JPH08201235A - 路面摩擦係数の推定方法及び推定装置 - Google Patents

路面摩擦係数の推定方法及び推定装置

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JPH08201235A
JPH08201235A JP1337595A JP1337595A JPH08201235A JP H08201235 A JPH08201235 A JP H08201235A JP 1337595 A JP1337595 A JP 1337595A JP 1337595 A JP1337595 A JP 1337595A JP H08201235 A JPH08201235 A JP H08201235A
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JP
Japan
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road surface
friction coefficient
steering angle
yaw rate
neural network
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JP1337595A
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Inventor
Mitsuru Nagaoka
満 長岡
Yoko Hirata
陽子 平田
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Mazda Motor Corp
Original Assignee
Mazda Motor Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ニューラルネットワーク演算により路面摩擦
係数を精度良く推定する。 【構成】 車両の相互に関連性を有する二つの状態量、
例えば操舵角fstg とヨーレートyr 、車輪駆動力と駆
動輪の滑り率、又は前後軸の滑り率と車体前後加速度を
継続的に検出し、これを記憶部に時系列に配列し記憶す
る。そして、少なくとも上記二つの状態量の時系列の検
出値f(i) ,y(i) を入力変数とするニューラルネット
ワーク演算により路面の摩擦係数μを算出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両が走行する路面の
摩擦係数を推定する推定方法及び推定装置に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】近年、車両には、アンチスキッドブレー
キ装置(ABS)やトラクション制御装置等の走行制御
装置が装備されるようになって来ている。そして、この
ような走行制御装置においては、駆動輪の回転速度と従
動輪の回転速度とから駆動輪の滑り率を算出するととも
に、該滑り率から路面の摩擦係数を推定し、該路面摩擦
係数に基づいて制御を行っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記従来の
路面摩擦係数の推定方法では、路面摩擦係数と駆動輪の
滑り率とが相関関係にあることを前提としているが、こ
の両者は相関関係を有しない場合もあり、その場合には
路面摩擦係数が誤って推定されるという問題がある。
【0004】一方、近年の車両には比較的大容量のCP
U(中央処理装置)が使用されており、そのCPUには
余分な容量が残っている。このため、CPUの余分な容
量を有効に利用することが望まれている。尚、車両用C
PUの余分な容量を有効に利用したものの一つとして、
例えば特開昭4−189631号公報等に開示されるよ
うに、車両のヨー角速度、ロール角速度、ピッチ角速
度、前後加速度、左右加速度、上下加速度及び車速を入
力変数とするニューラルネットワーク演算により車両制
御パラメータである前輪舵角、後輪舵角、スロットル開
度、燃料噴射料、点火時期、シリンダ圧、ブレーキ圧を
算出するようにしたものが知られている。
【0005】本発明はかかる諸点に鑑みてなされたもの
であり、その目的とするところは、車両用CPUの余分
な容量を有効に利用するものの一つとして、ニューラル
ネットワーク演算により路面摩擦係数を精度良く推定し
得る推定方法及び推定装置を提供せんとするものであ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1に係わる発明は、路面摩擦係数の推定方法
として、車両の所定の状態量を継続的に検出収集し、少
なくとも該状態量の時系列の検出値を入力変数とするニ
ューラルネットワーク演算により路面の摩擦係数を算出
する構成とする。
【0007】請求項2に係わる発明は、特に、上記所定
の状態量を、相互に関連性を有する二つのものとする。
この二つの状態量は、具体的には、請求項3に係わる発
明では操舵角とヨーレートとであり、請求項4に係わる
発明では車輪駆動力と駆動輪の滑り率とであり、請求項
5に係わる発明では前後軸の滑り率と車体前後加速度と
である。
【0008】請求項6に係わる発明は、請求項4記載の
路面摩擦係数の推定方法において、ニューラルネットワ
ーク演算の一つの入力変数である車輪駆動力の一つの検
出方法を示す。つまり、エンジンの吸気負圧、エンジン
出力軸の回転速度、エンジン出力軸の回転加速度及び変
速機の変速ギヤ位置をそれぞれ検出し、これらの検出値
を入力変数とするニューラルネットワーク演算により車
輪駆動力を算出する。
【0009】請求項7及び8に係わる発明は、いずれも
請求項1に係わる発明、特にその下位概念発明である請
求項3に係わる発明の改良発明である。
【0010】すなわち、請求項7に係わる発明は、路面
摩擦係数の推定方法として、車両の操舵角とヨーレート
とをそれぞれ継続的に検出収集し、該操舵角の時系列の
検出値から操舵角の平均値、平均変化速度、パワースペ
クトル等の特徴量を算出するとともに、ヨーレートの時
系列の検出値からヨーレートの平均値、平均変化速度、
パワースペクトル等の特徴量を算出した後、少なくとも
上記操舵角の特徴量及びヨーレートの特徴量を入力変数
とするニューラルネットワーク演算により路面の摩擦係
数を算出する構成とする。
【0011】また、請求項8に係わる発明は、路面摩擦
係数の推定方法として、車両の操舵角とヨーレートとを
それぞれ継続的に検出収集し、該操舵角の時系列の検出
値及びヨーレートの時系列の検出値から操舵角−ヨーレ
ート伝達関数のゲイン特性及び位相特性を算出した後、
少なくとも上記ゲイン特性及び位相特性を入力変数とす
るニューラルネットワーク演算により路面の摩擦係数を
算出する構成とする。
【0012】請求項9に係わる発明は、路面摩擦係数の
推定装置として、車両の所定の状態量を検出する検出手
段と、該検出手段で検出した状態量の検出値を時系列的
に収集して記憶する記憶手段と、該記憶手段で記憶した
状態量の時系列の検出値を入力変数とするニューラルネ
ットワーク演算により路面の摩擦係数を算出するニュー
ラルネット部とを備える構成とする。
【0013】
【作用】上記の構成により、請求項1又は9に係わる発
明では、車両の所定の状態量、例えば相互に関連性を有
する操舵角とヨーレート、車輪駆動力と駆動輪の滑り
率、又は前後軸の滑り率と車体前後加速度を継続的に検
出収集し、少なくとも該状態量の時系列の検出値を入力
変数とするニューラルネットワーク演算により路面の摩
擦係数を算出することにより、路面摩擦係数の推定精度
を高めることができることになる。しかも、このような
演算は、車両用CPUの余分な容量を利用して行うこと
ができる。
【0014】請求項6に係わる発明では、エンジンの吸
気負圧、エンジン出力軸の回転速度、エンジン出力軸の
回転加速度及び変速機の変速ギヤ位置をそれぞれ検出
し、これらの検出値を入力変数とするニューラルネット
ワーク演算により車輪駆動力を算出することにより、車
両用CPUの余分な容量を利用して車輪駆動力を精度良
く推定ないし検出することができる。
【0015】請求項7に係わる発明では、車両の操舵角
とヨーレートとをそれぞれ継続的に検出収集し、該操舵
角の時系列の検出値から操舵角の平均値、平均変化速
度、パワースペクトル等の特徴量を算出するとともに、
ヨーレートの時系列の検出値からヨーレートの平均値、
平均変化速度、パワースペクトル等の特徴量を算出した
後、少なくとも上記操舵角の特徴量及びヨーレートの特
徴量を入力変数とするニューラルネットワーク演算によ
り路面の摩擦係数を算出することにより、車両用CPU
の余分な容量を利用して路面摩擦係数を精度良く推定で
きる上、操舵角及びヨーレートの各時系列の検出値を入
力変数とするニューラルネットワーク演算により路面の
摩擦係数を算出する場合に比べて、ニューラルネットワ
ーク演算での入力変数の次数及びこれらと結合される中
間層のニューロン数が少なくなり、ニューラルネットワ
ーク演算ひいては路面摩擦係数の推定に要する時間も少
なくなるので、車両用CPUの負担を軽減することがで
きる。
【0016】請求項8に係わる発明では、車両の操舵角
とヨーレートとをそれぞれ継続的に検出収集し、該操舵
角の時系列の検出値及びーレートの時系列の検出値から
操舵角−ヨーレート伝達関数のゲイン特性及び位相特性
を算出した後、少なくとも上記ゲイン特性及び位相特性
を入力変数とするニューラルネットワーク演算により路
面の摩擦係数を算出することにより、請求項7に係わる
発明の場合と同様に、車両用CPUの余分な容量を利用
して路面摩擦係数を精度良く推定することができるとと
もに、ニューラルネットワーク演算ひいては路面摩擦係
数の推定に要する時間を少なくして車両用CPUの負担
を軽減することができる。
【0017】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。
【0018】図1は本発明の第1実施例に係わる車両用
の路面摩擦係数の推定装置を示し、1は操舵輪である前
輪の操舵角fstg を継続的に検出する舵角センサであっ
て、該舵角センサ1で検出した操舵角fstg は、記憶部
2に入力されて、時系列に配列して記憶される。また、
3は車両に発生するヨーレートyr を継続的に検出する
ヨーレートセンサであって、該ヨーレートセンサ3で検
出したヨーレートセンサyr は、記憶部4に入力され
て、時系列に配列して記憶される。
【0019】そして、上記両記憶部2,4に各々記憶し
た操舵角の時系列の検出値f1 〜fn 及びヨーレートの
時系列の検出値y1 〜yn は、正規化処理部5を通して
ニューラルネット部6に入力される。該ニューラルネッ
ト部6は、正規化処理部5で正規化した操舵角時系列検
出値f1 〜fn 及びヨーレート時系列検出値y1 〜yn
の各正規化値を入力変数としかつ中間層に複数のニュー
ロンを有するニューラルネットワークにより構成され、
ニューラルネットワーク演算により装置の推定対象であ
る路面摩擦係数μを算出する。
【0020】次に、上記第1実施例の推定装置におい
て、路面摩擦係数μを推定する場合の動作手順である推
定方法について、図2に示すフローチャートに従って説
明する。
【0021】図2において、先ず、ステップS1 で計測
タイミングとなるのを待った後、ステップS2 で車両の
状態量としての操舵角fstg 及びヨーレートyr を各々
のセンサ1,3により測定し、ステッフS3 で記憶部
2,4にてそれぞれ操舵角fstg 及びヨーレートyr の
新たな検出値をf1 ,y1 として記憶するとともに、既
に記憶している過去の操舵角及びヨーレートの検出値を
f(i-1) ,y(i-1) からf(i) ,y(i) に変更し、記憶
データを時系列に整理収集する。尚、iは2〜nであ
り、nは10程度である。
【0022】続いて、ステップS4 で正規化処理部5に
て上記操舵角及びヨーレートの時系列の検出値f(i) ,
y(i) を正規化する。この正規化計算は、下記の式 fn(i)=f(i) /5 yn(i)=y(i) /30 P=[f(i) ,y(i) ] により行う。
【0023】しかる後、ステップS5 でニューラルネッ
ト部6にて操舵角の時系列の検出値正規化値fn(i)及び
ヨーレートの時系列の検出値正規化値yn(i)を入力変数
とするニューラルネットワーク演算をして路面摩擦係数
μを算出する。この路面摩擦係数μを算出するためのニ
ューラルネットワーク演算(ニューラルネット計算とも
いう)は、図3に示すフローチャートに従って行う。
【0024】このように、第1実施例においては、車両
の相互に関連性を有する二つの状態量である操舵角fst
g とヨーレートyr とを継続的に検出収集し、該操舵角
の時系列の検出値f(i) 及びヨーレートの時系列の検出
値y(i) を入力変数とするニューラルネットワーク演算
により路面の摩擦係数μを算出することにより、路面摩
擦係数μを精度良く推定することができる。しかも、ニ
ューラルネットワーク演算は、車両用CPUの余分な容
量を利用して行うことができるので、CPUの有効な利
用により路面摩擦係数μの推定精度の向上を図ることが
できる。
【0025】次に、上記ニューラルネット計算につい
て、図3に示すフローチャートに従って説明する。
【0026】図3において、先ず、ステップS21で正規
化情報P(操舵角の時系列の検出値正規化値fn(i)及び
ヨーレートの時系列の検出値正規化値yn(i))を入力し
た後、ステップS22でこの正規化情報P1 と中間層重み
係数W1 (i,j)とのマトリックス積U0 を求め、ス
テップS23でこのマトリックスU0 に中間層バイアス係
数B1 (i)を加算し、その値を新たにマトリックスU
0 と置換える。ここで、iは中間層のニューロン数、j
は入力数である。
【0027】続いて、ステップS24で上記マトリックス
U0 の正接双曲線関数である中間層伝達関数U(=ta
nh(U0 ))を計算する。中間層伝達関数に正接双曲
線関数を用いたのは、入力が正負両方に分布することに
対応したものである。この中間層伝達関数Uの計算は、
図4に示すフローチャートに従って行う。しかる後、ス
テップS25で上記中間層伝達関数Uと出力層重み係数W
2 (i)とのマトリックス積である路面摩擦係数μを求
め、ステップS26でこの路面摩擦係数μに出力層バイア
ス係数B2 を加算し、その値を新たに路面摩擦係数μと
置換える。以上によってニューラルネット計算を終了
し、メインルーチンに戻る。
【0028】尚、中間層重み係数W1 、中間層バイアス
係数B1 、出力層重み係数W2 及び出力層バイアス係数
B2 は、バックプロパゲーション法を用いた学習によ
り、本実施例に係わる推定装置の製造前に全装置共通に
決定されたものである。
【0029】次に、中間層伝達関数Uの計算について、
図4に示すフローチャートに従って説明する。
【0030】図4において、先ず、ステップS31で変数
iiに1をセットした後、ステップS32でマトリックス
の値U0 (ii)が正であるか負であるかを判定する。
正であるときにはステッブS33でフラグfをリセット
し、ステップS36へ移行する一方、負であるときにはス
テップS34でフラグfをセットし、ステップS35でマト
リックスの値U0 (ii)にマイナス符号を掛けて正の
値に置換えた後、ステップS36へ移行する。ステップS
36では予め作成されたマップを用いて上記値U0(i
i)に対応した中間層伝達関数値U(ii)を算出す
る。上記マップは、U=tanh(U0 )を0≦U0 ≦
20の範囲で表現したものである。このようにマップを
用いて中間層伝達関数値U(ii)を算出すると計算時
間を節約することができる。
【0031】しかる後、ステップS37でフラグfがセッ
トされているか否かを判定し、セットされているときつ
まり先にマトリックスの値U0 (ii)を正の値にして
いるときには、ステップS38でこの値にマイナス符号を
掛けて元の負の値に戻す。続いて、ステップS39で変数
iiを1カウントアップした後、ステップS40で変数i
iがニューラルネットワークの入力情報の次数iより大
きいか否かを判定する。この判定がNOのときにはステ
ップS32に戻る一方、判定がYESのときには中間層伝
達関数Uを終了し、ニューラルネット計算に戻る。
【0032】(第2実施例)図5は本発明の第2実施例
に係わる車両用の路面摩擦係数の推定装置を示し、11
は操舵輪である前輪の操舵角fstg を継続的に検出する
舵角センサであって、該舵角センサ11で検出した操舵
角fstg は、記憶部12に入力されて、時系列に配列し
て記憶される。また、13は車両に発生するヨーレート
yr を継続的に検出するヨーレートセンサであって、該
ヨーレートセンサ13で検出したヨーレートセンサyr
は、記憶部14に入力されて、時系列に配列して記憶さ
れる。
【0033】そして、上記記憶部12に記憶した操舵角
の時系列の検出値f1 〜fn は特徴量抽出部15に入力
される。該特徴量抽出部15は、操舵角の時系列の検出
値f1 〜fn から操舵角の特徴量Θである平均値、平均
変化速度及びパワースペクトルを各々算出するものであ
る。また、上記記憶部14に記憶したヨーレートの時系
列の検出値y1 〜yn は特徴量抽出部16に入力され
る。該特徴量抽出部16は、ヨーレートの時系列の検出
値y1 〜yn からヨーレートの特徴量Ψである平均値、
平均変化速度及びパワースペクトルを各々算出するもの
である。上記両特徴量抽出部15,16で各々算出した
操舵角の特徴量Θ及びヨーレートの特徴量Ψは、正規化
処理部17を通してニューラルネット部18に入力され
る。該ニューラルネット部18は、正規化処理部17で
正規化した操舵角特徴量Θ及びヨーレート特徴量Ψの各
正規化値を入力変数としかつ中間層に複数のニューロン
を有するニューラルネットワークにより構成され、ニュ
ーラルネットワーク演算により装置の推定対象である路
面摩擦係数μを算出する。
【0034】次に、上記第2実施例の推定装置におい
て、路面摩擦係数μを推定する場合の動作手順である推
定方法について、図6に示すフローチャートに従って説
明する。
【0035】図6において、先ず、ステップS41で計測
タイミングとなるのを待った後、ステップS42で車両の
状態量としての操舵角fstg 及びヨーレートyr を各々
のセンサ11,13により測定し、ステッフS43で記憶
部12,14にてそれぞれ操舵角fstg 及びヨーレート
yr の新たな検出値をf1 ,y1 として記憶するととも
に、既に記憶している過去の操舵角及びヨーレートの検
出値をf(i-1) ,y(i-1) からf(i) ,y(i) に変更
し、記憶データを時系列に整理収集する。尚、iは2〜
nであり、nは10程度である。
【0036】続いて、ステップS44で特徴量抽出部15
にて操舵角の特徴量Θである平均操舵角mf、平均操舵
速度vf及びパワースペクトルpfを各々算出する。こ
れらは、記憶部12に記憶している操舵角の時系列の検
出値f(i) (f1 〜fn )を用いて下記の式 mf=mean(f(i) )={Σf(i) }/n vf=mean(df(i) /dt)={Σdf(i) /d
t}/(n−1) pf=spect(f(i) ) により算出される。尚、パワースペクトルpfは、高速
フーリエ変換(FFT)法により算出される。
【0037】また、ステップS45で特徴量抽出部16に
てヨーレートの特徴量Ψである平均ヨーレートmy、平
均ヨーレート変化速度vy及びパワースペクトルpyを
各々算出する。これらは、記憶部14に記憶しているヨ
ーレートの時系列の検出値y(i) (y1 〜yn )を用い
て下記の式 my=mean(y(i) )={Σy(i) }/n vy=mean(dy(i) /dt)={Σdy(i) /d
t}/(n−1) py=spect(y(i) ) により算出される。
【0038】続いて、ステップS46で正規化処理部17
にて上記操舵角の特徴量Θ(mf,vf,pf)及びヨ
ーレートの特徴量Ψ(my,vy,py)を正規化す
る。この正規化計算は、下記の式 mfn =mf/5 vfn =vf /2 pfn =pf /10 myn =my/30 vyn =vy /5 pyn =py /50 P=[mfn ,vfn ,pfn ,myn ,vyn ,py
n ]T により行う。尚、マトリックスPのT は転置マトリック
スを意味する。
【0039】しかる後、ステップS47でニューラルネッ
ト部18にて操舵角の特徴量正規化値である平均操舵角
正規化値mfn 、平均操舵速度正規化値vfn 及びパワ
ースペクトル正規化値pfn 、並びにヨーレートの特徴
量正規化値である平均ヨーレート正規化値myn 、平均
ヨーレート変化速度正規化値vyn 及びパワースペクト
ル正規化値pyn を入力変数とするニューラルネットワ
ーク演算をして路面摩擦係数μを算出する。尚、路面摩
擦係数μを算出するためのニューラルネットワーク演算
は、第1実施例のそれと殆ど同じであり、図3に示すニ
ューラルネット計算のフローチャートにおいて、単に入
力情報P、重み係数W及びバイアス係数Bが異なるだけ
である。
【0040】このように、第2実施例においては、車両
の相互に関連性を有する二つの状態量である操舵角fst
g とヨーレートyr とを継続的に検出収集し、該操舵角
の時系列の検出値f(i) から操舵角の特徴量である平均
操舵角mf、平均操舵速度vf、パワースペクトルpf
を算出するとともに、ヨーレートの時系列の検出値y
(i) からヨーレートの平均ヨーレートmy、平均ヨーレ
ート変化速度vy、パワースペクトルpyを算出した
後、上記操舵角の特徴量とヨーレートの特徴量とを入力
変数とするニューラルネットワーク演算により路面摩擦
係数μを算出することにより、車両用CPUの余分な容
量を利用して路面摩擦係数を精度良く推定できる。その
上、第1実施例の如く操舵角及びヨーレートの各時系列
の検出値f(i) ,y(i) を入力変数とするニューラルネ
ットワーク演算により路面摩擦係数μを算出する場合に
比べて、ニューラルネットワーク演算での入力変数の次
数及びこれらと結合される中間層のニューロン数が少な
くなり、ニューラルネットワーク演算ひいては路面摩擦
係数μの推定に要する時間も少なくなるので、車両用C
PUの負担を軽減することができる。
【0041】尚、上記第2実施例では、操舵角の特徴量
Θとヨーレートの特徴量Ψとを入力変数とするニューラ
ルネットワーク演算により路面摩擦係数μを算出するよ
うにしたが、ニューラルネットワーク演算の入力変数と
して、操舵角及びヨーレートの特徴量以外に、車速等そ
の他の車両状態量を加えて路面摩擦係数μを算出するよ
うにしてもよい。
【0042】また、第2実施例では、操舵角及びヨーレ
ートの各特徴量として、平均値mf,my、平均変化速
度vf,vy及びパワースペクトルpf,pyを算出
し、これらを全て入力変数とするニューラルネットワー
ク演算により路面摩擦係数μを算出するようにしたが、
上記三種類の特徴量の全部又は一部と他の特徴量(例え
ば平均変化加速度)とを入力変数とするニューラルネッ
トワーク演算により路面摩擦係数μを算出するようにし
てもよいのは言うまでもない。
【0043】(第3実施例)図7は本発明の第3実施例
に係わる車両用の路面摩擦係数の推定装置を示し、21
は操舵輪である前輪の操舵角fstg を継続的に検出する
舵角センサであって、該舵角センサ21で検出した操舵
角fstg は、記憶部22に入力されて、時系列に配列し
て記憶される。また、23は車両に発生するヨーレート
yr を継続的に検出するヨーレートセンサであって、該
ヨーレートセンサ23で検出したヨーレートセンサyr
は、記憶部24に入力されて、時系列に配列して記憶さ
れる。
【0044】そして、上記記憶部22に記憶した操舵角
の時系列の検出値f1 〜fn と上記記憶部24に記憶し
たヨーレートの時系列の検出値y1 〜yn とは、共にゲ
イン位相特性算出部25に入力される。該算出部25
は、操舵角の時系列の検出値f1 〜fn 及びヨーレート
の時系列の検出値y1 〜yn から操舵角−ヨーレート伝
達関数のゲイン特性g及びヨーレート特性φを算出する
ものである。上記算出部25で算出したゲイン特性g及
びヨーレート特性φは、正規化処理部26を通してニュ
ーラルネット部27に入力される。該ニューラルネット
部27は、正規化処理部26で正規化したゲイン特性g
及びヨーレート特性φの各正規化値を入力変数としかつ
中間層に複数のニューロンを有するニューラルネットワ
ークにより構成され、ニューラルネットワーク演算によ
り装置の推定対象である路面摩擦係数μを算出する。
【0045】次に、上記第3実施例の推定装置におい
て、路面摩擦係数μを推定する場合の動作手順である推
定方法について、図8に示すフローチャートに従って説
明する。
【0046】図8において、先ず、ステップS51で計測
タイミングとなるのを待った後、ステップS52で車両の
状態量としての操舵角fstg 及びヨーレートyr を各々
のセンサ21,23により測定し、ステッフS53で記憶
部22,24にてそれぞれ操舵角fstg 及びヨーレート
yr の新たな検出値をf1 ,y1 として記憶するととも
に、既に記憶している過去の操舵角及びヨーレートの検
出値をf(i-1) ,y(i-1) からf(i) ,y(i) に変更
し、記憶データを時系列に整理収集する。尚、iは2〜
nであり、nは10程度である。
【0047】続いて、ステップS54で操舵角の時系列の
検出値f(i) 及びヨーレートの時系列の検出値y(i) を
用いてARX法により操舵角−ヨーレート伝達特性を同
定する。つまり、 A(z)×y(i) =B(z)×f(i) A(z)=1+a1 z-1+a2 z-2+…+am z-m B(z)=b1 +b2 z-1+b3 z-2+…+bm z
-(m-1) とおき、上式のa1 〜am ,b1 〜bm を最小2乗法で
決定する。
【0048】続いて、ステップS55で上記A(z),B
(z)を用いて、操舵角−ヨーレート伝達関数G(z)
を下記の式 G(z)=B(z)/A(z) により算出し、ステップS56で更にこのG(z)に対
し、z=jωtと置き換えることでω領域つまり周波数
領域への変換を行う。しかる後、ステップS57でG(j
ω)を下記の式 G(jω)=R(jω)+jX(jω) に置き換える。但し、 R(jω)=Re (G(jω)) X(jω)=Im (G(jω)) である。そして、このR(jω),X(jω)を用い
て、ゲインの周波数応答特性g(ω)及び位相の周波数
応答特性φ(ω)を下記の式 g(ω)=|G(ω)|2 =(R(ω))2 +(X
(ω))2 φ(ω)=tan-1X(ω)/R(ω) により算出する。
【0049】上記ゲイン特性g(ω)及び位相特性φ
(ω)は、それぞれ図9(a)及び(b)に示すような
曲線となり、このゲイン特性曲線及び位相特性曲線は、
いずれも複数の周波数ω1 〜ωk でのゲインg1 〜gk
又は位相φ1 〜φk の集合により表される。但し、この
集合の個数kは、操舵角又はヨーレートの時系列の検出
値f(i) ,y(i) の集合個数nよりも少ない(k<
n)。ステップS54〜S57の一連の演算は、ゲイン位相
特性算出部25で行われる。
【0050】続いて、ステップS58で正規化処理部26
にて上記ゲイン特性g(i) (=g1〜gk )及び位相特
性φ(i) (=φ1 〜φk )を正規化する。この正規化計
算は、下記の式 gn(i)=g(i) /5 φn(i)=φ(i) /50 P=[gn(i),φn(i)] により行う。
【0051】しかる後、ステップS59でニューラルネッ
ト部27にてゲイン特性正規化値gn(i)及び位相特性正
規化値φn(i)を入力変数とするニューラルネットワーク
演算をして路面摩擦係数μを算出する。尚、路面摩擦係
数μを算出するためのニューラルネットワーク演算は、
第1実施例のそれと殆ど同じであり、図3に示すニュー
ラルネット計算のフローチャートにおいて、単に入力情
報P、重み係数W及びバイアス係数Bが異なるだけであ
る。
【0052】このように、第3実施例においては、車両
の相互に関連性を有する二つの状態量である操舵角fst
g とヨーレートyr とを継続的に検出収集し、該操舵角
の時系列の検出値f(i) 及びヨーレートの時系列の検出
値y(i) から操舵角−ヨーレート伝達関数のゲイン特性
g(i) 及び位相特性φ(i) を算出した後、上記ゲイン特
性g(i) 及び位相特性φ(i) を入力変数とするニューラ
ルネットワーク演算により路面摩擦係数μを算出するこ
とにより、車両用CPUの余分な容量を利用して路面摩
擦係数を精度良く推定できる。その上、第1実施例の如
く操舵角及びヨーレートの各時系列の検出値f(i) ,y
(i) を入力変数とするニューラルネットワーク演算によ
り路面摩擦係数μを算出する場合に比べて、ニューラル
ネットワーク演算での入力変数の次数及びこれらと結合
される中間層のニューロン数が少なくなり、ニューラル
ネットワーク演算ひいては路面摩擦係数μの推定に要す
る時間も少なくなるので、車両用CPUの負担を軽減す
ることができる。
【0053】尚、上記第3実施例では、操舵角−ヨーレ
ート伝達関数のゲイン特性g(i) 及び位相特性φ(i) を
入力変数とするニューラルネットワーク演算により路面
摩擦係数μを算出するようにしたが、ニューラルネット
ワーク演算の入力変数として、ゲイン特性g(i) 及び位
相特性φ(i) 以外に、車速や操舵角等その他の車両状態
量を加えて路面摩擦係数μを算出するようにしてもよ
い。
【0054】(第4実施例)図10は本発明の第4実施
例に係わる車両用の路面摩擦係数の推定装置を示し、3
1はエンジンの吸気負圧Boostを継続的に検出する吸気
負圧検出手段、32はエンジン出力軸の回転速度Espを
検出するエンジン回転検出手段であり、上記両検出手段
31,32の検出信号Boost,Espは、共に正規化処理
部33を通してニューラルネット部34に入力される。
該ニューラルネット部34は、正規化処理部33で正規
化した吸気負圧Boost及びエンジン回転速度Espの各正
規化値を入力変数としかつ中間層に複数のニューロンを
有するニューラルネットワークにより構成され、ニュー
ラルネットワーク演算によりエンジン出力Pe を算出す
る。このエンジン出力Pe は、正規化処理部35を通し
てニューラルネット部36に入力される。
【0055】上記エンジン回転検出手段32で検出した
エンジン出力軸の回転速度Espは、微分器37に入力さ
れ、該微分器37は、エンジン出力軸の回転速度Espを
微分してその回転加速度desp を算出する。この回転加
速度desp は、エンジン出力Pe と同様に正規化処理部
35を通してニューラルネット部36に入力される。ま
た、38は変速機の変速ギヤ位置Gear を検出するギヤ
位置検出手段であって、該検出手段38の検出信号Gea
r も正規化処理部35を通してニューラルネット部36
に入力される。そして、上記ニューラルネット部36
は、正規化処理部35で各々正規化したエンジン出力P
e 、回転加速度desp 及び変速ギヤ位置Gear の各正規
化値を入力変数としかつ中間層に複数のニューロンを有
するニューラルネットワークにより構成され、ニューラ
ルネットワーク演算により駆動輪への車輪駆動力Td を
算出する。この車輪駆動力Td は、正規化処理部39を
通して記憶部40に入力される。
【0056】さらに、41は駆動輪の回転速度Dn を検
出する駆動輪回転検出手段、42は従動輪の回転速度C
n を検出する従動輪回転検出手段であり、上記両回転検
出手段41,42の検出信号Dn ,Cn は滑り率算出部
43に入力される。該滑り率算出部43は、駆動輪の回
転速度Dn と従動輪の回転速度Cn とから駆動輪の滑り
率sを算出するものであり、この滑り率sは、車輪駆動
力Td と同様に正規化処理部39を通して記憶部40に
入力される。また、上記従動輪回転検出手段42の検出
信号Cn は微分器44に入力され、該微分器44は、従
動輪の回転速度Cn を微分してその回転加速度ひいては
車体前後加速度gを算出する。この車体前後加速度gも
正規化処理部39を通して記憶部40に入力される。
【0057】上記記憶部40は、正規化処理部39で正
規化した車輪駆動力Td 、滑り率s及び車体前後加速度
gの各正規化値を時系列に配列して記憶するものであ
り、該記憶部49に記憶した車輪駆動力Td 、滑り率s
及び車体前後加速度gの各々の時系列の正規化値は、ニ
ューラルネット部45に入力される。該ニューラルネッ
ト部45は、車輪駆動力Td 、滑り率s及び車体前後加
速度gの各時系列の正規化値を入力変数としかつ中間層
に複数のニューロンを有するニューラルネットワークに
より構成され、ニューラルネットワーク演算により装置
の推定対象である路面摩擦係数μを算出する。
【0058】次に、上記第4実施例の推定装置におい
て、路面摩擦係数μを推定する場合の動作手順である推
定方法について、図11に示すフローチャートに従って
説明する。
【0059】図11において、先ず、ステップS61で計
測タイミングとなるのを待った後、ステップS62で車両
の状態量としての吸気負圧Boost、エンジン回転Esp、
変速ギヤ位置Gear 、駆動輪回転Dn 及び従動輪回転C
n を各々の検出手段31,32,38,41,42によ
り測定し、ステッフS63で正規化処理部33にて上記吸
気負圧Boost及びエンジン回転Espを正規化する。この
正規化計算は、下記の式 Boostn =(Boost+13)/80 Espn =(Esp−3800)/3200 P1 =[Boostn ,Espn ]T により行う。その後、ステップS64でニューラルネット
部34にて吸気負圧正規化値Boostn 及びエンジン回転
正規化値Espn を入力変数とするニューラルネットワー
ク演算をしてエンジン出力Pe を算出する。
【0060】続いて、ステップS65で微分器37にてエ
ンジン回転Espを微分してエンジン回転変化速度つまり
回転加速度desp (=dEsp/dt)を求め、ステップ
S66で正規化処理部35にてその入力情報であるエンジ
ン出力Pe 、エンジン回転加速度desp 及び変速ギヤ位
置Gear を正規化する。この正規化計算は、下記の式 Pen=Pe /50 despn=(desp −2000)/2000 Gearn=Gear /5 P2 =[Pen,despn,Gearn]T により行う。その後、ステップS67でニューラルネット
部36にてエンジン出力正規化値Pen、エンジン回転加
速度正規化値despn及び変速ギヤ位置正規化値Gearnを
入力変数とするニューラルネットワーク演算をして車輪
駆動力Td を算出する。
【0061】続いて、ステップS68で滑り率算出部43
にて駆動輪の滑り率sを算出する。この滑り率sは、駆
動輪回転Dn と従動輪回転Cn とから下記の式 s=(Cn −Dn )/Dn により算出される。また、ステップS69で微分器44に
て従動輪回転Cn を微分して車体前後加速度g(=dC
n /dt)を算出する。
【0062】しかる後、ステップS70で正規化処理部3
9にてその入力情報である車輪駆動力Td 、駆動輪の滑
り率s及び車体前後加速度gを正規化する。この正規化
計算は、下記の式 Tdn=Td /5000 sn =s gn =g/2 P3 =[Tdn,sn ,gn ] により行う。
【0063】続いて、ステップS71で記憶部40にて車
輪駆動力正規化値Tdn、滑り率正規化値sn 及び車体前
後加速度正規化値gn を時系列に配置収集して、下記の
表1に示すようなマトリックスP4 を作成する。
【0064】
【表1】 その後、ステップS72でニューラルネット部45にて上
記マトリックスP4 を入力情報とするニューラルネット
ワーク演算をして装置の推定対象である路面摩擦係数μ
を算出する。
【0065】尚、エンジン出力Pe の推定用ニューラル
ネット計算、車輪駆動力Td の推定用ニューラルネット
計算及び路面摩擦係数μの推定用ニューラルネット計算
は、第1実施例での路面摩擦係数μの推定用ニューラル
ネット計算(図3参照)と殆ど同じであり、単に入力情
報P、重み係数W及びバイアス係数Bが異なるだけであ
る。
【0066】このように、第4実施例においては、車両
の相互に関連性を有する二つの状態量である車輪駆動力
Td と駆動輪の滑り率sとを継続的に検出収集するとと
もに、車体前後加速度gを継続的に検出収集し、上記車
輪駆動力Td 、駆動輪の滑り率s及び車体前後加速度g
の各々の時系列の検出値を入力変数とするニューラルネ
ットワーク演算により路面摩擦係数μを算出することに
より、車両用CPUの余分な容量を利用して路面摩擦係
数を精度良く推定できる。しかも、エンジンの吸気負圧
Boost、エンジン出力軸の回転速度Esp、エンジン出力
軸の回転加速度desp 及び変速機の変速ギヤ位置Gear
を入力変数とする2段のニューラルネットワーク演算に
より車輪駆動力Td を算出しているため、車両用CPU
の余分な容量をより有効に利用して車輪駆動力Td を正
確に推定でき、路面摩擦係数μの推定精度を一層高める
ことができる。
【0067】(第5実施例)図12は本発明の第5実施
例に係わる車両用の路面摩擦係数の推定装置を示し、5
1は車両の4車輪のうち右側前輪の車輪速Wfrを検出す
る車輪速センサ、52は左側前輪の車輪速Wflを検出す
る車輪速センサ、53は右側後輪の車輪速Wrrを検出す
る車輪速センサ、54は左側後輪の車輪速Wrlを検出す
る車輪速センサであり、これら四つの車輪速センサ51
〜54の検出信号Wfr,Wfl,Wrr,Wrlは、全て車体
速決定部55に入力される。該車体速決定部55は、4
車輪の車輪速Wfr,Wfl,Wrr,Wrlのうち、最大の車
輪速を車体速とするようになっている。
【0068】また、上記車輪速センサ51,52で検出
した左右前輪の車輪速Wfr,Wflは、加算器56に入力
して互いに加算され、しかる後その加算値が積算器57
に入力して1/2の定数と積算されるようになってお
り、上記車輪速センサ51,52、加算器56及び積算
器57により、前輪の平均車輪速(つまり前軸の平均回
転速度)Wf を算出する前輪回転検出手段58が構成さ
れている。一方、上記車輪速センサ53,54で検出し
た左右後輪の車輪速Wrr,Wrlは、加算器59に入力し
て互いに加算され、しかる後その加算値が積算器60に
入力して1/2の定数と積算されるようになっており、
上記車輪速センサ53,54、加算器59及び積算器6
0により、後輪の平均車輪速(つまり後軸の平均回転速
度)Wr を算出する後輪回転検出手段61が構成されて
いる。
【0069】上記前輪回転検出手段58(積算部57)
で検出した前輪の平均車輪速Wf と上記後輪回転検出手
段61(積算部60)で検出した後輪の平均車輪速Wr
とは、滑り率算出部62に入力される。また、上記車体
速決定部55で決定した車体速も滑り率算出部62に入
力される。該滑り率算出部62は、前輪の平均車輪速W
f 及び後輪の平均車輪速Wr と車体速とから前軸の滑り
率sf 及び後軸の滑り率sr を算出するようになってい
る。この前後軸の滑り率sf ,sr は、正規化処理部6
3を通して記憶部64に入力される。上記車体速決定部
55で決定した車体速は、微分器65に入力され、該微
分器65は、車体速を微分して車体前後加速度gを算出
する。この車体前後加速度gも正規化処理部63を通し
て記憶部64に入力される。
【0070】上記記憶部64は、正規化処理部63で正
規化した前後軸の滑り率sf ,sr及び車体前後加速度
gの各正規化値を時系列に配列して記憶するものであ
り、該記憶部49に記憶した前後軸の滑り率sf ,sr
及び車体前後加速度gの各々の時系列の正規化値は、ニ
ューラルネット部66に入力される。該ニューラルネッ
ト部66は、前後軸の滑り率sf ,sr 及び車体前後加
速度gの各々の時系列の正規化値を入力変数としかつ中
間層に複数のニューロンを有するニューラルネットワー
クにより構成され、ニューラルネットワーク演算により
装置の推定対象である路面摩擦係数μを算出する。
【0071】次に、上記第5実施例の推定装置におい
て、路面摩擦係数μを推定する場合の動作手順である推
定方法について、図13に示すフローチャートに従って
説明する。
【0072】図13において、先ず、ステップS81で計
測タイミングとなるのを待った後、ステップS82で車両
の状態量としての4車輪の車輪速Wfr,Wfl,Wrr,W
rlを車輪速センサ51〜54により測定し、ステップS
83で車体速決定部55にてこの4車輪の車輪速Wfr,W
fl,Wrr,Wrlのうち、最大のものを車体速Wmax とす
る。
【0073】続いて、ステップS84で今回の車体速Wma
x(t)と前回(1計測タイミング前)の車体速Wmax(t-1)
との差分に係数kを積算して車体前後加速度gを算出す
る。また、ステップS85で前後軸の平均回転速度Wf ,
Wr を、下記の式 Wf =(Wfr+Wfl)/2 Wr =(Wrr+Wrl)/2 により算出する。この計算は、前輪回転検出手段58及
び後輪回転検出手段61の加算器56,59と積算器5
7,60とで行われる。その後、ステップS86で滑り率
算出部62にて前後軸の滑り率sf ,sr を下記の式 sf =(Wmax −Wf )/Wmax sr =(Wmax −Wr )/Wmax により算出する。
【0074】しかる後、ステップS87で正規化処理部6
3にてその入力情報である前後軸の滑り率sf ,sr 及
び車体前後加速度gを正規化する。この正規化計算は、
下記の式 sfn=sf srn=sr gn =g/2 P3 =[sfn,srn,gn ] により行う。
【0075】続いて、ステップS88で記憶部64にて前
後軸の滑り率正規化値sfn,srn及び車体前後加速度正
規化値gn を時系列に配置収集して、下記の表2に示す
ようなマトリックスPEを作成する。
【0076】
【表2】 その後、ステップS89でニューラルネット部66にて上
記マトリックスPEを入力情報とするニューラルネット
ワーク演算をして装置の推定対象である路面摩擦係数μ
を算出する。
【0077】尚、路面摩擦係数μの推定用ニューラルネ
ット計算は、第1実施例での路面摩擦係数μの推定用ニ
ューラルネット計算(図3参照)と殆ど同じであり、単
に入力情報P、重み係数W及びバイアス係数Bが異なる
だけである。
【0078】このように、第5実施例においても、車両
の相互に関連性を有する二つの状態量である前後軸の滑
り率sf ,sr 及び車体前後加速度gを継続的に検出収
集し、該前後軸の滑り率sf ,sr 及び車体前後加速度
gの各々の時系列の検出値を入力変数とするニューラル
ネットワーク演算により路面摩擦係数μを算出すること
により、車両用CPUの余分な容量を利用して路面摩擦
係数を精度良く推定できる。
【0079】
【発明の効果】以上の如く、請求項1又は9に係わる発
明によれば、車両の所定の状態量を継続的に検出収集
し、少なくとも該状態量の時系列の検出値を入力変数と
するニューラルネットワーク演算により路面の摩擦係数
を算出することにより、車両用CPUの余分な容量を利
用しながら、路面摩擦係数の推定精度を高めることがで
きる。
【0080】また、請求項6に係わる発明によれば、エ
ンジンの吸気負圧、エンジン出力軸の回転速度、エンジ
ン出力軸の回転加速度及び変速機の変速ギヤ位置をそれ
ぞれ検出し、これらの検出値を入力変数とするニューラ
ルネットワーク演算により車輪駆動力を算出することに
より、車両用CPUの余分な容量を利用して車輪駆動力
を精度良く推定することができるという効果をも併有す
る。
【0081】さらに、請求項7又は8に係わる発明によ
れば、車両の操舵角とヨーレートとをそれぞれ継続的に
検出収集し、それらの時系列の検出値から平均値、平均
変化速度、パワースペクトル等の特徴量、又は操舵角−
ヨーレート伝達関数のゲイン特性及び位相特性を算出し
た後、これを入力変数とするニューラルネットワーク演
算により路面の摩擦係数を算出することにより、車両用
CPUの余分な容量を利用して路面摩擦係数を精度良く
推定することができるとともに、ニューラルネットワー
ク演算ひいては路面摩擦係数の推定に要する時間を少な
くして車両用CPUの負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係わる路面摩擦係数の推
定装置のブロック線図である。
【図2】同じく路面摩擦係数の推定方法のメインルーチ
ンを示すフローチャート図である。
【図3】ニューラルネット計算のサブルーチンを示すフ
ローチャート図である。
【図4】中間層伝達関数計算のサブルーチンを示すフロ
ーチャート図である。
【図5】第2実施例を示す図1相当図である。
【図6】同じく図2相当図である。
【図7】第3実施例を示す図1相当図である。
【図8】同じく図2相当図である。
【図9】操舵角−ヨーレート伝達関数のゲイン特性及び
位相特性を示す図である。
【図10】第4実施例を示す図1相当図である。
【図11】同じく図2相当図である。
【図12】第5実施例を示す図1相当図である。
【図13】同じく図2相当図である。
【符号の説明】
1,11,21 舵角センサ(検出手段) 2,4,12,14,22,24,40,64 記憶
部(記憶手段) 3,13,23 ヨーレートセンサ(検出手段) 6,18,27,45,66 ニューラルネット部 15,16 特徴量抽出部 25 ゲイン位相特性算出部 43,62 滑り率算出部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G06F 15/18 550 E 17/00

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両の所定の状態量を継続的に検出収
    集し、少なくとも該状態量の時系列の検出値を入力変数
    とするニューラルネットワーク演算により路面の摩擦係
    数を算出することを特徴とする路面摩擦係数の推定方
    法。
  2. 【請求項2】 上記所定の状態量は、相互に関連性を有
    する二つのものである請求項1記載の路面摩擦係数の推
    定方法。
  3. 【請求項3】 上記二つの状態量は、操舵角とヨーレー
    トとである請求項2記載の路面摩擦係数の推定方法。
  4. 【請求項4】 上記二つの状態量は、車輪駆動力と駆動
    輪の滑り率とである請求項2記載の路面摩擦係数の推定
    方法。
  5. 【請求項5】 上記二つの状態量は、前後軸の滑り率と
    車体前後加速度とである請求項2記載の路面摩擦係数の
    推定方法。
  6. 【請求項6】 請求項4記載の路面摩擦係数の推定方法
    であって、 エンジンの吸気負圧、エンジン出力軸の回転速度、エン
    ジン出力軸の回転加速度及び変速機の変速ギヤ位置をそ
    れぞれ検出し、これらの検出値を入力変数とするニュー
    ラルネットワーク演算により車輪駆動力を算出すること
    を特徴とする路面摩擦係数の推定方法。
  7. 【請求項7】 車両の操舵角とヨーレートとをそれぞれ
    継続的に検出収集し、該操舵角の時系列の検出値から操
    舵角の平均値、平均変化速度、パワースペクトル等の特
    徴量を算出するとともに、ヨーレートの時系列の検出値
    からヨーレートの平均値、平均変化速度、パワースペク
    トル等の特徴量を算出した後、少なくとも上記操舵角の
    特徴量及びヨーレートの特徴量を入力変数とするニュー
    ラルネットワーク演算により路面の摩擦係数を算出する
    ことを特徴とする路面摩擦係数の推定方法。
  8. 【請求項8】 車両の操舵角とヨーレートとをそれぞれ
    継続的に検出収集し、該操舵角の時系列の検出値及びヨ
    ーレートの時系列の検出値から操舵角−ヨーレート伝達
    関数のゲイン特性及び位相特性を算出した後、少なくと
    も上記ゲイン特性及び位相特性を入力変数とするニュー
    ラルネットワーク演算により路面の摩擦係数を算出する
    ことを特徴とする路面摩擦係数の推定方法。
  9. 【請求項9】 車両の所定の状態量を検出する検出手段
    と、 該検出手段で検出した状態量の検出値を時系列的に収集
    して記憶する記憶手段と、 該記憶手段で記憶した状態量の時系列の検出値を入力変
    数とするニューラルネットワーク演算により路面の摩擦
    係数を算出するニューラルネット部とを備えたことを特
    徴とする路面摩擦係数の推定装置。
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