JPH0876390A - 単層型電子写真感光体 - Google Patents

単層型電子写真感光体

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JPH0876390A
JPH0876390A JP23957094A JP23957094A JPH0876390A JP H0876390 A JPH0876390 A JP H0876390A JP 23957094 A JP23957094 A JP 23957094A JP 23957094 A JP23957094 A JP 23957094A JP H0876390 A JPH0876390 A JP H0876390A
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JP23957094A
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Takeo Yamaguchi
剛男 山口
Hiroshi Kondo
浩 近藤
Tadahiro Yanagisawa
匡浩 柳澤
Masao Yoshikawa
雅夫 吉川
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Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 カールソン方式において耐久性、帯電性およ
び感度に優れ、また、潜像転写方式に用いた場合には潜
像転写電位が高く取れる単層型電子写真感光体を得る。 【構成】 導電性基体上に有機正孔輸送物質、有機アク
セプタ性化合物および電荷発生物質が結着剤中に分散さ
れた単一膜からなる感光層を設けた電子写真感光体にお
いて、結着剤を下記一般式(I)で表される高分子化合
物とする単層型電子写真感光体並びに同様の構成からな
る潜像転写方式用単層型電子写真感光体。 【化1】 (式中、Rは水素原子、アルキル基、アリール基または
アルコキシ基を表す。また、n、mは共重合比(モル分
率)を表す。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、第一にいわゆるカール
ソンプロセスに用いられる単層型電子写真感光体(単一
の感光層からなる)に関するものである。また、第二に
静電潜像転写プロセスに好適な単層型電子写真感光体に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】電子写真プロセスに用いられる感光体と
しては、従来、セレン、セレン−テルル合金、砒化セレ
ン、硫化カドミウム等の無機化合物が使用されてきた。
しかし、これらの材料は毒素が強く、また、アモルファ
ス状態で使用されるため取扱が厄介であり、さらに、数
十μmの厚さに真空蒸着する必要があるため製造コスト
が高い等の欠点があった。これに対して有機感光体は無
機感光体に比べて、毒性が低く、軽量、可とう性、生産
性に優れていることから上記欠点を克服するものとし
て、有機感光性材料を用いた電子写真感光体(OPC)
の開発が積極的になされ、一部実用に供されるようにな
った。これらの感光体は、電荷発生機能を有する層(C
GL)と電荷輸送機能を有する層(CTL)に機能分離
をした積層型構成のものが主流であり、もっぱら負帯電
プロセスに用いられている。これは電荷発生材料、正孔
移動材料、アクセプタ性材料等を同一膜中に分散混合し
た、いわゆる単層構造の感光体では、帯電性、感度、静
電的性質等の諸特性か疲労現象により実用レベル以下ま
で低下し易いという傾向が高いのに対し、積層型感光体
ではこれらの欠点が極力抑制することが可能である上
に、機械的強度に富み、厚膜の設計が可能なCTLを感
光体表面に配することにより、プロセスに供せられた時
に充分な耐久性を感光体に保持させることが可能となる
からである。ただし、高速プロセスにおいても支障の無
い程度の高い電荷移動度を示す有機材料は、現在のとこ
ろほとんど正孔移動の性質を有するドナー性化合物に限
定されているために、ドナー性化合物で形成されたCT
Lを表面側に配置した感光体では、その帯電極性は負帯
電となる。
【0003】しかしながら、このような機能分離型積層
構成には新たな問題が派生してきている。まず最初に感
光体の負帯電に由来するものである。一般に電子写真プ
ロセスでは信頼性の高い帯電方式として、コロナ放電方
式を採用しているが、周知のごとく当該コロナ放電は正
極性と比べて負極性の方が不安定であるため、スコロト
ロン帯電方式を採用せねばならないが、コロトロンと比
べて部品コストが高く、コストアップの一要因となって
いる。また、負極性コロナ放電はオゾンの発生をより多
く伴うために、その外部流出を防ぐ目的でオゾンフィル
タを採用しているが、これもコストアップに直結してい
る。加えて、現状、広く用いられている二成分トナーは
感光体極性が正帯電の方が環境的変動に対して安定であ
り、この点からも正帯電方式の方が望ましい。また、積
層型感光体を製造するためには、少なくとも二工程以上
の塗布が必要であるが、感度、耐久性のバランスを保持
しながら良好な画像を得るためにはCGLの膜厚をサブ
ミクロンオーダーで制御せねばならず、製造コストの引
き上げ要因となっている。
【0004】そこで、上記機能分離型の積層構成感光体
に対抗して、近年、単層構成感光体が見直されており、
例えば特公昭34−10966号公報には、ポリ−N−
ビニルカルバゾールと2,4,7−トリニトロ−9−フ
ルオレノンを含有した電荷移動錯体型単層感光体が提案
され、以降特公昭48−25658号公報および特公昭
48−38430号公報にはピリリウム系染料とポリ−
N−ビニルカルバゾールからなる共晶錯体型単層感光体
が提案されている。さらに、特開昭54−1633号公
報では電荷発生顔料を電荷輸送物質であるドナーとアク
セプタと共に樹脂中に分散した単層感光体が、さらに特
開平3−256050号公報ではアクセプタとしてジフ
ェノキノン誘導体を用いた上記と同様の構成の単層感光
体が提案されている。しかしながら、これらの感光体は
いずれも、光感度、耐久性の点で劣っており、さらに実
用化されている積層型感光体の成分を単に分散したもの
では感度以外に帯電性、耐久性等が劣るものが多く、未
だ実用的に満足できるものでは無かった。
【0005】一方、電子写真法の一方式である潜像転写
方式は、上記カールソン法と異なり、感光体と静電潜像
保持が可能な静電記録体の間に電圧を印加することによ
り、感光体上に形成された静電潜像を静電記録体上に転
写し、しかる後に転写された静電潜像を現像し可視化す
るものである。この方式は古くから知られ、例えば、
R.M.シヤファート著「電子写真」(共立出版、昭和
48年)、第700ページにTESI(潜像転写法)の
記載がある。それによると、潜像転写法には、感光体上
に先ず静電潜像が作られ、次に静電記録体上に該静電潜
像を転写する逐次法と、静電記録体と感光体を接触した
状態で静電潜像を作る直接法がある。本発明はこの内、
主として逐次法に好適な電子写真感光体に関するもので
ある。
【0006】潜像転写法はカールソン法と比べ、記録体
として導電層と誘電層が必要であるため普通紙を用いる
ことができない欠点があるが、感光体上の静電潜像を直
接現像する必要がないため、電子写真プロセスに必要な
各種ユニッとを電子写真感光体周辺に配置する装置設計
の余裕度が高いメリットがある。このようなメリットを
生かし、電子写真装置の創製期の頃には逐次潜像転写法
を採用した複写機が市販されたこともあった。このよう
な複写機に用いられた電子写真感光体として、蒸着Se
層を電荷発生層としポリビニルカルバゾールを電荷輸送
層に用いた積層型感光体がある。しかしながら、このよ
うな逐次転写方式を用いる複写機に適用可能な感光体
は、特殊な特性を持つ必要はなく、上記カールソン法用
の電子写真用感光体をそのまま逐次転写方式の潜像転写
プロセス用の感光体として用いることが可能である。
【0007】これに対し、同時転写方式では感光体に対
する工夫が逐次転写方式以上に要求され、例えば、特開
昭56−43665号公報では高耐圧の要請に対し絶縁
層を設ける等の提案がなされている。しかしながら、最
近では、このようなカールソン法の適用範囲の中でカー
ルソン法と対抗するのではなく、カールソン法では困難
な高品質な電子写真画像出力用に潜像転写法の見直しの
検討がなされている。潜像転写方式では現像後の転写工
程が必要でないため、カールソン法と比べ本質的に高精
細な高品質画像が得られる可能性を有しているからであ
る。
【0008】このような高品質画像出力装置に用いられ
る潜像転写方式用に感光体としては、感度が高く、繰り
返しによる電位の安定が重要な要素であるが、とりわ
け、転写電位が高くとれる必要がある。転写電位が低い
と出力画像の濃度が低くなる。転写電位を高めるには、
潜像転写時に感光体の電位と記録体導電層の電位の差を
大きくするよう転写電圧を印加すればよいが、転写電圧
を高くし過ぎると、画像抜けのような異常画像が発生す
る問題が生じる。また、記録体の誘電層を厚くすると記
録体の電位が向上するが、この場合でも、転写された電
荷量は増大しない。高画質化のためプロセス速度を遅く
したシステムでは、現像濃度は主として記録体の表面電
荷量で決定されるため、このような方策では画像濃度を
高くすることができないことが理解される。
【0009】以上の問題を考慮すると、高画質潜像転写
プロセスには、静電記録体の転写電位を高く確保できる
電子写真感光体が望まれていることが理解される。しか
しながら、従来用いられてきた電子写真感光体を潜像転
写プロセスに用いた場合、直ちに高い転写電位が得られ
るかどうかは不明であった。実際に、積層型感光体を該
プロセスに適用した場合には転写電位としては、かなり
低いものしか得られなかった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、カー
ルソン方式において耐久性、帯電性および感度に優れ、
また、静電潜像転写方式に適用した場合に潜像転写電位
が高くとれる単層型電子写真感光体を得ることにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、単層型で
正帯電性あるいは正負両帯電性に適した有機電子写真感
光体についていろいろな角度から検討を重ねてきた結
果、感光層構成成分として、下記一般式(I)で表され
る高分子化合物を結着剤として用い、これと共に電荷発
生物質、有機正孔輸送物質および有機アクセプタ性化合
物を用いることで望ましい電子写真感光体が得られるこ
とを確かめた。また、さらに、本発明者らは本電子写真
感光体が従来のカールソンプロセスのみならず、静電潜
像転写プロセスに適用した場合にも良好な効果を奏する
ことを見出し、本発明に至った。
【0012】すなわち、本発明によれば、第一に、導電
性基体上に有機正孔輸送物質、有機アクセプタ性化合物
および電荷発生物質が結着剤中に分散された単一膜から
なる感光層を設けた電子写真感光体において、結着剤が
下記一般式(I)で表される高分子化合物であることを
特徴とする単層型電子写真感光体が提供される。
【化1】 (式中、Rは水素原子、アルキル基、アリール基または
アルコキシ基を表す。また、n、mは共重合比(モル分
率)を表す。)
【0013】第二に、電子写真感光体上に静電潜像を形
成した後に、該感光体の表面側に静電記録体を接触さ
せ、該感光体と該静電記録体の間に電圧を印加して静電
記録体上に感光体に対応した静電潜像を転写し、しかる
後に該静電記録体上の静電潜像を可視化する潜像転写方
式の電子写真法に用いられる電子写真感光体において、
該感光体が有機正孔輸送物質、有機アクセプタ性化合物
および電荷発生物質が結着剤中に分散された単一膜から
なる感光層を有し、該結着剤が下記一般式(I)で表さ
れる高分子化合物であることを特徴とする単層型電子写
真感光体が提供される。
【化1】 (式中、Rは水素原子、アルキル基、アリール基または
アルコキシ基を表す。また、n、mは共重合比(モル分
率)を表す。)
【0014】第三に、上記第一または第二に記載した単
層型電子写真感光体において、前記一般式(I)で表さ
れる高分子化合物中のイミド化率が2〜50mol%で
あることを特徴とする単層型電子写真感光体が提供され
る。
【0015】第四に、上記第一または第二に記載した単
層型電子写真感光体において、前記一般式(I)で表さ
れる高分子化合物の重量平均分子量が1,000〜1,
000,000の間にあることを特徴とする単層型電子
写真感光体が提供される。第五に、少なくとも粒子状の
電荷発生物質、有機正孔輸送物質および有機アクセプタ
性化合物が上記結着剤中に分散され、かつ、有機正孔輸
送物質と有機アクセプタ性化合物の重量組成比が1/5
〜50/1の間にあることを特徴とする単層型電子写真
感光体が提供される。
【0016】以下に本発明を添付の図面に沿って詳細に
説明する。本発明の感光体は、図1で示される構成より
なる。1は導電性基体、2は感光層、21は電荷発生顔
料、22は結着剤23に分子状に分散された有機正孔輸
送物質、24は分子状に分散された有機アクセプタ性化
合物を表している。本発明における結着剤の役割は、い
ずれの電子写真方式においてもおおよそ共通しており、
電荷発生顔料の良好な分散と、電荷輸送物質の分子状の
分散ばかりでなく、感光体の耐久性をより向上すること
も担っている。
【0017】本発明で使用される結着樹脂は、下記一般
式(I)の構造により形成されているアクリルイミド共
重合体である。具体的には後記表1の構造を有するもの
が挙げられる。
【化1】 ここでRは水素原子、アルキル基、アリール基、アルコ
キシ基、エーテル基などを表す。また、上式でn、mは
本結着剤の共重合比(モル分率)を表す。また、本樹脂
の重量平均分子量は1,000〜1,000,000の
間にあることが望ましい。これは上記範囲よりも重合度
が低い場合には顔料等の添加剤の分散性が著しく低下
し、さらにこれよりも大きい場合には製膜が非常に困難
となるためである。
【0018】しかしながら、現状では何故当該アクリル
イミド系高分子を結着剤として用いた場合に良好な結果
をもたらすのか完全には把握できていないが、耐久性に
関しては分子内のイミド基の存在により感光体膜の安定
性が向上したものと考えられる。
【0019】当該結着剤の感光層全体に占める量は、カ
ールソン、潜像転写両方式共に、他の添加剤量から換算
して20〜90wt%が適しており、好ましくは30〜
70wt%である。なお、本樹脂はアクリル樹脂を原料
として、アクリロニトリルを経由した環化重縮合反応等
の公知の方法で製造することが可能である。この時、イ
ミド化率は上記反応条件により制御することが可能であ
り、これにより感光体の耐久性や感度等の諸特性を制御
することも可能である。本樹脂の具体例としては三菱レ
イヨン社製PMIレジン等を挙げることができる。
【0020】
【表1】
【0021】本発明における感光層の厚さは、カールソ
ン方式では3〜50μmが好ましい。これより薄いと帯
電性が低下し、厚いと感光体の感度が低下し得られる画
像が地汚れ等の画像欠陥を生じ易くなるためである。ま
た、静電潜像転写方式では、当該感光体膜厚さは3〜3
0μmが好ましい。これより厚い場合は感光体の静電容
量が低下し転写電位の低下を来すため、得られる画像の
コントラストが低下するためである。
【0022】次に本発明者等は正孔輸送物質についても
検討を行い、特にカールソン方式および静電潜像転写方
式において正帯電を共用する場合を想定して、正孔輸送
物質が分子状に分散されたマトリックス中に発生した正
孔が効率よく注入され高速に移動するような高い正孔移
動度を有するものを選定し本発明に至った。
【0023】本発明で使用される有機正孔輸送物質は以
下のものである。第一に、下記一般式(II)で表される
化合物である。
【化2】 (式中、Ar1、Ar2およびAr3は、無置換の、また
はアルキル基、アルコキシ基、チオアルコキシ基、アリ
ールオキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基もし
くはアミノ基で置換されたアリール基もしくは複素環基
を表す。)
【0024】第二に、下記一般式(III)で表される化
合物である。
【化3】 (式中、R1およびR2は、水素原子、アルキル基もしく
はアリール基を表し、また、R1とR2の間で環を形成し
てもよい。Ar1はアリーレン基もしくは複素環基を、
Ar2およびAr3はアルキル基、アリール基もしくは複
素環基を表す。)
【0025】第三に下記一般式(IV)で表される化合物
である。
【化4】 (式中、Ar1、Ar2およびAr3は、無置換の、また
はアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ
基、ニトロ基もしくはアミノ基で置換されたアリール基
もしくは複素環基を表す。) 第四に、下記一般式(V)で表される化合物である。
【0026】
【化5】 (式中、Ar1、Ar2、Ar5およびAr6は、無置換
の、またはアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、
シアノ基、ニトロ基もしくはアミノ基で置換されたアリ
ール基を、Ar3およびAr4は、無置換の、または上記
置換基で置換されたアリーレン基を表す。)
【0027】第五に、下記一般式(VI)で表される化合
物である。
【化6】 (式中、Ar1、Ar2、Ar3およびAr4は、無置換
の、またはアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、
シアノ基、ニトロ基もしくはアミノ基で置換されたアリ
ール基を、Xはアルキレン基、硫黄、酸素もしくは(C
H=CH)n(nは1以上の整数)を表す。)
【0028】第六に、下記一般式(VII)で表される化
合物である。
【化7】 (式中、Ar1は、無置換の、またはアルキル基、アル
コキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基もしくは
アミノ基で置換されたアリール基もしくは複素環基を、
Ar2およびAr3はアルキル基、フェニル基もしくはナ
フチル基を表す。)
【0029】第七に、下記一般式(VIII)で表される化
合物である。
【化8】(式中、Ar1、Ar2、Ar3およびAr4は、
無置換の、またはアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン
原子もしくはアミノ基で置換されたアリール基もしくは
複素環基を表す。また、nは0または1の整数を表
す。) これらの具体例を表2−1〜2−18に示す。
【0030】
【表2−(1)】
【0031】
【表2−(2)】
【0032】
【表2−(3)】
【0033】
【表2−(4)】
【0034】
【表2−(5)】
【0035】
【表2−(6)】
【0036】
【表2−(7)】
【0037】
【表2−(8)】
【0038】
【表2−(9)】
【0039】
【表2−(10)】
【0040】
【表2−(11)】
【0041】
【表2−(12)】
【0042】
【表2−(13)】
【0043】
【表2−(14)】
【0044】
【表2−(15)】
【0045】
【表2−(16)】
【0046】
【表2−(17)】
【0047】
【表2−(18)】
【0048】
【表2−(19)】
【0049】図2は逐次転写方式における静電潜像の転
写状況を表している。図中、3は静電記録体、31は静
電記録体の誘電層、32は静電記録体の導電層、4は導
電ローラ、5は転写時の印加電圧を示している。なお、
印加電圧値の設定により、感光体の帯電部が転写される
モード(ポジ転写)と感光体の非帯電部あるいは低帯電
部が転写されるモード(ネガ転写)が選択できる。
【0050】本発明のこのような感光体は帯電性と感度
に優れ、逐次転写プロセスに用いると、白抜けのような
異常画像が出現しない転写条件で、記録体の転写電位を
十分な現像濃度が達成できるところまで高くとれる。こ
の理由は現在明瞭ではなく、今後更に検討が必要である
が、帯電性と感度が高いことも次の理由から転写電位が
高くとれることにつながっている。
【0051】高画質化を目指した場合には、顕像化まで
の各プロセスを緩やかな条件で実施する必要があり、遅
いプロセス速度となる。このような場合、帯電から転写
までの時間を要すことになる。帯電性が不良な感光体を
用いた場合には、暗減衰速度が速いため、画像部と非画
像部の電位コントラストが低下し、転写後の静電記録体
上の電位コントラストも低くなってしまう。また、感度
が優れていることは、感光体上での電位コントラストが
大きくとれ、静電記録体上での電位コントラストも高く
とれることにつながる。
【0052】正帯電で使用する場合、暗減衰を生じる主
な原因は基板からの電子注入であるが、この帯電極性で
使用する感光体は正孔移動機能がはるかに勝り、基板か
らの電子注入性は低いため帯電性が確保される。また、
電荷発生物質の光電荷発生効率が良好なことに加え、発
生した正孔が正孔輸送物質が分子状に分散されたマトリ
ックスに効率よく注入され高速に移動するため高感度が
発現していると考えられる。本発明で使用する正孔輸送
物質は正孔移動度の高さで特に優れている。
【0053】また、有機アクセプタ性化合物を使用した
場合の利点は、正孔輸送物質と有機アクセプタ性化合物
の組成を変えることで、正負両方の帯電極性に対応でき
ることである。有機アクセプタ性化合物の使用は、ま
た、残留電位の低下と感光体の静電的特性の長寿命化を
もたらす。これらの改良の原因は明確ではないが、その
1つとして光照射により電荷発生物質で発生した正孔と
電子のうち電子を引き抜くことで電荷発生物質の内部電
界の低減の防止と電気抵抗の低下を防止することが考え
られる。
【0054】本発明に用いられる電荷発生物質の組成比
は、両方式共に0.1〜40wt%が好ましく、特に
0.3〜25wt%の範囲が適当である。さらに、本発
明に用いられる正孔輸送物質の組成比は同じく両方式共
に10〜80wt%、好ましくは20〜50wt%が適
当である。また、本発明で用いることができる電荷発生
物質としては、カールソン、潜像転写両方式に共用でき
るものとして、例えばX型の無金属フタロシアニン、π
型の無金属フタロシアニン、τ型の無金属フタロシアニ
ン、ξ型の銅フタロシアニン、α型チタニルフタロシア
ニン、β型チタニルフタロシアニン等のフタロシアニン
顔料やジスアゾ・トリスアゾ系顔料、アントラキノン系
顔料、多環キノン系顔料、インジゴ顔料、ジフェニルメ
タン、トリメチルメタン系顔料、シアニン系顔料、キノ
リン系顔料、ベンゾフェノン、ナフトキノン系顔料、ペ
リレン顔料、フルオレノン系顔料、スクアリリウム系顔
料、アズレニウム系顔料、ペリノン系顔料、キナクリド
ン系顔料、ナフタロシアニン系顔料、ポルフィリン系顔
料が使用できる。
【0055】本発明で用いることができる有機アクセプ
タ性化合物としては、同様に両方式に共用できるものと
して、キノン化合物、ニトリル基を有するπ電子化合
物、ニトロ基を有するπ電子化合物等が挙げられる。有
機アクセプタ性化合物を使用した場合、正孔輸送物質と
有機アクセプタ性化合物の量比は1/5〜50/1の範
囲である。正孔輸送物質がこれよりも多い場合には静電
特性の繰り返し性が低下し、少ない場合には帯電性が劣
化する。
【0056】本発明で用いることができる導電性基体と
しては、アルミニウム、ニッケル、銅、ステンレス等の
金属板、金属ドラムまたは金属箔、アルミニウム、酸化
スズ、ヨウ化銅の薄膜を塗布したプラスチックフィルム
あるいはガラス等が挙げられる。本発明の感光体では帯
電性を改良する目的で感光層と導電性基体の間に下引き
層を設けることができる。これらの材料としては前記結
着剤材料の他に、ポリアミド樹脂、ポリビニルアルコー
ル、カゼイン、ポリビニルピロリドン等を用いることが
できる。本発明の感光体をつくるには、前記の材料を有
機溶媒中に溶解、または、ボールミル、超音波等で分散
して調製した感光層形成液を浸漬法やブレード塗布、ス
プレー塗布、ワイヤー塗布、カーテン塗布、ローラ塗布
等公知の方法で基体上に塗布し感光層を形成すればよ
い。
【0057】
【実施例】以下本発明を実施例により説明するが、これ
により本発明の態様が限定されるものではない。
【0058】実施例1 下記構造式(a)で表されるビスアゾ顔料1重量部とア
クリルイミド樹脂(三菱レイヨン社製PMIレジン、イ
ミド化率35mol%)1重量部、テトラヒドロフラン
18重量部をボールミリングした後、固形分組成が顔料
組成4wt%、樹脂組成が50wt%、正孔輸送物質
(NO.D2−12)が26wt%、下記構造式(b)
の有機アクセプタ性化合物が20wt%となるよう樹脂
溶液、正孔輸送物質、有機アクセプタ性化合物を各々加
え、感光体の塗布液を作製した。この液をアルミニウム
基体上にブレード塗布し加熱乾燥して約14μmの単層
型電子写真感光体を作製した。この感光体を川口電機社
製静電複写紙試験装置(SP−428)で帯電電位Vs
(帯電開始後20秒後の表面電位値)と光照射30秒後
の残留電位V30を測定した。さらに本感光体に対して東
洋精機社製ロータリアブレージョンテスターを用い摩耗
環CS−5、荷重1,000g、60rpm、3,00
0回転にて摩耗試験を行い、試験前後の試料の重量変化
△wを測定した。さらに、この感光体を60℃、80%
RHの環境下で1,000時間放置した後に、再度、上
記静電複写紙装置にてVs、V30の測定を行ない、放置
前のデータとの差をそれぞれ△Vs、△V30とした。表
3にそれら評価結果を示す。
【化9】
【化10】
【0059】実施例2〜7 実施例1の正孔輸送物質を代えた以外は実施例1と同様
に感光層を作製し感光体特性を測定した。結果を表3に
示す。
【0060】比較例1 実施例1のアクリルイミド樹脂をポリカーボネートに代
えた以外は実施例1と同様に感光体を作製し、静電特性
を評価した。結果を表3に示す。
【表3】
【0061】実施例8 実施例1で用いた感光体を暗中で+6.5KVでコロナ
帯電し、暗減衰の表面電位が600Vになったところで
30luxのタングステン光を1秒間照射した。光照射
後、静電記録紙を感光体の表面に近ずけ、導電ローラに
より転写紙を感光体表面に圧接しながら引き離した。こ
の際、導電ローラには感光体の露光部電位との電位差が
+800Vとなるように電圧を印加した。静電記録紙上
の表面電位を測定したところ−130Vが得られた。静
電記録紙の静電容量より、この電位は表面電荷密度8.
7×10-8C/cm2に相当し、現像に対して十分な表
面電荷密度に達していることが分かった。また、未露光
部に対して同様の条件で転写電位を測定したところ転写
電位は0Vであった。
【0062】実施例9〜14 実施例2〜7で使用した感光体を用い、実施例8と同様
の方法により転写特性を測定した。結果を表4に示す。
【表4】
【0063】実施例15〜21 実施例1の正孔輸送物質を表5記載のものに代え、さら
に、有機アクセプタ性化合物下記構造式(c)の有機ア
クセプタ性化合物に代え、顔料組成を4%、樹脂組成5
0%、正孔輸送物質組成を30%、アクセプタ性化合物
組成16%とし、感光層を作製した。その後、実施例1
と同様に転写特性を測定したところ、未露光部では0
V、露光部では表5の結果が得られた。
【化11】
【表5】
【0064】実施例22〜25 実施例1〜14の顔料を下記構造式(d)のものに代
え、正孔輸送物質を表6のものに代えた以外は実施例1
と同様に感光層を作製し、実施例8〜14と同様の方法
で転写特性を測定したところ、表6の結果を得た。
【化12】
【表6】
【0065】比較例2 実施例1の正孔輸送物質を下記のものに代え、実施例1
と同様に帯電したところ、暗減衰が大きすぎ、未露光部
で−40V、露光部で−120Vの転写電位が得られ
た。
【化13】
【0066】比較例3 実施例1の基板上の実施例1で使用したアゾ顔料と樹脂
(重量比で1/1)からなる0.5μmの電荷発生層を
設けた。その上に実施例1で使用した正孔輸送物質1g
と樹脂1gをテトラヒドロフラン18gに溶解した液を
塗布し厚さ14μmの電荷輸送層を設けた。この感光体
を実施例17と同様に転写電位の測定を行ったところ、
未露光部で−50V、露光部で0Vの結果となった。
【0067】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、単一の
感光層に前記一般式(I)で表されるアクリルアミド系
高分子化合物からなる結着剤中に電荷発生物質、有機正
孔輸送物質、有機アクセプタ性化合物を分散させて形成
させることによりカールソン方式においては良好な電子
写真特性と優れた耐久性を有し、さらに、静電転写プロ
セスに用いた場合には高い転写電位を有する単層型電子
写真感光体が得られる。さらにまた、有機正孔輸送物質
を選定することにより転写特性のさらに優れた単層型電
子写真感光体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の単層型電子写真感光体における感光層
の構成を示す概略説明図である。
【図2】本発明における静電潜像の転写状況を示す概略
説明図である。
【符号の説明】
1・・・導電性基体、2・・・感光層、21・・・電荷
発生物質、22・・・結着剤23に分子状に分散された
有機正孔輸送物質、24・・・分子状に分散された有機
アクセプタ性化合物、3・・・静電記録体、31・・・
誘電層、4・・・導電ローラ、5・・・転写時の印加電
圧。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G03G 5/06 322 (72)発明者 吉川 雅夫 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性基体上に有機正孔輸送物質、有機
    アクセプタ性化合物および電荷発生物質が結着剤中に分
    散された単一膜からなる感光層を設けた電子写真感光体
    において、結着剤が下記一般式(I)で表される高分子
    化合物であることを特徴とする単層型電子写真感光体。 【化1】 (式中、Rは水素原子、アルキル基、アリール基または
    アルコキシ基を表す。また、n、mは共重合比(モル分
    率)を表す。)
  2. 【請求項2】 電子写真感光体上に静電潜像を形成した
    後に、該感光体の表面側に静電記録体を接触させ、該感
    光体と該静電記録体の間に電圧を印加して静電記録体上
    に感光体に対応した静電潜像を転写し、しかる後に該静
    電記録体上の静電潜像を可視化する潜像転写方式の電子
    写真法に用いられる電子写真感光体において、該感光体
    が有機正孔輸送物質、有機アクセプタ性化合物および電
    荷発生物質が結着剤中に分散された単一膜からなる感光
    層を有し、該結着剤が下記一般式(I)で表される高分
    子化合物であることを特徴とする単層型電子写真感光
    体。 【化1】 (式中、Rは水素原子、アルキル基、アリール基または
    アルコキシ基を表す。また、n、mは共重合比(モル分
    率)を表す。)
  3. 【請求項3】 一般式(I)で表される高分子化合物中
    のイミド化率が2〜50mol%であることを特徴とす
    る請求項1または2記載の単層型電子写真感光体。
  4. 【請求項4】 一般式(I)で表される高分子化合物の
    重量平均分子量が1,000〜1,000,000の間
    にあることを特徴とする請求項1または2記載の単層型
    電子写真感光体。
  5. 【請求項5】 少なくとも粒子状の電荷発生物質、有機
    正孔輸送物質および有機アクセプタ性化合物が上記結着
    剤中に分散され、かつ、有機正孔輸送物質と有機アクセ
    プタ性化合物の重量組成比が1/5〜50/1の間にあ
    ることを特徴とする請求項1または2記載の単層型電子
    写真感光体。
  6. 【請求項6】 有機正孔輸送物質として下記一般式(I
    I)で表される化合物を用いることを特徴とする請求項
    1または2記載の単層型電子写真感光体。 【化2】 (式中、Ar1、Ar2およびAr3は、無置換の、また
    はアルキル基、アルコキシ基、チオアルコキシ基、アリ
    ールオキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基もし
    くはアミノ基で置換されたアリール基もしくは複素環基
    を表す。)
  7. 【請求項7】 有機正孔輸送物質として下記一般式(II
    I)で表される化合物を用いることを特徴とする請求項
    1または2記載の単層型電子写真感光体。 【化3】 (式中、R1およびR2は、水素原子、アルキル基もしく
    はアリール基を表し、また、R1とR2の間で環を形成し
    てもよい。Ar1はアリーレン基もしくは複素環基を、
    Ar2およびAr3はアルキル基、アリール基もしくは複
    素環基を表す。)
  8. 【請求項8】 有機正孔輸送物質として下記一般式(I
    V)で表される化合物を用いることを特徴とする請求項
    1または2記載の単層型電子写真感光体。 【化4】 (式中、Ar1、Ar2およびAr3は、無置換の、また
    はアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ
    基、ニトロ基もしくはアミノ基で置換されたアリール基
    もしくは複素環基を表す。)
  9. 【請求項9】 有機正孔輸送物質として下記一般式
    (V)で表される化合物を用いることを特徴とする請求
    項1または2記載の単層型電子写真感光体。 【化5】 (式中、Ar1、Ar2、Ar5およびAr6は、無置換
    の、またはアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、
    シアノ基、ニトロ基もしくはアミノ基で置換されたアリ
    ール基を、Ar3およびAr4は、無置換の、または上記
    置換基で置換されたアリーレン基を表す。)
  10. 【請求項10】 有機正孔輸送物質として下記一般式
    (VI)で表される化合物を用いることを特徴とする請求
    項1または2記載の単層型電子写真感光体。 【化6】 (式中、Ar1、Ar2、Ar3およびAr4は、無置換
    の、またはアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、
    シアノ基、ニトロ基もしくはアミノ基で置換されたアリ
    ール基を、Xはアルキレン基、硫黄、酸素もしくは(C
    H=CH)n(nは1以上の整数)を表す。)
  11. 【請求項11】 有機正孔輸送物質として下記一般式
    (VII)で表される化合物を用いることを特徴とする請
    求項1または2記載の単層型電子写真感光体。 【化7】 (式中、Ar1は、無置換の、またはアルキル基、アル
    コキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基もしくは
    アミノ基で置換されたアリール基もしくは複素環基を、
    Ar2およびAr3はアルキル基、フェニル基もしくはナ
    フチル基を表す。)
  12. 【請求項12】 有機正孔輸送物質として下記一般式
    (VIII)で表される化合物を用いることを特徴とする請
    求項1または2記載の単層型電子写真感光体。 【化8】 (式中、Ar1、Ar2、Ar3およびAr4は、無置換
    の、またはアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子も
    しくはアミノ基で置換されたアリール基もしくは複素環
    基を表す。また、nは0または1の整数を表す。)
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