JPH0866932A - 合成樹脂成形品の射出成形方法および射出成形装置 - Google Patents

合成樹脂成形品の射出成形方法および射出成形装置

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JPH0866932A
JPH0866932A JP6204935A JP20493594A JPH0866932A JP H0866932 A JPH0866932 A JP H0866932A JP 6204935 A JP6204935 A JP 6204935A JP 20493594 A JP20493594 A JP 20493594A JP H0866932 A JPH0866932 A JP H0866932A
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cavity
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pressure
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隆義 田中
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    • B29WORKING OF PLASTICS; WORKING OF SUBSTANCES IN A PLASTIC STATE IN GENERAL
    • B29CSHAPING OR JOINING OF PLASTICS; SHAPING OF MATERIAL IN A PLASTIC STATE, NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; AFTER-TREATMENT OF THE SHAPED PRODUCTS, e.g. REPAIRING
    • B29C45/00Injection moulding, i.e. forcing the required volume of moulding material through a nozzle into a closed mould; Apparatus therefor
    • B29C45/17Component parts, details or accessories; Auxiliary operations
    • B29C45/1703Introducing an auxiliary fluid into the mould
    • B29C45/174Applying a pressurised fluid to the outer surface of the injected material inside the mould cavity, e.g. for preventing shrinkage marks

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  • Moulds For Moulding Plastics Or The Like (AREA)
  • Injection Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 金型構造を簡単にでき、リブ等を有する成形
品のひけを防止できて高精度に成形できる合成樹脂成形
品の射出成形方法を提供すること。 【構成】 金型4,5のキャビティ8内に溶融樹脂を充
填し、溶融樹脂が冷却固化しつつ状態にあるときに、成
形品90を離型させる突き出しピン9のクリアランスから
キャビティ8内の成形品90の裏面側に圧縮流体を注入す
る。成形品90は、圧縮流体の注入でその表面側がキャビ
ティ8内面に押圧されたまま冷却固化され、リブ91を有
する場合でも成形品90の表面側にはひけが発生しない。
この圧縮流体は、突き出しピン9のクリアランスを通し
て注入されるため、注入用の導孔等を形成する必要が無
く、金型構造も簡単となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、合成樹脂成形品の射出
成形方法および射出成形装置に係り、特にボスやリブを
有して成形品表面にひけが生じやすい合成樹脂成形品、
例えば自動車のダッシュボード、ドアハンドルカバー等
の内外装品や、家電製品のケーシング等の成形に利用で
きる。
【0002】
【背景技術】射出成形による合成樹脂成形品には、固有
の成形収縮があるため、特にボスやリブの中心部や厚肉
部など冷却が遅れた部分の収縮によって成形品の表面に
はひけが生じていた。このため、従来の射出成形では、
金型のキャビティ内に射出した樹脂に、過大な保持圧力
を加えてひけを防止することが行われていたが、ひけを
完全に無くすことは難しく、むしろボス、リブ、厚肉部
以外の面に過大な保持圧力が加わることで反り変形が生
じるという問題があった。
【0003】一方、このような過大な保持圧力を加えず
にひけを防止する方法として、特開昭50−75247
号公報や特開昭59−220337号公報に示すよう
に、圧縮空気等の圧力流体をキャビティ内に圧入して樹
脂をキャビティ内面に押しつけてひけを防止する射出成
形方法が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開昭
50−75247号公報のものは、コアーに形成した導
孔に弁棒を設け、弁棒の進退によって開閉される間隙部
から圧力流体(空気)を注入しているため、圧力流体注
入用の弁棒およびその進退を制御する制御装置が必要と
なり、金型構造が複雑化するとともに、射出成形時の制
御要因が増加して制御が難しくなるという問題があっ
た。
【0005】一方、特開昭59−220337号公報に
開示されたものは、金型に複数の貫通孔を有する多孔部
材を埋設し、空気制御手段で貫通孔を通して圧縮空気を
送り込んでいるため、多孔部材を金型表面に埋設する際
の加工や圧縮空気の圧入圧に対抗できる多孔部材の固定
方法等が難しく、金型製作を高精度に行わなければなら
ず、製作が困難であるという問題があった。
【0006】本発明の目的は、金型構造を簡単にできて
金型を容易に製作できるとともに、リブやボス等を有す
る合成樹脂射出成形品のひけを防止でき、成形品の反り
や歪みも無くすことができて高精度に成形することがで
きる合成樹脂成形品の射出成形方法および射出成形装置
を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の合成樹脂成形品
の射出成形方法は、金型のキャビティ内に溶融樹脂を充
填させて溶融樹脂が冷却固化しつつ状態にあるときに、
成形品を離型させる突き出しピンのクリアランス(突き
出しピンと突き出しピンが嵌挿されている金型貫通孔と
の隙間)からキャビティ内の成形品の裏面側(キャビテ
ィ面と射出樹脂による成形品との間)に窒素ガス等の圧
縮流体を注入することを特徴とする。この際、前記圧縮
流体をキャビティ内に加圧注入する際に、注入初期は低
圧力の圧縮流体を注入し、その後高圧力の圧縮流体を注
入して圧縮流体の多段圧力制御を行うことが望ましい。
【0008】一方、本発明の合成樹脂成形品の射出成形
装置は、前記射出成形方法を実施するに適したものであ
り、成形品を離型させる突き出しピンのキャビティ側先
端部(キャビティ面に開口された部分)のクリアランス
が、1/100 〜8/100 mm(10〜80μm)に設定され、この
クリアランスを通してキャビティ内に圧縮流体を供給す
る圧縮流体供給手段が設けられていることを特徴とす
る。この際、前記突き出しピンの周囲のキャビティ面に
は、成形品の裏面側に防壁を立設させるための凹部が形
成されていることが望ましい。
【0009】
【作用】このような本発明においては、キャビティ内に
射出された溶融樹脂が冷却固化しつつ状態にあるとき
に、突き出しピンのクリアランスから成形品の裏面側に
圧縮流体を注入しているため、キャビティ内の溶融樹脂
(成形品)は、その表面側がキャビティ内面に押圧され
た状態で冷却固化されて、リブやボスを有する場合であ
っても成形品表面側のひけが防止される。また、圧縮流
体は、金型に設けられている突き出しピンのクリアラン
スを利用して注入されているため、弁棒や多孔部材を設
ける場合に比べて金型構造が簡素化され、その製作も容
易となる。
【0010】さらに、圧縮流体の注入によってひけを防
止しているため、キャビティ内に射出される溶融樹脂に
過大な保持圧力を加える必要が無く、低圧力の射出成形
が行えて成形品の反りや歪みも防止されるとともに、生
産性も向上される。
【0011】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説
明する。図1には、本実施例の射出成形装置1の概略構
成図が示されている。射出成形装置1は、スクリュー2
を有して樹脂を溶融混練する射出装置3と、固定金型4
および可動金型5が取り付けられた型締装置6とを備え
ている。可動金型5には、突き出し板7を介して押され
てその先端がキャビティ8内に突出することで成形品を
取り出す突き出しピン9が、可動金型5の貫通孔10を
通して設けられている。
【0012】可動金型5には、前記貫通孔10にそれぞ
れ連通されたガス供給路11が形成され、このガス供給
路11はガス注入制御装置12に接続されている。ガス
注入制御装置12は、コンプレッサからの駆動エアによ
って駆動されて注入用の窒素ガスを増圧して圧縮流体と
する増圧器13と、射出装置3からの信号によって、つ
まり射出タイミングによって、ガス供給路11への窒素
ガス供給を制御する開閉バルブ14や増圧器13の動作
を制御する制御装置15を備えている。従って、これら
ガス供給路11およびガス注入制御装置12によって圧
縮流体供給手段が構成されている。
【0013】開閉バルブ14は、窒素ガスの供給を制御
する供給用電磁バルブ16と、注入した窒素ガスを排気
するための排気用電磁バルブ17と、供給する窒素ガス
の圧力制御用電磁バルブ18との3つのバルブを備えて
おり、これらの各バルブ16,17,18は、前記制御
装置15によって個別に開閉制御されている。
【0014】なお、本実施例のキャビティ8は、図2に
示すように、2本のリブ91を備える板状の成形品90
を形成するものであり、可動金型5にはリブ形成用の2
条の凹溝19が形成されている。また、図3に示すよう
に、可動金型5のキャビティ8内面における凹溝19の
外側には成形品90に防壁92を形成するための断面三
角形状の溝20が凹溝19に沿って形成されている。な
お、溝20の形状としては、断面三角形状のみでなく、
たとえば薄肉リブと同様な断面長方形であってもよい。
溝20の深さ寸法(防壁92の高さ寸法)は、後述する
窒素ガスの保持能力および使用樹脂の増加量を考慮して
約2〜10mm程度に設定されている。
【0015】可動金型5の貫通孔10は、前記凹溝19
間と凹溝19および溝20間とに形成され、図2および
図3に示すように、キャビティ8側先端部は小径とされ
て突き出しピン9とのクリアランスAが1/100 〜8/100
mm(10〜80μm)となるように設定されている。また、
貫通孔10の突き出し板7側(キャビティ8とは反対
側)には、突き出しピン9との隙間をシールするOリン
グ等のシール材21が設けられている。
【0016】次に、本実施例における射出成形の手順に
ついて説明する。まず、型締装置6を利用して金型4,
5を閉じ、射出装置3により溶融樹脂をキャビティ8内
に所定量射出する。この際、樹脂充填に従って突き出し
ピン9に加わる樹脂圧力は上昇するが、貫通孔10のキ
ャビティ8側先端部のクリアランスAが1/100 〜8/100
mmと狭くされているので、貫通孔10内への樹脂流入は
防止され、クリアランスに詰まることなく樹脂充填が行
われる。
【0017】溶融樹脂が所定量充填され、充填終了を知
らせる信号が射出装置3からガス注入制御装置12に送
られると、増圧器13が作動されるとともに、供給用バ
ルブ16が開かれてガス供給路11を通して貫通孔10
に窒素ガスが注入される。この際、溶融樹脂は冷却固化
されつつあってキャビティ8との間に隙間が生じている
とともに、貫通孔10の突き出し板7側はシール材21
でシールされているため、貫通孔10に注入された窒素
ガスは、突き出しピン9のクリアランスを通してキャビ
ティ8内に注入される。
【0018】この際、窒素ガス(圧縮流体)の注入初期
は、圧力制御用バルブ18を開いて窒素ガスの一部を排
気することで圧力が下げられて低圧(例えば増圧器13
における圧力が0.5〜3MPa)とされた窒素ガスを
所定時間(例えば0.2〜3秒)注入し、その後にバル
ブ18を閉じて高圧(例えば3.5〜20MPa)とさ
れた窒素ガスを所定時間(例えば2秒以上)注入するよ
うに、制御装置15で開閉バルブ14が制御されてい
る。
【0019】キャビティ8内に低圧の窒素ガスを注入す
ると、可動金型5のキャビティ8内面とこれに接してい
る成形品90の裏面側との間に窒素ガスが注入され、成
形品90と可動金型5との間に空間が形成される。さら
に、高圧の窒素ガスを注入すると、この空間に高圧窒素
ガスが充填されて成形品90に十分な保持圧力が加わ
り、成形品90の表面側が固定金型4のキャビティ8内
面に押圧され、ひけ発生が防止される。
【0020】この時、窒素ガスは、図2,3に示すよう
に、凹溝19間(成形品90のリブ91間)や、凹溝1
9および溝20間(成形品90のリブ91および防壁9
2間)に注入されるため、ひけが生じやすいリブ91部
分から窒素ガスが漏れ出すことが無く、リブ91部分へ
の十分な保持圧力が維持される。
【0021】そして、溶融樹脂が冷却固化したら、排気
用バルブ17を開いてキャビティ8内のガスを抜き、金
型4,5を離型するとともに、突き出しピン9を突出さ
せて成形品90を取り出し、射出成形の1つのサイクル
を終了する。以上の成形サイクルを繰り返し、成形品9
0を順次製造する。
【0022】このような本実施例によれば、次のような
効果がある。キャビティ8内に窒素ガスを注入してガス
保圧を行って溶融樹脂をキャビティ8内面に押圧してい
るので、溶融樹脂が冷却固化するまで樹脂表面側とキャ
ビティ8内面との密着状態を維持することができ、リブ
91やボス等を有する成形品90を成形する場合でもひ
けを防止することができる。
【0023】そして、キャビティ8内に窒素ガスを注入
することで成形品90のひけを防止することができるの
で、従来のようにひけ防止のために高圧射出成形を行う
必要が無く、ひけの生じない低圧射出成形を実現するこ
とができる。このため、低圧成形が可能であり、成形サ
イクルも早くできるため、成形品90の品質を低下させ
ることなく生産性を向上することができる。また、低圧
射出成形を行えるため、成形品90に過大な保持圧力が
加わることがなく、反りや歪みなどの成形歪みの分布を
減少でき、成形品90の精度を向上することができ、高
品質の成形品90を成形することができる。
【0024】さらに、可動金型5に凹溝19のほかに溝
20を形成し、成形品90にリブ91のほかに防壁92
を形成したので、注入したガスをリブ91等のひけが発
生しやすい部分に保持しておくことができ、所定の保持
圧力を樹脂が冷却固化するまで維持することができ、成
形品90のひけを確実に防止することができる。
【0025】金型5に通常設けられている突き出しピン
9の貫通孔10とのクリアランスを通してキャビティ8
内に窒素ガスを注入しているため、ガス注入用の導孔を
形成して弁棒を設けたり、多孔部材を配置する場合に比
べて、金型5の構造を簡素化することができて安価に提
供することができる。この際、突き出しピン9周囲のク
リアランスAを1/100 〜8/100 mmとしているので、溶融
樹脂が貫通孔10内に流入することを防止できるととも
に、窒素ガスのキャビティ8への流入を妨げることが無
く、十分なガスをスムーズに供給することができ、窒素
ガスによる保持圧力を高めて成形品90のひけを確実に
防止することができる。
【0026】さらに、溶融樹脂を射出した直後の冷却固
化の初期段階つまり窒素ガスの注入初期段階では、圧力
制御用バルブ18を開いて窒素ガスの圧力を低圧として
いるので、冷却初期の樹脂表面の固化した層が薄い状態
のときに、窒素ガスの圧力で固化層が破れてガスが樹脂
内部に潜ってしまうことがなく、ガスが樹脂内部に侵入
することによる強度の低下がない高品質な成形品90を
製造することができる。
【0027】また、圧縮流体として不燃性の窒素ガスを
用いているので、キャビティ8内への注入によって膨張
したり加熱されても爆発のおそれがなく、射出成形の安
全性を確保することができる。
【0028】さらに、成形品90の裏面側と可動金型5
間に窒素ガスが注入されて隙間が形成されるため、成形
品90を容易に離型することができ、離型不良によるト
ラブル発生を防止でき、効率のよい射出成形を行うこと
ができる。
【0029】次に、本発明の効果を確認するために行っ
た実験例について説明する。本実験例は、図4に示され
るような、リブ91を有する正方形状の薄い平面材95
を形成し、表1に示すように、各種条件を変えて成形状
態(平面材95でのひけなどの発生状態や、射出成形が
トラブル無く行えるか)を調べ、突き出しピン9のクリ
アランスからキャビティ8内に圧縮流体を注入すること
でひけを防止できるかを評価したものである。
【0030】平面材95を成形するにあたって、射出成
形機として東芝機械製IS-200を用い、樹脂としてMFR
(メルトフローレシオ)[230℃,2.16kgf]=10g/10min
のブロックPP(ポリプロピレン)を用いた。平面材9
5は、一辺の長さLが250mmとされ、2本の平行リ
ブ91が形成され、リブ91以外の一般肉厚dは2.5
mmに、リブ91の基部厚み(幅)bは2mmに設定さ
れている。なお、図4は理解しやすいように、リブ91
および平面材95の肉厚が実際の寸法比に比べて大きく
されている。
【0031】また、型締圧は200tに設定し、樹脂温
度および金型温度は表1のように設定した。そして、ピ
ンクリアランスAの寸法や、ガス圧力を変更して実験例
1〜6を行い、平面材95のひけ状態を表面粗さ計(小
坂研究所製サーフコーダSE−30D)を用いて検出し
た。一方、参考例1〜6として、ピンクリアランスAを
実験例よりも小さく(参考例1,2)したり、大きくし
たり(参考例5,6)、ガス圧を2段制御せずに最初か
ら最後まで同じ圧力で窒素ガスを注入した場合(参考例
1〜6)についても実験した。
【0032】
【表1】
【0033】表1に示すように、突き出しピン9のクリ
アランスから窒素ガスを注入した場合、ピンクリアラン
スAを樹脂種類、成形品形状、成形品の大きさ、成形条
件等に応じて適切に設定すれば(実験例では1/100 〜8/
100mm )、樹脂の貫通孔10内への流入もなく、窒素ガ
スのキャビティ8内への流入も阻害されず、かつひけ量
もきわめて小さくて肉眼では確認することが困難な程度
に防止することができた。さらに、初期ガス圧を低く
し、その後の保圧ガスを高めにするガス圧力の2段制御
を行えば、ガスが成形品90内に侵入する(潜る)こと
がなく、高品質でかつ十分な強度を有する成形品90
(平面材95)を生産することができた。
【0034】一方、参考例1,2のように突き出しピン
9のクリアランスAが小さすぎると窒素ガスの流入が阻
害され、十分なガスをキャビティ8内に供給できず、ひ
け量も大きくなった。また、参考例5,6のようにクリ
アランスAが大きすぎると、溶融樹脂がクリアランス部
分(貫通孔10)内に流入して詰まってしまいガスを供
給できず、やはりひけ量が大きくなった。また、注入ガ
スの2段圧力制御を行っていないと、ガスが成形品90
内に侵入した形跡があり、品質低下および強度不足が発
生した。
【0035】以上のことから、突き出しピン9のクリア
ランスを介してキャビティ8内に窒素ガス(圧縮流体)
を注入することでリブ91を有する成形品90のひけを
防止することができることがわかる。さらに、この際、
クリアランス寸法やガス圧力を樹脂の種類などに応じて
適宜設定すれば、高品質、高精度、高強度の成形品90
が成形できることがわかり、本発明の有用性が確認でき
た。
【0036】以上、本発明について好適な実施例をあげ
て説明したが、本発明は、この実施例に限定されるもの
ではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々
の改良並びに設計の変更が可能である。例えば、前記実
施例では、突き出しピン9のクリアランスから圧縮流体
(窒素ガス)を注入していたが、図5に示すように、突
き出しピン9に加えて圧縮流体の注入用の固定ピン30
を設けてもよい。すなわち、可動金型5に貫通孔22を
形成し、この貫通孔22にガス供給路11を連結し、貫
通孔22内に固定ピン30を配置してそのピン30周囲
のクリアランスから圧縮流体を注入してもよい。このよ
うにすれば、リブ91等が多数形成されており、リブ9
1で区画されて突き出しピン9部分のみからでは圧縮流
体を供給することが困難な箇所にも、固定ピン30を設
けることで圧縮流体を注入でき、ひけを確実に防止する
ことができる利点がある。
【0037】また、本発明はリブ91を有する成形品9
0の射出成形に限らず、図6に示すように、ボス93を
有する成形品90を射出成形する場合にも用いることが
できる。この際、ボス93部分に所定圧のガスが保圧さ
れるように、ボス93の周囲に円周状や四角周状等の防
壁92を形成することが望ましい。さらに、本発明は、
リブ91、ボス93の両方が形成された成形品、リブ9
1、ボス93が無い成形品等の各種成形品の製造にも利
用することができる。
【0038】防壁92は必ずしも設ける必要はないが、
設けた方が注入した圧縮流体が漏れることがなく、特に
リブ91がない部分においても保圧効果を長期間維持す
ることができるという利点がある。さらに、圧縮流体と
しては窒素ガスに限らず、圧縮空気等の他のガスを用い
てもよい。但し、圧縮流体は溶融樹脂に接して温度が高
くなるため、窒素ガスのような不燃性のガスを用いた方
が安全性が高いという利点がある。
【0039】注入する圧縮流体の圧力は、前記実施例の
ように2段階制御する場合に限らず、3段階以上あるい
は圧力値が連続的に変化するように制御してもよいし、
さらには圧力値を一定としてもよい。この際の圧力値
は、使用する樹脂の種類等に応じて適宜設定すればよ
い。さらに、圧力制御の方法としては、前記実施例のよ
うに圧力制御用バルブ18を設けて行う方式に限らず、
減圧弁等を用いた公知の適宜な圧力制御方法を利用して
もよい。
【0040】突き出しピン9のクリアランスに、耐熱性
のある金属やセラミックスなどからなる多孔質部材を配
置してもよい。この多孔質部材を配置しても、貫通孔1
0に供給された圧縮流体をキャビティ8内に注入するこ
とができるとともに、キャビティ8内の溶融樹脂が貫通
孔10内に流入することを防止することができる。この
ため、特に既存の金型5などにおいて突き出しピン9の
クリアランスが最適範囲に比べて大きくなっている場合
にも、多孔質部材をそのクリアランス部分に配置するこ
とでガス注入に適しかつ樹脂流入も防止できて本発明を
適用することができる。なお、多孔質部材の孔径は用い
る樹脂種類等に応じて適宜設定すればよいが、例えば前
記実施例と同じ1/100 〜8/100mm 等に設定すればよい。
【0041】リブ91やボス93が形成される場合に
は、図7に示すように、金型5のリブ91用の凹溝19
などの先端部を一部切り欠いて、樹脂を射出充填した際
に、成形品90におけるリブ91やボス93の基部に加
肉部96が形成されるようにしてもよい。本発明におい
ては、表面側のひけが防止される分だけ成形品90の裏
面側がひけて凹むが、加肉部96を形成すればひけた欠
肉分が加肉部96で補充されて強度低下も防止できる。
この際、加肉部96の樹脂量は、リブ91やボス93な
どが形成された部分の中心部に発生する冷却遅れ部97
の容積の約20〜70%にすれば、樹脂量を著しく増加
させることなく、必要な強度を確保することができる。
また、加肉部96は、欠肉分に補充されて無くなるた
め、成形品90において加肉部96が目立つことはな
い。
【0042】また、本発明は、前記実施例の成形品90
や実験例の平面材95を製造する場合に限らず、例えば
コピー装置の紙供給部品等に利用される格子状の多数の
リブが形成された板部材や、自動車のドアハンドルカバ
ー等の各種の樹脂成形品に利用することができる。
【0043】
【発明の効果】このような本発明によれば、金型構造を
簡単にできて金型を容易に製作できるとともに、リブや
ボス等を有する合成樹脂射出成形品のひけを防止でき、
成形品の反りや歪みも無くすことができて高精度に成形
することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す概略構成図である。
【図2】前記実施例の金型中央部を示す拡大断面図であ
る。
【図3】前記実施例の金型上端部を示す拡大断面図であ
る。
【図4】実験例における成形品を示す二面図である。
【図5】本発明の変形例の要部を示す拡大断面図であ
る。
【図6】本発明をボスを有する成形品の成形に適用した
変形例を示す断面図である。
【図7】本発明の他の変形例の要部を示す拡大断面図で
ある。
【符号の説明】
1 射出成形装置 4 固定金型 5 可動金型 8 キャビティ 9 突き出しピン 10 貫通孔 11 ガス供給路 12 ガス注入制御装置 13 増圧器 14 開閉バルブ 15 制御装置 19 凹溝 20 溝 22 貫通孔 30 固定ピン 90 成形品 91 リブ 92 防壁 93 ボス

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 合成樹脂成形品を成形する射出成形方法
    において、金型のキャビティ内に溶融樹脂を充填させて
    溶融樹脂が冷却固化しつつ状態にあるときに、成形品を
    離型させる突き出しピンのクリアランスからキャビティ
    内の成形品の裏面側に圧縮流体を注入することを特徴と
    する合成樹脂成形品の射出成形方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の合成樹脂成形品の射出
    成形方法において、前記圧縮流体をキャビティ内に注入
    する際に、その注入圧力を注入初期は低圧力に制御し、
    その後高圧力に制御することを特徴とする合成樹脂成形
    品の射出成形方法。
  3. 【請求項3】 合成樹脂成形品を成形する射出成形装置
    において、成形品を離型させる突き出しピンの少なくと
    もキャビティ側先端部のクリアランスが1/100〜8
    /100mmに設定され、このクリアランスを通してキ
    ャビティ内に圧縮流体を供給する圧縮流体供給手段が設
    けられていることを特徴とする合成樹脂成形品の射出成
    形装置。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の合成樹脂成形品の射出
    成形装置において、前記突き出しピン周囲のキャビティ
    面には、成形品の裏面側に防壁を立設させるための凹部
    が形成されていることを特徴とする合成樹脂成形品の射
    出成形装置。
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