JPH0867969A - 高エネルギービームによる物質の蒸発方法及びその装置 - Google Patents
高エネルギービームによる物質の蒸発方法及びその装置Info
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- JPH0867969A JPH0867969A JP20474294A JP20474294A JPH0867969A JP H0867969 A JPH0867969 A JP H0867969A JP 20474294 A JP20474294 A JP 20474294A JP 20474294 A JP20474294 A JP 20474294A JP H0867969 A JPH0867969 A JP H0867969A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 物質のスポット型電子ビーム蒸発において、
局部的な蒸気圧力によって発生する蒸発界面の不安定性
を抑制し、広範囲に安定かつ効率的に蒸気を生成する。 【構成】 物質1の溶融液面8上における照射域9上
に、それぞれ異なるエネルギー分布19,20を有するスポ
ット型電子ビーム6、及び6aを重畳させて照射するこ
とにより、前記の照射域9を含む液面近傍を蒸発源とし
て表面加熱する。これにより、当該面上に急峻な表面温
度分布23が発生することを回避し、代わって緩和された
表面温度分布23aを形成することができる。よって、蒸
発源の表面温度を高く保って該部から発生する蒸気を高
密度に維持しながら、溶融液面8上に作用する蒸気圧力
を、表面温度分布23aに従ってより広い範囲で作用させ
ることにより、界面の沈降などの界面不安定性を抑止し
て物質1の蒸気10を安定的かつ効率的に発生させること
ができる。
局部的な蒸気圧力によって発生する蒸発界面の不安定性
を抑制し、広範囲に安定かつ効率的に蒸気を生成する。 【構成】 物質1の溶融液面8上における照射域9上
に、それぞれ異なるエネルギー分布19,20を有するスポ
ット型電子ビーム6、及び6aを重畳させて照射するこ
とにより、前記の照射域9を含む液面近傍を蒸発源とし
て表面加熱する。これにより、当該面上に急峻な表面温
度分布23が発生することを回避し、代わって緩和された
表面温度分布23aを形成することができる。よって、蒸
発源の表面温度を高く保って該部から発生する蒸気を高
密度に維持しながら、溶融液面8上に作用する蒸気圧力
を、表面温度分布23aに従ってより広い範囲で作用させ
ることにより、界面の沈降などの界面不安定性を抑止し
て物質1の蒸気10を安定的かつ効率的に発生させること
ができる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高エネルギービーム照
射による物質の蒸発方法及びその装置に係わり、広い範
囲に安定な蒸気供給を目的とした蒸発方法及びその装置
に関する。
射による物質の蒸発方法及びその装置に係わり、広い範
囲に安定な蒸気供給を目的とした蒸発方法及びその装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】光学機器の製造工程、半導体成膜処理、
機能性材料の開発等などの産業分野では、従来より真空
蒸着法、化学蒸着法、分子線エピタキシー法などに代表
される様に、物質の蒸気化による成膜技術が一般的には
駆使されてきた。これらの技術では、成膜対象となる当
該物質または当該物質の組成原材料を蒸気化して固体壁
に蒸着させるものであり、物質を蒸発または昇華させる
ための手段としては、ヒータ加熱、高周波加熱、高エネ
ルギービーム加熱等があげられる。このうち、高エネル
ギービーム加熱はレーザービーム、中性粒子ビーム、荷
電粒子ビームをエネルギードライバーとして、物質の表
面のみを直接的かつ局部的に加熱するため、他の方法に
はない多くの利点を有している。特に、エネルギードラ
イバーとしての電子ビームは、ビーム源の生成、ビーム
伝播、ビーム集束が容易であるばかりでなく、装置全体
のコストが低いなどの理由により広く利用されているの
が現状である。
機能性材料の開発等などの産業分野では、従来より真空
蒸着法、化学蒸着法、分子線エピタキシー法などに代表
される様に、物質の蒸気化による成膜技術が一般的には
駆使されてきた。これらの技術では、成膜対象となる当
該物質または当該物質の組成原材料を蒸気化して固体壁
に蒸着させるものであり、物質を蒸発または昇華させる
ための手段としては、ヒータ加熱、高周波加熱、高エネ
ルギービーム加熱等があげられる。このうち、高エネル
ギービーム加熱はレーザービーム、中性粒子ビーム、荷
電粒子ビームをエネルギードライバーとして、物質の表
面のみを直接的かつ局部的に加熱するため、他の方法に
はない多くの利点を有している。特に、エネルギードラ
イバーとしての電子ビームは、ビーム源の生成、ビーム
伝播、ビーム集束が容易であるばかりでなく、装置全体
のコストが低いなどの理由により広く利用されているの
が現状である。
【0003】以下に、電子ビームを具体例にした高エネ
ルギービーム照射による物質の蒸発方法及びその装置の
従来例について、図5及び図6を参照して説明する。図
5は、従来のスポット型電子ビーム照射による物質の蒸
発装置の構成を模式的に示すシステム図であり、図6は
図5に示す物質の蒸気の発生装置の構成を示す縦断面図
である。
ルギービーム照射による物質の蒸発方法及びその装置の
従来例について、図5及び図6を参照して説明する。図
5は、従来のスポット型電子ビーム照射による物質の蒸
発装置の構成を模式的に示すシステム図であり、図6は
図5に示す物質の蒸気の発生装置の構成を示す縦断面図
である。
【0004】蒸発対象となる物質1は、熱化学耐性を有
する例えば坩堝などの容器2に収納されている。次に電
子銃3において、アノード4は、通電加熱または輻射加
熱されることにより高温状態となったフィラメント5か
ら発生した熱電子を電界抽出することにより、スポット
型電子ビーム6を発射させる。
する例えば坩堝などの容器2に収納されている。次に電
子銃3において、アノード4は、通電加熱または輻射加
熱されることにより高温状態となったフィラメント5か
ら発生した熱電子を電界抽出することにより、スポット
型電子ビーム6を発射させる。
【0005】次に、電子銃3から発射されるスポット型
電子ビーム6を、図示しない外部磁場コイルにより印加
される直流磁場7により偏向して、容器2に収納される
物質1の溶融液面8上に照射する。スポット型電子ビー
ム6の照射を受けた物質1は、その照射域9のみを蒸発
温度以上の高温状態に加熱され、該部から物質1の蒸気
10を発生する。この様にスポット型の照射域9から発生
された蒸気10は、容器2の上部の処理領域11を通過した
後、回収板12の面上に凝縮回収される。
電子ビーム6を、図示しない外部磁場コイルにより印加
される直流磁場7により偏向して、容器2に収納される
物質1の溶融液面8上に照射する。スポット型電子ビー
ム6の照射を受けた物質1は、その照射域9のみを蒸発
温度以上の高温状態に加熱され、該部から物質1の蒸気
10を発生する。この様にスポット型の照射域9から発生
された蒸気10は、容器2の上部の処理領域11を通過した
後、回収板12の面上に凝縮回収される。
【0006】さらに、従来のスポット型電子ビーム6に
よる加熱装置においては、例えばスポット型電子ビーム
6の着弾点13を溶融液面8上の線分14で周波数ω0 の高
周波数で掃引させることにより、線分14を包含する液面
上の高温領域15を適温に加熱する様に配慮している。こ
の様な体系で全体の蒸気生成量を増加するためには、こ
の狭小な照射域9へのスポット型電子ビーム6のエネル
ギーフラックスを増加させる必要がある。一方で、この
様な高温領域15となった部位から容器2に近接する低温
領域16の間で溶融液面8上に温度勾配が発生し、表面張
力対流の様な物質1の熱流動17が発生する。
よる加熱装置においては、例えばスポット型電子ビーム
6の着弾点13を溶融液面8上の線分14で周波数ω0 の高
周波数で掃引させることにより、線分14を包含する液面
上の高温領域15を適温に加熱する様に配慮している。こ
の様な体系で全体の蒸気生成量を増加するためには、こ
の狭小な照射域9へのスポット型電子ビーム6のエネル
ギーフラックスを増加させる必要がある。一方で、この
様な高温領域15となった部位から容器2に近接する低温
領域16の間で溶融液面8上に温度勾配が発生し、表面張
力対流の様な物質1の熱流動17が発生する。
【0007】一方で、照射域9へのスポット型電子ビー
ム6のエネルギー照射パターンは、照射域9の中心にお
けるエネルギーフラックスを最大値として、例えばガウ
ス分布の様なエネルギー分布を呈するのが一般的であ
る。しかしながら、この様な照射パターンに基づきエネ
ルギーフラックスを増強して蒸発量をさらに増加させる
場合、照射域9近傍が局部的に極度の高温状態となり易
く、照射域9にのみ大きな蒸気圧力が作用することにな
る。この様に局部的に作用する蒸気圧力は、溶融液面8
の変形を誘発して突沸やスプラッシュなどの界面不安定
性を招くおそれが生じる。
ム6のエネルギー照射パターンは、照射域9の中心にお
けるエネルギーフラックスを最大値として、例えばガウ
ス分布の様なエネルギー分布を呈するのが一般的であ
る。しかしながら、この様な照射パターンに基づきエネ
ルギーフラックスを増強して蒸発量をさらに増加させる
場合、照射域9近傍が局部的に極度の高温状態となり易
く、照射域9にのみ大きな蒸気圧力が作用することにな
る。この様に局部的に作用する蒸気圧力は、溶融液面8
の変形を誘発して突沸やスプラッシュなどの界面不安定
性を招くおそれが生じる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】以上の通り、従来から
この様な構成の蒸気の発生装置においては、エネルギー
ドライバーとしてスポット型電子ビームを掃引して使用
することに起因して、次の様な問題点が指摘されてき
た。
この様な構成の蒸気の発生装置においては、エネルギー
ドライバーとしてスポット型電子ビームを掃引して使用
することに起因して、次の様な問題点が指摘されてき
た。
【0009】(1)蒸発処理量の増加を目的として、狭
小なビーム照射域に集中的にエネルギーフラックスを増
加させた場合、該部のみが極端な高温領域となり、それ
に伴ういくつかの不安定現象が蒸発処理量の増加を制限
してきた。
小なビーム照射域に集中的にエネルギーフラックスを増
加させた場合、該部のみが極端な高温領域となり、それ
に伴ういくつかの不安定現象が蒸発処理量の増加を制限
してきた。
【0010】(2)蒸発に伴い大きな蒸気圧力がビーム
照射域に局部的に作用するため、溶融液面上に発生する
スプラッシュなどの液面揺動が、安定に蒸気を供給する
ことを阻害している。
照射域に局部的に作用するため、溶融液面上に発生する
スプラッシュなどの液面揺動が、安定に蒸気を供給する
ことを阻害している。
【0011】(目的)本発明は、上記の問題点を解決す
るためになされたものであり、上述した従来技術の欠点
を除去し、広範囲の領域に安定に蒸気を供給することを
可能とした物質の蒸発方法及びその装置を提供すること
を目的とする。
るためになされたものであり、上述した従来技術の欠点
を除去し、広範囲の領域に安定に蒸気を供給することを
可能とした物質の蒸発方法及びその装置を提供すること
を目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本件第1の発明に係わる
高エネルギービームによる物質の蒸発方法は、高エネル
ギービーム照射による物質の蒸発方法において、蒸発物
質の溶融液面上における所定の線分上を、スポット型ビ
ームを所定周波数で交番させながら掃引照射することに
より、前記の線分を含む液面近傍を蒸発物質の蒸発源と
して表面加熱し、前記のスポット型ビームの照射域内の
ビームエネルギーをその照射域内側では規定値に有しな
がら、照射域外側においてもそのビームエネルギーを前
記の規定値以下の所定値に維持する様なビームエネルギ
ー分布を実現することにより、照射域近傍の液面上に発
生する液面揺動などの不安定性を抑止して、溶融液面上
の広い範囲で安定に蒸発物質の蒸気を発生させることを
特徴とする。
高エネルギービームによる物質の蒸発方法は、高エネル
ギービーム照射による物質の蒸発方法において、蒸発物
質の溶融液面上における所定の線分上を、スポット型ビ
ームを所定周波数で交番させながら掃引照射することに
より、前記の線分を含む液面近傍を蒸発物質の蒸発源と
して表面加熱し、前記のスポット型ビームの照射域内の
ビームエネルギーをその照射域内側では規定値に有しな
がら、照射域外側においてもそのビームエネルギーを前
記の規定値以下の所定値に維持する様なビームエネルギ
ー分布を実現することにより、照射域近傍の液面上に発
生する液面揺動などの不安定性を抑止して、溶融液面上
の広い範囲で安定に蒸発物質の蒸気を発生させることを
特徴とする。
【0013】本件第2の発明に係わる高エネルギービー
ムによる物質の蒸発装置は、液化物質を蒸発させるスポ
ット型高エネルギービームを発生させるビーム発生装置
と、このスポット型ビームにより加熱蒸発される液化物
質を収納する熱化学的耐久性を有する容器と、液化物質
の溶融液面上のスポット型ビームの照射域を前記の容器
の特定方向に掃引するための手段と、前記のビームエネ
ルギー分布がその照射域外においても所定値を有する様
な分布に調整するビーム形成装置とをそれぞれ独立に備
えたことを特徴とする。
ムによる物質の蒸発装置は、液化物質を蒸発させるスポ
ット型高エネルギービームを発生させるビーム発生装置
と、このスポット型ビームにより加熱蒸発される液化物
質を収納する熱化学的耐久性を有する容器と、液化物質
の溶融液面上のスポット型ビームの照射域を前記の容器
の特定方向に掃引するための手段と、前記のビームエネ
ルギー分布がその照射域外においても所定値を有する様
な分布に調整するビーム形成装置とをそれぞれ独立に備
えたことを特徴とする。
【0014】本件第3の発明に係わる高エネルギービー
ムによる物質の蒸発方法は、本件第1の発明において、
ビームエネルギーが照射域内に限定して高レベルを有す
る様な狭小なビームエネルギー分布と、ビームエネルギ
ーが照射域内外にわたり低レベルを有する様な広大なビ
ームエネルギー分布と有するスポット型高エネルギービ
ームを、それぞれ別途に蒸発物質の同一の溶融液面上に
照射したことを特徴とする。
ムによる物質の蒸発方法は、本件第1の発明において、
ビームエネルギーが照射域内に限定して高レベルを有す
る様な狭小なビームエネルギー分布と、ビームエネルギ
ーが照射域内外にわたり低レベルを有する様な広大なビ
ームエネルギー分布と有するスポット型高エネルギービ
ームを、それぞれ別途に蒸発物質の同一の溶融液面上に
照射したことを特徴とする。
【0015】本件第4の発明に係わる高エネルギービー
ムによる物質の蒸発装置は、本件第2の発明において、
液化物質を蒸発させるスポット型ビームをそれぞれ発生
させる、エネルギー分布の異なる複数台のビーム発生装
置と、これらのスポット型ビームにより加熱蒸発される
液化物質を収納する熱化学的耐久性を有する容器と、そ
れぞれのスポット型ビームが液化物質の溶融液面上に着
弾する点を前記の容器の特定手方向に掃引するための手
段とを備えたことを特徴とする。
ムによる物質の蒸発装置は、本件第2の発明において、
液化物質を蒸発させるスポット型ビームをそれぞれ発生
させる、エネルギー分布の異なる複数台のビーム発生装
置と、これらのスポット型ビームにより加熱蒸発される
液化物質を収納する熱化学的耐久性を有する容器と、そ
れぞれのスポット型ビームが液化物質の溶融液面上に着
弾する点を前記の容器の特定手方向に掃引するための手
段とを備えたことを特徴とする。
【0016】
【作用】本発明に係わる高エネルギービームによる物質
の蒸発方法及びその装置によれば、従来のスポット型ビ
ームの発生装置を使用して装置開発の必要性がない。こ
れにより装置構成が非常に単純となり、故障等の心配が
なく、信頼性の高い装置を成し得る。また、従来のスポ
ット型ビームやリニア型ビームを用いた蒸発装置におい
ては、蒸発プロセスのエネルギー効率を阻害していた液
面揺動などの界面不安定性を抑制する有効な手段がなか
ったが、本発明によりスポット型ビームの照射エネルギ
ー分布を調整することにより、この様な液面揺動を未然
に抑制することができる。これにより、照射面を高温状
態に維持し、蒸発量や蒸発のエネルギー効率を向上させ
ることが可能となる。
の蒸発方法及びその装置によれば、従来のスポット型ビ
ームの発生装置を使用して装置開発の必要性がない。こ
れにより装置構成が非常に単純となり、故障等の心配が
なく、信頼性の高い装置を成し得る。また、従来のスポ
ット型ビームやリニア型ビームを用いた蒸発装置におい
ては、蒸発プロセスのエネルギー効率を阻害していた液
面揺動などの界面不安定性を抑制する有効な手段がなか
ったが、本発明によりスポット型ビームの照射エネルギ
ー分布を調整することにより、この様な液面揺動を未然
に抑制することができる。これにより、照射面を高温状
態に維持し、蒸発量や蒸発のエネルギー効率を向上させ
ることが可能となる。
【0017】
【実施例】以下、本発明の一実施例について、電子ビー
ムを具体例として図面に従って説明する。図1は本発明
に係わる一実施例の蒸発装置の構成を模式的に示すシス
テム図であり、図2は電子ビーム照射部の状況、及びビ
ームエネルギー分布を図示する模式図である。図3は、
それによる電子ビーム照射部の表面温度分布を示すもの
である。尚、従来の物質の蒸発方法及びその装置構成を
示す図5及び図6において、既に示した部品と同じ部品
については、以下の図においても同じ番号を付してい
る。
ムを具体例として図面に従って説明する。図1は本発明
に係わる一実施例の蒸発装置の構成を模式的に示すシス
テム図であり、図2は電子ビーム照射部の状況、及びビ
ームエネルギー分布を図示する模式図である。図3は、
それによる電子ビーム照射部の表面温度分布を示すもの
である。尚、従来の物質の蒸発方法及びその装置構成を
示す図5及び図6において、既に示した部品と同じ部品
については、以下の図においても同じ番号を付してい
る。
【0018】(実施例の構成)図1及び図2において、
従来技術においては照射域9へのスポット型電子ビーム
6のエネルギー照射パターンは、照射域9の中心点18に
おけるエネルギーを最大値として、例えばガウス分布の
様なエネルギー分布19を呈するのが一般的である。これ
により照射域9の表面温度Tを上昇させ、該部から蒸気
を生成させることができる。しかしながら、照射ビーム
エネルギーを増強して蒸発量をさらに増加させる場合、
照射域9を局部的に高温状態とするため、照射域9にの
み大きな蒸気圧力PM が作用することになる。
従来技術においては照射域9へのスポット型電子ビーム
6のエネルギー照射パターンは、照射域9の中心点18に
おけるエネルギーを最大値として、例えばガウス分布の
様なエネルギー分布19を呈するのが一般的である。これ
により照射域9の表面温度Tを上昇させ、該部から蒸気
を生成させることができる。しかしながら、照射ビーム
エネルギーを増強して蒸発量をさらに増加させる場合、
照射域9を局部的に高温状態とするため、照射域9にの
み大きな蒸気圧力PM が作用することになる。
【0019】一方で本実施例においては、スポット型電
子ビーム6を発射する電子銃3に加えて、新たにスポッ
ト型電子ビーム6aを発射する電子銃3aを設置する。
スポット型電子ビーム6はエネルギー分布19を有する
が、新たに設置されたスポット型電子ビーム6aは、エ
ネルギー分布19に比べて緩和されたエネルギー分布20を
有する。スポット型電子ビーム6,6aを両者重畳させ
て照射域9に照射することにより、重量エネルギー分布
21に示す様に照射域9上にはローレンツ分布のビームエ
ネルギーが照射される。
子ビーム6を発射する電子銃3に加えて、新たにスポッ
ト型電子ビーム6aを発射する電子銃3aを設置する。
スポット型電子ビーム6はエネルギー分布19を有する
が、新たに設置されたスポット型電子ビーム6aは、エ
ネルギー分布19に比べて緩和されたエネルギー分布20を
有する。スポット型電子ビーム6,6aを両者重畳させ
て照射域9に照射することにより、重量エネルギー分布
21に示す様に照射域9上にはローレンツ分布のビームエ
ネルギーが照射される。
【0020】(実施例の作用)これにより照射域9上に
発生する表面温度分布は、図3に示す様に従来技術にお
けるガウス分布のビーム照射時は表面温度分布23を呈す
るが、本実施例においては照射域9の周辺部22もビーム
加熱され、表面温度分布23aの様な緩和された分布を呈
する。表面温度分布23aの場合、照射域9の中心点18に
作用する蒸気圧力PM は表面温度分布23の場合とさほど
変わらないが、周辺部22においても蒸気圧力PM の数分
の1程度の蒸気圧力が作用している。
発生する表面温度分布は、図3に示す様に従来技術にお
けるガウス分布のビーム照射時は表面温度分布23を呈す
るが、本実施例においては照射域9の周辺部22もビーム
加熱され、表面温度分布23aの様な緩和された分布を呈
する。表面温度分布23aの場合、照射域9の中心点18に
作用する蒸気圧力PM は表面温度分布23の場合とさほど
変わらないが、周辺部22においても蒸気圧力PM の数分
の1程度の蒸気圧力が作用している。
【0021】(実施例の効果)これにより周辺部22を含
めた照射域9に作用する蒸気圧力分布においては、本実
施例は従来技術に比較して、緩和された圧力分布を有す
る様になる。これに伴い、局部的な蒸気圧の印加により
溶融液面8の変形、それにより誘起されるスプラッシュ
などの界面不安定性が抑制されることが期待される。
めた照射域9に作用する蒸気圧力分布においては、本実
施例は従来技術に比較して、緩和された圧力分布を有す
る様になる。これに伴い、局部的な蒸気圧の印加により
溶融液面8の変形、それにより誘起されるスプラッシュ
などの界面不安定性が抑制されることが期待される。
【0022】(他の実施例)本発明の他の実施例につ
き、図4に従って説明する。図4は図2に準じて示す電
子ビーム照射部の状況、及びビームエネルギー分布を図
示する模式図である。
き、図4に従って説明する。図4は図2に準じて示す電
子ビーム照射部の状況、及びビームエネルギー分布を図
示する模式図である。
【0023】ここで、図2に示す様なローレンツ分布の
ビームエネルギーを照射する代わりに、図2に示したガ
ウス分布のエネルギー分布19を中心点18のまわりに旋
回する様に掃引する。これにより、中心点18を頂点とす
る急峻なエネルギー分布に代わって、平坦な頂部25を有
するエネルギー分布24が形成される。この様なビーム照
射パターンは、前記のローレンツ分布の重畳エネルギー
分布21を照射する場合と同等の効果が期待できる。
ビームエネルギーを照射する代わりに、図2に示したガ
ウス分布のエネルギー分布19を中心点18のまわりに旋
回する様に掃引する。これにより、中心点18を頂点とす
る急峻なエネルギー分布に代わって、平坦な頂部25を有
するエネルギー分布24が形成される。この様なビーム照
射パターンは、前記のローレンツ分布の重畳エネルギー
分布21を照射する場合と同等の効果が期待できる。
【0024】
【発明の効果】以上述べたように、本発明に係わる物質
の蒸発方法及びその装置によれば、従来のスポット型電
子ビームの発生装置である電子銃をそのまま使用するこ
とを前提として、さらに別置きの電子銃を設置するなど
により、蒸発プロセスの蒸発界面上に作用する局部的な
蒸気圧力分布を緩和することが可能となる。これに伴
い、蒸気生成量を維持または増加させながら、蒸発プロ
セスのエネルギー効率向上を企図する。すなわち、スポ
ット型電子ビームによる蒸発プロセスにおいては、特に
大出力化を目指す場合は、蒸発界面のスプラッシュなど
の界面不安定性が抑制が重大な技術課題であるが、本発
明においてはこの様な問題は殆ど回避されるため、装置
及び方法の高信頼性が保証される。
の蒸発方法及びその装置によれば、従来のスポット型電
子ビームの発生装置である電子銃をそのまま使用するこ
とを前提として、さらに別置きの電子銃を設置するなど
により、蒸発プロセスの蒸発界面上に作用する局部的な
蒸気圧力分布を緩和することが可能となる。これに伴
い、蒸気生成量を維持または増加させながら、蒸発プロ
セスのエネルギー効率向上を企図する。すなわち、スポ
ット型電子ビームによる蒸発プロセスにおいては、特に
大出力化を目指す場合は、蒸発界面のスプラッシュなど
の界面不安定性が抑制が重大な技術課題であるが、本発
明においてはこの様な問題は殆ど回避されるため、装置
及び方法の高信頼性が保証される。
【図1】本発明に係わる蒸発装置の構成を示す要部シス
テム図。
テム図。
【図2】図1に示す電子ビーム照射部の状況、及びエネ
ルギー分布を図示する模式図。
ルギー分布を図示する模式図。
【図3】図2に示す電子ビーム照射部の表面温度分布を
示す模式図。
示す模式図。
【図4】他の実施例に係わる電子ビーム照射部の状況、
及びエネルギー分布を図示する模式図。
及びエネルギー分布を図示する模式図。
【図5】従来のスポット型電子ビーム照射による物質の
蒸発装置の構成を模式的に示すシステム図。
蒸発装置の構成を模式的に示すシステム図。
【図6】図5に示す物質の蒸気の発生装置の構成を示す
縦断面図。
縦断面図。
1…物質 2…容器 3,3a…電子銃 4…アノード 5…フィラメント 6,6a…スポット型電子ビー
ム 7…直流磁場 8…溶融液面 9…照射域 10…蒸気 11…処理領域 12…回収板 13…着弾点 14…線分 15…高温領域 16…低温領域 17…熱流動 18…中心点 19,20…エネルギー分布 21…重畳エネルギー分布 22…周辺部 23,23a…表面温度分布 24…エネルギー分布 25…頂部 PM …蒸気圧力 T…表面温度
ム 7…直流磁場 8…溶融液面 9…照射域 10…蒸気 11…処理領域 12…回収板 13…着弾点 14…線分 15…高温領域 16…低温領域 17…熱流動 18…中心点 19,20…エネルギー分布 21…重畳エネルギー分布 22…周辺部 23,23a…表面温度分布 24…エネルギー分布 25…頂部 PM …蒸気圧力 T…表面温度
Claims (4)
- 【請求項1】 高エネルギービーム照射による物質の蒸
発方法において、蒸発物質の溶融液面上における所定の
線分上を、スポット型ビームを所定周波数で交番させな
がら掃引照射することにより、前記の線分を含む液面近
傍を蒸発物質の蒸発源として表面加熱し、前記のスポッ
ト型ビームの照射域内のビームエネルギーをその照射域
内側では規定値に有しながら、照射域外側においてもそ
のビームエネルギーを前記の規定値以下の所定値に維持
する様なビームエネルギー分布を実現することにより、
照射域近傍の液面上に発生する液面揺動などの不安定性
を抑止して、溶融液面上の広い範囲で安定に蒸発物質の
蒸気を発生させることを特徴とする高エネルギービーム
による物質の蒸発方法。 - 【請求項2】 液化物質を蒸発させるスポット型高エネ
ルギービームを発生させるビーム発生装置と、このスポ
ット型ビームにより加熱蒸発される液化物質を収納する
熱化学的耐久性を有する容器と、液化物質の溶融液面上
のスポット型ビームの照射域を前記の容器の特定方向に
掃引するための手段と、前記のビームエネルギー分布が
その照射域外においても所定値を在する様な分布に調整
するビーム形成装置とをそれぞれ独立に備えたことを特
徴とする高エネルギービームによる物質の蒸発装置。 - 【請求項3】 ビームエネルギーが照射域内に限定して
高レベルを有する様な狭小なビームエネルギー分布と、
ビームエネルギーが照射域内外にわたり低レベルを有す
る様な広大なビームエネルギー分布を有するスポット型
高エネルギービームを、それぞれ別途に蒸発物質の同一
の溶融液面上に照射したことを特徴とする請求項1記載
の高エネルギービームによる物質の蒸発方法。 - 【請求項4】 液化物質を蒸発させるスポット型ビーム
をそれぞれ発生させる、エネルギー分布の異なる複数台
のビーム発生装置と、これらのスポット型ビームにより
加熱蒸発される液化物質を収納する熱化学的耐久性を有
する容器と、それぞれのスポット型ビームが液化物質の
溶融液面上に着弾する点を前記の容器の特定手方向に掃
引するための手段とを備えたことを特徴とする請求項2
記載の高エネルギービームによる物質の蒸発装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP20474294A JPH0867969A (ja) | 1994-08-30 | 1994-08-30 | 高エネルギービームによる物質の蒸発方法及びその装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP20474294A JPH0867969A (ja) | 1994-08-30 | 1994-08-30 | 高エネルギービームによる物質の蒸発方法及びその装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0867969A true JPH0867969A (ja) | 1996-03-12 |
Family
ID=16495578
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP20474294A Pending JPH0867969A (ja) | 1994-08-30 | 1994-08-30 | 高エネルギービームによる物質の蒸発方法及びその装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0867969A (ja) |
-
1994
- 1994-08-30 JP JP20474294A patent/JPH0867969A/ja active Pending
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