JPH08640A - コードレスハンドピース及び根管長測定機能付き歯科治療装置 - Google Patents

コードレスハンドピース及び根管長測定機能付き歯科治療装置

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JPH08640A
JPH08640A JP6164552A JP16455294A JPH08640A JP H08640 A JPH08640 A JP H08640A JP 6164552 A JP6164552 A JP 6164552A JP 16455294 A JP16455294 A JP 16455294A JP H08640 A JPH08640 A JP H08640A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 根管長測定機能を備えた治療装置の操作性と
使いやすさを向上する。 【構成】 ハンドピース11をコードレスとして切削工
具駆動用のモータ、根管長測定回路18及び電源バッテ
リを搭載し、ヘッド14の工具保持機構をヘッド内部の
導電性部材を通じて上記根管長測定回路に導通させると
共に、上記電源バッテリを充電するための充電回路を備
えた充電器1を設けた。 【効果】 据置型の制御装置とハンドピースを結ぶリー
ド線が不要であり、治療ごとにリード線を外部配線する
必要もないので、ハンドピースの操作性が格段に向上さ
れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、コードレス式のハン
ドピースとこのハンドピースの電源バッテリを充電する
ための充電回路を備えた充電器とで構成された根管長測
定機能付きの歯科治療装置に関する。
【0002】
【従来の技術】ファイルやリーマなどの切削工具を根管
長測定用の電極と兼用し、根管長を測定しながら根管治
療を行えるようにした装置は周知である(例えば、実公
昭57−3303号公報、特開平5−64643号公報
等参照)。この場合に使用されるハンドピースは、制御
用リード線のほか必要に応じて注水管などを一本にまと
めたチューブによって据置型の制御装置に連結されてい
るが、このチューブが操作性を悪くする一因となってい
る。
【0003】また、従来の装置ではハンドピースとは別
体の据置型制御装置に根管長測定回路とその測定結果を
表示する表示部が設けられていたため、術者はその都度
患部から表示部に視線を移動させて表示データを確認す
る必要があった。
【0004】また、上記従来例では据置型の制御装置か
らハンドピースまで根管長測定回路のリード線を配線し
て切削工具に直接接続しており、このためハンドピース
の操作性が悪くなり、しかも治療ごとに測定回路のリー
ド線を外部配線することが必要で作業が煩わしいなどの
問題点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】この発明はこれらの点
に着目し、根管長測定回路を内蔵したコードレス式ハン
ドピースを採用し、しかも測定回路のリード線を外部配
線する必要をなくして、根管長測定機能を備えた治療装
置の操作性と使いやすさを向上することを目的としてな
されたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、この発明のコードレス式のハンドピースは、少な
くとも切削工具駆動用のモータ、根管長測定回路及び電
源バッテリを備えた本体と、根管長測定兼用の切削工具
が装着されるヘッド部から構成されている。
【0007】また、上記の構成において、ヘッド部の工
具保持機構を少なくともヘッド部内部の導電性部材を通
じて上記根管長測定回路の一方の端子に導通させてい
る。また、上記切削工具と根管長測定回路の一方の端子
との間を着脱自在な外部リード線で導通させることもで
きる。
【0008】また、上記の各ハンドピースは少なくとも
患者の口腔内に挿入される部分の外面を絶縁性材料で構
成される。
【0009】また、少なくとも根管長測定回路による測
定結果及び/又は切削工具が根管内の設定位置まで挿入
された時に切削工具を自動的に停止あるいは逆転させ、
又はその動作速度を低減させる挿入位置に関するデータ
及び/又は充電器との通信で受信したデータを記憶する
記憶手段を設けている。以下、上記のように切削工具が
設定位置まで挿入された時に自動的に切削工具を停止あ
るいは逆転させ、又はその動作速度を低減させることを
オートストップと総称する。
【0010】また、少なくとも根管長測定回路による測
定結果及び/又は上記オートストップの設定位置に関す
るデータ及び/又は充電器との通信で受信したデータを
表示する表示手段を設けている。この表示手段は、例え
ば複数個の表示ドットからなり、根管長測定回路による
測定結果に応じて各表示ドットの点滅周期が変化し、あ
るいは表示色が変化するように構成され、あるいは音響
出力を発するように構成される。
【0011】また、根管長測定回路による測定結果に基
づき、オートストップに関する制御を行う手段、及び/
又はオートストップが行われる位置を設定する設定手
段、を設けている。このオートストップ制御の機能は、
解除手段によって一時的に解除できるようにすることも
できる。なお、ハンドピースにはモータの回転数を設定
するための設定手段を設けることもできる。
【0012】また、上記の表示手段や設定手段を本体に
設け、本体をヘッド部のシャンクに対して回転可能に構
成しており、例えば、ヘッド部のシャンクと本体との間
に電気的接続と抜け止めを兼用する回転機構を設けて回
転可能としている。
【0013】また、充電器にセットされたことを検出す
る検出手段を設けている。
【0014】この発明の根管長測定機能付き歯科治療装
置は、上記のように少なくとも切削工具駆動用のモー
タ、根管長測定回路及び電源バッテリを備えたコードレ
ス式のハンドピースと、少なくとも上記電源バッテリを
充電するための充電回路を備えた充電器とで構成され
る。
【0015】また、この歯科治療装置にはハンドピース
と充電器との間でデータの送受信を行う双方向の通信手
段を設けることができる。この通信手段としては、ハン
ドピースを充電器にセットした時に相互に接続される信
号回路を介してデータの送受信を行う有線式の通信手段
と、ハンドピースを充電器にセットしていない時にデー
タの送受信を行う無線式の通信手段が可能であり、これ
らのいずれか一方あるいは両方を備えることができる。
【0016】有線式の通信手段の場合は信号回路や制御
装置の容量に余裕があるが、無線式の場合は特にハンド
ピース側のスペースや重量が限られている。そこで、送
受信されるデータは必要度の高いものに限定することが
望ましく、例えば、少なくともハンドピースに備えられ
た根管長測定回路による測定結果に関するデータ、オー
トストップ位置に関するデータ、切削工具の回転数に関
するデータ、あるいは電源バッテリの充電状態に関する
データのいずれかとしている。
【0017】また、通信手段により送受信されるデータ
に関する表示手段を充電器に備えている。
【0018】また、ハンドピースが充電器にセットされ
ている時にハンドピースの根管長測定回路に導通される
測定用端子を充電器に備えている。
【0019】また、ハンドピースのモータを制御するた
めの設定操作手段を充電器に備えており、この設定操作
手段としては、例えば、充電器に手動スイッチが設けら
れ、あるいは充電器に接続されるフートペダルが設けら
れる。
【0020】また、根管長測定回路の校正用等価インピ
ーダンスを充電器に備えており、ハンドピースが充電器
にセットされている時に根管長測定回路の校正を実施で
きるように構成している。
【0021】更に、ハンドピースがセットされるセット
部を充電器に複数個設け、複数のハンドピースに対する
充電と通信を実施できるように構成している。
【0022】
【作用】この発明のコードレス式のハンドピースは、切
削工具駆動用のモータ、根管長測定回路、電源バッテリ
を備えており、ヘッド部に根管長測定兼用の切削工具を
装着することにより必要な切削治療と根管長測定を行う
ことができるが、据置型の制御装置とハンドピースを結
ぶリード線がないため、これに煩わされることなくハン
ドピースを操作することができ、操作性が格段に向上す
る。
【0023】また、ヘッド部の工具保持機構が少なくと
もヘッド部内部の導電性部材を通じて根管長測定回路の
一方の端子に導通させることにより、切削工具に対する
外部配線が不要となる。
【0024】また、切削工具と根管長測定回路の一方の
端子とを外部リード線で導通させたものでは、リード線
はそれほど邪魔にならないので操作性はよく、しかもハ
ンドピースの構造が簡単になる。
【0025】また、少なくとも患者の口腔内に挿入され
る部分の外面を絶縁性材料で構成することにより、ハン
ドピースの一部が患者に触れても測定回路が影響を受け
ることがなく、測定を支障なく続けることができる。
【0026】また、根管長測定結果やオートストップ位
置及び充電器から受信したデータを記憶することによ
り、小さい容量の記憶手段であっても施術に必要な制御
が可能となる。
【0027】また、上記の諸データに関する表示をハン
ドピース上に行うことにより、術者は必要な最低限の表
示を手元で確認しながら施術を続けることができ、また
音響出力を発する表示手段であれば視線を移動させるこ
となく表示を確認できる。
【0028】また、オートストップの制御手段やオート
ストップ位置の設定手段を設けることにより、オートス
トップ制御を実施することができ、また解除手段でこの
オートストップ制御を一時的に解除することによりモー
タを再駆動できるので、切削工具を根管から抜き取る操
作が容易となる。
【0029】また、表示手段や設定手段を設けた本体を
ヘッド部のシャンクに対して回転可能とすることによ
り、表示の確認や設定操作を治療の部位に関係なく行う
ことができる。
【0030】また、充電器にセットされたことを検出す
る検出手段を設けることにより、上述したようなデータ
の相互通信を確実に行うことができる。
【0031】上記のようなハンドピースと充電器とから
なる根管長測定機能付き歯科治療装置により、据置型の
制御装置からのリード線に煩わされることなくハンドピ
ースを自由に操作できて使いやすい治療装置を提供する
ことができ、ハンドピースの電源バッテリは充電器によ
って適宜充電することができる。また双方向の通信手段
によってハンドピースと充電器との間で必要なデータの
相互通信を自動的に行うことができる。
【0032】また、ハンドピース側と比較してスペース
に余裕があるので充電器には大きな表示手段を設けるこ
とができ、これを根管長測定装置の表示部として利用す
ることにより見やすい表示を行うことができる。
【0033】また、測定用端子を充電器に設けて根管長
測定回路に導通されるようにしたものでは、この端子に
測定電極用及びアース側電極用のリード線を接続するこ
とにより、ハンドピースの根管長測定回路をそのまま活
用して充電中の装置を根管長測定装置として用いること
が可能となる。
【0034】また、ハンドピースのモータを制御するた
めの設定操作手段を充電器に備えることにより、スペー
スに余裕のないハンドピース側にこれを設ける必要をな
くすことができる。
【0035】また、根管長測定回路の校正用等価インピ
ーダンスを充電器に備えることにより、充電中にハンド
ピースの根管長測定手段を校正することができる。
【0036】更に、充電器に複数のセット部を備えるこ
とにより、複数のコードレスハンドピースに対する充電
と通信ができるほか、各種の切削工具を装着したヘッド
部を用意しておき、充電の完了している本体と交換して
充電待ちをなくすと共に、各種の根管切削を速やかに行
うことが可能となる。
【0037】
【実施例】次に、この発明の実施例について説明する。
図1は一実施例の装置全体の外観斜視図、図2はハンド
ピースの側断面図、図3はその分解断面図、図4はヘッ
ド部の断面図、図5及び図6は制御回路のブロック図、
図7は制御手順のフローチャート、図8は充電器におけ
る表示パターンの一例を示した図、図9はハンドピース
り表示部の回路図、図10は制御回路の他のブロック図
である。また、図11は他の実施例のハンドピースの斜
視図である。
【0038】図1において、1は充電器であり、2はセ
ット部、3は表示部、4は充電中表示灯4a、充電完了
表示灯4bからなる充電表示灯、5はオートストップが
行われる位置を設定するための位置設定スイッチ、6は
根管長測定回路用ジャック、7は外部機器を外付けする
ためのコネクタ、8はこのコネクタ7に接続されたフー
トペダル、9はハンドピース接続用コネクタである。セ
ット部2は後述するハンドピースの本体に対応して充電
器1の上面に溝状に形成されたものであって、ハンドピ
ース接続用コネクタ9はセット部2の内面端部に設けて
ある。
【0039】11はハンドピースであって、図2及び図
3に示すように、本体11Aの先端にヘッド部11Bを
取り付ける構造となっている。本体11Aはバッテリモ
ジュール12aとモータモジュール12bから構成さ
れ、また、ヘッド部11Bはシャンクモジュール13と
ヘッドモジュール14から構成されている。ヘッド部1
1Bはシャンクモジュール13によって本体11Aに取
り付けられる構造で、ヘッドモジュール14には切削工
具15が装着されるようになっている。また、バッテリ
モジュール12aには電源バッテリ16が、モータモジ
ュール12bにはモータ17がそれぞれ内蔵されてお
り、バッテリモジュール12aには制御回路基板18a
と表示基板18bを備えた根管長測定モジュール18が
外付けされ、表示基板18bには複数個のLED18c
を一列に並べて設けてある。
【0040】上記の根管長測定モジュール18は係止片
18dによって本体11Aに機械的に固定されると共
に、端子部18e,18fにより本体11Aに電気的に
接続されるようになっており、制御回路基板18aは根
管長測定の動作だけでなく、モータ17の動作や、後述
する充電器1との通信など、ハンドピース全体の制御装
置として作動する。19はメインスイッチ、20は速度
コントローラであり、メインスイッチ19はバッテリモ
ジュール12aの先端上面付近に設けられ、速度コント
ローラ20はつまみの外周の一部が露出する状態で根管
長測定モジュール18に設けられている。
【0041】また、本体11Aの手元側端面には根管長
測定用のアース側電極を接続する根管長測定用ジャック
21と、充電器1への接続用コネクタ22が設けられて
いる。このコネクタ22と充電器1のコネクタ9は、図
1のようにセット部2にハンドピース11を正しくセッ
トした時に相互に接続される。
【0042】上記のメインスイッチ19はモータ17の
オンオフと根管長測定のオンオフを同時に行うもの、速
度コントローラ20は制御回路基板18aに設けられて
いる可変抵抗器を調整してモータ17の回転数と根管長
測定のオートストップ位置を設定するものである。この
ため、例えば、メインスイッチ19としては押すとオ
ン、離すとオフになるモーメンタリスイッチを使用し、
これとリレー等の制御回路を組み合わせて押し操作をラ
ッチできるようにし、モータ及び根管長測定のオンオフ
と、オートストップのオンオフという2種類の機能を、
押し操作時間の長短に応じて1個のスイッチで使い分け
るように構成される。
【0043】すなわち、メインスイッチ19を短時間押
して離した時は、モータ17が回転すると共にオートス
トップが機能する状態で根管長測定がオンになり、再度
スイッチ19を操作するとモータ17が停止し、同時に
根管長測定もオフされる。またメインスイッチ19を押
したままにした場合には、モータ17が回転すると共に
オートストップ機能が解除された状態で根管長測定がオ
ンになり、このメインスイッチ19を押した状態でオー
トストップ位置を速度コントローラ20で設定できるよ
うに構成されるのである。このように押し操作時間の長
短に応じてメインスイッチ19を使い分けて、スイッチ
19と速度コントローラ20にオートストップ位置の設
定機能を兼備させることにより、ハンドピース11の外
観がすっきりしたものとなる。
【0044】なおこのような使い分けをしないで、ハン
ドピース11に専用のオートストップ位置設定スイッチ
を設け、操作に応じて設定位置が変更されると共にその
位置が記憶され、且つ表示も変更されるようにしてもよ
い。図1において20aはUPあるいはDOWNの操作
部を備えた位置設定スイッチであり、図1では左側の本
体11Aのみにこのスイッチ20aが設けられている場
合を例示している。これにより上述のような使い分けの
場合と比較して操作がやや簡単になるので、操作性を重
視する場合に適した構成であると考えられる。
【0045】バッテリモジュール12aとモータモジュ
ール12b、モータモジュール12bとシャンクモジュ
ール13、シャンクモジュール13とヘッドモジュール
14は、それぞれ挿入抜き取りのできる着脱自在構造と
なっている。すなわち、バッテリモジュール12aとモ
ータモジュール12bは係止部25aと25bの係合に
より、モータモジュール12bとシャンクモジュール1
3はばねリング26aと環状溝26bの係合によりそれ
ぞれ抜け止めされており、モータモジュール12bはシ
ャンクモジュール13に対して回転自在且つ着脱自在と
なっている。
【0046】また、ヘッド部11Bを構成するシャンク
モジュール13とヘッドモジュール14は、偏心した溝
を内周面に有するリング部材13aを回転させることに
よりボール27aを内面に出没させ、このボール27a
を図4に示すヘッドモジュール14の穴27bに係合さ
せることによって、抜け止めされると共に回転不能に固
定され、また必要に応じて抜き取りできる着脱構造を備
えている。なお、以上述べた抜け止め構造は図示以外の
適宜の構造を採用することができる。
【0047】各モジュールの結合状態においては、モー
タ17は根管長測定モジュール18の制御回路基板18
aによって制御されて電源バッテリ16により駆動さ
れ、その出力軸17aの回転はクラッチ部17bを介し
てシャンクモジュール13の回転軸13bに伝達され、
更にヘッドモジュール14の駆動ギヤ14aに伝達され
る。
【0048】ヘッドモジュール14は図4のような構造
である。駆動ギヤ14aはベアリングホルダ14bに支
持された回転軸14cの一端に設けられており、他端に
はフロントギヤ14dが設けられている。このフロント
ギヤ14dは、ヘッドハウジング14eに支持された回
転軸14fに設けられたローターギヤ14gと噛み合っ
ており、回転軸14fの上端には工具保持機構14hが
設けられている。以上の基本的な構造は従来から知られ
ているものと同様であって、工具保持機構14hとして
は周知のものを適宜採用でき、これに保持された切削工
具15が駆動ギヤ14aの回転に伴って回転するのであ
るが、この実施例では更に次のような構成が付加されて
いる。
【0049】すなわち、14jはばね材からなるウエー
ブワッシャであり、ベアリングホルダ14bと回転軸1
4cのベアリングとの間に挿入されている。このため、
回転軸14cが図の左方向に加圧されており、その付勢
力によりフロントギヤ14dがローターギヤ14gの方
向に加圧されて、回転中でも両ギヤ14d,14g間の
接触が確実に保たれるようにしてある。また、ベアリン
グホルダ14bからウエーブワッシャ14j、回転軸1
4cとそのベアリング、ギヤ14d,14g及び工具保
持機構14hまでの関係するすべての部材は金属その他
の導電性材料で構成してあり、ベアリングホルダ14b
と工具保持機構14hの間は電気的に導通した状態とな
っている。
【0050】根管長測定モジュール18の端子18eは
測定回路の一方の電極用の端子であり、この端子18e
が接続されるバッテリモジュール12aの端子28aと
コネクタピン29の間、このコネクタピン29と接触す
る端子30とモータモジュール12bの端子31の間
は、それぞれ図2に鎖線で示すリード線32及び33に
よって相互に接続されている。更に、モータモジュール
12bは端子31を設けた挿入部12cの端面がシャン
クモジュール13内の導通用スプリング37に圧接し、
また、導電性のばねリング26aと環状溝26bの係合
により着脱回転可能となっており、スプリング37、軸
受部材38、シャンクモジュール13のハウジング13
cを経てヘッドモジュール14のベアリングホルダ14
bに導通している。これによって、モータモジュール1
2bはシャンクモジュール13に対して導電性を保ちつ
つ着脱可能、且つ回転可能となっている。
【0051】ここで、挿入部12c、スプリング37、
軸受部材38、ハウジング13cまでの関係する部材は
すべて金属その他の導電性材料で構成してある。また、
根管長測定モジュール18の他方の端子18fが接続さ
れる端子28bと根管長測定用ジャック21との間は、
図2に鎖線で示すようにリード線34によって接続され
ている。なお、コネクタ22の接続に関しては図示を省
略してあり、これについては図6のブロック図において
説明する。
【0052】以上の構成によって、根管長測定モジュー
ル18の端子18eとヘッドモジュール14に取り付け
られた切削工具15とは、ハンドピース11の内部の導
電性部材を通じて電気的に導通した状態となる。従っ
て、切削工具15に対する外部配線は不要であり、図1
に鎖線で示すように、測定回路の他方の一極、すなわち
口腔電極となるアース側電極21aをコネクタ21bを
備えたリード線21cを介して根管長測定用ジャック2
1に接続するだけで、根管長を測定できることになる。
このため切削工具15に対する外部配線に邪魔されない
でハンドピース11を操作できるようになり、操作性が
格段に向上すると共に治療ごとに外部配線を行う煩わし
さも解消される。
【0053】なお、ヘッドモジュール14とシャンクモ
ジュール13で構成されるヘッド部11B内に以上のよ
うな導通回路を形成するために、関係する部材にはすべ
て導電性材料が使用されており、シャンクモジュール1
3のハウジング13cはその表面に絶縁皮膜を形成して
ある。また、ヘッドモジュール14のヘッドハウジング
14eは上記の導通回路の一部にはならないため、合成
樹脂などの絶縁性材料の使用も可能であるが、導電性材
料が使用された場合にはシャンクモジュール13のハウ
ジング13cと同様にその表面には絶縁皮膜が形成され
る。なお、これらの絶縁皮膜は非常に薄いものでよいの
で、図には示してない。
【0054】このように表面を絶縁性とする部材は、実
施例ではヘッドモジュール14とシャンクモジュール1
3ということになるが、これは一例であり、ハンドピー
ス11の全体の形状や構造に応じて、少なくとも患者の
口腔内に挿入される可能性のある部分を絶縁性とすれば
よい。これによって、根管長測定の際に患者の口腔内な
どの組織にハンドピース11が触れることがあっても測
定回路が影響を受けることがなく、測定を支障なく続け
ることができるのである。
【0055】次に、図5及び図6のブロック図により制
御回路について説明する。図5は充電器の回路、図6は
ハンドピースの回路である。図5において、41は演算
用のCPU41a、制御や記憶用のROM41b,RA
M41cのほかに、図示しない入出力ポートなどを備え
た制御部である。42は充電回路、43は電圧検出回
路、44は有線送受信部であり、これらが図1に示した
表示部3、表示灯4、オートストップ位置設定スイッチ
5、コネクタ7及び9などと共に図示のように制御部4
1に接続されている。
【0056】コネクタ9は4個の端子で構成されてお
り、9aはアース端子、9bは充電端子、9cは送受信
端子、9dは根管長測定回路用端子である。根管長測定
回路用端子9dとアースとの間には、校正用等価インピ
ーダンス45と校正スイッチ46の直列回路、及び根管
長測定回路用ジャック6がそれぞれ接続されている。校
正スイッチ46は制御部41により制御されるものであ
る。また、充電器1の商用電源回路は図示してない。
【0057】図6において、51はCPU、52は根管
長測定回路、53はモータ制御部、54はメモリ、55
は通信モジュールであって、これらによって制御回路基
板18aが構成されており、この制御回路基板18aに
切削工具15、電源バッテリ16、モータ17、表示基
板18b、メインスイッチ19、速度コントローラ2
0、根管長測定用のアース側電極を接続するジャック2
1、コネクタ22が接続されている。また、オートスト
ップ位置設定スイッチ20aが設けられる場合には、こ
のスイッチも破線で示すように接続される。メモリ54
としては例えばEEPROMが使用される。
【0058】接続用コネクタ22は充電器1のコネクタ
9に対応して4個の端子で構成されており、22aはア
ース端子、22bは充電端子、22cは送受信端子、2
2dは根管長測定回路用端子である。電源バッテリ16
のプラス側は充電端子22bに接続され、根管長測定回
路52の端子18eは端子22dに、また通信モジュー
ル55は送受信端子22cにそれぞれ接続されており、
ハンドピース11が充電器1にセットされると対応する
コネクタ9の各端子にそれぞれ接続される。
【0059】回路構成は以上の通りであり、ハンドピー
ス11が充電器1のセット部2にセットされてコネクタ
22,9間が接続されると、制御部41の制御を受けな
がら電源バッテリ16が充電回路42によって充電さ
れ、電圧検出回路43によって端子電圧が所定の値に達
したことが検出されると充電は終了する。
【0060】また、根管長測定回路用ジャック6は充電
器1にハンドピース11がセットされている時に、ハン
ドピース11の根管長測定回路52に導通される測定用
端子である。従って、鎖線のようにアース側端子6aに
アース側の電極61を、測定側端子6bに測定電極62
をそれぞれ接続すると、ハンドピース11の根管長測定
回路52を利用して根管長測定を行うことができる。つ
まり、充電器1の制御部41が根管長測定機能を備えて
いないものであっても、充電器1を通常の据置型の根管
長測定装置として作動させることができるのである。こ
の場合は充電器1の大型の表示部3を利用できるので、
ハンドピース11の小型の表示基板18bとは異なり、
情報量が多く、しかも分かりやすい表示が可能となる。
【0061】なお、ジャック6にアース側電極61と測
定電極62を接続した状態は図1にも鎖線で示してある
が、アース側電極61は充電器1にセットされている状
態のハンドピース11のジャック21に直接接続しても
よい。この場合には、ハンドピース11で根管長を測定
する時にアース側電極21aをジャック21に接続する
ために用いられるリード線21cと同じ仕様で、全長の
みを長くしたものを用いればよい。
【0062】充電器1にはセット部2を2個設けてあ
り、同時に2本のハンドピース11を充電できるように
してある。すなわち、充電器1を共通の充電スタンドと
して使用しているのであり、セット部2を3個以上設け
ることも可能である。この場合には、後述する通信や根
管長測定回路52の校正は制御部41に制御されながら
1本ずつ実施される。なお、図1では一方のハンドピー
ス11は本体11Aのみをセット部2にセットした状態
を例示している。
【0063】ところで、ハンドピース11は小型軽量で
なければならないため、制御装置として作動する根管長
測定モジュール18の制御回路基板18aは小型であ
り、表示基板18bも複数個のLED18cを並べただ
けの比較的簡単なものである。そこで、この実施例では
これらの機能は最低限必要なものだけにして、例えば測
定結果の詳しい内容やオートストップ位置の設定値など
は制御回路基板18aのメモリ54に記憶させておき、
ハンドピース11が充電器1にセットされた時に有線送
受信部45を介してデータを送受信し、制御部41のR
AM41cに記憶させたり、表示部3に表示させたりす
るようにしている。
【0064】周知のように、切削工具が根尖に達したこ
とを正確に検出するためには根管長測定回路を校正する
必要がある。この実施例では、充電器1にハンドピース
11がセットされている時に、根管長測定モジュール1
8のCPU51から校正要求信号が出力されて校正が行
われる。この校正は測定の都度実施する必要はなく、測
定があらかじめ設定された回数、例えば100回行われ
るごとに1度実施されるようにしてある。
【0065】すなわち、制御部41が校正要求信号を受
信すると、校正スイッチ46をオンにして根管長測定回
路用端子9dとアースとの間に校正用等価インピーダン
ス45を接続し、校正インピーダンスオン信号を出力す
る。根管長測定モジュール18側では、この信号が出力
されている間に、例えば本出願人の出願に係る特願平3
−280515号(特開平5−92014号)に記載さ
れているような公知の校正方法によって根管長測定を実
施し、そのデータを用いて根管長測定回路52の校正を
実施するのである。
【0066】またこの実施例では、既に述べたようにハ
ンドピース11の速度コントローラ20でオートストッ
プ位置の設定も行えるようにしてあるが、オートストッ
プ位置など、モータ17を制御するための各種の設定機
能を充電器1側にも設けておき、通信で送られたデータ
をハンドピース11のメモリ54に記憶しておくように
することもできる。充電器1に設けられたオートストッ
プ位置設定スイッチ5は充電器1側でオートストップの
位置を設定するためのもので、前述したハンドピース1
1側の設定スイッチ20aと同様な機能を備えており、
これによりハンドピース11に搭載する操作部材や回路
部品を少なくすることができるので、ハンドピースの軽
量化に有効である。なお、これらの操作部材の配置は一
例であって、例えば速度コントローラを充電器1に設け
るなど、図示以外の配置の組み合わせも可能である。
【0067】また、充電器1側の操作部材は充電器1自
体に設けるのではなく、コネクタ7を介して外付けする
こともできる。図1及び図5に鎖線で示したフートペダ
ル8は外付けされる操作部材の一例として示したもので
あって、可変抵抗器8aを設けてこれでモータ17の速
度設定を行うようにしてある。その他、根管長測定回路
用ジャック6に測定電極62とアース側電極61を接続
して根管長測定を行う場合の制御用スイッチなど、他の
操作部材をフートペダル8に設けることができる。
【0068】なお、上記のコネクタ7は外付けされる操
作部材からの入力用として用いられているが、例えばプ
リンタなどの外部機器や他のコンピュータと組み合わせ
たシステムとしての使用が可能なように、これらの機器
を接続できる入出力用コネクタを適宜設けることもでき
る。
【0069】図7は以上述べたデータの送受信を中心と
した基本的な制御手順に関するフローチャートであり、
左側はハンドピース11における手順、右側は充電器1
における手順をそれぞれ示している。
【0070】ハンドピース11のステップ1は、通常の
根管長測定を行い、その結果を記憶する動作であり、ス
テップ2でセット完了が検出されるとステップ3に進
む。セット完了の検出は、ハンドピース11が充電器1
にセットされて両者間が電気的に接続されたことを根管
長測定回路18のCPU51で検出することにより行わ
れる。この検出により以下のデータの相互通信を確実に
行うことができ、また無駄のない動作が可能となる。ス
テップ3では出力モードを設定し、根管長測定、オート
ストップ位置、回転数などのデータ出力信号を準備す
る。
【0071】次のステップ4では、前回の校正以後の測
定回数があらかじめ設定してある回数に達していれば校
正要求信号を準備し、この信号とステップ3で準備した
信号を次のステップ5で充電器1に対して送信し、入力
モードを設定して充電器1からの信号受信に備える。ス
テップ6では充電器1からの送信があればこれを受信
し、受信した時は次のステップ7でその内容を確認し、
それに応じた動作やデータ記憶等を行う。また校正イン
ピーダンスオン信号を受信した時には校正を実施し、受
信していない時には校正を実施せずにステップ1に戻る
のである。
【0072】一方充電器1では、ハンドピース11が充
電器1にセットされ、両者間が電気的に接続されてセッ
トが完了したことを制御部41で検出すると、ステップ
11からステップ12に進んで入力モードを設定する。
次のステップ13では、ハンドピース11からの送信が
あればこれを受信し、受信した時はステップ14に進ん
でその内容を確認してそれに応じた動作やデータの表
示、記憶等を行う。
【0073】次いでステップ15で出力モードを設定
し、オートストップ位置を変更する場合にはそのための
信号を準備する。また校正要求信号を受信した時には、
ステップ16で校正スイッチ46をオンして校正インピ
ーダンスオン信号を準備し、ステップ15で準備した信
号と共に次のステップ17でハンドピース11に対して
送信し、引き続いて充電等の制御動作をステップ18で
行うのである。
【0074】なお以上の一連の動作は、ハンドピース1
1側ではステップ1で、また充電器1側ではステップ1
1でセット完了が検出されない場合、すなわちハンドピ
ース11が充電器1にセットされていない時には実施さ
れず、信号の送受信も行われない。また、上記のように
ハンドピース11と充電器1とが電気的に接続されたこ
とでセット完了を検出するのではなく、例えば、セット
時に対応する位置にある部材で押されてオンとなるよう
な検出スイッチを設けておき、そのオンオフでセット完
了を検出するような方式を採用することもできる。
【0075】以上は、ハンドピース11が充電器1にセ
ットされている時に有線送受信部44を介して行う有線
式の通信に関して述べたものであるが、この実施例では
更に無線式の通信手段も設けられている。すなわち、図
5の65及び66は充電器1に設けられた無線式の送信
部及び受信部であり、図6の67及び68はハンドピー
ス11に設けられた無線式の送信部及び受信部である。
これらの通信手段は赤外線、超音波、電波などを用いる
周知の技術に基づいて所定の通信機能が果たせるように
適宜構成される。
【0076】このような通信手段を設けることにより、
ハンドピース11を充電器1にセットしていない時に通
信を行うことができ、通信の結果を充電器1の表示パネ
ル3に表示することができるので、治療装置としての機
能と使いやすさをより向上させることが可能となる。こ
の場合、通信手段が双方向であるから前述した有線式通
信の対象となるデータの送受信はすべて可能であるが、
それではハンドピース11側の回路構成が大型で複雑な
ものになりやすく、制御手順も複雑となるため好ましい
ことではない。従って、この無線式の通信手段による通
信対象はある程度限定することが望ましい。
【0077】例えば、根管長測定結果やオートストップ
の設定位置、モータ17の回転数のように、そのデータ
をリアルタイムで処理することが臨床上特に意味のある
ものと、電源バッテリ16の充電状態(残存電力量)に
限定するのであり、これによって、ハンドピース11側
の回路構成や制御手順を複雑化しないで機能の優れた治
療装置を得ることができるのである。なお、電源バッテ
リ16が充電の必要な状態に近付いていることが充電器
1の制御部41で検出された時には、その旨を表示部3
に表示すると共に警報を発するようにしておけば、ハン
ドピース11を操作している時あるいは根管長測定中に
電源バッテリ16の放電で使用不能になるような事態を
未然に防止できる。
【0078】前述のフートペダル8の説明においては可
変抵抗器8aでモータ17の速度設定を行う例を述べた
が、これに限られるものではない。また無線式の通信手
段を備えた場合には、足の操作によって施術中にモータ
をオンオフしたり速度を調整したりすることができる。
また、モータ17の回転方向を切り換えることも可能と
なるから、このような構成とすることにより、切削工具
15を任意に駆動し、設定位置に達してオートストップ
した場合にフートペダル8の操作でモータ17を逆転さ
せることも可能となり、切削工具15による根管形成作
業や根管からの抜き取りが容易となる。
【0079】なお、このオートストップ位置におけるモ
ータ17の逆転は、フートペダル8の操作によらないで
例えばハンドピース11のメインスイッチ19の操作で
行えるようにしてもよい。またオートストップ位置に達
して停止した後、自動的に短時間だけ逆転するような構
成とすることもできる。
【0080】なお、フートペダルのような操作部材をリ
ード線を介して充電器1に接続するのではなく、これら
の操作部材と充電器1との間を無線式の通信手段で結ぶ
こともできる。例えば、フートペダル8に充電器1の送
信部65及び受信部66と通信可能な無線式の送受信部
を設けるのであり、これによってフートペダル8の設置
位置の自由度が高まり、操作性を向上することが可能に
なると共に、邪魔になりやすいケーブルをなくすことが
できる。
【0081】図8は充電器1の表示部3の表示パターン
の一例を示した図である。表示パネル3は例えば液晶パ
ネルで構成されており、歯牙を示す歯牙表示部3a、切
削工具15の挿入位置に応じて上から順に点灯する工具
表示部3b、モータ17の回転数に応じた数字が点灯す
る回転数表示部3c、オートストップ機能のオン時に点
灯するモード表示部3d、アース側電極を示す電極表示
部3e、オートストップの設定位置を示す位置表示部3
f等を備えている。このように、表示パネル3はある程
度面積が大きいので根管長測定装置として必要なすべて
のデータを表示することができる。
【0082】これに対して、ハンドピース11の根管長
測定モジュール18に設けられている表示部は、表示基
板18bに複数個のLED18cを一列に配置したもの
であるから表示内容は限定されたものとなる。図10は
その回路構成の一例を示したものである。すなわち、こ
こでは6個のLED18cが用いられており、図の上方
の4個は緑色、次の1個は黄色、最も下の1個は赤色の
発光色を持つものが使用され、それぞれバッファ18h
を介してCPU51の出力ポートに接続されている。こ
の図では出力ポートがLレベルになればLED18cが
発光するようになっており、その視認性を高めるために
HレベルとLレベルを繰り返して点滅させるようにして
ある。
【0083】上記の構成において、根管長測定結果、す
なわち切削工具15の挿入位置を表示する場合には、挿
入量に応じて上端のものから順次発光させ、あらかじめ
設定されているオートストップ位置に近付くと発光数が
増加すると共に黄色のものが発光するようになり、最後
に赤色が発光してオートストップ位置に達したことを報
知するのである。この場合、赤色のものを最初から発光
させてオートストップ位置を表示しておき、その位置に
切削工具15が達した時に点滅させて報知するようにし
てもよい。
【0084】このように、点滅の有無や点滅の周期を変
化させることによって異なる情報を表示することができ
るので、単に点灯する場合、点滅する場合、点滅の周
期、発光色などを組み合わせることにより、発光体を複
数個備えただけの簡単な構造の表示手段であってもある
程度の情報を区別して表示することが可能である。
【0085】上記のような発光体を用いて視覚に訴える
表示のほかに、例えば電子ブザー音や合成音声による言
葉などの音響出力によって表示を行うことも可能であ
り、施術者が患部から視線を移動させないで情報を得ら
れる利点がある。根管長測定装置において情報をイヤホ
ンで出力するものが知られているが、音響出力としては
例えばこれに準じた内容とすることができる。この音響
出力による表示手段は、ハンドピース11と充電器1の
いずれに設けてもよいが、電子ブザー音は比較的容易に
発生させることができ、音の種類や高さ、断続周期、強
弱などを変えることによってかなり多くの情報を表示す
ることができるので、軽量化が望まれるハンドピース1
1の表示手段として適したものの一つである。
【0086】ところで、根管長測定回路による測定結果
に基づき、切削工具が根管内の所定位置まで挿入された
時にその回転を自動的に停止あるいは低減させることは
公知であるため、これまでの記述では単にオートストッ
プと称してきた。この発明の目的の一つはハンドピース
をコードレス化してその操作性を向上させることにある
が、オートストップの制御に改良を加えることによって
一層使いやすい装置とすることができる。
【0087】図10はこのための回路の一例を示したも
のである。ここではゲイン調整器56aを備えたフィー
ドバック回路56を設けてあり、モータオンオフ信号が
出力されると、CPU51はモータ電源部53のモータ
駆動出力を信号回路56bによりフィードバック回路5
6にフィードバックし、モータ駆動出力を調整するよう
にしている。ゲイン調整器56aは例えばアナログスイ
ッチ等で構成されたものであり、ゲインを最大にすると
フィードバック量は最大となってモータ駆動出力はほと
んど0となる。
【0088】モータがオンされた時には、モータ電源部
53の駆動出力が設定回転数に対応する値まで徐々に上
昇するように、ゲイン調整器56aのゲインがCPU5
1によって制御され、モータ17はスムーズに立ち上が
ることができる。また、根管長測定回路52からのデー
タにより切削工具15が設定位置に近付いたことが検出
されると、CPU51はゲイン調整器56aのゲインを
制御してモータ電源部53の駆動出力を徐々に低下さ
せ、設定位置、例えば根尖部に達した時に完全にモータ
17を停止させるのである。これによりいわゆるスロー
ダウン制御が行われ、臨床的に重要な根尖部の保護が容
易となる。
【0089】従って、従来の装置ではリレーでモータ電
源をオンオフしているため、正常なフィードバックが作
用しないでオンの瞬間に高速回転するなどの異常を起こ
す可能性があったのであるが、上記のような動作によっ
て異常回転がなく、しかも術者に違和感を与えないスム
ーズなモータ17のオンオフを実現することができるよ
うになり、装置の使いやすさが一層向上されるのであ
る。なお、フィードバック回路56をハンドピース11
の制御回路基板18aに設けることがスペース的に困難
な場合には、モータオン時の異常動作を抑えるための制
御手段を充電器1に設け、無線通信手段によって信号を
送受するようにしてもよい。
【0090】以上述べた実施例は、根管長測定モジュー
ル18の端子18eとヘッドモジュール14に取り付け
られた切削工具15とを、本体11Aとヘッド部11B
の内部の導電性部材を通じて電気的に導通しているが、
この導通回路をすべてハンドピース11の内部を経由し
たものとせず、例えば少なくともヘッドモジュール14
だけは内部を経由し、残りの部分はハンドピース11に
沿わせた外部リード線で代替させることも可能である。
こうすれば、外部リード線はそれほど邪魔にならないの
で操作性は低下せず、しかもハンドピース11の内部構
造が比較的簡単になる。
【0091】図11はこれを更に簡略化し、切削工具1
5までの導通回路をすべて外部リード線で構成した請求
項3に対応する実施例である。図において、71は測定
電極用リード線71aとアース側電極用リード線71b
からなる外部リード線、72は測定電極、73はアース
側電極、74はコネクタであり、この場合にはハンドピ
ース11の根管長測定用ジャック21には2極のものを
使用し、これに根管長測定モジュール18の端子18
e,18fが接続される。
【0092】根管長を測定する時には、図示のようにコ
ネクタ74をジャック21に接続すると共に、測定電極
72を切削工具15に接続する。なお、コネクタ74か
ら切削工具15までのリード線71及び71aはなるべ
く短い長さとして、ハンドピース11に沿わせるように
する。これにより、外部リード線71はそれほど邪魔に
ならず、しかも切削工具15に対する制御装置からの外
部配線が不要であるというコードレスの特長をそのまま
発揮できるので、従来の装置に比べて操作性は良好であ
る。
【0093】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、この発
明のコードレスハンドピースは、切削工具駆動用のモー
タ、根管長測定回路、電源バッテリを備えているので、
据置型の制御装置とハンドピースを結ぶリード線に煩わ
されることなく操作することができ、治療ごとにリード
線を外部配線する必要もないので、操作性が格段に向上
される。
【0094】また、ヘッド部の工具保持機構を少なくと
もヘッド部内部の導電性部材を通じて根管長測定回路の
一方の端子に導通させたものでは、切削工具に対する外
部配線が不要となり、この点でハンドピースの操作性が
良好となる。
【0095】また、切削工具と根管長測定回路の一方の
端子とを外部リード線で導通させたものでは、リード線
はそれほど邪魔にならないのでハンドピースの操作性は
良好であり、しかもハンドピースの内部構造が簡単にな
る。
【0096】また、少なくとも患者の口腔内に挿入され
る範囲の外面を絶縁性材料で構成しているので、ハンド
ピースの一部が患者に触れても測定回路が影響を受ける
ことがなく、測定を支障なく続けることができる。
【0097】また、根管長測定結果やオートストップ位
置及び充電器から受信したデータを記憶することによ
り、小さい容量の記憶手段を設けておくことにより施術
に必要な制御が可能であり、小型軽量なハンドピースの
実現に有効である。
【0098】また、根管長測定結果やオートストップ位
置及び充電器から受信したデータを表示する手段を設け
ることにより、術者は必要な最低限の表示を手元で確認
しながら施術を続けることができるので、通常の根管長
測定装置と同様に使用することができ、また表示手段が
音響出力を発するものであれば、視線を移動させること
なく表示を確認できて便利である。
【0099】また、オートストップの制御手段やオート
ストップ位置の設定手段をハンドピースに設けることに
より、通常の装置と同様に手元で操作することによって
オートストップ制御を実施することができ、一時的にオ
ートストップの機能を解除できるようにすれば、切削工
具が根管に食い込んだ場合などでも抜き取りが容易とな
る。
【0100】また、表示手段や設定手段を設けた本体に
対してヘッド部を回転可能な構成とすることにより、表
示手段や設定操作手段を治療の部位に関係なく確認や操
作の容易な位置に常に向けておくことができ、使いやす
いハンドピースの実現に有効である。
【0101】また、充電器にセットされたことを検出す
る検出手段を設けることにより、データの相互通信を自
動で行うことができ、また無駄のない動作が可能とな
る。
【0102】この発明の根管長測定機能付き歯科治療装
置は、上記のようなコードレスハンドピースと、少なく
とも上記電源バッテリを充電するための充電回路を備え
た充電器とで構成したものであり、据置型の制御装置と
ハンドピース間を接続するリード線に煩わされることな
くハンドピースを自由に操作することができ、使いやす
い治療装置を提供することができる。
【0103】また、ハンドピースと充電器との間でデー
タの送受信を行う双方向の通信手段を設けたものでは、
電源バッテリの充電を行う間に必要なデータの送受信を
行わせることができる。
【0104】上記の通信手段が無線式の場合には、ハン
ドピースがコードレス式であっても通常の根管長測定装
置と同様な制御を行うことが可能であり、治療装置とし
ての機能と使いやすさを一層向上させることができる。
【0105】また、充電器に制御部や表示手段を設けて
いるので、ハンドピースを小型で軽量に保ちながら通常
の根管長測定装置と同様な機能を発揮させることが可能
となり、ハンドピースの操作性がよく、使いやすい治療
装置を得ることができる。
【0106】また、根管長測定回路に導通される測定用
端子を充電器に設けているので、充電中にハンドピース
の根管長測定回路を活用して通常の根管長測定装置とし
て用いることができ、機器の有効活用が可能となる。
【0107】また、ハンドピースのモータを制御するた
めの設定操作手段や、根管長測定回路の校正用等価イン
ピーダンスを充電器に備えることにより、スペースに余
裕のないハンドピース側にこれらを設ける必要がなく、
根管長測定機能を損なわないで小型軽量なハンドピース
を実現することができる。
【0108】更に、充電器に複数のセット部を備えるこ
とにより、複数のコードレスハンドピースに対する充電
と通信ができる。また、各種の切削工具を装着したヘッ
ド部を用意しておき、充電の完了している本体と随時交
換することができるので、充電待ちがなくなると共に各
種の根管切削を速やかに行うことが可能となり、診療効
率が向上される。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例の装置全体の外観斜視図で
ある。
【図2】同実施例のハンドピースの側断面図である。
【図3】同ハンドピースの分解断面図である。
【図4】同実施例のヘッド部の断面図である。
【図5】同実施例における充電器の制御回路のブロック
図である。
【図6】同実施例におけるハンドピースの制御回路のブ
ロック図である。
【図7】同実施例の制御手順のフローチャートである。
【図8】同実施例における充電器の表示パターンを例示
した図である。
【図9】同実施例におけるハンドピースの表示手段の回
路図である。
【図10】同実施例における改良された制御回路のブロ
ック図である。
【図11】他の実施例のハンドピースの斜視図である。
【符号の説明】
1 充電器 2 セット部 3 表示パネル 5 オートストップ位置設定スイッチ 6 根管長測定回路用ジャック 8 フートペダル 9 ハンドピース接続用コネクタ 11 ハンドピース 11A 本体 11B ヘッド部 13 シャンクモジュール 14 ヘッドモジュール 14h 工具保持機構 15 切削工具 16 電源バッテリ 17 モータ 18 根管長測定モジュール 18a 制御回路基板 18b 表示基板 18c LED 19 メインスイッチ 20 速度コントローラ 22 接続用コネクタ 41 制御部 42 充電回路 44 有線送受信部 45 校正用等価インピーダンス 51 CPU 52 根管長測定回路 53 モータ制御部 54 メモリ 55 通信モジュール 56 フィードバック回路 56a ゲイン調整器 65,67 送信部 66,68 受信部 71 外部リード線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 奥村 大 京都市伏見区東浜南町680 株式会社モリ タ製作所内

Claims (24)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも切削工具駆動用のモータ、根
    管長測定回路及び電源バッテリを備えた本体と、根管長
    測定兼用の切削工具が装着されるヘッド部から構成され
    ていることを特徴とするコードレスハンドピース。
  2. 【請求項2】 少なくとも切削工具駆動用のモータ、根
    管長測定回路及び電源バッテリを備えた本体と、根管長
    測定兼用の切削工具が装着されるヘッド部から構成さ
    れ、ヘッド部の工具保持機構が少なくともヘッド部内部
    の導電性部材を通じて上記根管長測定回路の一方の端子
    に導通していることを特徴とするコードレスハンドピー
    ス。
  3. 【請求項3】 少なくとも切削工具駆動用のモータ、根
    管長測定回路及び電源バッテリを備えた本体と、根管長
    測定兼用の切削工具が装着されるヘッド部から構成さ
    れ、上記切削工具と根管長測定回路の一方の端子との間
    を導通させる着脱自在な外部リード線を備えていること
    を特徴とするコードレスハンドピース。
  4. 【請求項4】 少なくとも患者の口腔内に挿入される範
    囲の外面を絶縁性材料で構成した請求項1,2又は3の
    いずれかに記載のコードレスハンドピース。
  5. 【請求項5】 少なくとも根管長測定回路による測定結
    果及び/又は切削工具が根管内の設定位置まで挿入され
    た時に切削工具を自動的に停止あるいは逆転させ、又は
    その動作速度を低減させる設定位置に関するデータ及び
    /又は電源バッテリを充電するための充電器との通信で
    受信したデータを記憶する記憶手段を設けた請求項1,
    2,3又は4のいずれかに記載のコードレスハンドピー
    ス。
  6. 【請求項6】 少なくとも根管長測定回路による測定結
    果及び/又は切削工具が根管内の設定位置まで挿入され
    た時に切削工具を自動的に停止あるいは逆転させ、又は
    その動作速度を低減させる設定位置に関するデータ及び
    /又は電源バッテリを充電するための充電器との通信に
    より受信したデータを表示する表示手段を設けた請求項
    1,2,3,4又は5のいずれかに記載のコードレスハ
    ンドピース。
  7. 【請求項7】 上記表示手段が複数個の表示ドットから
    なり、根管長測定回路による測定結果に応じて各表示ド
    ットの点滅周期及び/又は表示色が変化するように構成
    された請求項6記載のコードレスハンドピース。
  8. 【請求項8】 上記表示手段が、根管長測定回路による
    測定結果に応じた音響出力を発するように構成された請
    求項6記載のコードレスハンドピース。
  9. 【請求項9】 根管長測定回路による測定結果に基づ
    き、切削工具が根管内の設定位置まで挿入された時に切
    削工具を自動的に停止あるいは逆転させ、又はその動作
    速度を低減させる駆動制御手段、及び/又は上記設定位
    置を設定する設定手段、を設けた請求項1,2,3,
    4,5又は6のいずれかに記載のコードレスハンドピー
    ス。
  10. 【請求項10】 押し操作を行うことにより上記駆動制
    御手段の機能を一時的に解除する解除手段を設けた請求
    項9記載のコードレスハンドピース。
  11. 【請求項11】 上記表示手段及び/又は設定手段が本
    体に設けられており、且つ本体がヘッド部のシャンクに
    対して回転可能に構成された請求項6又は9記載のコー
    ドレスハンドピース。
  12. 【請求項12】 ヘッド部のシャンクと本体との間に電
    気的接続と抜け止めを兼用する回転機構を設けた請求項
    11記載のコードレスハンドピース。
  13. 【請求項13】 充電器にセットされたことを検出する
    検出手段を設けた請求項1,2又は3のいずれかに記載
    のコードレスハンドピース。
  14. 【請求項14】 少なくとも切削工具駆動用のモータ、
    根管長測定回路及び電源バッテリを備えたコードレス式
    のハンドピースと、少なくとも上記電源バッテリを充電
    するための充電回路を備えた充電器とで構成されている
    ことを特徴とする根管長測定機能付き歯科治療装置。
  15. 【請求項15】 少なくとも切削工具駆動用のモータ、
    根管長測定回路及び電源バッテリを備えたコードレス式
    のハンドピースと、少なくとも上記電源バッテリを充電
    するための充電回路を備えた充電器とで構成されてお
    り、且つハンドピースと充電器との間でデータの送受信
    を行う双方向の通信手段が設けられていることを特徴と
    する根管長測定機能付き歯科治療装置。
  16. 【請求項16】 ハンドピースを充電器にセットした時
    に相互に接続される信号回路を介してデータの送受信を
    行う有線式の通信手段を備えた請求項15記載の根管長
    測定機能付き歯科治療装置。
  17. 【請求項17】 ハンドピースを充電器にセットしてい
    ない時にデータの送受信を行う無線式の通信手段を備え
    た請求項15又は16記載の根管長測定機能付き歯科治
    療装置。
  18. 【請求項18】 上記無線式の通信手段によって送受信
    されるデータが、少なくともハンドピースに備えられた
    根管長測定回路による測定結果に関するデータ、ハンド
    ピースの切削工具が根管内の設定位置まで挿入された時
    に切削工具を自動的に停止あるいは逆転させ、又はその
    動作速度を低減させる設定位置に関するデータ、切削工
    具の回転数に関するデータ、あるいは電源バッテリの充
    電状態に関するデータのいずれかである請求項17記載
    の根管長測定機能付き歯科治療装置。
  19. 【請求項19】 通信手段により送受信されるデータに
    関する表示手段を充電器に備えた請求項15,16,1
    7又は18のいずれかに記載の根管長測定機能付き歯科
    治療装置。
  20. 【請求項20】 ハンドピースが充電器にセットされて
    いる時に、ハンドピースの根管長測定回路に導通される
    測定用端子を充電器に備えた請求項14,15,16,
    17,18又は19のいずれかに記載の根管長測定機能
    付き歯科治療装置。
  21. 【請求項21】 ハンドピースのモータを制御するため
    の設定操作手段を充電器に備えた請求項14,15,1
    6,17,18又は19のいずれかに記載の根管長測定
    機能付き歯科治療装置。
  22. 【請求項22】 上記設定操作手段が、充電器に設けら
    れた手動スイッチ、あるいは充電器に接続されるフート
    ペダルである請求項21記載の根管長測定機能付き歯科
    治療装置。
  23. 【請求項23】 根管長測定回路の校正用等価インピー
    ダンスを充電器に備えており、ハンドピースが充電器に
    セットされている時に根管長測定回路の校正を実施でき
    るように構成された請求項14,15,16又は17の
    いずれかに記載の根管長測定機能付き歯科治療装置。
  24. 【請求項24】 電源バッテリを充電するためにハンド
    ピースがセットされるセット部を充電器に複数個設け、
    複数のハンドピースに対する充電と通信を実施できるよ
    うに構成された請求項14,15,16又は17のいず
    れかに記載の根管長測定機能付き歯科治療装置。
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