JPH0865032A - フィルム状コイル素子とこれを用いた指向性切換アンテナ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 アンテナ回転機構等を必要とすることなく、
安価でしかも器機への組込が可能な小型化された指向性
アンテナを提供することを目的とする。 【構成】 プリント基板１に形成されたフィルム状コイ
ル素子Ｃ１〜Ｃ８を放射状に配置した複数のアンテナ素
子と、制御信号に応じて各アンテナ素子と前記送受信機
器とを接続するスイッチ３とを有する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、フィルム状コイル素子
とこれを使用した指向性切換アンテナに関する。

【０００２】

【従来技術】従来の指向性切換アンテナは、その形状に
より単一方向に指向性をもっており、指向性の方向を変
える場合には、アンテナ自身を回転させる等の操作を行
なっていた。あるいは、異なる方向の指向性をもつ複数
のアンテナを用意しておき、所望の指向性のアンテナに
切り換えて接続することにより、指向性の方向を選択し
ていた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記従来
の指向性切換アンテナは、単一方向の指向性アンテナの
場合には、アンテナ回転機構及びこれを駆動する手段を
必要とするため、アンテナ装置が高価になるという問
題、耐久性の問題、及び受信時の追従性が遅いという問
題等があった。一方、異なる方向の指向性をもつ複数の
アンテナの場合には、アンテナ自身が大がかりとなるた
め、機器への組込が困難であるという問題や機器の大型
化を招く等の問題があった。

【０００４】本発明はかかる従来の問題を解決するもの
であり、アンテナ回転機構等を必要とすることなく、安
価でしかも機器への組込が容易な小型化された指向性切
換アンテナを提供することを目的とする。

【０００５】また、この指向性切換アンテナに使用する
フィルム状コイル素子を併せて提供することを目的とす
る。

【０００６】

【課題を解決する手段】上記目的を達成するために、こ
の発明は、送受信機器に接続され、電磁波を送受信する
方向を切り換える指向性切換アンテナにおいて、同一基
板上にコイル素子を放射状に配置した複数のアンテナ素
子と、制御信号に応じて前記複数のアンテナ素子と前記
送受信機器とを接続する複数のスイッチとを有すること
を特徴とする。

【０００７】

【作用】したがってこの発明によれば、単一のアンテナ
でありながら電気的に指向性を自在に変えることができ
るので、アンテナ回転機構等を必要とすることなく、安
価でしかも機器への組込が容易な小型化された指向性ア
ンテナを実現することができる。さらに、製品ごとに均
一な特性が得られるので量産時の歩留まりを向上させる
ことができる。

【０００８】

【実施例】以下、本発明の指向性切換アンテナの実施例
について説明する。図１は指向性切換アンテナの構成を
示す図である。図１において、１は、エポキシ樹脂やフ
ェノール樹脂等の絶縁部材の片面に銅箔等の薄膜導体を
有するプリント基板である。このプリント基板１にアン
テナ２が薄膜導体で形成され、放射状に配列された８個
のフィルム状コイル素子Ｃ１ないしＣ８で構成されてい
る。また、プリント基板１にスイッチ３が実装され、８
個の接点Ｓ１ないしＳ８で構成されている。接続端子４
は機器本体（図示せず）に接続するための端子である。
接点Ｓ１ないしＳ８の一方の端子は、それぞれフィルム
状コイル素子Ｃ１ないしＣ８に接続され、他方の端子は
すべて接続端子４に接続されている。

【０００９】なお、図１には示してないが、スイッチ３
の各接点Ｓ１ないしＳ８をオン、オフするための８系統
の制御信号を入力する入力端子及び配線パターンがプリ
ント基板１に設けられている。

【００１０】次に、図１の構成の動作について説明す
る。アクティブな制御信号が入力されたスイッチはオン
となり、当該オンとなるスイッチに接続されたフィルム
状コイル素子がアクティブ駆動状態となり、電磁波の送
受信に関与する。複数のフィルム状コイル素子をアクテ
ィブにすることももちろん可能であり、フィルム状コイ
ル素子Ｃ１ないしＣ８のすべてをアクティブにした場合
には無指向性のアンテナを構成することになる。

【００１１】いま、接点Ｓ４，Ｓ６，Ｓ８がオンとな
り、対称位置関係にある一対のフィルム状コイル素子Ｃ
４，Ｃ６と、該一対のフィルム状コイル素子Ｃ４，Ｃ６
と直角の位置関係にあるフィルム状コイル素子Ｃ８がア
クティブとなった場合には、フィルム状コイル素子Ｃ
４，Ｃ８が誘導管として働き、フィルム状コイル素子Ｃ
６が反射管として働く。その結果、図に示すベクトルＶ
486 方向に指向性をもつアンテナとして作用する。

【００１２】図１に示すように、８個のフィルム状コイ
ル素子Ｃ１ないしＣ８は８方向に放射状に配列されてい
るので、オンとなるスイッチの組合せを選択することに
より、８方向の指向性の切り換えが可能となる。さら
に、オンとなる任意のスイッチの組合せにより指向性の
パターンも自在に設定することが可能となる。

【００１３】このように、この第１の実施例によれば、
単一のアンテナであるにもかかわらず電気的に指向性を
自在に変えることができるので、アンテナ回転機構等を
必要とすることなく、安価でしかも器機への組込が容易
な小型化された指向性アンテナを実現することができ
る。さらに、製品ごとに均一な特性が得られるので量産
時の歩留まりを向上させることができる。

【００１４】なお、第１の実施例においてはフィルム状
コイル素子を放射状に８個配列するようにしたが、この
配列数及び配列パターンに限らず、２個以上のフィルム
状コイル素子を目的とする指向性に合わせて配列し、そ
のフィルム状コイル素子の数に対応するスイッチを実装
することにより、様々な指向性をもつアンテナを構成す
ることができる。

【００１５】また、フィルム状コイル素子の薄膜導体の
形状パターンについても、必ずしも図１に示すようなコ
イル形状にする必要はなく、単なる矩形の導体でも良
く、目標とする電磁波の帯域や使用目的に応じて種々の
形状パターンが考えられる。

【００１６】さらに、プリント基板についても、両面に
銅箔を有する両面基板を用いて、両面に薄膜導体を形成
し、さらに絶縁部材を貫通する接続導体としてのスルー
ホールで両面の薄膜導体を接続する構造とすることによ
り、フィルム状コイル素子のインダクタンス値を大きく
することができる。また、ハードボードのプリント基板
に限らずフレキシブルプリント基板（ＦＰＣ）を使用す
ることにより、機器への組込みをより容易にすることが
可能となる。さらに、フィルム状コイル素子を支持する
支持手段（ベース）もプリント基板に限らず、アンテナ
を組み込む機器自体の絶縁部材のケースを支持手段とし
て活用することも可能である。

【００１７】なお、上記実施例においては、二次元のア
ンテナ構成としたが複数のプリント基板を立体的に組合
せることにより、立体的な指向性をもつアンテナを構成
することができる。

【００１８】次に、この発明のフィルム状コイル素子の
実施例について説明する。図２はこの発明のフィルム状
コイル素子の第１の実施例の構造を示す図である。図２
（ａ）はその平面図であり、図２（ｂ）は図２（ａ）の
Ａ−Ａにおける断面図である。図２において、５ａ及び
５ｂは、ポリエチレンテレフタラート（ＰＥＴ）やポリ
塩化ビニール（ＰＣＢ）等の合成樹脂の２枚のベースフ
ィルムである。この２枚のベースフィルム５ａ及び５ｂ
は接着剤６により相互に接着され、さらにこの接着剤６
の内部には薄膜誘電体７が埋設されている。また、ベー
スフィルム５ａ及び５ｂの表面上の、ちょうど薄膜誘電
体７を挾む位置に、銅箔等の薄膜導体８ａ及び８ｂがそ
れぞれ接着剤６により接着されている。さらに、この２
枚の薄膜導体８ａ及び８ｂは接続導体としてのスルーホ
ール９により接続されている。この図に示すように、ス
ルーホール９で接続された薄膜導体８ａ及び８ｂは、薄
膜誘電体７の周囲を螺旋状に巻く形状となり、薄膜誘電
体７を芯材とする疑似コイルを形成する。そしてこのフ
ィルム状コイル素子をアンテナ素子として、複数のアン
テナ素子を放射状に配列してアンテナを構成する。

【００１９】このような構造を採ることにより、アンテ
ナを小型化することが可能となり、さらに薄膜誘電体７
の材質を選択することにより取り扱う電磁波に適合した
アンテナを構成することが可能となる。

【００２０】次に、この発明のフィルム状コイル素子の
第２の実施例について説明する。図３は第２の実施例に
おけるフィルム状コイル素子の構造を示す断面図であ
る。この実施例のフィルム状コイル素子の原理的な構造
は上記第１の実施例と同様であり、図２と同じ構成のも
のは同一の符号で示す。

【００２１】図３において、ベースフィルムと薄膜導体
とは、図２と同様な方法で接着剤により接着することも
可能であるが、この実施例では、エッチング又は蒸着に
よりベースフィルムに薄膜導体が成膜され一体となった
ものを使用している。図３に示すように、それぞれ薄膜
導体８ａ及び８ｂを表面に有するベースフィルム５ａ及
び５ｂは、薄膜誘電体７を内蔵する接着剤６により接着
されている。さらに、それぞれ薄膜導体１１ａ及び１１
ｂを表面に有するベースフィルム１０ａ及び１０ｂを、
接着剤６によりそれぞれベースフィルム５ａ及び５ｂに
接着する。そして、薄膜導体５ａ及び５ｂ同士をスルー
ホール９で接続し、薄膜導体１１ａ及び１１ｂ同士をス
ルーホール９で接続する。

【００２２】かかる構成により、薄膜誘電体７の周囲を
螺旋状に巻く疑似コイルを二重にすることができ、フィ
ルム状コイル素子のインダクタンス値を大きくして、こ
のフィルム状コイル素子を用いることにより、低い周波
数の電磁波にも対応するアンテナを実現することができ
る。なお、この実施例では二重巻きのコイル構造とした
が、三重以上の多重のフィルム状コイル素子の構造も可
能である。

【００２３】次に、この発明のフィルム状コイル素子の
第３の実施例について説明する。図４は第３の実施例に
おけるフィルム状コイル素子の構造を示す図である。図
４において、フィルム状コイル素子は、ひと巻きごとに
中間タップが設けられており、その中間タップに接続さ
れた接点を有するスイッチ１３が設けられている。そし
て、図には示さないがスイッチ１３の接点のオン・オフ
を制御する制御手段が機器側に設けられており、電磁波
の送受信に寄与するコイル巻数を任意に選択する構成と
なっている。すなわち、スイッチ１３はコイル１２の巻
数を任意に選択する巻数選択手段を構成する。かかる構
成のフィルム状コイル素子をアンテナ素子として使用す
ることにより、送受信する電磁波の周波数を細かく選択
することが可能な広帯域のアンテナを実現できる。

【００２４】なお、この発明によるフィルム状コイル素
子を指向性切換アンテナに使用したが、薄型形状である
上、製造が簡単でかつ均一な電気的特性が得られるの
で、アンテナ以外の他の電子機器等にも使用することに
より、優れた効果が得られる。

【００２５】

【発明の効果】上記実施例から明らかなように、この発
明によるフィルム状コイル素子を使用した指向性切換ア
ンテナによれば、単一のアンテナでありながら電気的に
指向性を自在に変えることができるので、アンテナ回転
機構等を必要とすることなく、安価でしかも機器への組
込が容易な小型化された指向性アンテナを実現すること
ができる。さらに、製品ごとに均一な特性が得られるの
で量産時の歩留まりを向上させることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の指向性切換アンテナの実施例の構成
を示す図。

【図２】（ａ）はこの発明のフィルム状コイル素子の第
１の実施例の構造を示す平面図。 （ｂ）は図２（ａ）
のＡ−Ａにおける断面図。

【図３】この発明のフィルム状コイル素子の第２の実施
例の構造を示す断面図。

【図４】この発明のフィルム状コイル素子の第３の実施
例の構造を示す図。

【符号の説明】

１ プリント基板 ２ アンテナ ３，１３ スイッチ ４ 接続端子 ５ａ，５ｂ，１０ａ，１０ｂ ベースフィルム ６ 接着剤 ７ 薄膜誘電体 ８ａ，８ｂ，１１ａ，１１ｂ 薄膜導体 ９ スルーホール １２，Ｃ１〜Ｃ８ フィルム状コイル素子

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 送受信機器に接続され、電磁波を送受信
   する方向を切り換える指向性切換アンテナにおいて、同
   一基板上にコイル素子を放射状に配置した複数のアンテ
   ナ素子と、制御信号に応じて前記複数のアンテナ素子と
   前記送受信機器とを接続する複数のスイッチとを有する
   ことを特徴とする指向性切換アンテナ。
2. 【請求項２】 前記複数のスイッチの中から所定の少な
   くとも３つのスイッチを選択してオンすることにより、
   所定の対称位置関係にある一対のアンテナ素子と該アン
   テナ素子と直角の位置関係にある所定の１つのアンテナ
   素子が前記送受信機と接続状態となることにより、前記
   少なくとも３つのスイッチを選択してオンすることによ
   って選択された前記少なくとも３つのアンテナ素子がア
   クティブ駆動状態となることを特徴とする請求項１記載
   の指向性切換アンテナ。
3. 【請求項３】 少なくとも表裏の１面に薄膜導体を形成
   した板状の絶縁部材を用いて、薄膜誘電体を挾み込むよ
   うに重ね合わせ、さらに該相対向する前記薄膜導体の双
   方を接続導体を用いて導通させることを特徴とするフィ
   ルム状コイル素子。
4. 【請求項４】 前記絶縁部材に挾持された薄膜誘電体の
   周囲を少なくとも一対の前記薄膜導体と前記接続導体と
   によって、螺旋状に巻いて形成することを特徴とする請
   求項３記載のフィルム状コイル素子。
5. 【請求項５】 前記指向性切換アンテナのアンテナ素子
   は前記フィルム状コイル素子を同一基板上に複数個を用
   いて放射状に形成したことを特徴とする請求項１記載の
   指向性切換アンテナ。