JPH0869712A - 樹脂−セラミックス複合材及びこれを用いた電子部品用配線板 - Google Patents

樹脂−セラミックス複合材及びこれを用いた電子部品用配線板

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JPH0869712A
JPH0869712A JP20347294A JP20347294A JPH0869712A JP H0869712 A JPH0869712 A JP H0869712A JP 20347294 A JP20347294 A JP 20347294A JP 20347294 A JP20347294 A JP 20347294A JP H0869712 A JPH0869712 A JP H0869712A
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Masatake Hara
真毅 原
Kazunori Soroe
和紀 揃
Yasuhiro Goto
泰宏 後藤
Hisamitsu Sakai
久満 酒井
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Abstract

(57)【要約】 【構成】BaO−Nd2 3 −TiO2 −Bi2 3
Mn系の誘電体セラミックスと有機高分子樹脂を混合し
てなる樹脂−セラミックス複合材を用いて電子部品用配
線板を構成する。 【効果】ギガヘルツ帯の高周波領域において高誘電率、
低tanδ(高Q)特性を有し、かつ優れた成形性、寸
法精度を有する基板を得ることができ、その結果、電子
機器、情報通信機器の小型化等への貢献は極めて大であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、特に高周波領域での使
用に好適な樹脂−セラミックス複合材及びこれを用いた
電子部品用配線板に関する。
【0002】
【従来の技術】情報通信の手法として無線通信がある
が、INS(高度情報化社会)への移行とともに無線通
信は使用周波数帯がますます高周波帯域に移行してい
る。特に発展が期待されている衛星放送、衛星通信、
又、携帯電話、自動車電話等の移動体通信にはギガヘル
ツ(GHz)帯の高周波が使用されている。
【0003】そのため、これらの送受信機に使用される
回路基板の材料はGHz帯に於いて高周波伝送特性が優
れた(誘電損失が小さい)ものでなければならない。
【0004】ここで、誘電損失は周波数と基板の誘電率
εr と誘電正接(以下tanδと記載する)の積に比例
することより、誘電損失を小さくするためには基板のt
anδを小さくしなければならない。又、基板中では電
磁波の波長が1/√εr に短縮されるため、誘電率εr
が大きい程基板の小型化が可能である。
【0005】以上のことから高周波領域で使用される小
型の電子機器、情報機器に用いる回路基板としては、誘
電率εr が高く、かつtanδが小さい材料特性が要求
されている。
【0006】このような回路基板の材料としては、無機
材料として誘電体セラミックス、有機材料としてフッ素
樹脂等が用いられている。さらに、有機材料と無機材料
の複合体として熱硬化性樹脂とチタン酸バリウム等の誘
電体セラミックスを混合してなる複合基板も用いられて
いる(例えば特開平1−245053号、特開平4−3
07788号公報等参照)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記誘電体
セラミックスからなる基板は、誘電率、tanδの特性
は優れているが寸法精度、加工性に難点があり、脆いた
め欠けや割れが生じやすいという問題点があった。
【0008】他方、樹脂等の有機材料からなる基板は、
成形性及び加工性に優れtanδも小さいという利点は
あるが、誘電率が小さいという問題があつた。
【0009】このため、近年、両者の利点を有する基板
を得るため、チタン酸バリウム等の誘電体セラミックス
を有機高分子樹脂と混合した複合基板が提案されてい
る。しかしながら従来の複合基板は、誘電体セラミック
スに比べ寸法精度、加工精度が改善され、また有機基板
に比べ誘電率が改善されているものの、ギガヘルツ帯の
高周波領域に於いて、誘電率は3程度と低く、tanδ
は50×10-4程度と高く、いずれも不十分であった。
【0010】
【発明の目的】そこで本発明は、ギガヘルツ帯の高周波
領域に於いて、4以上の高い誘電率と14×10-4以下
の小さいtanδを有するとともに、成形性及び加工性
に優れ、小型機器への対応が容易な樹脂−セラミツク複
合体を用いた電子部品用配線板を提供することを目的と
する。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記課題を解
決するために、高誘電率、低tanδ(高Q値)のBa
O−Nd2 3 −TiO2 −Bi2 3 −Mn系の誘電
体セラミック粉末と有機高分子樹脂を混合、成形して樹
脂−セラミックス複合材を構成した。
【0012】また、本発明は、上記樹脂−セラミックス
複合材により電子部品用配線板を形成したものである。
なお、本発明における電子部品用配線板とは、電子部品
を搭載するための回路基板や多層基板、あるいは半導体
素子を収納するための半導体パッケージ用基板等を意味
する。
【0013】ここで、BaO−Nd2 3 −TiO2
Bi2 3 −Mn系の誘電体セラミック粉末とは、Ba
O−Nd2 3 −TiO2 −Bi2 3 からなる系にM
nを添加することを特徴とする誘電体磁器組成物であ
る。
【0014】具体的には、組成式がxBaO・yNd2
3 ・zTiO2 ・wBi2 3 式中 0.110≦x≦0.170 0.120≦y≦0.185 0.630≦z≦0.710 0.020≦w≦0.090 x+y+z+w=1 で示される主成分に対し、Mnを0.003〜0.3重
量%の範囲で含有させたことを特徴とする誘電体磁器組
成物である。
【0015】そして、Mnを添加することによってta
nδ(Q値)を大幅に改善するとともに誘電率をも更に
向上させ、しかも誘電率の温度依存性が小さく且つ安定
するという効果を得ることができる。
【0016】ここで、Mn量を0.003〜0.3重量
%としたのは、0.003重量%未満、あるいは0.3
重量%を越えるとtanδが大きくなり、Mn添加の効
果が認められないためである。
【0017】この誘電体セラミックは、焼成温度120
0〜1600℃程度での完全焼成を行うことが好まし
く、焼成後粉砕して粉末を作成する。この時の平均粒径
は、3〜125μmが好ましい。これは、平均粒径が1
25μmより大きいと基板の表面が粗くなり回路形成が
難しくなるためであり、逆に平均粒径が3μmより小さ
いと樹脂との混練性が低下するためである。そして、得
られた誘電体セラミック粉末を有機高分子樹脂と混合す
れば良い。
【0018】一方、有機高分子樹脂としては、エポキシ
樹脂、フェノ−ル樹脂、シリコン樹脂、ポリイミド樹
脂、不飽和ポリエステル、ビスマレイド系ポリイミド樹
脂(BT)、シアネ−ト樹脂、熱硬化型ポリフェニレン
エ−テル(PPE)、ポリフェニレンオキサイド(PP
O)等の熱硬化性樹脂とフッ素系樹脂、ポリオレフイン
系ポリマ−、アクリル樹脂、ポリアセタ−ル樹脂等の熱
可塑性樹脂があり、ポリエチレンフタレ−ト(PB
T)、ポリプロピレン(PP)、ポリカ−ボネ−ト(P
C)、ポリエチレン(PE)、ボリスチレン、ポリペプ
チド、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化
ビニル、ポリアクリレ−ト(PMMA)、ポリアミド
(PA)、ポリブチレンテレフタレ−ト(PBT)、ポ
リスルフォン(PSF)、ポリフェニレンサルフアド
(PPS)、ポリエチレンテレフタレ−ト(PET)等
を用いる。
【0019】また、誘電体セラミック粉末と有機高分子
樹脂の混合重量比は、セラミック粉末10〜95重量%
と有機高分子樹脂が90〜5重量%とする。これは、誘
電体セラミック粉末の混合比が10重量%未満であると
基板としての寸法安定性に欠け、誘電体セラミックの特
徴が発揮できずに誘電率が低くなるためである。逆に誘
電体セラミック粉末の混合比が95重量%よりも多い
と、有機高分子樹脂の特徴が発揮できずに成形加工性が
低下し、tanδが低くならないためである。さらに、
以上の理由により好ましくはセラミック粉末50〜85
重量%と有機高分子樹脂50〜15重量%の混合重量比
が良い。
【0020】本発明の樹脂−セラミックス複合材の製造
方法は、まず混練機、又は加熱2本ロ−ル等を用いて有
機高分子樹脂を溶融、軟化させ、これに誘電体セラミッ
ク粉末を小量ずつ加えながら加熱混練する。この後、例
えば押出法、加熱プレス法、射出成形法、シートロール
法等により板状に成形すれば回路基板とすることができ
る。
【0021】この基板に回路を形成する方法としては、
回路となる金属層を基板に付着させる無電解メッキ、又
は無電解メッキと電解メッキの組み合わせを用いる。ま
た、表面平滑性の良い金属箔を用いる場合は、高誘電
率、低損失(tanδが低い)の接着剤で接着する方法
が有効である。接着剤としてはフエノ−ル樹脂、エポキ
シ樹脂等の熱硬化性接着剤やビニル樹脂、アクリル樹脂
等の熱可塑性接着剤がある。さらに、熱可塑性樹脂の場
合、金属回路パタ−ンを基板に加熱圧着、転写する方法
も可能である。
【0022】
【作用】本発明によれば、ギガヘルツ(GHz)帯にお
いて、4以上の高誘電率、14×10-4以下の低tan
δを有し、かつ優れた成形性、寸法精度を呈する樹脂−
セラミック複合体を提供することができる。
【0023】
【実施例】実施例1 有機高分子樹脂として、ポリオレフイン系ポリマーであ
るポリプロピレン(εr =2.8、tanδ=1×10
-4)をラボプラストミルにて200℃で加熱溶融させ
る。その後、誘電体セラミツク粉末として、BaO−N
2 3 −TiO3 −Bi2 3 系にMnを0.1%含
有させた誘電体セラミック粉末(εr =110、tan
δ=4×10-4、平均粒径125μm)を小量ずつ添加
しながら混練してポリオレフイン系ポリマーと誘電体セ
ラミツク粉末の混合物を作成した。更に混合物を200
℃で熱間プレス成形し、厚さ2mmで36mm×59m
mの基板を作成した。
【0024】なお、混合比率は全体重量に対してポリオ
レフイン系ポリマーが4.7重量%、13.0重量%、
23.0重量%とした。
【0025】それぞれの基板について、空洞共振器法に
より誘電率εr 、tanδ、損失Qを測定した。結果は
表1に示す通りである。
【0026】この結果より、樹脂混合比率を13.0重
量%、23重量%としたものは、ギガヘルツ帯に於いて
4以上の高誘電率、14×10-4以下の低tanδを有
しており、従来の複合基板に比べて優れた特性を有して
いる。
【0027】一方、樹脂混合比率を4.7重量%とした
ものは、樹脂量が少ないためtanδが低くならなかっ
た。
【0028】
【表1】
【0029】実施例2 実施例1と同様にしてポリオレフイン系ポリマ−の混合
比率を15重量%、30重量%、50重量%、70重量
%、90重量%の基板を作成した。又、比較例としてポ
リオレフイン系ポリマ−100重量%の基板を作成し
た。それぞれ、実施例1とは異なる周波数で測定した結
果は、表2、表3に示す通りである。
【0030】この結果より、樹脂混合比率を30重量
%、50重量%としたものは、ギガヘルツ帯において4
以上の高誘電率、14×10-4以下の低tanδを達成
していることがわかる。
【0031】一方樹脂混合比率を15重量%としたもの
はtanδが低くならず、また混合樹脂混合比率が70
重量%以上では高い誘電率のものとはならなかった。
【0032】
【表2】
【0033】
【表3】
【0034】実施例3 実施例1、2の誘電体セラミック粉末の組成を調整し、
Mnを0.1%添加して誘電率εr =89、tanδ=
2.13×10-4に変更し、樹脂混合比率30重量%の
基板を作成した。この基板についての測定結果を表4に
示す。
【0035】この実施例についても、ギガヘルツ帯に於
いて4以上の高誘電率、14×10-4以下の低tanδ
を有しており、本発明の目的を達成できることがわか
る。
【0036】ただし、実施例2の樹脂混合比率30重量
%の例と比較すれば明らかなように、誘電体セラミック
粉末の誘電率、tanδが低くなると基板の誘電率、t
anδも低くなることがわかる。
【0037】又、実施例2の樹脂混合比と誘電率、ta
nδの関係からすれば、実施例3の組成において樹脂混
合比率を15重量%としたものは、ギガヘルツ帯におい
て4以上の高誘電率、14×10-4以下の低tanδを
達成できると推測できる。
【0038】
【表4】
【0039】また、以上の実施例では有機高分子樹脂と
してポリオレフィン系ポリマーを用いたが、他の樹脂を
用いても同様の結果であった。
【0040】比較例 次に、比較例として、BaO−Nd2 3 −TiO2
Bi2 3 のみでMnを含まない誘電体セラミック粉末
(εr =105、tanδ=3×10-4/1MHz)を
用いて、実施例2と同様にポリオレフィンと混合して基
板を作成した。測定結果は表5に示す通りである。
【0041】この結果より、Mnを含まないBaO−N
2 3 −TiO2 −Bi2 3 のみの誘電体セラミッ
ク粉末を用いた複合基板は、ギガヘルツ帯において誘電
率4以上、tanδ14×10-4以下を達成することが
できなかった。
【0042】本発明実施例である表3の結果と比較する
と、例えば樹脂混合比が30%の場合、表5の比較例で
は誘電率が2.5、tanδが22×10-4であるのに
対し、表3の本発明実施例では誘電率が7.2、tan
δが8.2×10-4と両者の差は顕著であり、特に本発
明実施例はtanδを小さくできることがわかる。
【0043】
【表5】
【0044】なお、以上の実施例では電子部品用配線板
としてを回路基板の例のみを述べたが、この他に多層基
板や半導体素子収納パッケージ用基板等として用いるこ
ともできる。
【0045】また、本発明の樹脂−セラミックス複合材
は電子部品用配線板以外にもさまざまな用途に好適に利
用することができる。例えば、携帯電話等の各種電子機
器におけるケースを本発明の樹脂−セラミックス複合材
で形成することもでき、この場合ケースを回路基板と兼
用させれば、より小型化が可能となる。
【0046】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、BaO
−Nd2 3 −TiO2 −Bi2 3−Mn系の誘電体
セラミックスと有機高分子樹脂を混合して樹脂−セラミ
ックス複合材を構成したことによって、この複合体を用
いて電子部品用配線板を形成すれば、ギガヘルツ帯の高
周波領域において高誘電率、低tanδ(高Q)特性を
有し、かつ優れた成形性、寸法精度を有する配線板を得
ることができる。その結果、電子機器、情報通信機器の
小型化等への貢献は極めて大である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 酒井 久満 京都府京都市山科区東野北井ノ上町5番地 の22 京セラ株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】BaO−Nd2 3 −TiO2 −Bi2
    3 −Mn系の誘電体セラミックスと有機高分子樹脂を混
    合してなる樹脂−セラミックス複合材。
  2. 【請求項2】BaO−Nd2 3 −TiO2 −Bi2
    3 −Mn系の誘電体セラミックスと有機高分子樹脂を混
    合した樹脂−セラミックス複合材からなる電子部品用配
    線板。
JP20347294A 1994-08-29 1994-08-29 樹脂−セラミックス複合材及びこれを用いた電子部品用配線板 Pending JPH0869712A (ja)

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