットワーク演算により推
定ヨーレート値φを算出する。
【0080】さらに、71及び72は上記推定ヨーレー
ト値演算部58からの推定ヨーレート出力値φがフィー
ドバックフィルターとしてのローパスフィルター73を
通して入力される記憶部であって、該両記憶部71,7
2は、それぞれ遅れ時間設定部74の指令に基づいて、
推定ヨーレート出力値φを、所定の遅れ時間i,l記憶
し、その遅れ時間i,l後に上記推定ヨーレート値演算
部58の入力層に正規化処理部57を通して出力するよ
うになっている。上記2つの遅れ時間i,lは相違し、
i>lの大小関係が成立する。上記ローパスフィルター
73は、推定ヨーレート出力値φの信号からノイズを除
去するためのものであり、本実施例では、遮断特性が他
のフィルターに比べてシャープなチェビシェフフィルタ
ーからなる。該ローパスフィルター73に付随して、カ
ットオフ周波数を設定するカットオフ周波数設定部75
と、該設定部75で設定されたカットオフ周波数に応じ
てフィルター定数を設定するフィルター設計部76とが
設けられている。上記カットオフ周波数設定部75は、
操舵速度検出手段66で検出された操舵速度Dfsを受
け、カットオフ周波数を設定するようになっている。ま
た、上記遅れ時間設定部74は、該カットオフ周波数設
定部75で設定されたカットオフ周波数を受け、互いに
相違する2つの遅れ時間i,lを設定して記憶部41,
42に出力する。
【0081】次に、上記第3実施例のヨーレート推定装
置において、ヨーレートを推定する場合の動作手順であ
るヨーレート推定方法について、図23に示すメインフ
ローチャートに従って説明する。
【0082】図23において、先ず、ステップS101 で
計測タイミングとなるのを待った後、ステップS102 で
車両運動情報としての右車輪速Wr 及び左車輪速Wl を
それぞれ車輪速センサ51,52により計測するととも
に、ステップS103 でドライバー操作情報としての操舵
角Fs を操舵角センサ53により計測する。続いて、ス
テップS104 において上記右車輪速Wr と左車輪速Wl
との差分である左右輪回転差Rv を加算点54で求める
とともに、該左右輪回転差Rv に対しフィルター56で
フィルター計算をする。この左右輪回転差Rv のフィル
ター計算は、第1実施例の場合に述べた式により行
う。
【0083】しかる後、ステップS105 でフィードバッ
クフィルター73のカットオフ周波数fをカットオフ周
波数設定部75にて決定する。このカットオフ周波数f
の決定では、図24に示すようなマップが用いられ、操
舵速度Dfsが高い程カットオフ周波数fを高く設定す
る。
【0084】続いて、ステップS106 でフィードバック
フィルター73のフィルター定数a,bをフィルター設
計部76にて設計する。この設計では、先ず、チェビシ
ェフフィルターの伝達関数Hnを求め、しかる後、該伝
達関数Hnからフィルター定数a,bを求める。チェビ
シェフフィルターの伝達関数Hnは、 |Hn(Ω)|=1/√(1+ε2 Cn(Ω)2 ) である。但し、Cnはチェビシェフの多項式、εは通過
領域のリップルである。上記伝達関数Hnを求める場合
には、カットオフ周波数fの指定を受けた後、先ず、該
カットオフ周波数fを実現させる、例えば4次のチェビ
シェフ・アナログフィルターH(s)を設計し、次に、
サンプリング周期をベースにH(s)を双1次変換方式
によりデェジタルフィルターH(z)に変換する。
【0085】上記フィードバックフィルターの設計後、
ステップS107 でヨーレート遅れ時間i,lを遅れ時間
設定部74にて決定する。この遅れ時間i,lの設定で
は、図25に示すようなマップが用いられ、カットオフ
周波数fが高い程遅れ時間i,lを短く設定する。尚、
2つの遅れ時間i,lは相違し、常にi>lの大小関係
が成立する。
【0086】続いて、ステップS108 で推定ヨーレート
出力値φに対し、フィードバックフィルター73にてフ
ィルター計算をする。この推定ヨーレート出力値φのフ
ィルター計算は、先に設計したフィルター定数a,bを
用いて、下記の式 φf =Filter(φ,a,b) =b(1) ・φ(t) +b(2) ・φ(t-1) +b(3) ・φ(t-3) +b(4) ・φ(t-4) +b(5) ・φ(t-5) −a(2) ・φf(t-1) −a(3) ・φf(t-2)−a(4) ・φf(t-4)−a(5) ・φf(t-5) … により行う。
【0087】続いて、ステップS109 で正規化処理部5
7にてその入力情報である左右輪回転差Rv ,車速V,
操舵角Fs ,操舵速度Dfs及び上記遅れ時間i,l前の
2つの推定ヨーレート出力値φi ,φl を正規化する。
この正規化計算は、下記の式 Rvn=Rv /2 Vn =(V−70)/70 Fsn=Fs /5 Dfsn =(Fs (t)−Fs (t−1))/20 φni=φi /30 φnl=φl /30 P=[Rvn,Vn ,Fsn,Dfsn ,φni,φnl]T により行う。尚、マトリックスPのT は転置マトリック
スを意味する。
【0088】続いて、ステップS110 で推定ヨーレート
値演算部58にて左右輪回転差正規化値Rvn、車速正規
化値Vn 、操舵角正規化値Fsn、操舵速度正規化値Dfs
n 及び2つの推定ヨーレート出力値正規化値φni,φnl
を入力変数とするニューラルネットワーク演算をして推
定ヨーレート値φを算出する。この推定ヨーレート値φ
の計算(ニューラルネットの計算)は、図5に示す第1
実施例の場合のそれと比べて単に入力情報が若干異なる
だけである。この推定ヨーレート値φを出力した後、ス
テップS101 に戻る。
【0089】以上のように、第3実施例においては、所
定の遅れ時間i,l前の2つの推定ヨーレート出力値φ
i ,φl を入力変数に加えてニューラルネットワーク演
算により推定ヨーレート値φを算出する際、予め推定ヨ
ーレート出力値φi ,φl の信号をローパスフィルター
73に通してノイズを除去し、ノイズのない推定ヨーレ
ート出力値を用いてニューラルネットワーク演算を行っ
ているため、推定ヨーレート値φにダイナミックスを持
たせることと相俟って、ヨーレート推定を適正に行うこ
とができ、推定精度を一層高めることができる。
【0090】しかも、操舵速度Dfsが高いときにはヨー
の変化が速くなり、ヨーの周波数も高くなることに対応
して、上記ローパスフィルター73のカットオフ周波数
fは、操舵速度Dfsが高い程高くなるように設定される
ため、操舵速度Dfsないしヨー周波数の大きさに応じて
ノイズを適切に除去することができる。また、ローパス
フィルター73のカットオフ周波数fを高くすると、ニ
ューラルネットワークとフィルター73とを合成したシ
ステムの周波数特性が高域側へ広がるが、本実施例で
は、所定の遅れ時間i,l前の2つの推定ヨーレート出
力値φi ,φl を入力変数に加えてニューラルネットワ
ーク演算により推定ヨーレート値φを算出する際、上記
遅れ時間i,lを、ローパスフィルター73のカットオ
フ周波数fが高い程短くするようにしているため、シス
テム周波数特性の高域側への広がりの影響を受けること
なく、推定ヨーレート値に適正なダイナミックスを持た
せることができ、ヨーレートの推定精度をより一層高め
ることができる。
【0091】(第4実施例)図26は本発明の第4実施
例に係わる車両のヨーレート推定装置のブロック線図で
ある。第4実施例の場合、推定ヨーレート値演算部58
から推定ヨーレート出力値φを記憶部71,72に戻す
経路上に設けられたフィードバックフィルターとしての
ローパスフィルター73に付随して、フィルター選択実
行部81とフィルター・遅れ時間選択用演算部82とが
設けられている。フィルター選択実行部81は、予め所
定のカットオフ周波数fi に対応して設計されたフィル
ター定数ai ,bi を複数組(n組)記憶するととも
に、その中から、フィルター・遅れ時間選択用演算部8
2の指令に基づいて1組のフィルター定数ai ,bi を
選択してローパスフィルター73に出力するようになっ
ている。
【0092】また、上記フィルター・遅れ時間選択用演
算部82は、正規化処理部57で各々正規化された車速
正規化値Vn と操舵角正規化値Fsnと操舵速度正規化値
Dfsn とを入力変数としかつ中間層に複数のニューロン
を有するニューラルネットワークにより構成されてお
り、ニューラルネットワーク演算により1つのカットオ
フ周波数fi 及びこれに対応した2つの遅れ時間i,l
をn組の中から選択的に算出する。カットオフ周波数f
i はフィルター選択実行部81に出力され、該フィルタ
ー選択実行部81における1組のフィルター定数ai ,
bi の選択に供される。また、2つの遅れ時間i,lは
それぞれ記憶部71,72に出力され、該記憶部71,
72は、推定ヨーレート出力値φを、所定の遅れ時間
i,l記憶し、その遅れ時間i,l後に推定ヨーレート
値演算部58の入力層に正規化処理部57を通して出力
する。尚、ヨーレート推定装置のその他の構成は、第3
実施例の場合と同じであり、同一部材には同一符号を付
してその説明は省略する。
【0093】次に、上記第4実施例のヨーレート推定装
置において、ヨーレートを推定する場合の動作手順であ
るヨーレート推定方法について、図27に示すメインフ
ローチャートに従って説明する。
【0094】図27において、先ず、ステップS121 で
計測タイミングとなるのを待った後、ステップS122 で
車両運動情報としての右車輪速Wr 及び左車輪速Wl を
それぞれ車輪速センサ51,52により計測するととも
に、ステップS123 でドライバー操作情報としての操舵
角Fs を操舵角センサ53により計測する。続いて、ス
テップS124 において上記右車輪速Wr と左車輪速Wl
との差分である左右輪回転差Rv を加算点54で求める
とともに、該左右輪回転差Rv に対しフィルター56で
フィルター計算をする。この左右輪回転差Rv のフィル
ター計算は、第1実施例の場合に述べた式により行
う。
【0095】続いて、ステップS125 で正規化処理部5
7にてその入力情報の一部である左右輪回転差Rv ,車
速V,操舵角Fs 及び操舵速度Dfsを正規化する。この
正規化計算は、下記の式 Rvn=Rv /2 Vn =(V−70)/70 Fsn=Fs /5 Dfsn =(Fs (t)−Fs (t−1))/20 P=[Rvn,Vn ,Fsn,Dfsn ]T により行う。尚、マトリックスPのT は転置マトリック
スを意味する。
【0096】上記正規化計算の後、ステップS126 でフ
ィルター・遅れ時間選択用演算部82にて正規化車速V
n ,正規化操舵角Fsn及び正規化操舵速度Dfsn を入力
変数とするニューラルネットワーク演算によりカットオ
フ周波数fi 及び2つの遅れ時間i,lを算出する。こ
のニューラルネットの計算は、基本的には、図5に示す
推定ヨーレート値計算用のニューラルネットの計算と同
じ手順で行われる。尚、その際に用いる重み係数W1 ,
W2 (詳しくは中間重み係数W11,W21と出力層重み係
数W21,W22)及びバイアス係数B1 ,B2 (詳しくは
中間バイアス係数B11,B21と出力層バイアス係数B2
1,B22)は、バックプロパゲーション法を用いた学習
により、本実施例に係わるヨーレート推定装置の製造前
に全装置共通に決定されたものである。
【0097】続いて、ステップS127 でフィルター選択
実行部81にて上記フィルター・遅れ時間選択用演算部
82からのカットオフ周波数fi を受け、該カットオフ
周波数fi に対応した1組のフィルター係数ai ,bi
を選択する。次に、ステップS128 で推定ヨーレート出
力値φに対し、フィードバックフィルター73にてフィ
ルター計算をする。この推定ヨーレート出力値φのフィ
ルター計算は、上記1組のフィルター定数ai ,bi を
用い、第3実施例の場合に述べた式により行う。
【0098】続いて、ステップS129 で正規化処理部5
7にて、先に正規化した入力情報P1 (=[Rvn,Vn
,Fsn,Dfsn ]T )の他に、所定の遅れ時間i,l
前の2つの推定ヨーレート出力値φi ,φl を正規化す
る。この正規化計算は、下記の式 φni=φi /30 φnl=φl /30 P=[Rvn,Vn ,Fsn,Dfsn ,φni,φnl]T により行う。尚、マトリックスPのT は転置マトリック
スを意味する。
【0099】続いて、ステップS130 で推定ヨーレート
値演算部58にて左右輪回転差正規化値Rvn、車速正規
化値Vn 、操舵角正規化値Fsn、操舵速度正規化値Dfs
n 及び2つの推定ヨーレート出力値正規化値φni,φnl
を入力変数とするニューラルネットワーク演算をして推
定ヨーレート値φを算出する。この推定ヨーレート値φ
の計算(ニューラルネットの計算)は、図5に示す第1
実施例の場合のそれと比べて単に入力情報が若干異なる
だけである。この推定ヨーレート値φを出力した後、ス
テップS101 に戻る。
【0100】以上のように、第4実施例においても、第
3実施例の場合と同じく、所定の遅れ時間i,l前の2
つの推定ヨーレート出力値φi ,φl を入力変数に加え
てニューラルネットワーク演算により推定ヨーレート値
φを算出する際、予め推定ヨーレート出力値φi ,φl
の信号をローパスフィルター73に通してノイズを除去
し、ノイズのない推定ヨーレート出力値を用いてニュー
ラルネットワーク演算を行っているため、推定ヨーレー
ト値φにダイナミックスを持たせることと相俟って、ヨ
ーレート推定を適正に行うことができ、推定精度を一層
高めることができる。
【0101】また、第3実施例では、ローパスフィルタ
ー73のカットオフ周波数fを変更するときには、フィ
ルター設計部76(図22参照)でその都度変更後のカ
ットオフ周波数fに対応したフィルター定数a,bを算
出するようにしたが、第4実施例においては、予め所定
のカットオフ周波数fi に対応して設計されたフィルタ
ー定数ai ,bi を複数組用意し、その中から1組のフ
ィルター定数ai ,bi を選択するようにしているた
め、フィルター設計のために要する時間を省略すること
ができ、ヨーレート推定の迅速化及び適正化を図ること
ができる。
【0102】しかも、複数組のフィルター定数ai ,b
i の中から、1組のフィルター定数ai ,bi に対応し
たカットオフ周波数fi をフィルター・遅れ時間選択用
演算部82において選択するに当たり、車速V,操舵角
Fs 及び操舵速度Dfs(詳しくはこれらの正規化値)を
入力変数とするニューラルネットワーク演算によりカッ
トオフ周波数fi を算出しているため、カットオフ周波
数fi ないしフィルター定数ai ,bi を車両の操作・
運動状態に応じて適切に設定することができる。
【0103】さらに、上記フィルター・遅れ時間選択用
演算部82は、ニューラルネットワーク演算によりカッ
トオフ周波数fi と共に遅れ時間i,lを算出する。こ
の場合、ローパスフィルター73のカットオフ周波数f
i が高い時は、ニューラルネットワークとフィルター7
3とを合成したシステムの周波数特性が高域側へ広がる
ため、これに対応して遅れ時間i,lを短くすることが
望ましいが、ニューラルネット計算に用いる遅れ時間用
の重み係数W2 及びバイアス係数B2 は、このことを加
味した学習により決定されており、また、それにより、
システム周波数特性の高域側への広がりの影響を受ける
ことなく、推定ヨーレート値に適正なダイナミックスを
持たせることができ、ヨーレートの推定精度をより一層
高めることができる。
【0104】ローパスフィルター73のカットオフ周波
数fを設定する場合、操舵速度Dfsに対するカットオフ
周波数fの好ましい設定法については、既に第3実施例
において図24を用いて説明したが、操舵速度Dfs以外
の車両の操作・運動状態に対するカットオフ周波数fの
好ましい設定法について、以下に説明する。
【0105】すなわち、ローパスフィルター73のカッ
トオフ周波数fは、ノイズ除去という目的から見ると、
可能な限り低く設定すべきであるが、車両運動であるヨ
ーレートの正確な推定という視点からは、できる限り高
い方が望ましい。そこで、車両のヨー運動の変化速度の
可能性から考えると、操舵角Fs 、FF車でのアクセル
開度及び前後加速度の場合、図28に示すように、これ
らが大きい程カットオフ周波数fを小さくする方がよ
い。一方、車速V、FR車でのアクセル開度及び前後加
速度の場合、図29に示すように、これらが大きい程カ
ットオフ周波数fを大きくする方がよい。第4実施例の
場合、フィルター・遅れ時間選択用演算部82でのニュ
ーラルネット計算に用いるカットオフ周波数用の重み係
数W1 及びバイアス係数B1 は、このことを加味した学
習により決定されている。
【0106】尚、上記第4実施例では、フィルター・遅
れ時間選択用演算部82において、車速V,操舵角Fs
及び操舵速度Dfs(詳しくはこれらの正規化値Vn ,F
sn,Dfsn )を入力変数とするニューラルネットワーク
演算によりカットオフ周波数fi 及び2つの遅れ時間
i,lを算出するようにしたが、本発明は、ニューラル
ネットワーク演算の入力変数を第4実施例のものに限定
するものではない。また、ニューラルネットワーク演算
の代りに、ファジィ演算によりカットオフ周波数fi 及
び2つの遅れ時間i,lを算出するようにしてもよい。
【0107】図30はフィルター・遅れ次数選択用ファ
ジィ演算のサブルーチンを示すフローチャートであり、
以下、このサブルーチンについて説明する。尚、遅れ次
数は制御サイクルの回数を意味し、この遅れ次数と制御
サイクル時間との積が遅れ時間lに相当し、その2倍が
遅れ時間iに相当する。また、フィルターのカットオフ
周波数fi はf1 ,f2 ,f3 (f1 <f2 <f3 )の
3つ用意され、遅れ次数も1〜3の3つ用意されてい
る。
【0108】図30において、先ず、ステップS141 で
入力情報である車速正規化値Vn ,操舵角正規化値Fsn
及び操舵速度正規化値Dfsn を、図31(a),(b)
及び(c)にそれぞれ示すメンバーシップ関数を用いて
ファジィ化する。このファジィ化では、車速正規化値V
n を遅い(sVn )、普通(mVn )、速い(lVn)
の3つに、操舵角正規化値Fsnを小さい(sFsn)、普
通(mFsn)、大きい(lFsn)の3つに、操舵速度正
規化値Dfsn を遅い(sDfsn )、速い(lDfsn )の
2つにそれぞれ分けている。
【0109】続いて、ステップS142 で各ファジィルー
ルの適合度を計算する。ファジィルールは、車速正規化
値Vn と操舵角正規化値Fsnと操舵速度正規化値Dfsn
の各区分によって18ルールからなり、各ルールの適合
度g(1)〜g(18)はそれぞれ下記の式 g(1)=g(sVn )×g(sFsn)×g(sDfsn ) g(2)=g(mVn )×g(sFsn)×g(sDfsn ) g(3)=g(lVn )×g(sFsn)×g(sDfsn ) g(4)=g(sVn )×g(mFsn)×g(sDfsn ) ・ ・ ・ g(17)=g(lVn )×g(lFsn)×g(sDfsn ) g(18)=g(mVn )×g(lFsn)×g(lDfsn ) により算出される。尚、g(sVn )は車速Vn のメン
バーシップ関数sVn に対するグレード値であり、他も
同様に意味する。
【0110】続いて、ステップS143 でフィルター適応
度Fa を演算する。フィルター適応度Fa は、 Fa =Σ(g(i)×F(i))/Σg(i) i=1〜18 である。ここで、F(i)は、予め各ルール(i)毎に
定められている適用フィルターであり、例えばルール
(1)は、もし車速正規化値Vn が遅く、操舵角正規化
値Fsnが小さく、操舵速度正規化値Dfsn が遅いなら
ば、フィルターのカットオフ周波数fi をf1 にすると
いうものである。
【0111】上記フィルター適応度Fa を演算した後、
ステップS144 でその適応度Fa に応じて、フィルター
のカットオフ周波数fi 及び遅れ次数を決定する。つま
り、適応度Fa が1.4未満ならばフィルターのカット
オフ周波数fi をf1 に、遅れ次数を1に設定し、適応
度Fa が1.4以上2.4未満ならばフィルターのカッ
トオフ周波数fi をf2 に、遅れ次数を2に設定し、適
応度Fa が2.4以上ならばフィルターのカットオフ周
波数fi をf3 に、遅れ次数を3に設定する。以上によ
って、ファジィ演算サブルーチンを終了する。
【0112】(第5実施例)図32は本発明の第5実施
例に係わる車両のヨーレート推定装置のブロック線図で
ある。第5実施例の場合、推定ヨーレート値演算部58
から出力される推定ヨーレート出力値φは、正規化処理
部91で正規化した後、記憶部92に入力される。該記
憶部92は、入力情報である推定ヨーレート出力値正規
化値φn を時系列的に記憶するとともに、その記憶した
時系列の推定ヨーレート出力値正規化値φnnをフィード
バックフィルターとしてのローパスフィルター93に対
し出力するようになっている。上記ローパスフィルター
93は、時系列の推定ヨーレート出力値正規化値φnnと
共に、正規化処理部57で正規化された車速正規化値V
n ,操舵角正規化値Fsn及び操舵速度正規化値Dfsn を
入力情報としかつ中間層に複数のニューロンを有するニ
ューラルネットワークにより構成されており、ニューラ
ルネットワーク演算によりノイズを除去した所定の遅れ
時間i,l前の推定ヨーレート値φi ,φl を算出す
る。該推定ヨーレート値φi ,φl は、ローパスフィル
ター93から正規化処理部57を通して推定ヨーレート
値演算部58に出力される。上記2つの遅れ時間i,l
は相違し、i>lの大小関係が成立する。尚、ヨーレー
ト推定装置のその他の構成は、第3実施例の場合と同じ
であり、同一部材には同一符号を付してその説明は省略
する。
【0113】次に、上記第5実施例のヨーレート推定装
置において、ヨーレートを推定する場合の動作手順であ
るヨーレート推定方法について、図33に示すメインフ
ローチャートに従って説明する。
【0114】図33において、先ず、ステップS151 で
計測タイミングとなるのを待った後、ステップS152 で
車両運動情報としての右車輪速Wr 及び左車輪速Wl を
それぞれ車輪速センサ51,52により計測するととも
に、ステップS153 でドライバー操作情報としての操舵
角Fs を操舵角センサ53により計測する。続いて、ス
テップS154 において上記右車輪速Wr と左車輪速Wl
との差分である左右輪回転差Rv を加算点54で求める
とともに、該左右輪回転差Rv に対しフィルター56で
フィルター計算をする。この左右輪回転差Rv のフィル
ター計算は、第1実施例の場合に述べた式により行
う。
【0115】続いて、ステップS155 で正規化処理部5
7にてその入力情報である左右輪回転差Rv ,車速V,
操舵角Fs 、操舵速度Dfs及び所定の遅れ時間i,l前
の2つの推定ヨーレート出力値φi ,φl を正規化す
る。この正規化計算は、下記の式 Rvn=Rv /2 Vn =(V−70)/70 Fsn=Fs /5 Dfsn =(Fs (t)−Fs (t−1))/20 φni=φi /30 φnl=φl /30 P=[Rvn,Vn ,Fsn,Dfsn ,φni,φnl]T により行う。尚、マトリックスPのT は転置マトリック
スを意味する。
【0116】続いて、ステップS156 で推定ヨーレート
値演算部58にて左右輪回転差正規化値Rvn、車速正規
化値Vn 、操舵角正規化値Fsn、操舵速度正規化値Dfs
n 及び2つの推定ヨーレート出力値正規化値φni,φnl
を入力変数とするニューラルネットワーク演算をして推
定ヨーレート値φを算出する。この推定ヨーレート値φ
の計算(ニューラルネットの計算)は、図5に示す第1
実施例の場合のそれと比べて単に入力情報が若干異なる
だけである。
【0117】続いて、ステップS157 で正規化処理部9
1にて推定ヨーレート出力値φを正規化する。この正規
化式は、 φn =φ/30 である。しかる後、ステップS158 で記憶部92にて今
回の推定ヨーレート出力値正規化値φn をφnn(1) とし
て記憶するとともに、既に記憶している前回以前の推定
ヨーレート出力値正規化値についてφnn(t-1)からφnn
(t) に入れ替えを行う。尚、記憶部92の記憶データ数
mは10程度ある。
【0118】続いて、ステップS159 でローパスフィル
ター93にて上記記憶部92からの時系列の推定ヨーレ
ート出力値正規化値φnnと共に、正規化処理部57で正
規化された車速正規化値Vn ,操舵角正規化値Fsn及び
操舵速度正規化値Dfsn を入力変数とするニューラルネ
ットワーク演算をして、ノイズを除去した所定の遅れ時
間i,l前の推定ヨーレート値φi ,φl を算出する。
このニューラルネットの計算は、基本的には、図5に示
す推定ヨーレート値計算用のニューラルネットの計算と
同じ手順で行われる。尚、その際に用いる重み係数Wf
及びバイアス係数Bf は、バックプロパゲーション法を
用いた学習により、本実施例に係わるヨーレート推定装
置の製造前に全装置共通に決定されたものである。
【0119】以上のように、第5実施例においても、第
3及び第4実施例の場合と同じく、所定の遅れ時間i,
l前の2つの推定ヨーレート出力値φi ,φl を入力変
数に加えてニューラルネットワーク演算により推定ヨー
レート値φを算出する際、予め推定ヨーレート出力値φ
i ,φl の信号をローパスフィルター93に通してノイ
ズを除去し、ノイズのない推定ヨーレート出力値を用い
てニューラルネットワーク演算を行っているため、推定
ヨーレート値φにダイナミックスを持たせることと相俟
って、ヨーレート推定を適正に行うことができ、推定精
度を一層高めることができる。
【0120】しかも、上記ローパスフィルター93は、
時系列の推定ヨーレート出力値正規化値φnnと共に車速
正規化値Vn ,操舵角正規化値Fsn及び操舵速度正規化
値Dfsn を入力変数とするニューラルネットワーク演算
によりノイズのない推定ヨーレート出力値φi ,φl を
算出するものであるので、ノイズのない推定ヨーレート
値φi ,φl を正確に算出することができ、ヨーレート
の推定精度をより一層高めることができる。
【0121】尚、上記第1〜第5実施例では、ニューラ
ルネットワーク演算により推定ヨーレート値を算出する
に当り、遅れ時間i,lが相違する過去の2つの推定ヨ
ーレート出力値φi ,φl を入力変数に加えてニューラ
ルネットワーク演算を行うようにしたが、本発明は、過
去の推定ヨーレート出力値φを2つに限定するものでは
なく、1つ又は3つ以上にしてもよいのは言うまでもな
い。
【0122】
【発明の効果】以上の如く、本発明における車両のヨー
レート推定方法及びその装置によれば、ニューラルネッ
トワーク演算により推定ヨーレート値を算出するに当
り、所定の遅れ時間前の推定ヨーレート出力値を入力変
数に加えてニューラルネットワーク演算を行うことによ
って、推定ヨーレート値にダイナミックスを持たせるこ
とができるので、過渡時での推定精度を高めることがで
きる。
【0123】特に、請求項4に係わる発明によれば、マ
イクロコンピュータの記憶容量等を大きくすることな
く、推定ヨーレート値にダイナミックスを持たせること
ができるので、実施化を図る上で非常に有利である。
【0124】また、請求項5〜8に係わる発明によれ
ば、遅れ時間を、車両のヨー固有周波数、車両の運動状
態量、運転者の操作状態又は走行道路の状態に応じて設
定することにより、推定ヨーレート値のダイナミックス
を適切に調整することができ、過渡時での推定精度の向
上を一層図ることができる。
【0125】請求項9に係わる発明によれば、予め推定
ヨーレート出力値の信号をローパスフィルターに通して
ノイズを除去することにより、ノイズのない推定ヨーレ
ート出力値を用いてニューラルネットワーク演算による
推定ヨーレート値を適正に算出することができ、ヨーレ
ートの推定精度をより高めることができる。
【0126】請求項10に係わる発明によれば、操舵速
度に応じてローパスフィルターのカットオフ周波数を調
整してノイズの除去を適切に行うことができる。
【0127】請求項11に係わる発明によれば、操舵速
度に応じてローパスフィルターのカットオフ周波数を調
整してノイズの除去を適切に行いながら、ローパスフィ
ルターのカットオフ周波数に合わせて遅れ時間を調整
し、推定ヨーレート値に適正なダイナミックスを持たせ
ることができ、推定精度の向上を一層図ることができ
る。
【0128】さらに、請求項12及び13に係わる発明
によれば、ローパスフィルターのカットオフ周波数を、
車速、操舵角及び操舵速度を入力変数とするニューラル
ネットワーク演算又はファジィ演算により設定すること
により、ノイズの除去を一層適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示すヨーレート推定装置
のブロック線図である。
【図2】同ヨーレート推定方法のメインフローチャート
図である。
【図3】ヨーレート遅れ時間決定のフローチャートの部
分図である。
【図4】同じく部分図である。
【図5】ニューラルネット計算のフローチャート図であ
る。
【図6】中間層伝達関数計算のフローチャート図であ
る。
【図7】ニューラルネットワークにステップ状の入力を
印加した時の出力値の変化状態を示す図である。
【図8】第2実施例を示す図1相当図である。
【図9】同じく図2相当図である。
【図10】第一段ニューラルネット計算のフローチャー
ト図である。
【図11】第二段ニューラルネット計算のフローチャー
ト図である。
【図12】ヨー固有周波数及びヨー減衰係数と車速との
相関関係を示す図である。
【図13】車速に応じて遅れ時間を設定するときに用い
る図である。
【図14】三角波状の操舵を与えたときの車速と遅れ時
間との相関関係を見出すために行った実験結果を示す図
である。
【図15】ヨー固有周波数と車体加速度との相関関係を
示す図である。
【図16】車体加速度に応じて遅れ時間を設定するとき
に用いる図である。
【図17】横滑り角に応じて遅れ時間を設定するときに
用いる図である。
【図18】三角波状の操舵を与えたときの最大操舵角と
遅れ時間との相関関係を見出すために行った実験結果を
示す図である。
【図19】操舵角に応じて遅れ時間を設定するときに用
いる図である。
【図20】アクセル開度に応じて遅れ時間を設定すると
きに用いる図である。
【図21】路面摩擦係数に応じて遅れ時間を設定すると
きに用いる図である。
【図22】第3実施例を示す図1相当図である。
【図23】同じく図2相当図である。
【図24】操舵速度に応じてカットオフ周波数を決定す
るときに用いる図である。
【図25】カットオフ周波数に応じて遅れ時間を決定す
るときに用いる図である。
【図26】第4実施例を示す図1相当図である。
【図27】同じく図2相当図である。
【図28】操舵角等に応じてカットオフ周波数を決定す
るときに用いる図である。
【図29】車速等に応じてカットオフ周波数を決定する
ときに用いる図である。
【図30】フィルター・遅れ次数選択用ファジィ演算の
サブルーチンを示すフローチャート図である。
【図31】上記ファジィ演算のメンバシップ関数を示す
図である。
【図32】第5実施例を示す図1相当図である。
【図33】同じく図2相当図である。
【符号の説明】
3,23,53 操舵角センサ(操舵角検出手
段) 5,25,55 回転差検出手段 8,30,58 推定ヨーレート値演算部 13,33,63 車速検出手段 16,17,41,42,71,72 記憶部 18,43 遅れ時間設定部 36 加速度検出手段 66 操舵速度検出手段 73,93 ローパスフィルター 74 遅れ時間設定部 75 カットオフ周波数設定部 82 フィルター・遅れ時間選択
用演算部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B62D 113:00 137:00

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両に発生するヨーレートを推定するヨ
    ーレート推定方法であって、 ニューラルネットワーク演算により推定ヨーレート値を
    算出するに当り、所定の遅れ時間前の推定ヨーレート出
    力値を入力変数に加えてニューラルネットワーク演算を
    行うことを特徴とする車両のヨーレート推定方法。
  2. 【請求項2】 車両に発生するヨーレートを推定するヨ
    ーレート推定方法であって、 少なくとも左右輪の回転差、操舵角及び車速をそれぞれ
    検出し、 これらの検出値を入力変数とするニューラルネットワー
    ク演算により推定ヨーレート値を算出するに当り、所定
    の遅れ時間前の推定ヨーレート出力値を入力変数に加え
    てニューラルネットワーク演算を行うことを特徴とする
    車両のヨーレート推定方法。
  3. 【請求項3】 車両に発生するヨーレートを推定するヨ
    ーレート推定方法であって、 左右輪の回転差、操舵角及びその他の1つ以上の車両状
    態量をそれぞれ検出し、 上記左右輪の回転差と操舵角
    とを入力変数とするニューラルネットワーク演算により
    近似ヨーレート値を算出し、 更に該近似ヨーレート値と上記その他の1つ以上の車両
    状態量とを入力変数とするニューラルネットワーク演算
    により推定ヨーレート値を算出するに当り、所定の遅れ
    時間前の推定ヨーレート出力値を入力変数に加えてニュ
    ーラルネットワーク演算を行うことを特徴とする車両の
    ヨーレート推定方法。
  4. 【請求項4】 ニューラルネットワーク演算の入力変数
    に加える推定ヨーレート出力値は、1つ又は遅れ時間が
    相違する2つのものである請求項1、請求項2又は請求
    項3記載の車両のヨーレート推定方法。
  5. 【請求項5】 所定の遅れ時間は、車両のヨー固有周波
    数が高い程短くなるように設定される請求項4記載の車
    両のヨーレート推定方法。
  6. 【請求項6】 所定の遅れ時間は、車速や車体加速度等
    車両の運動状態量に応じて設定される請求項4記載の車
    両のヨーレート推定方法。
  7. 【請求項7】 所定の遅れ時間は、アクセル開度や操舵
    角等運転者の操作状態に応じて設定される請求項4記載
    の車両のヨーレート推定方法。
  8. 【請求項8】 所定の遅れ時間は、路面の摩擦係数や凹
    凸状態等走行道路の状態に応じて設定される請求項4記
    載の車両のヨーレート推定方法。
  9. 【請求項9】 車両に発生するヨーレートを推定するヨ
    ーレート推定方法であって、 ニューラルネットワーク演算により推定ヨーレート値を
    算出するに当り、所定の遅れ時間前の推定ヨーレート出
    力値の信号をローパスフィルターに通してノイズを除去
    した後、その信号を入力変数に加えてニューラルネット
    ワーク演算を行うことを特徴とする車両のヨーレート推
    定方法。
  10. 【請求項10】 上記ローパスフィルターのカットオフ
    周波数は、操舵速度が高い程高くなるように設定される
    請求項9記載の車両のヨーレート推定方法。
  11. 【請求項11】 所定の遅れ時間は、ローパスフィルタ
    ーのカットオフ周波数が高い程短くなるように設定され
    る請求項10記載の車両のヨーレート推定方法。
  12. 【請求項12】 上記ローパスフィルターのカットオフ
    周波数は、車速、操舵角及び操舵速度を入力変数とする
    ニューラルネットワーク演算により設定される請求項9
    記載の車両のヨーレート推定方法。
  13. 【請求項13】 上記ローパスフィルターのカットオフ
    周波数は、車速、操舵角及び操舵速度を入力情報とする
    ファジィ演算により設定される請求項9記載の車両のヨ
    ーレート推定方法。
  14. 【請求項14】 車両に発生するヨーレートを推定する
    ヨーレート推定装置であって、 ニューラルネットワーク演算により推定ヨーレート値を
    算出する演算部と、 該演算部から出力される推定ヨーレート出力値を所定の
    遅れ時間記憶し、その遅れ時間後に上記演算部の入力側
    に出力する遅延部とを備えたことを特徴とする車両のヨ
    ーレート推定装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006015935A (ja) * 2004-07-05 2006-01-19 Kayaba Ind Co Ltd パワーステアリング装置

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JP4500604B2 (ja) * 2004-07-05 2010-07-14 カヤバ工業株式会社 パワーステアリング装置

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