JPH0867683A - ブリオスタチン1の製法 - Google Patents

ブリオスタチン1の製法

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Abstract

(57)【要約】 【発明の名称】ブリオスタチン1の製造法 〔目的〕ブリオスタチン2を変換してブリオスタチン1
を得る。 〔構成〕ブリオスタチン2のC26−水酸基の選択的保
護及び脱保護によってブリオスタチン1を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】アリゾナ州立大学のガン研究所
(Cancer Research Institut
e)においては、さきにブリオスタチン1、2及び3と
命名され、異なる治療活性をもつところの種々の物質が
発見された。これらの物質は海産のBryozoam
Bugula neritinaから抽出されたもので
ある。これらのうち最も活性の高いものゝひとつはブリ
オスタチン1であるが最もひろく用いられているわけで
はなかった。今回の発明は、効力の劣るブリオスタチン
2を、経済的にも有用な合成手法でブリオスタチン1に
変換するという発見に基くものである。
【0002】
【先行技術】海産物のBryozoam Bugula
neritinaは、今日ブリオスタチン類(bry
ostatins)として知られている一連の生物学的
及び化学的に有用な成分を含有している。β−ラクタム
をもつチャーテリン類(chartellines)の
ようなPhylum Bryozoaからの他の興味あ
る生合成による生成物は、最近Chartella p
apyracea から単離された。ブリオスタチン1
は、ピコモル濃度以下で、すぐれた蛋白キナーゼC及び
/又はその異性体の効果があり、強力な免疫協力(im
munopotentiating)活性を有する。ブ
リオスタチン1の細胞毒T−リンパ球発達の開始力、イ
ンターロイキン−2の生産誘導力及び正常骨髄細胞の成
長促進力はその強力な抗腫瘍及び抗新生物作用とあいま
って、合衆国々立がん研究所(National Ca
ncer Institute)での臨床開発において
取りあげられるに到った。ブリオスタチン1の入手可能
性を大いに増大させるためには、Bugula ner
itina からほゞ同量で得られる同じような主成分
で但し効力の低いブリオスタチン2を効果的かつ選択的
にブリオスタチンに変換する方法を見出す必要がある。
本発明にこれを目標として行われたものである。
【0003】本発明は、ブリオスタチン2のC−26水
酸基の選択的保護及び脱保護によって、次の要領でブリ
オスタチン1に変換することができるという発見に基づ
くものである。
【0004】すなわち、ブリオスタチン2を4−(N,
N−ジメチル)アミノピリジンとトリエチルアミンの存
在下に、ジメチルホルムアミド中で第3級ブチルジメチ
ルシリルクロライドと25℃で約22時間混合して、ブ
リオスタチン2の26−第3級ブチルジメチルシリルエ
ーテルとブリオスタチン2の7,26−ジ第3級ブチル
ジメチルシリルエーテルとする。次いでブリオスタチン
2の26−第3級ブチルジメチルシリルエーテルを単離
し、無水酢酸−ピリジンと25℃で18時間混合して7
−アセテートとし、そして48%フッ化水素酸−アセト
ニトリル(1:20)と0〜5℃で1.5時間混合して
ブリオスタチン1とする。
【0005】従って、本発明の主な目的は、海産のBr
yozoam Bugula Neritinaを処理
して得られるよりも多量のブリオスタチン1の、経済的
に有利な別途製法を提供することである。本発明の他の
目的は、有用性の低いブリオスタチン2を、一般に入手
可能な実験室装置と反応剤で容易に、もっと有用なブリ
オスタチン1に変換する合成手段と方法を提供すること
である。
【0006】本発明の好ましい実施態様を、以下に述べ
る。ブリオスタチンのC−3、C−9及びC−19の水
酸基は、たぶんその分子内水素結合のために、(緩和な
条件下では)アセチル化され難いが、C−7及びC−2
6の水酸基は容易にアセチル化される。したがって合成
による変換は、C−26水酸基の選択的保護という方法
が用いられた。C−7及びC−26という2コの水酸基
の立体環境は、嵩高いシリルエーテルが効果的な可能性
を示すことを示唆する。
【0007】第3級ブチルジメチルシリルクロライドを
用いることは、ブリオスタチン2のC−26の水酸基の
選択的保護に極めて効果的であることがわかった。ブリ
オスタチン2を、4−(N,N−ジメチル)アミノピリ
ジン(及びジメチルホルムアミド中のトリエチルアミ
ン)の存在下に、過剰の第3級ブチルジメチルシリル
(TBDMS)クロライドと室温で反応させると、ブリ
オスタチン2の26−第3級ブチルジメチルシリルエー
テルを得る。ジシリルエーテルは48%フッ化水素酸−
アセトニトリル(1:20)によりブリオスタチン2に
再変換される。モノシリルエーテルの収率は、回収され
た総ブリオスタチン2に基いて73.5%である。この
C−26シリルエーテルを、無水酢酸−ピリジン(室
温)で処理してC−7アセテートとする。48%フッ化
水素酸−アセトニトリル(1:20、0〜5℃)を用い
るとC−26水酸基が再生される。このようにして得ら
れる生成物をシリカゲルのカラムクロマト処理すれば、
総収量82%で単離でき、これは天然とブリオスタチン
1と同定された。
【0008】ブリオスタチン1の高分解能SP−SIM
Sスペクトルは、分子式C476817に対応する
m/z 911(M+Li)+及び927(M+Na)
+を示した。また H NMRは2.04にアセテー
トの化学シフトを、5.14(dd、J=12、4.9
)にC−7プロトンを、そしてδ1.23(J=
6.5Hz)にC−27メチルの3つのプロトン・ダブ
レットを示した。δ3.95から5.14のC−7プロ
トンの顕著なダウンフィールドシフトは、C−7水酸基
のアセチル化をさらに裏付けるものである。
【0009】ブリオスタチン2のC−26水酸基の選択
的保護は、C−7の他の基の選択的導入を可能とする。
26−第3級ブチルジメチルシリルエーテル(OTBD
MS)を無水酪酸とピリジンで処理し、次いで脱保護す
るとブリオスチン2の7−ブチレートを得る。ブリオス
タチン2の26−OTBDMSを、メチレンクロライド
中でジシクロヘキシルカルボジイミドと4−(N,N−
ジメチル)アミノピリジンの存在下にイソ吉草酸でエス
テル化するとC−7エステルとなる。ブリオスタチン2
の26−OTBDMSを、メチレンクロライド中で無水
ピバル酸及び4−(N,N−ジメチル)アミノピリジン
(50〜55℃)で処理すると、ブリオスタチン2の2
6−OTBDMS 7−ピバレートを得る。保護基を除
去すると総収量42%で、ブリオスタチン2の7−ピバ
レートから得られる。
【0010】
【実施例】本発明の理解をさらに助けるために、但し本
発明を限定する意味ではなく、次に実施例を示す。 実施例1 (一般的製法)水洗した反応混合物の溶媒溶液を、無水
硫酸ソーダで乾燥する。すべてのクロマト用溶媒に再蒸
溜する。カラムクロマトには市販のシリカゲル(ダルム
スタットのE.メルク社製;70〜230メッシュ)を
用い、薄層クロマト(TLC)には、シリカゲルGHL
Fユニプレート(ニューアークのアナルテック社製)を
用いる。
【0011】TLCプレートは紫外線で観察し、アニス
アルデヒド−硫酸スプレー試薬で展開し、次いで加温す
る。NMRスペクトルは、重水素クロロホルムを溶媒と
するブラッカーAM−400機種を用いて測定する。す
べての高及び低分解能ファブ(FAB)質量分析は、ク
ラトスMS−50質量分析計(リンカーンのネブラスカ
大学の質量分析中西部センター)を用いて記録する。
【0012】実施例2 (ブリオスタチン2の26−第3級ブチルジメチルシリ
ルエーテルへの変換)各々ブリオスタチンの相互転換に
おいては、次のシリル化、アセチル化及びジシリル化方
法を、類似したやり方でくりかえ行なう。ブリオスタチ
ン2(50mg)、4−(N,N−ジメチル)アミノピ
リジン15mg、第3級ブチルジメチルシリルクロライ
ド40mg及びトリメチルアミン20μlのジメチルホ
ルムアミド2ml溶液を室温(アルゴン下)で22時間
かくはんする。反応混合物を氷水でうすめ、10分間か
きまぜ、メチレンクロライドで抽出する。有機層を重曹
の飽和水溶液で洗い、次いで水洗し、乾燥し、減圧で溶
媒を溜去する。
【0013】残渣をシリカゲルのカラムクロマトグラフ
(ヘキサン・醋酸エチル=1:1)で精製しシリルエー
テル21.8mg、ブリオスタチン2の7,26−ジ第
3級ブチルジメチルシリルエーテル21.4mgおよび
ブリオスタチン2の5.5mgを得る。ジシリル化物を
48%フッ化水素酸−アセトニトリル(1:20、10
ml)で脱保護する。反応混合物を0〜5℃で1.5時
間かきまぜ、水でうすめ、メチレンクロライドで抽出す
る。クロロカーボン相を重曹の飽和水溶液で洗い、次い
で水洗したのち乾燥する。
【0014】減圧で溶媒を除去した残渣を、シリカゲル
のカラムクロマト(ヘキサン・醋酸エチル=1:1)で
分離して、17.2mgのブリオスタチン2を得る。回
収したすべてのブリオスタチン2を考慮に入れてのモノ
シリルエーテルの収量は73.5%である。シリルエー
テルの400−MHz H NMRの顕著な化学シ
フトは次のようである。δ0.07(s、3H)、0.11(s、3H)、0.90
(s、9H)、1.08(d、3H、J=5.6Hz)、3.65(s、3H)、3.68(s、3H)、3.
73(m,1H)及び3.95(m,1H)
【0015】実施例3 (ブリオスタチン2の26−第3級ブチルジメチルシリ
ルエーテルのブリオスタチン1への変換)1.6mgの
ブリオスタチン2の26−第3級ブチルジメチルシリル
エーテルの無水醋酸(100μl)−ピリジン(150
μl)溶液を室温で18時間かきまぜ、メタノールでう
すめ、さらに30分間かきまぜる。減圧下で溶媒を溜去
し、残渣をシリカゲルカラムでクロマト処置(ヘキサン
−醋酸エチル=1:1)して1.2mg(72%)のア
セテートを得る。
【0016】生成物を48%フッ化水素酸−アセトニト
リル(1:20、100μl)で脱シリル化し、反応混
合物を0〜5℃で1.5時間かきまぜ、水でうすめ、メ
チレンクロライドで抽出する。有機相を重曹の飽和水溶
液で洗い、水洗し、乾燥する。減圧で溶媒を溜去し、残
渣をシリカゲルのカラムでクロマト処理(ヘキサン−醋
酸エチル=1:1)して0.8mg(80%)のブリオ
スタチン1を得た。本品はTLC、分析HPLC、SP
−SIMS及び H NMRによる比較の結果、天然
からの生成物と同定された。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 4−(N,N−ジメチル)アミノピリジ
    ンの存在下に、ブリオスタチン2と第3級ブチルジメチ
    ルシリルクロライドを、ジメチルホルムアミド中で25
    ℃で約22時間混合して、ブリオスタチン2の26−第
    3級ブチルジメチルシリルエーテルとブリオスタチン2
    の7,26−ジ第3級ブチルジメチルシリルエーテルを
    含有する生成物を得、この生成物からブリオスタチン2
    の26−第3級ブチルジメチルシリルエーテルを分離
    し、この分離したブリオスタチン2の26−第3級ブチ
    ルジメチルシリルエーテルを無水酢酸−ピリジンと25
    ℃で18時間反応させてブリオスタチン2の26−第3
    級ブチルジメチルシリルエーテルの7−アセテートと
    し、このブリオスタチン2の26−第3級ブチルジメチ
    ルシリルエーテルの7−アセテートを48%フッ化水素
    酸−アセトニトリル(1:20)と0〜5℃で1.5時
    間反応させてブリオスタチン1とし、そしてこのブリオ
    スタチン1を集めることから成るブリオスタチン2から
    ブリオスタチン1の製法。
  2. 【請求項2】 ブリオスタチン2をその26−第3級ブ
    チルジメチルシリルエーテルとし、次いでこのブリオス
    タチン2の26−第3級ブチルジメチルシリルエーテル
    をブリオスタチン1とすることから成るブリオスタチン
    1の製法。
  3. 【請求項3】 請求項2において該ブリオスタチン2
    を、ジメチルホルムアミド中で4−(N,N−ジメチ
    ル)アミノピリジンとトリエチルアミンの存在下に、第
    3級ブチルジメチルシリルクロライドと混合することか
    ら成るブリオスタチン2の26−第3級ブチルジメチル
    シリルエーテルの製法。
  4. 【請求項4】 請求項3において、該ブリオスタチン2
    の26−第3級ブチルジメチルシリルエーテルをその7
    −アセテートとし;該ブリオスタチン2の26−第3級
    ブチルジメチルシリル7−アセテートを48%フッ化水
    素酸−アセトニトリル(1:20)と0〜5℃で1.5
    時間混合してブリオスタチン1を生成させ;次いで該ブ
    リオスタチン1を集めることから成る方法。
  5. 【請求項5】 請求項3において該ブリオスタチン2の
    26−第3級ブチルジメチルシリルエーテルをその7−
    アセテートとし;そして該ブリオスタチン2の26−第
    3級ブチルジメチルシリルエーテルの7−アセテートを
    48%フッ化水素酸−アセトニトリル(1:20)と混
    合することから成る方法。
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