JPH0711429A - 金属蒸気発生方法および装置 - Google Patents

金属蒸気発生方法および装置

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JPH0711429A
JPH0711429A JP15221593A JP15221593A JPH0711429A JP H0711429 A JPH0711429 A JP H0711429A JP 15221593 A JP15221593 A JP 15221593A JP 15221593 A JP15221593 A JP 15221593A JP H0711429 A JPH0711429 A JP H0711429A
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JP
Japan
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electron beam
substance
metal vapor
deflection current
crucible
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Application number
JP15221593A
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English (en)
Inventor
Yoshio Araki
義雄 荒木
Kazunori Shioda
和則 塩田
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】真空雰囲気中でるつぼ内の被蒸発物質の表面に
スポット的な電子ビームを2次元方向に移動させつつ照
射して、被蒸発物質の表面全体から金属蒸気を発生させ
る際、るつぼ内の蒸発面での温度分布の均一化ひいては
上方空間での蒸気密度の均一化を図るとともに、局所的
温度上昇に伴なう突沸現象を防止できる金属蒸気発生方
法とその装置を提供する。 【構成】各偏向コイルエレメント15a,15bに供給
する偏向電流をそれぞれ発生させる1対の偏向電流発生
器17,18の一方17で発生させる偏向電流を方形波
またはこれに類似する波形に設定するとともに、他方の
偏向電流発生器18で発生させる偏向電流を三角波、正
弦波又は台形波に設定し、かつこれら両偏向電流周波数
を同一として互いに同期する波形に設定することによ
り、電子銃12よりの電子ビームEの照射軌跡を、被蒸
発物質19の表面形状の輪殻に沿う閉ループ状に設定す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電子ビームを被蒸発物質
に照射して加熱することにより金属蒸気を発生させる金
属蒸気発生方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の金属蒸気発生方法および装置に
ついての従来技術を図9〜図16によって説明する。
【0003】図9は金属蒸気発生装置の基本構成を示し
ている。真空容器中に、被蒸発物質を収容したるつぼ1
と、このるつぼ1内の被蒸発物質の表面に電子ビームE
を照射する電子銃2とが設置される。
【0004】電子銃2は電子を放出するカソード3、電
子加速用のアノード4、電子ビームの偏向コイル5等を
備えて構成される。即ち、カソード3およびアノード4
には高圧電源6から高電圧が印加されるようになってお
り、カソード3は負に、アノード4は正にそれぞれ荷電
される。そして、カソード3から放出された電子がアノ
ード4で加速され、アノード4にあけた開口部から電子
ビームEとして放射される。
【0005】この電子ビームEは一点に向ってスポット
的に放射されるが、その進行経路途中に配置した偏向コ
イル5によって2次元的に偏向される。偏向コイル5は
1対のコイルエレメント5a,5bを備えており、この
各コイルエレメント5a,5bはそれぞれ電子ビーム偏
向用の偏向電流発生器7,8に接続されている。そし
て、各コイルエレメント5a,5bに流れる電流を偏向
電流発生器7,8でそれぞれ設定することにより、電子
ビームEの照射方向を2次元的に変化させ、るつぼ1内
の被蒸発物質9表面で電子ビームEを移動させながら、
その被蒸発物質9の表面全体を均等に加熱して金属蒸気
を発生させるようになっている。
【0006】ところで、るつぼ1内の被蒸発物質9の表
面上に均等に電子ビームEを照射する方法として、従来
では例えば図10に示すように、るつぼ1が平面長方形
状である場合において電子ビームEをジグザグ状に蛇行
する軌跡Gを描くように長手方向に往復させるようにし
ている。
【0007】電子ビームEをこのような軌跡で移動させ
る手段としては、偏向コイル5に供給する電流波形を例
えば図11および図12に示す如く設定することが行な
われている。
【0008】図11は一方のコイルエレメント5aの偏
向電流発生器7に設定される電流波形を示し、長方形状
の被蒸発物質9の表面短手方向(図10の上下方向)に
沿って電子ビームEを偏向させるために三角波状の偏向
電流が設定される。また、図12は他方のコイルエレメ
ント5bの偏向電流発生器8に設定される電流波形を示
し、被蒸発物質9の表面長手方向(図10の左右方向)
に沿って電子ビームEを偏向せさるために長周期の三角
波状の偏向電流が設定される。
【0009】このように電子ビームEによりるつぼ1内
の被蒸発物質9の表面に照射されるエネルギの密度は、
当該表面での電子ビームEの軌跡の本数の密度と軌跡の
単位長さを電子ビームEが通過するのに要する時間とに
比例するので、偏向コイル5の各コイルエレメント5
a,5bに流す電流の周波数を高めて、被蒸発物質9の
表面での電子ビームEの蛇行ピッチを小さくすること
で、より均一にすることができる。
【0010】図13は、図10における電子ビーム照射
範囲の被蒸発物質9の表面温度分布を示すグラフで、図
10の長手方向両端部のA,B点間の状態を示す典型例
である。このデータは、るつぼ1の底部および周側部を
冷却している一般的な金属蒸気発生装置についてのもの
であり、この場合、るつぼ1の底部および周側部からの
熱伝導によって、加熱領域の中央部付近の表面温度が最
も高く(T3 )、周辺側の温度は次第に低下する
(T2 ,T1 )ことが認められる。
【0011】図14は、図13に対応して被蒸発物質9
の表面温度と蒸発速度との関係を例示したものである。
この図に示されるように、僅かな表面温度の差(T1
2,T3 )に対しても、蒸発速度は大きく異ることが
わかる。
【0012】図15は、このような蒸発速度の差に関連
して発生する、るつぼ上での各位置における、るつぼ上
方での蒸気密度の分布を示している。同図に示されるよ
うに、蒸気密度は、るつぼの中心部上方で最も高く、そ
こから離間するに従って急激に低下することがわかる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】このような従来の金属
蒸気発生装置においては、比較的小型のるつぼを用いた
場合や、薄膜蒸着装置のように、るつぼ表面から被蒸着
物までの距離に比してるつぼ表面の加熱領域が十分小さ
い場合には、極端に高いエネルギ密度で電子ビームを照
射しない限りるつぼ表面での加熱集中がなく、安定な金
属蒸気発生が行えることが認められている。
【0014】しかし、るつぼ表面から発生蒸気を利用す
る位置までの距離に対して、るつぼ表面の加熱領域の幅
や長さが十分小さくない場合、例えば大面積の対象に同
時に金属蒸着を行う場合等においては、前述した蒸気密
度の分布の不均一性が問題となることがある。
【0015】一例として、図16に示す金属薄膜蒸着装
置について説明する。同図の装置では、るつぼ1の上方
に被蒸着物10が配置されており、るつぼ1内の被蒸発
物質9の斜め上方に電子銃2を構成するカソード3、ア
ノード4、電子ビーム偏向用の偏向コイル5等が配置さ
れている。この装置では、るつぼ1に対して斜め上方か
ら照射される電子ビームEによって被蒸発物質9が加熱
され、発生する金属蒸気Vは上方の被蒸着物10に向っ
て上昇し蒸着するが、この場合において被蒸着物10の
蒸着面積が大きいと、その被蒸着物10の蒸着面の中央
部分では蒸着膜厚が大きく、周辺部では蒸着膜厚が小さ
いなど、膜厚分布が不均一となる。この場合、るつぼ内
の蒸発面で表面温度の不均一が嵩じると、局所的温度上
昇等に伴う突沸現象、即ち原子状態での蒸発ではなく、
金属液滴や金属粒子あるいはクラスタ等の状態での飛
散、蒸発等が発生することもある。
【0016】なお、電子ビームにより金属蒸気発生を行
う場合、照射された電子ビームが発生した金属蒸気中を
通過することになるので、電子ビームの加速電圧、電流
密度等の条件によっては電子と原子の相互作用により金
属蒸気がエネルギー励起され、蒸気中のかなりの原子が
電離する等不都合が発生することがある。
【0017】その場合、高圧電源をパルス電源とし、電
子ビームが蒸気中を通過する時間を短縮させることによ
り電子と原子の相互作用の影響を低減させることができ
る。
【0018】この方法によれば例えば電子ビームが出て
いる時間と割合を1%にすれば、金属蒸気のエネルギー
励起の影響を1%以下にすることができることになる。
【0019】このように電子ビームが発射されている時
間が低い場合、パルスの繰り返し周波数を十分高くしな
いと、電子ビームを偏向させる場合に電子ビームの軌跡
が点の列となり、加熱の不均一が発生する等不都合があ
る。
【0020】しかし、高圧電源の繰り返し周波数には技
術的な制約等による上限があるので、加熱均一化に必要
な繰り返し周波数を実現できないことがある。
【0021】本発明はこのような事情に鑑みてなされた
もので、るつぼ内の蒸発面での温度分布の均一化ひいて
はるつぼ上方空間での蒸気密度の均一化が図れるととも
に、局所的温度上昇に伴なう突沸現象が防止でき、しか
もパルス高圧電源を使用してパルス電子ビームを照射す
る場合において、パルスの繰返し周波数を高くした場合
の加熱の均一化が図れる金属蒸気発生方法および装置を
提供することを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
めに、本発明に係る金属蒸気発生方法は、真空雰囲気中
でるつぼ内の被蒸発物質の表面にスポット的な電子ビー
ムを2次元方向に移動させつつ照射して、前記被蒸発物
質の表面全体から金属蒸気を発生させる金属蒸気発生方
法において、前記電子ビームの照射軌跡を、前記被蒸発
物質の表面形状の輪殻に沿う閉ループ状に設定すること
を特徴とする。
【0023】本発明では、被蒸発物質のビーム照射面の
形状が略四角形状である場合において、電子ビームの照
射軌跡を略四角形状、楕円形状またはこれらに類似する
閉ループ状に設定することが望ましい。
【0024】また、本発明に係る金属蒸気発生装置は、
真空容器中に、被蒸発物質を収容したるつぼと、前記被
蒸発物質の表面に電子ビームを照射して加熱し金属蒸気
を発生させる電子銃とを設置した金属蒸気発生装置であ
って、前記電子銃はスポット的に電子を放出するカソー
ドと、このカソードから放出される電子を加速して電子
ビームとするアノードと、このアノードから出た電子ビ
ームを前記被蒸発物質の表面上に沿って2次元的に偏向
させる1対のコイルエレメントからなる偏向コイルと、
前記カソードおよびアノードを励起させる高圧電源と、
前記偏向コイルの各コイルエレメントに供給する偏向電
流をそれぞれ発生させる1対の偏向電流発生器とを備え
たものにおいて、前記偏向電流発生器の一方で発生させ
る偏向電流を方形波またはこれに類似する波形に設定す
るとともに、前記偏向電流発生器の他方で発生させる偏
向電流を三角波、正弦波または台形波に設定し、かつこ
れら両偏向電流周波数を同一として互いに同期する波形
に設定してなることを特徴とする。
【0025】本発明の望ましい実施の態様として、電子
ビーム加速用の高圧電源がパルス高圧電源であることが
挙げられる。
【0026】また、他の望ましい実施の態様として、高
圧電源の電圧および偏向電流発生器の電流波形は可変と
されており、これら高圧電源および偏向電流発生器を運
転条件に応じて制御する制御装置を備えたことが挙げら
れる。
【0027】
【作用】本発明に係る金属蒸気発生方法によれば、電子
ビームの照射軌跡を被蒸発物質の表面形状の輪殻に沿う
閉ループ状に設定することで、同軌跡である閉ループの
外側と内側とに熱エネルギの伝導量を区分して、被蒸発
物質の表面温度を管理することが可能となる。したがっ
て、例えばるつぼの底部および側部が冷却される場合、
低温化し易い被蒸発物質の外周側と、熱エネルギの集中
によって高温化し易い同物質の中心側との加熱範囲を考
慮して照射軌跡の位置および形状を設定すれば、被蒸発
物質の表面全体の温度分布が均一化できるとともに、発
生する蒸気密度をるつぼの上方空間で均一化できるよう
になる。また、るつぼの表面温度の均一化により、局所
的温度上昇等に伴う突沸現象の発生も防止して、金属粒
子、クラスタ状態での飛散等が防止できるようになり、
これにより原子状態の蒸気発生の効率向上が図れるもの
となる。
【0028】特に被蒸発物質のビーム照射面の形状が略
四角形状で、電子ビームの照射軌跡を略四角形状、楕円
形状またはこれらに類似する閉ループ状に設定する場合
には、既存の汎用タイプへの適用によって、実用的に大
きい効果が得られる。
【0029】また、本発明に係る金属蒸気発生装置によ
れば、電子ビームを2次元的に偏向させる偏向コイルと
しての1対のコイルエレメントに偏向電流を供給するた
めの各偏向電流発生器のうち、一方では方形波またはこ
れに類似する波形の電流を発生させ、他方では三角波、
正弦波または台形波を発生させることにより、被蒸発物
質表面に照射する電子ビームの軌跡を略四角形状、楕円
形状等の閉ループ状に設定することができ、前記の方法
を有効的に実施することができる。
【0030】この場合、電子ビーム加速用の高圧電源を
パルス電源とし、パルス電子ビーム照射によりビーム軌
跡を閉ループ状とすれば、被蒸発物質表面での電子ビー
ムの軌跡の長さが従来に比して短くなることから、電子
ビームの軌跡が点状になることによる表面温度不均一の
防止に必要なパルスの繰返し周波数は従来より低くても
良くなり、したがって最適条件実現への技術的制約を小
さくすることが可能となる。
【0031】さらに、電子ビーム加速用高圧電源の電圧
および偏向コイル用偏向電流発生器の電流波形を可変と
し、これら高圧電源および偏向電流発生器を運転条件に
応じて制御する制御装置を備えた構成の場合には、るつ
ぼ内の被蒸発物質の液面変動や、必要とする蒸気密度と
その分布の変化等、運転条件の変化に応じた最適な状態
で金属蒸気発生用運転が行えるようになる。
【0032】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明
する。
【0033】図1〜図6は第1実施例を示している。
【0034】まず、図1によって装置構成を説明する。
真空容器中に、被蒸発物質を収容したるつぼ11と、こ
のるつぼ11内の被蒸発物質の表面に電子ビームEを照
射する電子銃12とが設置される。
【0035】電子銃12は電子を放出するカソード1
3、電子加速用のアノード14、電子ビームの偏向コイ
ル15等を備えて構成される。即ち、カソード13およ
びアノード14には高圧電源16から高電圧が印加され
るようになっており、カソード13は負に、アノード1
4は正にそれぞれ荷電される。そして、カソード13か
ら放出された電子がアノード14で加速され、アノード
14にあけた開口部から電子ビームEとして放射され
る。
【0036】この電子ビームEは一点に向ってスポット
的に放射されるが、その進行経路途中に配置した偏向コ
イル15によって2次元的に偏向される。偏向コイル1
5は1対のコイルエレメント15a,15bを備えてお
り、この各コイルエレメント15a,15bはそれぞれ
電子ビーム偏向用の偏向電流発生器17,18に接続さ
れている。そして、各コイルエレメント15a,15b
に流れる電流を偏向電流発生器17,18でそれぞれ設
定することにより、電子ビームEの照射方向を2次元的
に変化させ、るつぼ11内の被蒸発物質19表面で電子
ビームEを移動させながら、その被蒸発物質19の表面
全体を均等に加熱して金属蒸気を発生させるようになっ
ている。
【0037】そして、るつぼ11内の被蒸発物質19の
表面上に均等に電子ビームEを照射する方法として、本
実施例では例えば図2に示すように、るつぼ11が平面
長方形状である場合において、電子ビームEの照射軌跡
Gが被蒸発物質19の表面形状の輪殻に沿う閉ループ
状、即ち角が丸くなった四角形状に設定されている。
【0038】このような電子ビームEの照射軌跡Gを設
定するために、本実施例では偏向コイル15の一方のコ
イルエレメント15aに偏向電流を供給する一方の偏向
電流発生器17において、例えば図3に示すように、方
形波またはこれに類似する波形の偏向電流を発生させる
ようになっている。
【0039】また、他方のコイルエレメント15bに偏
向電流を供給するための他方の偏向電流発生器18にお
いては、例えば図4に示すように、台形波すなわち頂部
が平らな三角波形の偏向電流を発生させるようになって
いる。
【0040】さらに、両偏向電流発生器17,18に同
期信号発生器20が接続され、この同期信号発生器20
により、両偏向電流発生器17,18の偏向電流周波数
を同一にするとともに、互いに同期する波形に設定する
ようになっている。
【0041】このように、偏向電流の波形設定によって
電子ビームの照射軌跡Gを被蒸発物質の表面輪殻に沿う
略四角形状とした場合には、同軌跡である閉ループの外
側と内側とに熱エネルギの伝導量を区分して、被蒸発物
質19の表面温度を管理することが可能となる。したが
って、例えばるつぼ11の底部および側部が冷却される
場合、低温化し易い被蒸発物質19の外周側と、熱エネ
ルギの集中によって高温化し易い同物質の中心側との加
熱範囲を考慮して照射軌跡の位置および形状を設定すれ
ば、被蒸発物質19の表面全体の温度分布が均一化でき
るとともに、発生する蒸気密度をるつぼ11の上方空間
で均一化できるようになる。
【0042】即ち、図2における軌跡Gの長手方向両端
部G1 ,G2 は、図3および図4に示す電流の通電時刻
1 ,t2 にそれぞれ対応しており、この時刻t1 ,t
2 付近で偏向電流が水平となっているため、るつぼ11
上の電子ビームの軌跡Gの端部G1 ,G2 付近で高く、
中央部で低い分布となっている。したがって、るつぼ1
1上での長手方向の表面温度分布は図5に示すように、
端部で幾らか高く、中央部がほぼ水平な分布となる。
【0043】そして、このような表面温度分布が達成さ
れた場合、るつぼ11上方での金属蒸気密度の分布は図
6に示すように、長手方向の蒸気密度の低下が少なくな
り、蒸気密度の均一化が達成される。
【0044】また、るつぼ11の表面温度の均一化によ
り、局所的温度上昇等に伴う突沸現象の発生も防止し
て、金属粒子、クラスタ状態での飛散等が防止できるよ
うになり、これにより原子状態の蒸気発生の効率向上が
図れるものとなる。
【0045】図7は本発明の第2実施例の構成を示して
いる。本実施例では、電子ビーム加速用高圧電源がパル
ス高圧電源30となっており、それに伴い同期信号発生
器31からパルス高圧電源30に供給される構成とした
ものである。但し、各電子ビーム偏向電流発生器17,
18へ供給する同期信号は互いに同一周波数の信号であ
るが、パルス高圧電源30へ供給される同期信号はその
整数倍の周波数である。
【0046】本実施例によれば、パルス高圧電源30の
電圧印加時の時間比率を下げ、同電源30のパルス繰り
返しを十分高くとることにより、るつぼ11内の蒸発物
質19から発生する金属蒸気中を電子ビームEが通過し
て金属蒸気中の原子がエネルギー励起されて電離する不
都合を回避することが出来る。同時に、るつぼ11表面
温度の不均一を低減でき、金属蒸発に伴う総合的な効率
を向上させることが出来る。
【0047】図8は本発明の第3実施例を示している。
本実施例では、制御装置32を設け、同期信号および偏
向電流の振幅を制御する信号を電子ビーム偏向電流発生
器17,18、パルス高圧電源30へ供給するととも
に、カソード加熱電源33の加熱用電流の制御信号も供
給する構成となっている。
【0048】本実施例によれば、るつぼ11内の蒸発物
質19の液面レベルの変動や、必要とする蒸気密度とそ
の分布に応じて、制御装置32により、カソード加熱電
源33を制御し、カソード温度を変えて電子ビームの電
流を変更すること、パルス高圧電源30を制御し、その
電圧やパルスの繰り返し、高電圧が印加されている時間
幅等の条件を変更すること、電子ビーム偏向電流発生器
17,18を制御し、その電流波形や振幅、繰り返し周
波数を変更すること等が可能であり、運転条件の変化に
伴い、最適な状態で金属蒸気発生装置を運転することが
できる。
【0049】例えば、金属蒸気密度低下時にパルス高圧
電源30の加速電圧を上げて加熱電力を上昇させ、蒸気
密度を一定に維持するとともに、加速電圧変更に伴い電
子ビーム軌道が変化するので電子ビーム偏向コイルの電
流波形を変化させ、一定の電子ビームの軌跡を維持する
等の制御が統括的に可能となる。
【0050】なお、以上の各実施例では、アノード14
およびカソード13をるつぼ11の上方に配置したが、
実際の蒸着装置に適用する場合には、図16に示したよ
うに電子ビームを斜め方向から照射する横方向に変位さ
せてもよい。
【0051】また、図示しないが、るつぼから発生した
金属蒸気が電子銃内部に進入しカソードの摩耗、絶縁低
下等の不都合が起こるのを防ぐため、アノードおよびカ
ソードをるつぼから直接見えない位置に設置できるよう
もう1組の電子ビーム偏向用磁場発生装置を備えた構成
としてもよい。
【0052】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば従来の技
術に比較して、るつぼ内の蒸発面での表面温度分布の均
一化またはるつぼ上方の空間での蒸気密度分布の均一化
が図れ、るつぼ上方の広い範囲を有効に利用でき、金属
蒸気発生装置の総合的な効率を向上させることができ
る。また、るつぼ内の蒸発面での表面温度均一化によ
り、局所的温度上昇等に伴う突沸現象の発生を防止する
ことにより、原子状態の蒸気発生の効率を向上でき、さ
らに、パルス高圧電源を使用したパルス電子ビーム照射
による金属蒸気発生において、パルスの繰り返し周波数
を高くした場合の加熱の均一化が図れ、総合的な効率を
向上できる等の優れた効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示す構成図。
【図2】同実施例による電子ビーム軌跡を示す平面図。
【図3】同実施例による一方の偏向電流の波形を示す
図。
【図4】同実施例による他方の偏向電流の波形を示す
図。
【図5】同実施例による被蒸発物質表面の温度分布を示
す図。
【図6】同実施例による被蒸発物質上方の温度分布を示
す図。
【図7】本発明の第2実施例を示す構成図。
【図8】本発明の第3実施例を示す構成図。
【図9】従来例を示す構成図。
【図10】従来例による電子ビーム軌跡を示す平面図。
【図11】従来例による一方の偏向電流の波形を示す
図。
【図12】従来例による他方の偏向電流の波形を示す
図。。
【図13】従来例による被蒸発物質表面の温度分布を示
す図。
【図14】従来例による蒸発速度を示す図。
【図15】従来例による被蒸発物質上方の温度分布を示
す図。
【図16】金属蒸着装置の構成例を示す図。
【符号の説明】
11 るつぼ 12 電子銃 13 カソード 14 電子加速用のアノード 15 偏向コイル 16 高圧電源 17,18 偏向電流発生器 19 被蒸発物質 20 同期信号発生器 30 パルス高圧電源 32 制御装置 33 カソード加熱電源 E 電子ビーム G 電子ビームの照射軌跡

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 真空雰囲気中でるつぼ内の被蒸発物質の
    表面にスポット的な電子ビームを2次元方向に移動させ
    つつ照射して、前記被蒸発物質の表面全体から金属蒸気
    を発生させる金属蒸気発生方法において、前記電子ビー
    ムの照射軌跡を、前記被蒸発物質の表面形状の輪殻に沿
    う閉ループ状に設定することを特徴とする金属蒸気発生
    方法。
  2. 【請求項2】 被蒸発物質のビーム照射面の形状が略四
    角形状である場合において、電子ビームの照射軌跡を略
    四角形状、楕円形状またはこれらに類似する閉ループ状
    に設定することを特徴とする請求項1に記載の金属蒸気
    発生方法。
  3. 【請求項3】 真空容器中に、被蒸発物質を収容したる
    つぼと、前記被蒸発物質の表面に電子ビームを照射して
    加熱し金属蒸気を発生させる電子銃とを設置した金属蒸
    気発生装置であって、前記電子銃はスポット的に電子を
    放出するカソードと、このカソードから放出される電子
    を加速して電子ビームとするアノードと、このアノード
    から出た電子ビームを前記被蒸発物質の表面上に沿って
    2次元的に偏向させる1対のコイルエレメントからなる
    偏向コイルと、前記カソードおよびアノードを励起させ
    る高圧電源と、前記偏向コイルの各コイルエレメントに
    供給する偏向電流をそれぞれ発生させる1対の偏向電流
    発生器とを備えたものにおいて、前記偏向電流発生器の
    一方で発生させる偏向電流を方形波またはこれに類似す
    る波形に設定するとともに、前記偏向電流発生器の他方
    で発生させる偏向電流を三角波、正弦波または台形波に
    設定し、かつこれら両偏向電流周波数を同一として互い
    に同期する波形に設定してなることを特徴とする金属蒸
    気発生装置。
  4. 【請求項4】 電子ビーム加速用の高圧電源がパルス高
    圧電源であることを特徴とする請求項3に記載の金属蒸
    気発生装置。
  5. 【請求項5】 高圧電源の電圧および偏向電流発生器の
    電流波形は可変とされており、これら高圧電源および偏
    向電流発生器を運転条件に応じて制御する制御装置を備
    えたことを特徴とする請求項3または4に記載の金属蒸
    気発生装置。
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