JPH0869Y2 - ミシンの針糸緊張装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の目的〕 （産業上の利用分野） 本考案は、ミシンの針糸緊張装置に関するものであ
る。

（従来の技術） 均一なステツチを形成するために、針糸に適度な制動
力を付与するミシンの針糸緊張装置は、例えば、実公昭
53-3875号公報に開示されている、この装置において
は、繰り出される針糸は、コイルバネの端部を屈折形成
した糸案内部を介してコイルバネから所定の制動力を受
けるようになつている。しかしてコイルバネは筒部材内
に収容されており、コイルバネの端部は、筒部材の円周
方向に形成されたスロツトを通過して外部に延在してい
る。

（考案が解決しようとする課題） ところが、針糸への張力が与えられなくなると、コイ
ルバネの弾性力により、コイルバネの端部が筒部材のス
ロツトの端壁に衝突する。特に、高速運転する工業用ミ
シンにあつては、かかる衝突が高速で繰り返すことにな
るので、騒音を発生するのみならず、コイルバネの端部
と糸案内部との間の部分が折損し易いという不具合があ
つた。

それ故に、本考案は、かかる衝突をなくすことを、そ
の技術的課題とする。

〔考案の構成〕

（課題を解決するための手段） 上記した課題を解決するために、本考案において講じ
た技術的手段は、 「ミシンのアームに貫設された穴に装架され且つ前記
アームの前面から前方に突出した部分に円周方向に刻設
されたスロツトを備える筒部材： 前記筒部材内に固定され且つ軸方向に穴が穿設された
後端部および軸方向に前記穴と同芯的に連接する割り溝
が形成された前端部を備えた糸調子軸： 前記筒部材内で前記糸調子軸上に巻回装架され且つ一
端部が前記糸調子軸に固定されたコイル部および前記筒
部材のスロツトを介して前記筒部材の外に延在する前記
コイル部の他端部を折曲形成して平面的に略Ｕ字状をな
す糸案内部を備えた糸取りバネ： 前記糸調子軸が貫通し且つ前記筒部材の前端面部に固
定された面部および糸ガイド部を備えた糸案内板：なら
びに 前記糸取りバネのコイル部の他端部を前記スロツトの
壁面から離隔すべく前記コイル部の他端部と係合且つ前
記筒部材の上側に配設された緩衝部材： を有するミシンの針糸緊張装置」 を構成したことである。

（作用） この構成においては、糸案内部が形成されている糸取
りバネのコイル部の他端部は、緩衝部材に係合している
ので、スロツトの壁面に衝突することがない。

（実施例） 第１図ないし第４図において、ミシンのアーム１の前
面部に貫設された穴1aには、筒部材２が装架されてい
る。筒部材２の前端部は、アーム１から突出しており、
この突出部分には円周方向にスロツト2sが刻設されてい
る。筒部材２の内部には小径穴2aと大径穴2bとからなる
段付き穴が軸方向に形成されており、この段付き穴内
に、糸調子軸３の後端部が位置している。しかして糸調
子軸３の後端部には、ネジ４にて小径穴2aに嵌合・固定
される小径部3cと大径穴2b内に位置する大径部3dを備え
る。また、糸調子軸３の前端部側には、軸方向に割り溝
3fが形成されると共に表面にはネジ3aが刻設されてい
る。また、割り溝3fは、糸調子軸３の後端部を軸方向に
貫通する穴3bと連接している。

糸調子軸３の大径部3d上には、糸取りバネ９のコイル
部9cは巻回・装架されており、コイル部9cの一端部9b
は、糸調子軸３の大径部3dに形成された溝9fに係合・固
定される。コイル部9cの他端部9dは、筒部材２に刻設さ
れたスロツト2sを通過して筒部材２の外部に延在し、し
かる後に平面的に略Ｕ字形に屈曲形成されて糸案内部9a
となつている。

筒部材２の前端部には糸案内板５の面部5aがネジ６で
固定されており、糸案内板５の外周にはテーパー状の糸
ガイド部5bが形成されている。糸案内板５の面部5aに
は、アーム１に対向するようにピン７が突設されてお
り、このピン７上には緩衝部材として弾性リング８が装
架されている。この弾性リング８は、バネ力で半径方向
に回動付勢されるコイル部9cの他端部9dと常時係合して
おり、コイル部9cの他端部9dをスロツト2sの端壁面2tに
当らないようにしている。尚、コイル部9cの軸方向移動
は、糸調子軸３上に固定された円板11により阻止される
ようになつている。

糸調子軸３上には、また、外周部に断面略Ｖ字状の溝
14aが形成された糸掛車14が装架されており、この糸掛
車14は、不織布からなる２枚の摩擦板12・13により挟持
されている。摩擦板13にはバネ受け15が隣接しており、
このバネ受け15と、糸調子軸３のネジ部3a上に螺着され
た調節ナツト18に隣接するラチエツト板17との間には糸
調子バネ16が張設されており、この糸調子バネ16は糸掛
車14に回転負荷を与えるようになつている。

しかして、上糸20は、ミシンのアーム１に装着された
各種の糸道部材（図示略）を経由して糸掛車14に至り、
糸掛車14の溝14aに１ないし２回巻きつけられてから、
糸取りバネ９の糸案内部9a、アーム１に装着された糸掛
板19を介して、天秤および針（いずれも図示略）に至
る。

ミシンの運転中は、周知のように、カマの吸収量に対
する天秤糸量の過不足に応じて、糸取りバネ９は、第４
図の実線示の位置と破線示の位置との間を往復する。し
かして、糸取りバネ９が第４図の破線示の位置から実線
示の位置に変移する際、糸取りバネ９の他端部9dは弾性
リング８に弾性的に係合するので、糸取りバネ９の他端
部9dがスロツト2sの端壁面2tに衝突することはない。

尚、第５図に示すように、緩衝部材として板バネ28を
用いてもよい。この場合、板バネ28はネジ29で筒部材に
固定することになる。

〔考案の効果〕

以上述べたように、本考案においては、糸案内部が形
成されている糸取りバネのコイル部の他端部は、緩衝部
材に係合しているので、スロツトの壁面に衝突すること
がない。また、緩衝部材が筒部材の上側に配設されてい
るので、緩衝部材の交換を容易に行うことが出来る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る針糸緊張装置の一実施例の断面
図、第２図は糸取りバネの糸案内の近傍の斜視図、第３
図は緩衝部材の設置状態を説明する断面図、第４図は第
１図示装置の作動説明図および第５図は緩衝部材の変形
例を示す図である。 2:筒部材、2s:スロツト、2t:スロツトの端壁面、3:糸調
子軸、5:糸案内板、８・28:緩衝部材、9:糸取りバネ、9
a:糸案内部、9c:コイル部、9d:他端部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ミシンのアームに貫設された穴に装架され
   且つ前記アームの前面から前方に突出した部分に円周方
   向に刻設されたスロツトを備える筒部材： 前記筒部材内に固定され且つ軸方向に穴が穿設された後
   端部および軸方向に前記穴と同芯的に連接する割り溝が
   形成された前端部を備えた糸調子軸： 前記筒部材内で前記糸調子軸上に巻回装架され且つ一端
   部が前記糸調子軸に固定されたコイル部および前記筒部
   材のスロツトを介して前記筒部材の外に延在する前記コ
   イル部の他端部を折曲形成して平面的に略Ｕ字状をなす
   糸案内部を備えた糸取りバネ： 前記糸調子軸が貫通し且つ前記筒部材の前端面部に固定
   された面部および糸ガイド部を備えた糸案内板：ならび
   に 前記糸取りバネのコイル部の他端部を前記スロツトの壁
   面から離隔すべく前記コイル部の他端部と係合且つ前記
   筒部材の上側に配設された緩衝部材： を有するミシンの針糸緊張装置。