JPH08738A - 生体内留置用ステントおよびその製造方法 - Google Patents
生体内留置用ステントおよびその製造方法Info
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- JPH08738A JPH08738A JP15937494A JP15937494A JPH08738A JP H08738 A JPH08738 A JP H08738A JP 15937494 A JP15937494 A JP 15937494A JP 15937494 A JP15937494 A JP 15937494A JP H08738 A JPH08738 A JP H08738A
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Abstract
であり、さらに、留置時に生体内組織に損傷を与えるこ
とがなく、さらに、留置後の生体管腔または体腔の拡張
状態の維持を確実に行うことができる生体内留置用ステ
ントおよびステントの製造方法を提供する。 【構成】 ステント1は、円筒状フレーム体2と、この
円筒状フレーム2を構成するフレーム6a,6bにより
区画(囲撓)された開口4およびフレーム6aにより区
画された切欠部5を有しており、フレーム2は両端部3
a,3bを有している。ステント1は、超弾性金属によ
り形成されており、接続部などの物性の急激な変更点を
持たない一体成型物である。
Description
道、尿道、その他の臓器などの生体内に生じた狭窄部の
改善に使用される生体内留置用ステントおよびステント
の製造方法に関する。
道、その他の臓器などの生体管腔または体腔の狭窄部に
挿入し、管腔または体腔空間を確保するために、種々の
ステントが提案されている。
て、セルフエキスパンダブルステントとバルーンエキス
パンダブルステントに区別される。バルーンエキスパン
ダブルステントは、ステント自体に拡張機能はなく、ス
テントを目的部位に留置するには、ステントを目的部位
に挿入した後、ステント内にバルーンを位置させてバル
ーンを拡張させ、バルーンの拡張力によりステントを拡
大(塑性変形)させ目的部位の内面に密着させて固定す
る。よって、このタイプのステントでは、上記のような
ステントの拡大作業が必要となる。
は、ステント自体が収縮および拡張機能を持っている。
ステントを目的部位に留置するためには、ステントを収
縮させた状態にて目的部位に挿入した後、収縮状態の維
持のために負荷した応力を除去する。例えば、目的部位
の内径より小さい外径のチューブ内にステントを収縮さ
せて収納し、このチューブの先端を目的部位に到達させ
た後、ステントをチューブより押し出すことにより行わ
れる。押し出されたステントは、チューブより解放され
ることにより応力負荷が解除され、収縮前の形状に復元
し拡張する。これにより、目的部位の内面に密着し固定
する。このタイプのステントでは、バルーンエキスパン
ダブルステントのような拡大作業は必要なく、手技が容
易である。
トとしては、種々のものが提案されている。具体的に
は、超弾性金属を用いたステントとしては、特公平5−
43392号公報に示すものがある。特公平5−433
92号公報に示すカテーテルは、外周囲にシースが被せ
られ、挿入先端側にシースとの間に生体器官拡張器(ス
テント)が取り付けられており、生体器官拡張器(ステ
ント)は、シースが抜去された後のその作用発現時と、
その挿入前にシース内に取り付けられた時点との歪みが
共に超弾性領域にあるものが使用されている。そして、
ステントの形状としては、コイル状のもの、円筒状のも
の、ロール状のもの、異形管状のもの、高次コイル状の
もの、板バネコイル状のもの、カゴまたはメッシュ状の
ものが示されている。
−43392号公報に示すステントは、生体挿入前およ
び生体内挿入後のいずれにおいても超弾性を示す超弾性
金属を用いているため、生体内への留置作業が容易であ
ると共に、生体内留置されたステントは恒常的に超弾性
を示すため、長期的に生体管腔または体腔を拡張するこ
とができる。しかし、特公平5−43392号公報に示
すステントは、上記のような形状をしている。
状、板バネコイル状のものでは、生体内に挿入されると
ステントは拡張し、このときに、端部、例えば、コイル
の両端部、ロールの側面端部が移動する。つまり、縮径
した状態から基本形状に復帰するためは、コイル状のも
のは長さが短くなり、これにつられてコイルの端部の距
離も短くなる。ロール状のものでは長さは変わらないが
側面端部間の距離が変動する。ステントは、シースより
放出された状態で生体内に露出し、上記のステントの端
部の移動が生体管腔または体腔の内面に接触した状態に
て生じることが多く、生体内面に損傷を与える危険性が
ある。そして、与えられた損傷より再び狭窄を起こす可
能性が高い。
うな問題はないが縮径させることが容易ではなく、生体
内への挿入が困難である。また、異形管状のものでは、
縮径できる割合あ少なく、内側に突出する部分により再
び狭窄が生じる危険性もあり、さらに血流等を阻害す
る。カゴまたはメッシュ状のステントは、超弾性金属線
を用いて形成することが容易ではなく、また、金属線の
交差部分にてずれることがあり、さらに、弾性力のコン
トロールがうまくできず、外形の決定を難しくしてい
る。
挿入後のいずれにおいても超弾性を示す超弾性金属を用
いることにより生体内への留置作業が容易であり、さら
に、留置時に生体内組織に損傷を与えることがなく、さ
らに、留置後の生体管腔または体腔の拡張状態の維持を
確実に行うことができる生体内留置用ステントおよびス
テントの製造方法を提供するものである。
は、生体挿入前および生体内挿入後のいずれにおいても
超弾性を示す超弾性金属により略円筒形状に形成されて
おり、さらに、側面に形成された複数の切欠部または複
数の開口により構成された応力負荷時に外径が縮径する
方向への変形を補助する変形補助機能を有し、かつ、全
体において物性の急激な変更点が形成されることなく一
体に形成されている生体内留置用ステントである。
あることが好ましい。。また、前記開口は、ステントの
軸方向がステントの軸と直交する方向より長い楕円また
は多角形であることが好ましい。また、前記切欠部は、
半円形または多角形であることが好ましい。さらに、前
記ステントの表面には、生体適合性金属または生体適合
性樹脂が被覆されていることが好ましい。前記生体適合
性金属は、例えば、金、銀、白金、チタンのいずれかで
ある。
れる生体内部位に適合した外径を有する超弾性金属パイ
プを準備し、該超弾性金属パイプの側面を部分的に除去
して、側面に複数の切欠部または複数の開口を形成する
工程を有することを特徴とする生体内留置用ステントの
製造方法である。そして、前記超弾性金属パイプの側面
に切欠部または開口を形成する工程は、例えば、超弾性
金属パイプの側面を溶融加工または切削加工するもので
ある。また、前記超弾性金属パイプの側面に切欠部また
は開口を形成する工程は、例えば、超弾性金属パイプの
側面を薬品により溶解させるものである。
開口を形成する工程は、切削加工または溶融加工により
ステントの基本形状を有するステント形成体作成工程
と、前記ステント基本形状形成工程によりステント形成
体の周縁に形成された熱変性部分を除去するための熱変
性部分処理工程とを有することが好ましい。さらに、側
面に複数の切欠部または複数の開口を形成する工程は、
切削加工またはまたは化学エッチングによりステントの
基本形状を有するステント形成体作成工程と、該ステン
ト基本形状形成工程により形成されたステント形成体の
エッジを削りとる面取り工程と、前記ステント基本形状
形成工程によりステント形成体の周縁に形成された熱変
性部分を除去するための熱変性部分処理工程とを有する
ことが好ましい。また、前記熱変性部分処理工程は、前
記面取り工程の後に行うことが好ましい。前記熱変性部
分処理工程は、前記ステント形成体を使用する超弾性金
属をある程度溶解する処理溶液に浸漬して行うことが好
ましい。前記面取り工程は、ブラスト処理により行うこ
とが好ましい。前記切削加工は、レーザー加工(例え
ば、YAGレーザー)、放電加工、機械研磨のいずれか
または組み合わせにより行うことが好ましい。また、前
記溶融加工は、フォトファブリケーション法を用いた化
学エッチングであることが好ましい。
用いて説明する。図1は、本発明のステントの一実施例
の平面図である。本発明のステント1は、生体挿入前お
よび生体内挿入後のいずれにおいても超弾性を示す超弾
性金属により略円筒形状に形成されている。そして、円
筒体2の側面に形成された複数の切欠部または複数の開
口により構成された応力負荷時に外径が縮径する方向へ
の変形を補助する変形補助機能を有している。さらに、
全体において物性の急激な変更点が形成されることなく
一体に形成されている。
な形状をしている。この実施例のステント1は、円筒状
フレーム体2と、この円筒状フレーム2を構成するフレ
ーム6a,6bにより区画(囲撓)された開口4および
フレーム6aにより区画された切欠部5を有しており、
フレーム2は両端部3a,3bを有している。そして、
このステント1、言い換えればフレーム体2の全体は、
超弾性金属により形成されており、接続部などの物性の
急激な変更点が形成されないように一体に形成されてい
る。
つの円上にある複数の円弧の集合体により構成されてお
り、それらは、ほぼ等角度離間している。つまり、フレ
ーム体2の端部は、切欠部5が形成されなければ、ほぼ
真円形であり、切欠部5が形成されることにより、フレ
ーム2の中心より等角度離間した複数の円弧を形成して
いる。また、端部3a,3bは、フレーム6aの端部側
面により形成されている。フレーム6aは、フレーム体
2の中心軸に対して所定角度斜めにのびるように形成さ
れている。また、端部3a,3bにて連続する2つのフ
レーム6aは、二等辺三角形の2つの等辺を形成してい
る。そして、両端のフレーム6aは、フレーム6bによ
り接続されている。フレーム6bは、フレーム体2の中
心軸とほぼ平行に形成されている。そして、この実施例
では、フレーム6bは、フレーム6aのほぼ二倍の幅を
持っている。また、フレーム6a,6bのフレーム体の
中心軸に直交する方向に切断したときの断面形状は、上
辺が円弧で底辺が上辺より短い円弧で側辺が直線となっ
た扇状となっている。さらに、フレーム(ステント)の
外面は、全体においてエッジがなく面取りされた状態と
なっている。これにより、ステントが生体内壁に損傷を
与えることをより防止できる、
切欠部を有するので、ステントの端部3a,3bの変形
が容易となり、特に、端部の部分的変形が可能となり、
留置される血管の変形時に対する応答が良好になる。ま
た、端部3は、複数のフレーム6aの端部により形成さ
れているため、つぶれにくく、十分な強度を有する。ま
た、両端部間には、フレーム6a,6bにより囲まれた
開口4が形成されており、この開口4は、フレーム6a
の変形により容易に変形する。このため、ステント1
は、その中央部(フレーム体2の中央部)での変形が容
易である。
ぶれた形状の六角形をしており、切欠部5は二等辺三角
形をしている。また、切欠部5は、それぞれの端部に複
数、具体的には6個形成されており、それぞれはほぼ等
しい形状となっている。また、開口4もステント1の側
面を形成するように、複数、具体的には、6個形成され
ている。なお、切欠部および開口は上記の形状および個
数に限定されるものではなく、切欠部としては、3〜1
0個、開口としては、3〜10個程度が好適である。そ
して、ステント1は、外径が2.0〜30mm、好まし
くは、2.5〜20mm、内径が1.4〜29mm、好
ましくは1.6〜29.4mmのものであり、長さは、
10〜150mm、より好ましくは15〜100mmで
ある。
は、超弾性合金が好適に使用される。ここでいう超弾性
合金とは一般に形状記憶合金といわれ、少なくとも生体
温度(37℃付近)で超弾性を示すものである。特に好
ましくは、49〜53原子%NiのTiNi合金、3
8.5〜41.5重量%ZnのCu−Zn合金、1〜1
0重量%XのCu−Zn−X合金(X=Be,Si,S
n,Al,Ga)、36〜38原子%AlのNi−Al
合金等の超弾性金属体が好適に使用される。特に好まし
くは、上記のTiNi合金である。また、Ti−Ni合
金の一部を0.01〜10.0%Xで置換したTi−N
i−X合金(X=Co,Fe,Mn,Cr,V,Al,
Nb,W,Bなど)とすること、またはTi−Ni合金
の一部を0.01〜30.0%原子で置換したTi−N
i−X合金(X=Cu,Pb,Zr)とすること、ま
た、冷間加工率または/および最終熱処理の条件を選択
することにより、機械的特性を適宜変えることができ
る。また、上記のTi−Ni−X合金を用いて冷間加工
率および/または最終熱処理の条件を選択することによ
り、機械的特性を適宜変えることができる。
(負荷時の降伏応力)は、5〜20kg/mm2(22
℃)、より好ましくは、8〜150kg/mm2、復元
応力(除荷時の降伏応力)は、3〜180kg/mm2
(22℃)、より好ましくは、5〜130kg/mm2
である。ここでいう超弾性とは、使用温度において通常
の金属が塑性変形する領域まで変形(曲げ、引張り、圧
縮)させても、変形の解放後、加熱を必要とせずにほぼ
元の形状に回復することを意味する。そして、ステント
1は、例えば、超弾性金属パイプを用いて、切欠部およ
び開口となる部分を除去(例えば、切削、溶解)するこ
とに作成され、これにより、急激な物性の変更点が形成
されない一体形成物となっている。物性の急激な変更点
があると、その部分が他の部分と異なった変形動態を示
す。そして、物性の異なった部分に金属ストレスがかか
りその部分より破損する危険性もある。また、物性の変
更点が存在するとステント全体として変形が不自然とな
り、内部を流れる血液流に不自然な流れを形成し、再び
狭窄の原因となる。しかし、本発明のステントでは、急
激な物性の変更点が形成されない一体形成物により形成
されているので、上記のような問題はない。
性金属パイプは、不活性ガスまたは真空雰囲気にて溶解
しTi−Ni合金などの超弾性合金のインゴットを形成
し、このインゴットを機械的に研磨し、続いて、熱間プ
レスおよび押し出しにより、太径パイプを形成し、その
後順次ダイス引き抜き工程および熱処理工程を繰り返す
ことにより、所定の肉厚、外径のパイプに細径化し、最
終的に表面を化学的または物理的研磨することにより製
造することができる。そして、この超弾性金属パイプへ
の切欠部または複数の開口の形成は、レーザー加工(例
えば、YAGレーザー)、放電加工、化学エッチング、
切削加工などにより行うことができ、さらにそれらの併
用により行ってもよい。次に、図2に示す実施例のステ
ントについて説明する。
は、図1に示したものと同じである。このステント10
は、比較的長い部分にわたり狭窄部が形成された場合ま
たは狭窄部が形成された血管が蛇行または湾曲している
場合に使用される。形状は、図1に示したステントを2
つフレーム6cにより接続した形状となっている。そし
て、このステント10も上述の物と同様に、急激な物性
の変更点が形成されない一体形成物により形成されてい
る。
い合うフレーム6aの端部が一カ所のみフレーム6cに
より接続されており、他のフレーム6aの端部はそれぞ
れ自由端となっている。このように一カ所のみで接続さ
れているので、フレーム体2aとフレーム体2bの間に
て大きく変形することができ、長い部分にわたり狭窄部
が形成された血管、蛇行または湾曲した血管などを改善
するのに有効である。そして、1つのステントによりそ
れらの血管を改善することができ、複数のステントを留
置する必要がない。
示すステントに限られず、例えば、図3に示すステント
30のように、両端部に台形状の切欠部が形成されると
ともに、中央部にハニカム状に複数の六角形の開口が形
成されているもの、また、図4に示すステント40のよ
うに、両端部に長方形状の切欠部が形成され、中央部に
複数の長方形状(切欠部の二倍の長さを有する)の開口
が形成されているものなどであってもよい。
ステントの拡張時(言い換えれば、留置時、応力除荷
時)とステントの非留置時(縮径された状態)とを比較
した場合、ステントの非留置時に切欠部および開口がス
テントの軸方向に若干延びる程度であり、両者間の形状
の相違および寸法の相違が少ない。このため、生体内で
の形状復元時における変形量が少なく、つまり、形状復
元時における生体内でのステントの端部の動きがほとん
どなく、このため、形状復元時に生体内壁に損傷を与え
ることが少ない。
みで形成されていてもよいが、超弾性金属パイプ4の外
壁または内壁、さらには両面に生体適合性材料を被覆し
てもよい。生体適合性材料としては、生体適合性材料を
有する合成樹脂または金属が考えられる。ステントの表
面を不活性な金属で被覆する方法としては、電気メッキ
法を用いた金メッキ、蒸着法を用いたステンレスメッ
キ、スパッタ法を用いたシリコンカーバイド、窒化チタ
ンメッキ、金メッキなどが考えられる。
熱硬化系の樹脂から選択できるが、例えば、ポリオレフ
ィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレ
ンープロピレン共重合体など)、ポリ塩化ビニル、エチ
レン−酢酸ビニル共重合体、、ポリアミドエラストマ
ー、ポリウレタン、ポリエステル、フッ素樹脂、シリコ
ーンゴム等が使用でき、好ましくは、ポリオレフィン、
ポリアミドエラストマー、ポリエステルあるいはポリウ
レタン、また、生体内分解性樹脂(例えば、ポリ乳酸、
ポリグリコール酸、両者のコポリマー)である。合成樹
脂被膜は、ステントを構成するフレームの湾曲の妨げに
ならない程度に柔軟であることが好ましい。合成樹脂被
膜5の肉厚は、5〜300μm、好ましくは、10〜2
00μmである。
方法としては、例えば、溶融状態または溶液状態の合成
樹脂の中に、超弾性金属パイプ4を挿入して被覆する方
法、モノマーを超弾性金属パイプ4の表面で重合させな
がら被覆する化学蒸着などがある。極薄な樹脂被覆が要
求される場合は、希薄溶液を用いた被覆、または化学蒸
着が好適である。
ために、上記樹脂皮膜に抗血栓性材料を被覆または固定
してもよい。抗血栓性材料として、公知の各種の樹脂を
単独または混合して使用することができるが、例えば、
ポリヒドロキシエチルメタアクリレート、ヒドロキシエ
チルメタアクリレートとスチレンの共重合体(例えば、
HEMA−St−HEMAブロック共重合体)などが好
適に使用できる。
て説明する。本発明のステントの製造方法では、留置さ
れる生体内部位に適合した外径を有する超弾性金属パイ
プを準備する工程と、準備された超弾性金属パイプの側
面を部分的に除去して、側面に複数の切欠部または複数
の開口を形成する工程を少なくとも有している。
空雰囲気にて溶解しTi−Ni合金などの超弾性合金の
インゴットを形成し、このインゴットを機械的に研磨
し、続いて、熱間プレスおよび押し出しにより、太径パ
イプを形成し、その後順次ダイス引き抜き工程および熱
処理工程を繰り返すことにより、所定の肉厚、外径のパ
イプに細径化し、最終的に表面を化学的または物理的研
磨することにより製造することができる。
開口を形成する工程は、例えば、レーザー加工(例え
ば、YAGレーザー)、放電加工、機械研磨などによる
切削加工、または化学エッチングなどにより行うことが
できる。さらにそれらの併用により行ってもよい。そし
て、このように、パイプの加工によりステントを形成し
ているので、パイプの外径がそのままステントの外径と
なり、作成後の寸法精度が高く、生体内に留置したとき
に作製形状への復帰が確実であり、狭窄部の改善を確実
に行うことができる。また、物性の変更点がほとんど形
成されない一体物であるため、物性の急激な変更点に蓄
積される金属ストレスによる破損、不自然な血液流形成
といったことがない。
欠部または開口を形成する工程では、まず、超弾性金属
パイプを放電加工により、切欠部および開口部となる部
分を加熱熔融させて除去し、ステントのほぼ目的形状に
初期加工する放電加工(一次加工)工程を行う。続い
て、放電加工処理したステント形成体のエッジを削りと
る面取り工程(二次加工)を行う。面取り工程は、例え
ば、硬質微粒子を用いたブラスト処理することにより行
われる。このブラスト処理によりバリ取りおよび面取り
が行われる。そして、放電加工時にステント形成体の周
縁に形成された熱変性部分を除去するために、熱変性部
分処理工程(三次加工、化学エッチング)を行う。この
熱変性部分処理工程は、例えば、フッ酸と硝酸の混合液
に少量の過酸化水素液を混合した変性部処理液にブラス
ト処理したステント形成体を浸漬することにより行われ
る。なお、化学エッチング(熱変性部分処理工程)によ
って、バリ取りおよび面取りを同時に行ってもよく、こ
の場合には、ブラスト処理工程は行わなくてもよい。
たは開口を形成する工程の上記の一次加工は、準備され
た所定の外径の超弾性金属パイプをレーザー装置(例え
ば、YAGレーザー装置)によりレーザー加工すること
により行うこともできる。このレーザー加工において
も、上述の放電加工と同様に、レーザー照射により切欠
部および開口部となる部分を加熱熔融させて除去し、ス
テントのほぼ目的形状に超弾性金属パイプを加工する。
たは開口を形成する工程は、以下のようにフォトファブ
リケーション技術を用いて行ってもよい。この方法で
は、まず最初に超弾性金属パイプの内面、外面の脱脂、
洗浄を行う。脱脂および洗浄は、例えば、界面活性剤水
溶液中への浸漬、RO水中への浸漬、ヘキサンなどの洗
浄用有機溶媒中への浸漬により行われる。そして、乾燥
させた後、超弾性金属パイプの外面および内面にフォト
レジストを塗布する。フォトレジストとしては、ポジ
型、ネガ型のいずれでもよく、さらに、UVレジスト、
電子線レジスト、X線レジストでもよい。フォトレジス
トの膜厚としては、0.5〜4μm程度が好適である。
そして、フォトレジスト膜のパイプへの密着性を高める
ために、80〜90℃程度で加熱処理(プリベーキン
グ)を行う。
または開口の形状に対応した模様を有するマスキングフ
ィルム(フォトレジストがポジ型、ネガ型により相違す
る)を超弾性金属パイプの外面に巻き付け真空密着させ
た後、露光作業を行う。露光作業は、例えば、超高圧水
銀灯を用いて行うことができる。また、この際に全体に
確実に照射されるように超弾性金属パイプを回転させな
がら行うことが好ましい。そして、現像処理を行う。現
像処理は、超弾性金属パイプをフォトレジスト現像液に
浸漬することにより行われる。続いて、120〜145
℃に加熱しポストベーキング処理する。これにより、マ
スキング工程が終了する。
の切欠部または開口となる部分には、フォトレジストが
存在せず、切欠部または開口を形成するフレーム部分と
なる部分には、硬化したフォトレジストが存在する超弾
性金属パイプが作成される。エッジング液にこのステン
ト形成体を浸漬し、切欠部または開口となる部分を溶解
し除去する。超弾性金属パイプの切欠部または開口とな
る部分はエッジング液に接触するため溶解し、フレーム
部分は硬化したフォトレジストによりエッジング液に接
触しないため溶解されない。このエッジング液処理によ
り、ステントのほぼ外形をしたステント形成体が作成さ
れる。そして、ステント形成体の表面に付着している硬
化フォトレジストを除去する。この処理は、硬化フォト
レジストを溶解する溶液にステントを浸漬することによ
り行われる。さらに、ステントの周縁に形成されたバリ
の除去および面取りのために、上述のようにブラスト処
理する。さらに、エッジング液に浸漬し、表面処理を行
う。これにより、本発明のステントが作成される。さら
に、必要により、ステントに金属メッキまたは樹脂皮膜
の形成工程が行われる。
いて述べる。 (実施例1)TiNi合金(51原子%Ni)の合金パ
イプを冷間加工して、外径7.8mm、内径7.0m
m、長さ約15mmの超弾性金属パイプを作成した。そ
して、ソルディック株式会社製NC放電加工機(A3R
回転ヘッド付き)を用いて、可動側に超弾性金属パイプ
をセットし、固定側に加工金型をセットして、図1に示
すような形状のステントを作成した。なお、放電加工に
おいては、加工電流2A、サーボ電圧3〜4Vにて行っ
た。この状態において、図1に示すフレーム6aの幅
は、0.45mmであった。そして、ステントのフレー
ムのエッジを面取りするために、粒径15〜30μmの
ガラスビーズを用いて、圧力2〜3kg/cm2にてブ
ラスト処理した。このブラスト処理によりバリ取りおよ
び面取りが行われ、その結果、図2に示すフレーム6a
の幅は、0.40mmとなった。
された熱変性部分の除去を行った。この作業は、フッ酸
と硝酸の混合液に少量の過酸化水素液を混合した変性部
処理液を準備し、この処理液(約40℃)に上記のよう
にブラスト処理したステントを約2分間浸漬して、ステ
ントの外面を化学エッチングすることにより行った。こ
の化学エッチングを行った後のステントは、形状は図1
に示すとおりであり、外径の平均が、7.6mm、平均
肉厚が0.29mm、フレーム6a平均の幅が、0.3
5mmであった。そして、形成されたステントは、指で
変形させても作成形状に復元した。このため、熱変性部
分(超弾性を示さない部分)はほぼ除去されているもの
であった。このステントは、腸骨動脈、大腿動脈、胆管
の狭窄改善に使用できる。
i)の合金パイプを冷間加工して、外径4.2mm、内
径3.6mm、長さ約15mmの超弾性金属パイプを作
成した。そして、YAGレーザー装置[ミヤチテクノス
株式会社製、ML−4140A]を用いて、レーザー加
工した。加工は、超弾性金属パイプ内に外径3.6m
m、長さ100mmのステンレス製心棒を挿入し、レー
ザー照射条件(電流16A、出力W、照射速度10mm
/min)]にて、2回繰り返して行い、図2に示すよ
うな2つのステントが連続した形状のステント形成体を
作成した。このステント形成体の平均線径は0.35ミ
リであった。そして、ステント形成体のフレームのエッ
ジを面取りするために、粒径15〜30μmのガラスビ
ーズを用いて、圧力2〜3kg/cm2にてブラスト処
理した。このブラスト処理によりバリ取りおよび面取り
が行われ、その結果、ステントのフレームの平均線径
は、0.31mmとなった。
形成された熱変性部分の除去を行った。この作業は、フ
ッ酸と硝酸の混合液に少量の過酸化水素液を混合した変
性部処理液を準備し、この処理液(約40℃)に上記の
ようにブラスト処理したステントを約2分間浸漬して、
ステントの外面を化学エッチングすることにより行っ
た。この化学エッチングを行った後のステントは、形状
は図2に示すとおりであり、外径の平均が、4.06m
m、平均線径が0.15mmであった。そして、形成さ
れたステントは、指で変形させても作成形状に復元し
た。このため、熱変性部分(超弾性を示さない部分)は
ほぼ除去されているものであった。このステントは、冠
動脈の狭窄改善に使用される。
て、その生体適合性を高めるために表面全体を金メッキ
した。金メッキは、スルファミン酸系メッキ浴(徳力本
店株式会社製、商品名オーロフレックスTI)を約40
℃に加温し、シアン金カリウムを溶解し、このメッキ浴
中に、実施例2のステントを浸漬した。これにより、ス
テントの表面には、1.8μmの非光沢の金メッキ層が
形成された。このステントも、実施例2と同様に冠動脈
の狭窄改善に使用される。
i)の合金パイプを冷間加工して、外径4.2mm、内
径3.6mm、長さ約15mmの超弾性金属パイプを作
成した。この超弾性金属パイプを、最初に界面活性剤水
溶液に浸漬し、続いて、RO水に浸漬し、乾燥させた
後、ヘキサン中に浸漬し、脱脂処理および洗浄処理し
た。
(東京応化工業株式会社製、ポジ型フォトレジスト、商
品名OFPR−800)液中に浸漬し、内面および外面
に厚さ約2μmの皮膜を形成した。この超弾性金属パイ
プを85℃にて30分間加熱し、プリベーキングを行っ
た。そして、ステントの切欠部および開口となる部分に
対応した部分が切り取られたマスキングフィルムを作成
し、超弾性金属パイプの外面に巻き付け、さらに真空密
着させた。続いて、露光処理を行った。露光処理は、超
弾性金属パイプを300rpmの速度で回転させなが
ら、超高圧水銀灯を用いて、出力3mw、露光量止む2
50mJ/cmにて、15秒間行った。
像液(東京応化工業株式会社製、商品名NMP)に浸漬
し、現像処理を行った。現像処理した超弾性金属パイプ
を130℃にて30分間ポストベーキング処理した。そ
して、蒸留水20ml、グリセリン45ml、硝酸(比
重1.40)25ml、フッ酸(40%)1mlを混合
してエッジング液を作成した。そして、約40℃に加温
したエッジング液に約20分間上記の超弾性金属パイプ
を浸漬した。続いて、アセトン中に超弾性金属パイプを
浸漬し、フォトレジストを溶解した。これにより、超弾
性金属パイプより切欠部および開口となる部分が除去さ
れ、図2に示すような形状で、ほぼ目的とするステント
形状を有するステント形成体がえられた。ステント形成
体の線径bは0.32mmであった。
ジング法特有のサイドエッジが形成されており、これを
除去するために、粒径15〜30μmのガラスビーズを
用いて、圧力2〜3kg/cm2にてブラスト処理し
た。このブラスト処理によりバリ取りおよび面取りを行
った。さらに表面状態を改良するために、フッ酸と硝酸
の混合液に少量の過酸化水素液を混合した表面処理液を
準備し、この処理液(約40℃)に上記のようにブラス
ト処理したステント形成体を約2分間浸漬して、ステン
トの表面を化学エッチングした。この化学エッチングを
行った後のステントは、形状は図2に示すとおりであ
り、外径の平均が、4.12mm、平均線径が0.28
mmであった。そして、形成されたステントは、指で変
形させても作成形状に復元した。このため、熱変性部分
(超弾性を示さない部分)はほぼ除去されているもので
あった。このステントは、冠動脈の狭窄改善に使用され
る。
挿入前および生体内挿入後のいずれにおいても超弾性を
示す超弾性金属により略円筒形状に形成されており、さ
らに、側面に形成された複数の切欠部または複数の開口
により構成された応力負荷時に外径が縮径する方向への
変形を補助する変形補助機能を有し、かつ、全体におい
て物性の急激な変更点が形成されることなく一体に形成
されている。
ずれにおいても超弾性を示す超弾性金属を用いることに
より生体内への留置作業が容易であり、留置後の生体管
腔または体腔の拡張状態の維持を確実に行うことができ
る。また、本発明のステントは略円筒形状であり、か
つ、変形補助機能は側面に形成された複数の切欠部また
は複数の開口により構成されているので、ステントの拡
張時(言い換えれば、留置時、応力除荷時)とステント
の非留置時(縮径された状態)とを比較した場合、両者
間の形状の相違および寸法の相違が少なく、生体内での
形状復元時におけるステントの軸方向への変形量が少な
く、形状復元時に生体内壁に損傷を与えることが少な
い。また、留置作業時のステントの造影像により確認で
きるステントの長さは、留置時においてもほとんど変化
しないため、目的部位への正確な留置が可能となる。さ
らに、ステントには急激な物性の変更点が形成されてい
ないので、金属ストレスの継続的に負荷される部分がな
く、長期的に留置しても破損の危険性が少ない。さら
に、内部に血液が流れるいわゆる血管拡張用ステントに
応用した場合に、内部を流れる血液流に不自然な流れを
形成しないので、ステントが再度の狭窄の原因となるこ
とを防止する。
置される生体内部位に適合した外径を有する超弾性金属
パイプを準備し、該超弾性金属パイプの側面を部分的に
除去して、側面に複数の切欠部または複数の開口を形成
する工程を有している。このため上記のような効果を有
するステントを容易に製造できる。さらに、この方法に
より製造されたステントは、目的部位に応じた外径の超
弾性金属パイプの加工により形成されたものとであるの
で、パイプの外径がそのままステントの外径となり、作
成後の寸法精度が高く、生体内に留置したときに作製形
状への復帰が確実であり、狭窄部の改善を確実に行うこ
とができる。
である。
図である。
図である。
図である。
Claims (2)
- 【請求項1】 生体挿入前および生体内挿入後のいずれ
においても超弾性を示す超弾性金属により略円筒形状に
形成されており、さらに、側面に形成された複数の切欠
部または複数の開口により構成された応力負荷時に外径
が縮径する方向への変形を補助する変形補助機能を有
し、かつ、全体において物性の急激な変更点が形成され
ることなく一体に形成されていることを特徴とする生体
内留置用ステント。 - 【請求項2】 留置される生体内部位に適合した外径を
有する略円筒形状の超弾性金属パイプを準備し、該超弾
性金属パイプの側面を部分的に除去して、側面に複数の
切欠部または複数の開口を形成する工程を有することを
特徴とする生体内留置用ステントの製造方法。
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