JPH08792B2 - 2−メチルブタナ−ルの製造法 - Google Patents

2−メチルブタナ−ルの製造法

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JPH08792B2 JP61206075A JP20607586A JPH08792B2 JP H08792 B2 JPH08792 B2 JP H08792B2 JP 61206075 A JP61206075 A JP 61206075A JP 20607586 A JP20607586 A JP 20607586A JP H08792 B2 JPH08792 B2 JP H08792B2
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Description

【発明の詳細な説明】 本発明はブテン−2のヒドロホルミル化による2−メ
チルブタナールの選択的連続製法に関する。
オレフインをロジウム錯体触媒存在下にヒドロホルミ
ル化してアルデヒドをつくることは既に知られている。
公知例の多くはα−オレフイン及び内部オレフインの
ヒドロホルミル化に関し、イソ又は側鎖アルデヒドの代
りに直鎖、末端置換アルデヒドをつくるものである。種
々の公知例が内部オレフインのヒドロホルミル化による
側鎖アルデヒドの製造を開示している。しかしこれらは
加熱、加圧条件が過酷であつたり転化率又は選択性が低
いため実用的ではない。また多くの公知例では、最初は
よい結果を示すが、徐々に分解し、工業生産で通常用い
る連続法では不安定になる触媒を用いている。つまり
“バツチ法”では必ずしも正しい触媒評価ができないが
これは触媒の安定性が連続法を除き正しく評価できない
ことによる。また公知例にはある触媒が側鎖アルデヒド
の製造でよい結果を与えるかどうかを判断できるだけの
記載がない。
ほとんどの公知例は直鎖、末端置換アルデヒドの生産
を扱つているが、多くの場合側鎖アルデヒドが所望され
る。たとえば、側鎖アルデヒドは、直鎖異性体とは逆
に、多くのポリマーの製造原料として所望されている。
つまり、ブテン−2から製造されうる2−メチルブタナ
ールはイソプレンの製造原料として有用である。
従つて本発明の目的はブテン−2のヒドロホルミル化
により高選択率をもつて2−メチルブタナールを製造す
る方法を提供することにある。さらに本発明の目的は経
済的な製造条件を用い高い反応速度と選択率にて、且つ
連続操作条件で安定性にすぐれた触媒を用いて、ブテン
−2をヒドロホルミル化して2−メチルブタナールを製
造する方法を提供することにある。本発明の更なる目的
はある触媒がブテン−2のヒドロホルミル化による2−
メチルブタナールの製造に有効かどうかを判断する方法
及び該触媒のパラメーターを提供することにある。本発
明のこれら及び他の目的は以下の記載から明らかとなろ
う。
要約 本発明は、一つには、ブテン−2の選択的ヒドロホル
ミル化による2−メチルブタナールの連続選択製法にあ
り、該方法は、連続法にて、ヒドロホルミル化領域中
で、 (a) 該ブテン−2を、 (b) 一酸化炭素及び水素と、水素/一酸化炭素のモ
ル比1/5〜10/1の範囲にて、 (c) 式 RhHm(CO)nLp I ここでRhはロジウム、Hは水素、COは一酸化炭素、Lは
トリオルガノホスフインリガンドであり、mは1又は
3、nは1〜3、pは1又は2で、m、n及びpの合計
は4〜6であり、該トリオルガノホスフインリガンドは
トリシクロアルキルホスフインをも包含するトリアルキ
ルホスフインであつて、シクロアルキル基も含め3つの
アルキル基の各々は同一でも異なつていてもよく、それ
ぞれ3〜10の炭素原子を有するものから選ばれ且つ該ト
リオルガノホスフインリガンドは159〜171゜のテーパ角
度を持ち、このリガンドのニツケルトリカルボニル、Ni
(CO)3L、のジクロロメタン中でのA1カルボニルモード
の振動数(frequency)が2056.1〜2061.1の範囲にあ
る、で示されるハロゲンを持たないロジウム錯体存在の
存在下に、 (d) 該トリオルガノリンリガントを実質量の遊離の
トリオルガノリンリガンドが存在しないよう実質上非過
剰で用いると共に、 (e) 約6〜30絶対圧の範囲の圧力で、 (f) 約80℃〜150℃の範囲の温度で、接触させて、 (g) 2−メチルブタノール/他の酸素化生成物のモ
ル比が少なくとも4/1である該ブテン−2のヒドロホル
ミル化物を生成し、そして該ヒドロホルミル化領域から
該2−メチルブタナール/他の酸素化生成物のモル比が
少なくとも4/1である該ヒドロホルミル化物を回収する
ことを特徴とする方法である。
発明の説明 上記からも明らかなように、本発明は特定の圧力及び
温度条件下に、特定タイプの錯体触媒を用いてヒドロホ
ルミル化を行なうものである。ここに述べたすべての条
件及び限定は本発明にとつて臨界的であり、これらを実
質上はづれると悪い結果が得られる。ロジウム錯体触媒
の存在下にオレフインをヒドロホルミル化してアルデヒ
ドを製造することはよく知られており、それらの詳細の
ほとんどは、公知例が多数であるため省略する。ここで
の記載は所望の高選択率と高転換率を達成するために必
須のプロセス限定と触媒限定は主に制限する。換言すれ
ば、特段の記載がなければ、通常のヒドロホルミル化条
件と方法が利用しうるものである。
本発明はブテン−2(シス及びトランスの両方)のヒ
ドロホルミル化による2−メチルブタナールの製造に有
用である。2つの異性体間ではシス−2−ブテンがトラ
ンス−2−ブテンより速く反応するが、それらは同じア
ルデヒド生成組成物を与える。原料がブテン−2以外の
オレフインを含有する場合にはヒドロホルミル化領域に
供給する前にこれらの他のオレフインのほとんどを除く
必要がある。ブタジエンは本発明方法に対し特に有害で
あり可能な限りの量のブタジエンを除くべきである。ブ
タジエンや他の望ましくない成分の生成を除くためにパ
ージは有効である。本発明ではヒドロホルミル化領域に
供給するオレフインの少なくとも95%、好ましくは少な
くとも98%がブテン−2であることが好ましい。過剰量
の他のオレフインは選択性に悪影響を与える。ブテン−
2は反応領域に液体、気体のいづれかで供給されうる。
市販のブテン原料はブテン−1とブテン−2の混合物
からなつているのが通常であり、これらの混合ブテンは
容易に異性化してブテン−2が95%以上でブテン−1が
5%以下の熱平衡混合物となる。異性化は側鎖化を実質
上起こさない二重結合異性化触媒の存在下に行ないう
る。かかる触媒は公知であり、この異性化は本発明の一
部を構成しない。イソブチレンも市販の原料中に存在し
うるがその存在は本発明を妨害しない。イソブチレンを
除かない場合はこれは3−メチルブタナールは変換す
る。しかし、経済的理由で、ヒドロホルミル化前にイソ
ブチレンを原料から除くことが好ましい。
本発明のヒドロホルミル化は約6〜30絶対(気)圧、
好ましくは約15〜25絶対圧の範囲の圧力下に行なわれ
る。本発明では比較的低圧を用いるので約50気圧で操作
する公知法に比し経済的に有利である。圧力が高すぎる
とロジウム錯体触媒が本発明を行なう条件下で悪影響を
受けるようである。
ヒドロホルミル化領域での全圧は反応体と生成物と存
在しうる不活性ガスの分圧の合計に等しい。存在し全圧
にかかわる2つのガスは一酸化炭素と水素であり、一酸
化炭素と水素の組合せを通常合成ガスと称する。これら
2つの反応体の比は変りうるが、水素/一酸化炭素のモ
ル比は1/1より低くあるべきである。即ち一酸化炭素の
分圧は水素の分圧をこえるべきでない。通常、水素/一
酸化炭素のモル比は約1/1〜10/1、好ましくは約1.5/1〜
3.1の範囲にあるべきである。通常、水素/一酸化炭素
のモル比が低い方が2−メチルブタナールの選択率は高
い。ヒドロホルミル化領域の全圧の約40〜95%は一酸化
炭素と水素の分圧によるべきである。
ブテン−2もまたヒドロホルミル化領域の全圧に関与
し、その分圧は合成ガスの圧力よりも大きくも小さくも
ありうる。つまり合成ガスの量は反応領域に存在するブ
テン−2の量より多くも少なくもあり得、合成ガスに対
するブテン−2のモル比は特に臨界的という訳ではな
い。窒素等の不活性ガスがヒドロホルミル化領域に存在
する場合には、これらは全体の60%をこえる分圧になる
べきでない。
ヒドロホルミル化の温度は約80℃〜150℃の範囲であ
るべきであり、約105℃〜130℃が好ましい。約80℃より
低いと、一般に反応速度が遅すぎて実用困難であり、約
150℃をこえると所望の側鎖アルデヒドの選択率が低下
する。また約150℃より高いと触媒の不活性化が起こ
る。
本発明で用いる触媒は実験式: RhHm(CO)nLp I ここでRhはロジウム、Hは水素、COは一酸化炭素、L
はトリオルガノホスフインリガンドであり、mは1又は
3、nは1〜3、pは1又は2で、m、nとpの合計は
4〜6である、で示されるロジウム錯体触媒である。ト
リオルガノホスフインリガンドはトリアルキルホスフイ
ン(トリシクロアルキルホスフインを含む)で、3つの
アルキル基(シクロアルキル基を含む)の各々が同一又
は異なり(好ましくは同一)、それぞれ1〜8の炭素原
子を有するものから選ばれねばならない。トリオルガノ
ホスフインリガンドは159〜171゜のテーパ角度(cone a
ngle)を持ち且つジクロロメタン中でのNi(CO)3LのA1
カルボニルモードの振動数が2056.1〜2061.1cm-1の範囲
にある必要がある。本発明のロジウム錯体はオレフイン
のヒドロホルミル化に関する文献で既によく知られてお
り、公知の方法でつくることができる。公知例で知られ
ているように、この錯体触媒はヒドロホルミル化前につ
くつてもよいし、ヒドロホルミル化領域中でその場でつ
くつてもよい。
公知例には上記に示したロジウム錯体触媒が開示され
ているがそれは通常の又は内部オレフインからのノルマ
ルアルデヒドの製造に関するものであり、高い転換率と
側鎖アルデヒドへの高い選択率とすぐれた触媒安定性の
組合せをもたらす側鎖アルデヒドの製造用触媒の選択法
を教示するものはない。当業者は高選択率と高転換率が
バツチ法で必要なすべてであると認識するであろうが、
生成物を連続操作条件下に製造する工業的な方法ではす
ぐれた触媒安定性も絶対的に必要である。本発明者は側
鎖アルデヒドへの高選択率、高い転換率及びすぐれた安
定性という3つの特性を具備するには、トリアルキルホ
スフインが159〜171のテーパ角度を持ち、且つジクロロ
メタン中でのニツケルトリカルボニルホスフインの錯体
のA1カルボニルモードが2056.1〜2061.1の振動数を持つ
必要があることを見出した。つまり159〜171の範囲にテ
ーパ角度をもつホスフインでもニツケルカルボニルホス
フイン錯体のA1カルボニルモードの振動数が2056.1〜20
61.1の範囲外であれば満足な結果は得られない。また本
発明方法は上記のパラメーター内で操作する必要があ
り、特にヒドロホルミル化領域には実質量の遊離のトリ
オルガノリンリガンドが存在しない必要がある。
テーパ角度はホスフインの立体特性の尺度であり、振
動数はホスフインの電子特性又は塩基度の尺度である。
テーパ角度とニツケルトリカルボニルホスフイン錯体の
A1カルボニルモードの詳細は次の文献に記載されてい
る:Chadwick A.Tolman,「有機金属化学と均一系触媒に
おけるリンリガンドの立体効果」、“Chemical Review
s,"1977,Vol.77,No.3,313〜348頁。本発明のテーパ角度
と振動数は上記文献に従うものである。上記文献に示さ
れるように、テーパ角度は、一般に、リン原子についた
アルキル及びシクロアルキル基のすべてを含むコーンの
最小角度(ホスフインリガンド特定の点にその頂端をも
つ)である。上記文献はまたジクロロメタン中でのNi
(CO)3LのA1カルボニルモードの振動数は、Ni(CO)
とL(リガンド)を混合すると直ちにNi(CO)3Lが生成
するために選んだことが指摘されている。
適正なテーパ角度と適正な振動数を持つ好ましいトリ
アルキルホスフインとトリシクロアルキルホスフインを
表Iに示す。
本発明で特に好ましいホスフインはトリシクロヘキシ
ルホスフインである。
次の表IIは種々のトリオルガノホスフインとそれらの
テーパ角度及び振動数を示している。それらはテーパ角
度又は振動数のいづれか又は両方が適正範囲外であり、
本発明には適さないものである。
ここで転換率はモル%で示し、ブテン−2が他の生成
物に転換したモル数を100倍し供給したブテン−2のモ
ル数で割つた値である。ある生成物の効率は得られたあ
る生成物のモル数を反応して消費したブテン−2のモル
数で割つた値である。
本発明方法の実施では、ヒドロホルミル化は通常液相
均一系で行なうため触媒は通常溶液として存在する。用
いる溶媒はトルエン等の通常用いる種々の不活性溶媒の
いづれかでありうる。他の溶媒としてはヒドロキシル化
合物に富んだ高沸点液体縮合物、重合アルデヒド縮合
物、ポリα−オレフイン等がある。
ロジウムは公知の方法で反応領域に導入しうる。たと
えば、有機酸のロジウム塩を液相でリガンドと結合させ
反応領域中で合成ガスと接触させる。あるいは、触媒
を、ヘキサロジウムヘキサデカカルボニル等のロジウム
の一酸化炭素錯体とリガンドとを加熱してくるることも
できる。またアセチルアセトナートリガンドからつくつ
たロジウムジカルボニル錯体等のロジウム錯体を触媒前
駆体として反応領域に導入し次いで別々にトリオルガノ
ホスフインを反応領域に導入することもできる。同様の
触媒の製法は米国特許第4,484,006号、同4,287,370号及
び英国特許明細書第1,243,189号にも記載されている。
同様の触媒製造を記載した他の文献には、B.Fell等の
「Tetrahedron Letters」、1968,3261〜3266頁,米国特
許第4,260,828号、同4,268,688号、同4,258,214号、同
3,965,192号、ヨーロツパ特許出願公開0−080−449−A
1、米国特許第3,239,566号、同4,482,749号がある。
種々の前駆体が触媒製造に用いうるが、ハロゲン含有
前駆体は、触媒及び/又は反応系にハロゲンの少なくと
も残渣量をもたらすため用いてはならない。ハロゲンは
少量でも反応に悪影響をもつ。また、もしロジウム含有
前駆体中のロジウムがロジウムIII(+3の酸化状態)
として存在する場合はロジウムIIIをロジウムIに還元
するよう還元条件下に置くことが好ましい。つまり、た
とえば、Rh2O3を前駆体として用いる場合、触媒を高圧
下に予熱しロジウムの酸化状態を還元してから上記した
比較的低い圧力下に反応を行なうことが好ましい。逆
に、ロジウムをロジウムIIIからロジウムIに還元しな
い場合は、ヒドロホルミル化を本発明外の望ましくない
高圧下に行なわねばならなくなる。
本発明で用いる好ましい触媒は式Iの1つで、アセチ
ルアセトナートリガンでつくつたロジウムカルボニル錯
体等のロジウムのβ−ジケトン錯体からなる前駆体を用
いてつくられるものである。この錯体をつくるために用
いるβ−ジケトンは市販のものを用いうる。好ましいβ
−ジケトンにはアセチルアセトン、ジベンゾイルメタ
ン、ベンゾイルアセトン、ジピバロイルメタン、3−ア
ルキル−2,4−ペンタンジオン、2−アセチルシクロヘ
キサン等がある。β−ジケトンは好ましくは炭素、水素
及び酸素のみからなりエチレン性及びアセチレン性不飽
和結合をもたないものである。特に好ましいβ−ジケト
ンはアセチルアセトンである。
本発明の方法は公知方法の多くと類似しているが、比
較的経済的な操作条件をもたらす高選択率、高転換率と
すぐれた触媒安定のための臨界性にある。最も重要な相
違はトリオルガノホスフインの限定と低圧の使用と実質
量の遊離のホスフインリガンドの非存在にある。大過剰
のホスフインを要する公知法と異なり、本発明は特定条
件下に実質量の遊離のホスフインリガンドの非存在下に
のみ満足すべき結果をもたらす。低い圧力その他本発明
の特定条件下に過剰のホスフインを用いると反応速度が
大きく低下する。
実施例 例I−VI 下記の例I−VIは異なるロジウムホスフイン錯体触媒
の評価のためのバツチ法の結果を示す。
すべての触媒はアセチルアセトナートリガンドでつく
つたロジウムジカルボニル錯体(例外は別途示す)を用
いてつくつた。用いた特定のホスフインリガンドは各例
に示す。各々の実験は攪拌機と冷却コイルをもつ300ml
のバツチオートクレーブ中で行なつた。ロジウム触媒と
反応溶媒とホスフインをオートクレーブに入れ、オート
クレーブを密封し窒素でパージした。各バツチ実験での
供給物全容積は、ブテン−2を除き80mlだつた。ホスフ
インが空気感応性の場合はオートクレーブを窒素パージ
してから加えた。次にオートクレーブを反応温度に上げ
ブテン−2と合成ガスを入れた。反応中追加の合成ガス
を入れて圧力を一定に保つた。用いた合成ガス量を合成
ガス容器の圧力降下をモニターして測定した。一定時間
後反応を停止した。反応停止後生成物サンプルを除きガ
スクロマトグラフイーで分析した。種々のバツチ実験の
結果、そのための反応パラメーターを次の例I〜VIに示
す。各例において転換率はブテン−2のものであり、効
率はブテン−2からC5アルデヒドへのものであり、B/L
は生成物中の2−メチルブタナール/n−ペンテナールの
モル比であり時間はすべて分である。
例に示した半減期、分はブテン−2の半分が転換する
に要する時間であり、反応速度の尺度である。長い半減
期は遅い反応速度を示す。
例I 一連の実験をトリシクロヘキシルホスフインリガンド
からつくつたロジウム錯体触媒を用いるブテン−2のヒ
ドロホルミル化に対するホスフイン濃度の効果を示すた
めに行なつた。実験はいづれもトルエン溶媒中、110℃
の温度、317psigの圧力下に、水素/一酸化炭素モル比1
/1の合成ガスを用いて行なつた。触媒錯体は1ミリモル
のロジウムを与えるに足る量存在させた。実験No.1では
ホスフインは存在させず、リン/ロジウム(P/Rh)モル
比は他の実験で示してある。結果を表Iに示す。
表Iの表記実験結果はホスフイン濃度の効果を示して
おり、P/Rhモル比1が高活性、高選択性触媒を与えるに
十分であることが判る。実験No.2、4はまた合成ガスで
の予備処理がより高活性触媒を与えることを示してい
る。P/Rhモル比が2/1に増加すると、B/L比が増加し触媒
活性がわずかに減少する。
例II トリシクロヘキシルホスフインからつくつたロジウム
錯体触媒を用いるブテン−2のヒドロホルミル化に対す
るホスフイン濃度の効果を示すために別の一連の実験を
行なつた。触媒を水素/一酸化炭素モル比1/1の合成ガ
ス(317psig)で120℃で1時間予備処理した。例IIの実
験はいづれもトルエン溶媒中、120℃の温度、200psigの
圧力下に、水素/一酸化炭素モル比3/1の合成ガスを用
いて行なつた。各実験でロジウムの量は1ミリモルで一
定に保つた。次の表IIの結果はP/Rhのモル比が高いほど
反応速度(半減期で示す)が遅いことを示している。過
剰ホスフインの添加は2−メチルブタナール/n−ペンタ
ナールのB/L比を比例的には増加させず過剰ホスフイン
が必要ないことを示している。
例III 本発明におけるオルガノホスフインリガンドではない
トリフエニルホスフインからつくつたロジウム錯体触媒
を用いて実験を行なつた。これはニツケルトリカルボニ
ル錯体のA1カルボニルモードの振動数同様、テーパ角度
が所望範囲外にある。実験はトリフエニルホスフインが
本発明によるブテン−2のヒドロホルミル化による2−
メチルブタナールの製造用触媒として工業的に適さない
ことを示すために行なつた。この例では、実験を、トリ
エン溶媒中、110℃の温度、317psigの圧力下に、水素/
一般化炭素モル比1/1の合成ガスを用いて行なつた。こ
の例では錯体触媒をつくるのにアセチルアセナートは用
いず、触媒は式H(CO)RhL3−L(ここでLはトリフエ
ニルホスフイン)である。H(CO)RhL3触媒前駆体の濃
度は追加のトリフエニルホスフイン(表IIIで遊離PRh3
とに示す)に応じて変つた。次の表IIIの結果はこの触
媒が、特に合成ガス処理後に、低活性であることを示し
ている。
例IV トリシクロヘキシルホスフインリガンドからつくつた
触媒作用に対する合成ガス予備処理、圧力、温度、合成
ガス組成及びロジウム濃度の効果を示すために実験を行
なつた。触媒のリン/ロジウムモル比は2/1で、触媒
は、例外を除き1ミリモルのロジウムを与える量用い
た。触媒は、ある場合には、水素/一酸化炭素モル比1/
1の合成ガスで予備処理した。各実験はポリ−α−オレ
フイン中で、110℃の温度、300psigの圧力(実験No.4は
200psig)下に、水素/一酸化炭素モル比2/1(実験No.6
は1/1)を用いて30分間行なつた。
例V 異なる反応条件下にトリ−イソプロピルホスフインリ
ガンドからつくつた触媒の効果を示すために実験を行な
つた。触媒のリン/ロジウムモル比は2/1で、触媒は例
外を除き、1ミリモルのロジウムを与える量で用いた。
触媒は、ある場合には、水素/一酸化炭素モル比1/1の
合成ガスで予備処理した。各実験はポリ−α−オレフイ
ン溶媒中で、110℃の温度(実験No.5は120℃)、300psi
gの圧力(実験No.4は200psig)下に、水素/一酸化炭素
モル比2/1の合成ガス(実験No.6は1/1)を用いて30分行
なつた。
例VI 本発明の範囲の内外にある種々のホスフインを評価す
るために実験を行なつた。用いた錯体触媒はいづれもリ
ン/ロジウムのモル比が2/1になるようにつくつた。各
実験はトルエン溶媒中で、110℃の温度、317psigの圧力
下に、水素/一酸化炭素のモル比1/1の合成ガスを用い
て行なつた。1の実験は触媒が合成ガスで予備処理して
ないものを用い、第2の実験では触媒が合成ガスで、約
110℃、317psig(H2/CO=1)で約16〜17.5時間予備処
理したものを用いた。触媒は、1ミリモルのロジウムを
与える量用いた。但し実験7と8では0.5ミリモル濃度
のロジウムを用いてトリフエニルホスフインを評価し
た。
表VIの結果は本発明の範囲内のオルガノホスフインリ
ガンド、即ちトリシクロヘキシルホスフイン、トリ−イ
ソプロピルホスフイン及びトリ−sec−ブチルホスフイ
ン、からつくつた触媒が著動を示すことを示している。
表VIで評価した他のホスフインリガンドは本発明の範囲
外であり、選択率、転換率及び触媒安定性の点で工業的
にみて満足のいく結果は与えなかつた。ジ−tert−ブチ
ルフエニルホスフインは所望範囲のテーパ角度と振動数
を有するがトリアルキル基を持たずかわりに望ましくな
いアリール基を有するので本発明の範囲外である。表VI
の結果はトリシクロヘキシルホスフイン、トリイソプロ
ピルホスフイン及びトリ−sec−ブチルホスフインから
つくつた触媒が、合成ガスと接触後、より高活性となる
ことを示している。
例VII−X 連続操作条件下で異なる触媒を評価するために実験を
行なつた。各実験では、水素、一酸化炭素、窒素及び蒸
気化したブテン−2供給物を混合し次いで反応器に連続
的に導入した。ブテン−2は塩化物、アセチレン、その
他の不純物を除くために反応器に入れる前にガード床を
通した。一酸化炭素、水素及び窒素の混合物はブテン−
2と混合する前に酸素を除くためにガード床を通した。
反応器はタイプ316ステンレススチール製の垂、ジヤケ
ツト付円筒チユーブであり、内部部品がなく約3692mlの
全容積をもつものである。実験開始前に、反応器を窒素
パージし、次いで触媒と溶媒を入れ、ガス供給物を触媒
溶液中に分散した。反応器の温度を反応器のジヤケツト
を通して加熱したエチレングリコールを循環して保持し
た。アルデヒド生成物を未反応ガスと共に上部から取り
出し約20℃で操作しているコンデンサーに通しアルデヒ
ド生成物を凝縮し液体生成物として回収した。コンデン
サーからのガス状物は反応器に循環しなかつた。オンラ
インの連続分析計で供給ガスと反応器から除いたオーバ
ーヘツド流の組成を定常的に測定した。液体アルデヒド
生成物のサンプルを周期的にとり、ガスクロマトグラフ
イーでアルデヒドを分析しロジウム含量を原子吸収分光
法で分析した。
各実験では、触媒を反応器に導入後、合成ガスを(反
応温度と圧力にて)反応器と触媒−溶媒混合物に、ブテ
ン−2の供給開始前に約4〜8時間通した。
次の例VII−Xの各々では、データは系が安定状態に
達した後にとつたものであり、各例に示す時間は、ブテ
ン−2を最初に反応器に供給しはじめた時(時間ゼロ)
からの経過時間である。各サンプル取得は3〜6時間間
隔(より短いもの又は長いものあり、表示のとおりで行
なつた。次の例及び表では「溶液容積」は反応中の溶液
の容積であり、「B/L」は生成物中の2−メチルブタナ
ール/n−ペンタナールのモル比であり、「アルデヒド/R
h,時」は生成アルデヒドg/ロジウムg/時間を示し、「Rh
濃度」はロジウム濃度を示し、「SCFH」は32゜F、大気
圧で測定した標準立方フイート/時であり、「BU−2」
はブテン−2であり、「2MBA」は2−メチルブタナール
であり、「n−PA」はn−ペンタナールである。次の例
の各々では、触媒はアセチルアセトナートリガンドでつ
くつたロジウムジカルボニル錯体を用いてつくつた。用
いたホスフインリガンドは各例に示してある。
例VII 次表VIIはトリシクロヘキシルホスフインを用いてつ
くつた触媒を利用した連続実験の結果を示しており、触
媒はリン/ロジウムモル比2/1を有する。供給ガス温度
は約260゜Fに維持した。表VIIからこの触媒がすぐれた
結果と安定性を示すことがわかる。表VIIに示すよう
に、約88時間後に原料変更が起こつた。新しい原料中の
より高いブテン−1濃度が反応に悪影響を与え低いB/L
比をもたらした。
例VIII 次表VIIIはトリ−sec−ブチルホスフインを用いてつ
くつた触媒を利用した連続実験の結果を示している。触
媒はリン/ロジウムモル比2/1を持つ。供給ガス温度は
約260゜Fに維持した。表VIIIは顕著な結果とすぐれた触
媒安定性を示している。
例IX 次表IXはトリイソプロピルホスフインを用いてつくつ
た触媒を利用した連続実験の結果を示している。触媒は
リン/ロジウムモル比2/1を持つ。供給ガス温度は約261
゜Fに維持した。表VIIIは顕著な結果とすぐれた触媒安
定性を示している。
例X 次表Xはトリ−n−ブチルホスフイン(これは本発明
の範囲外のホスフインリガンドの1つである)を用いて
つくつた触媒を利用した連続実験の結果を示している。
触媒はリン/ロジウムモル比2/1を持つ。供給ガス温度
は約260゜Fに維持した。
表Xから明らかなように、トリ−n−ブチルホスフイ
ンリガンドを用いてつくつた触媒を利用した場合は触媒
活性もB/L比も不十分だつた。

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)ブテン−2を、 (b)一般化炭素及び水素と、水素/一酸化炭素のモル
    比1/5〜10/1の範囲にて、 (c)式 RhHm(CO)nLp I ここでRhはロジウム、Hは水素、COは一酸化炭素、Lは
    トリオルガノホスフィンリガンドであり、mは1又は
    3、nは1〜3、pは1又は2で、m、n及びpの合計
    は4〜6であり、該トリオルガノホスフィンリガンドは
    トリシクロアルキルホスフィンをも包含するトリアルキ
    ルホスフィンであって、シクロアルキル基も含め3つの
    アルキル基の各々は同一でも異なっていてもよく、それ
    ぞれ3〜10の炭素原子を有するものから選ばれ且つ該ト
    リオルガノホスフィンリガンドは159〜170゜のテーパ角
    度を持ち、このリガンドのニッケルトリカルボニル、Ni
    (CO)3L、のジクロロメタン中でのA1カルボニルモード
    の振動数が2056.1〜2061.1の範囲にある、で示されるハ
    ロゲンを持たないロジウム錯体存在の存在下に、 (d)該トリオルガノホスフィンリガンドを実質量の遊
    離のトリオルガノホスフィンリガンドが存在しないよう
    実質上非過剰で用いると共に、 (e)6〜30絶対圧の範囲の圧力で、 (f)80℃〜150℃の範囲の温度で、連続プロセスによ
    り、ヒドロホルミル化領域で、接触させ、 (g)2−メチルブタノール/他の酸素化生成物のモル
    比が少なくとも4/1である該ブテン−2のヒドロホルミ
    ル化物を生成し、そして該ヒドロホルミル化領域から該
    2−メチルブタナール/他の酸素化生成物のモル比が少
    なくとも4/1である該ヒドロホルミル化物を回収するこ
    とを特徴とする2−ブテンの選択的ヒドロホルミル化に
    より2−メチルブタナールを選択的に製造する連続法。
  2. 【請求項2】トリオルガノフィンリガンドのシクロアル
    キル基も含めたアルキル基の各々が同じである特許請求
    の範囲第1項記載の方法。
  3. 【請求項3】温度が105℃〜130℃の範囲にあり、水素/
    一酸化炭素のモル比が1.5/1〜3/1の範囲にあり、圧力が
    15〜20絶対圧の範囲にある特許請求の範囲第1項記載の
    方法。
  4. 【請求項4】温度が105℃〜130℃の範囲にあり、水素/
    一酸化炭素のモル比が1.5/1〜3/1の範囲にあり、圧力が
    15〜25絶対圧の範囲にある特許請求の範囲第2項記載の
    方法。
  5. 【請求項5】トリオルガノホスフィンリガンドがトリシ
    クロヘキシルホスフィンである特許請求の範囲第4項記
    載の方法。
  6. 【請求項6】トリオルガノホスフィンリガンドがトリ−
    sec−ブチルホスフィンである特許請求の範囲第4項記
    載の方法。
  7. 【請求項7】トリオルガノホスフィンリガンドがトリ−
    イソプロピルホスフィンである特許請求の範囲第4項記
    載の方法。
  8. 【請求項8】触媒がアセチルアセトナートリガンドとの
    ロジウム錯体からなる前駆体からつくられたものである
    特許請求の範囲第1項記載の方法。
  9. 【請求項9】触媒がアセチルアセトナートリガンドとの
    ロジウム錯体からなる前駆体からつくられたものである
    特許請求の範囲第3項記載の方法。
  10. 【請求項10】触媒がアセチルアセトナートリガンドと
    のロジウム錯体からなる前駆体からつくられたものであ
    る特許請求の範囲第4項記載の方法。
  11. 【請求項11】触媒がアセチルアセトナートリガンドと
    のロジウム錯体からなる前駆体からつくられたものであ
    る特許請求の範囲第5項記載の方法。
  12. 【請求項12】触媒がアセチルアセトナートリガンドと
    のロジウム錯体からなる前駆体からつくられたものであ
    る特許請求の範囲第6項記載の方法。
  13. 【請求項13】触媒がアセチルアセトナートリガンドと
    のロジウム錯体からなる前駆体からつくられたものであ
    る特許請求の範囲第7項記載の方法。
  14. 【請求項14】ヒドロホルミル化領域に通したブテン−
    2供給物が実質上ブタジエンを含有しない特許請求の範
    囲第4項記載の方法。
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