JPH0867477A - エレベータ用錠スイッチ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 手作業を不要として固定接点の清掃を自動的
に行うことのできるエレベータ用錠スイッチを得る。 【構成】 乗場扉と一体に移動する可動接点１２と、乗
場のハンガーケース内に設けられた固定接点６とを有
し、乗場扉の全閉時に可動接点が固定接点に接触するよ
うに構成され、可動接点と一体的に設けられた押圧部材
１０、１１と、固定接点の上部に設けられ且つ押圧部材
が圧接されるように配置されて可動接点の移動方向に移
動自在のカム１と、カムの下面１ｂに固着されて固定接
点に接触するように配置されたミガキ部材２と、押圧部
材の圧接方向に抗するようにカムを付勢する弾性部材４
とを備え、錠スイッチ内に一体に組み込まれた押圧部材
とミガキ部材を有するカムとからなる清掃機構を用い
て、乗場扉の開閉に応動する錠スイッチの開閉時にミガ
キ部材を固定接点に摺動接触させる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、エレベータの乗場扉
の上部に設置されて安全装置として機能し、乗場扉の全
閉を検出したときに乗場扉を施鍵し且つカゴを運転可能
にするエレベータ用錠スイッチに関し、特に錠スイッチ
の接点を自動的に清掃可能なエレベータ用錠スイッチに
関するものである。

【０００２】

【従来の技術】一般に、エレベータの各階床毎の乗場扉
の上部には、乗客の落下事故防止のため、カゴ非到着時
には定期点検時に鍵を用いないと乗場扉を開けることが
できない施鍵装置と、乗場扉の全閉を検出して施鍵装置
をロックし且つカゴを運転可能にする錠スイッチとが、
一体的に組み合わせられて設けられている。この種の錠
スイッチは、カゴサービス終了後の乗場扉の全閉に応動
して動作し、乗場扉の全閉を保持するとともに、カゴが
到着すると、施鍵装置を解除してカゴ扉とともに乗場扉
を解放するようになっている。

【０００３】図７は従来のエレベータ用錠スイッチ（以
下、単に「錠スイッチ」という）の要部を示す側面図で
あり、乗場扉が開かれて錠スイッチが解放された状態を
示している。また、錠スイッチと関連する施鍵装置は、
図示されていない。

【０００４】図において、６は乗場扉（図示せず）のハ
ンガーケース側に設けられた固定接点、８は乗場扉側の
ハンガー部に設けられたラッチ、１２はラッチ８に取り
付けられて乗場扉とともに矢印方向に移動する可動接
点、１６は固定接点６が取り付けられたハンガーケース
内の取付台、１７は清掃時に固定接点６を磨くためのヤ
スリである。

【０００５】次に、図７に示した従来の錠スイッチの動
作について説明する。図７のように解放状態にある乗場
扉が閉成されると、可動接点１２は、乗場扉と一体のラ
ッチ８とともに図中左方向に移動し、乗場扉が全閉とな
った時点で固定接点６に接触して全閉状態を検出する。
これにより、カゴ（図示せず）は、昇降駆動することが
できる。

【０００６】しかしながら、図７のように構成された錠
スイッチの場合、固定接点６および可動接点１２の表面
は、使用時間が経過するにつれて表面に異物が付着した
り表面が酸化する。これを放置すると、固定接点６と可
動接点１２との間に接触不良が発生し、カゴの運転が不
能となり、たとえばカゴ内で乗客が缶詰状態になってし
まうなどの重大な事故に発展してしまう。

【０００７】したがって、このような接触不良故障によ
る事故を防止するため、エレベータの電源を遮断して定
期的に乗場扉を解放し、作業員の手作業により、ヤスリ
１７（破線参照）等を用いて固定接点６および可動接点
１２を清掃している。このように、定期的に各乗場毎の
錠スイッチを手入れすることにより、錠スイッチの接触
状態の健全性が維持され、エレベータの安全性は確保さ
れる。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】従来のエレベータ用錠
スイッチは以上のように、錠スイッチ内に接点清掃機構
が内蔵されていないので、エレベータの電源を定期的に
遮断して、手作業により各乗場毎の錠スイッチ内の固定
接点６および可動接点１２を手入れしなければならす、
多大の労力を要するという問題点があった。

【０００９】この発明は上記のような問題点を解決する
ためになされたもので、手作業を不要として、特に固定
接点の清掃を自動的に行うことのできるエレベータ用錠
スイッチを得ることを目的とする。

【００１０】

【課題を解決するための手段】この発明の請求項１に係
るエレベータ用錠スイッチは、エレベータの乗場扉と一
体に移動する可動接点と、乗場のハンガーケース内に設
けられた固定接点とを有し、乗場扉の全閉時に可動接点
が固定接点に接触するように構成され、可動接点と一体
的に設けられた押圧部材と、固定接点の上部に設けられ
且つ押圧部材が圧接されるように配置されて可動接点の
移動方向に移動自在のカムと、カムの下面に固着されて
固定接点に接触するように配置されたミガキ部材と、押
圧部材の圧接方向に抗するようにカムを付勢する弾性部
材とを備えたものである。

【００１１】この発明の請求項２に係るエレベータ用錠
スイッチは、請求項１において、押圧部材は、回転自在
の押しローラを先端部に有し、カムは、押しローラの圧
接時に押しローラとともに可動接点を下方に移動させる
ための斜面を前端部に有するものである。

【００１２】この発明の請求項３に係るエレベータ用錠
スイッチは、請求項１または請求項２において、カム
は、押圧部材が圧接される前端部と、前端部に一体的に
取り付けられる後端部とを有するものである。

【００１３】

【作用】この発明の請求項１においては、錠スイッチ内
に一体に組み込まれた押圧部材とミガキ部材を有するカ
ムとからなる清掃機構により、乗場扉の開閉に応動する
錠スイッチの開閉時にミガキ部材を固定接点に摺動接触
させて固定接点を自動的に清掃する。

【００１４】また、この発明の請求項２においては、乗
場扉の全閉時（施錠時）に、押しローラをカム前端部の
斜面に対して圧接することにより、押しローラとともに
可動接点を下方に移動させ、可動接点を固定接点に確実
に接触させる。

【００１５】また、この発明の請求項３においては、ミ
ガキ部材の摩耗時に、カムの前端部のみを交換すること
により、交換を容易にするとともに経済性を向上させ
る。

【００１６】

【実施例】

実施例１．以下、この発明の実施例１を図について説明
する。図１および図２はこの発明の実施例１の要部を一
部断面図で示す側面図であり、図１は乗場扉の開放時、
図２は乗場扉の全閉時の各状態をそれぞれ示す。図３は
この発明の実施例１による錠スイッチの乗場扉に対する
位置を示す側面図、図４はこの発明の実施例１による錠
スイッチの固定接点６とミガキ部材２との位置関係を示
す側面図である。各図において、６、８、１２および１
６は前述と同様のものである。

【００１７】１は固定接点６の上部に配置されて可動接
点１２の移動方向に移動自在の絶縁体からなるカム、１
ａはカム１の前端部の下側に設けられた斜面、１ｂはカ
ム１の前端部の下面、２はカム１の下面１ｂに接着され
たセーム皮からなるミガキ部材、２ａは固定接点６に対
して接触位置にあるミガキ部材２の表面、３はカム１の
後端部を移動自在に保持するための筒状の絶縁体からな
る受け台、４はカム１の後端部および受け台３内に収納
されてカム１を突出方向に付勢するコイルバネ、５はカ
ム１の後端部に形成されてコイルバネ４が挿入された凹
穴である。

【００１８】前端部にミガキ部材２が一体に固着された
カム１は、後端部がコイルバネ４とともに受け台３の筒
内に挿入され、後端部が受け台３内で移動するときに、
ミガキ部材２の表面２ａが固定接点６の上面に軽く接触
するように配置されている。コイルバネ４の両端は、カ
ム１の凹穴５および受け台３の各内面に接続されてい
る。

【００１９】７はラッチ８の下端部と係合するように配
置された受け金、９はラッチ８の上部に形成された穴、
１０は穴９内に嵌合されたアーム、１１はアーム１０の
上端部に回転自在に取り付けられた押しローラである。
カム１の前端部に対する押圧部材となるアーム１０およ
び押しローラ１１は、可動接点１２とともに、ラッチ８
と一体に構成され、押しローラ１１は、乗場扉の閉成時
にカム１の斜面１ａに当接するようになっている。

【００２０】１３は取付台１６の真上に位置する取付金
であり、受け台３を支持固定している。錠スイッチ内の
ミガキ部材２を有するカム１と押しローラ１１を有する
押圧部材とは、固定接点６に対する清掃機構を構成して
いる。また、図３において、１４は乗場扉の全閉側に設
けられた三方枠であり、上部に乗場扉のハンガーケース
が設けられ、ハンガーケース内にカム１、受け金７、受
け台１３および取付台１６等が取り付けられている。１
５は乗場で開閉される乗場扉であり、上部のハンガー部
にラッチ８が取り付けられている。

【００２１】次に、図１〜図４を参照しながら、この発
明の実施例１の動作について説明する。まず、乗場扉１
５（図３参照）の開放状態においては、図１のように、
固定接点６と可動接点１２とが非接触状態にあり、カム
１と押しローラ１１との関係も非接触状態にある。

【００２２】ここで、乗場扉１５が全閉されて施鍵状態
になると、図２のように、固定接点６と可動接点１２と
の接触にともなって、カム１と押しローラ１１との関係
も接触状態となる。すなわち、乗場扉１５の全閉方向
（図３内左方向）への移動により、ラッチ８と一体の押
しローラ１１は、カム１の斜面１ａに当接し、カム１の
前端部を一点鎖線の位置から実線位置に移動させる。

【００２３】このとき、押しローラ１１は、斜面１ａに
倣って、図２内の一点鎖線位置から実線位置に、矢印の
ように押し込まれながら移動する。また、カム１は、コ
イルバネ４の付勢力に抗して、一点鎖線位置から実線位
置に移動する。したがって、カム１の移動にともない、
ミガキ部材２は、図４のように、固定接点６とこすり合
わせられ、固定接点６を上面を磨くことになる。

【００２４】また、カゴの到着後に乗場扉が開放され、
図１のように解錠された場合は、押しローラ１１がカム
１から離れるため、コイルバネ４の付勢力によりカム１
が突出方向に移動する。このときにも、ミガキ部材２の
表面２ａが固定接点６の上面とこすり合わせられ、固定
接点６の上面を磨くことになる。

【００２５】すなわち、乗場扉の全閉時（施鍵時）およ
び開放時（解鍵時）において、カム１は、押しローラ１
１の押圧力またはコイルバネ４の付勢力により、図４内
の矢印のように移動し、固定接点６は、カム１の下面１
ｂに接着されたミガキ部材２の表面２ａでこすられて常
に磨かれる。

【００２６】また、乗場扉１５の全閉時においては、カ
ム１の斜面１ａに押しローラ１１が圧接することによ
り、図２のように、ラッチ８とともに可動接点１２が下
方に移動するため、可動接点１２を確実に固定接点６に
接触させることができる。また、ここでは、乗場扉１５
の開閉時にミガキ部材２により自動的に清掃される接点
は固定接点６のみであるが、接触不良故障が発生する頻
度は、少なくとも従来の１／２に抑制される。

【００２７】実施例２．なお、上記実施例１では、押し
ローラ１１をカム１の斜面１ａに圧接することにより、
押しローラ１１とともにラッチ８を下方に移動させ、可
動接点１２を固定接点６に確実に接触させるようにした
が、押しローラ１１および斜面１ａを用いずに、たとえ
ば固定接点６の支持部に上方向の付勢力を持たせるな
ど、他の手段により確実な接触を得るようにしてもよ
い。また、ミガキ部材２としてセーム皮を用いたが、他
のミガキ部材を用いてもよい。

【００２８】実施例３．また、上記実施例１では、カム
１の後端部に凹穴５を一体的に形成した場合を示した
が、カム１の後端部を前端部とは別に構成して組み合わ
せてもよい。図５は上記のように組み合わせ構造とした
この発明の実施例３によるカムを示す斜視図であり、２
は前述と同様のものである。１８は凹穴を形成するため
に筒状に構成された後端部、１９は後端部１８が一体的
に取り付けられた前端部であり、後端部１８および前端
部１９によりカムが構成されている。

【００２９】図６は図５内の後端部１８および前端部１
９を分割した状態を示す側面図であり、１８ａは後端部
１８の外周面に形成されたネジ部、１９ａは前端部１９
の内周面に形成されたネジ部である。後端部１８および
前端部１９は、各ネジ部１８ａおよび１９ａが螺合され
ることにより接続される。

【００３０】このように、後端部１８を前端部１９とは
別体に構成することにより、たとえば、ミガキ部材２が
摩耗した場合に、前端部１９のみを交換することができ
る。したがって、ミガキ部材２の消耗時の交換が容易で
あるうえ、後端部１８を再利用することができるため経
済的である。

【００３１】

【発明の効果】以上のようにこの発明の請求項１によれ
ば、エレベータの乗場扉と一体に移動する可動接点と、
乗場のハンガーケース内に設けられた固定接点とを有
し、乗場扉の全閉時に可動接点が固定接点に接触するよ
うに構成され、可動接点と一体的に設けられた押圧部材
と、固定接点の上部に設けられ且つ押圧部材が圧接され
るように配置されて可動接点の移動方向に移動自在のカ
ムと、カムの下面に固着されて固定接点に接触するよう
に配置されたミガキ部材と、押圧部材の圧接方向に抗す
るようにカムを付勢する弾性部材とを備え、錠スイッチ
内に一体に組み込まれた押圧部材とミガキ部材を有する
カムとからなる清掃機構を用いて、乗場扉の開閉に応動
する錠スイッチの開閉時にミガキ部材を固定接点に摺動
接触させるようにしたので、手作業を不要として固定接
点の清掃を自動的に行うことのできるエレベータ用錠ス
イッチが得られる効果がある。

【００３２】また、この発明の請求項２によれば、請求
項１において、押圧部材は、回転自在の押しローラを先
端部に有し、カムは、押しローラの圧接時に押しローラ
とともに可動接点を下方に移動させるための斜面を前端
部に有し、乗場扉の全閉時に、押しローラをカム前端部
の斜面に圧接させて押しローラとともに可動接点を下方
に移動させるようにしたので、接点の清掃を自動的に行
うとともに可動接点を固定接点に確実に接触させること
のできるエレベータ用錠スイッチが得られる効果があ
る。

【００３３】この発明の請求項３に係るエレベータ用錠
スイッチは、請求項１または請求項２において、カム
は、押圧部材が圧接される前端部と、前端部に一体的に
取り付けられる後端部とを有し、ミガキ部材の摩耗時に
カムの前端部のみを交換できるようにしたので、接点の
清掃を自動的に行うとともに摩耗時の交換を容易にし且
つ経済性を向上させたエレベータ用錠スイッチが得られ
る効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】 この発明の実施例１の要部の解錠時の状態を
示す側面図である。

【図２】 この発明の実施例１の要部の施錠時の状態を
示す側面図である。

【図３】 この発明の実施例１を乗場扉とともに示す側
面図である。

【図４】 この発明の実施例１による清掃動作を説明す
るための側面図である。

【図５】 この発明の実施例３によるカムを示す斜視図
である。

【図６】 この発明の実施例３によるカムの分解状態を
示す側面図である。

【図７】 従来のエレベータ用錠スイッチの要部を示す
側面図である。

【符号の説明】

１ カム、１ａ 斜面、１ｂ 下面、２ ミガキ部材、
４ コイルバネ（弾性部材）、６ 固定接点、１０ ア
ーム、１１ 押しローラ、１２ 可動接点、１５ 乗場
扉、１８ 後端部、１９ 前端部。

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 エレベータの乗場扉と一体に移動する可
   動接点と、乗場のハンガーケース内に設けられた固定接
   点とを有し、前記乗場扉の全閉時に前記可動接点が前記
   固定接点に接触するように構成されたエレベータ用錠ス
   イッチにおいて、 前記可動接点と一体的に設けられた押圧部材と、 前記固定接点の上部に設けられ且つ前記押圧部材が圧接
   されるように配置されて前記可動接点の移動方向に移動
   自在のカムと、 前記カムの下面に固着されて前記固定接点に接触するよ
   うに配置されたミガキ部材と、 前記押圧部材の圧接方向に抗するように前記カムを付勢
   する弾性部材とを備えたことを特徴とするエレベータ用
   錠スイッチ。
2. 【請求項２】 前記押圧部材は、回転自在の押しローラ
   を先端部に有し、前記カムは、前記押しローラの圧接時
   に前記押しローラとともに前記可動接点を下方に移動さ
   せるための斜面を前端部に有することを特徴とする請求
   項１のエレベータ用錠スイッチ。
3. 【請求項３】 前記カムは、前記押圧部材が圧接される
   前端部と、前記前端部に一体的に取り付けられる後端部
   とを有することを特徴とする請求項１または請求項２の
   エレベータ用錠スイッチ。