JPH0871303A - 薬液回収精製装置 - Google Patents

薬液回収精製装置

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JPH0871303A
JPH0871303A JP20861194A JP20861194A JPH0871303A JP H0871303 A JPH0871303 A JP H0871303A JP 20861194 A JP20861194 A JP 20861194A JP 20861194 A JP20861194 A JP 20861194A JP H0871303 A JPH0871303 A JP H0871303A
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JP
Japan
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distillation column
oxide film
metal oxide
sulfuric acid
heating
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Withdrawn
Application number
JP20861194A
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English (en)
Inventor
Michiaki Nomura
三千昭 野村
Yasuhiro Takahashi
康弘 高橋
Toshiaki Shirai
俊昭 白井
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Japan Oxygen Co Ltd
Nippon Sanso Corp
Original Assignee
Japan Oxygen Co Ltd
Nippon Sanso Corp
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Publication date
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  • Vaporization, Distillation, Condensation, Sublimation, And Cold Traps (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 半導体工場等で排出される硫酸、フッ化水素
酸、硝酸、硫酸、イソプロピルアルコールおよびアンモ
ニア水等の廃薬液を効率良く、かつ安全に精製し、再利
用可能な薬液を製造する薬液回収精製装置の提供。 【構成】 被処理薬液2aを収容し該液を加熱する加熱
手段を備えた蒸留塔と、該蒸留塔から導出された各成分
の蒸気を冷却凝縮する凝縮器4を備えた薬液回収精製装
置であって、上記蒸留塔が、電気絶縁材料からなる蒸留
塔本体2と、該蒸留塔本体2の外面に設けられた導電性
の加熱用金属酸化膜(加熱手段)10bと、該加熱用金
属酸化膜10bに接続された電源12とを備えたことを
特徴とする薬液回収精製装置1。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は半導体工場において半導
体製造工程で排出される廃薬液を精製回収する蒸留方式
の薬液回収精製装置に係わり、更に詳細には、薬液回収
精製における加熱、保温を効率よく行うことができるエ
ネルギー効率が良好な薬液回収精製装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に半導体工場においては、ウエハー
の洗浄工程、エッチング工程、フォトレジストの剥離工
程などの半導体製造工程で、硫酸、フッ化水素酸、硝
酸、塩酸、イソプロピルアルコール(IPA)、アンモ
ニア水及び各種の現像液等の薬液が多量に使用され、そ
の使用後に多量の廃酸や廃アルカリ等の廃液が生じる。
そのため廃液の処理が問題となっているが、最近上述の
薬液の中でも特に多量に使用されている、硫酸、フッ化
水素酸およびIPAについては、回収、精製して、上述
した半導体の製造工程等で再利用することが試みられる
ようになってきており、各種の廃薬液再生方法の開発が
進められている。
【0003】かかる廃薬液を再生する方法としては、例
えば、硫酸の場合は蒸留法、IPAの場合は、蒸留法ま
たはパーベーパレーション膜分離法と蒸発法の組み合わ
せによる方法などが挙げられる。ところが、このような
方法で行う薬液の再生においては、いずれも被処理薬液
を加熱する工程が必要であり、被処理薬液を収容してい
る蒸留塔本体の加熱方法やそれらの周辺の配管等の保温
方法が問題となっている。このような被処理薬液の加熱
方法や配管等の保温方法においては、加熱炉、マントル
ヒータ、赤外線ヒータ等の加熱手段を用いて、蒸留塔本
体や配管の外部から熱を伝導することにより、被処理薬
液を間接的に加熱、保温する方法が採用されていた。
【0004】このような間接的に加熱する方法に用いら
れる従来の薬液回収精製装置としては、減圧単蒸留法に
用いられる硫酸回収精製装置が知られている。この種の
硫酸回収精製装置は、廃硫酸を収容する蒸留塔本体と、
この蒸留塔本体の底部の下方に設けられた上述したよう
な加熱手段と、上記蒸留塔本体から導出された硫酸蒸気
等を冷却して凝縮、液化する凝縮器とを備えてなるもの
である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たような被処理薬液の加熱手段として加熱炉、マントル
ヒータ、赤外線ヒータ等を用いた従来の薬液回収精製装
置にあっては、次のような問題があった。被処理薬液の
加熱手段が蒸留塔本体の外部からの伝導による間接的な
加熱であるため、熱効率が悪くヒートロスが大きく、従
って被処理薬液の精製速度が低く処理量が小さかった。
また、蒸留塔本体の外部から熱を与えることによって、
蒸留塔本体内部の被処理薬液を加熱するため、上記加熱
手段と接触する蒸留塔本体の外壁と被処理薬液と接触し
ている蒸留塔本体の内壁との温度差が非常に大きくなり
蒸留塔本体が破壊し易く、半導体工場などで使用される
硫酸などの強い被処理薬液を処理する場合、安全性にお
いて不安があった。さらに、従来技術であるマントルヒ
ータ、ブラケットヒータ等の加熱手段を用いた場合、蒸
留塔本体が覆われてしまうため蒸留塔本体内部の被処理
薬液の状態を観察することができず、蒸留塔本体内で異
常が起きている場合発見が困難であった。
【0006】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
で、半導体工場等で排出される硫酸、フッ化水素酸、硝
酸、硫酸、イソプロピルアルコールおよびアンモニア水
等の廃薬液を効率良く、かつ安全に精製し、再利用可能
な薬液を製造する薬液回収精製装置を提供することにあ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明に係わる薬液回収
精製装置は、被処理薬液を収容し該液を加熱する加熱手
段を備えた蒸留塔と、該蒸留塔から導出された各成分の
蒸気を冷却凝縮する凝縮器を備えた薬液回収精製装置で
あって、上記蒸留塔が、電気絶縁材料からなる蒸留塔本
体と、該蒸留塔本体の外面に設けられた導電性の金属酸
化膜と、該金属酸化膜に接続された電源とを備えたこと
を特徴とする。
【0008】上記金属酸化膜の表面に金属膜からなる電
極を設け、該電極に電源を接続してもよい。上記蒸留塔
本体を構成する電気絶縁材料としては、ガラス類および
セラミックスのうちから選択される無機質材からなるも
のを用いるのが好ましい。上記金属酸化膜を構成する材
料としては、錫の酸化物とアンチモンの酸化物とからな
るものを用いるのが好ましい。上記金属酸化膜を構成す
る材料が、アンチモン1〜5モル%、残部錫からなる酸
化物であることが好ましい。上記金属酸化膜の厚さは、
0.1〜1.0μmであることが好ましい。上記被処理
薬液としては、硫酸、フッ化水素酸、硝酸、塩酸、イソ
プロピルアルコールおよびアンモニア水のうちの少なく
とも1種を主成分とする薬液であることを特徴とする。
【0009】
【作用】本発明による薬液回収精製装置にあっては、蒸
留塔が、電気絶縁材料からなる蒸留塔本体と、該蒸留塔
本体の外面に設けられた導電性の金属酸化膜と、該金属
酸化膜に接続された電源とを備えたことにより、該金属
酸化膜に通電すると、上記電気絶縁材料と金属酸化膜の
伝導性の複合効果によって、蒸留塔本体の金属酸化膜が
設けられていない側の面(内面)からは、金属酸化膜が
設けられている側の面(外面)からに比べて約2倍の熱
が輻射熱の形で放出され、蒸留塔本体内に収容された被
処理薬液を蒸留塔本体の内面からの輻射熱により直接加
熱することができ、熱効率が向上する。これは、金属酸
化膜に通電すると、該金属酸化膜と蒸留塔本体をなす電
気絶縁材料との境界部で発熱し、その熱が輻射熱となる
が、この輻射熱のうち蒸留塔本体の方に向けて放射され
たものは電気絶縁材料を透過し、蒸留塔本体内に到達
し、一方、金属酸化膜の方に向けて放射されたものは該
金属酸化膜で反射した後、電気絶縁材料を透過し、蒸留
塔本体内に到達するからであると考えられる。また、こ
のように金属酸化膜自体が輻射熱を反射できることか
ら、輻射熱が外部に逃げるのを防ぐことができ、ヒート
ロスが少なくなる。
【0010】さらに、上述のように蒸留塔本体内に収容
された被処理薬液を蒸留塔本体の内面からの輻射熱によ
り直接加熱することができることから、蒸留塔本体の内
面と外面との温度差がほとんどなく、また、その温度は
収容されている被処理薬液の温度に近いため、蒸留塔本
体にかかる熱的応力が低減するので、熱歪みによって蒸
留塔本体が破壊することが防止される。また、金属酸化
膜を錫の酸化物とアンチモンの酸化物から構成すること
により、金属酸化膜は透明性を有するものとなり、蒸留
塔本体内の被処理薬液の状態を観察することが可能であ
る。
【0011】
【実施例】以下、図面を参照して本発明を詳細に説明す
る。図1は、本発明の係わる薬液回収精製装置の一実施
例を示す図であり、この薬液回収精製装置1は、被処理
薬液2aを収容するため蒸留塔本体2と、この蒸留塔本
体2の外面に設けられた導電性の金属酸化膜3と、上記
蒸留塔本体2に接続された凝縮器4と、該凝縮器4に接
続された凝縮液分配系5と、上記凝縮器4に接続されて
蒸留系内を排気する排気装置6とを備えて構成されてい
る。
【0012】上記被処理薬液2aは、硫酸、フッ化水素
酸、硝酸、塩酸、イソプロピルアルコールおよびアンモ
ニア水のうちの少なくとも1種を主成分とする薬液であ
る。上記蒸留塔本体2は、電気を通さない電気絶縁材料
からなり、被処理薬液2a及び蒸留時に発生する薬液蒸
気に腐蝕され難いような耐薬品性が優れた材料からな
り、かつ内部を減圧状態として操作可能な耐圧強度を有
する容器が用いられ、好ましくは石英ガラスや硬質ホウ
珪酸ガラスなどのガラス類および磁気質のセラミックス
のうちから選択される無機質材からなる容器が用いら
れ、さらに好ましくは少なくとも一部がガラス類からな
る容器が用いられる。
【0013】ここでの石英ガラスの具体例としては、T
−1030(商品名;東芝セラミックス株式会社製)、
ヘラックス(商品名;信越石英株式会社製)などが挙げ
られる。硬質ホウ珪酸ガラスの具体例としては、パイレ
ックスガラス(商品名;イワキガラス株式会社製、IWAK
I CODE 7740)などが挙げられる。セラミックスの具体
例としては、ACE−995(商品名;西村陶芸株式会
社製)などが挙げられる。この蒸留塔本体2の上部に
は、蒸留初期に発生する低沸点成分(主に水分)の蒸気
と薬液蒸気との分離を向上させるためのラシヒリング等
の充填材が充填された充填層7が設けられている。この
蒸留塔本体2内には、被処理薬液2aの温度を測定する
ための温度計8、蒸留塔本体2内の圧力を測定するため
の圧力計9が設けられている。この蒸留塔本体2の外面
は、導電性の金属酸化膜3により被覆されている。
【0014】この金属酸化膜3は、蒸留塔本体2の上部
の外面を被覆し、蒸留塔本体2の上部を保温するための
保温用金属酸化膜10aと、蒸留塔本体2の下部の外面
を被覆し、蒸留塔本体2内に収容されている廃硫酸溶液
2aを加熱するための加熱用金属酸化膜(加熱手段)1
0bとから構成されている。
【0015】金属酸化膜3をなす材料としては、電気抵
抗値が5〜100Ω程度で、成膜が可能なものが用いら
れ、好ましくは耐薬品性が優れるもの、より好ましくは
NESAガラス(商品名;株式会社池田硝子製のEC
GLASS)、ITO、酸化カドミウムスズ、錫の酸化
物とアンチモンの酸化物とからなるものなどの透明性を
有するものが用いられる。ここでの電気抵抗値は金属酸
化膜3の厚さによって勘案されるが、具体的には厚さ
0.5μm、熱量が800Wのもので、後述する電源1
2の電圧が100Vのとき12.5Ω程度、あるいは電
源12の電圧が200Vのとき50.0Ω程度である。
金属酸化膜3は、蒸留塔本体2内の被処理薬液2aの状
態を観察可能とするために、少なくとも一部が上述の透
明性を有する材料から構成されていることが好ましい。
【0016】この金属酸化膜3の厚さは、0.1〜1.
0μm程度、より好ましくは0.3〜0.7μm程度で
ある。金属酸化膜3の厚さが0.1μm未満と薄いと、
ヒーター抵抗が大きくなり、ある一定のヒーター出力を
得る為には高い電圧を必要とする。一方、1.0μmを
超えて厚いと、ヒーター抵抗が小さくなり、低い電圧で
操作できるが、均一な良質の膜ができにくいという問題
がある。金属酸化膜3をなす材料として、錫の酸化物と
アンチモンの酸化物とからなるものを用いる場合、アン
チモン1〜5モル%、残部錫からなる酸化物であること
が好ましい。錫のモル%が99%を超えると、ヒーター
抵抗が大きくなる。また、錫のモル%が95%未満であ
っても、ヒーター抵抗が大きくなる。最も好ましくは、
アンチモン2モル%、残部錫からなる酸化物のとき、ヒ
ーター抵抗が最も小さくなる。
【0017】この加熱用金属酸化膜10bの外面にはA
g膜、Au膜などの金属膜からなる電極11が設けら
れ、該電極11には電源12が接続されており、電源1
2を入れて加熱用金属酸化膜10bに通電すると、蒸留
塔本体2の内面から輻射熱が放出され、蒸留塔本体2内
に収容された被処理薬液2aを蒸留塔本体2の内面から
の輻射熱により直接加熱することができるようになって
いる上記電極11の厚みとしては、100〜1000μ
m程度である。電極11の厚みが100μm未満では抵
抗が大きくなり電極部で熱を生ずる。また1000μm
を超えて厚くしても熱は生じにくくなるが、経済的には
不利となる。
【0018】また、保温用金属酸化膜10aの外面に
は、上記加熱用金属酸化膜10bの外面に設けられた電
極11と略同様の金属膜からなる電極13が設けられ、
該電極13には電源13cが接続されており、電源13
cを入れて保温用金属膜10aに通電すると、蒸留塔本
体2の内面から輻射熱が放出され、蒸留塔本体2の上部
を保温できるようになっている。上記加熱用金属酸化膜
10bと上記蒸留塔本体2の間には、該蒸留塔本体2の
外面の温度を測定するための温度計14が埋設されてい
る。
【0019】上記蒸留塔本体2には、被処理薬液2aを
塔内に導入する被処理薬液供給管15と、蒸留塔本体2
の底部から被処理薬液2aを導出する第1のドレン管1
6とが設けられている。これら被処理薬液供給管15と
第1のドレン管16とには、それぞれ弁15a,16a
が介在されている。また、この蒸留塔本体2の上部に
は、塔内で発生した蒸気を凝縮器4に導く管17が設け
られている。
【0020】凝縮器4は、薬液蒸気に腐蝕され難いよう
な材料からなり、かつ内部を減圧状態として操作可能な
耐圧強度を有する容器であり、好ましくは厚肉のガラス
やセラミックス、さらに好ましくは石英ガラスまたはホ
ウ珪酸ガラス製の容器である。この凝縮器4内には、冷
却水を流通させて凝縮器4内に導入された蒸気を冷却し
て凝縮、液化させる冷却用の蛇管18が配設されてい
る。凝縮器4の底部には凝縮器4内から凝縮液分配系5
に凝縮液を導出するための管19と、排気装置6に接続
される管20とが取付けられている。
【0021】上記凝縮液分配系5は、製品タンク21
と、凝縮器4と製品タンク21とを接続する管19と、
この管19に介在された第1の切換弁23と、管19の
第1の切換弁23と凝縮器4との間で分岐された第2の
ドレン管24と、この第2のドレン管24に介在された
第2の切換弁25とを備えて構成されている。製品タン
ク21内には、冷却水を流通させて製品タンク21内に
導入された製品薬液40を冷却する冷却用の蛇管26が
配設されており、さらに底部には弁27aを有する製品
薬液抜出管27が取付けられている。このような凝縮液
分配系5は、第1、第2の切換弁23,25の開閉操作
によって、凝縮器4底部から管19を通して導出される
凝縮液を、第2のドレン管24と製品タンク21とのい
ずれかに導入される凝縮液供給方向の切換ができるよう
になっている。
【0022】上記排気装置6は、真空ポンプ30と、こ
の真空ポンプ30と凝縮器4との間に配設された管20
に介在された吸収塔31とを備えて構成されている。吸
収塔31の上部には、蒸留塔本体2の頂部から発生する
温度の高い薬液成分を含んだ気相が直接真空ポンプ30
へ吸引されることにより真空ポンプ30が腐食し、故障
の原因となるのを防止するための充填層32が設けられ
ており、一方、下部には管20を通して導入される気相
を再度冷却し、気相中の低沸点成分を液化するための冷
却管33が配設されている。吸収塔31内には、充填層
32と吸収塔31の頂部との間に空隙部31aが形成さ
れており、また、充填層32と冷却管33との間にも空
隙部31bが形成されている。
【0023】吸収塔31の空隙部31bには、上記充填
層32に吸収された薬液成分を後述する循環液に吸収さ
せるための第1の排出管34が取付けられており、一
方、吸収塔31の空隙部31aには、蒸留塔本体2の底
部に取付けられた第1のドレン管16と、凝縮器4に取
付けられた管20と、凝縮器4に接続された管19から
分岐された第2のドレン管24とがそれぞれ接続されて
いる。
【0024】また、吸収塔31の底部には、内部に溜っ
た液体を排出するための第2の排出管35が設けられて
おり、この第2の排出管35にはポンプ36が介在され
ており、このポンプ36より下流側には上記第1の排出
管34が接続されている。
【0025】次に、金属酸化膜3の形成例について説明
するが、この例では、蒸留塔本体2が硬質ホウ珪酸ガラ
ス(イワキガラス株式会社製のパイレックスガラス;商
品名)からなるものを用い、この蒸留塔本体2の下部の
外面に錫の酸化物とアンチモンの酸化物とからなる加熱
用金属酸化膜(加熱手段)10bを形成し、該加熱用金
属酸化膜10bの表面にAg膜からなる電極11を設
け、さらに該電極11に電源12を接続する場合につい
て説明する。まず、洗浄した蒸留塔本体2を電気炉等で
約650〜700℃まで加熱する。ついで、この電気炉
から取り出した蒸留塔本体2が冷えないうちに、予め用
意しておいた塩化錫と塩化アンチモンの塩化物(アンチ
モン1〜5モル%、残部錫からなる塩化物)水溶液を蒸
留塔本体2の下部の外面に約10秒吹き付ける。する
と、この塩化物水溶液が電気炉で加熱され高温になって
いる蒸留塔本体2の下部の外表面に接触し熱分解によ
り、導電性の加熱用金属酸化膜10bが形成される。こ
こでは、加熱用金属酸化膜10bの厚さを0.1〜1.
0μm程度となるようにするために塩化物水溶液の吹き
付け時間ならびに吹き付け量は適宜勘案される。その
後、室温まで冷却しアルコール、純粋等の溶剤で加熱用
金属酸化膜10bが形成されている蒸留塔本体2を洗浄
する。ついで、電極11形成用のAg膜材料を上記加熱
用金属酸化膜10bの表面の一部にコーティングして電
極11を形成した後、この電極11に陽極端子11a、
陰極端子11bを接続する。最後に、これら陽極端子1
1a、陰極端子11bに電源12を接続することにより
形成できる。また、保温用金属酸化膜10aを形成する
場合は、塩化錫と塩化アンチモンの塩化物水溶液の吹き
付け位置を蒸留塔本体2の上部の外面とする以外は、上
述の加熱用金属酸化膜10bを形成する場合と略同様の
方法により形成できる。
【0026】次に、上記薬液回収精製装置1の運転例に
ついて説明するが、この例では被処理薬液2aが廃硫酸
溶液である場合について述べる。まず、精製すべき所定
量の廃硫酸溶液2aを被処理薬液供給管15より蒸留塔
本体2に導入する。この廃硫酸溶液2aの濃度は60〜
90wt%であり、不純物は殆ど水分であり、この他不
純物として微量の金属成分などを含んでいる。ついで、
第2の切換弁25を開とし、それ以外の弁を閉として排
気装置6の真空ポンプ30を駆動し、精製装置1の全系
を20Torr以下、好ましくは約10Torr程度ま
で減圧する。この圧力を維持しながら、電源12を入れ
て加熱用金属酸化膜10bに通電し、蒸留塔本体2内に
収容されている廃硫酸溶液2aを加熱する。また、これ
とともに電源13cを入れて保温用金属酸化膜10aに
通電し、蒸留塔本体2の上部を保温する。
【0027】そして、蒸留塔本体2内の廃硫酸溶液2a
が約130℃まで加熱されると、徐々に廃硫酸溶液2a
中の水分の蒸発が始まり、廃硫酸溶液2aの濃縮が始ま
る。さらに、蒸留塔本体2内の廃硫酸溶液2aを加熱し
続け、液温が約190℃に達すると、廃硫酸溶液2aの
濃度は約96wt%にまで濃縮される。この間蒸発した
水蒸気は、蒸留塔本体2の上部に配した充填層7を通過
して同伴する硫酸の量を極力抑制された後、管17を通
って凝縮器4内に導かれる。凝縮器4内に導入された水
蒸気は、その内部に配設された蛇管18に接触し、冷却
されて凝縮し、水分が多く含まれる液が凝縮器4底部に
貯留してくる。そこで第2の切換弁25を開き、凝縮器
4底部に貯留した水分を多く含む凝縮液を管24を通し
て、吸収塔31の空隙部31aに導入する。この間、蒸
留塔本体2内の廃硫酸溶液2aの硫酸濃度は上昇する。
【0028】蒸留塔本体2内の廃硫酸溶液2aが製品硫
酸濃度、例えば96wt%を超えた時点で第2の切換弁
25を閉じ、第1の切換弁23を開き、さらに蒸留塔本
体2内の廃硫酸溶液2aの温度が200℃以上、好まし
くは200〜210℃に達するまで加熱昇温させる。そ
の結果、蒸留塔本体2内では硫酸が気化し始める。気化
した硫酸は凝縮器4内に導入され、冷却されて凝縮し、
高純度の(96wt%以上の)硫酸液となって凝縮器4
の底部へ流下し、さらに第1の切換弁23を通過し製品
タンク21内に導入される。
【0029】蒸留の初期には、凝縮器4内で凝縮した硫
酸が流下する間に、凝縮器43の内壁に付着した水分等
の不純物を同伴しているので、硫酸濃度は目標値よりも
低下している。そこで、第1の切換弁23を閉じ、第2
の切換弁25を開いておき、蒸留塔本体2内の廃硫酸溶
液2aの温度を上昇させて硫酸の気化が開始されてか
ら、暫くの間は凝縮された硫酸を流下させ、第2の切換
弁25と第2のドレン管24を通して吸収塔31の空隙
部31aに導入する洗浄操作を行い、その後、第2の切
換弁25を閉じ、第1の切換弁23を開とすることによ
って、凝縮器4で凝縮された硫酸を製品タンク21に導
入させる。
【0030】上記洗浄操作の時間は、硫酸の生成速度と
凝縮器4の流路長さなどに応じて適宜設定されるが、好
ましくは硫酸の気化開始から60〜180秒程度とされ
る。この洗浄時間が上記範囲より短時間であると、凝縮
器4や管19内の水分等の不純物の除去が充分でなくな
り、製品タンク21内に流下する製品硫酸40の濃度低
下を招く。一方、洗浄時間が上記範囲より長くなると、
製品硫酸40の回収率が低下するので好ましくない。
【0031】凝縮器4から管20を通って導出される気
相中には、硫酸の微粒子(ミスト)が同伴されている場
合がある。この硫酸分によって真空ポンプ30が腐食し
たり、外気に排出されるのを防ぐために、上記気相を凝
縮器4と真空ポンプ30との間に設けられた吸収塔31
内に導入し、冷却器33に接触させることによって液化
し、この液体を吸収塔31の底部に溜めるようになって
いる。一方、上記冷却器33によって液化されない残り
の気相は充填層32を通されることによって、硫酸の微
粒子が捕集され、ポンプ36を作動させることにより上
記液体を循環させ、この循環液に上記充填層32に補集
された硫酸の微粒子が吸収されるとともに気相の温度が
下げられるようになっており、循環液の一部が定期的に
排出されるようになっている。
【0032】この蒸留処理を継続して行い、蒸留塔本体
2の廃硫酸溶液2aが減少して残存液が無くなったなら
ば、電源12、13cをオフにして加熱用金属酸化膜1
0bならびに保温用金属酸化膜10aへの通電を停止
し、第1の切換弁23を閉とし、弁15aを開けて被処
理薬液供給管15を通して蒸留塔本体2に精製処理する
べき廃硫酸溶液2aを導入し、上述した蒸留処理工程を
繰り返し行う。この廃硫酸溶液精製処理を行って、蒸留
塔本体2の底部に金属塩などの廃硫酸溶液2a中の不純
物が残渣となって貯蓄された場合には、弁16aを開に
してその残渣を第1のドレン管16通って吸収塔21内
に導入し、さらに第2の排出管35を通って排出する。
また、製品タンク21内の製品硫酸40を抜き出すに
は、第1の切換弁23を閉にし、弁27aを開にし、製
品薬液抜出管27を通して製品硫酸40を外部に抜き出
す。製品タンク21から抜き出された製品硫酸40は、
半導体向上などの硫酸使用生産ラインに供給されて再利
用される。
【0033】上記薬液回収精製装置1の運転例では、被
処理薬液2aが廃硫酸溶液である場合について説明した
がこれに限らず、硫酸、フッ化水素酸、硝酸、塩酸、イ
ソプロピルアルコールおよびアンモニア水のうちの少な
くとも1種を主成分とする薬液にも適用できるものであ
り、これらの場合、蒸留塔本体2内の被処理薬液2aの
加熱温度や蒸留時間等の蒸留条件は適宜選択される。
【0034】上記薬液回収精製装置1にあっては、蒸留
塔が、電気絶縁材料からなる蒸留塔本体2と、該蒸留塔
本体2の下部の外面に設けられた導電性の加熱用金属酸
化膜10bと、該加熱用金属酸化膜10bに接続された
電源12を備えたことにより、該加熱用金属酸化膜10
bに通電すると、上記電気絶縁材料と加熱用金属酸化膜
10bの伝導性の複合効果によって、蒸留塔本体2の内
面からは、外面に比べて約2倍の熱が輻射熱の形で放出
され、蒸留塔本体2内に収容された被処理薬液2aを蒸
留塔本体2の内面からの輻射熱により直接加熱すること
ができる。また、加熱用金属酸化膜10bが輻射熱を反
射するので輻射熱が外部に逃げるのが防止される。従っ
て熱効率が向上するとともにヒートロスも少なくなるの
で、被処理薬液2aの精製速度が速くなり、処理量も増
加するという利点がある。
【0035】また、被処理薬液2aを蒸留塔本体2の内
面からの輻射熱により直接加熱することができることか
ら、蒸留塔本体2の内面と外面との温度差が著しく小さ
くなり、また、その温度は収容されている被処理薬液2
aの温度に近いため、蒸留塔本体2にかかる熱的応力が
低減するので、熱歪みによって蒸留塔本体2が破壊する
ことが少なくなり、安全性が向上する。さらに、加熱用
金属酸化膜10bを錫の酸化物とアンチモンの酸化物か
ら構成することにより加熱用金属酸化膜10bは透明性
を有するものとなり、蒸留塔本体2内の被処理薬液2a
の状態を観察することができ、蒸留塔本体2内に異常が
起きている場合に発見することができる。
【0036】従って、上記薬液回収精製装置1によれ
ば、半導体工場等で排出される硫酸、フッ化水素酸、硝
酸、塩酸、イソプロピルアルコールおよびアンモニア水
等の廃薬液を効率良く、かつ安全に精製し、再利用可能
な製品薬液を提供することが可能である。
【0037】[実験例] (実施例)図1の薬液回収精製装置1と同様の系統の装
置を用意し、実施例の精製装置とした。この精製装置の
仕様は次の通りであった。 (I)保温用金属酸化膜(保温手段)10a: 厚さ0.5μm混合モル比が98:2である 錫の酸化物とアンチモンの酸化物製 加熱用金属酸化膜(加熱手段)10b: 厚さ0.5μm混合モル比が98:2である 錫の酸化物とアンチモンの酸化物製 (II)蒸留塔本体2:(加熱時間比較実験用)厚さ5m
mの硬質ホウ珪酸ガラス製、下部フラスコ部容積3リッ
トル (廃硫酸回収精製実験用)厚さ5mmの硬質ホウ珪酸ガ
ラス製、下部フラスコ部容積3リットル (III)凝縮器4:硬質ホウ珪酸ガラス製、水冷式 (IV)製品タンク21:硬質ホウ珪酸ガラス製、容積1
0リットル (V)真空ポンプ30:ドライポンプ、最大排気速度3
00リットル/分 (VI)上記(II)〜(V)を連結する管:硬質ホウ珪酸
ガラス製
【0038】(比較例)加熱手段が800Wの熱量でニ
クロム線とガラスウール等の断熱材とから構成されるマ
ントルヒータであり、保温手段がブラケットヒータであ
る以外は上記実施例の精製装置と同様の系統の装置を用
意した。この装置を比較例(従来例)の精製装置とし
た。
【0039】(加熱時間比較実験)実施例の精製装置の
蒸留塔本体と比較例の精製装置の蒸留塔本体内に、それ
ぞれ濃度が96wt%の硫酸溶液1.5リットルを入れ
た後、これら硫酸溶液を約10torrの減圧下で各精
製装置に設けられた加熱手段を用いて室温(20℃)か
ら沸点(201℃)まで加熱し、このときの蒸留塔本体
内の硫酸溶液ならびに蒸留塔本体の外表面の上昇温度
(℃)と経過時間(分)との関係を調べた。その結果を
図2に示す。図2中、実線−aは実施例の精製装置の
蒸留塔本体内の硫酸溶液の上昇温度(℃)と経過時間
(分)との関係を示すものであり、実線−bは実施例
の精製装置の蒸留塔本体の外表面の上昇温度(℃)と経
過時間(分)の関係を示すものである。また、破線−
aは比較例の精製装置の蒸留塔本体内の硫酸溶液の上昇
温度(℃)と加熱時間(分)の関係を示すものであり、
破線−bは比較例の精製装置の蒸留塔本体の外表面の
上昇温度(℃)と加熱時間(分)の関係を示すものであ
る。
【0040】図2に示した結果から明らかなように、マ
ントルヒータを加熱手段とした比較例の精製装置の蒸留
塔本体では、20℃の硫酸溶液が28分間で201℃に
達し、蒸留塔本体の外表面に設けられた温度計は420
℃を示しており、また加熱効率は54%であった。これ
に対して導電性の金属酸化膜を加熱手段とした実施例の
精製装置の蒸留塔本体では、20℃の硫酸溶液が21分
間で201℃まで達し、蒸留塔本体の外表面に設けられ
た温度計の温度は蒸留塔本体内に設けられた温度計の温
度と殆ど変わらず、また、加熱効率は71%であった。
【0041】ここでの加熱効率は以下のようにして計算
した値である。濃度が96wt%の硫酸溶液1.5リッ
トルを800Wの熱量で20℃から201℃まで完全な
理想条件で加熱した場合所要時間は15分である。即ち 硫酸溶液の容量:1.5リットル、 硫酸密度(ρ):1.83kg/l、 硫酸の比熱(c):0.35kcal/kg℃、 ヒーター容量:0.8kw 換算係数:860kcal/h/kw である。そして、この時間(15分)を、導電性の金属
酸化膜を加熱手段とした実施例の精製装置とマントルヒ
ータを加熱手段とした比較例の精製装置を用いてそれぞ
れ加熱したときの蒸留塔本体内の硫酸溶液の温度が20
℃から201℃まで上昇するのに要した時間でそれぞれ
割った値を加熱効率とした。
【0042】この加熱比較実験の結果から、導電性の金
属酸化膜を加熱手段とした実施例の精製装置は、マント
ルヒータを加熱手段とした比較例の精製装置と比べて、
1.33倍の速さで被加熱物を加熱することができ、加
熱速度が速いことがわかった。実施例の精製装置では、
導電性の金属酸化膜を加熱手段としたことにより、この
金属酸化膜に通電すると、輻射エネルギーが発生し、該
輻射エネルギーにより硫酸溶液を直接加熱することがで
き、さらにこの金属酸化膜自体に輻射エネルギーを遮断
する効果があるため熱が外部に逃げず、ヒートロスが少
なくなり熱効率が良くなったためと考えられる。
【0043】また、マントルヒータを加熱手段とした比
較例の精製装置の場合、蒸留塔本体の外部から熱を内部
の硫酸溶液へ伝導することにより加熱しているため、蒸
留塔本体の外表面の温度は蒸留塔本体内の硫酸溶液の温
度よりも高くなり、蒸留塔本体内の硫酸溶液の温度と、
蒸留塔本体の外面との温度差(曲線−aの水平部分の
温度と−bの水平部分の温度差)は約220℃となり
熱的応力が非常に大きく蒸留塔本体への負担がかかり、
該蒸留塔本体が破壊しやすいことが分った。これに対し
て、導電性の金属酸化膜を加熱手段とした実施例の製造
装置の場合は、硫酸溶液を蒸留塔本体の内面からの輻射
熱により直接加熱することができるため、蒸留塔本体内
の硫酸溶液と蒸留塔本体の外面との温度差が極めて小さ
く、温度差は5℃を超えていないことが分った。
【0044】(廃硫酸回収精製実験)上記導電性の金属
酸化膜を蒸留塔本体の各部の加熱及び保温手段した実施
例の精製装置と、マントルヒータを蒸留塔本体の下部の
加熱手段とし、ブランケットヒータを蒸留塔本体の上部
の保温手段とした比較例の精製装置を用いる2種類の精
製方法により、濃度80wt%の廃硫酸溶液からの精製
回収実験を行い比較した。
【0045】実施例の精製装置1を用いる第一の精製方
法では、まず、濃度96wt%以上の硫酸溶液1.5リ
ットルが収容されている蒸留塔本体2内に上記80wt
%の廃硫酸溶液1リットルを供給したところ、蒸留塔本
体2内の硫酸濃度は91wt%となった。ついで、加熱
用金属酸化膜に通電し、上記蒸留塔本体2内の廃硫酸溶
液を減圧下で加熱し、また、これとともに保温用金属酸
化膜に通電し、上記蒸留塔本体2の上部を保温し、上述
した薬液回収精製装置の運転例に従って蒸留塔本体2内
の廃硫酸溶液の濃度が96wt%になるまで濃縮精製し
た。この濃縮された製品硫酸を製品タンク21内へ回収
し廃硫酸溶液を収容する蒸留塔本体2内の廃硫酸溶液の
容量が1.5リットルに減少するまで回収し続けた。こ
のような操作を繰り返し、製品硫酸を得た。この実施例
の精製装置を用いる第一の精製方法では、一回の操作で
製品硫酸を約0.8リットル(1.47kg)回収する
ことができ、また、一回の操作に要する時間は82分で
あり、製品硫酸速度は9.8mL/minであった。
【0046】比較例の精製装置を用いる第二の精製方法
では、加熱手段としてマントルヒータを用い、かつ保温
手段としてブランケットヒータを用いた以外は上記第一
の精製方法と同様にして蒸留塔本体内の廃硫酸溶液の容
量が1.5リットルに減少するまで回収し続けた。この
比較例の回収精製装置を用いる第二の精製方法では、一
回の操作に要する時間は98分であり、製品硫酸の製造
速度は8.2mL/minであった。
【0047】廃硫酸回収精製実験結果から、蒸留塔本体
の加熱及び保温手段を導電性の金属酸化膜とした実施例
の精製装置は、蒸留塔本体の加熱手段がマントルヒータ
であり、かつ保温手段がブラケットヒータとした比較例
の精製装置よりも、製品硫酸の製造速度を約20%向上
できることがわかった。なお、上記実験例においては、
蒸留塔本体の材質を硬質ホウ珪酸ガラス製としたが、セ
ラミックス等の磁器製を用いてもほぼ同様の実験結果が
得られる。また、上記実験例においては、廃硫酸溶液を
回収精製する場合について実験を行ったが、硫酸、フッ
化水素酸、硝酸、塩酸、イソプロピルアルコールおよび
アンモニア水のうちの少なくとも1種を主成分とする薬
液であっても同様の実験結果が得られる。
【0048】
【発明の効果】以上説明したように本発明の薬液回収精
製装置にあっては、上記蒸留塔が、電気絶縁材料からな
る蒸留塔本体と、該蒸留塔本体の外面に設けられた導電
性の金属酸化膜と、該金属酸化膜に接続された電源とを
備えたものであるので、該金属酸化膜に通電すると、上
記電気絶縁材料と金属酸化膜の伝導性の複合効果によっ
て、蒸留塔本体の金属酸化膜の内面からは、外面に比べ
て約2倍の熱が輻射熱の7形で放出され、蒸留塔本体内
に収容された被処理薬液を蒸留塔本体の内面からの輻射
熱により直接加熱することができる。また、金属酸化膜
が輻射熱を反射するので輻射熱が外部に逃げるのが防止
される。従って、本発明の薬液回収精製装置を用いるこ
とにより、熱効率が向上するとともにヒートロスも少な
くなるので、マントルヒータ、ブラケットヒータのよう
に蒸留塔本体外部からの伝導による間接的な加熱手段を
用いた従来の精製装置に比べて被処理薬液の精製速度が
速くなり、処理量も増加し、製品薬液の製造速度の向上
が可能である。
【0049】また、蒸留塔本体内に収容された被処理薬
液を蒸留塔本体の内面からの輻射熱により直接加熱する
ことができることから、蒸留塔本体の内面と外面との温
度差が著しく小さくなり、また、その温度は収容されて
いる被処理薬液の温度に近いため、蒸留塔本体にかかる
熱的応力が低減するので、蒸留塔本体にかかる負担が少
なくなり、蒸留塔本体が破壊することが少なくなり、安
全性が向上する。
【0050】さらに、金属酸化膜を錫の酸化物とアンチ
モンの酸化物から構成することにより金属酸化膜は透明
性を有するものとなるので、マントルヒータ、ブラケッ
トヒータのように間接的な加熱手段を用いた従来の精製
装置では蒸留塔本体内の被処理薬液の状態を観察するこ
とができなかったのが、本発明により蒸留塔本体内の被
処理薬液の状態を観察することができ、蒸留塔本体内に
異常が起きている場合に発見することができ、事故の発
生を未然に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の薬液回収精製装置の一実施例を示す
構成図である。
【図2】 金属酸化膜を加熱手段とした実施例の精製装
置ならびにマントルヒータを加熱手段とした比較例の精
製装置のそれぞれについて、蒸留塔本体内の硫酸溶液な
らびに蒸留塔本体の外表面の上昇温度(℃)と経過時間
(分)との関係を示したグラフである。
【符号の説明】
1・・・薬液回収精製装置、2・・・蒸留塔本体、2a・・・被
処理薬液(廃硫酸溶液)、3・・・金属酸化膜、4・・・凝縮
器、10a・・・保温用金属酸化膜、10b・・・加熱用金属
酸化膜(加熱手段)、11・・・電極、12・・・電源。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年9月28日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正内容】
【0011】
【実施例】以下、図面を参照して本発明を詳細に説明す
る。図1は、本発明に係わる薬液回収精製装置の一実施
例を示す図であり、この薬液回収精製装置1は、被処理
薬液2aを収容するための蒸留塔本体2と、この蒸留塔
本体2の外面に設けられた導電性の金属酸化膜3と、上
記蒸留塔本体2に接続された凝縮器4と、該凝縮器4に
接続された凝縮液分配系5と、上記凝縮器4に接続され
て蒸留系内を排気する排気装置6とを備えて構成されて
いる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正内容】
【0025】次に、金属酸化膜3の形成例について説明
するが、この例では、蒸留塔本体2が硬質ホウ珪酸ガラ
ス(イワキガラス株式会社製のパイレックスガラス;商
品名)からなるものを用い、この蒸留塔本体2の下部の
外面に錫の酸化物とアンチモンの酸化物とからなる加熱
用金属酸化膜(加熱手段)10bを形成し、該加熱用金
属酸化膜10bの表面にAg膜からなる電極11を設
け、さらに該電極11に電源12を接続する場合につい
て説明する。まず、洗浄した蒸留塔本体2を電気炉等で
約650〜700℃まで加熱する。ついで、この電気炉
から取り出した蒸留塔本体2が冷えないうちに、予め用
意しておいた塩化錫と塩化アンチモンの塩化物(アンチ
モン1〜5モル%、残部錫からなる塩化物)水溶液を蒸
留塔本体2の下部の外面に約10秒吹き付ける。する
と、この塩化物水溶液が電気炉で加熱され高温になって
いる蒸留塔本体2の下部の外表面に接触し熱分解によ
り、導電性の加熱用金属酸化膜10bが形成される。こ
こでは、加熱用金属酸化膜10bの厚さを0.1〜1.
0μm程度となるようにするために塩化物水溶液の吹き
付け時間ならびに吹き付け量は適宜勘案される。その
後、室温まで冷却しアルコール、純水等の溶剤で加熱用
金属酸化膜10bが形成されている蒸留塔本体2を洗浄
する。ついで、電極11形成用のAg膜材料を上記加熱
用金属酸化膜10bの表面の一部にコーティングして電
極11を形成した後、この電極11に陽極端子11a、
陰極端子11bを接続する。最後に、これら陽極端子1
1a、陰極端子11bに電源12を接続することにより
形成できる。また、保温用金属酸化膜10aを形成する
場合は、塩化錫と塩化アンチモンの塩化物水溶液の吹き
付け位置を蒸留塔本体2の上部の外面とする以外は、上
述の加熱用金属酸化膜10bを形成する場合と略同様の
方法により形成できる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0029
【補正方法】変更
【補正内容】
【0029】蒸留の初期には、凝縮器4内で凝縮した硫
酸が流下する間に、凝縮器4の内壁に付着した水分等の
不純物を同伴しているので、硫酸濃度は目標値よりも低
下している。そこで、第1の切換弁23を閉じ、第2の
切換弁25を開いておき、蒸留塔本体2内の廃硫酸溶液
2aの温度を上昇させて硫酸の気化が開始されてから、
暫くの間は凝縮された硫酸を流下させ、第2の切換弁2
5と第2のドレン管24を通して吸収塔31の空隙部3
1aに導入する洗浄操作を行い、その後、第2の切換弁
25を閉じ、第1の切換弁23を開とすることによっ
て、凝縮器4で凝縮された硫酸を製品タンク21に導入
させる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0030
【補正方法】変更
【補正内容】
【0030】上記洗浄操作の時間は、硫酸の生成速度と
凝縮器4の流路長さなどに応じて適宜設定されるが、好
ましくは硫酸の気化開始から60〜180秒程度とされ
る。この洗浄時間が上記範囲より短時間であると、凝縮
器4や管19内の水分等の不純物の除去が充分でなくな
り、製品タンク21内に流下する製品硫酸の濃度低下を
招く。一方、洗浄時間が上記範囲より長くなると、製品
硫酸の回収率が低下するので好ましくない。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0032
【補正方法】変更
【補正内容】
【0032】この蒸留処理を継続して行い、蒸留塔本体
2の廃硫酸溶液2aが減少して残存液が無くなったなら
ば、電源12、13cをオフにして加熱用金属酸化膜1
0bならびに保温用金属酸化膜10aへの通電を停止
し、第1の切換弁23を閉とし、弁15aを開けて被処
理薬液供給管15を通して蒸留塔本体2に精製処理する
べき廃硫酸溶液2aを導入し、上述した蒸留処理工程を
繰り返し行う。この廃硫酸溶液精製処理を行って、蒸留
塔本体2の底部に金属塩などの廃硫酸溶液2a中の不純
物が残渣となって貯蓄された場合には、弁16aを開に
してその残渣を第1のドレン管16通って吸収塔21内
に導入し、さらに第2の排出管35を通って排出する。
また、製品タンク21内の製品硫酸を抜き出すには、第
1の切換弁23を閉にし、弁27aを開にし、製品薬液
抜出管27を通して製品硫酸を外部に抜き出す。製品タ
ンク21から抜き出された製品硫酸は、半導体向上など
の硫酸使用生産ラインに供給されて再利用される。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0048
【補正方法】変更
【補正内容】
【0048】
【発明の効果】以上説明したように本発明の薬液回収精
製装置にあっては、上記蒸留塔が、電気絶縁材料からな
る蒸留塔本体と、該蒸留塔本体の外面に設けられた導電
性の金属酸化膜と、該金属酸化膜に接続された電源とを
備えたものであるので、該金属酸化膜に通電すると、上
記電気絶縁材料と金属酸化膜の伝導性の複合効果によっ
て、蒸留塔本体の金属酸化膜の内面からは、外面に比べ
て約2倍の熱が輻射熱の形で放出され、蒸留塔本体内に
収容された被処理薬液を蒸留塔本体の内面からの輻射熱
により直接加熱することができる。また、金属酸化膜が
輻射熱を反射するので輻射熱が外部に逃げるのが防止さ
れる。従って、本発明の薬液回収精製装置を用いること
により、熱効率が向上するとともにヒートロスも少なく
なるので、マントルヒータ、ブラケットヒータのように
蒸留塔本体外部からの伝導による間接的な加熱手段を用
いた従来の精製装置に比べて被処理薬液の精製速度が速
くなり、処理量も増加し、製品薬液の製造速度の向上が
可能である。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被処理薬液を収容し該液を加熱する加熱
    手段を備えた蒸留塔と、該蒸留塔から導出された各成分
    の蒸気を冷却凝縮する凝縮器を備えた薬液回収精製装置
    であって、 上記蒸留塔が、電気絶縁材料からなる蒸留塔本体と、該
    蒸留塔本体の外面に設けられた導電性の金属酸化膜と、
    該金属酸化膜に接続された電源とを備えたことを特徴と
    する薬液回収精製装置。
  2. 【請求項2】 上記金属酸化膜の表面に金属膜からなる
    電極が設けられ、該電極に電源が接続されてなることを
    特徴とする請求項1記載の薬液回収精製装置。
  3. 【請求項3】 上記蒸留塔本体を構成する電気絶縁材料
    が、ガラス類およびセラミックスのうちから選択される
    無機質材からなるものである請求項1または2記載の薬
    液回収精製装置。
  4. 【請求項4】 上記金属酸化膜が錫の酸化物とアンチモ
    ンの酸化物とからなるものである請求項1〜3のいずれ
    かに記載の薬液回収精製装置。
  5. 【請求項5】 上記金属酸化膜を構成する材料が、アン
    チモン1〜5モル%、残部錫からなる酸化物であること
    を特徴とする請求項4記載の薬液回収精製装置。
  6. 【請求項6】 上記金属酸化膜の厚さが0.1〜1.0
    μmであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに
    記載の薬液回収精製装置。
  7. 【請求項7】 被処理薬液が、硫酸、フッ化水素酸、硝
    酸、塩酸、イソプロピルアルコールおよびアンモニア水
    のうちの少なくとも1種を主成分とする薬液であること
    を特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の薬液回収
    精製装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6413389B1 (en) 1999-12-17 2002-07-02 Applied Materials, Inc. Method for recovering metal from etch by-products
JP2007129216A (ja) * 2005-09-30 2007-05-24 Purex:Kk 超高純度薬剤の再生方法及びその再生装置

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US6413389B1 (en) 1999-12-17 2002-07-02 Applied Materials, Inc. Method for recovering metal from etch by-products
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