JPH086403B2 - 太陽電池パネルの取付構造 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、パネルの取付施工、並
びに修理や交換における取り外し作業を極めて容易に行
うことができ、しかも水下部分での水切り性に優れる太
陽電池パネルの取付構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来より太陽光発電を行うための屋根構
造については、種々のものが提案されている。例えば実
開平３−８８３６１号公報、実開平４−４２５３６号公
報に記載のものは、透光性材料で形成した瓦の裏面或い
はその内部に太陽電池を備え付けたものを通常の瓦の取
付と同様に敷設するものである。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の屋根パネルは強化ガラスの裏面に太陽電池を接着す
るか、或いは太陽電池を樹脂封入して一体的に取り付け
たものであり、通常の瓦の取付と同様に敷設するもので
あるために裏面側に雨水などがまわり込み易く、太陽電
池セルが極めて劣化し易いものとなり、しかも強度（特
に端面強度）が低いものとなる。また、特に強化ガラス
の裏面に太陽電池を接着したものは、強化ガラスの裏面
側に取付凹部を設ける必要があるので大型太陽電池には
不向きである。さらに、特に太陽電池を樹脂封入したも
のは、単位面積当りの生産コストが極めて高いものとな
る。

【０００４】一方、特開昭５９−７７２５３号公報に
は、強化ガラスの側端面にアルミ押出部材等の金属製の
フレームがシール材を挟み込んで取り付けられる構成が
記載され、前記２例の問題点を解決して雨水の水切り作
用をすると共に端面を補強する。しかし、上記例では長
方形状に形成された強化ガラスを軒縁に平行に敷設する
ものであるため、水下側に配される一辺部では強化ガラ
スの上面から突出するフレームやシール材によってガラ
スの表面を流れる雨水等が堰き止められ、水溜まりが形
成される。そして、この水の滞留によりシール材が劣化
すると水が裏面に浸入し易くなるし、塵埃や水垢も付着
し易くなってこの汚れにより太陽電池の利用効率が低下
する。これらの現象はパネルの取り付け勾配（屋根の傾
斜）が緩く、フレームやシール材の突出高さが大きいほ
ど顕著になる。

【０００５】他方、特開平３−２４１１５７号公報には
複数の太陽電池パネルを重合させながら取り付ける構造
が記載されているが、パネルの取付方向が規制されると
共に、パネルの取付施工や修理或いは交換に際しての取
り外し作業が極めて面倒であるという問題点を有してい
る。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は上記に鑑み提案
されたものであり、太陽電池パネルを支持具を用いて下
地上に固定する太陽電池パネルの取付構造であり、前記
太陽電池パネルは、側端面がフレーム部材で囲まれた略
四方形状であり、前記支持具は下地上に固定される定着
部と、該定着部から上方へ延設された立ち上がり部と、
該立ち上がり部から延設された係止部とを備え、各太陽
電池パネルを一方の対角線が流れ方向に沿って他方の対
角線が水平方向に沿うように菱葺き状に配すると共に、
太陽電池パネルの水下側斜辺に位置するフレーム部材の
内面を支持具の係止部に当接させ、この当接部分にフレ
ーム部材の外面側から固定具を打ち込んで固定させるよ
うにしたことを特徴とする太陽電池パネルの取付構造に
関するものである。

【０００７】

【実施例】以下に本発明を図面の実施例に基づいて詳細
に説明する。

【０００８】本発明の太陽電池パネルの取付構造は、略
四方形である太陽電池パネル１を支持具２を用いて下地
Ａ上に固定するものである。

【０００９】上記太陽電池パネル１は、透光性を有する
強化ガラス３と、該強化ガラス３の裏面側に取り付けた
太陽電池（図示せず）と、強化ガラス３の側端面を囲む
フレーム部材４と、強化ガラス３の下面側に形成される
下方が開放された集熱空間１１内に配設される図示しな
い太陽熱集熱装置等とからなり、図１，２に示す第１実
施例では略正方形状のものが使用される。

【００１０】尚、上記フレーム部材４は、金属或いはそ
の他の高強度材料から作製されるものであり、図示実施
例では太陽電池パネルの側端面に沿う縦部４１の上端か
ら略水平状に上面部４２が延設され、中ほど及び下端か
ら上記上面部４２と同じ方向に略水平状の受面部４３及
び下面部４４が延設された断面略Ｅ字状の部材を一辺と
し、これを４本突き合わせて枠状としたものである。

【００１１】上記フレーム部材４で前記強化ガラス３の
側端面を囲むには、図示実施例のようなガスケット材５
を介在させて取り付ければ良い。このガスケット材５
は、前記フレーム部材４の受面部４３の上面に載置され
る支持部５１の外側端部に上方へ突出する当接部５２を
設けた構成である。また、上記支持部５１の上面から外
側上方へ突出する支持凸部５３を設けた。そして、上記
ガスケット材５を前記フレーム部材４の上面部４２と受
面部４３との間に形成される嵌合溝に嵌め込み、強化ガ
ラス３を支持凸部５３の上面に嵌め込むことにより、フ
レーム部材４を強化ガラス３の側端面に一体状に固定す
ることができる。

【００１２】また、支持具２は、狭幅の金属板等から作
製されるものであり、図示実施例では略水平状の定着部
２１の外側端部を折曲して立ち上がり部２２を立設し、
該立ち上がり部２２の上端を折曲加工して断面略Ｌ字状
の係止部２３を延設した構成である。尚、定着部２１及
び係止部２３の縦片部分にはビス等の貫通孔を穿設し
た。

【００１３】上述の構成の太陽電池パネル１を支持具２
を用いて下地Ａ上に取り付けるには、図１，２に示すよ
うに軒側から棟側へ太陽電池パネル１…を順次一部を重
合させて配設するのであるが、その際、各太陽電池パネ
ル１は一方の対角線が流れ方向に沿って他方の対角線が
水平方向に沿うように菱葺き状に配する。尚、図１，
５，７では上段、中段、下段の区別をそれぞれ括弧内に
示した。そして、まず支持具２の定着部２１を下地Ａ上
にボルト等により固定し、立ち上がり部２２を下段（図
１，２では中段）の太陽電池パネル１の水上側斜辺に位
置するフレーム部材４の（縦部４１の）外面に沿わせ
る。次に、その集熱空間１１内に支持具２の係止部２３
が位置するように上段の太陽電池パネル１をかぶせ、太
陽電池パネル１の水下側斜辺に位置するフレーム部材４
の（縦部４１の）内面を支持具２の係止部２３に当接さ
せる。尚、上段の太陽電池パネル１の左右の水下側斜辺
部分を下段の左右の太陽電池パネル１，１の水上側斜辺
部分に載置し、一部（載置部分）が重合した状態とす
る。この状態で、フレーム部材４の（縦部４１の）外面
側からビス等の固定具６を打ち込んでフレーム部材４と
支持具２とを固定する。したがって、太陽電池パネル１
は、水下側斜辺（に位置するフレーム部材４）が支持具
２を介して下地Ａ上に取り付けられ、水上側斜辺がその
上段の太陽電池パネル１（の水下側斜辺部分）に上方か
ら押さえられ、高い取付強度で敷設されている。

【００１４】このように、本発明の取付構造は太陽電池
パネル１を極めて容易に取り付けることができ、また、
修理や交換に際して取り外しするには、固定具６を外し
て太陽電池パネル１を下方へずらせば良いので、従来の
取付構造のように上下及び左右に隣接する太陽電池パネ
ル１…を全く動かす必要がない。勿論、再度取り付ける
場合にも前述の通りに施工すれば良いので、メンテナン
スを極めて容易に行うことができる。

【００１５】また、本発明における太陽電池パネル１は
それぞれ一方の対角線が流れ方向に沿って他方の対角線
が水平方向に沿うように菱葺き状に配され、且つ水上側
の太陽電池パネル１を水下側の太陽電池パネル１の上に
重合させたので、雨水は太陽電池パネル１の強化ガラス
３の表面を流下して水下側の頂部に集まり、その殆どが
上記水下側の頂部を越えて流下することになる。したが
って、強化ガラス３及びフレーム部材４並びに図示しな
いシール材は、水下側頂部付近を除く大半の部分におい
て雨水を滞留させないので、水垢や塵埃の付着が極めて
少なく、水による劣化等を殆ど生じない。また、この雨
水を滞留させない部分（上記頂部付近を除く部分）は、
従来の水下側にパネルの一辺が配されるように敷設され
た場合に比べてはるかに大きいものとなるので、相対的
に耐久性が高く、太陽電池の利用効率もまた高いものと
なる。

【００１６】尚、フレーム部材４の上面部４２の先端を
傾斜状としたり、シール材を設けて上記傾斜勾配を緩や
かにすると、水下側の頂部における水の貯留容量が低下
して上記効果は向上する。また、その水下側の頂部に位
置するフレーム部材４の上面部４２を切り欠くと、水の
貯留部分が全く消失し、前記水垢や塵埃の付着、水によ
る劣化等は殆ど解消されることになる。

【００１７】また、前記支持具２に代えて図３，４，６
に示す支持具２ａ，２ｂ，２ｃを使用するようにしても
良い。

【００１８】図３に示す支持具２ａは、立ち上がり部２
２ａを短尺に成形した以外は支持具２と全く同一の構成
としたものであるため、同一符号（ａを付記する）を付
して説明を省略する。この支持具２ａは太陽電池パネル
１の厚みが前記実施例より薄肉の場合に使用するもので
あり、その取付施工は前記実施例に準ずる。

【００１９】図４に示す支持具２ｂは、前記支持具２ａ
の２ケ分を一体とした形状で、上部立ち上がり部２２１
と下部立ち上がり部２２２との間に略平坦状の連結部２
４が設けられる構成であり、その他の形状は前記支持具
２と全く同一の構成であるため、同一符号（ｂを付記す
る）を付して説明を省略する。この支持具２ｂは図５に
示すように下段の太陽電池パネル１の水上側の頂部に連
結部２４の下面が被着するように固定され、上部立ち上
がり部２２１，２２１の外面に中段の太陽電池パネル
１，１の水上側斜辺が沿い、係止部２３ｂ，２３ｂが集
熱空間１１内に位置するように上段の太陽電池パネル１
をかぶせ、太陽電池パネル１の左右の水下側斜辺に位置
するフレーム部材４，４の内面を係止部２３ｂ，２３ｂ
に当接させ、フレーム部材４，４の外面から固定具６，
６を打ち込んで取り付けるのである。この支持具２ｂを
使用した取付構造においては、支持具２，２ａに比べて
部材数が少ないので施工性を向上させることができ、ま
た下段の太陽電池パネル１の水上側の頂部が連結部２４
の下面及び下部立ち上がり部２２２，２２２に当接する
状態となるので、左右へのズレがなく位置を規制するこ
とができる。

【００２０】図６に示す支持具２ｃは、上記支持具２ｂ
と同様に前記支持具２の２ケ分の役目を果たすものであ
り、定着部２１ｃの先端を上方へ折曲させた立ち上がり
部２２ｃを設けたもの２ケを略平坦状で将棋の駒のよう
な五角形状の受け部２５で連結し、該受け部２５の水下
側の端部に下方へ垂下する係止部２３ｃ，２３ｃを設
け、係止部２３ｃ，２３ｃの下方に挿入空間２６を形成
した構成である。この支持具２ｃは図７に示すように下
段の太陽電池パネル１の水上側の頂部が挿入空間２６の
下方に位置するように固定され、挿入空間２６の上方に
おいて中段の太陽電池パネル１，１の左右の頂部を突き
合わせて固定し、受け部２５が集熱空間１１内に位置す
るように上段の太陽電池パネル１をかぶせ、太陽電池パ
ネル１の左右の水下側斜辺に位置するフレーム部材４，
４の内面を係止部２３ｃ，２３ｃに当接させ、フレーム
部材４，４の外面から固定具６，６を打ち込んで取り付
けるのである。この支持具２ｃを使用した取付構造にお
いては、前記支持具２ｂと同様に支持具２，２ａに比べ
て部材数が少ないので取付施工性を向上させることがで
き、また下段の太陽電池パネル１の水上側の頂部（斜辺
部分）が立ち上がり部２２ｃ，２２ｃの軒端縁に当接す
る状態となるので、左右へのズレがなく位置を規制する
ことができ、さらには上段の太陽電池パネル１を被着す
る際に受け部２５が強化ガラス３の裏面側を受け止める
ので、固定具６の打ち込み作業などを容易に行うことが
できる。

【００２１】さらに、本発明の取付構造を屋根構造に実
施する場合には、例えば図８に示す屋根構造のように最
棟側に太陽光発電機能のないパネル材７０を前記太陽電
池パネル１を２分した寸法とすれば、前述の取付施工と
全く同様に支持具２などを使用して容易に取り付けるこ
とができる。そして、このようなパネル材７０を使用す
れば、本発明の菱葺き構造の効果を損なうことがない。
即ち、建物の美観を損なうことなく、これまで一般的で
あった水平線に平行な線とこれに直交する線とにより形
成される升目模様に比べて変化に富んだ幾何学模様をつ
くりだすことができ、意匠的にも綺麗なものとなる。

【００２２】また、必要な集熱面積が屋根面積より小さ
い場合には、図９に示すように太陽電池電池パネル１の
代わりに太陽光発電機能のないパネル材７１を組合せて
使用すれば過剰な投資を避けることができる。このパネ
ル材７１も上述と同様に太陽電池パネル１と同一寸法に
使用すれば前述の取付施工と全く同様に支持具２などを
使用して容易に取り付けることができる。そして、この
ようなパネル材７１は色調や表面形状を自由に変化させ
ることができるので、多彩なデザイン表現をすることが
可能となる。

【００２３】或いは、屋根下地に余りが生ずる場合に
は、図１０に示すように適当な屋根材８や、水切り材、
雨押さえ等を葺き成すようにしても良い。

【００２４】以上本発明を図面の実施例に基づいて説明
したが、本発明は上記実施例に限定されるものではな
く、特許請求の範囲に記載の構成を変更しない限りどの
ようにでも実施することができる。

【００２５】

【発明の効果】以上説明したように本発明は、太陽電池
パネルの取付施工を極めて容易に且つ迅速に行うことが
できるものである。また、太陽電池パネルの修理や交換
に際しても、従来の菱葺き屋根構造のようにその棟側に
位置する全ての葺き材を取り外す必要がなく、当該箇所
の太陽電池パネルだけを容易に取り外すことができ、再
度の取付もまた容易に行うことができる。したがって、
メンテナンスが極めて簡単なものとなる。

【００２６】また、本発明の取付構造における太陽電池
パネルは、それぞれ一方の対角線が流れ方向に沿って他
方の対角線が水平方向に沿うように菱葺き状に配置させ
たので、これまで一般的であった水平線に平行な線とこ
れに直交する線とにより形成される升目模様に比べて変
化に富んだ幾何学模様をつくりだすことができ、意匠的
にも綺麗なものとなる。さらに、しかも水下側の頂部付
近を除く大半の部分において雨水を滞留させることがな
く、しかも従来の水下側にパネルの一辺が配されるよう
に敷設した場合に比べて雨水を滞留させる部分が極めて
少ないために水垢や塵埃の付着が極めて少なく、また水
による劣化等も殆ど生じない。したがって、耐久性が高
いものとなり、太陽電池の利用効率もまた高いものとな
る。

【００２７】さらに、支持具に複数の係止部を設け、太
陽電池パネルの左右の水下側斜辺に位置するフレーム部
材の内面をそれぞれ上記係止部に固定させた取付構造に
おいては、使用する支持具の部材数が少なくなるので前
記取付施工が一層容易なものとなる。

【００２８】また、太陽電池パネルと同一寸法のパネル
材とを併用した屋根構造を施工することもできるので、
意匠的にも多彩なデザイン表現をすることが可能とな
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施例を示す平面図である。

【図２】図１のＩＩ−ＩＩ線における断面図である。

【図３】本発明に使用する支持具の他の実施例を示す斜
視図である。

【図４】本発明に使用する支持具の他の実施例を示す斜
視図である。

【図５】図４の支持具を用いた太陽電池パネルの取付状
態を示す（一部仮想線を含む）平面図である。

【図６】（ａ）は本発明に使用する支持具の他の実施例
を示す斜視図であり、（ｂ）はその支持具を裏面側から
見た斜視図である。

【図７】図６の支持具を用いた太陽電池パネルの取付状
態を示す（一部仮想線を含む）平面図である。

【図８】本発明の取付構造を屋根構造に実施した一例を
示す斜視図である。

【図９】本発明の取付構造を屋根構造に実施した他の一
例を示す斜視図である。

【図１０】本発明の取付構造を屋根構造に実施した他の
一例を示す斜視図である。

【符号の説明】

１ 太陽電池パネル ２ 支持具 ２１ 定着部 ２２ 立ち上がり部 ２３ 係止部 ４ フレーム部材 ６ 固定具 Ａ 下地

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 太陽電池パネルを支持具を用いて下地上
   に固定する太陽電池パネルの取付構造であり、 前記太陽電池パネルは、側端面がフレーム部材で囲まれ
   た略四方形状であり、 前記支持具は下地上に固定される定着部と、該定着部か
   ら上方へ延設された立ち上がり部と、該立ち上がり部か
   ら延設された係止部とを備え、 各太陽電池パネルを一方の対角線が流れ方向に沿って他
   方の対角線が水平方向に沿うように菱葺き状に配すると
   共に、太陽電池パネルの水下側斜辺に位置するフレーム
   部材の内面を支持具の係止部に当接させ、この当接部分
   にフレーム部材の外面側から固定具を打ち込んで固定さ
   せるようにしたことを特徴とする太陽電池パネルの取付
   構造。
2. 【請求項２】 支持具に複数の係止部を設け、太陽電池
   パネルの左右の水下側斜辺に位置するフレーム部材の内
   面をそれぞれ上記係止部に固定させるようにしたことを
   特徴とする請求項１に記載の太陽電池パネルの取付構
   造。