JPH086273A - 電子写真用感光体 - Google Patents

電子写真用感光体

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JPH086273A
JPH086273A JP15920394A JP15920394A JPH086273A JP H086273 A JPH086273 A JP H086273A JP 15920394 A JP15920394 A JP 15920394A JP 15920394 A JP15920394 A JP 15920394A JP H086273 A JPH086273 A JP H086273A
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郁子 山田
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恵美 河原
Masayuki Shiyoji
正幸 所司
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明夫 小島
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明の目的は、帯電性、感度に優れ、また
複写プロセスを繰返しても静電特性の安定性に富んだ電
子写真用感光体を提供すること。 【構成】 少なくとも電荷発生物質、有機正孔輸送物質
及び有機アクセプター性物質が結着剤中に分散され、か
つ該電荷発生物質としてアゾ系色素、該有機正孔輸送物
質としてトリフェニルアミン系化合物を、該有機アクセ
プター物質として、2,3−ジフェニルインデン化合物
を用いた感光層を有する単層型電子写真用感光体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電子写真用感光体に関
し、詳しくは、電子写真プロセスを用いた複写機、プリ
ンター等に用いられる電子写真用感光体に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】電子写真プロセスは静電力による潜像の
可視化を原理として用いたものであるため、そのプロセ
スの実施に用いられる電子写真用感光体には、暗所での
良好な帯電性と光照射による迅速な表面電位の減衰とが
要求される。かかるプロセス上で電子写真用感光体に必
要な特性は、固体物性値である暗抵抗の高さと良好な量
子効率、高い電荷移動度等に依存している。
【0003】これらの物性値を満足するものとして、従
来より、セレン、セレン−テルル合金、砒化セレン等の
無機化合物から構成された感光体が採用され多くの複写
機で用いられてきた。しかしながら、これらの材料は毒
性が強い、アモルファス状態で用いられるため取扱いが
厄介である、数十μmの厚さに真空蒸着する必要からコ
スト高である等の欠点があり、感光体として未解決の問
題を有しているものであった。
【0004】これらの欠点を改良乃至解消するため、有
機材料を用いた電子写真感光体(OPC)の開発が積極
的になされ実用に供されるようになってきた。実用化さ
れたOPCのほとんどは、その感光層が電荷発生機能を
有する層(CGL)と電荷輸送機能を有する層(CT
L)とからなる積層型の構成であり、もっぱら負帯電プ
ロセスに用いられている。その理由は、使用される材料
を混合し、単に単層として形成した感光体では、帯電
性、感度、静電的特性の疲労現象が実用の程度以下まで
低下する欠点が露呈してしまう場合が多いのに対し、積
層型ではこれらの欠点が極力抑えられ、且つ、機械的強
度に富み、厚膜の設計が可能なCTLを表面に配置する
ことで、プロセスに供された状態で十分な機械的耐久性
を感光体に保持させることが可能となるからである。ま
た高速電子写真プロセスにおいても支障のない程度の高
い電荷移動度を示す有機材料は現在のところほとんど正
孔移動の性質のみを有するドナー化合物に限られ、ま
た、静電的性質の疲労現象を極力抑え且つプロセスに供
された状態で感光体の機械的な耐久性を充分保持させる
には、電荷発生と電荷移動との機能を層ごとに分離した
機能分離構造とし、正孔移動性のCTLを表面に配置し
た積層型の感光体が静電特性面では最も合理的なものと
されたからである。しかしながら、このような機能分離
構造の電子写真用感光体は新たな問題を生じさせている
のが実情である。
【0005】その1つ目は感光体の負帯電に由来するも
のである。電子写真プロセスにおける信頼性の高い帯電
方式はコロナ放電によるものであり、ほとんどの複写
機、プリンタにはこの方式が採用されている。だが周知
のごとく、正極性と較べ負極性のコロナ放電は不安定で
あり、このためスコロトロンによる帯電方式が採用され
コストアップの一要因となっている。また、負極性のコ
ロナ放電はオゾンの発生をより多く伴うため、その外部
排出を防ぐべく負帯電方式の複写機、プリンタにはオゾ
ンフィルタが用いられている場合が多くこれも装置のコ
ストアップの要因となっている。正帯電方式であればオ
ゾン発生量は非常に少なく抑えられる。また、現状で広
く用いられているトナーは感光体が正帯電の方が環境変
動が少なく、安定した画像が得られ、この点からも正帯
電用の感光体が望ましい。
【0006】その2つ目は感光体の積層構造に由来する
ものである。有機材料を用いた感光体の製造では、真空
蒸着法と較べ安価な溶液塗布法を用いることが可能であ
るが、この様な積層タイプの感光体を製造するためには
少なくとも2回の塗布操作、通常は感光体の帯電性確保
のため基板のすぐ上(基板と感光層との間)に下引き層
を設けてあるため3回の塗布操作が必要であり、これら
複数回の塗布操作は感光体のコストアップにつながる。
さらに、感度及び耐久性のバランスを保ちまた良好な画
像を得るため、CGLの厚さをサブミクロンの範囲で管
理することも製造コストを一層引き上げる要因となって
いる。
【0007】こうした問題を考慮すると、有機材料を用
いた電子写真感光体としては、正帯電プロセスでの使用
が可能な単層型(感光層が一層からなるタイプのもの)
構成が望ましいことが理解される。さらに、該感光体が
そのまま、あるいは若干の変更で負帯電プロセスに用い
ることが可能であれば、安価で使用環境の自由度が高い
利点を有する感光体を創製することが出来ることも理解
される。しかしながら、この条件を満足する感光体の例
は非常に少ない。単層型の有機感光体として市販された
ものとしては、ポリビニルカルバゾールとトリニトロ
フルオレノンとからなる電荷移動錯体感光体(特公昭3
4−10966号)、チアピリリウム染料とポリカー
ボネートとからなる共晶錯体感光体(特公昭48−38
430号)、ペリレン系顔料及びヒドラゾンドナーが
樹脂中に分散された感光体(特開平2−37354
号)、等を数えるのみである。このうち、は負帯電
プロセスに用いられていたためオゾン発生の欠点を伴っ
ており、また、は感光体の感度が低いため、高速の複
写プロセスには不適な欠点を伴っていた。さらに、実用
化されている積層型感光体の成分を単に分散した場合に
は、帯電電位と感度が低く、特に繰返し使用でそれらが
大きく変動する欠点も克服出来ていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、帯電
性、感度に優れ、また複写プロセスを繰返しても静電特
性の安定性に富んだ単層型電子写真用感光体を提供する
ことにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意検討した結果、少なくとも電荷発生物
質、有機正孔輸送物質、有機アクセプター性物質が結着
剤中に分散され、かつ、該電荷発生物質としてアゾ系色
素を、該有機正孔輸送物質としてトリフェニルアミン系
化合物を、有機アクセプター性物質として2,3−ジフ
ェニルインデン化合物を用いた感光層を有する感光体が
上記目的に対して有効であることを見出し、本発明に至
った。すなわち、本発明によれば、導電性基体上に直接
又は下引き層を介して単層の感光層を設けてなり、その
感光層は少なくとも電荷発生物質、有機正孔輸送物質及
び有機アクセプター性化合物が結着剤中に分散され、か
つ、該電荷発生物質がアゾ系色素、該有機正孔輸送物質
がトリフェニルアミン系化合物、該有機アクセプター性
物質が2,3−ジフェニルインデン化合物であることを
特徴とする電子写真用感光体が提供される。また、本発
明によれば、該電荷発生物質であるアゾ系色素が下記一
般式(Ia)〜(Ic)から選ばれた少なくとも1種で
あることを特徴とする前記電子写真用感光体が提供さ
れ、また、本発明によれば、該有機正孔輸送物質が下記
一般式(II)で示されるトリフェニルアミン系化合物で
あることを特徴とする前記電子写真用感光体が提供され
る。 (式中、X1、X2及びX3はアゾ成分を表わし、Cpは
同一もしくは相異なるカップラー残基を表わす。)
【化1】 (式中、R1及びR2は、水素原子、アルキル基又はアリ
ール基を表わし、また、R1とR2の間で環を形成しても
よい。Ar1はアリーレン基又は複素環基を、Ar2およ
びAr3はアルキル基、アリール基又は複素環基を表わ
す。) 更に、本発明によれば、該有機アクセプター性物質が下
記一般式(III)で表わされる2,3−ジフェニルイン
デン化合物であることを特徴とする前記電子写真用感光
体が提供される。
【化2】 [(式中、R1、R2、R3及びR4は、水素原子、ハロゲ
ン原子、置換若しくは無置換のアルキル基、シアノ基及
びニトロ基よりなる群から選ばれた少なくとも1種の基
を表し、同一でも異なっていてもよい。 Xは、=O、下式(IV)及び(V) で表される基よりなる群から選ばれた少なくとも1種の
基を表す。 =C(A)(B) (IV) =N−R5 (V) (前記式(IV)において、A、Bは水素原子、ハロゲン
原子、シアノ基、置換もしくは無置換の芳香族基、及び
−COOR6よりなる群から選ばれた少なくとも1種の
基を表し、同一でも異なっていてもよい。前記式(V)
において、R5は置換もしくは無置換のアルキル基、置
換もしくは無置換の芳香族基、又はシアノ基を表わす。
6は置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは
無置換の芳香族基を表す。)]
【0010】このような感光体は帯電性と感度に優れ、
低速から高速の複写プロセスまで好適に適用される。本
発明において重要なことは、感光体材料の組み合わせと
して、電荷発生物質としてアゾ系色素好ましくは一般式
(Ia)〜(Ic)から選ばれた少なくとも1種を用い、
有機正孔輸送物質としてトリフェニルアミン系化合物好
ましくは一般式(II)で表わされるトリフェニルアミン
系化合物を用い、有機アクセプター性物質として一般式
(III)で表わされる2,3−ジフェニルインデン化合
物を用いることである。それにより、感光体の実用に支
障の来さない感度、帯電特性、静電特性が実現される。
【0011】従来の単層型電子写真用感光体のうち電荷
発生物質を樹脂に分散させた形態のものでは電荷発生物
質が電荷移動機能もかねており、且つ、正孔及び電子の
両方の電荷とも移動特性が良好な顔料が少ないため、感
度が低い、少数電荷が蓄積し、繰り返しにより帯電電位
が低下する等の欠点や、光照射後直ちに光減衰が開始し
ない誘導期間が存在し(インダクション効果)、静電潜
像電位のラチチュードが狭い等の欠点があった。またこ
のような感光体の正孔移動度を向上させるため、単に正
孔移動物質を添加した感光体では帯電性が低い、繰り返
し使用で帯電電位が著しく低下する等の欠点が克服でき
てはいなかった。本発明では、少なくとも電荷発生物
質、有機正孔移動物質、有機アクセプター性物質を結着
剤中に分散し、該電荷発生物質としてアゾ系色素を用
い、該有機正孔輸送物質及び有機アクセプター性物質と
して前記特定構造を有するトリフェニルアミン系化合
物、2,3−ジフェニルインデン化合物を各々用いるこ
とにより、上記の欠点を改良したものである。
【0012】この実現の機構は次のように推定してい
る。電荷発生物質は感光層中で粒子形態で存在してい
る。従って、光照射で発生した電子の感光層中における
移動は電荷発生物質粒子中と比べ電荷発生物質粒子間で
極めて悪くなり、この過程が感光層中に電子移動、寿命
を決定していると考えられる。このため、電荷発生物質
を保持しているマトリックス中に電子移動に優れ、且つ
電子親和力の高いアクセプター性化合物が存在すると、
電子は電荷発生物質粒子からアクセプター性化合物へ注
入され、マトリックスを通るスムーズな移動が達成でき
るものと考えられる。一般式(III)で表わされる2,
3−ジフェニルインデン化合物は電子を引きつける力が
高く、光照射により電荷発生物質で発生した大多数の電
子をアクセプター性化合物に移動させることができ、感
光体実用に支障を来たさない帯電性、感度、静電特性の
長寿命化が実現される。さらに、本発明では正孔移動に
非常に優れた正孔移動物質も樹脂マトリックス中に存在
しているため、感光層中の正孔移動もそれがないときに
比べスムーズになされる。
【0013】以下、本発明を添付の図面に沿って、さら
に詳細に説明する。図1は本発明に係わる感光体の一例
を示しており、1は導電性基体、2は感光層、21は電
荷発生物質、22は結着剤中に有機正孔移動物質と有機
アクセプター性物質とが分子状に分散されたマトリック
スを表わしている。
【0014】本発明の感光層には電荷発生物質として、
アゾ系色素好ましくは下記一般式(Ia)〜(Ic)から
選ばれた少なくとも1種が用いられるが、アゾ系色素の
感光層2に占める量は0.1〜40重量%好ましくは
0.3〜25重量%程度が適当である。 (式中、X1、X2、X3はアゾ成分を表わし、Cpは同
一もしくは相異なるカップラー残基を表わす。)
【0015】ここでX1の具体例を構造式で示すと次の
表1の通りである。
【表1】
【0016】X2の具体例を構造式で示すと次の表2の
通りである。
【表2−(1)】
【0017】
【表2−(2)】
【0018】
【表2−(3)】
【0019】
【表2−(4)】
【0020】X3の具体例を構造式で示すと次の化3の
通りである。
【化3】
【0021】カップラーとしては、たとえば、フェノー
ル類、ナフトール類などのフェノール性水酸基を有する
化合物、アミノ基を有する芳香族アミノ化合物、あるい
はアミノ基とフェノール性水酸基を有するアミノナフト
ール類、脂肪族もしくは芳香族のエノール性ケトン基
(活性メチレン基)をもつ化合物などが用いられ、好ま
しくは、カップラー残基Aが下記化4、化5、化6、化
7、化8、化9、化10、化11、化12の一般式で表
わされるものである。
【化4】
【化5】
【化6】
【化7】 〔前記化4、化5、化6および化7中、X、Y1、Z、
mおよびnはそれぞれ以下のものを表わす。 (R1およびR2は水素または置換もしくは無置換のアル
キル基を表わし、R3は置換もしくは無置換のアルキル
基または置換もしくは無置換のアリール基を表わす。) Y1:水素、ハロゲン、置換もしくは無置換のアルキル
基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、カルボキシ
基、スルホ基、置換もしくは無置換 (R4は水素、アルキル基またはその置換体、フェニル
基またはその置換体を表わし、Y2は炭化水素環基また
はその置換体、複素環基またはその置 置換体、複素環基またはその置換体あるいはスチリル基
またはその置換体、R6は水素、アルキル基、フェニル
基またはその置換体を表わすか、あるいはR5およびR6
はそれらに結合する炭素原子と共に環を形成してもよ
い。)を示す。) Z:炭化水素環基またはその置換体、複素環体またはそ
の置換体 n:1または2の整数 m:1または2の整数〕
【化8】
【化9】 (化8および化9中、R7は置換もしくは無置換の炭化
水素基を表わし、Xは前記に同じである。)
【化10】 (式中、R8はアルキル基、カルバモイル基、カルボキ
シル基またはそのエステルを表わし、Ar1は炭化水素
環基またはその置換体を表わし、Xは前記と同じであ
る。)
【化11】
【化12】 (上記化11および化12中、R9は水素または置換も
しくは無置換の炭化水素基を表わし、Ar2は炭化水素
環基またはその置換体を表わし、Xは前記と同じであ
る。)
【0022】前記化4、化5、化6または化7のZの炭
化水素環としてはベンゼン環、ナフタレン環などが例示
でき、また複素環としてはインドール環、カルバゾール
環、ベンゾフラン環などが例示できる。また、Zの環に
おける置換基としては塩素原子、臭素原子などのハロゲ
ン原子が例示できる。
【0023】Y2またはR5における炭化水素環基として
は、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、ピレニル
基などが、また、複素環基としてはピリジル基、チエニ
ル基、フリル基、インドリル基、べンゾフラニル基、カ
ルバゾリル基、ジベンゾフラニル基などが例示でき、さ
らに、R5およびR6が結合して形成する環としては、フ
ルオレン環などが例示できる。
【0024】Y2またはR5の炭化水素環基または複素環
基あるいはR5あるいはR6によって形成される環におけ
る置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、
ブチル基などのアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、
プロポキシ基、ブトキシ基などのアルコキシ基、塩素原
子、臭素原子などのハロゲン原子、ジメチルアミノ基、
ジエチルアミノ基などのジアルキルアミノ基、ジベンジ
ルアミノ基などのジアラルキルアミノ基、トリフルオロ
メチル基などのハロメチル基、ニトロ基、シアノ基、カ
ルボキシル基またはそのエステル、水酸基、−SO3
aなどのスルホン酸塩基などが挙げられる。
【0025】R4のフェニル基の置換体としては塩素原
子または臭素原子などのハロゲン原子が例示できる。R
7またはR9における炭化水素基の代表例としては、メチ
ル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などのアルキル
基、べンジル基などのアラルキル基、フェニル基などの
アリール基またはこれらの置換体が例示できる。
【0026】R7またはR9の炭化水素基における置換体
としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基
などのアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキ
シ基、ブトキシ基などのアルコキシ基、塩素原子、臭素
原子などのハロゲン原子、水酸基、ニトロ基などが例示
できる。
【0027】Ar1またはAr2における炭化水素環基と
しては、フェニル基、ナフチル基などがその代表例であ
り、また、これらの基における置換基としては、メチル
基、エチル基、プロピル基、ブチル基などのアルキル
基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ
基などのアルコキシ基、ニトロ基、塩素原子、臭素原子
などのハロゲン原子、シアノ基、ジメチルアミノ基、ジ
エチルアミノ基などのジアルキルアミノ基などが例示で
きる。
【0028】また、Xの中では特に水酸基が適当であ
る。上記カップラー残基の中でも好ましいのは上記化
5、化8、化9、化10、化11および化12で示され
るものであり、この中でも一般式におけるXが水酸基の
ものが好ましい。またこの中でも下記化5−(1)
【化5−(1)】 (Y1およびZは前記に同じ。)で表わされるカップラ
ー残基が好ましく、さらに好ましくは下記化5−(2)
【化5−(2)】 (Z、Y2およびR4は前記に同じ。)で示されるカップ
ラー残基である。さらにまた、上記好ましいカップラー
残基の中でも化5−(3)または化5−(4)
【化5−(3)】
【化5−(4)】 (Z、R4、R5およびR6は前記に同じであり、またR
10としては上記のY2の置換基が例示できる。)で表わ
されるものが適当である。
【0029】カップラー残基の具体例を構造式で示すと
次の表4の通りである。
【0030】
【表4−(1)】
【0031】
【表4−(2)】
【0032】
【表4−(3)】
【0033】
【表4−(4)】
【0034】
【表4−(5)】
【0035】
【表4−(6)】
【0036】
【表4−(7)】
【0037】
【表4−(8)】
【0038】
【表4−(9)】
【0039】
【表4−(10)】
【0040】
【表4−(11)】
【0041】
【表4−(12)】
【0042】
【表4−(13)】
【0043】
【表4−(14)】
【0044】本発明の感光層においては必須成分とし
て、トリフェニルアミン系化合物(正孔輸送物質)が含
まれている。感光層中でのトリフェニルアミン系化合物
の役割は電荷発生物質で発生した正孔を感光層中で移動
させることである。このトリフェニルアミン系化合物の
優れた正孔移動機能により、電荷発生物質で正孔が蓄積
されず、電荷発生物質で正孔が蓄積されず、電荷発生物
質の電荷発生機能を充分に発揮させることが可能とな
る。有機正孔輸送物質の感光層2全体に占める量は15
重量%以上好ましくは20〜40重量%である。
【0045】本発明で好ましく使用される一般式(II)
で示されるトリフェニルアミン系化合物の具体例を表5
に示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0046】
【表5−(1)】
【0047】
【表5−(2)】
【0048】
【表5−(3)】
【0049】本発明の感光層2においては、前記したよ
うに有機アクセプター性物質として、2,3−ジフェニ
ルインデン化合物が用いられるが、かかる2,3−ジフ
ェニルインデン化合物としては好適には下記一般式(II
I)で示される化合物が用いられる。
【化2】 [(式中、R1、R2、R3及びR4は、水素原子、ハロゲ
ン原子、置換若しくは無置換のアルキル基、シアノ基及
びニトロ基よりなる群から選ばれた少なくとも1種の基
を表し、同一でも異なっていてもよい。 Xは、=O、下式(IV)及び(V) で表される基よりなる群から選ばれた少なくとも1種の
基を表す。 =C(A)(B) (IV) =N−R5 (V) (前記式(IV)において、A、Bは水素原子、ハロゲン
原子、シアノ基、置換もしくは無置換の芳香族基、及び
−COOR6よりなる群から選ばれた少なくとも1種の
基を表し、同一でも異なっていてもよい。前記式(V)
において、R5は置換もしくは無置換のアルキル基、置
換もしくは無置換の芳香族基、又はシアノ基を表わす。
6は置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは
無置換の芳香族基を表す。)]
【0050】次に、これらの置換基について、例示を挙
げて説明する。上式(III)におけるR1、R2、R3及び
4において、置換もしくは無置換のアルキル基として
は、メチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル
基、n−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基などのアル
キル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基などのシ
クロアルキル基、トリフルオロメチル基、クロロメチル
基、プロモエチル基、フルオロプロピル基などのハロゲ
ン置換アルキル基、ベンジル基などがそれぞれ例示され
る。
【0051】置換もしくは無置換の芳香族基としては、
フェニル基、ナフチル基、アントラセン基、ピレン基な
どの芳香族基が例示され、その置換基としては、クロロ
基、ブロモ基、メチル基、エチル基、イソプロピル基、
t−ブチル基、n−ブチル基、ニトロ基、シアノ基、メ
トキシ基、エトキシ基、アセトキシ基、メトキシカルボ
ニル基、エトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル
基、メチルカルボニル基、エチルカルボニル基、N,N
−ジメチルアミノ基、ベンゾオキシアミノ基、N,N−
ジメチルアミド基、メチルチオキシ基、トリフルオロメ
チル基、フェニル基などが、それぞれ例示される。
【0052】上式(IV)におけるA、Bにおいて、置換
もしくは無置換の芳香族基としては、フェニル基、ナフ
チル基、アントラセン基、ピレン基などの芳香族基が例
示され、その置換基としては、クロロ基、ブロモ基、メ
チル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、n
−ブチル基、ニトロ基、シアノ基、メトキシ基、エトキ
シ基、アセトキシ基、メトキシカルボニル基、エトキシ
カルボニル基、ブトキシカルボニル基、メチルカルボニ
ル基、エチルカルボニル基、N,N−ジメチルアミノ
基、ベンゾオキシアミノ基、N,N−ジメチルアミド
基、メチルチオキシ基、トリフルオロメチル基、フェニ
ル基などがそれぞれ例示される。上式(III)及び
(IV)におけるR5及びR6において、置換もしくは無
置換のアルキル基、芳香族基の例は先にあげたR1
2、R3及びR4のそれらの例と同様である。上式(I
II)及び(IV)におけるR5及びR6において、置換
もしくは無置換の芳香族基の例は先に挙げたA及びBの
それらの例と同様である。
【0053】本発明の一般式(III)の2,3−ジフェ
ニルインデン化合物の具体例を、表6に示すが、これら
に限定されるものではない。
【0054】
【表6−(1)】
【0055】
【表6−(2)】
【0056】
【表7−(3)】
【0057】
【表8−(4)】
【0058】本発明で用いる有機アクセプター性物質で
ある2,3−ジフェニルインデン化合物の感光層2全体
に占める量は1〜40重量%、好ましくは5〜40重量
%である。
【0059】感光層2における結着剤の役割は電荷発生
物質21の良好な分散と、有機正孔輸送物質の分子状の
分散ばかりでなく、複写プロセスで必要とされる感光層
の機械的強度も担っている。このため、結着剤の組成比
が低い場合には、これらの諸性質が損なわれることとな
る。従って、感光層に占める結着剤の量はむやみに低く
はできない。これら結着剤の感光層全体に占める割合は
30〜90重量%好ましくは40〜70重量%が適当で
ある。
【0060】本発明で用いられる結着剤としては、ポリ
エチレン、ポリプロピレン、アクリル樹脂、メタクリル
樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、エポキシ樹
脂、ポリウレタン樹脂、ポリスチレン、フェノール樹
脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリカーボネ
ート樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂等の付加重合
型樹脂、重付加型樹脂、重縮合型樹脂、並びにこれらの
繰り返し単位のうち2つ以上を含む共重合体樹脂、例え
ば塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−
酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体樹脂などを挙げる
ことができる。
【0061】本発明の感光層2の厚さは5〜100μm
好ましくは10〜40μmくらいが適当である。5μm
より薄いと帯電性が低下し、逆に、100μmより厚い
と感度の低下をもたらす。
【0062】本発明で用いることができる導電性基体1
としては、アルミニウム、ニッケル、銅、ステンレス等
の金属板、金属ドラムまたは金属箔、アルミニウム、酸
化錫、ヨウ化銅などの薄膜を蒸着あるいは塗布したプラ
スチックフィルムあるいはガラス等が挙げられる。
【0063】また、本発明の感光体では帯電性を改良す
る目的で、感光層2と導電性基体1との間に下引き層を
設けることができる。下引き層の材料としては前記結着
剤材料の他に、ポリアミド樹脂、ポリビニルアルコー
ル、カゼイン、ポリビニルピロリドン等を用いることが
できる。下引き層の厚さは0.01〜10μm好ましく
は0.1〜5μmくらいが適当である。
【0064】本発明の感光体をつくるには、前記の材料
を有機溶媒中に溶解またはボールミル、超音波等で分散
して感光層形成液を調製し、これを浸漬法やブレード塗
布法、スプレー塗布法等で導電性基体1上に塗布し乾燥
して感光層2を形成すればよい。
【0065】
【実施例】本発明を実施例により具体的に説明するが、
これにより本発明が限定されるものではない。
【0066】実施例1〜8、比較例1〜3 表9に示したアゾ系色素0.5gをポリカーボネートZ
の10wt%テトラヒドロフラン溶液10g、テトラヒ
ドロフラン9gとともにボールミリングした後、顔料組
成2wt%、ポリカーボネートZ組成が50wt%、表
9に示したトリフェニルアミン系化合物が30wt%、
表9に示した2,3−ジフェニルインデン化合物が18
wt%となるように10wt%のポリカーボネート溶
液、トリフェニルアミン系化合物、2,3−ジフェニル
インデン化合物を加え、十分に撹拌し、感光体塗布液を
調製した。このようにして調製した塗布液をアルミニウ
ムを1000Aの厚さに蒸着した75μm厚のポリエス
テルフィルム上にドクターブレードにて塗布し、乾燥後
の膜厚が15μmの感光層を有する単層型電子写真感光
体を作製した。
【0067】以上のようにして作製した電子写真感光体
を川口電気(株)製の静電複写紙試験装置(SP−48
4)を用い+6KVのコロナ放電を20秒間行って帯電
せしめた後の表面電位をVs(V)、次いで20秒間暗
減衰させ、その時の表面電位Vo(V)、及び、その時
点から感光体表面の照度が201uxになるようにして
タングステン光を照射し、V0が1/2になるのに要す
る露光量をE1/2(lux/sec)、光照射30秒
後の表面電位V30(V)を測定した。その結果を表9に
示す。
【0068】
【表9】 なお、記号P1、P2、P3、D−12、D−20、
E、化合物No.2、No.4、TNFは以下の化合物
を意味する。
【0069】
【表10−(1)】
【表10−(2)】
【0070】
【発明の効果】本発明の電子写真用感光体は帯電性、感
度に優れ、また複写プロセスを繰返しても静電特性の安
定性に富んだものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる単層型電子写真用感光体の一例
の概略図。
【符号の説明】
1 導電性基体 2 感光層 21 電荷発生顔料 22 結着剤マトリックス中に有機正孔輸送物質と有機
アクセプター性化合物とが分子状に分散された層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小島 明夫 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性基体上に直接又は下引き層を介し
    て単層の感光層を設けてなり、その感光層は少なくとも
    電荷発生物質、有機正孔輸送物質及び有機アクセプター
    性物質が結着剤中に分散され、かつ、該電荷発生物質が
    アゾ系色素、該有機正孔輸送物質がトリフェニルアミン
    系物質、該有機アクセプター性物質が2,3−ジフェニ
    ルインデン化合物であることを特徴とする電子写真用感
    光体。
  2. 【請求項2】 電荷発生物質であるアゾ系色素が下記一
    般式(Ia)〜(Ic)で示される少なくとも1種である
    ことを特徴とする請求項1記載の電子写真用感光体。 (式中、X1、X2及びX3はアゾ成分を表わし、Cpは
    同一もしくは相異なるカップラー残基を表わす。)
  3. 【請求項3】 有機正孔輸送物質が下記一般式(II)で
    示されるトリフェニルアミン系化合物であることを特徴
    とする請求項1記載の電子写真用感光体。 【化1】 (式中、R1及びR2は、水素原子、アルキル基又はアリ
    ール基を表わし、また、R1とR2の間で環を形成しても
    よい。Ar1はアリーレン基又は複素環基を、Ar2およ
    びAr3はアルキル基、アリール基又は複素環基を表わ
    す。)
  4. 【請求項4】 有機アクセプター性物質が下記一般式
    (III)で表わされる2,3−ジフェニルインデン化合
    物であることを特徴とする請求項1記載の電子写真用感
    光体。 【化2】 [(式中、R1、R2、R3及びR4は、水素原子、ハロゲ
    ン原子、置換若しくは無置換のアルキル基、シアノ基及
    びニトロ基よりなる群から選ばれた少なくとも1種の基
    を表し、同一でも異なっていてもよい。 Xは、=O、下式(IV)及び(V) で表される基よりなる群から選ばれた少なくとも1種の
    基を表す。 =C(A)(B) (IV) =N−R5 (V) (前記式(IV)において、A、Bは水素原子、ハロゲン
    原子、シアノ基、置換もしくは無置換の芳香族基、及び
    −COOR6よりなる群から選ばれた少なくとも1種の
    基を表し、同一でも異なっていてもよい。前記式(V)
    において、R5は置換もしくは無置換のアルキル基、置
    換もしくは無置換の芳香族基、又はシアノ基を表わす。
    6は置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは
    無置換の芳香族基を表す。)]
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