JPH0870848A - ビタミンEおよびβ−カロチン高含有量のユーグレナ藻体およびその製造方法 - Google Patents

ビタミンEおよびβ−カロチン高含有量のユーグレナ藻体およびその製造方法

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JPH0870848A
JPH0870848A JP6232436A JP23243694A JPH0870848A JP H0870848 A JPH0870848 A JP H0870848A JP 6232436 A JP6232436 A JP 6232436A JP 23243694 A JP23243694 A JP 23243694A JP H0870848 A JPH0870848 A JP H0870848A
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Tomoko Yoshino
友子 吉野
Hiroyuki Tsunoda
宏之 角田
Tokuhiro Hibi
徳浩 日比
Hirofumi Akano
裕文 赤野
Kichiya Kawamura
吉也 川村
Tadashi Matsunaga
是 松永
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Nakano Vinegar Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 ビタミンEおよびβ−カロチンを生成する能
力を有するユーグレナ属に属する緑藻類を高密度に培養
して得た高密度ユーグレナ藻体を、炭素源を添加しない
培地に移し、光照射下に培養することを特徴とするビタ
ミンEおよびβ−カロチン高含有量のユーグレナ藻体の
製造方法および該方法により得たビタミンEおよびβ−
カロチン高含有量のユーグレナ藻体。 【効果】 本発明によれば、ビタミンEおよびβ−カロ
チン高含有量のユーグレナ藻体を高生産性および低コス
トで製造することができる。これらビタミン類は天然型
ビタミン類であるため、人体への安全性に心配がなく、
ビタミン類の錠剤として利用したり、各種食品に添加し
て栄養強化食品として利用することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はビタミンEおよびβ−カ
ロチン高含有量のユーグレナ藻体およびその製造方法に
関する。さらに詳しくは、ユーグレナ属に属する緑藻類
を高密度に培養して得た高密度ユーグレナ藻体を、炭素
源を添加しない培地に移し、光照射下に培養することを
特徴とするビタミンEおよびβ−カロチン高含有量のユ
ーグレナ藻体およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】生体が機能を維持していくためには、ビ
タミン類は欠くことのできない栄養素である。例えば、
成人の標準的な必要摂取量はβ−カロチンが6mg/
日、ビタミンEが7〜8mg/日であると言われてい
る。しかし、近年はこれらビタミン類等の微量栄養素の
必要な摂取量を食品のみから行うことは極めて困難であ
る。その理由として考えられることは、養殖魚やハウス
栽培野菜や果物に代表されるように、昔の食物に比べて
ビタミン類等の微量栄養素の少ない食物が増加している
こと、日常の生活における加工食品の利用や外食の増加
などが挙げられる。野菜の中で最もβ−カロチンに富む
ニンジンのβ−カロチン含量は7.3mg/100g可
食部であるが、β−カロチンの必要量をニンジンのみか
ら摂取する場合、1日当たり約100gを食べることが
必要である。しかし、毎日このようなビタミン含有量の
高い野菜のみを摂取し続けることは、現実問題として不
可能であると思われる。
【0003】そこで、ビタミン類の欠乏を補う目的で、
各種ビタミン類の錠剤や食品にビタミン類を添加した栄
養強化食品が上市されるようになった。このような目的
で用いられるビタミン類は、主に価格の安い化学合成品
であるが、最近の健康への関心の高まりと共にこれらの
合成ビタミン類に対する安全性が問われるようになって
きた。そのため、天然型ビタミン類が注目されるように
なり、現在では天然型β−カロチンの生産は微細藻類で
あるドナリエラ属を用いて行われている。しかし、この
ドナリエラ属藻類の培養は光独立栄養培養で行う必要が
あるため、培養に長時間を要するなど経済性の点で課題
がある。そこで、従属栄養(有機栄養)培養でも生育が
可能で、しかも藻体内に高含量に複数のビタミン類(β
−カロチン,ビタミンE,ビタミンC等)を含有するユ
ーグレナ藻類が注目されるようになった。
【0004】従来、ユーグレナ藻類の培養方法として、
例えば特公平6−30564号公報には、閉鎖系暗黒下
でユーグレナ藻類を培養した後、培地中の炭素源濃度が
0.4g/リットル以下になったとき、酸(塩酸,硫酸,
酢酸等)を添加して培地のpHを1.5〜2.0となるよう
に調節し、次いで開放系光照射条件下で培養を行う方法
が記載されている。この方法によれば、藻体中のタンパ
ク含量が高まるとだけ述べられている。しかし、この方
法においては、培地中の炭素源の濃度がある一定量以下
になった時点でpHを低下させ、開放系へと移行させて
いるために、藻類の生育過程で培地中に放出された様々
な物質が、pH低下後のユーグレナ藻類の生育およびビ
タミン生産に影響を与えるものと考えられる。また、こ
の文献では藻体中のビタミン含有量については何ら検討
されていない。
【0005】さらに、特公平5−32020号公報に
は、培地のpH1.8〜6.5、溶存酸素濃度1〜10pp
mの条件下で光を照射してユーグレナ藻類を培養する方
法が記載されている。この方法により藻体重量が1.2〜
2.0倍に増加し、タンパク質の含有量が50〜65%に
増加したことが指摘されている。しかし、この方法にお
いては、1回の培養(バッチ培養)で検討を行っている
ために、本発明で得られるようなビタミン高含有のユー
グレナ藻類を高密度に培養することは不可能である。し
かも、この文献も藻体中のビタミン含有量については全
く検討されていない。
【0006】ユーグレナ藻類においては、ユーグレナ−
生理と生化学(北岡 正三郎編、147〜148頁、1
989年12月10日、学会出版センター発行) に示さ
れているように、ビタミンEおよびβ−カロチンは、光
合成時に生体内に発生した活性酸素を消去するという役
割をもつため、光を照射した場合その含量が高まること
が報告されている。さらに、ビタミン含量が増大すると
いう点では、従属栄養培養よりも光独立栄養培養の方が
優れていることが知られている。しかし、藻体内にビタ
ミン類を蓄積させるため光独立栄養培養を行った場合、
ビタミン類の含量は増大するが、藻体密度は従属栄養培
養の場合に比べ約10〜20分の1程度になるという欠
点がある。一方、光従属栄養培養においては、ユーグレ
ナの藻体密度は増加するが、ビタミン含量はあまり増加
しないという欠点がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ユーグレナ藻類を培養
してビタミン類の生産を行う場合、一般的にはビタミン
含量を増大させるため、光独立栄養培養を行うべきであ
るが、前述したように、光独立栄養培養では、ビタミン
含量は非常に高くなるが、藻体(細胞)収量の増大を望
めない。そのために、結果としてビタミン類の生産性が
低いものになる。一方、藻体収量の問題を解決するため
に光従属栄養培養を行うと、藻体収量は増加するが、1
細胞あたりのビタミン含有量が低下するために、この方
法も生産性が低いものになる。さらに、このような低生
産性という問題点の他にも、これらの方法は常に光照射
を行う必要があり、コストがかかるという課題も生じて
いる。本発明の目的は、かかる課題を解決してユーグレ
ナ藻類を高密度に培養することにより、高生産性および
低コストでビタミンEとβ−カロチンを製造する方法を
提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明はビタ
ミンEおよびβ−カロチンを生成する能力を有するユー
グレナ属に属する緑藻類を高密度に培養して得た高密度
ユーグレナ藻体を、炭素源を添加しない培地に移し、光
照射下に培養することを特徴とするビタミンEおよびβ
−カロチン高含有量のユーグレナ藻体の製造方法に関す
るものである。
【0009】以下に本発明を詳細に説明する。前述の如
く、ビタミン類の発酵生産を独立栄養培養で行うと、ビ
タミン含量を顕著に増加させることができ、従属栄養培
養によると、藻体量を増大させることができる。そこ
で、本発明では初めにユーグレナ藻類を従属栄養培養で
増殖させた後、残存する炭素源や藻類増殖時に生成した
様々な成分を取り除くために、培地を交換した後、光独
立栄養培養を行うことにより、ビタミン含量の高いユー
グレナ藻類を大量に得る方法を確立し、本発明を完成さ
せた。
【0010】本発明に使用するユーグレナ属藻類として
は、ユーグレナ・グラシリス(Euglena gracilis) 、ユ
ーグレナ・ビリデイス(Euglena viridis)、ユーグレナ
・インタミデイア(Euglena intermedia) 等のユーグレ
ノイドの他、野生に存在するユーグレナ属のいかなる種
も用いることができる。本発明に使用するユーグレナ属
藻類としては、ユーグレナ・グラシリス Z株(ATC
C12716)が好適である。
【0011】(1) 高密度ユーグレナ藻体を得る工程 ユーグレナ藻類の増殖に用いる培地(光従属栄養培養
用)は、通常用いられているものでよく、例えば炭素源
としては単糖類,二糖類,多糖類,有機酸類,アルコー
ル類,アミノ酸類,廃糖蜜,コーンスチープリカー(C
SL),炭酸ガスなどが挙げられ、これらを単独でもし
くは適宜組み合わせて用いる。窒素源としては、硫酸ア
ンモニウム,リン酸水素2アンモニウム,リン酸アンモ
ニウム,アンモニア,各種アミノ酸等が単独でもしくは
2種以上を組み合わせて用いられ、その中でも、細胞の
光独立栄養状態への移行を潤滑化するため、リン酸水素
2アンモニウムを使用するのが好適である。無機塩類と
しては、炭酸マグネシウム,硫酸マグネシウム,硫酸
鉄,硫酸マンガン,硫酸亜鉛またはこれらの水和物など
が単独でもしくは組み合わせて用いられる。また、ビタ
ミン類としてビタミンB1 ,ビタミンB12は必ず添加す
る必要がある。このような培地の一例としてオダ培地
(ユーグレナ−生理と生化学;北岡 正三郎編、241
〜243頁、1989年12月10日、学会出版センタ
ー発行)がある。その組成を第1表に示す。
【0012】
【表1】
【0013】また、培養容器としては、各種フラスコや
ジャーファーメンター等を用いることができる。光源と
しては、太陽光および人工光のどちらを用いてもよく、
光の強度は特に限定されない。なお、光源がなくても藻
体が十分に増殖する場合には、コスト削減の立場から、
光の照射は行わなくてもよい。通気は、ユーグレナ藻類
が良好に増殖するような通気量で行い、必要に応じて酸
素や二酸化炭素を一定の割合に調節した混合気体を使用
する。培養温度は藻類が良好に生育する条件を選定すれ
ばよく、通常は10〜30℃であり、好ましくは25〜
28℃である。また、培地のpHもユーグレナ藻類が良
好に生育するpHを選定すればよく、通常はpH2.0〜
8.0であり、好ましくは他の雑菌の増殖を抑えるために
pH2.0〜3.5に調節する。
【0014】上記に示した培地および培養条件でユーグ
レナ藻類の培養を行うと、通常行われている光独立栄養
培養に比べて10〜20倍程度に藻体濃度が増加する。
この場合の光独立栄養培養条件は次の通りである。以下
の第2表に示すようなクラマー・メイヤー培地を用い
て、培養温度28℃、培地pH3.5、通気は滅菌空気を
0.3vvmで供給し、光は約9000ルクス照射し、2
週間程培養を行う。なお、ユーグレナ藻体の量をさらに
増加させるためには、次の方法を採用することができ
る。第1の方法は、流加培養である。しかし、一般に流
加培養では最適条件を維持するための特殊な装置が必要
とされる。そこで、本発明では簡便な方法として、後記
実施例3に示すように、1乃至数回培地を交換して培養
するという第2の方法を採用する。この方法では、接種
量が培養液量の10%に相当する量を用いて最適培養条
件で培養を開始した後、約48時間から約72時間後に
対数増殖期中期〜定常期に達する。培養物から藻類細胞
(藻体)を分離して新鮮な培地に移し、再び約30時間
から約72時間培養することにより、対数増殖期中期〜
定常期に達する。対数増殖期中期〜定常期のユーグレナ
藻体を新しい培地に植え継ぐという操作を適宜繰り返す
ことにより、藻体密度を通常の2.5倍程度に増加させる
ことができる。すなわち、この方法によれば、元の藻体
密度の25〜50倍程度に藻体量を増やすことができ
る。
【0015】(2) ビタミン高含有のユーグレナ藻体を得
る工程 上記のようにしてユーグレナ藻体を増殖させた後、回収
した高密度ユーグレナ藻体を、炭素源を添加しない培地
に移し、光照射下に培養する。この場合に用いる培地は
生育に必要な無機塩類からなるものであり、例えば独立
栄養培養用の培地(ユーグレナ−生理と生化学;北岡
正三郎編、242頁(1989年12月10日、学会出
版センター発行) があり、クラマー・メイヤー培地(C
M培地)が好適である。第2表は該培地の組成を示した
ものである。なお、前記の増殖培養後に回収した藻体に
は培地由来の炭素源が若干量随伴することが避けられな
いので、本培養は実際には極微量の炭素源の存在下に行
われることになるが、新しい培地には炭素源を含ませな
いようにすることが重要である。
【0016】
【表2】
【0017】培養容器としては、前記と同様に各種フラ
スコやジャーファーメンター等を用いることができ、閉
鎖系でもよく、開放系でもよい。回収したユーグレナ藻
体を独立栄養培地に懸濁する場合、該藻体をどの程度の
量の培地に懸濁するかは任意に決定すればよいが、懸濁
する培地の量は、装置の規模、取扱い易さを考慮した場
合、可及的に減らすことが望ましい。例えば、10リッ
トルの培地で培養し、回収した高密度ユーグレナ藻体は
4〜6リットルの培地に懸濁することが望ましい。
【0018】ユーグレナ藻体を独立栄養培地に懸濁した
後、光を照射して培養を行うが、この懸濁比率を考慮し
て適切な光の強度や照射時間等を決定する必要がある。
通常、照射時間は10時間以上である。また、光の強さ
は3000〜15000ルクス、好ましくは5000〜
10000ルクス程度がよい(ユーグレナ−生理と生化
学;北岡 正三郎編、241頁(1989年12月10
日、学会出版センター発行) 。
【0019】培養温度はユーグレナ藻類が良好に生育す
る温度を選定すればよく、通常は10〜30℃であり、
好ましくは28℃である。通気についても藻類が良好に
生育できる通気を行えばよいが、必要ならば酸素や二酸
化炭素を一定の割合に調節した混合気体を使用してもよ
い。さらに、培地のpHも藻類が良好に生育するpHを
選定すればよく、通常はpH2.0〜8.0であり、好まし
くは他の雑菌の増殖を抑えるためにpH2.0〜3.5に調
節する(ユーグレナ−生理と生化学;北岡 正三郎編、
232〜233頁(1989年12月10日、学会出版
センター発行) 。なお、培養中の攪拌は通気による混合
攪拌や攪拌翼で行い、攪拌翼の場合は20〜100rp
m程度に、緩やかに行うとよい。
【0020】このようにして培養を行うことにより、ビ
タミン類、特にβ−カロチンとビタミンEの含有量が高
いユーグレナ藻体を高密度に得ることができる。
【0021】(3) ユーグレナ藻体の食品への応用 本発明で得られるビタミンEおよびβ−カロチンの含有
量の高いユーグレナ藻体は、直接摂取できる他、各種食
品に添加して利用することができる。1例として、下記
のようなものが挙げられる。タコ焼きやポテトチップス
の青のりの代わりやサウザンアイランドドレッシングの
具材やご飯のふりかけとして用いることができる。な
お、本発明のユーグレナ藻体には、上記ビタミン類の
他、例えばビタミンCなども豊富に含まれているため、
菓子類、例えばクッキー,キャンディー,チューインガ
ムなどに添加することにより、手軽に多くのビタミン類
の補給を行うことができる。
【0022】培養終了後、ユーグレナ藻体を遠心分離等
の固−液分離手段により分離、回収したのち、適当な方
法でビタミン類を抽出する。ビタミン類の抽出は、例え
ばn−ヘキサン,エタノール等の有機溶媒を用いて行え
ばよく、望ましくはn−ヘキサンなどの疎水性溶媒の量
を調節し、水層と疎水性溶媒の二層に分離するように調
製したものがよい。このような二層の溶媒を用いて抽出
すると、水層には水溶性ビタミン類が、疎水性溶媒層に
は脂溶性ビタミン類が回収される。次いで、それぞれを
適当なカラムクロマトグラフィーに供して、不純物を濾
過し、濃縮工程を経て、天然型ビタミン類を製造するこ
とができる。
【0023】なお、β−カロチンの同定方法は、標準物
質として市販のβ−カロチンを用いて以下の条件で行う
ことができる。 カラム:YMC AM−302(S−5 120A O
DS) 4.6mm×150mm 移動相:メタノール:クロロホルム=5:1 測定波長:455nm 流速:1.0ml/min 温度:35℃ 検出器:島津製作所製、高速液体クロマトグラフィー
(HPLC)
【0024】また、ビタミンEの同定方法は、標準物質
として市販のα−トコフェロールを用いて以下の条件で
実施することができる。 カラム:YMC AM−302(S−5 120A O
DS) 4.6mm×150mm 移動相:アセトニトリル 測定波長:蛍光検出器 Ex 298nm, Em 325
nm 流速:1.0ml/min 温度:35℃ 検出器:島津製作所製:高速液体クロマトグラフィー
(HPLC)
【0025】
【実施例】次に、本発明を実施例により詳しく説明す
る。 実施例1 前培養としてユーグレナ・グラシリス Z株(ATCC
12716)を第1表に示した組成のオダ培地20リッ
トルで30リットル容ジャーファーメンターを用いて、
28℃で4日間培養した。培養中、通気量0.6リットル
/分にて滅菌した空気を導入した。得られた前培養液2
0リットルを、オダ培地200リットルの入った300
リットル容ジャーファーメンターに接種した。この培養
は滅菌空気を60リットル/分の割合で通気しながら2
8℃で4日間行った。
【0026】その後、連続遠心分離機を用いて培養物か
らユーグレナ藻体を回収し、第2表に示した組成のCM
培地中に再懸濁(2.5倍に濃縮)して、9000ルクス
の光を照射し、28℃で96時間培養した。なお、この
培養は30リットル容ジャーファーメンターを用いた閉
鎖系での光照射下と30リットル容の透明なバケツを用
いた開放系での光照射下の2系列で実施した。このよう
にして得られた培養液から遠心分離機を用いてユーグレ
ナ藻体を集めた後、凍結乾燥を行い、該藻体中のビタミ
ン含量を測定した。その結果、閉鎖系光照射下では、β
−カロチンは1402μg/g乾燥菌体、ビタミンEは
1221μg/g乾燥菌体であった。また、開放系光照
射下では、β−カロチンは1314μg/g乾燥菌体、
ビタミンEは925μg/g乾燥菌体であり、閉鎖系で
も開放系でもビタミン含量は殆ど変わらなかった。この
ことより、独立栄養培養での光照射は装置や操作の点で
簡単な開放系で実施する方が好ましい。
【0027】実施例2 この例では、炭素源を添加しない培地にてユーグレナ藻
体を光照射下で培養することが有効であることを示す。
実施例1のようにして得た高密度ユーグレナ藻体を懸濁
させる培地として、CM培地の他、炭素源として1.2%
のグルコースをCM培地に添加した培地(CM+Glc
培地)を作製した。第1表に示した組成のオダ培地(p
H3.5)500mlの入った偏平フラスコで、28℃で
4日間暗所にて培養を行った。なお、通気は0.3vvm
の割合で行った。遠心分離機を用いてユーグレナ藻体を
回収した後、前記の2種類の培地のそれぞれに懸濁し、
さらに光照射区と光非照射区を設け、合計4つの試験区
を設定して培養した。実施例1と同様にして測定したビ
タミンEおよびβ−カロチンの含有量を第3表に示し
た。表から明らかなように、本発明による培養条件を採
用した場合が最適である。
【0028】
【表3】
【0029】比較例1 様々な培養条件下で30リットル容のジャーファーメン
ターを用いて培養を行い、得られたユーグレナ藻体中の
ビタミン類の含有量を測定した。比較した培養条件とし
て、通常、藻類の培養に用いる光独立栄養培養(CM培
地)と有機炭素源を用いた光従属栄養培養(オダ培地)
および本発明による培養の3つの試験区を設定した。培
養は、28℃で行い、ビタミン含量が十分に増加するま
で実施した。CM培地を用いた光独立栄養培養では、1
4日間培養した結果、最終のユーグレナ藻体量は0.45
g/リットル、β−カロチン含有量は2820μg/g
乾燥菌体、ビタミンE含有量は1860μg/g乾燥菌
体であった。一方、オダ培地を用いた光従属栄養培養で
は、最終のユーグレナ藻体量は8.91g/リットル、β
−カロチン含有量は265μg/g乾燥菌体、ビタミン
E含有量は365μg/g乾燥菌体であった。実施例1
のように本発明の培養条件を採用すると、最終のユーグ
レナ藻体量は10g/リットル、β−カロチン含有量は
941μg/g乾燥菌体、ビタミンE含有量は1650
μg/g乾燥菌体であった。
【0030】上記の値から1日当たりのビタミン生産量
を求めると、β−カロチンについては以下のようにな
る。CM培地を用いる光独立栄養培養では、0.45(g
/リットル)×2820(μg/g乾燥菌体)×20
(リットル)÷14(日)=1810(μg/日)であ
る。オダ培地を用いる光従属栄養培養では、8.91(g
/リットル)×265(μg/g乾燥菌体)×20(リ
ットル)÷8(日)=5900(μg/日)である。本
発明を用いた培養では、10(g/リットル)×941
(μg/g乾燥菌体)×20(リットル)÷9(日)=
20900(μg/日)である。ビタミンEに関しては
以下のようになる。CM培地を用いる光独立栄養培養で
は、0.45(g/リットル)×1860(μg/g乾燥
菌体)×20(リットル)÷14(日)=1200(μ
g/日)である。オダ培地を用いる光従属栄養培養で
は、8.91(g/リットル)×365(μg/g乾燥菌
体)×20(リットル)÷8(日)=8130(μg/
日)である。本発明を用いた培養では、10(g/リッ
トル)×1650(μg/g乾燥菌体)×20(リット
ル)÷9(日)=36670(μg/日)である。した
がって、本発明の培養条件で実施した場合、β−カロチ
ンについては、CM培地を用いる光独立培養の約11.5
倍もビタミン類の生産性が向上しており、オダ培地を用
いる光従属培養と比べ約3.5倍もビタミン類の生産性が
向上している。同様にして、ビタミンEについては、C
M培地を用いる光独立培養の約30.5倍もビタミン類の
生産性が向上しており、オダ培地を用いる光従属培養と
比べ約4.5倍もビタミン類の生産性が向上している。
【0031】実施例3 前培養としてユーグレナ・グラシリス Z株(ATCC
12716)を第4表に示した組成のコーレン・ハット
ナー培地で1000ルクスの光を照射し、25℃で4日
間培養した後、該培養液15mlを150mlのコーレ
ン・ハットナー培地に接種し、1000ルクスの光照射
下、25℃で48時間培養した。培養終了後、遠心分離
によりユーグレナ藻体を集め、再び新鮮なコーレン・ハ
ットナー培地150mlに移し、同様の条件で培養し、
培養開始から48時間後に再び培地交換を行うことを繰
り返し、合計3回培地交換を行った。その結果、この方
法による培養液中の藻体収量は22.7g/リットルに向
上し、通常の培養法による藻体収量(10g/リット
ル)の約2.3倍に達することが判明した。
【0032】
【表4】
【0033】実施例4 高密度ユーグレナ藻体を得る培地において、第1表に示
すようなオダ培地と、オダ培地中の窒素源であるL−グ
ルタミン酸の代わりにリン酸水素2アンモニウムを用い
た培地(以下、改良オダ培地という。)を作製した。す
なわち、L−グルタミン酸6.4gの代わりに等量のN量
に相当するリン酸水素2アンモニウム2.87gを用いて
改良オダ培地を作製した。培養容器として30リットル
容のジャーファーメンターを用いて、28℃で8000
ルクスの光をあて光従属栄養培養により対数増殖期後期
まで培養した。得られた藻体を遠心集菌(2500g)
し、30リットル容のジャーファーメンター中のCM培
地に再懸濁した。その後、蛍光灯により12000ルク
スの光照射の下、16時間培養した。実施例1と同様に
して測定したビタミンEおよびβ−カロチンの含有量を
第5表に示した。表から明らかなように、窒素源として
リン酸水素2アンモニウムを用いた改良オダ培地の方が
好ましいことがわかる。
【0034】
【表5】
【0035】本発明の改良オダ培地を用いた培養でのβ
−カロチンの生産量は43750(μg/日)であり、
ビタミンEの生産量は37450(μg/日)であっ
た。このことから、β−カロチンでは約24倍、ビタミ
ンEでは約31倍もビタミン類の生産性が向上している
ことがわかった。
【0036】
【発明の効果】本発明によれば、ビタミンEおよびβ−
カロチン高含有量のユーグレナ藻体を高生産性および低
コストで製造することができる。これらビタミン類は天
然型ビタミン類であるため、人体への安全性に心配がな
く、ビタミン類の錠剤として利用したり、各種食品に添
加して栄養強化食品として利用することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 川村 吉也 愛知県江南市古知野町古渡132 (72)発明者 松永 是 東京都府中市幸町2−41−13

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ビタミンEおよびβ−カロチンを生成す
    る能力を有するユーグレナ属に属する緑藻類を高密度に
    培養して得た高密度ユーグレナ藻体を、炭素源を添加し
    ない培地に移し、光照射下に培養することを特徴とする
    ビタミンEおよびβ−カロチン高含有量のユーグレナ藻
    体の製造方法。
  2. 【請求項2】 対数増殖期中期〜定常期まで培養したユ
    ーグレナ藻体を、培養物から分離し、該藻体を新鮮な培
    地に移し、再び対数増殖期中期〜定常期まで培養すると
    いう操作を1乃至数回繰り返すことにより高密度ユーグ
    レナ藻体を得ることを特徴とする請求項1記載のユーグ
    レナ藻体の製造方法。
  3. 【請求項3】 ユーグレナ属に属する緑藻類が、ユーグ
    レナ・グラシリスであることを特徴とする請求項1記載
    のユーグレナ藻体の製造方法。
  4. 【請求項4】 ビタミンEおよびβ−カロチンを生成す
    る能力を有するユーグレナ属に属する緑藻類を高密度に
    培養するとき、培地の窒素源としてリン酸水素2アンモ
    ニウムを使用することを特徴とする請求項1記載のユー
    グレナ藻体の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1記載のユーグレナ藻体の製造方
    法によって得られたビタミンEおよびβ−カロチン高含
    有量のユーグレナ藻体。
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