JPH0872053A - ガラス長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物 - Google Patents

ガラス長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物

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JPH0872053A
JPH0872053A JP20851094A JP20851094A JPH0872053A JP H0872053 A JPH0872053 A JP H0872053A JP 20851094 A JP20851094 A JP 20851094A JP 20851094 A JP20851094 A JP 20851094A JP H0872053 A JPH0872053 A JP H0872053A
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JP
Japan
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glass fiber
resin
bundle
polyolefin resin
sizing
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JP20851094A
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English (en)
Inventor
Tomokazu Nagao
尾 智 一 長
Taichi Ogawa
川 太 一 小
Makoto Shimura
村 眞 志
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JFE Steel Corp
Original Assignee
Kawasaki Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】ガラス繊維の引き抜きがないために、生産性が
良いガラス長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物の提供
を目的とする。 【構成】連続ガラス繊維束にポリオレフィン 樹脂主体の樹脂
成分の含浸により製造されるポリオレフィン 樹脂主体の樹脂
成分(A) と、少なくとも20wt%の配列された強化用ガラ
ス繊維(B) とを含むペレット状ガラス繊維強化ポリオレフィ
ン 樹脂組成物であって、使用される前記(B) 束がオレフィン
系重合体(C) 含有サイジング液で処理され、乾燥後の前
記サイジング処理(B) のアルコール 又はケトン 系溶剤に可溶な
成分量(S) が、以下の関係式を満たすガラス長繊維強化
ポリオレフィン 樹脂組成物。 S≧N/25,000 ・・・式[1] (ただし、Nは強化用ガラス繊維束1束当たりのガラス
繊維フィラメント数(本/束)、Sはアルコール又はケ
トン系溶剤に可溶な成分量(wt%) である。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、樹脂の含浸性に優れる
ことにより生産性が向上したガラス長繊維強化ポリオレ
フィン樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】成形性、耐薬品性に優れたポリオレフィ
ン樹脂は、比較的安価でもあるため汎用樹脂として広く
使用されているが、機械的強度は十分とは言えない。か
かる欠点を改善する手段として、一般に、ガラス繊維等
の強化繊維を配合することが知られており、特開昭57
−181852号公報や特開平03−243308号公
報には、特に、機械的強度が著しく向上する方法とし
て、連続した繊維束を引きながら熱可塑性樹脂を含浸す
る方法(引き抜き法)による長繊維強化樹脂が示されて
いる。
【0003】引き抜き法による長繊維強化樹脂では、繊
維フィラメントを繊維束とするために、一般に、サイジ
ング液として集束樹脂(集束剤)が用いられる。特公昭
63−6510号公報では、塩素化ポリプロピレンを含
むサイジング液で処理したガラス繊維がポリプロピレン
樹脂との密着性に優れることが述べられている。
【0004】ガラス繊維束を樹脂の補強材として使用す
る場合は、樹脂成分を強化用ガラス繊維束の内部まで含
浸させることが重要である。樹脂成分の含浸性が悪い
と、引き抜き成形した成形物を所定の長さに切断しペレ
ット状にする工程において、ペレットからガラス繊維が
抜けてしまうことがある。一般に、集束樹脂を塗布した
ガラス繊維束は、樹脂含浸時に各繊維フィラメントが分
散しにくいため、樹脂の含浸不良により、成形物を切断
する際にガラス繊維の抜け(いわゆる引き抜き)が起き
やすい。ガラス繊維の引き抜きが起こったペレット(以
下、プルアウトペレットという)は、射出成形等の成形
時にホッパー内で閉塞を起こす原因となり、外観上も好
ましくない。したがってプルアウトペレットを取り除く
ことが必要であるが、このような工程は製品の歩留りの
低下を招き、製造コストの上昇につながる。
【0005】樹脂の含浸不良を防ぐためには、ガラス繊
維束と樹脂との接触時間を長くする必要があるが、接触
時間を長くすると製品の生産スピードが低下する。さら
に、熱溶融させた樹脂を含浸させる場合は、樹脂の熱劣
化により機械的強度の低下や色調の不良が起こる。
【0006】特開平6−23742号公報では、樹脂の
含浸性を向上させることを目的として、強化用ガラス繊
維束のモノフィラメントの重なり度の範囲を限定する方
法が示されている。しかしながら、特開平6−2374
2号公報の方法を用いても、生産スピードによっては樹
脂の含浸不良により、所定の長さに上記のガラス繊維強
化樹脂を切断した時に、ガラス繊維の引き抜きが起こ
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、樹脂成分が
ガラス繊維の個々のフィラメントの間隙まで均一に含浸
されることにより、このガラス繊維強化樹脂を切断する
時に、強化樹脂からガラス繊維の引き抜きが起こらず、
このため生産性の向上したガラス長繊維強化ポリオレフ
ィン樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、以上の課
題を解決するために検討を重ねた結果、ガラス繊維束を
オレフィン系重合体を含有するサイジング液で処理し、
サイジング処理の後、アルコールまたはケトン系溶剤に
可溶な成分量(S)が下記式を満たす上記強化用ガラス
繊維(B)束を使用すると、このガラス繊維強化樹脂の
成形に使用するポリオレフィン樹脂を主体とする樹脂成
分(A)のガラス繊維束への含浸性が向上することを見
いだし、本発明を完成するに至った。 S≧N/25,000 ・・・式[1] ここで、Sはアルコールまたはケトン系溶剤に可溶な成
分量(wt%)を、また、Nは上記強化用ガラス繊維束
1束当たりのフィラメント数(本/束)をそれぞれ示
す。
【0009】即ち、本発明は、連続したガラス繊維束に
ポリオレフィン樹脂を主体とする樹脂成分を含浸するこ
とにより製造されるポリオレフィン樹脂を主体とする樹
脂成分(A)と、少なくとも20wt%の配列された強
化用ガラス繊維(B)とを含有するペレット状のガラス
繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物であって、使用され
る上記強化用ガラス繊維(B)束が、オレフィン系重合
体(C)を含有するサイジング液で処理され、乾燥後の
上記サイジング処理された強化用ガラス繊維(B)のア
ルコールまたはケトン系溶剤に可溶な成分量(S)が、
以下の関係式を満たすことを特徴とするガラス長繊維強
化ポリオレフィン樹脂組成物である。 S≧N/25,000 ・・・式[1] ここで、Sはアルコールまたはケトン系溶剤に可溶な成
分量(wt%)、Nは上記強化用ガラス繊維束1束当た
りのガラス繊維フィラメント数(本/束)を示す。
【0010】本発明において使用するポリオレフィン系
樹脂(A)は、オレフィン系モノマーの単独重合体、2
種以上のオレフィン系モノマーの共重合体またはグラフ
ト重合体、および上記のオレフィン重合体を、後述する
クロロスルホン化物、不飽和カルボン酸、エポキシ基含
有不飽和モノマー等で変性させた変性樹脂等であり、こ
れらのものを1種または2種以上使用できる。これらの
重合体は、MFRが20以上500以下のものが好まし
い。その理由は、良好な成形性と高い機械的強度を示す
ためである。より好ましくは、MFRが30〜300の
ものである。
【0011】上記のオレフィン系重合体の例としては、
ポリエチレン、エチレン−プロピレンランダム共重合
体、エチレン−プロピレンブロック共重合体、ポリプロ
ピレン、およびそれらと塩素を付加させた塩素化物、塩
素と二酸化硫黄を反応させたクロロスルホン化物、不飽
和カルボン酸またはその誘導体、並びにエポキシ基含有
不飽和モノマー等で変性した重合体と重合させて共重合
体としたもの等を挙げることができる。
【0012】不飽和カルボン酸またはその誘導体による
変性物としては、ポリオレフィン樹脂に不飽和カルボン
酸またはそれらの誘導体をグラフト重合したもの、オレ
フィンから選ばれる1種または2種以上と不飽和カルボ
ン酸またはその誘導体から選ばれる1種または2種以上
を共重合したもの、およびこれにさらに不飽和カルボン
酸またはその誘導体をグラフト重合したものが挙げられ
る。
【0013】上述のオレフィン系重合体の変性に用いる
不飽和カルボン酸またはその誘導体の例としては、マレ
イン酸、フマル酸、イタコン酸、アクリル酸、メタクリ
ル酸等のカルボン酸;メタクリル酸メチル、フマル酸ジ
エチル等のカルボン酸エステル類;メチルナジック酸、
マレイン酸無水物等のカルボン酸無水物;これらカルボ
ン酸のアミド類、イミド類、金属塩等が挙げられる。こ
れらの不飽和カルボン酸またはその誘導体は、単独で使
用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0014】さらに、上述のオレフィン系重合体の変性
に用いるエポキシ基含有不飽和モノマーの例としては、
グリシジルメタクリレート、ブチルグリシジルアレー
ト、ブチルグリシジルフマレート、プロピルグリシジル
マレート、グリシジルアクリレート等が挙げられる。こ
れらのエポキシ基含有不飽和モノマーは単独で使用して
もよく、また、2種以上を併用してもよい。本発明のポ
リオレフィン系樹脂は、上述したようなオレフィン系重
合体を、単独で、あるいは2種以上含んでもよいが、未
変性のオレフィン系重合体と変性オレフィン系重合体と
を併用することが好ましい。
【0015】また、本発明のポリオレフィン樹脂組成物
には、その目的、効果を大きく阻害しない限り、ポリア
ミド、ポリカーボネート、アセタール樹脂等の熱可塑性
樹脂を、1種または2種類以上、補助的に併用すること
ができる。
【0016】本発明の後述するガラス繊維で強化された
オレフィン樹脂組成物は、上述したオレフィン樹脂に;
ガラスフレーク、マイカ、ガラス粉、ガラスビーズ、タ
ルク、クレー、アルミナ、カーボンブラック、ウォラス
トナイト、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の粉粒
状、ウィスカー状の充填剤;ジオクチルフタレート、リ
ン酸トリクレシル、ポリエチレングリコール、脂肪酸エ
ステル等の可塑剤;フェニル−β−ナフチルアミン、ヒ
ンダートアミン等の酸化防止剤等を配合し、必要に応じ
て、酸化チタン、2−ヒドロキシベンゾフェノン系化合
物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル
系化合物等の紫外線吸収剤;酸化チタン、カドミウム顔
料、群青、黄鉛、弁柄等の無機顔料やアゾ顔料、銅フタ
ロシアニン顔料などの有機顔料;塩素化パラフィン、塩
素化脂肪酸エステル、三酸化アンチモン、水酸化アルミ
ニウム、ホウ酸塩、リン酸エステル等の難燃剤;脂肪酸
の金属塩、アルキル錫、アリール錫等のエポキシ安定
剤;アルコラート等の熱安定剤;酸化アルミニウム、シ
リカ、グラファイト等の結晶核剤;その他結晶化促進剤
等を添加してもよい。
【0017】強化用ガラス長繊維は、ロービング、糸、
織物等の形態のものがあるが、本発明の場合、連続した
フィラメントを束ねた一般にロービングと呼ばれるガラ
ス繊維束を使用する。一般に、ガラス繊維の径は5〜3
0μmであるが、本発明においては10〜20μmのも
のを用いることが、樹脂組成物の機械的強度の向上の理
由から好ましい。
【0018】強化用ガラス繊維は、ガラス繊維の糸切
れ、毛羽立を防止するためにサイジング処理を行うが、
本発明においては、オレフィン系重合体(C)を含むサ
イジング液を用いる。サイジング処理液に含まれる上記
オレフィン系重合体(C)の説明は、すでにオレフィン
系樹脂(A)で詳述した。すなわち、サイジング処理に
用いるオレフィン系重合体(C)は、樹脂成分(A)と
同様、エチレン、プロピレン等に代表されるオレフィン
系モノマーの単独重合体、2種以上のオレフィン系モノ
マーの共重合体から選ばれるもの、およびそれらポリオ
レフィン樹脂の変性物のことであり、それらのうち1種
または2種以上を使用することができる。具体的には、
ポリエチレン、エチレン−プロピレンランダム共重合
体、エチレン−プロピレンブロック共重合体、ポリプロ
ピレンおよびそれらと塩素を反応させた塩素化物、塩素
と二酸化硫黄を反応させたクロロスルホン化物、不飽和
カルボン酸またはその誘導体、並びにエポキシ基含有不
飽和モノマーによる変性物等が挙げられる。
【0019】不飽和カルボン酸またはその誘導体による
変性物とは、ポリオレフィン樹脂に不飽和カルボン酸ま
たはその誘導体をグラフト重合したもの、オレフィンか
ら選ばれる1種または2種以上と不飽和カルボン酸また
はその誘導体から選ばれる1種または2種以上を共重合
したもの、およびこれにさらに不飽和カルボン酸または
その誘導体をグラフト重合したものが挙げられる。変性
のために使用される不飽和カルボン酸の例としては、マ
レイン酸、フマル酸、メチルナジック酸、イタコン酸、
アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられる。また、不飽
和カルボン酸の誘導体としては、これらの酸無水物、エ
ステル、アミド、イミド、金属塩等がある。エポキシ基
含有不飽和モノマーの例としては、グリシジルメタクリ
レート、ブチルグリシジルアレート、ブチルグリシジル
フマレート、プロピルグリシジルマレート、グリシジル
アクリレートが挙げられる。
【0020】サイジング液に用いるオレフィン系重合
体、および変性されていてもよいオレフィン系重合体
は、含浸するオレフィン樹脂(A)と同種であると、ガ
ラス繊維とオレフィン系樹脂との濡れ性が良い。ここで
いう同種とは、例えば、含浸するオレフィン系樹脂がポ
リプロピレンの場合、変性に用いられた化合物は特に限
定されないが、変性ポリプロピレンまでを含む。MFR
が60以上であることが、ガラス長繊維強化樹脂組成物
の機械的強度の点から好ましい。
【0021】本発明において強化用ガラス繊維(B)を
サイジングする方法は、サイジング処理された強化用ガ
ラス繊維(B)のアルコールまたはケトン系溶剤に可溶
な成分量(S)が、以下の関係式を満たす限り、特に限
定されない。 S≧N/25,000 ・・・式[1] ここで、Sはアルコールまたはケトン系溶剤に可溶な成
分量(wt%)、Nは前記強化用ガラス繊維束1束当た
りのガラス繊維フィラメント数(本/束)である。一般
には、前記のオレフィン系重合体(C)に、乳化剤と溶
媒を加え、乳化させて得たエマルジョンに、さらに、カ
ップリング剤、潤滑剤、帯電防止剤、pH調節剤等を目
的に応じて所定量配合してサイジング液を調製し、この
サイジング液を用いて処理する方法がとられる。 乳化剤としては;高級アルコールの硫酸塩、アルキルス
ルホン酸塩のアニオン界面活性剤やポリエチレンオキシ
ドのアルキルエーテル等の非イオン性界面活性剤が用い
られる。カップリング剤としては、アミノシラン系、ア
ミドシラン系、エポキシシラン系、アルリルシラン系の
化合物等が用いられる。
【0022】溶媒としては、水、水とアルコールの混合
液等が用いられる。また、潤滑剤としては、カチオン系
界面活性剤、乳化剤として用いられるアニオン系または
非イオン性界面活性剤を除くノニオン系界面活性剤のい
ずれを使用してもよい。この他に、帯電防止剤として、
長鎖脂肪族アミン、長鎖脂肪族アミド、第四アンモニウ
ム塩等を使用してもよく、さらに、pH調節剤等を目的
に応じて配合してもよい。
【0023】上述のサイジング液で処理したガラス繊維
は、乾燥し、後の工程に供する。本発明では、サイジン
グ処理した後乾燥した上記強化用ガラス繊維(B)は、
アルコール系またはケトン系溶剤に可溶な成分を下記式
を満たす量(S)含む。 S≧N/25,000 ・・・式[1] ここで、Sはアルコールまたはケトン系溶剤に可溶な成
分量(wt%)、Nは強化用ガラス繊維束1束当たりの
ガラス繊維フィラメント数(本/束)を示す。上記の式
を満す限り、樹脂の含浸性に変化は認められないため、
Sの上限は特に規定されない。Nは、好ましくは、80
0〜8,000の範囲とする。これは、製造作業性と樹
脂含浸性のためである。
【0024】上述したポリオレフィン系樹脂(A)の含
浸性は、ガラス繊維束の各フィラメントを樹脂に含浸し
た時に樹脂内に分散することにより向上する。上記式
[1]を満たすガラス繊維束は、ポリオレフィン樹脂に
含浸した時に、各フィラメント中へのポリオレフィン樹
脂の浸透性が良好である。
【0025】ここで使用するアルコール系またはケトン
系溶剤は、作業効率の上から、室温、常圧で液体のもの
が望ましい。具体的には、メタノール、エタノール、プ
ロパノール、エチレングリコール、ベンジルアルコール
等のアルコール類、およびアセトン、メチルエチルケト
ン、ジメチルケトン、アセトフェノン、ベンゾフェノン
等が挙げられる。これらのアルコール系またはケトン系
溶剤は、前述の強化用ガラス繊維に対して十分量使用す
る。
【0026】上記アルコール系またはケトン系溶剤に可
溶なサイジングされたガラス繊維の成分量は、例えば以
下のように求めることができる。本発明に用いるガラス
繊維束を乾燥後精秤し、その重さをW3 とする。上記の
繊維束を上記の過剰のアルコール系またはケトン系溶剤
に入れ、3時間以上還流し、その後還流した上記ガラス
繊維束をすべて取り出す。このガラス繊維束を取り出し
た後に残ったアルコール系またはケトン系溶剤を、エバ
ポレータや真空乾燥器等により完全に留去し、残余成分
を精秤し、W4 とする。強化用ガラス繊維(B)のアル
コール系またはケトン系溶剤に可溶な成分量(S)は、
3 およびW4 を用いて、次の式で求められる。 S(wt%)=(W4 /W3 )×100 ・・・式[2]
【0027】本発明のガラス長繊維強化ポリオレフィン
樹脂組成物における強化用ガラス繊維(B)の配合量
は、少なくとも20wt%以上である。20wt%未満
では、繊維による補強効果が小さくなり高い機械的強度
を有する樹脂を得ることは期待できない。強化用ガラス
繊維(B)配合量の上限は特に限定されないが、強化用
ガラス繊維(B)配合量が、80wt%を超えると一般
に成形性に劣り、さらなる補強効果も期待できないた
め、80wt%以下が望ましい。より好ましくは、30
〜70wt%である。ガラス繊維強化樹脂に使用するガ
ラス繊維の長さは、用途、使用目的等によって異なる
が、本発明のガラス長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成
物の製造に使用するガラス繊維(B)の長さは、特に、
成形加工の容易な射出成形への適用のため、2〜100
mmとするのが好ましい。より好ましくは、5〜20m
mである。
【0028】上述したポリオレフィン系重合体に、前述
した必須成分と必要に応じてその他の成分を混練し、成
形する。本発明のポリオレフィン樹脂組成物は、引き抜
き成形法で製造することが好ましい。引き抜き成形法
は、連続した強化繊維束を引きながら樹脂成分を含浸す
る方法である。樹脂を含浸する方法には;樹脂のエマル
ジョンあるいは溶液を入れた含浸槽の中を強化繊維束を
通す方法(米国特許第2877501号、英国特許出願
公開第1167849号);樹脂粉末を強化繊維束に吹
き付けるか粉末を入れた槽の中を強化繊維束を通し、樹
脂を強化繊維束に付着させた後、その付着した樹脂を溶
融する方法(特開昭46−4545号公報);含浸槽に
接続された押出し機等から含浸槽に溶融した樹脂を連続
して供給し、この含浸槽の中を強化繊維束が通過する方
法(特開平3−243308号公報)が知られている
が、特に、押出し機に接続した含浸槽を用いる方法が好
ましい。その理由は、作業効率が高いためである。
【0029】本発明のポリオレフィン樹脂(A)に、上
述のようにサイジング処理したガラス繊維を含浸するに
あたっては、1〜40m/分の引き抜き速度で処理する
とよい。このようにして得た本発明のガラス長繊維強化
ポリオレフィン樹脂組成物は、冷却後切断しペレット状
に加工する。
【0030】
【実施例】以下に実施例を示して、本発明を詳細に説明
するが、本発明はこれらに何等限定されるものではな
い。
【0031】(実施例1)ポリプロピレン重合体(MF
R=45)90重量部と、0.5wt%無水マレイン酸
をグラフト重合した変性ポリプロピレン10重量部とを
溶融混合してポリオレフィン樹脂の溶融混合物とした。
1束4,000フィラメント(N=4,000)からな
るサイジング処理された連続した強化用ガラス繊維束2
束を、押出し機に接続した含浸槽を引きながら(引き抜
き速度30m/分)、押出機から供給される上記のポリ
オレフィン樹脂の溶融混合物を270℃で含浸させ、ス
トランドとした。得られたストランドを、水冷後、長さ
10mmに細断しペレット状にした。
【0032】また、このとき使用した強化用ガラス繊維
束をサイジング後に、110℃、常圧で2時間乾燥して
精秤したところ、その重さはW3 であった。その繊維束
を2Lのメタノール中で3時間以上還流した。次に、ガ
ラス繊維束を完全に取り除き、残ったメタノールをエバ
ポレータで留去し、80℃、4mmHgで24時間乾燥
した後、残余成分を精秤したところ、その重さはW4
あった。強化用ガラス繊維のメタノール可溶成分量
(S)は、次の式で求めた。 S=(W4 /W3 )×100(wt%) ・・・式[2]
【0033】(実施例2)サイジング処理し乾燥した後
のメタノール可溶成分量(S)の異なるガラス繊維束を
用いた他は実施例1と同様にして、ペレットを製造し
た。
【0034】(実施例3)1束2,000本のフィラメ
ント(N=2,000)からなるガラス繊維束4束を用
いた他は実施例1と同様にして、ペレットを製造した。
【0035】(実施例4)サイジング処理し乾燥した後
のメタノールをアセトンに変えて可溶成分を測定した他
は、実施例1と同様にして、ペレットを製造した。
【0036】(実施例5)樹脂組成物製造時の引き抜き
速度を40m/分とした他は、実施例1と同様にして、
ペレットを製造した。
【0037】(実施例6および7)1束2,000本の
フィラメント(N=2,000)からなり、サイジング
処理後のメタノール可溶成分量(S)が異なるガラス繊
維束4束を用いた他は、実施例1と同様にして、ペレッ
トを製造した。
【0038】(比較例1、2)メタノール可溶成分量
(S)の異なるガラス繊維束を用いた他は、実施例1と
同様にして、ペレットを製造した。
【0039】(比較例3)1束2,000本のフィラメ
ント(N=2,000)からなり、サイジング処理後の
メタノール可溶成分量(S)が異なるガラス繊維束4束
を用いた他は実施例1と同様にして、ペレットを製造し
た。
【0040】(比較例4)メタノールをアセトンに変え
て可溶成分を測定した他は、比較例1と同様にしてペレ
ットを製造した。
【0041】(比較例5)樹脂組成物製造時の引き抜き
速度を40m/分とする他は、比較例1と同様にしてペ
レットを製造した。
【0042】上述のように製造したペレットから100
g(約1,000個)を任意に取り出し、その中でガラ
ス繊維の引き抜きが起こったプルアウトペレット数を数
えた。結果を、上記実施例1〜7および比較例1〜5で
使用したガラス繊維、処理条件とともに表1および2に
示す。上記W3 とW4 を測定し上記式[2]よりSを求
め、表1に示す実施例1〜7および表2に示す比較例1
〜5で用いたガラス繊維のNの値を用いて、上述の式
[1]よりN/Sの値を求めた。横軸にN/S、縦軸に
製造ペレット100g中のプルアウトペレット数をとっ
て、表1および表2の結果をプロットし、図1に示し
た。図1より明らかなように、N/Sが25,000以
下では、プルアウトペレットはほとんど無いが、25,
000を越えるとプルアウトペレット数が急激に増加す
ることが明らかになった。この結果、上記式[1]を満
たすガラス繊維束は、樹脂の含浸性に優れることが明ら
かになった。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】
【発明の効果】本発明によれば、強化用ガラス繊維
(B)束への樹脂成分(A)の含浸性が向上し、含浸不
良による成形物を切断する際のガラス繊維の引き抜きが
減少する。このため、ガラス繊維強化樹脂組成物の生産
性かつ/または歩留りが向上し、製造コストが低減する
とともに効率良く製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ガラス繊維フィラメント数とアルコールまたは
ケトンに可溶な成分量との関係を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 志 村 眞 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社鉄鋼開発・生産本部鉄鋼研究所 内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】連続したガラス繊維束にポリオレフィン樹
    脂を主体とする樹脂成分を含浸することにより製造され
    るポリオレフィン樹脂を主体とする樹脂成分(A)と、
    少なくとも20wt%の配列された強化用ガラス繊維
    (B)とを含有するペレット状のガラス繊維強化ポリオ
    レフィン樹脂組成物であって、 使用される前記強化用ガラス繊維(B)束が、オレフィ
    ン系重合体(C)を含有するサイジング液で処理され、
    乾燥後の前記サイジング処理された強化用ガラス繊維
    (B)のアルコールまたはケトン系溶剤に可溶な成分量
    (S)が、以下の関係式を満たすことを特徴とするガラ
    ス長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物。 S≧N/25,000 ・・・式[1] (ただし、Sはアルコールまたはケトン系溶剤に可溶な
    成分量(wt%)、Nは前記強化用ガラス繊維束1束当
    たりのガラス繊維フィラメント数(本/束)である。)
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPH1135751A (ja) * 1997-07-15 1999-02-09 Chisso Corp 長繊維強化熱可塑性樹脂組成物及びその成形品

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