JP2013091492A - 路面摩擦係数推定装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ノイズの影響を大きく受ける場合において路面摩擦係数を正確に推定し得るような路面摩擦係数推定装置を提案する。
【解決手段】連続値変換部B3b-1は、離散時間周波数伝達特性G(z)を連続時間周波数伝達関数G(s)に変換し、位相情報抽出部B3b-4は、所定の位相情報抽出周波数f[Hz]と連続時間周波数伝達関数G(s)とから、当該周波数f[Hz]でのヨーレート位相遅れ情報θ(f|t)[deg]を抽出する。この位相遅れ情報θ(f|t)[deg]から、予定の路面摩擦係数マップを基に、走行路の路面摩擦係数を検索する。上記位相情報抽出周波数f[Hz]を操舵角の基本周波数よりも高い所定の周波数に決定することで、ノイズの影響を受けにくい操舵周波数における情報のみを用いたり、路面変化に対する感度が高い操舵周波数における情報のみを用いることができ、ノイズが多い場合においても、路面摩擦係数を正確に求める得る。
【選択図】図7
【解決手段】連続値変換部B3b-1は、離散時間周波数伝達特性G(z)を連続時間周波数伝達関数G(s)に変換し、位相情報抽出部B3b-4は、所定の位相情報抽出周波数f[Hz]と連続時間周波数伝達関数G(s)とから、当該周波数f[Hz]でのヨーレート位相遅れ情報θ(f|t)[deg]を抽出する。この位相遅れ情報θ(f|t)[deg]から、予定の路面摩擦係数マップを基に、走行路の路面摩擦係数を検索する。上記位相情報抽出周波数f[Hz]を操舵角の基本周波数よりも高い所定の周波数に決定することで、ノイズの影響を受けにくい操舵周波数における情報のみを用いたり、路面変化に対する感度が高い操舵周波数における情報のみを用いることができ、ノイズが多い場合においても、路面摩擦係数を正確に求める得る。
【選択図】図7
Description
本発明は、車両が走行している路面の摩擦係数を推定する路面摩擦係数推定装置の改良提案に関するものである。
路面摩擦係数推定装置としては従来から種々の型式のものが提案されており、例えば特許文献1に記載のごときものが知られている。
この路面摩擦係数推定装置は、車体前後加速度のセンサ検出値と、運転状態から推定した車体前後加速度推定値との間における前後加速度偏差、および、車体横加速度のセンサ検出値と、運転状態から推定した車体横加速度推定値との間における横加速度偏差とに基づき路面摩擦係数を求めるもので、
単にタイヤスリップ率から路面摩擦係数を求めるものに較べて、路面摩擦係数を高精度に求め得るようにすることを狙ったものである。
単にタイヤスリップ率から路面摩擦係数を求めるものに較べて、路面摩擦係数を高精度に求め得るようにすることを狙ったものである。
しかし、上記した従来の路面摩擦係数推定装置は、車体前後方向と車体横方向とに関して、センサ検出値と推定値とをそのままの状態で比較し、両者間の偏差に基づき路面摩擦係数を求めるものであるため、ノイズの影響を大きく受ける場合において路面摩擦係数を求めることができなくなるという問題を有する。
本発明は、ノイズの影響を大きく受ける場合においても、これに影響されることなく確実に路面摩擦係数を求め得るようにした路面摩擦係数推定装置を提案し、これにより上記従来装置の問題を解消することを目的とする。
この目的のため、本発明による路面摩擦係数推定装置は、
車両の重心を通る鉛直軸線周りのヨーレートを検出するヨーレート検出手段と、
ステアリングホイールの操舵角を検出する操舵角検出手段と、
これら手段で検出したヨーレートおよび操舵角から、操舵周波数に対するヨーレートの周波数伝達特性を算出する周波数伝達特性算出手段と、
前記操舵角の基本周波数を検出する基本周波数検出手段と、
前記周波数伝達特性算出手段で算出した周波数伝達特性から、前記基本周波数検出手段で検出した操舵角基本周波数よりも高い所定の操舵周波数の基での位相情報を算出する位相算出手段と、
この手段で算出した位相情報から、車両走行路の路面摩擦係数を算出する路面摩擦係数算出手段とを具備した構成となす。
車両の重心を通る鉛直軸線周りのヨーレートを検出するヨーレート検出手段と、
ステアリングホイールの操舵角を検出する操舵角検出手段と、
これら手段で検出したヨーレートおよび操舵角から、操舵周波数に対するヨーレートの周波数伝達特性を算出する周波数伝達特性算出手段と、
前記操舵角の基本周波数を検出する基本周波数検出手段と、
前記周波数伝達特性算出手段で算出した周波数伝達特性から、前記基本周波数検出手段で検出した操舵角基本周波数よりも高い所定の操舵周波数の基での位相情報を算出する位相算出手段と、
この手段で算出した位相情報から、車両走行路の路面摩擦係数を算出する路面摩擦係数算出手段とを具備した構成となす。
かかる本発明の路面摩擦係数推定装置によれば、ヨーレート検出値および操舵角検出値から算出したヨーレートの周波数伝達特性に基づき、操舵角基本周波数よりも高い所定の操舵周波数の基での位相情報を算出し、この位相情報から路面摩擦係数を算出するため、
上記所定の操舵周波数を操舵角基本周波数よりも高い周波数に定めたことに起因して、ノイズの影響を受けにくい操舵周波数における情報のみを用いたり、路面変化に対する感度が高い操舵周波数における情報のみを用いることとなる。
上記所定の操舵周波数を操舵角基本周波数よりも高い周波数に定めたことに起因して、ノイズの影響を受けにくい操舵周波数における情報のみを用いたり、路面変化に対する感度が高い操舵周波数における情報のみを用いることとなる。
従って、ノイズが多くてその影響を受ける場合でも、ノイズの影響を受けにくい、操舵角基本周波数よりも高い操舵周波数における情報のみを用いる結果、ノイズによる影響を大きく受けることなく路面摩擦係数を高精度に求めることができると共に、
路面変化に対する感度が高い操舵周波数における情報のみを用いる結果、路面摩擦係数の推定分解能を高めて、路面摩擦係数の推定精度を上げることができる。
路面変化に対する感度が高い操舵周波数における情報のみを用いる結果、路面摩擦係数の推定分解能を高めて、路面摩擦係数の推定精度を上げることができる。
以下、本発明の実施の形態を、図1〜11に示す第1実施例、および図12〜14に示す第2実施例、並びに図15〜16に示す第3実施例に基づき、詳細に説明する。
[第1実施例]
図1〜10は、本発明の第1実施例になる路面摩擦係数推定装置を示す。
図1は、この第1実施例になる路面摩擦係数推定装置を具えた車両の概略平面図であり、1L,1Rはそれぞれ左右前輪、2L,2Rはそれぞれ左右後輪を示す。
車両は、ステアリングホイール3の操舵により左右前輪1L,1Rを転舵されて操向可能なものとする。
図1〜10は、本発明の第1実施例になる路面摩擦係数推定装置を示す。
図1は、この第1実施例になる路面摩擦係数推定装置を具えた車両の概略平面図であり、1L,1Rはそれぞれ左右前輪、2L,2Rはそれぞれ左右後輪を示す。
車両は、ステアリングホイール3の操舵により左右前輪1L,1Rを転舵されて操向可能なものとする。
路面摩擦係数推定装置は、路面摩擦係数算出器11を主たる構成要素とし、この路面摩擦係数算出器11は、
ステアリングホイール3の操舵角δ(t)を検出する操舵角検出器12(操舵角検出手段)からの信号と、
車両の重心を通る鉛直軸線周りにおけるヨーレートγ(t)を検出するヨーレート検出器13(ヨーレート検出手段)からの信号と、
左右前輪の車輪速を検出する車輪速センサ14L,14Rからの信号、および、左右後輪の車輪速を検出する車輪速センサ15L,15Rからの信号とを入力され、
これら入力情報を基に、車両走行路の路面摩擦係数μ(t)を算出して推定するものとする。
なお(t)は、以後も含めて、同じタイミング(t)における値であることを意味するものとする。
ステアリングホイール3の操舵角δ(t)を検出する操舵角検出器12(操舵角検出手段)からの信号と、
車両の重心を通る鉛直軸線周りにおけるヨーレートγ(t)を検出するヨーレート検出器13(ヨーレート検出手段)からの信号と、
左右前輪の車輪速を検出する車輪速センサ14L,14Rからの信号、および、左右後輪の車輪速を検出する車輪速センサ15L,15Rからの信号とを入力され、
これら入力情報を基に、車両走行路の路面摩擦係数μ(t)を算出して推定するものとする。
なお(t)は、以後も含めて、同じタイミング(t)における値であることを意味するものとする。
ここで、本発明による路面摩擦係数の推定原理を、図2に基づき以下に説明する。
操舵角δにより発生するヨーレートγの位相遅れは、例えば図2に例示するような周波数伝達特性となり、
低μ路と高μ路とでは位相の遅れ方が異なって、低μ路ほどヨーレートγの位相遅れが大きい。
また、ヨーレートγの位相遅れは操舵周波数に応じても異なり、操舵周波数が高くなる(高周波になる)につれ、ヨーレートγの位相遅れは大きくなる。
操舵角δにより発生するヨーレートγの位相遅れは、例えば図2に例示するような周波数伝達特性となり、
低μ路と高μ路とでは位相の遅れ方が異なって、低μ路ほどヨーレートγの位相遅れが大きい。
また、ヨーレートγの位相遅れは操舵周波数に応じても異なり、操舵周波数が高くなる(高周波になる)につれ、ヨーレートγの位相遅れは大きくなる。
本実施例による路面摩擦係数の推定原理は、ヨーレートγの周波数伝達特性が図2に例示した上記のような傾向を持つことから、
所定の操舵周波数におけるヨーレートγの位相遅れを検出し、この位相遅れから如何なるμ路かを、つまり路面摩擦係数μを推定することを骨子とする。
所定の操舵周波数におけるヨーレートγの位相遅れを検出し、この位相遅れから如何なるμ路かを、つまり路面摩擦係数μを推定することを骨子とする。
ところで、図2にαで示すように操舵周波数が高い領域(高周波領域)では、同図にβで示す低周波領域におけるよりも、同じ路面摩擦係数μの変化でもヨーレートγの位相遅れ変化幅が大きくて路面摩擦係数μの推定分解能が高く、路面摩擦係数μを高精度に推定することができる。
本実施例においては、路面摩擦係数μの推定に際して如何なる操舵周波数におけるヨーレートγの位相遅れを検出するかを、上記の事実認識に照らして適切に決定するようになしたものである。
本実施例においては、路面摩擦係数μの推定に際して如何なる操舵周波数におけるヨーレートγの位相遅れを検出するかを、上記の事実認識に照らして適切に決定するようになしたものである。
ちなみに、前記した従来の路面摩擦係数推定技術にあっては、ヨーレートの時系列データを単純に比較するものであるため、
操舵の基本周波数付近が支配的となり、図2にβで示すような比較的低い操舵周波領域で上記の比較を行って路面摩擦係数を推定するものであった。
このため、前記した従来の路面摩擦係数推定技術では、路面摩擦係数を高精度に推定することができない。
操舵の基本周波数付近が支配的となり、図2にβで示すような比較的低い操舵周波領域で上記の比較を行って路面摩擦係数を推定するものであった。
このため、前記した従来の路面摩擦係数推定技術では、路面摩擦係数を高精度に推定することができない。
図1における路面摩擦係数算出器11は、上記の原理に基づいて路面摩擦係数μを推定するために、図3のブロック線図で示すごとく、
周波数伝達特性算出器B3aと、位相算出器B3bと、路面摩擦係数算出器B3cとにより構成する。
周波数伝達特性算出器B3aと、位相算出器B3bと、路面摩擦係数算出器B3cとにより構成する。
周波数伝達特性算出器B3aは、本発明における周波数伝達特性算出手段に相当するもので、
操舵角δ(t)およびヨーレートγ(t)から、離散時間周波数伝達特性G(z)を算出すべく図4にブロック線図で示す構成とし、
図5に示す制御プログラムを実行して離散時間周波数伝達特性G(z)を算出するものとする。
操舵角δ(t)およびヨーレートγ(t)から、離散時間周波数伝達特性G(z)を算出すべく図4にブロック線図で示す構成とし、
図5に示す制御プログラムを実行して離散時間周波数伝達特性G(z)を算出するものとする。
図3における周波数伝達特性算出器B3aを図4に基づき詳述するに、これを、伝達特性算出判定器B3a-1と、フィルタ処理装置B3a-2と、マルチサンプル装置B3a-3と、適応同定器B3a-4とで構成する。
伝達特性算出判定器B3a-1は、操舵角検出値δ(t)およびヨーレート検出値γ(t)から、伝達特性の算出開始を判断するものである。
フィルタ処理装置B3a-2は、本発明におけるフィルタ処理手段に相当し、操舵角検出値δ(t)およびヨーレート検出値γ(t)をフィルタ処理するものである。
マルチサンプル装置B3a-3は、本発明におけるマルチサンプル手段に相当し、制御周期を変更するものであり、また、
適応同定器B3a-4は、操舵角δからヨーレートγの離散時間周波数伝達特性G(z)を逐次演算するものである。
伝達特性算出判定器B3a-1は、操舵角検出値δ(t)およびヨーレート検出値γ(t)から、伝達特性の算出開始を判断するものである。
フィルタ処理装置B3a-2は、本発明におけるフィルタ処理手段に相当し、操舵角検出値δ(t)およびヨーレート検出値γ(t)をフィルタ処理するものである。
マルチサンプル装置B3a-3は、本発明におけるマルチサンプル手段に相当し、制御周期を変更するものであり、また、
適応同定器B3a-4は、操舵角δからヨーレートγの離散時間周波数伝達特性G(z)を逐次演算するものである。
図4に示す構成とした図3の周波数伝達特性算出器B3aは、図5に示す制御プログラムを実行して、以下のようにヨーレートγの周波数伝達特性G(z)を算出する。
先ずステップS3a-1において、図4の伝達特性算出判定器B3a-1により周波数伝達特性の算出開始を判定する。
先ずステップS3a-1において、図4の伝達特性算出判定器B3a-1により周波数伝達特性の算出開始を判定する。
この判定に際しては、ステアリングホイール3の操舵角δ(t)に対する前輪転舵角の変化特性が一般的に図6に例示するごとくに定められ、操舵角δ(t)がδp(右操舵時の正値),δm(左操舵時の負値)の範囲内にある小さい操舵角領域では前輪1L,1Rが転舵されないようにした不感帯を設定することから、
この不感帯による影響を排除するため、周波数伝達特性の算出を行うか、行わないかを表す算出フラグSW_Adを、以下の(1)式に従って、δm≦δ(t)≦δpの小操舵角領域では算出禁止用に0となし、不感帯以外の操舵角領域では、算出フラグSW_Adを算出許可用に1にする。
この不感帯による影響を排除するため、周波数伝達特性の算出を行うか、行わないかを表す算出フラグSW_Adを、以下の(1)式に従って、δm≦δ(t)≦δpの小操舵角領域では算出禁止用に0となし、不感帯以外の操舵角領域では、算出フラグSW_Adを算出許可用に1にする。
図5のステップS3a-1(図4の伝達特性算出判定器B3a-1)では更に、上記周波数伝達特性の算出開始判定に加え、以下の(1)式に従って、算出フラグSW_Ad=0にするδm≦δ(t)≦δpの小操舵角領域では、操舵角判定値δ(t)*およびヨーレート判定値γ(t)*を共に0となし、
算出フラグSW_Ad=1にするδ(t)<δmまたはδ(t)>δpの大操舵角領域では、操舵角判定値δ(t)*を操舵角検出値δ(t)となし、ヨーレート判定値γ(t)*をヨーレート検出値γ(t)となす。
算出フラグSW_Ad=1にするδ(t)<δmまたはδ(t)>δpの大操舵角領域では、操舵角判定値δ(t)*を操舵角検出値δ(t)となし、ヨーレート判定値γ(t)*をヨーレート検出値γ(t)となす。
図5のステップS3a-2においては、図4のフィルタ処理装置B3a-2により上記した操舵角判定値δ(t)*およびヨーレート判定値γ(t)*の高周波ノイズを除去する。
かかる高周波ノイズの除去のためのフィルタは、以下の(2)式に示す二次のローパスフィルタ(以下、LPFと言う)を離散化したものを用いる。
ここで、sはラプラス演算子、[rad/s]はLPFのカットオフ周波数を表し、本実施例では車輪タイヤの応答速度を考慮し、ω=2π×5とする。
かかる高周波ノイズの除去のためのフィルタは、以下の(2)式に示す二次のローパスフィルタ(以下、LPFと言う)を離散化したものを用いる。
かかるLPFに操舵角判定値δ(t)*およびヨーレート判定値γ(t)*を通して高周波ノイズを除去することで、同定後の周波数伝達関数に現れるフィルタの影響を除去することができ、
当該LPFによるフィルタ処理後の操舵角フィルタ処理値δ(t)**およびヨーレートフィルタ処理値γ(t)**を得ることができる。
当該LPFによるフィルタ処理後の操舵角フィルタ処理値δ(t)**およびヨーレートフィルタ処理値γ(t)**を得ることができる。
なお、ヨーレート検出値γ(t)に混入しているノイズが大きい場合は、ヨーレート検出値用LPFのカットオフ周波数を、操舵角検出値用LPFのカットオフ周波数より小さく設定しても良い。
これによりヨーレートのノイズによる影響を低減することができ、高精度な周波数伝達関数の同定が可能となる。
また操舵角検出値用LPFのカットオフ周波数をヨーレート検出値用LPFのカットオフ周波数より小さく設定しても良い。
これにより操舵角の高周波応答を除去した周波数伝達関数の推定が可能となる。
これによりヨーレートのノイズによる影響を低減することができ、高精度な周波数伝達関数の同定が可能となる。
また操舵角検出値用LPFのカットオフ周波数をヨーレート検出値用LPFのカットオフ周波数より小さく設定しても良い。
これにより操舵角の高周波応答を除去した周波数伝達関数の推定が可能となる。
図5のステップS3a-3においては、図4のマルチサンプル装置B3a-3により、操舵角フィルタ処理値δ(t)**およびヨーレートフィルタ処理値γ(t)**の高周波ノイズを除去する。
マルチサンプル装置B3a-3によりダウンサンプリングすることで、制御周波数をタイヤの応答周波数fT [Hz]以下に落とすのが良い。
これによりタイヤが応答しない高周波のデータを更に除去することができ、高精度に周波数伝達関数の推定が可能となる。
マルチサンプル装置B3a-3によりダウンサンプリングすることで、制御周波数をタイヤの応答周波数fT [Hz]以下に落とすのが良い。
これによりタイヤが応答しない高周波のデータを更に除去することができ、高精度に周波数伝達関数の推定が可能となる。
ちなみに、一般的にタイヤの応答周波数fTは5Hz前後であることが知られている。
ここで、上記ダウンサンプル後の操舵角サンプル値をδ(t)***とし、ヨーレートサンプル値をγ(t)***とする。
以上のようにLPFで処理した後にダウンサンプリングすることで、ナイキスト周波数の影響を抑えつつ高周波ノイズを除去でき、路面摩擦係数の推定精度を上げることができる。
ここで、上記ダウンサンプル後の操舵角サンプル値をδ(t)***とし、ヨーレートサンプル値をγ(t)***とする。
以上のようにLPFで処理した後にダウンサンプリングすることで、ナイキスト周波数の影響を抑えつつ高周波ノイズを除去でき、路面摩擦係数の推定精度を上げることができる。
図5のステップS3a-4においては、図4の適応同定器B3a-4により、上記操舵角サンプル値をδ(t)***とし、ヨーレートサンプル値をγ(t)***の離散時間周波数伝達特性G(z)を逐次同定する。
この離散時間周波数伝達特性G(z)は、例えば次式で与えられる。
ここでz-1は離散系での遅延演算子、a0,a1,an,b0,b1,bmは、時間変化する変数(パラメータ)であり、n≦mである。
この離散時間周波数伝達特性G(z)は、例えば次式で与えられる。
適応同定器B3a-4は、例えばコロナ社出版、鈴木隆 著 「アダプティブコントロール」第95〜122頁に記載の「逐次最小二乗法」により入出力信号から周波数伝達特性G(z)のパラメータa0,a1,an,b0,b1,bmを逐次同定する手法を用いる。
なお逐次演算周期は、ダウンサンプリングした周期より小さい周期に設定するのが好ましい。
かようにすることで、同定した周波数伝達特性が受けるナイキスト周波数の影響を小さくすることができる。
これは特に、ダウンサンプリングした周波数近傍の周波数伝達特性を利用する場合に効果がある。
なお本実施例では、演算周期をセンサの検出周期である10msに設定した。
なお逐次演算周期は、ダウンサンプリングした周期より小さい周期に設定するのが好ましい。
かようにすることで、同定した周波数伝達特性が受けるナイキスト周波数の影響を小さくすることができる。
これは特に、ダウンサンプリングした周波数近傍の周波数伝達特性を利用する場合に効果がある。
なお本実施例では、演算周期をセンサの検出周期である10msに設定した。
同定する周波数伝達特性G(z)の次数n,mは大きく設定するのが好ましく、その理由は、ノイズに強い同定が可能となるためである。
適応同定器B3a-4はSW_Ad=1のときのみ逐次演算し、SW_Ad=0の場合は演算を行わないこととする。
かようにすることで、操舵角の不感帯の影響を排除することができ、周波数伝達特性の同定精度が向上する。
適応同定器B3a-4はSW_Ad=1のときのみ逐次演算し、SW_Ad=0の場合は演算を行わないこととする。
かようにすることで、操舵角の不感帯の影響を排除することができ、周波数伝達特性の同定精度が向上する。
図3における位相算出器B3bは、本発明における位相算出手段に相当するもので、周波数伝達特性G(z)から所定周波数f[Hz]の位相情報θ(f|t)[deg]を抽出するために、例えば図7にブロック線図で示すごとく、連続値変換部B3b-1および位相情報抽出部B3b-4により構成する。
前者の連続値変換部B3b-1は、離散時間周波数伝達特性G(z)を連続時間周波数伝達関数G(s)に変換するもので、
後者の位相情報抽出部B3b-4は、所定の位相情報抽出周波数f[Hz]と連続時間周波数伝達関数G(s)とから、位相情報θ(f|t)[deg]を抽出するものである。
なお位相情報θ(f|t)[deg]は、所定の位相情報抽出周波数f[Hz]における時刻tでの位相データを表す。
後者の位相情報抽出部B3b-4は、所定の位相情報抽出周波数f[Hz]と連続時間周波数伝達関数G(s)とから、位相情報θ(f|t)[deg]を抽出するものである。
なお位相情報θ(f|t)[deg]は、所定の位相情報抽出周波数f[Hz]における時刻tでの位相データを表す。
連続値変換部B3b-1で離散時間周波数伝達特性G(z)を連続時間周波数伝達関数G(s)に変換するに当たっては、
以下の(4)式により示すような双一次変換により離散時間周波数伝達特性G(z)を連続時間周波数伝達関数G(s)に変換する。
ここでTs[s]は、適応同定器B3a-4(図4参照)の演算周期を表し、上記のように双一次変換を用いることで、変換時のナイキスト周波数の影響を小さくすることができる。
以下の(4)式により示すような双一次変換により離散時間周波数伝達特性G(z)を連続時間周波数伝達関数G(s)に変換する。
なお、上記した所定の位相情報抽出周波数f[Hz]は、図8に示すAの領域で選択することとし、このA領域とは、ヨーレートノイズの影響を大きく受けずに路面の変化を捉えることができる領域であり、実験により予め選定する。
そして、図2につき前述した路面摩擦係数推定精度の観点から、位相情報抽出周波数f[Hz]は、図8のA領域内において出来るだけ高い操舵周波数に設定し、これにより、路面摩擦係数の推定分解能を高めて、路面摩擦係数を高精度に推定し得るようになす。
そして、図2につき前述した路面摩擦係数推定精度の観点から、位相情報抽出周波数f[Hz]は、図8のA領域内において出来るだけ高い操舵周波数に設定し、これにより、路面摩擦係数の推定分解能を高めて、路面摩擦係数を高精度に推定し得るようになす。
図7における位相情報抽出部B3b-4で、連続時間周波数伝達関数G(s)から、所定の位相情報抽出周波数f[Hz]における位相情報θ(f|t)[deg]を抽出するに際しては、
連続時間周波数伝達関数G(s)に対しs=j×2π×fを代入し、次式の演算により、所定の位相情報抽出周波数f[Hz]における位相情報θ(f|t)[deg]を抽出する。
ここで、jは複素演算子、Reは実数部、Imは虚数部を表す。
連続時間周波数伝達関数G(s)に対しs=j×2π×fを代入し、次式の演算により、所定の位相情報抽出周波数f[Hz]における位相情報θ(f|t)[deg]を抽出する。
図3における位相算出器B3bは、図7に示す構成に代えて、図9のブロック線図により示す構成にしてもよい。
つまり図9の位相算出器B3bは、図7におけると同様な連続値変換部B3b-1および位相情報抽出部B3b-4の他に、操舵角主要周波数算出部B3b-2および位相情報抽出周波数決定部B3b-3を設けて構成する。
つまり図9の位相算出器B3bは、図7におけると同様な連続値変換部B3b-1および位相情報抽出部B3b-4の他に、操舵角主要周波数算出部B3b-2および位相情報抽出周波数決定部B3b-3を設けて構成する。
連続値変換部B3b-1は前記した通り、離散時間周波数伝達特性G(z)を連続時間周波数伝達関数G(s)に変換するものである。
操舵角主要周波数算出部B3b-2は、本発明における基本周波数検出手段に相当するもので、操舵角検出値δ(t)から過去数秒間の操舵周波数を求めて、これを操舵角基本周波数fs [Hz]とするものである。
位相情報抽出周波数決定部B3b-3は、操舵角基本周波数fs、および、図示せざる応答周波数検出手段により検出したタイヤの応答周波数fTから、所定の位相情報抽出周波数f'[Hz]を決定するものである。
位相情報抽出部B3b-4は、所定の位相情報抽出周波数f'[Hz]と上記の連続時間周波数伝達関数G(s)とから、前記したと同様な要領により位相情報θ(f'|t)[deg]を抽出するものである。
操舵角主要周波数算出部B3b-2は、本発明における基本周波数検出手段に相当するもので、操舵角検出値δ(t)から過去数秒間の操舵周波数を求めて、これを操舵角基本周波数fs [Hz]とするものである。
位相情報抽出周波数決定部B3b-3は、操舵角基本周波数fs、および、図示せざる応答周波数検出手段により検出したタイヤの応答周波数fTから、所定の位相情報抽出周波数f'[Hz]を決定するものである。
位相情報抽出部B3b-4は、所定の位相情報抽出周波数f'[Hz]と上記の連続時間周波数伝達関数G(s)とから、前記したと同様な要領により位相情報θ(f'|t)[deg]を抽出するものである。
操舵角主要周波数算出部B3b-2で操舵角検出値δ(t)から操舵角基本周波数fs [Hz]を算出するに際しては、所定時間前からの操舵角データをフーリエ変換し、操舵角の基本周波数を求める。
ここでの所定時間とは、人間の操舵周波数から考えて、周波数分解能0.1Hz以上を検出するのに必要な時間10sec以上であるのが好ましい。
ここでの所定時間とは、人間の操舵周波数から考えて、周波数分解能0.1Hz以上を検出するのに必要な時間10sec以上であるのが好ましい。
また、操舵角基本周波数fs [Hz]は、1Hzから0.1Hzの間のパワースペクトルが最大となる周波数とするのが良い。
人間の操舵周波数から考えて探索周波数範囲を狭めることで、演算時間の短縮につながる。
前述した適応同定器B3a-4(図4参照)によりパワースペクトルの最大周波数を求めても良い。
この場合、逐次演算が可能となり、操舵角の基本周波数変化にすばやく対応することができる。
ただし、図8に示すようにfs=<fTの関係がある。
人間の操舵周波数から考えて探索周波数範囲を狭めることで、演算時間の短縮につながる。
前述した適応同定器B3a-4(図4参照)によりパワースペクトルの最大周波数を求めても良い。
この場合、逐次演算が可能となり、操舵角の基本周波数変化にすばやく対応することができる。
ただし、図8に示すようにfs=<fTの関係がある。
位相情報抽出周波数決定部B3b-3で、操舵角基本周波数fs、および、タイヤの応答周波数fTから、所定の位相情報抽出周波数f'[Hz]を決定するに際しては、
操舵角基本周波数fsからタイヤの応答周波数fTの範囲で位相情報を抽出する位相情報抽出周波数f'[Hz]を、次式で求める。
ただし、0≦W≦1であり、Wの値は予め測定した実験データから求めておく。
操舵角基本周波数fsからタイヤの応答周波数fTの範囲で位相情報を抽出する位相情報抽出周波数f'[Hz]を、次式で求める。
Wの値を0に近づけると、位相情報θ(f'|t)[deg]の検出時間が短縮されると共に、路面の変化に対する位相の感度が大きくなり、路面変化を捉えづらい場合においても、路面摩擦係数の推定精度を向上させることができる。
一方、Wの値を1に近づける場合、検出ヨーレートに含まれる高周波ノイズの影響を小さくすることができ、検出ヨーレートの高周波ノイズが大きい場合においても、路面摩擦係数の推定精度を向上させることができる。
一方、Wの値を1に近づける場合、検出ヨーレートに含まれる高周波ノイズの影響を小さくすることができ、検出ヨーレートの高周波ノイズが大きい場合においても、路面摩擦係数の推定精度を向上させることができる。
Wの設定方法としてたとえば、先ずWを0に近い値を選び、その後ノイズの影響を考え、少しずつWを大きくする。
このようにすることで、Wの値がなるべく0に近くなるように設定でき、ノイズの影響を考慮した上で路面の変化を大きく捉えることができる。
このようにすることで、Wの値がなるべく0に近くなるように設定でき、ノイズの影響を考慮した上で路面の変化を大きく捉えることができる。
図3の路面摩擦係数算出器B3cは、本発明における路面摩擦係数算出手段に相当するもので、
上記した位相情報θ(f|t)[deg]またはθ(f'|t)[deg]のいずれか一方、ここでは前者の位相情報θ(f|t)から、図10に例示した路面摩擦係数マップを基に、路面摩擦係数μ(t)を算出するものとする。
なお位相情報θ(f|t)は負値であり、図10に示すように、その絶対値が大きい(周波数伝達特性の位相遅れが大きい)ほど路面摩擦係数μが小さくなり、位相情報θ(f|t)の絶対値が小さい(周波数伝達特性の位相遅れが小さい)ほど路面摩擦係数μが大きくなるのは、図2に示すヨーレートの周波数伝達特性から明らかである。
上記した位相情報θ(f|t)[deg]またはθ(f'|t)[deg]のいずれか一方、ここでは前者の位相情報θ(f|t)から、図10に例示した路面摩擦係数マップを基に、路面摩擦係数μ(t)を算出するものとする。
なお位相情報θ(f|t)は負値であり、図10に示すように、その絶対値が大きい(周波数伝達特性の位相遅れが大きい)ほど路面摩擦係数μが小さくなり、位相情報θ(f|t)の絶対値が小さい(周波数伝達特性の位相遅れが小さい)ほど路面摩擦係数μが大きくなるのは、図2に示すヨーレートの周波数伝達特性から明らかである。
図1の路面摩擦係数算出器11を上述したごとくに構成することで、所望する操舵周波数θ(f|t)[deg]またはθ(f'|t)[deg]の位相情報のみを抽出することが可能となり、不必要な操舵周波数における位相情報を除去することで路面摩擦係数推定精度が向上する。
なお、図10の路面摩擦係数マップを基に算出した路面摩擦係数μ(t)を更にLPFでフィルタ処理することで、路面摩擦係数推定値の高周波推定誤差を除去することもできる。
なお、図10の路面摩擦係数マップを基に算出した路面摩擦係数μ(t)を更にLPFでフィルタ処理することで、路面摩擦係数推定値の高周波推定誤差を除去することもできる。
ところで図2の周波数伝達特性は、車体速V[km/h]によっても異なり、同じ路面μの基でもヨーレートの位相遅れは、図11に例示するごとく車体速Vが高い高車速時ほど大きくなる。
従って、上記した実施例により求めた路面摩擦係数μ(t)は厳密に言えば、特定の車体速である場合しか正確でない。
従って、上記した実施例により求めた路面摩擦係数μ(t)は厳密に言えば、特定の車体速である場合しか正確でない。
[第2実施例]
如何なる車体速Vの基でも正確に路面摩擦係数μ(t)を推定し得るようにするためには、図1における路面摩擦係数算出器11を、図12のブロック線図により示すごとき構成とする。
つまり図12の路面摩擦係数算出器11は、図3におけると同様な周波数伝達特性算出器B3a、位相算出器B3b、および路面摩擦係数算出器B3cの他に、車体速推定器B3dを設けて構成する。
如何なる車体速Vの基でも正確に路面摩擦係数μ(t)を推定し得るようにするためには、図1における路面摩擦係数算出器11を、図12のブロック線図により示すごとき構成とする。
つまり図12の路面摩擦係数算出器11は、図3におけると同様な周波数伝達特性算出器B3a、位相算出器B3b、および路面摩擦係数算出器B3cの他に、車体速推定器B3dを設けて構成する。
本発明における周波数伝達特性算出手段に相当する周波数伝達特性算出器B3aは前記した通り、操舵角検出値δ(t)およびヨーレート検出値γ(t)から、離散時間周波数伝達特性G(z)を算出し、
本発明における位相算出手段に相当する位相算出器B3bは前記した通り、周波数伝達特性G(z)から所定周波数f[Hz]での位相情報θ(f|t)[deg]を抽出するものである。
本発明における車体速検出手段に相当する車体速推定器B3dは、車輪速センサ14L,14R,15l,15Rで検出した車輪速V1,V2,V3,V4から車体速V(t) [km/h]を推定するものである。
本発明における位相算出手段に相当する位相算出器B3bは前記した通り、周波数伝達特性G(z)から所定周波数f[Hz]での位相情報θ(f|t)[deg]を抽出するものである。
本発明における車体速検出手段に相当する車体速推定器B3dは、車輪速センサ14L,14R,15l,15Rで検出した車輪速V1,V2,V3,V4から車体速V(t) [km/h]を推定するものである。
本発明における路面摩擦係数算出手段に相当する路面摩擦係数算出器B3cは、本実施例の場合は前記した実施例の場合と若干異なり、上記した車体速V(t) [km/h]、および、位相算出器B3bで求めた位相情報θ(f|t)[deg]から、図13に例示した路面摩擦係数マップを基に、路面摩擦係数μ(t)を算出するものとする。
なお位相情報θ(f|t)は負値であり、図13に示すように、その絶対値が大きい(周波数伝達特性の位相遅れが大きい)ほど路面摩擦係数μが小さくなり、位相情報θ(f|t)の絶対値が小さい(周波数伝達特性の位相遅れが小さい)ほど路面摩擦係数μが大きくなるのは、図10につき前述したと同様であるが、
図11につき前記した通り、同じ路面μのもとでも車体速V(t) [km/h]が速いほど周波数伝達特性の位相遅れが大きくなることから、車体速V(t)をも考慮した場合、路面摩擦係数マップは図13に示すごとくになること明らかである。
図11につき前記した通り、同じ路面μのもとでも車体速V(t) [km/h]が速いほど周波数伝達特性の位相遅れが大きくなることから、車体速V(t)をも考慮した場合、路面摩擦係数マップは図13に示すごとくになること明らかである。
このように路面摩擦係数μ(t)を算出して推定する本実施例の構成によれば、如何なる車体速V(t)のもとでも、路面摩擦係数μ(t)を高精度に推定することができる。
なお、かようにして求めた車体速対応の路面摩擦係数μ(t)は更に、LPFでフィルタ処理することにより、路面摩擦係数推定値の高周波推定誤差を除去することができる。
なお、かようにして求めた車体速対応の路面摩擦係数μ(t)は更に、LPFでフィルタ処理することにより、路面摩擦係数推定値の高周波推定誤差を除去することができる。
更に図2の周波数伝達特性は、所定時間ごとにおける操舵角絶対値の最大値max(|δ(t)|)によっても異なり、同じ路面μの基でもヨーレートの位相遅れは、図14に例示するごとく最大操舵角max(|δ(t)|)が大きいほど、タイヤの非線形特性の影響を受けて大きくなる。
従って、前記した各実施例により求めた路面摩擦係数μ(t)は厳密に言えば、特定の最大操舵角max(|δ(t)|)である場合しか正確でない。
従って、前記した各実施例により求めた路面摩擦係数μ(t)は厳密に言えば、特定の最大操舵角max(|δ(t)|)である場合しか正確でない。
[第3実施例]
如何なる最大操舵角max(|δ(t)|)の基でも正確に路面摩擦係数μ(t)を推定し得るようにするためには、図1における路面摩擦係数算出器11を、図15のブロック線図により示すごとき構成とする。
つまり図15の路面摩擦係数算出器11は、図3におけると同様な周波数伝達特性算出器B3a、位相算出器B3b、および路面摩擦係数算出器B3cの他に、最大操舵角算出器B3eを設けて構成する。
如何なる最大操舵角max(|δ(t)|)の基でも正確に路面摩擦係数μ(t)を推定し得るようにするためには、図1における路面摩擦係数算出器11を、図15のブロック線図により示すごとき構成とする。
つまり図15の路面摩擦係数算出器11は、図3におけると同様な周波数伝達特性算出器B3a、位相算出器B3b、および路面摩擦係数算出器B3cの他に、最大操舵角算出器B3eを設けて構成する。
本発明における周波数伝達特性算出手段に相当する周波数伝達特性算出器B3aは前記した通り、操舵角検出値δ(t)およびヨーレート検出値γ(t)から、離散時間周波数伝達特性G(z)を算出し、
本発明における位相算出手段に相当する位相算出器B3bは前記した通り、周波数伝達特性G(z)から所定周波数f[Hz]での位相情報θ(f|t)[deg]を抽出するものである。
本発明における位相算出手段に相当する位相算出器B3bは前記した通り、周波数伝達特性G(z)から所定周波数f[Hz]での位相情報θ(f|t)[deg]を抽出するものである。
本発明における最大操舵角検出手段に相当する最大操舵角算出器B3eは、所定時間ごとにおける操舵角絶対値の最大値max(|δ(t)|)を算出し、これを所定時間ごとの最大操舵角とする。
ここで上記の所定時間は、運転者の操舵周波数から考えて、周波数分解能0.1Hz以上での最大値を検出するために必要な時間10s以上とする。
ここで上記の所定時間は、運転者の操舵周波数から考えて、周波数分解能0.1Hz以上での最大値を検出するために必要な時間10s以上とする。
本発明における路面摩擦係数算出手段に相当する路面摩擦係数算出器B3cは、本実施例の場合は前記した第1実施例の場合と若干異なり、上記した所定時間ごとの最大操舵角max(|δ(t)|)、および、位相算出器B3bで求めた位相情報θ(f|t)[deg]から、図16に例示した路面摩擦係数マップを基に、路面摩擦係数μ(t)を算出するものとする。
なお位相情報θ(f|t)は負値であり、図16に示すように、その絶対値が大きい(周波数伝達特性の位相遅れが大きい)ほど路面摩擦係数μが小さくなり、位相情報θ(f|t)の絶対値が小さい(周波数伝達特性の位相遅れが小さい)ほど路面摩擦係数μが大きくなるのは、図10につき前述したと同様であるが、
図14につき前記した通り、同じ路面μのもとでも所定時間ごとの最大操舵角max(|δ(t)|)が大きいほど周波数伝達特性の位相遅れが大きくなることから、所定時間ごとの最大操舵角max(|δ(t)|)をも考慮した場合、路面摩擦係数マップは図16に示すごとくになること明らかである。
図14につき前記した通り、同じ路面μのもとでも所定時間ごとの最大操舵角max(|δ(t)|)が大きいほど周波数伝達特性の位相遅れが大きくなることから、所定時間ごとの最大操舵角max(|δ(t)|)をも考慮した場合、路面摩擦係数マップは図16に示すごとくになること明らかである。
このように路面摩擦係数μ(t)を算出して推定する本実施例の構成によれば、如何なる最大操舵角max(|δ(t)|)のもとでも、路面摩擦係数μ(t)を高精度に推定することができる。
なお、かようにして求めた車体速対応の路面摩擦係数μ(t)は更に、LPFでフィルタ処理することにより、路面摩擦係数推定値の高周波推定誤差を除去することができる。
なお、かようにして求めた車体速対応の路面摩擦係数μ(t)は更に、LPFでフィルタ処理することにより、路面摩擦係数推定値の高周波推定誤差を除去することができる。
[実施例の効果]
上記した各実施例の路面摩擦係数推定装置によれば、
車両の重心を通る鉛直軸線周りのヨーレートおよび操舵角から、操舵周波数に対するヨーレートの周波数伝達特性を算出し、
上記操舵角の基本周波数を検出し、
上記操舵周波数に対するヨーレートの周波数伝達特性から、上記操舵角基本周波数よりも高い所定の操舵周波数の基での位相情報を算出し、
この位相情報から、車両走行路の路面摩擦係数を算出するため、
上記所定の操舵周波数を操舵角基本周波数よりも高い周波数に定めたことに起因して、ノイズの影響を受けにくい操舵周波数における情報のみを用いたり、路面変化に対する感度が高い操舵周波数における情報のみを用いることとなる。
上記した各実施例の路面摩擦係数推定装置によれば、
車両の重心を通る鉛直軸線周りのヨーレートおよび操舵角から、操舵周波数に対するヨーレートの周波数伝達特性を算出し、
上記操舵角の基本周波数を検出し、
上記操舵周波数に対するヨーレートの周波数伝達特性から、上記操舵角基本周波数よりも高い所定の操舵周波数の基での位相情報を算出し、
この位相情報から、車両走行路の路面摩擦係数を算出するため、
上記所定の操舵周波数を操舵角基本周波数よりも高い周波数に定めたことに起因して、ノイズの影響を受けにくい操舵周波数における情報のみを用いたり、路面変化に対する感度が高い操舵周波数における情報のみを用いることとなる。
従って、ノイズが多くてその影響を受ける場合でも、ノイズの影響を受けにくい、操舵角基本周波数よりも高い操舵周波数における情報のみを用いる結果、ノイズによる影響を大きく受けることなく路面摩擦係数を高精度に求めることができると共に、
路面変化に対する感度が高い操舵周波数における情報のみを用いる結果、路面摩擦係数の違いを大きく捉えられて推定分解能を高めることができ、路面摩擦係数の推定精度を向上させることができる。
路面変化に対する感度が高い操舵周波数における情報のみを用いる結果、路面摩擦係数の違いを大きく捉えられて推定分解能を高めることができ、路面摩擦係数の推定精度を向上させることができる。
また位相情報算出時に基準とする前記所定の操舵周波数を、車輪タイヤの応答周波数以下の操舵周波数としたため、
タイヤが応答できない高周波のノイズを除去でき、路面摩擦係数の推定精度を更に向上させることができる。
タイヤが応答できない高周波のノイズを除去でき、路面摩擦係数の推定精度を更に向上させることができる。
更に、前記検出した操舵角およびヨーレートをローパスフィルタによりフィルタ処理した後、更にこれら操舵角およびヨーレートのサンプリングレートを遅くするため、
ナイキスト周波数の影響を抑えつつ高周波のノイズを除去でき、路面摩擦係数の推定精度を更に向上させることができる。
ナイキスト周波数の影響を抑えつつ高周波のノイズを除去でき、路面摩擦係数の推定精度を更に向上させることができる。
なお第2実施例の路面摩擦係数推定装置においては、車両の対地速度である車体速に応じて路面摩擦係数の算出値を補正するため、
車体速変化の影響を受けることなく、如何なる車体速の基でも路面摩擦係数を高精度に推定することができる。
車体速変化の影響を受けることなく、如何なる車体速の基でも路面摩擦係数を高精度に推定することができる。
また第3実施例の路面摩擦係数推定装置においては、ステアリングホイール操舵角の最大値である最大操舵角に応じて路面摩擦係数の算出値を補正するため、
操舵角が大きく切られた場合にもタイヤの非線形性を考慮して、路面摩擦係数を高精度に推定することができる。
操舵角が大きく切られた場合にもタイヤの非線形性を考慮して、路面摩擦係数を高精度に推定することができる。
1L,1R 左右前輪
2L,2R 左右後輪
3 ステアリングホイール
11 路面摩擦係数算出器
12 操舵角検出器
13 ヨーレート検出器
14L,14R,15L,15R 車輪速センサ
B3a 周波数伝達特性算出器
B3b 位相算出器
B3c 路面摩擦係数算出器
B3d 車体速推定器
B3e 最大操舵角算出器
B3a-1 伝達特性算出判定器
B3a-2 フィルタ処理装置
B3a-3 マルチサンプル装置
B3a-4 適応同定器
B3b-1 連続値変換部
B3b-2 操舵角主要周波数算出部
B3b-3 位相情報抽出周波数決定部
B3b-4 位相情報抽出部
2L,2R 左右後輪
3 ステアリングホイール
11 路面摩擦係数算出器
12 操舵角検出器
13 ヨーレート検出器
14L,14R,15L,15R 車輪速センサ
B3a 周波数伝達特性算出器
B3b 位相算出器
B3c 路面摩擦係数算出器
B3d 車体速推定器
B3e 最大操舵角算出器
B3a-1 伝達特性算出判定器
B3a-2 フィルタ処理装置
B3a-3 マルチサンプル装置
B3a-4 適応同定器
B3b-1 連続値変換部
B3b-2 操舵角主要周波数算出部
B3b-3 位相情報抽出周波数決定部
B3b-4 位相情報抽出部
Claims (5)
- 車両の重心を通る鉛直軸線周りのヨーレートを検出するヨーレート検出手段と、
ステアリングホイールの操舵角を検出する操舵角検出手段と、
これら手段で検出したヨーレートおよび操舵角から、操舵周波数に対するヨーレートの周波数伝達特性を算出する周波数伝達特性算出手段と、
前記操舵角の基本周波数を検出する基本周波数検出手段と、
前記周波数伝達特性算出手段で算出した周波数伝達特性から、前記基本周波数検出手段で検出した操舵角基本周波数よりも高い所定の操舵周波数の基での位相情報を算出する位相算出手段と、
この手段で算出した位相情報から、車両走行路の路面摩擦係数を算出する路面摩擦係数算出手段とを具備してなることを特徴とする路面摩擦係数推定装置。 - 請求項1に記載の路面摩擦係数推定装置において、
車輪タイヤの応答周波数を検出する応答周波数検出手段を具え、
前記位相算出手段における所定の操舵周波数が、該車輪タイヤの応答周波数以下の操舵周波数であることを特徴とする路面摩擦係数推定装置。 - 請求項1または2に記載の路面摩擦係数推定装置において、
車両の対地速度である車体速を検出する車体速検出手段を具え、
前記路面摩擦係数算出手段は、この車体速に応じて路面摩擦係数の算出値を補正するものであることを特徴とする路面摩擦係数推定装置。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載の路面摩擦係数推定装置において、
前記操舵角の最大値である最大操舵角を検出する最大操舵角検出手段を具え、
前記路面摩擦係数算出手段は、この最大操舵角に応じて路面摩擦係数の算出値を補正するものであることを特徴とする路面摩擦係数推定装置。 - 請求項1〜4のいずれか1項に記載の路面摩擦係数推定装置において、
前記周波数伝達特性算出手段は、高周波成分を除去するフィルタ処理手段と、サンプリングレートを変更するマルチサンプル手段とを具え、前記検出した操舵角およびヨーレートをローパスフィルタによりフィルタ処理した後、更にこれら操舵角およびヨーレートのサンプリングレートを遅くするものであることを特徴とする路面摩擦係数推定装置。
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