JPH087996Y2 - 多段式圧造成形機の工具類点検装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、ボルト（ナット）フォ
ーマのような多段式圧造成形機の工具類点検装置に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】一般に、ボルト（ナット）フォーマのよ
うな多段式圧造成形機は、機台に並設された複数のダイ
と、これらのダイに夫々対向するようラムに取付けられ
た複数のパンチを有し、上記ラムを機台に対して接近、
離反するように往復駆動すると共に、各対向するダイと
パンチとの間に素材を順次供給することにより、該素材
を粗から精へ連続的に圧造成形して所定形状の製品に形
成するように構成されている。

【０００３】ところで、この種の圧造成形機において
は、上記ダイやパンチ等の工具が比較的早期に摩滅して
使用不能となるため、これらの工具の全体ないしその一
部を頻繁に交換しなければならず、この交換作業に多く
の時間と労力を要するのである。また、このダイやパン
チ等の工具は、当然のことながら、製造しようとする製
品の形状に応じて交換せねばならず、この場合も同じく
工具交換に多くの時間と労力が必要となる。

【０００４】そこで前記した工具交換を能率的に行なわ
せるため、本件出願人は先行技術（実開平１−１７７０
３７号、実願平３−９３７７４号等）として、圧造成形
機本体の上方から該本体側部の作業ステーションならび
に工具交換ステーションの上方にかけて架設された搬送
レール上を搬送する搬送体を設け、この搬送体によりダ
イやパンチ等の圧造工具類を圧造成形機における装着位
置と上記作業ステーションを跨ぐ位置に設けた工具交換
ステーションとの間で自動的に搬送するように構成した
工具交換装置を提案しているのである。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】然しながら、前記実願
平３−９３７７４号の技術は、ダイやパンチ等の圧造工
具を搬送体により圧造成形機の装着位置と工具交換ステ
ーションとの相互間で搬送させるようにしているので、
例えば上記圧造工具のブロックへの取付け具合いや、個
々の工具を点検する必要のある際、その他一部の工具を
取換える場合には、作業員が作業ステーション上から上
記装着位置又は工具交換ステーション上に向けて体を乗
り出したり、あるいは該ステーションからその都度地上
に降りて上記装着位置または工具交換ステーションまで
足を運ばねばならない不便があり、臨機的な処置をとる
場合にも不都合を来たすことになるのである。

【０００６】そこで本考案は、圧造成形機と工具交換ス
テーションの中間にあり、かつ各種作業機を制御するた
めの制御部が設けられている作業ステーションに補助受
台を上下動しうるよう備えしめ、この補助受台上に搬送
途中の前記圧造工具類を一時的に載置させて該工具類の
整備、補修を含む各部の点検、ならびに一部の工具交換
を容易に能率よく行ないうるようにすることを課題とす
る。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本考案は、多段式圧造成
形機の側部に作業ステーションを跨いで工具交換ステー
ションを設けしめ、かつ上記圧造成形機と工具交換ステ
ーション間の上方に架設した搬送レール上を走行する搬
送体により上記ダイやパンチ等の圧造工具類を搬送させ
るようにした装置において、上記搬送体の通過下方に位
置した作業ステーションの床台一部に設けた上記工具類
を載置しうる補助受台を、該補助受台の上面が上記床台
の上部面と同一面となる下降位置と所定上部位置との間
で上下動可能に設けしめると共に、該補助受台を旋回し
うるようにしたことを特徴とする。

【０００８】

【作用】本考案によれば、作業ステーションを跨いで圧
造成形機と工具交換ステーション間に架設した搬送レー
ル上を走行する搬送体により交換用の圧造工具類を搬送
させるに際し、この搬送体を作業ステーションの一部に
設けた補助受台上で停止させて上記搬送途中の圧造工具
を所定位置に上動させた搬送体上に搭載載置すること
で、当該作業ステーション上において上記圧造工具の点
検、補修をなし、あるいは一部の工具交換を能率よく容
易に行ないうるのである。さらに上記補助受台は下降さ
せるとその上面が床台の上部面と同一面となるので、作
業ステーション上での作業に支障を生じさせることがな
いのである。

【０００９】

【実施例】以下、本考案の一実施例を図面にもとづいて
説明する。

【００１０】先ず、本実施例にかかる点検装置の対象で
ある圧造工具を備えた多段式圧造成形機の概略構成を、
図１および図２により説明すると、この多段式圧造成形
機１の機台２の所定位置には、ダイブロック３を介して
複数のダイ４・・・４（図例では５個）が一定の間隔で
着脱自在に保持されていると共に、図２に示すように、
クランク機構等の適宜の駆動手段（図示せず）により上
記各ダイ４に向かって進退動されるラム５の前面にパン
チホルダー６を介して各ダイ４と対向するように複数の
パンチ７・・・７が着脱自在に取り付けられており、こ
れらの相対向するダイ４とパンチ７とにより複数段の圧
造ステーションＡが形成されている。また、上記機台２
の一側部後方より供給される線材８が、図示しない所定
の線材送り装置により上記圧造ステーションＡ側に向け
て間欠的に送り出されるようになっており、該圧造ステ
ーションＡ側に送り出された線材８が、上記ラム５の進
退動作に同期して所定のタイミングで駆動されるカッタ
ー機構９により所定寸法に切断されるようになってい
る。そして、上記カッター手段９により所定寸法に切断
された素材が、図示しない素材移送手段により、上記圧
造ステーションＡを構成する各ダイ４の軸芯前面位置に
順次移送されると共に、各ダイ４とそれぞれ対向するパ
ンチ７との間で粗から精に順次段階的に圧造加工されて
ボルトやナット、あるいは各種形状のパーツ類等の製品
を連続的に成形するようになっている。

【００１１】そして、図１ないし図３に示すように、上
記圧造ステーションＡの側部近傍に作業ステーションＢ
が設けられ、更にその側部が工具交換ステーションＣと
されており、作業ステーションを跨ぐ上記圧造ステーシ
ョンＡと工具交換ステーションＣとの間で圧造成形機１
に装備されたダイ４やパンチ７等を搬送する搬送装置１
０が配置されている。この搬送装置１０は、上記作業ス
テーションＢに面して配置されたフレーム１１と、上記
圧造ステーションＡの上方から工具交換ステーションＣ
の上方にかけて設けられて長手方向の中央部が上記フレ
ーム１１における作業ステーションＢに対向する縦壁面
１１ａの上部に固定された搬送レール１２と、駆動モー
タ１３により駆動されて上記搬送レール１２上を圧造ス
テーションＡと工具交換ステーションＣとの間で走行す
る走行体１４とを有し、該走行体１４の前部には上下方
向にシリンダ１５が取り付けられており、このシリンダ
１５のピスロッド１５ａの先端に搬送体１６が固定され
ていると共に、該搬送体１６に対して上記機台２にダイ
ブロック３を介して着脱自在に保持された各ダイ４もし
くは上記ラム５の前面パンチホルダー６を介して着脱自
在に取り付けられた各パンチ７を搭載可能な工具ストッ
カー１７がピストン等でなる所定の着脱手段１８，１８
により着脱自在に取り付けられている。

【００１２】一方、上記工具交換ステーションＣには、
上記圧造成形機１より取り外した各ダイ４や各パンチ７
を搭載し、または交換用の各ダイ４′や各パンチ７′が
予め搭載された各工具ストッカー１７を載置するための
複数のターンテーブル１９・・・１９が配置されてお
り、これらの各ターンテーブル１９はフレーム２０の上
面に移動可能に支持されており、上記搬送装置１０にお
ける搬送体１６により搬送された工具ストッカー１７の
直下方位置と該直下方位置より退避した位置との間で移
動可能とされている。

【００１３】そして、上記搬送装置１０におけるフレー
ム１１の縦壁面１１ａには、上記走行体１４を走行させ
るための駆動モータ１３、あるいは上記シリンダ１５の
作動等を制御する制御部２１が設けられていると共に、
この制御部２１を除く部位に汎用エリア２２が形成さ
れ、該エリア２２に図面や伝票などの書類を貼りつける
ためのパネル部材２２ａが取り付けられている。

【００１４】次に、上記圧造ステーションＡと工具交換
ステーションＣの間に設けられた作業ステーションＢ
は、図１、図２で明らかなように、フレーム１１の前部
と階段状として設けた踏台２３の上部との間が水平な床
台２４とされ、この床台２４における上記搬送体１６の
通過位置に対応した上面所定位置の凹所２４ａ内に上記
工具ストッカー１７を一時的に搭載受支させるための補
助受台２５が、該受台２５の上面２５ａを上記床台２４
の上部面と同一面とした位置から、上記搬送体１６に保
持された工具ストッカー１７の搬送装置１０による搬送
時の妨げとならない上方所定位置との間を上下動しうる
よう、凹所２４ａの下方に設けたシリンダ装置２６にお
けるロッド２６ａの上端に支持されていると共に、該補
助受台２５は所定の上昇限度位置で図２の矢印で示すよ
う適宜の角度旋回しうるようになされているのである。
なお図示しないが、上記補助受台２５の側部近傍位置
に、個々のダイ４もしくはパンチ７をダイブロック３、
あるいはパンチホルダー６に対し着脱交換させるための
作業機器が準備されているのである。

【００１５】上記の構成によれば、圧造ステーションＡ
と工具交換ステーションＣとの間の制御部２１などを設
けた作業ステーションＢにおける床台２４の所定位置
に、該床台２４の上部面と上面２５ａを同一面とした位
置から所定高さの位置まで上動させるようにした補助受
台２５を回動可能として設けしめているので、ダイブロ
ック３あるいはパンチホルダー６に各とりつけられてい
るダイ４もしくはパンチ７の各部点検、整備を行うに際
し、これらのダイまたはパンチを工具ストッカー１７を
介して搬送体１６に保持させ、該搬送体を走行体１４に
より上記圧造ステーションＡと工具交換ステーションＣ
との間を移動させる途中の上記補助受台２５上に対応し
た位置で該走行体１４を停止させ、然る後、所定位置ま
で上動させた補助受台２５上へ搬送体１６と共に上記工
具ストッカーを下降載置（図２の鎖線）させると、該工
具ストッカー１７に保持されている前記ダイ、パンチの
類が作業ステーションＢ上における作業員の目前近くに
位置させうることになり、さらには上記補助受台２５を
適宜の角度回転させることで所要の点検作業とか、一部
の工具交換作業を容易に行いうるのである。

【００１６】

【考案の効果】本考案によれば、圧造成形機と工具交換
ステーションとの間の作業ステーションに、上下動と旋
回可能に設けしめた補助受台上において上記圧造成形機
にとりつける各種圧造工具類を点検したり、一部の工具
交換を行ないうるので、点検とか工具の一部交換作業を
容易にかつ能率よく行いうると共に、該補助受台を下降
させると上記作業ステーションの床台と同一面となしう
るので、作業員の作業ステーション上での行動を安全な
らしめうるのである。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本考案の実施例を示す一部切欠正面図。

【図２】 同平面図。

【図３】 同側面図。

【符号の説明】

２ 圧造成形機の機台 ４ ダイ ７ パンチ １２ 搬送レール １４ 搬送体 ２４ 床台 ２５ 補助受台 Ａ 圧造ステーション Ｂ 作業ステーション Ｃ 工具交換ステーション

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 機台に並設された複数のダイと、これら
   のダイに夫々対向するようラムに取付けられたパンチと
   を有し、各対向するダイとパンチとの間に素材を順次供
   給することにより所定形状の製品を形成する多段式圧造
   成形機の側部に作業ステーションを跨いで工具交換ステ
   ーションを設けしめ、かつ上記圧造成形機と工具交換ス
   テーション間の上方に架設した搬送レール上を走行する
   搬送体により上記ダイやパンチ等の圧造工具類を搬送さ
   せるようにした装置において、上記搬送体の通過下方に
   位置した作業ステーションの床台一部に設けた上記工具
   類を載置しうる補助受台を、該補助受台の上面が上記床
   台の上部面と同一面となる下降位置と所定上部位置との
   間で上下動可能に設けしめると共に、該補助受台を旋回
   しうるようにしたことを特徴とする多段式圧造成形機の
   工具類点検装置。