JPH087216Y2 - 燃焼筒付きガスバーナ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この考案は工業用炉等に設置して
使用する高負荷燃焼ガスバーナで、燃料ガスと燃焼用空
気の導入構造を改良した燃焼筒付きガスバーナに関す
る。

【０００２】

【従来の技術】従来の先混合バーナとして実公昭６２−
１８８０４号公報に記載されているように中心の一次空
気噴出孔を囲って二次空気噴出孔を備え、一次空気噴出
孔内にガス供給管を備えるものがある。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】従来の技術に示した公
報で、先行技術として示されているバーナタイルの火炎
形成空間においてガス燃料と一次燃焼空気とを混合して
燃焼させ、その火炎形成空間の周囲から二次燃焼空気を
供給して完全燃焼させるとしているが、この構成ではバ
ーナタイルの火炎形成空間において空気とガスの混合が
悪いため酸素の過剰に存在する領域ができ、局部的に高
温度域が生じ、サーマルＮＯｘ生成量が多い。

【０００４】このサーマルＮＯｘの発生を抑えるために
一次空気噴出孔の空気を一次ガス噴出孔のガス燃料とバ
ーナタイルの先端付近で燃焼させて保炎し、二次ガス噴
出孔からの残余のガス燃料を２次空気噴出孔からの二次
空気とバーナタイル外、即ち炉内で混合して完全燃焼さ
せるものが提案されていますが、この構造では火炎が非
常に長くなって燃焼が緩慢であるため高負荷燃焼ガスバ
ーナには適しない。

【０００５】この考案はかかる問題を解決するために、
空気導入ヘッドとガス供給管との間に一次燃焼筒を介在
して燃焼用空気を一次と二次に分割して供給し、かつ一
次燃焼室の長さと直径を最適の範囲として一次空気と燃
料ガスを一次燃焼室で混合して燃焼させ、その燃焼させ
た部分燃焼ガスに二次空気を包みこむように供給し、燃
焼筒の二次燃焼室で熱負荷をかけないで完全燃焼させる
ようにした燃焼筒付きガスバーナを提供することを目的
とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】この考案の燃焼筒付きガ
スバーナは空気導入ヘッド１内に一次燃焼筒２を周囲に
二次空気通路３を存して備え、該一次燃焼筒２を空気導
入ヘッド１に連設した燃焼筒４の二次燃焼室４ａ内に周
囲に二次空気通路３を存して臨ませるとともに該一次燃
焼筒２内に先端に保炎器５を有するガス供給管６を備
え、一次燃焼室２ａの長さＬと直径Ｄとの関係をＬ＝
０．５Ｄ乃至２．０Ｄの範囲として、一次燃焼室で良く
混合して準予混合燃焼をさせ、二次空気で燃焼筒と一次
燃焼筒を冷却しながら二次燃焼室で急速に二次燃焼させ
炉内へ排出する技術手段を提供するにある。

【０００７】

【作用】前記した構成によれば、ガス供給管の燃料ガス
と一次空気を保炎器に導入し、一次燃焼筒の一次燃焼室
で可能な限り良く混合して準予混合燃焼がなされ、可燃
焼性成分としてＨ₂ やＣＯを多く含んだ部分燃焼ガスを
得る。

【０００８】二次燃焼空気は燃焼筒の内面と一次燃焼筒
の外面を冷却しながら一次燃焼室の先端に至り、その一
部はそのまま燃焼筒の内面を冷却しながら先端の噴出孔
より炉内へ排出され、残りの二次空気が一次燃焼室で生
成した部分燃焼ガスを包み込んだ状態で急速に二次燃焼
室を完結して噴出孔より炉内へ排出される。

【０００９】

【実施例】図１において１は空気導入ヘッド、７はガス
導入ヘッドで、ガス導入ヘッドに保炎器５を有するガス
供給管６を備える。８はガス導入ヘッド７のガス導入
口、９はパイロット用混合ガス導入口であり、該ガス導
入ヘッド７に空気導入口１０を有する空気導入ヘッド１
を取付け、ガス導入ヘッド７のガス導入口８にガス管１
１、ガス管１１の外周で混合ガス導入口９に混合ガス管
１２を設け、そのガス管１１と混合ガス管１２との先端
部に混合ガス噴出体１３を備えかつ混合ガス管１２の先
端外周にカップ型保炎器５を備える。混合ガス噴出体１
３には周面に複数のガス噴出孔１４を穿設してガスをガ
ス管の軸方向とは直角の方向に噴出させるようにする。
又保炎器５の外周には多数の孔１５を設け、かつ保炎器
５の鍔部５ａと後述の一次燃焼筒２の内面との隙間を少
なくしてほとんどの一次空気を保炎器５内へ孔１５を通
じて導入できるようになし、一次燃焼室２ａにおいて空
気過剰率λ＝０．５乃至０．８の範囲とする。

【００１０】２は金属製の一次燃焼筒で、空気導入ヘッ
ド１内に周囲に二次空気通路３を存して備え、この一次
燃焼筒を空気導入ヘッド１に連設した燃焼筒４の二次燃
焼室４ａ内に周囲に二次空気通路３を存して臨ませて備
える。一次燃焼筒２の一次燃焼室２ａの長さＬと直径Ｄ
との関係はＬ＝０．５Ｄ乃至２．０Ｄの範囲が良く混合
して一次燃焼室の領域内で一次燃焼を完結させ、可燃性
成分として、Ｈ₂ やＣＯを多く含んだ部分燃焼ガスを得
るようにする。

【００１１】一次燃焼室の長さが前記した範囲より短い
場合は部分燃焼が不完全であり、二次空気の導入が早す
ぎて不完全燃焼となりやすい。又その長さが２倍より長
すぎた場合、反応が進みすぎて二次空気導入と同時に二
次燃焼が始まり、一次燃焼室先端部が高温となり、熱歪
を受けて変形したり、最悪の場合焼損する。また燃焼筒
４の内面を冷却する効果も薄れてしまい。バーナタイル
が熱スポーリングを受けて割れる等の不具合を生じてく
る。従って一次燃焼室の長さＬはその直径Ｄの０．５乃
至２倍が最適である。

【００１２】燃焼筒４は先端に絞った噴出口を設けた耐
火物製バーナタイルとしてあるが、これに限られるもの
ではなく、耐熱金属製のものでもよい。１６は二次空気
噴出孔１７を設けたノズル体で、空気導入ヘッド１と燃
焼筒４との間に備えて、燃焼筒４と一次燃焼筒２との間
の二次空気通路３に二次空気を噴出するようにしてあ
る。１８は点火プラグ取付用孔、１９は炎検知用孔であ
る。

【００１３】この考案は前記した構造なので、混合ガス
噴出体１３より保炎器５内に噴出されたパイロット混合
ガスと、保炎器５にあけられた多数の孔１５より内部へ
導入された一次空気を混合して点火プラグで点火してパ
イロット炎を保炎し、一次燃焼室でガス管１１よりの燃
料ガスと保炎器５の孔１５より大部分導入される一次空
気の混合を計る。その際理論空気量以下の空気量とする
ことにより局部的に酸素が過剰となることなく、準予混
合燃焼させ、可燃性成分として、Ｈ₂ やＣＯを多く含ん
だ部分燃焼ガスを生成する。

【００１４】一次燃焼により得られた部分燃焼ガスは燃
焼性に優れ、単に二次空気を導入すればその場で二次燃
焼を開始する。すなわち、一次燃焼筒の外周の二次空気
通路の二次空気はバーナタイルの内面と一次燃焼室外面
を冷却しながら、一次燃焼室先端に至り、その後はその
うちの一部はそのまま燃焼筒内面を冷却しながら先端の
噴出孔に至り炉内へ排出される。

【００１５】また残りの二次空気は一次燃焼室でできた
燃えやすい状態になった部分燃焼ガスを包み込むように
供給されることにより反応途中のアルデヒド類の生成も
なく急速に二次燃焼を完結して、噴出孔より炉内へ排出
される。二次燃焼が極めて短時間に行うことができるの
でＮＯｘを生ずる時間がないうちに反応が止まってしま
うのでＮＯｘを低くできる。その上二次空気により燃焼
筒を冷却するとともに火炎温度も全体的に低くなり、局
部的に高温部分を生じることもないので燃焼筒の加熱を
減少し、スポーリングによる割れも防止できる。

【００１６】

【考案の効果】この考案の一次燃焼室の構成によれば燃
料ガスと一次空気を充分混合して、可燃成分としてＨ₂
やＣＯを多く含んだ部分燃焼ガスを得ることができ、そ
の部分燃焼ガス状態にした後に二次空気を供給して燃や
すためにＮＯｘの発生が減少し、不完全燃焼によるアル
デヒド類の発生やＣＯの発生もなく完全燃焼させること
ができる。

【００１７】また二次空気を一次燃焼筒の囲りより二次
燃焼室に供給するため一次燃焼筒の外面と燃焼筒の内面
を効果的に冷却するため、燃焼筒の熱負荷が非常に小さ
くなり、燃焼筒が耐火物製バーナタイルでも十分に使用
に耐えられる等の効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の燃焼筒付きガスバーナを示す断面図
である。

【符号の説明】

１ 空気導入ヘッド ２ 一次燃焼筒 ２ａ 一次燃焼室 ３ 二次空気通路 ４ 燃焼筒 ４ａ 二次燃焼室 ５ 保炎器 ６ ガス供給管

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 空気導入ヘッド（１）内に一次燃焼筒
   （２）を周囲に二次空気通路（３）を存して備え、該一
   次燃焼筒（２）を空気導入ヘッド（１）に連設した燃焼
   筒（４）の二次燃焼室（４ａ）内に周囲に二次空気通路
   （３）を存して臨ませるとともに該一次燃焼筒（２）内
   に先端に保炎器（５）を有するガス供給管（６）を備
   え、一次燃焼室（２ａ）の長さＬと直径Ｄとの関係をＬ
   ＝０．５Ｄ乃至２．０Ｄの範囲としたことを特徴とする
   燃焼筒付きガスバーナ。