JPH0875862A - 放射線測定装置 - Google Patents

放射線測定装置

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JPH0875862A
JPH0875862A JP20999894A JP20999894A JPH0875862A JP H0875862 A JPH0875862 A JP H0875862A JP 20999894 A JP20999894 A JP 20999894A JP 20999894 A JP20999894 A JP 20999894A JP H0875862 A JPH0875862 A JP H0875862A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】診断部と信号処理部を設けて検査のために測定
装置を止めたり、標準線源による分解能試験を行わなく
ても、通常の測定作動中において放射線検出器の診断が
できる放射線測定装置を提供する。 【構成】請求項1記載の発明に係る放射線測定装置は、
放射線検出器にて検出して電気信号に変換された信号を
入力して放射線の測定を行う放射線測定装置において、
前記放射線検出器1の出力信号の異常を診断する診断部
22と、この診断部22の診断結果から出力信号の処理を行
う信号処理部23を設けたことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は放射線測定装置に係り、
特に放射線検出器の動作中においても異常の検出が可能
な放射線測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の放射線測定装置について放射線検
出器が半導体検出器の場合を例にして説明する。図43の
ブロック構成図に放射線のエネルギースペクトルを測定
する放射線スペクトロメータを示す。この放射線スペク
トロメータは、半導体検出器1、プリアンプ2、リニア
アンプ3、アナログデジタル変換器4(Analog to Digi
tal Converter 、以下ADCと略称する)、およびプロ
セスメモリ5より構成され、さらに必要に応じて計算機
6やスペクトル表示装置7を備えている。
【0003】また、図44の信号波形図はそれぞれ(a)
に検出器1の出力信号8の波形、(b)にプリアンプ2
の出力信号9の波形、そしてリニアアンプ3の出力信号
10の波形を示す。半導体検出器1は放射線を電気信号に
変換するが、このときに検出器1に入射した放射線のエ
ネルギーは、最終的に半導体検出器1の内部に電子、正
孔対を生成するエネルギーに変換される。
【0004】ここで、1個の電子、正孔対が生成される
エネルギーはほぼ一定なので、発生した電子、正孔対の
数は、検出器1内で失われた入射放射線のエネルギーに
ほぼ等しい。半導体検出器1にはバイアスと呼ばれる高
電圧が印加されており、この検出器1に発生した電子、
正孔対はそれぞれ正負のバイアス印加電極に向かって移
動する。
【0005】したがって、電子、正孔対が発生してから
電極に到達するまでの間(電荷収集時間)、検出器1の
出力には電荷が発生することになる。検出器1の出力信
号8の波形は、検出器の形状や大きさ、検出器内部の電
界などにより予想することができる。
【0006】プリアンプ2は、半導体検出器1から出力
される微小な電気信号を増幅して適当な大きさの電圧に
増幅すると共に、波形整形を行って低インピーダンスの
電気信号を出力する。半導体検出器1の内部に発生した
電子、正孔対の総数は、検出器の出力信号8を積分する
ことにより得られる。
【0007】電子回路を用いて積分機能を実現するため
には、検出器から出力された電荷をコンデンサに蓄えれ
ばよい。このような原理に基くプリアンプ2を電荷型プ
リアンプと呼ぶ。次に電荷型プリアンプの基本回路を図
45(a)の回路図に示す。
【0008】この電荷型プリアンプの基本回路11は反転
増幅器12とフィードバックコンデンサ13により構成され
る。しかし、この図45(a)に示す基本回路では、検出
器1からの電荷が入力される毎に出力信号電圧が上昇
し、最終的にプリアンプ2の電源電圧付近にて飽和して
動作しなくなる。
【0009】このような問題を解決するためには、フィ
ードバックコンデンサ13に蓄積された電荷を適当な条件
で放電しなければならない。このために、一般的なプリ
アンプではフィードバックコンデンサ13と並列に抵抗を
接続して放電を行う。このようなプリアンプを抵抗フィ
ードバック型プリアンプと呼ぶ。
【0010】図45(b)は抵抗フィードバック型プリア
ンプの回路図で、抵抗フィードバック型プリアンプ14の
出力信号は、検出器に放射線が入射してから電荷が収集
されるまで上昇し、電荷収集完了と同時に指数関数的に
減衰する波形となる。減衰の時定数は反転増幅器15に並
列のフィードバックコンデンサ16とフィードバック抵抗
17との積で決まり、一般に半導体検出器1に用いられる
プリアンプでは50〜 100μs程度である。
【0011】リニアアンプ3は、プリアンプ2の出力信
号9からノイズを除去することを目的とした波形整形を
行うと共に、入力信号をADC4の変換範囲の電圧に増
幅する。放射線の発生はランダムであるため、半導体検
出器1に入射する放射線の時間間隔は統計的に分布す
る。
【0012】したがって、短い時間間隔で放射線が入射
した場合に、前の信号に入射した信号が重なることがあ
る。この現象をパイルアップと呼び、パイルアップした
信号にはエネルギー情報が保存されない。この問題を解
決するためには、1個の放射線により生じるパルス信号
をできるだけ速くグランドレベルに復帰させて、パイル
アップが生ずる確率を低減する必要がある。
【0013】このために、リニアアンプ3内の初段には
CR微分回路が設けられており、前記プリアンプ2の出
力信号9の時定数である50〜 100μsの時定数を、2〜
5μsの時定数に変換して微分した後に積分を行い、プ
リアンプ2の出力信号9に含まれるノイズを低減するよ
うにしている。
【0014】このリニアアンプ3に内蔵される微分、積
分回路を波形整形器と呼び、ガウシアンフィルタと呼ば
れる波形整形器が一般的に使用されている。図44(c)
に、ガウシアンフィルタを内蔵したリニアアンプの出力
信号10の波形を示す。ADC4は、リニアアンプ3の出
力信号10の波形のピーク部分をデジタル値に変換し、こ
の変換結果をプロセスメモリ5に出力する。
【0015】プロセスメモリ5は、ADC4の変換結果
のヒストグラムを作成して内蔵のメモリに記憶する。得
られたヒストグラムの横軸はADC4の変換結果に、ま
た縦軸は変換回数に対応する。通常、横軸をチャネル、
縦軸をカウントと呼び、チャネルは放射線エネルギー
に、またカウントは放射線の強度に対応する。
【0016】したがって、単一エネルギーの放射線が検
出器1に入射すると、ADC4の変換結果はほぼ同じ値
となるため、特定のエネルギー強度が大きなスペクトル
ピークを観測することができる。ただし、放射線検出器
の内部で発生する電荷の量が必ずしも単一エネルギーの
放射線に対して一定でないことや、回路系でのノイズの
影響で、スペクトルピークは広がりを持った形状となる
が広がりが小さいほど、エネルギーが接近した2つの放
射線を識別する能力(分解能)が高いことになる。
【0017】この分解能は放射線スペクトロメータの性
能を示すための指標となり、通常は、スペクトルピーク
先端部分のカウント値の半分のところにおける広がり具
合(半値幅)を用いている。
【0018】計算機6は、必要に応じてプロセスメモリ
5に記録された放射線エネルギースペクトルを読みだ
し、放射線の定性、定量などの分析を行う。またスペク
トル表示装置7では、プロセスメモリ5に記録された情
報をスペクトルとして表示する。
【0019】以上の放射線スペクトロメータについて従
来は、放射線検出器1の診断を行う場合に、リーク電流
と分解能に関する試験を行っている。先ずリーク電流
は、放射線検出器1の表面や内部の劣化により増加する
ので、半導体検出器1の健全性を診断する上で重要なパ
ラメータである。
【0020】図45(b)に示す抵抗フィードバック型プ
リアンプ14において、反転増幅器15のフィードバック回
路にフィードバック抵抗17が接続されていることから、
検出器1からのリーク電流はフィードバック抵抗17の電
圧降下により電圧に変換され、抵抗フィードバック型プ
リアンプ14の出力電圧として検出することができる。
【0021】ただし、このプリアンプ14の出力電圧は、
反転増幅器15のオフセット電流と、検出器1のリーク電
流との和として検出されるので、両者を区別する手段が
必要である。リーク電流は、半導体検出器1の電極に電
圧を印加しなければほとんど流れないので、電圧を印加
しない状態でプリアンプ14の出力電圧を測定することに
より、反転増幅器15のオフセットによる出力電圧を得る
ことができる。
【0022】この出力電圧を基準として、半導体検出器
1に電圧を印加したときのプリアンプ出力電圧を測定す
ることにより、半導体検出器1自体のリーク電流を検出
することができる。具体的には、検出器1に放射線が入
射していない状態で、プリアンプ14の電源を入れた後
に、テスター等の直流電圧を測定することのできる測定
器を用いてプリアンプ14の出力電圧を測定しながら、検
出器1のバイアス電圧を少しづつ増加させ、プリアンプ
14の出力電圧の変化を観測する。
【0023】次に分解能を測定する場合は、標準線源と
呼ばれるエネルギーと、放射線の放出率が既知の線源を
用いて測定を行う。放射線スペクトロメータにおける分
解能は、放射線検出器の種類、回路系でのノイズや外来
ノイズ等の影響により異なるが、ノイズ等の周囲環境条
件が同じ状態で測定する場合は、放射線検出器の分解能
の変化を測定することができる。したがって、定期的に
標準線源によるエネルギー分解能の測定を行うことによ
り、半導体検出器1の劣化を診断していた。
【0024】
【発明が解決しようとする課題】放射線測定装置におけ
る放射線検出器に対する従来より行われているリーク電
流の検出方法では、図46の信号波形図で(a)に示すよ
うに無信号時、すなわち、放射線が半導体検出器1に入
射していないときのプリアンプの出力信号18は、ほぼ直
流信号であるのでテスターを用いて直流電圧を測定する
ことにより、検出器のリーク電流が分かる。
【0025】また図46(b)に示すように低計数率時、
すなわち、プリアンプ出力信号の減衰時定数よりも十分
に大きな時間間隔で、放射線が検出器に入射するときの
プリアンプの出力信号19は、テスターの指示が間欠的に
変化することがあるものの、直流分が多いためにテスタ
ーによる直流電圧の測定で、検出器のリーク電流が分か
る。
【0026】さらに図46(c)に示す中計数率時、すな
わち、放射線の入射により急速に上昇した出力電圧が、
十分に減衰するまでの時間(減衰時定数の10倍程度)
と、同程度の時間間隔で放射線が検出器に入射するまで
のプリアンプの出力信号20では、テスターによる直流電
圧の測定は直流分が少ないため困難になり、オシロスコ
ープによる出力信号20の波形の観測を行う必要が生ず
る。
【0027】なお、放射線が検出器に入射する間隔は統
計的なばらつきを有するので、プリアンプの出力電圧が
十分に減衰する前に入射する放射線と、減衰した後に入
射する放射線とが、オシロスコープのディスプレイ上で
観測される。
【0028】しかし、オシロスコープの時間軸を適当に
調整し、注意深く観測することにより、プリアンプから
の出力電圧が減衰ののちに到達するレベルを予想するこ
とができるので、検出器1のリーク電流を知ることが可
能であった。
【0029】しかしながら、図46(d)に示す高計数率
時、すなわち、プリアンプの出力電圧が十分に減衰する
時間よりも小さい時間間隔で放射線が入射する確率が高
い状態におけるプリアンプの出力信号21については、プ
リアンプの出力電圧が十分に減衰することがほとんどな
いので、オシロスコープを用いて観測しても十分に減衰
したときに到達するレベルを測定することができない。
【0030】したがって、この問題を解決するために
は、プリアンプの出力信号パルスの減衰時定数が既知で
あるとして、十分に減衰したときの到達レベルを演算回
路により推定する方法が提案されている(特公平5-3549
号公報「真のグランドレベル推定方法」)。
【0031】このような方法によれば、高計数率におい
ても検出器のリーク電流を知ることができるが、演算回
路が複雑で、調整が難しく、また演算処理精度等の支障
があった。
【0032】次の分解能の測定による検出器の劣化診断
について、放射線スペクトロスコピィの目的は、放射線
核種の定性および定量である。すなわち、どんな放射性
核種がどれだけ含まれているかを測定することが目的で
ある。
【0033】これには、測定対象の中に含まれる放射性
核種の種類が単一または少なければ、分解能の低い検出
器を使用しても放射線核種の定性、定量ができる可能性
があるが、放射性核種の種類が多い場合や、種類が少な
くても放出する放射線のエネルギーが接近している場合
には、できるだけ分解能の高い検出器を使用しなけれ
ば、目的を達成することができない。このように、高い
分解能を要求される用途では、検出器の異常による分解
能の低下は、放射線スペクトロメータ本来の役割を果た
せないことになる。
【0034】したがって、検出器の分解能を定期的に確
認することが重要となるが、放射線スペクトロメータの
用途によっては、定期検査が1年に1度しかできない場
合も少なくない。このような場合に対して、検出器の作
動中に分解能が低下したことの検出ができることが要望
されていた。
【0035】さらに、検出器の分解能の低下は、プロセ
スメモリ5に蓄積された放射線スペクトルに対するデー
タ処理を行って始めて検出できる情報であるため、分解
能の低下を認識した時点においては、それまで測定した
放射線スペクトルデータを放棄しなければならないとい
う問題があった。
【0036】本発明の目的とするところは、放射線測定
装置に診断部と信号処理部を設けて検査のために測定装
置を止めたり、標準線源による分解能試験を行わなくて
も、通常の測定作動中において放射線検出器の診断がで
きる放射線測定装置を提供することにある。
【0037】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
請求項1記載の発明に係る放射線測定装置は、放射線検
出器にて検出して電気信号に変換された信号を入力して
放射線の測定を行う放射線測定装置において、前記放射
線検出器の出力信号の異常を診断する診断部と、この診
断部の診断結果から出力信号の処理を行う信号処理部を
設けたことを特徴とする。
【0038】請求項2記載の発明に係る放射線測定装置
は、診断部と信号処理部を設けた放射線測定装置におい
て、診断部は放射線検出器の出力信号を入力して弾道欠
損除去後の信号の急激な変化部分の抽出と間隔を測定し
て時間間隔の診断をすると共に、この診断結果から信号
処理部は前記信号の時間間隔が接近したときに先ず先行
する信号または現在の信号を除去し、さらに接近したと
きは先行する信号と現在の信号を除去することを特徴と
する。
【0039】請求項3記載の発明に係る放射線測定装置
は、診断部と信号処理部を設けた放射線測定装置におい
て、診断部は放射線検出器の出力信号を入力して弾道欠
損除去後の信号の立上り部分の抽出と立上り速度を測定
して立上り速度の診断をすると共に、この診断結果から
信号処理部は検出器内部に電荷の捕獲領域があることを
検出して測定を継続するか検出器の異常として測定を停
止するか、または電荷収集中に放射線が入射したことを
検出して信号の除去を行うか、あるいは検出器内部に電
荷の再結合領域があることを検出して信号を除去するか
検出器の異常として放射線測定を停止することを特徴と
する。
【0040】請求項4記載の発明に係る放射線測定装置
は、診断部と信号処理部を設けた放射線測定装置におい
て、診断部は放射線検出器の出力信号を入力して弾道欠
損除去後の信号の立上り部分の抽出と立上り時間を測定
して立上り時間の診断をすると共に、この診断結果から
信号処理部は検出器内部に電荷の捕獲領域があることを
検出して測定を継続するか検出器の異常として測定を停
止するか、または電荷収集中に放射線が入射したことを
検出して信号の除去を行うか、あるいは検出器内部に電
荷の再結合領域があることを検出して信号を除去するか
検出器の異常として放射線測定を停止することを特徴と
する。
【0041】請求項5記載の発明に係る放射線測定装置
は、診断部と信号処理部を設けた放射線測定装置におい
て、診断部は放射線検出器の出力信号を入力して弾道欠
損除去後の信号の平坦部分の抽出と平坦部分の傾きを測
定して傾きの診断をすると共に、この診断結果から信号
処理部は検出器の異常兆候を検出して測定の継続をする
か、または検出器の異常として放射線測定を停止するこ
とを特徴とする。
【0042】請求項6記載の発明に係る放射線測定装置
は、放射線測定装置に設けた診断部が、放射線検出器の
出力信号を入力して信号の立上り速度および立上り時間
の測定に際して弾道欠損を除去した後の信号処理に対し
て完全微分回路を使用したことを特徴とする。
【0043】請求項7記載の発明に係る放射線測定装置
は、放射線測定装置に設けた診断部および信号処理部
が、弾道欠損除去後のアナログ信号をディジタル時系列
データに変換してディジタル数値処理を行うことを特徴
とする。
【0044】
【作用】請求項1記載の発明は、放射線検出器の出力信
号を診断部において異常の有無を診断し、信号に異常が
あり、軽微のときはこの信号を信号処理部にて除去して
放射線測定を継続するが、異常の程度によっては測定の
停止をする。これにより放射線測定作動中でも検出器の
異常が容易に検出できる。
【0045】請求項2記載の発明は、診断部において検
出器の出力信号について弾道欠損を除去した後に、信号
の急激な変化の時間間隔を診断して、この結果から信号
処理部において信号の除去あるいは測定の停止をする。
【0046】請求項3記載の発明は、診断部において検
出器の出力信号について弾道欠損を除去した後に、信号
の立上り速度を診断して、この結果から信号処理部にお
いて立上り程度が遅く信号の発生を少なくない時は測定
を継続し、発生が多い場合は検出器異常と判定する。
【0047】また電荷収集中に次の放射線が入射される
場合は、この信号を除去して測定対象から除く。さらに
立上り速度が速く、電荷の再結合領域があるが信号の発
生が少なくない場合は、この信号を除去して測定を続け
る、また信号の発生が多いときは検出器異常と判定す
る。
【0048】請求項4記載の発明は、診断部において検
出器の出力信号について弾道欠損を除去した後に、信号
の立上り時間を診断して、この結果から信号処理部にて
立上り時間が長く、信号の発生が少なくない時は測定を
継続し、発生が多い場合は検出器異常と判定する。
【0049】また電荷収集中に次の放射線が入射される
場合は、この信号を除去して測定対象から除く。さらに
立上り時間が短かく、信号の発生が少なくない場合は信
号の除去をして測定を続けるが、信号が多い場合は検出
器異常と判定する。
【0050】請求項5記載の発明は、診断部において検
出器の出力信号について弾道欠損を除去した後に、弾道
欠損除去回路の出力電圧の平坦部分の傾きを診断して、
この結果から傾きの増加を検出器の異常とし、これが軽
微であれば測定を継続させ、増加が大きい場合は検出器
異常と判定する。
【0051】請求項6記載の発明は、放射線検出器の出
力信号に対して弾道欠損の除去をした後に、信号の立上
り速度および立上り時間の測定に完全微分回路を使用し
てパルス化することにより、信号の急激に変化する部分
の抽出効果が良好なことから信号検出の精度が向上す
る。
【0052】請求項7記載の発明は、放射線検出器の出
力信号に対する弾道欠損除去後における診断部と信号処
理部をディジタル化したことにより回路構築や集積化が
容易となり、処理速度を高速にすることができる。
【0053】
【実施例】本発明の一実施例について図面を参照して説
明する。なお上記した従来技術と同じ構成部分には同一
符号を付して詳細な説明を省略する。放射線測定装置の
概略は図1のブロック構成図に示すように、検出器1と
プリアンプ2、および診断部22と診断結果の信号処理部
23、リニアアンプ3とADC24、さらにプロセスメモリ
5と計算機6、スペクトルおよび検出器の異常等を表示
する表示装置25とで構成されている。
【0054】第1発明は、検出器出力信号の急激な変化
の間隔測定により診断をするもので、図2のブロック構
成図に示すように診断部は、弾道欠損の除去26と急激な
変化部分の抽出27、急激な変化の間隔測定28、そして時
間間隔の診断29の各要素より構成されて診断結果A30を
出力する。この診断結果A30に対する信号処理部は、先
行する信号または現在の信号の除去31と、先行する信号
および現在の信号の除去32の各信号処理により構成され
ている。
【0055】第2発明は、検出器出力信号の立上り速度
の測定により診断するもので、図3のブロック構成図に
示すように診断部は、弾道欠損の除去26と立上り部分の
抽出33、立上り速度の測定34、そして立上り速度の診断
35の各要素より構成されて診断結果B36を出力する。
【0056】この診断結果B36は、信号処理部の立上り
速度が遅い信号37であると診断された信号に対して、検
出器内部に電荷の捕獲領域があることの判断38と、この
判断結果に基く測定継続39と検出器が異常であることを
示す信号発生40、同じく立上り速度が遅い信号37である
との診断に対して、電荷収集中に次の放射線が入射した
ことの判断41と、この判断結果に基く信号の除去信号42
の発生、立上り速度が速い信号43であるとの判断に対し
て検出器内部に電荷の再結合領域があることの判断44
と、この判断結果に基く信号の除去信号45の発生と検出
器が異常であることを示す信号46の発生の各信号処理に
より構成されている。
【0057】第3発明は、検出器出力信号の立上り時間
の測定により診断で、図4のブロック構成図に示すよう
に診断部は、弾道欠損の除去26と立上り部分り抽出33、
立上り時間の測定47、そして立上り時間の診断48の各要
素により構成されて診断結果C49を出力する。
【0058】この診断結果C49は信号処理部の立上り時
間が長い信号50であると診断されて、検出器内部に電荷
の捕獲領域があることの判断51と、判断結果に基く測定
継続52の発生、検出器が異常であることを示す信号53の
発生、立上り時間が長い信号50であると診断されて電荷
収集中に次の放射線が入射したことの判断54と、判断結
果に基く信号の除去55の発生、また立上り時間が短い信
号56であると判断されて検出器内部に電荷の再結合領域
があることの判断57と、この判断結果に基く信号の除去
58の発生と検出器が異常であることを示す信号59の発生
の各信号処理より構成されている。
【0059】第4発明は、検出器出力信号の平坦部分の
傾きの測定による診断で、図5のブロック構成図に示す
ように診断部は、弾道欠損の除去26と平坦部分の抽出6
0、平坦部分の傾きの測定60および傾きの診断62の各要
素より構成されていて、診断結果D63を出力する。
【0060】この診断結果D63は、信号処理部の傾きが
増加したという診断64の結果から検出器の異常兆候の判
断65と、この判断結果に基く測定継続66の発生と、検出
器が異常であることを示す信号67の発生の信号処理によ
り構成されている。
【0061】第1発明における構成の作用は、先ず、弾
道欠損の除去26について、弾道欠損の影響と、その除去
については、図45(a)に示す電荷型プリアンプの基本
回路11に、図6の特性図で(a)に示すように方形波状
の検出器の出力信号68を入力すると、図6(b)に示す
ように電荷型プリアンプ基本回路11の出力信号69の波形
は直線的に上昇し、方形波の面積Qに比例した出力電圧
Eに到達する。
【0062】また、検出器の出力信号68とは波高値とパ
ルス幅が異なり、面積が同じである検出器の出力信号70
を入力すると、電荷型プリアンプの基本回路11の出力信
号71も出力電圧Eに到達する。
【0063】したがって、図45(a)に示す電荷型プリ
アンプの基本回路11においては、検出器の出力波形が変
化しても、面積が一定、すなわち検出器1に入射した放
射線のエネルギーが一定であれば常に出力電圧Eが得ら
れる。
【0064】しかし、実際には放射線検出器用プリアン
プとしては、図45(b)に示す抵抗フィードバック型プ
リアンプ14が多く用いられている。この抵抗フィードバ
ック型プリアンプ14では、フィードバックコンデンサ16
に検出器1からの電荷が蓄積されると同時に、フィード
バック抵抗17による放電が行われる。
【0065】したがって、検出器の出力信号68に対する
抵抗フィードバック型プリアンプ14の出力は、図6
(c)の出力信号72に示すように電圧Eに到達する前に
減衰を始める。
【0066】また、検出器の出力信号68と面積が同じ
で、パルス幅の長い出力信号70に対する抵抗フィードバ
ック型プリアンプ14の出力信号73は、パルス幅の短い出
力信号68を入力したときよりもさらに低い電圧から減衰
を開始する。このように、本来到達すべき電圧Eまで到
達しない部分を弾道欠損74と呼ぶ。
【0067】実際の検出器では同じエネルギーの放射線
が入射しても、入射位置により検出器の出力信号波形が
同じにならないことが多いため、弾道欠損74がエネルギ
ー分解能に与える影響が大きい。さらに、プリアンプ2
の出力信号9はリニアアンプ3の初段で数μs程度の時
定数に微分するのが普通なので、弾道欠損74によるエネ
ルギー分解能の低下が顕著になる。
【0068】この弾道欠損の影響をなくすためには、例
えば特開昭64-15688号公報「波形整形方式」で提案され
ているような、図45(b)に示す抵抗フィードバック型
プリアンプ14の出力信号波形を、図45(a)に示す電荷
型プリアンプの基本回路11と同じ信号波形に変換する回
路があれば良い。このような回路を以降、弾道欠損除去
回路と呼び、その基本回路および入出力波形を図7に示
す。
【0069】図7(a)の回路図に示す弾道欠損除去回
路75に、(b)の信号波形図に示す指数関数的に減衰す
る抵抗フィードバック型プリアンプ14の出力信号76を入
力すると、弾道欠損除去回路75の出力信号77の波形はス
テップ状となる。
【0070】このままでは、図45(a)に示す電荷型プ
リアンプの基本回路11と同様に出力信号がプリアンプの
電源電圧にまで飽和して動作しなくなるので、図7
(a)に示す弾道欠損除去回路75にはリセット入力78が
設けられ、フィードバックコンデンサ79に蓄積された電
荷を急速に放電する役割を果たしている。
【0071】なお、弾道欠損除去回路75の入出力信号
は、反転増幅器80により互いに符号が反転した信号とな
るが、検出器に放射線が入射したときに変化する方向を
正または立上りと表現する。また、反転増幅器80の入力
側には入力抵抗81が、フィードバックコンデンサ79には
フィードバック抵抗82が接続されている。
【0072】弾道欠損除去回路75は図45(a)に示す電
荷型プリアンプの基本回路11と同じ出力信号の波形に波
形変換するので、抵抗フィードバック型プリアンプを使
用することにより発生した弾道欠損を除去するだけでな
く、抵抗フィードバック型プリアンプを使用することに
より発生した信号の歪みも除去する作用を有する。した
がって、検出器の信号波形を対象とした診断を行う場合
に正確な診断結果を得ることができる。
【0073】図8の特性図に、図2の急激な変化部分の
抽出26と、図3、図4の立上り部分の抽出33、そして図
5の平坦部分の抽出60における信号の抽出タイミング信
号を示す。
【0074】図8(a)の入力信号波形76は、放射線が
検出器に入射する毎に立上り、プリアンプのフィードバ
ック抵抗およびフィードバックコンデンサで決まる時定
数で、指数関数的に減衰する波形である。図8(b)に
示す図7(a)の弾道欠損除去回路75の出力信号77の波
形は、放射線が検出器に入射する毎に立上り、出力信号
が電源電圧に飽和する前にリセットする波形である。
【0075】図8(e)の急激な変化部分の抽出タイミ
ング信号83は、弾道欠損除去回路75の出力信号77の波形
から、図8(c)の検出器に放射線が入射したことによ
る急激な変化のタイミング信号84と、図8(d)の弾道
欠損除去回路75のリセットによる急激な変化のタイミン
グ信号85との論理和を求めることにより得られる。
【0076】図8(f)の平坦部分の抽出タイミング信
号86は、弾道欠損除去回路75の出力信号77の波形から急
激な変化部分を除くこと、すなわち急激な変化部分の抽
出タイミング信号83を論理反転したものである。また、
立上り部分の抽出タイミング信号86は、弾道欠損除去回
路75の出力信号77の波形から立上りの部分、すなわち検
出器に放射線が入射したことによる急激な変化のタイミ
ング信号84と同じタイミング信号である。
【0077】図8(g)は立上り部分の抽出タイミング
信号の詳細で、信号77と信号84を拡大して示すが、検出
器に放射線が入射したことによる急激な変化のタイミン
グ信号84のパルス幅は、弾道欠損除去後の出力信号77の
立上り時間と同じ幅であり、また、弾道欠損除去回路77
のリセットによる急激な変化のタイミング信号85のパル
ス幅は、弾道欠損除去後の出力信号77のリセットによる
立ち下がり時間と同じ幅である。
【0078】先ず、図2に示す急激な変化の間隔の診
断、および診断結果に基く信号処理による作用は、図7
(b)に示す弾道欠損除去回路75の出力信号77の波形に
おいて、検出器に放射線が入射する毎に生ずる立上りの
高さ87を測定することにより、検出器に入射した放射線
のエネルギーを求めることができる。
【0079】ただし、エネルギー分解能を向上させるた
めには、弾道欠損除去回路75の出力信号77に含まれるノ
イズを適当なフィルタにより低減しなければならない。
具体的には、立上り前の平坦部分88と立上り後の平坦部
分89のノイズ成分を低減した状態で立上りの高さ87を求
める必要がある。
【0080】このように、立上りの前後にはノイズ成分
を除去するための時間が必要となるため、この時間を確
保できない間隔で放射線が検出器に入射した場合は、測
定の対象から除去する等の信号処理を行う。
【0081】図9の特性図に信号が接近した場合の様子
を詳細に示す。測定の対象から除去するか否かを決める
条件は、先行する立上り90および現在の立上り91のそれ
ぞれの高さを求めるために必要な、立上り前の平坦部分
のノイズ成分除去に要する時間92と、立上り後の平坦部
分のノイズ成分除去に要する時間93との大小関係により
決まる。
【0082】図9(a)に示す、立上り前のノイズ除去
時間92が立上り後のノイズ除去時間93よりも小さい場合
は、信号が接近すると、先ず先行する立上り90の立上り
後の平坦部分のノイズ除去に要する時間90aが確保でき
なくなるので、先行する信号を測定の対象から除去す
る。さらに接近すると、現在の立上り91の立上り前の平
坦部分のノイズ除去に要する時間93bも確保できなくな
るので、現在の信号も測定の対象から除去する。
【0083】図9(b)に示す立上り前のノイズ除去時
間92が立上り後のノイズ除去時間93よりも大きい場合
は、信号が接近すると、まず現在の立上り91の立上り前
の平坦部分のノイズ除去に要する時間93bが確保できな
くなるので、現在の信号を測定の対象から除去する。さ
らに接近すると先行する立上り90の立上り後の平坦部分
のノイズ除去に要する時間93aも確保できなくなるの
で、先行する信号も測定の対象から除去する。
【0084】図9(c)に示す立上り前のノイズ除去時
間92と立上り後のノイズ除去時間93とが等しい場合に
は、信号が接近すると先行する立上り90の立上り後のノ
イズ成分除去に要する時間93aと現在の立上り91の立上
り前のノイズ成分除去に要する時間92bとが同時に確保
できなくなるので、先行する信号と現在の信号との両方
を除去する。
【0085】また、弾道欠損除去回路75のリセットによ
る急激な変化が発生している場合は、リセット動作の直
前または直後に検出器に入射した放射線のエネルギー情
報は失われている可能性があるのでリセット中、および
リセットの前後の信号を除去する。
【0086】さらに、検出器に放射線が入射したことに
よる図8(c)に示す急激な変化のタイミング信号84の
発生頻度が少ないにもかかわらず、図8(d)の弾道欠
損除去回路75のリセットによる急激な変化のタイミング
信号85の発生頻度が多い場合は、明らかに検出器のリー
ク電流が増加しているものと判断することができる。し
たがって、タイミング信号84とタイミング信号85の発生
間隔により測定停止や、検出器交換等の措置を行うため
の判断材料が得られる。
【0087】以上のように図2に示す信号処理は、上記
原理に基き信号の除去を行うものであり、急激な変化の
間隔測定28を行い、信号の間隔がノイズ成分除去に必要
な時間間隔よりも大きいか否かに関する時間間隔の診断
29の結果により動作するものである。
【0088】図10の特性図に時間間隔の診断結果に対す
る信号処理の状況を示す。診断結果A30に対する信号処
理を行わないときの放射線エネルギースペクトル94は、
スペクトルピーク部分の分解能が悪く、本来存在しない
エネルギー部分にも放射線が検出されたスペクトル形状
になる。
【0089】それに対し、診断結果A30に対する信号処
理を行ったときの放射線エネルギースペクトル95はスペ
クトルピーク部分のエネルギー分解能が良く、放射線が
存在しないエネルギー部分には放射線がカウントされて
いないため、真の放射線スペクトルに近い放射線エネル
ギースペクトルの測定が可能である。
【0090】第2発明における図3に示す構成につい
て、立上り速度の診断および診断結果に基く信号処理に
関する作用を説明する。検出器に放射線が入射すると検
出器内部に電荷が発生し、発生した電荷がバイアス電極
に移動しバイアス電極に収集されるまでプリアンプの出
力信号は上昇を続ける。
【0091】発生した電荷がバイアス電極に収集される
までの時間を電荷収集時間といい、電荷収集時間は電荷
が移動する経路の電界により決まる。したがって、検出
器の形状、大きさ、そしてバイアス電圧が決まれば電荷
収集時間は放射線の入射位置の関数として求めることが
できる。
【0092】電荷収集時間が放射線の入射位置により決
まる範囲の値であるとすると、信号の立上り速度の測定
34を行うことにより、電荷収集時間経過後の到達電圧を
予測することができ、予測した到達電圧と実際の到達電
圧とを比較することで、実際の信号の立上り速度が遅か
ったか、速かったかの立上り速度の診断35をすることが
できる。
【0093】すなわち、予測した到達電圧よりも実際の
到達電圧が高い場合は、本来の立上り速度よりも遅く、
予測した到達電圧よりも実際の到達電圧が低い場合は、
本来の立上り速度よりも速いと判断することができる。
【0094】図3に示すように、診断部における診断結
果B36が信号の立上り速度が遅い場合37は、検出器内部
に電荷の捕獲領域がある38か、電荷収集中に次の放射線
が入射した41の可能性があり、信号の立上り速度が速い
場合43は、検出器内部に電荷の再結合領域がある44と考
えられる。
【0095】検出器内部に電荷の捕獲領域がある場合38
は、検出器内部で発生した電荷がバイアス電極へ移動中
に捕獲された後に再放出されるためエネルギー情報は保
存される。したがって、立上り後の電圧はエネルギーに
比例した電圧まで到達するが到達までの時間がかかる。
【0096】図6に示すように、抵抗フィードバック型
プリアンプ14の出力波形72,73は検出器の出力信号波形
の変化により弾道欠損74を生ずるが、電荷型プリアンプ
基本回路11の出力波形69,71、すなわち弾道欠損除去回
路75の出力波形は、検出器の出力信号波形の変化によら
ずエネルギーに比例した電圧を得ることができる。
【0097】したがって、検出器からの信号のエネルギ
ー情報が保存されていれば立上り速度が遅くても測定継
続39が可能である。捕獲領域が検出器の一部である場合
には、立上り速度の遅い信号の発生頻度は少ないが、捕
獲領域が検出器全体に広がっている場合には立上り速度
の遅い信号の発生頻度が多くなる。
【0098】したがって、立上り速度の遅い信号の発生
頻度が増加傾向にある場合は、検出器の異常40として測
定停止や検出器交換等の処理を行うことができる。な
お、電荷収集中に次の放射線が入射した場合41は、エネ
ルギー情報が失われるので信号の除去42を行い測定対象
から除外する。
【0099】立上り速度の遅い信号37のなかから、検出
器内部に電荷の捕獲領域がある場合38と、電荷収集中に
次の放射線が入射した場合41とは放射線の計数率により
区別する。前者の発生頻度は計数率によらず、後者の発
生頻度は計数率に依存する。したがって、低計数率時に
立上り速度の遅い信号を観測した場合は、検出器内部に
電荷の捕獲領域がある場合と判断することができる。
【0100】検出器内部に電荷の再結合領域がある場合
44は、移動中の電荷が結合して存在しなくなるためエネ
ルギー情報が保存されないので、信号の除去45を行い測
定対象から除外する。
【0101】また、再結合領域が検出器の一部である場
合には立上り速度の速い信号の発生頻度は少ないが、再
結合領域が検出器全体に広がっている場合には立上り速
度の速い信号の発生頻度が多くなるので、立上り速度の
速い信号の発生頻度が増加傾向にある場合は、検出器の
異常46と判断して測定停止や検出器交換等の処理を行う
ことができる。以上のように診断結果B36により検出器
内部の異常を検出することができ、測定停止や検出器の
交換等の処理を行うための判断ができる。
【0102】図11の特性図に立上り速度の診断結果に対
する信号処理の作用を示す。図3に示す電荷収集中に次
の放射線が入射した場合41は、信号の除去42を行うこと
により、スペクトルピーク96とスペクトルピーク97のエ
ネルギー部分に同時に入射したことにより生じるサムピ
ーク98を除去することが可能である。
【0103】また、検出器内部に電荷の再結合領域があ
る場合44に生ずる低エネルギー側の盛り上がり99を除去
することが可能である。このように、検出器内部に異常
があると判断された場合でも、個々の信号が正常である
か異常であるかを診断し、異常な信号を除去することに
より正常なエネルギースペクトル測定を継続することが
できる。
【0104】第3発明における図4に示す立上り速度の
診断、および診断結果に基く信号処理に関する作用は、
検出器に放射線が入射すると検出器内部に電荷が発生
し、発生した電荷がバイアス電極に移動しバイアス電極
に収集されるまでプリアンプの出力信号は上昇を続け
る。発生した電荷がバイアス電極に収集されるまでの時
間を電荷収集時間といい、電荷収集時間は電荷が移動す
る経路の電界により決まる。
【0105】したがって、検出器の形状、大きさ、そし
てバイアス電圧が決まれば、電荷収集時間は放射線の入
射位置の関数として予測することができる。信号の立上
り時間の測定47を行って予測値と比較することにより、
実際の信号の立上り時間が長かったか、短かったかを立
上り時間の診断48することができる。
【0106】図4に示すように診断結果C49から信号の
立上り時間が長い場合50は、検出器内部に電荷の捕獲領
域がある51か、電荷収集中に次の放射線が入射した54可
能性があり、信号の立上り時間が短い場合56は、検出器
内部に電荷の再結合領域がある57と考えられる。
【0107】検出器内部に電荷の捕獲領域がある場合51
は、検出器内部で発生した電荷がバイアス電極へ移動中
に捕獲された後に再放出されるためエネルギー情報は保
存される。したがって、立上り後の電圧はエネルギーに
比例した電圧まで到達するが到達までの時間がかかる。
【0108】図6(c)に示すように、抵抗フィードバ
ック型プリアンプ14の出力波形72,73は、検出器の出力
信号波形の変化により弾道欠損74を生ずるが、電荷型プ
リアンプの基本回路11の出力波形69,71、すなわち弾道
欠損除去回路75の出力波形は、検出器の出力信号波形の
変化によらずエネルギーに比例した電圧を得ることがで
きる。したがって、検出器からの信号のエネルギー情報
が保存されていれば立上り時間が長くても測定継続52が
可能である。
【0109】捕獲領域が検出器の一部である場合には立
上り時間の長い信号50の発生頻度は少ないが、捕獲領域
が検出器全体に広がっている場合には立上り時間の長い
信号50の発生頻度が多くなる。
【0110】したがって、立上り時間の長い信号の発生
頻度が増加傾向にある場合は、検出器の異常53として測
定停止や検出器交換等の処理を行うことができる。な
お、電荷収集中に次の放射線が入射した場合54は、エネ
ルギー情報が失われるので信号の除去55を行い測定対象
から除外する。
【0111】立上り時間の長い信号50のなかから、検出
器内部に電荷の捕獲領域がある場合51と、電荷収集中に
次の放射線が入射した場合54とは、放射線の計数率によ
り区別するが、前者の発生頻度は計数率によらず、後者
の発生頻度は計数率に依存する。したがって、低計数率
時に立上り時間の長い信号50を観測した場合は、検出器
内部に電荷の捕獲領域がある場合51と判断することがで
きる。
【0112】検出器内部に電荷の再結合領域がある場合
57は、移動中の電荷が結合して存在しなくなるためエネ
ルギー情報が保存されないので信号の除去58を行い測定
対象から除外する。
【0113】また、再結合領域が検出器の一部である場
合には立上り時間の短い信号56の発生頻度は少ないが、
再結合領域が検出器全体に広がっている場合には、立上
り時間の短い信号56の発生頻度が多くなるので、立上り
時間の短い信号56の発生頻度が増加傾向にある場合は、
検出器の異常59と判断して測定停止や検出器交換等の処
理を行うことができる。以上のように、診断結果C49に
より検出器内部の異常を検出することができ、測定停止
や検出器の交換等の処理を行うための判断ができる。
【0114】図11に立上り時間の診断結果に対する信号
処理の作用を示す。図4に示す電荷収集中に次の放射線
が入射した場合54は、信号の除去55を行うことにより、
スペクトルピーク96とスペクトルピーク97のエネルギー
部分に同時に入射したことにより生じるサムピーク98を
除去することが可能である。
【0115】また、検出器内部に電荷の再結合領域があ
る場合57に生ずる低エネルギー側の盛り上がり99を除去
することが可能である。このように、検出器内部に異常
があると判断された場合でも、個々の信号が正常である
か異常であるかを診断し、異常な信号を除去することに
より正常なエネルギースペクトル測定を継続することが
できる。
【0116】第4発明における図5に示す、平坦部分の
傾きの診断および診断結果に基づく信号処理に関する作
用としては、図7(a)に示す弾道欠損除去回路75にお
いて、検出器のリーク電流は入力抵抗81を流れることに
なる。
【0117】この入力抵抗81に流れた電流は、フィード
バック回路にも流れるので、フィードバック抵抗82にも
同じ値の電流が流れ、フィードバックコンデンサ79には
電荷が蓄えられ続けることになり、出力電圧はリーク電
流の量に応じて変化する。このため本来一定であるはず
の平坦部の出力電圧77はリーク電流の量に応じた傾きで
変化することになる。したがって、平坦部の傾きの測定
61を行うことにより、検出器の動作中に検出器のリーク
電流を測定することができる。
【0118】なお、放射線の発生はランダム事象である
ため、図8(f)に示す平坦部分の抽出タイミング信号
86のハイレベルのパルス幅は統計的に分布する。計数率
が高い場合でも、平坦部分の傾斜を測定できるだけのパ
ルス幅を得ることは可能であり、したがって、高計数率
で動作している状況でも検出器のリーク電流を検出する
ことができる。
【0119】検出器にはもともと微小のリーク電流があ
るが、リーク電流が増加傾向にある場合は検出器の異常
兆候65と判断することができる。検出器のリーク電流を
動作中に測定することにより、異常兆候65が軽微であれ
ば測定を継続66し、リーク電流の量がさらに大きくなる
場合は、検出器の異常67と判断して測定の停止や検出器
の交換等の処理を行うことができる。
【0120】第1実施例はアナログ信号処理方式の場合
で、図12のブロック構成図に示す。なお、図12は説明の
便宜上図2乃至図5に示す放射線測定装置の診断部を一
括して表示している。この放射線測定装置の診断部にお
いて、上記第1発明の図2に示す弾道欠損の除去26は弾
道欠損除去回路100 、急激な変化部分の抽出27は急激な
立上り検出回路101 および急激な立上り検出回路102 、
急激な変化の間隔測定28は時間間隔測定回路103 、時間
間隔の診断29は時間間隔診断回路104 に対応し、診断結
果A30を得る。
【0121】第2発明の図3に示す弾道欠損の除去26は
弾道欠損除去回路100 、立上り部分の抽出33は急激な立
上り検出回路101 、立上り速度の測定34は立上り速度測
定回路105 、立上り速度の診断35は立上り速度診断回路
106 に対応して診断結果B36を得る。
【0122】第3発明の図4に示す弾道欠損の除去26は
弾道欠損除去回路100 、立上り部分の抽出33は急激な立
上り検出回路101 、立上り時間の測定47は立上り時間測
定回路107 、立上り時間の診断48は立上り時間診断回路
108 に対応して、診断結果C49を得る。
【0123】第4発明の図5に示す弾道欠損の除去26は
弾道欠損除去回路100 、平坦部分の抽出60は急激な立上
り検出回路101 および急激な立下り検出回路102 の論理
和109 、平坦部分の傾きの測定61は平坦部傾き測定回路
110 、傾きの診断62は平坦部傾き診断回路111 に対応し
て診断結果D63を得る。この各診断結果A〜Dは主にア
ナログ回路により信号処理される。
【0124】弾道欠損除去回路100 の基本回路は、上記
図7(a)に示す弾道欠損除去回路75を用いている。図
13(a)は回路図で、図13(b)は特性図を示し、弾道
欠損除去回路のリセット方法および各部の信号波形を示
す。
【0125】弾道欠損除去回路100 の基本回路は、反転
増幅器80、入力抵抗81、フィードバック抵抗82、そして
フィードバックコンデンサ79により構成される。弾道欠
損除去回路100 に指数関数的に減衰するパルス列からな
る入力信号112 を入力すると、パルスが入力される毎に
ステップ状に立ち上がる出力信号113 の波形114 が得ら
れる。パルス信号が入力され続けると弾道欠損除去回路
100 の出力113 は反転増幅器80の電源電圧近傍まで上昇
し、飽和して動作しなくなる。
【0126】コンパレータ115 は基準電源Vr116 と抵抗
117 および抵抗118 で決まる基準電圧119 と出力信号11
3 の電圧とを比較して、出力113 の電圧が電源電圧近傍
まで上昇する前に、スイッチA120 をONして、電流源
121 を反転増幅器80の入力端子に接続する。この電流源
121 に流れる電流は反転増幅器80のフィードバック回路
にも流れるため、フィードバックコンデンサ79に蓄積さ
れた電荷を放電する。
【0127】なお、フィードバックコンデンサ79に蓄え
られた電荷を放電する手段としては、図13(a)の点線
で示すようにスイッチB122 をフィードバックコンデン
サ79と並列に接続する方法も考えられるが、反転増幅器
80の出力電圧範囲がスイッチA120 を使用する場合に較
べて狭いので使用上の制限が生ずる。
【0128】スイッチA120 としては、トランジスタ、
FETまたは専用のスイッチ用ICを使用することがで
きるが、必要に応じてコンパレータ115 の出力電圧範囲
と、スイッチA120 の制御入力範囲との信号レベル変換
123 が必要である。
【0129】スイッチA120 がONになると出力113 の
電圧が立ち下がるが、そのままでは反転増幅器80の電源
電圧近傍まで下降し、飽和して動作しなくなるので、飽
和する前にスイッチA120 をOFFしなければならな
い。このようなスイッチA120 の制御動作を自動的に行
うために、コンパレータ115 の基準電圧119 は基準電源
Vr116 と抵抗117 、さらに抵抗118 とによりヒステリシ
スが設定されている。
【0130】すなわち、図13(b)出力信号の波形114
部に点線で示すように、弾道欠損除去回路100 の出力波
形114 がステップ状に上昇して高レベルヒステリシス電
圧124 に達すると、コンパレータ115 の出力電圧が下降
してスイッチA120 をONにすると共に、基準電圧119
は低レベルヒステリシス電圧125 に遷移する。
【0131】フィードバックコンデンサ79に蓄積された
電荷を放電し、弾道欠損除去回路100 の出力波形114 が
低レベルヒステリシス電圧125 に達すると、コンパレー
タ115 の出力電圧が上昇してスイッチA120 をOFFに
すると共に、基準電圧119 は再び高レベルヒステリシス
電圧124 に戻る。
【0132】なお、スイッチA120 の制御タイミング信
号126 は、スイッチA120 をON,OFFするタイミン
グ信号であると共に、急激な立下り検出回路102 のタイ
ミング信号として使用することができる。
【0133】図14(a)に信号検出回路のブロック図を
示す。上記図13に示す弾道欠損除去回路100 の出力信号
113 の波形114 から信号を検出するには、まず急激に変
化する部分を分離するためのパルス化127 を行い、次に
信号の検出結果を他の回路でタイミング信号として使用
するための波形整形128 を行う。通常は、TTL等の標
準論理素子の入力レベルに合わせるための波形整形を実
施している。
【0134】図14(b)〜(e)の回路図はパルス化12
7 のための回路の例で、図14(b)はCR微分回路によ
るパルス化、図14(c)はアクティブフィルタによるパ
ルス化を示し、出力信号波形129 はいずれも入力信号波
形130 に急激な変化が生じたときに指数関数的に減衰す
るパルスを出力する。
【0135】図14(d)は完全微分回路によるパルス化
の場合で、出力信号波形131 は入力信号波形132 に急激
な変化が生じたときに、変化速度に応じた波高値を有す
るパルスを出力する。また、出力信号波形131 のパルス
幅は、入力信号波形132 が急激に変化している時間を示
す。
【0136】図14(e)はディレイライン(DL)によ
るパルス化を示し、出力信号波形133 は入力信号波形13
4 に急激な変化が生じたときに変化した電圧に応じた波
高値を有するパルスを出力する。また、出力信号波形13
3 のパルス幅はディレイラインの遅延時間に依存してい
る。
【0137】次に波形整形128 の回路とその説明を図15
(a)〜(d)に示す。図15(a)は立上り信号の波形
整形回路図で、コンパレータ135 に正の基準電圧Vr+13
6 を接続し、入力信号137 の電圧レベルが正の基準電圧
Vr+136 を越えたときに出力138 がハイレベルとなる。
【0138】図15(b)は立下り信号の波形整形回路図
で、コンパレータ139 に負の基準電圧Vr−140 を接続
し、入力信号141 の電圧レベルが負の基準電圧Vr−140
よりも小さいときに出力142 がハイレベルとなる。
【0139】正または負の基準電圧は、ベースラインに
近い値に設定して可能な限り小さい信号を検出する必要
があるが、上記図14(b),(c)に示すCR微分回路
や、アクティブフィルタによるパルス化の出力信号波形
129 は、指数関数的に減衰するパルスであるため、基準
電圧を小さくすると波形整形後のパルス幅が長くなる。
【0140】これにより、パルスの時間分解能が低下す
るだけでなく、図15(c)のCR微分回路出力信号の波
形整形に示すごとく、先行するパルス143 が十分に減衰
する前に次のパルス144 があると、本来2つのパルスを
出力しなければならないにもかかわらず1つのパルス 1
43aしか出力できないことになる。したがって、パルス
化を行う回路は上記図14(d),(e)に示すような減
衰のないパルス出力のものが望ましい。
【0141】また、図14(d)の完全微分回路によるパ
ルス化では、出力信号131 の波高値が入力信号132 の立
上り速度に比例するため、図15(d)に示すように等し
い到達電圧を有する入力信号であっても、速い立上り速
度を有する入力信号145 に対しては出力信号の波高値が
高く、遅い立上り速度を有する入力信号147 に対しては
出力信号の波高値148 が低いという現象が生ずる。
【0142】すなわち、同じエネルギーを有する信号で
あっても、立上り速度の違いにより信号検出感度が異な
る結果となる。したがって、信号の検出が目的の場合は
図14(e)のディレイライン(DL)によるパルス化を
用いると良い。
【0143】しかし、図14(e)のディレイラインによ
るパルス化では、パルス幅はディレイラインの遅延時間
に依存するため、急激に変化している時間は分からな
い。それに対し、図14(d)の完全微分回路によるパル
ス化では、入力信号が変化している間、正または負の信
号が出力されるので、急激に変化している時間を知るこ
とができる。
【0144】すなわち、急激に変化している部分を抽出
することが目的の場合は、図14(d)の完全微分回路に
よるパルス化を用いる。なお、弾道欠損除去回路100 の
出力信号は、図6(b)に示す電荷型プリアンプの出力
波形69,71と同様に、検出器の出力信号波形を正確に反
映したり立上りを有するので、図14(d)に示す完全微
分回路によるパルス化の結果は、検出器の出力信号波形
と同様の波形を再現することができる。
【0145】図16は上記図12に示す急激な立上り検出回
路101 に対応した(a)回路図と、(b)信号波形図を
示す。ステップ状に変化する入力信号149 を、反転増幅
器150 と入力コンデンサ151 、およびフィードバック抵
抗152 とにより構成される完全微分回路により微分する
と出力波形153 を得る。
【0146】この完全微分回路の出力パルス波高値は、
入力信号149 の立上り速度に比例するため、立上り速度
が大きく変化する放射線検出器を使用する場合は、反転
増幅器154 と入力抵抗155 、およびフィードバック抵抗
156 とにより構成される増幅回路を使用して信号検出感
度を向上する。
【0147】この増幅回路の出力157 の波形は小さい波
高値を有するパルスが増幅されたものとなり、コンパレ
ータ158 により波形整形が容易に行える。このコンパレ
ータ158 の出力159 の波形は、増幅回路の出力電圧157
が正の基準電圧Vr+160 を越えたときハイレベルによる
パルス列となる。また、コンパレータ158 の出力159 の
波形の個々のパルス幅は入力信号149 の立上り時間とな
る。
【0148】図17は上記図12に示す急激な立下り検出回
路102 に対応した(a)回路図と、(b)信号波形図を
示す。入力信号161 を、反転増幅器162 と入力コンデン
サ163 とフィードバック抵抗164 とにより構成される完
全微分回路により微分すると出力165 を得る。
【0149】この完全微分回路は、立上り検出回路と共
通に利用することもできるが、立上り速度と立下り速度
が大きく異なる場合は、立下り速度に最適な出力波形が
得られるように、立上り検出回路とは独立の完全微分回
路を用いた方が良い。
【0150】コンパレータ166 の出力167 は反転増幅器
162 の出力電圧165 が負の基準電圧Vr−168 よりも小さ
いときにハイレベルになる。なお、急激な立下りは弾道
欠損除去回路100 のリセットにより発生するので、立下
り速度はほぼ一定であり、急激な立上りに較べて振幅が
大きいため、立上り検出回路のような増幅回路を使用す
る必要はない。
【0151】ただし、上記図13(a)に示す弾道欠損除
去回路100 において、コンパレータ115 が反転増幅器80
の出力信号114 がリセットの開始レベルを越えたことを
検出してから、実際にスイッチA120 がONになりフィ
ードバックコンデンサ79の放電を開始するまでに遅延時
間が存在するため、図17に示す完全微分回路の出力波形
の立下り部分を検出する方法では真のリセット開始時刻
が得られない。
【0152】したがって、急激な立下り検出回路では、
コンパレータ166 の出力信号167 と弾道欠損除去回路10
0 のスイッチ制御タイミング信号169 との論理和170 を
求めたのちに出力信号171 を出力する。
【0153】図18は上記図12に示す時間間隔測定回路10
3 に対応した(a)回路図と、(b)信号波形図を示
す。定電流源172 より常時、コンデンサ173 に電荷を蓄
積する回路において、パルスが入力される毎にコンデン
サ173 の電荷をスイッチ174 を用いて放電することによ
り、次にパルスが入力されるまでの時間がコンデンサ17
3 の両端電圧として得られる。
【0154】この場合に、スイッチ174 がONとなって
いる時間が一定であれば、コンデンサ173 の両端電圧と
パルス間隔が比例する。また、スイッチ174 がONとな
っている時間は、パルス間隔をコンデンサ173の両端電
圧から計算により求めるときの定数項となるだけでな
く、パルス間隔測定の時間分解能となるので、できるだ
け小さい方がよい。
【0155】したがって、急激な立上りの検出パルス列
175 と、このパルス列175 を反転した後にCR積分回路
176 により遅延した信号との論理積177 によりパルス幅
整形後のパルス列178 を取り出す。なお、パルス幅整形
後のパルス幅、すなわちスイッチ174 がONとなる時間
の最小値は、コンデンサ173 に蓄えられた電荷を放電す
るために必要な時間で制限される。
【0156】急激な立下りの検出パルス列179 がハイレ
ベルである間は、弾道欠損除去回路100 はリセット状態
にあり、パルス間隔の測定も弾道欠損除去回路100 のリ
セットが解除されてから開始する必要がある。そのた
め、急激に立下りの検出パルス列179 に対するパルス幅
の整形は行わず、直接パルス幅整形後のパルス列178 と
の論理和180 を行い論理和出力181 を得る。この論理和
出力181 は時間間隔測定回路103 の出力信号182 を他の
回路で利用することを考慮し、ディレイライン183 によ
り遅延して出力184 される。
【0157】なお、この時間間隔測定回路103 の出力信
号182 は、パルス間隔が短いことを検出することが目的
であるので、パルス間隔が長い場合でもコンデンサ173
の両端電圧がパルス間隔に比例する必要はない。また、
コンデンサ173 に蓄積された電荷を放電するために必要
な時間は蓄積された電荷量に依存して大きくなるので図
18(b)に示すように適当な制限185 を設ける必要があ
る。
【0158】図19は上記図12に示す時間間隔診断回路10
4 に対応した(a)回路図と、(b)信号波形図を示
す。前記時間間隔測定回路103 の出力信号186 を前記急
激な立上り検出回路101 の出力である急激な立上りの検
出パルス列187 の立上りエッジでサンプルすることによ
り、先行するパルスとの時間間隔を得ることができる。
【0159】時間間隔診断回路104 の役割は、弾道欠損
除去回路100 の出力信号からエネルギー情報を得るため
の処理に必要な時間よりも短い時間間隔で検出器に放射
線が入射した場合に、先行する信号または現在の信号を
除去することにある。
【0160】具体的には、上記図9に示す立上り前の平
坦部分のノイズ除去に要する時間92、または立上り後の
平坦部分のノイズ除去に要する時間93よりも短い時間で
検出器に入射した放射線の信号に対して除去処理を行う
ためのエラー信号を出力することにある。
【0161】この図19に示す基準電圧A188 は、立上り
前の平坦部のノイズ除去に必要な時間に対応した電圧で
あり、基準電圧B189 は、立上り後の平坦部分のノイズ
除去に必要な時間に対応した時間である。
【0162】コンパレータA190 は基準電圧A188 と時
間間隔測定回路103 の出力信号186を、またコンパレー
タB191 は基準電圧B189 と時間間隔測定回路103 の出
力信号186 を比較し続けており、それぞれ出力192 ,19
3 を出力する。
【0163】この比較結果は、弾道欠損除去回路100 の
出力信号における急激な立上りのタイミング、すなわち
検出器に放射線が入射したときに、それぞれDタイプフ
リップフロップA194 、およびDタイプフリップフロッ
プB195 に記録され、エラーA196 またはエラーB197
として出力される。
【0164】エラーA196 がハイレベルになったとき
は、立上り前の平坦部のノイズ除去に必要な時間が、ま
たエラーB197 がハイレベルになったときは、立上り後
の平坦部のノイズ除去に必要な時間が足りないことを示
す。なお、立上り前と立上り後のノイズ除去に必要な時
間が同じであれば、コンパレータおよびDタイプフリッ
プフロップは1つでも良い。
【0165】図20に時間間隔の測定を行わずに時間間隔
の診断結果を直接出力する場合の(a)回路図と、
(b)信号のタイミング特性図を示す。前記時間間隔測
定回路103 により得られた時間間隔を用いて、時間間隔
に依存した2次元のスペクトル測定を行うような用途に
用いるのではなく、診断結果のみ必要な場合には、診断
結果を直接出力したほうが簡単な回路で実現可能であ
る。
【0166】検出器に放射線が入射したことを示す急激
な立上りの検出パルス列198 を、シングルショットA19
9 およびシングルショットB200 のトリガに入力する。
シングルショットA199 は、弾道欠損除去回路100 の出
力信号の立上り前の平坦部分のノイズ除去に必要な時間
と同程度の幅のパルス201 を発生し、シングルショット
B200 は、立上り後の平坦部分のノイズ除去に必要な時
間と同程度の幅のパルス202 を発生する。
【0167】急激な立上りの検出パルス列198 は、Dタ
イプフリップフロップA203 、およびDタイプフリップ
フロップB204 にも入力し、立上りエッジでそれぞれシ
ングルショットA199 の出力201 、およびシングルショ
ットB200 の出力202 をサンプリングする。
【0168】これにより、先行する信号との時間間隔が
ノイズ除去に必要な時間よりも短い場合、すなわち、シ
ングルショットの出力信号がハイレベルの場合は、エラ
ーA205 またはエラーB206 がハイレベルとなり診断結
果が得られる。
【0169】弾道欠損除去回路100 のリセットが行われ
ていることを示す急激な立下りの検出パルス列207 がハ
イレベルのときに、急激な立上りの検出パルスが発生し
たときは、エネルギー測定ができないのでエラーA205
およびエラーB206 が発生するように、論理和A208 お
よび論理和B209 を用いて、それぞれの出力210 ,211
を出力する。
【0170】また、弾道欠損除去回路100 のリセットが
完了した後に検出器に入射した放射線のエネルギーを求
めるためには、弾道欠損除去回路100 の立上り前後のノ
イズ除去時間を確保する必要があるので、急激な立下が
り検出パルス列207 をシングルショット199 ,200 のク
リア端子に入力し、クリアが解除されるときに立上りの
前後のノイズ除去に必要な時間幅のパルスを発生する。
なお、立上り前と立上り後のノイズ除去に必要な時間が
同じであれば、シングルショットと論理和、およびDタ
イプフリップフロップは1つで良い。
【0171】図21は上記図12に示す立上り速度測定回路
105 に対応した回路図で、図22は信号波形図を示す。立
上り速度は、立上りの電圧を立上りに要した時間で割る
ことにより求める。
【0172】この立上りの電圧212 は、立上り開始時点
の電圧と立上り終了時点の電圧との差により求める。具
体的には、急激な立上りの検出パルス列213 の立上り、
および立下りで弾道欠損除去回路100 の出力214 の電圧
をホールドした後に差を求める。トレース&ホールド回
路A215 は立上り前の電圧をホールドし、トレース&ホ
ール回路B216 は立上り後の電圧をホールドする。減算
回路217 により求めた立上り後の電圧218 と、立上り前
の電圧219 との差が立上りの電圧212 となる。
【0173】なお、DタイプフリップフロップA220 お
よびDタイプフリップフロップB221 は、弾道欠損除去
回路100 の出力214 のホールド状態の維持、およびホー
ルド状態の解除のためのタイミング信号を出力するため
に使用する。
【0174】立上りに要した時間は、定電流源222 とコ
ンデンサ223 との間にスイッチA224 を接続し、急激な
立上りの検出パルス列213 がハイレベルである間、定電
流源222 からの電流をコンデンサ223 に蓄えることによ
り求める。
【0175】シングルショット225 は急激な立上りの検
出パルス列213 のパルス幅よりも、減算回路217 および
割算回路226 の演算結果が安定する時間程度長いパルス
を発生する。このシングルショット225 の出力227 は、
前記DタイプフリップフロップA220 およびDタイプフ
リップフロップB221 のクリア端子に入力してホールド
状態の解除を行うと共に、コンデンサ223 に並列に接続
したスイッチB228 に接続して電荷の放電を行う。
【0176】また、割算回路226 の出力229 は立上りの
電圧212 、および立上りに要した時間230 が安定になら
ないと正確な結果を出力しないので、Dタイプフリップ
フロップB221 の出力信号231 がハイレベルのときに、
スイッチC232 をONにして割算結果が確定したときの
み信号を出力する。なお、DタイプフリップフロップA
220 の出力信号233 はトレース&ホールド回路A215 に
出力される。
【0177】図23は上記図12に示す立上り速度診断回路
106 に対応した(a)回路図と、(b)信号波形図を示
す。検出器ごとに立上り時間が決まるので、立上り速度
を測定することにより、立上りの電圧を推定することが
できる。実際の立上りの電圧が推定した立上りの電圧よ
りも高い場合は立上り速度が遅いという診断結果を、ま
た実際の立上りの電圧が推定した立上りの電圧よりも低
い場合は立上り速度が速いという診断結果を出力するの
が立上り速度診断回路106 の役割である。
【0178】先ず、割算回路234 により実際の立上りの
電圧235 に対する立上り速度236 の比α237 を求める。
実際の立上りの電圧235 は、前記図21に示す立上り速度
測定回路105 の減算回路217 の出力212 から得られる。
また、立上り速度236 は、図21に示す立上り速度測定回
路105 における測定結果の出力229 である。
【0179】比α237 は検出器ごとに決まる範囲の値と
なるので、コンパレータA238 を用いて比α237 予想立
上り速度の最小値239 とを比較し、コンパレータB240
を用いて比α237 と予想立上り速度の最大値241 とを比
較する。
【0180】立上り速度236 および立ち上りの電圧235
が安定である時間は、図21のスイッチC232 がONにな
っている時間であるから、出力制御信号231 の立下りエ
ッジのタイミングで、コンパレータA238 およびコンパ
レータB240 の比較結果を、それぞれDタイプフリップ
フロップA242 、およびDタイプフリップフロップB24
3 に読み込み、それぞれエラーA244 およびエラーB24
5 を診断結果として出力する。
【0181】図24は上記図12に示す立上り時間測定回路
107 に対応した(a)回路図と、(b)信号波形図を示
す。立上り時間の測定は、急激な立上り検出回路101 の
出力である急激な立上りの検出パルス列246 がハイレベ
ルである間、スイッチA247 をONにして、定電流源24
8 からの電流をコンデンサ249 に充電することにより行
う。コンデンサ249の両端には急激な立上りの検出パル
ス列246 の各パルスの幅に比例した電圧250が得られ
る。
【0182】コンデンサ249 の両端電圧250 は、急激な
立上りの検出パルス列246 の各パルスが、ハイレベルか
らローレベルに変わったときに立上り時間と比例した値
になるので、シングルショット251 を用いて、急激な立
上りの検出パルス列246 の立下りエッジから、次の立上
り時間診断回路108 で必要な時間だけスイッチC252を
ONにして、立上り時間の測定結果253 を出力する。
【0183】立上り時間の測定結果253 を出力した後
は、スイッチB254 をONにしてコンデンサ249 に蓄積
された電荷を放電する。なお、スイッチB254 は急激な
立上りパルス列246 がハイレベルのときと、立上り時間
測定結果を出力している間は論理和255 を用いてOFF
にしている。また、シングルショット251 は出力信号25
6 を、論理和255 はスイッチB254 の制御信号257 を出
力する。
【0184】図25は上記図12に示す立上り時間診断回路
108 に対応した(a)回路図と、(b)信号波形図を示
す◎コンパレータA258 は立上り時間259 と立上り時間
の最小値260 とを比較し、この立上り時間の最小値260
よりも立上り時間259 が小さいときに、出力261 はハイ
レベルとなる。
【0185】また、コンパレータB262 は立上り時間25
9 と立上り時間の最大値263 とを比較し、この立上り時
間の最大値263 よりも立上り時間259 が大きいときに、
出力264 はハイレベルとなる。ここで、立上り時間259
は、前記図24に示す立上り時間測定回路107 の出力253
である。
【0186】図25に示す立上り時間測定回路107 の出力
制御信号265 は、図24に示すシングルショット251 の出
力信号256 と接続する信号で、この信号がハイレベルの
ときに図24に示す立上り時間測定回路107 の出力253 、
すなわち図25に示す立上り時間259 が有効であることを
示している。
【0187】立上り時間測定回路107 の出力制御信号26
5 が、ハイレベルからローレベルになるタイミングで、
コンパレータA258 およびコンパレータB262 の出力26
1 ,264 をそれぞれDタイプフリップフロップA266 お
よびDタイプフリップフロップB267 に読み込むことに
より、立上り時間が短い場合にはエラーA268 がハイレ
ベルとなり、立上り時間が長い場合にはエラーB269 が
ハイレベルとなる。
【0188】図26は立上り時間の測定を行わずに立上り
時間の診断結果を直接出力する場合の(a)回路図と、
(b)信号のタイミングを示す特性図で、これは、立上
り時間測定回路107 により得られる立上り時間信号を用
いて、立上り時間に依存した2次元のスペクトル測定を
行うような用途に用いるのではなく、診断結果のみ必要
な場合には診断結果を直接出力したほうが簡単な回路で
実現可能である。
【0189】急激な立上りの検出パルス列270 の各パル
スの幅は急激な立上り部分の時間である。したがって、
各パルス幅の長さを調べることにより直接に診断結果を
出力することができる。
【0190】シングルショットA271 は立上り時間の最
小値に相当する幅のパルス272 を出力する。したがっ
て、このシングルショットA271 の出力272 の立上りエ
ッジのタイミングで急激な立上りの検出パルス列270 を
直接サンプルすることにより、シングルショットA271
に設定したパルス幅よりも短いか否かの診断ができる。
【0191】すなわち、シングルショットA271 の出力
272 の立上りエッジのタイミングで急激な立上りの検出
パルス列270 がローレベルであれば、Dタイプフリップ
フロップA273 の出力であるエラーA274 がハイレベル
となる。
【0192】また、シングルショットB275 は立上り時
間の最大値に相当する幅のパルス信号276 を出力する。
したがって、シングルショットB275 の出力276 の立上
りエッジのタイミングで急激な立上りの検出パルス列27
0 を直接サンプルすることにより、シングルショットB
275 に設定したパルス幅よりも長いか否かの診断ができ
る。
【0193】このシングルショットB275 の出力276 の
立上りエッジのタイミングで急激な立上りの検出パルス
列270 がハイレベルであれば、Dタイプフリップフロッ
プB277 の出力であるエラーB278 がハイレベルとな
る。
【0194】図27は上記図12に示す平坦部傾き測定回路
110 に対応した(a)回路図と、(b)信号波形図であ
る。平坦部分の抽出パルス列279 は図12に示す論理和10
9 の出力信号で、上記図16に示す急激な立上り検出回路
101 の出力159 、および図17に示す急激な立下り検出回
路102 の出力171 がいずれも発生していないことを示す
信号である。
【0195】弾道欠損除去回路100 の出力信号280 は、
図13に示す弾道欠損除去回路100 の出力114 で、検出器
に放射線が入射する毎に立上り、リセットにより立ち下
がる信号である。この出力280 を、反転増幅器281 、入
力コンデンサ282 、そしてフィードバッグ抵抗283 より
構成される完全微分回路に入力すると、その出力284 に
は弾道欠損除去回路100 の出力280 の立上り速度に応じ
て正の、また立下りの速度に応じて負の信号が得られ
る。
【0196】平坦部分の抽出パルス列279 がハイレベル
のときのみスイッチ285 をONとして、完全微分回路の
出力284 のなかから平坦部分だけを取り出すことによ
り、平坦部傾き測定結果の出力286 が得られる。
【0197】図28は図12に示す平坦部傾き診断回路111
に対応した(a)回路図と、(b)信号波形図で、平坦
部の傾きは検出器のリーク電流に相当する。コンパレー
タ287 は、前記平坦部傾き測定回路110 の出力288 が予
め測定した平坦部傾きの最大値289 を越えた場合、すな
わち、予め設定したリーク電流値を越えた場合にエラー
290 を出力する。
【0198】第2実施例はディジタル信号処理方式の場
合で、図29のブロック構成図に示す。なお、図29は説明
の便宜上図2乃至第5に示す放射線測定装置の診断部を
一括して表示している。図29はハードウェアによる方法
で、上記第1発明の図2に示す弾道欠損の除去26は弾道
欠損除去回路291 、急激な変化部分の抽出27は急激な立
上り検出回路292 および急激な立下り検出回路293 、急
激な変化の間隔測定28は時間間隔測定回路294 、時間間
隔の診断29は時間間隔診断回路295 に対応する。
【0199】また、第2発明の図3に示す弾道欠損の除
去26は弾道欠損除去回路291 、立上り部分の抽出33は急
激な立上り検出回路292 、立上り速度の測定34は立上り
速度測定回路296 、立上り速度の診断35は立上り速度診
断回路297 に対応する。
【0200】第3発明の図4に示す弾道欠損の除去26は
弾道欠損除去回路291 、立上り部分の抽出33は急激な立
上り検出回路292 、立上り時間の測定47は立上り時間測
定回路298 、立上り時間の診断48は立上り時間診断回路
299 に対応する。
【0201】さらに第4発明の図5に示す弾道欠損の除
去26は弾道欠損除去回路291 、平坦部分の抽出60は急激
な立上り検出回路292 および急激な立下り検出回路293
の論理和300 、平坦部分の傾きの測定61は平坦部傾き測
定回路301 、傾きの診断62はは平坦部傾き診断回路302
に対応して、各回路はいずれも弾道欠損除去回路291の
出力信号を高速ADC303 により変換されたディジタル
時系列データに対する数値処理により診断結果A30,B
36,C49,D63を得る。なお、弾道欠損除去回路291 に
ついては、上記図13に示す弾道欠損除去回路100 と同
じ、すなわちアナログ信号処理の場合と同じである。
【0202】図30は高速ADCの(a)ブロック図、
(b)は信号波形図を示す。なお、上記図13に示す弾道
欠損除去回路100 の出力113 は連続的なアナログ信号で
ある。この高速ADC303 は、時間および電圧が連続的
な弾道欠損除去回路291 の出力304 を入力して時間およ
び電圧が離散的なディジタル時系列データに変換して出
力信号305 を出力するが、高速ADC303 は弾道欠損除
去回路291 の急激な変化部分を再現できる変換周期およ
び変換精度を有する。
【0203】図31の回路図は、上記図29に示す急激な立
上り検出回路292 および急激な立下り検出回路293 に対
応した回路を示す。シフトレジスタ306 は高速ADC30
3 が変換したディジタル時系列データ305から、シフト
レジスタ306 の段数分だけ遅れたディジタル時系列デー
タ307 を出力する。
【0204】減算器308 を用いてディジタル時系列デー
タ305 からシフトレジスタ306 が出力するディジタル時
系列データ307 を減算することにより、ディジタル時系
列データ305 の変化部分だけを取り出した信号309 を得
る。
【0205】このシフトレジスタ306 および減算器308
により構成される部分は、上記アナログ信号処理方式に
おける図14(d)の完全微分回路に相当し、減算器308
の出力309 を波形として観測できるものとすると、上記
図16または図17に示す完全微分回路の出力波形153 ,16
5 と同様の波形となる。
【0206】さらに、ディジタルコンパレータ310 は、
減算器308 の出力309 と正の検出レベル設定値311 とを
比較し、減算器308 の出力309 が正の検出レベル設定値
311を越えたときに、急激な立上りの検出パルス列312
をハイレベルにする。
【0207】また、減算器308 の出力309 と負の検出レ
ベル設定値313 とを比較し、減算器308 の出力309 が負
の検出レベル設定値313 よりも小さくなったときに、急
激な立下りの検出パルス列314 をハイレベルにする。し
たがって、急激な立上りの検出パルス列312 の各パルス
のパルス幅は、ディジタル時系列データ305 の立上り時
間に対応し、急激な立下りの検出パルス列314 の各パル
スのパルス幅は、ディジタル時系列データ305 の立下り
時間に対応する。
【0208】図32は上記図29に示す時間間隔測定回路29
4 に対応した回路図で、急激な立上りの検出パルス列31
2 は、前記図31に示す急激な立上り検出回路292 の出力
312であり、急激な立下り検出パルス列314 は、図31に
示す急激な立下り検出回路292 の出力314 である。な
お、時間間隔は周期的なクロック信号315 をカウンタ31
6 を用いて計数することにより出力317 を得る。
【0209】急激な立上りの検出パルス列312 について
は、シフトレジスタ318 および論理積319 により立上り
部分で論理積320 を介してカウンタ316 をクリアし、ま
た急激な立下りの検出パルス列314 がハイレベルである
間はカウンタ316 をクリアする。この時間間隔測定回路
294 の出力317 を観測できるとすれば、図18に示すアナ
ログ信号処理方式の時間間隔測定回路103 の出力信号18
2 と同等の波形が得られる。
【0210】なお、上記図18に示すアナログ信号処理方
式における出力信号182 では、コンデンサ173 の放電時
間を高速化する目的と回路の電源電圧の制限等から出力
電圧の制限185 を行ったが、ディジタル信号処理方式に
おいては、リセット時間はカウンタ316 のビット数に依
存しないこと、およびカウンタ316 のビット数を増やす
ことにより長時間間隔の測定が行えることなどから、特
にリミッタを設ける必要はない。
【0211】ただし、信号間隔の測定の目的が予め決め
られた時間間隔よりも短いことを診断することにあるの
で、必要以上のビット数の時間測定が不要な場合は、オ
ーバーフロー出力321 を備えてビット数の少ないカウン
タ316 を用いる。
【0212】図33は上記図29に示す時間間隔診断回路29
5 に対応した回路図を示す。時間間隔測定回路の出力31
7 は、図32に示す時間間隔回路294 の出力317 であり、
信号間隔の設定値A322 は立上り前のノイズ除去に必要
な時間で、また信号間隔の設定値B323 は立上り後のノ
イズ除去に必要な時間である。
【0213】ディジタルコンパレータ324 は、時間間隔
測定回路294 の出力317 と信号間隔の設定値A322 およ
び信号間隔の設定値B323 とを比較し、それぞれディジ
タルコンパレータ324 の出力A325 と、出力B326 とし
て出力する。
【0214】ディジタルコンパレータ324 の出力結果
は、図32に示すカウンタ316 の内容をクリアする寸前、
すなわち、急激な立上りの検出パルス列312 の立上りエ
ッジのタイミングで、DタイプフリップフロップA327
およびDタイプフリップフロップB328 に読み込み、そ
れぞれエラーA329 およびエラーB330 として出力す
る。
【0215】図34は、上記図29に示す立上り速度測定回
路296 に対応した(a)回路図、および(b)タイミン
グを示す特性図で、立上の速度は図13に示す弾道欠損除
去回路100 の出力114 の立上りの電圧を立上りに要した
時間で割ることにより求める。
【0216】立上りの電圧は、立上り開始時点のディジ
タル値と立上り終了時点のディジタル値との差により求
めるが、具体的には急激な立上りの検出パルス列312 の
立上り、および立下りでディジタル時系列データ305 の
ディジタル値をラッチした後に差を求める。
【0217】図34(a)に示すラッチA331 は立上り前
のディジタル値をラッチし、ラッチB332 は立上り後の
ディジタル値をラッチする。減算器333 は立上り後のデ
ィジタル値334 から立上り前のディジタル値335 を引い
た差、すなわち立上りの電圧を求める。なお、タイミン
グ信号発生器336 はディジタル時系列データ305 のラッ
チ状態の維持、およびラッチ状態の解除のために、ラッ
チA331 に対する出力A337 と、ラッチB332 に対する
出力B338 を発生するために使用する。
【0218】立上りに要した時間は、急激な立上りの検
出パルス列312 をゲートとするカウンタ339 を用いて、
周期的なクロック信号340 をカウントすることにより求
める。また、タイミング信号発生器336 の出力C341
は、急激な立上りの検出パルス列312 のパルスがローレ
ベルになってから、減算器333 および割算器342 の演算
結果が安定する時間経過後にカウンタ339 をリセットす
る。
【0219】なお、割算器342 の出力は、立上りにおけ
るディジタル値の変化344 、および立上りに要した時間
345 が安定にならないと正確な結果を出力しないので、
タイミング発生器336 の出力D346 により演算結果が安
定したタイミングで割算結果347 をラッチC348 にラッ
チした後に出力349 する。
【0220】図35は上記図29に示す立上り速度診断回路
297 に対応した回路図で、検出器ごとに立上り時間が決
まるので、立上り速度を測定することにより、立上り電
圧を推定することができる。実際に立ち上がった電圧が
推定した立上り電圧よりも高い場合は、立上り速度が遅
いという診断結果を、また実際に立ち上がった電圧が推
定した立上り電圧よりも低い場合は、立上り速度が速い
という診断結果を出力するのが立上り速度診断回路297
の役割である。
【0221】まず、割算器350 により実際の立上り分の
ディジタル値344 に対する立上り速度351 の比α352 を
求める。実際の立上り分のディジタル値344 は、前記図
34に示す立上り速度測定回路296 の減算器333 の出力34
4 から得られる。また、立上り速度351 は図34に示す立
上り速度測定回路296 の測定結果の出力349 である。
【0222】比α352 は検出器ごとに決まる値となるの
で、ディジタルコンパレータ353 を用いて比α352 と予
想立上り速度の最小値354 を、また比α352 と予想立上
り速度の最大値355 とを比較する。
【0223】立上り速度351 および立上り分のディジタ
ル値344 が安定である時間は、図34のラッチC348 に割
算器342 の出力信号をラッチするタイミングであるか
ら、立上り時間測定回路298 の出力ラッチ制御信号346
の立上りエッジのタイミングで、ディジタルコンパレー
タ353 の比較結果を、それぞれDタイプフリップフロッ
プA356 、およびDタイプフリップフロップB357 に読
み込み、それぞれエラーA358 およびエラーB359 を診
断結果として出力する。
【0224】図36は上記図29に示す立上り時間測定回路
298 に対応した(a)回路図、および(b)のタイミン
グを示す特性図である。立上り時間の測定は、急激な立
上りの検出パルス列312 をゲートとするカウンタ360 を
用いて、クロック信号361 をカウントすることにより行
う。このカウンタ360 の出力362 には、急激な立上りの
検出パルス列312 の各パルスの幅に比例したディジタル
値が得られる。
【0225】また、カウンタ360 の出力362 は、急激な
立上りの検出パルス列312 の各パルスがハイレベルから
ローレベルに変わったときに、立上り時間と比例した値
になるので、タイミング信号発生器363 を用いて、急激
な立上りの検出パルス列312の立下りエッジから、立上
り時間診断回路299 で必要な時間だけカウント結果とし
て出力362 を保持する。なお、タイミング信号発生器36
3 の出力A364 がハイレベルになるとカウント値が初期
化される。
【0226】図37は、上記図29に示す立上り時間診断回
路299 に対応した回路図で、ディジタルコンパレータ36
5 は立上り時間362 と立上り時間の最小値366 とを比較
し、立上り時間の最小値366 よりも立上り時間362 が小
さいとき、ディジタルコンパレータ365 の出力A367 は
ハイレベルとなる。
【0227】また、ディジタルコンパレータ365 は立上
り時間362 と立上り時間の最大値368 とを比較し、立上
り時間の最大値368 よりも立上り時間362 が大きいとき
に、ディジタルコンパレータ365 の出力B369 はハイレ
ベルとなる。ここで、立上り時間362 は前記図36に示す
立上り時間測定回路298 の出力362 である。
【0228】また、立上り時間測定回路のタイミング信
号発生器の出力A364 は、図36に示すタイミング信号発
生器363 の出力Aから出力する信号で、この信号364 が
ローレベルからハイレベルに変化するときに、前記立上
り時間測定回路298 の出力362 、すなわち図37に示す立
上り時間362 が有効であることを示している。
【0229】また立上り時間測定回路298 のタイミング
信号発生器363 の出力A364 が、ローレベルからハイレ
ベルになるタイミングでディジタルコンパレータ365 の
出力を、それぞれDタイプフリップフロップA370 、お
よびDタイプフリップフロップB371 に読み込むことに
より、立上り時間が短い場合にはエラーA372 がハイレ
ベルとなり、立上り時間が長い場合にはエラーB373 が
ハイレベルとなる。
【0230】図38は上記図29に示す平坦部傾き測定回路
301 に対応した回路図で、平坦部分の抽出パルス列374
は上記図29に示す論理和300 の出力信号で、図31に示す
急激な立上りの検出パルス列312 、および急激な立下り
検出パルス列314 がいずれも発生していないことを示す
信号である。
【0231】ディジタル時系列データ305 は、図30に示
す高速ADC303 の出力信号305 で、検出器に放射線が
入射する毎に立上り、リセットにより立ち下がるディジ
タル値である。
【0232】前記ディジタル時系列データ305 を、シフ
トレジスタ375 および減算器376 より構成される回路に
入力すると、その出力377 にはディジタル時系列データ
305の立上り速度に応じて正の、また立下り速度に応じ
て負のディジタル値が得られる。平坦部分の抽出パルス
374 の立下りエッジで、減算器376 の出力377 をラッチ
378 に読み込むことにより、平坦部の傾き測定結果の出
力379 が得られる。
【0233】図39は上記図29に示す平坦部傾き診断回路
302 に対応した回路図で、平坦部の傾きは検出器のリー
ク電流に相当する。ディジタルコンパレータ380 は、平
坦部傾き測定回路301 の出力379 が予め設定した平坦部
傾きの最大値381 を越えた場合、すなわち、予め設定し
たリーク電流値を越えた場合にエラー382 を出力する。
【0234】第2実施例の第1の変形例を図40のブロッ
ク構成図に示す。図29に示す診断部をソフトウェア化し
て中央処理装置( Central Processing Unit、以下CP
Uと略称する)にて処理するものである。
【0235】このCPUによる方法では、第1発明乃至
第4発明の図2乃至図5に示す弾道欠損の除去26は弾道
欠損除去回路291 に、第1発明の図2の急激な変化部分
の抽出27、急激な変化の間隔測定28、時間間隔の診断29
や、第2発明の図3の立上り部分の抽出33、立上り速度
の測定34、立上り速度の診断35と、第3発明の図4の立
上り時間の測定47、立上り時間の診断48、第4発明の図
5の平坦部分の抽出60、平坦部分の傾きの測定61、そし
て傾きの診断62は、いずれもメモリ383 およびCPUと
周辺回路384 に対応する。
【0236】弾道欠損除去回路291 の出力信号は高速A
DC303 によりディジタル信号に変換して、このディジ
タル時系列データに対してCPUを用いた数値処理によ
り各診断結果A〜Dを得る。なお、弾道欠損除去回路29
1 の実施例については図13に、また高速ADC303の実
施例については図30に示している。
【0237】このCPUによる方法では、図30に示す高
速ADC303 が変換したディジタル時系列データ305
を、図40に示すメモリ383 に一旦蓄えた後に、CPUと
周辺回路384 による数値処理を行って診断結果A〜Dを
得るものである。これによれば、CPUの処理時間が遅
いため数え落としを生じ、検出器に入射したすべての放
射線に対する処理はできないが、ハードウェア構成を変
更することなく容易に信号処理内容を変更できる特長が
ある。
【0238】第2実施例の第2の変形例を図41のブロッ
ク構成図に示す。この変形例はCPUと共に、ディジタ
ルシグナルプロセッサ(Digital Signal Processor 、
以下DSPと略称する)による処理方法で、上記第1発
明乃至第4発明の図2乃至図5に示す弾道欠損の除去26
は弾道欠損除去回路291 に、第1発明の図2に示す急激
な変化部分の抽出27、急激な変化の間隔測定28、時間間
隔の診断29と、第2発明の図3の立上り部分の抽出33、
立上り速度の測定34、立上の速度の診断35および第3発
明の図4の立上り時間の測定47、立上り時間の診断48、
第4発明の図5の平坦部分の抽出60、平坦部分の傾きの
測定61、そして傾きの診断62は、いずれも、メモリ383
とDSP385 およびCPUと周辺回路386 に対応してい
る。
【0239】弾道欠損除去回路291 の出力信号を高速A
DC303 により変換したディジタル時系列データに対し
て、DSP385 を用いた数値処理により診断結果A〜D
を得ている。なお、弾道欠損除去回路291 の実施例につ
いては上記図13に、また高速ADC303 の実施例につい
ては図30に示す。
【0240】このDSPによる方法では、図30に示す高
速ADC303 が変換したディジタル時系列データ305 を
一旦メモリ383 に蓄えた後に、DSP385 により数値処
理を行いCPUと周辺回路386 により診断結果A〜Dを
得るものである。DSP385 にはCPUと周辺回路386
により、予め処理内容をプログラムしておくことができ
るため、CPUによる方法と同様にハードウェアを変更
することなく信号処理内容を変更できる特長がある。
【0241】また、DSPはディジタル信号処理専用の
プロセッサであるため、上記CPUによる方法に比較し
て処理速度が速い。また、DSP385 の処理速度がプリ
アンプの出力信号の立上り速度に較べて十分に速けれ
ば,メモリ385 にディジタル時系列データ305 を蓄える
ことなく直接処理することも可能である。
【0242】図42のブロック構成図に放射線測定装置に
おける診断結果に対する信号処理の例を示す。この例で
は診断部をプリアンプ387 に内蔵したもので、放射線ス
ペクトロメータにおける通常の信号の流れは、プリアン
プ387 からリニアアンプ3、ADC388 となる。
【0243】またプリアンプ387 に内蔵した上記図2乃
至図5に示す診断部から得られた各診断結果A〜Dは、
診断結果の処理部389 で処理されて、この処理結果をA
DC388 のゲート入力に接続する。ADC388 のゲート
入力は、入力された信号を変換するか否かを制御するた
めに設けられている。
【0244】前記診断部の診断結果より信号処理部289
で処理できる内容は、信号の除去または検出器の異常の
検出である。したがって、信号の除去の場合はADC38
8 のゲートを制御してADC388 が信号の変換を行わな
いようにして信号を除去する。
【0245】検出器の異常を検出した場合は、異常表示
装置390 で異常表示を行う。この結果から作業員は異常
な検出器による測定作業を停止して、検出器の交換等の
手配をする。また、検出器の異常表示については、計算
機291 と接続して自動的に検出器の異常処理を行う等の
方法もある。なお、この計算機291 は専用、あるいは共
用機としてもよい。
【0246】本発明では、放射線検出器の信号から時間
間隔の測定により、ノイズ除去のための時間が足りない
信号を除去できるので分解能の向上および正確な放射線
測定が可能である。また、立上り速度の診断結果により
信号処理を行って、動作中の検出器の異常を検出するこ
とができるので、異常の程度が軽微であれば、正確な放
射線測定を継続することができる。
【0247】なお、電荷収集中に次の放射線が入射した
ことを検出することができるのでサムピークを容易に除
去することができる。さらに、再結合領域が検出器の一
部であればエネルギー情報が失われた信号を除去しなが
ら測定を継続することができるので、低エネルギー側の
分解能が向上できる。これは立上り時間の診断結果によ
っても同様の効果が得られる。
【0248】また、検出器のリーク電流を検出器の動作
中に測定することができるので、正常な検出器から得ら
れた測定データであることが確認できるため、測定デー
タの信頼性が向上する。
【0249】さらに、ディジタル信号処理方式とすれ
ば、経年変化や温度変化などの環境の変化に左右されな
い。なお、弾道欠損除去回路を用いることにより信号の
歪が除去されるので、完全微分回路の出力は立上り時間
や立上り速度を測定する場合に測定精度が向上する。
【0250】
【発明の効果】以上本発明によれば放射線検出器の診断
の結果から早期に軽微な異常も検出でき、検出器の故障
予測を行って、定期検査時に交換などの対応が容易に可
能となる。また、検出器から出力されるそれぞれの信号
の診断の結果で、一部が異常であると判断された場合
に、正常な信号のみを採用するということにより、従来
故障として処置されていた検出器であっても、交換する
までの間をあたかも正常な検出器として使用することも
可能となり、保守と共に信頼性が向上する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る一実施例の放射線測定装置のブロ
ック構成図。
【図2】第1発明の放射線測定装置のブロック構成図。
【図3】第2発明の放射線測定装置のブロック構成図。
【図4】第3発明の放射線測定装置のブロック構成図。
【図5】第4発明の放射線測定装置のブロック構成図。
【図6】弾道欠損を示す特性図で、(a)検出器の出
力、(b)電荷型プリアンプの出力、(c)抵抗フィー
ドバッグ型プリアンプの出力。
【図7】弾道欠損除去回路の(a)回路図、(b)出力
信号波形図。
【図8】各種抽出タイミング信号の特性図で、(a)入
力信号波形、(b)弾道欠損除去後の波形、(c)放射
線入射による急激な変化の信号、(d)リセットによる
急激な変化の信号、(e)急激な変化部分の抽出信号、
(f)平坦部分の抽出信号、(g)立上り部分の抽出信
号。
【図9】信号接近の特性図で、(a)立上り前が立上り
後の時間より小さい、(b)立上り前が立上り後の時間
より大きい、(c)立上り前と立上り後の時間が同じ。
【図10】時間間隔の診断結果に対する信号処理の特性
図。
【図11】立上り速度または立上り時間の診断結果に対
する信号処理の特性図。
【図12】第1実施例の診断部ブロック構成図。
【図13】弾道欠損除去回路の(a)リセット回路図、
(b)信号波形図。
【図14】信号検出回路図の(a)ブロック構成図、
(b)CR微分回路図、(c)アクティブフィルタ回路
図、(d)完全微分回路図、(e)ディレイライン回路
図。
【図15】波形整形回路図で(a)立上り信号、(b)
立下り信号、(c)CR微分回路出力信号、(d)完全
微分回路出力信号。
【図16】急激な立上り検出回路の(a)回路図、
(b)信号波形図。
【図17】急激な立下り検出回路の(a)回路図、
(b)信号波形図。
【図18】時間間隔測定回路の(a)回路図、(b)信
号波形図。
【図19】時間間隔診断回路の(a)回路図、(b)信
号波形図。
【図20】時間間隔診断結果の直接出力回路の(a)回
路図、(b)信号のタイミング特性図。
【図21】立上り速度測定回路の回路図。
【図22】立上り速度測定回路の信号波形図。
【図23】立上り速度診断回路の(a)回路図、(b)
信号波形図。
【図24】立上り時間測定回路の(a)回路図、(b)
信号波形図。
【図25】立上り時間診断回路の(a)回路図、(b)
信号波形図。
【図26】立上り時間診断結果の直接出力回路の(a)
回路図、(b)信号のタイミング特性図。
【図27】平坦部傾き測定回路の(a)回路図、(b)
信号波形図。
【図28】平坦部傾き診断回路の(a)回路図、(b)
信号波形図。
【図29】第2実施例の診断部ブロック構成図。
【図30】高速ADCの(a)ブロック図、(b)信号
波形図。
【図31】急激な立上り、立下り検出回路図。
【図32】時間間隔測定回路図。
【図33】時間間隔診断回路図。
【図34】立上り時間測定回路の(a)回路図、(b)
信号のタイミング特性図。
【図35】立上り速度診断回路図。
【図36】立上り時間測定回路の(a)回路図、(b)
信号のタイミング特性図。
【図37】立上り時間診断回路図。
【図38】平坦部傾き測定回路図。
【図39】平坦部傾き診断回路図。
【図40】CPUによるブロック構成図。
【図41】DSPによるブロック構成図。
【図42】診断結果に対する信号処理例のブロック構成
図。
【図43】従来の放射線測定装置の概略ブロック構成
図。
【図44】従来の信号波形図で、(a)検出器の出力、
(b)プリアンプの出力、(c)リニアアンプの出力。
【図45】従来の電荷型プリアンプの回路図で、(a)
基本回路、(b)抵抗フィードバック型。
【図46】従来のプリアンプの信号波形特性図で、
(a)無信号時、(b)低計数率時、(c)中計数率
時、(d)高計数率時。
【符号の説明】
1…半導体検出器(検出器)、2…プリアンプ、3…リ
ニアアンプ、4,24,388 …ADC、5…プロセスメモ
リ、6,291 …計算機、7…スペクトル表示装置、11…
電荷型プリアンプの基本回路、12,15,80…反転増幅
器、13,16,79…フィードバックコンデンサ、14…抵抗
フィードバック型プリアンプ、17…フィードバッグ抵
抗、22…診断部、23,389 …診断結果の信号処理部、25
…スペクトルおよび検出器異常等の表示、26…弾道欠損
の除去、27…急激な変化部分の抽出、28…急激な変化の
間隔測定、29…時間間隔の診断、30…診断結果A、31…
先行する信号または現在の信号の除去、32…先行する信
号および現在の信号の除去、33…立上り部分の抽出、34
…立上り速度の測定、35…立上り速度の診断、36…診断
結果B、37…立上り速度が遅い信号、38,51…検出器内
部に電荷の捕獲領域がある、39,52,66…測定継続、4
0,46,53,59,67…検出器の異常、41,54…電荷収集
中に次の放射線が入射した、42,45,55,58…信号の除
去、43…立上り速度が遅い信号、44,57…検出器内部に
電荷の再結合領域がある、47…立上り時間の測定、48…
立上り時間の診断、49…診断結果C、50…立上り時間が
長い信号、56…立上り時間が短い信号、60…平坦部分の
抽出、61…平坦部分の傾きの測定、62…傾きの診断、63
…診断結果D、64…傾きが増加、65…検出器の異常兆
候、74…弾道欠損、75,100 ,291 …弾道欠損除去回
路、78…リセット入力、87…立上りの高さ、88…立上り
前の平坦部、89…立上り後の平坦部、90…先行する立上
り、91…現在の立上り、92,93…ノイズ成分除去に要す
る時間、101 ,292 …急激な立上り検出回路、102 ,29
3 …急激な立下り検出回路、103 ,294 …時間間隔測定
回路、104 ,295 …時間間隔診断回路、105 ,296 …立
上り速度測定回路、106 ,297 …立上り速度診断回路、
107 ,298 …立上り時間測定回路、108 ,299…立上り
時間診断回路、110 ,301 …平坦部傾き測定回路、111
,302 …平坦部傾き診断回路、127 …パルス化、128
…波形整形、303 …高速ADC、383 …メモリ、384 ,
386 …CPUと周辺回路、390 …DSP。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 放射線検出器にて検出して電気信号に変
    換された信号を入力して放射線の測定を行う放射線測定
    装置において、前記放射線検出器の出力信号の異常を診
    断する診断部と、この診断部の診断結果から出力信号の
    処理を行う信号処理部を設けたことを特徴とする放射線
    測定装置。
  2. 【請求項2】 上記診断部と信号処理部を設けた放射線
    測定装置において、診断部は放射線検出器の出力信号を
    入力して弾道欠損除去後の信号の急激な変化部分の抽出
    と間隔を測定して時間間隔の診断をすると共に、この診
    断結果から信号処理部は前記信号の時間間隔が接近した
    ときに先ず先行する信号または現在の信号を除去し、さ
    らに接近したときは先行する信号と現在の信号を除去す
    ることを特徴とする請求項1記載の放射線測定装置。
  3. 【請求項3】 上記診断部と信号処理部を設けた放射線
    測定装置において、診断部は放射線検出器の出力信号を
    入力して弾道欠損除去後の信号の立上り部分の抽出と立
    上り速度を測定して立上り速度の診断をすると共に、こ
    の診断結果から信号処理部は検出器内部に電荷の捕獲領
    域があることを検出して測定を継続するか検出器の異常
    として測定を停止するか、または電荷収集中に放射線が
    入射したことを検出して信号の除去を行うか、あるいは
    検出器内部に電荷の再結合領域があることを検出して信
    号を除去するか検出器の異常として放射線測定を停止す
    ることを特徴とする請求項1記載の放射線測定装置。
  4. 【請求項4】 上記診断部と信号処理部を設けた放射線
    測定装置において、診断部は放射線検出器の出力信号を
    入力して弾道欠損除去後の信号の立上り部分の抽出と立
    上り時間を測定して立上り時間の診断をすると共に、こ
    の診断結果から信号処理部は検出器内部に電荷の捕獲領
    域があることを検出して測定を継続するか検出器の異常
    として測定を停止するか、または電荷収集中に放射線が
    入射したことを検出して信号の除去を行うか、あるいは
    検出器内部に電荷の再結合領域があることを検出して信
    号を除去するか検出器の異常として放射線測定を停止す
    ることを特徴とする請求項1記載の放射線測定装置。
  5. 【請求項5】 上記診断部と信号処理部を設けた放射線
    測定装置において、診断部は放射線検出器の出力信号を
    入力して弾道欠損除去後の信号の平坦部分の抽出と平坦
    部分の傾きを測定して傾きの診断をすると共に、この診
    断結果から信号処理部は検出器の異常兆候を検出して測
    定の継続するか、または検出器の異常として放射線測定
    を停止することを特徴とする請求項1記載の放射線測定
    装置。
  6. 【請求項6】 上記放射線測定装置に設けた診断部が、
    放射線検出器の出力信号を入力して信号の立上り速度お
    よび立上り時間の測定に際して弾道欠損を除去した後の
    信号処理に対して完全微分回路を使用したことを特徴と
    する請求項3または請求項4記載の放射線測定装置。
  7. 【請求項7】 上記放射線測定装置に設けた診断部およ
    び信号処理部が、弾道欠損除去後のアナログ信号をディ
    ジタル時系列データに変換してディジタル数値処理を行
    うことを特徴とする請求項1乃至請求項6記載の放射線
    測定装置。
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