JPH0861028A - 内燃機関用バルブの製造方法 - Google Patents
内燃機関用バルブの製造方法Info
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Abstract
ができる内燃機関用バルブの製造方法の提供。 【構成】 製造方法は、弁棒1と、弁棒1の先端側に傘
部2が一体に形成されたバルブ3を製造する方法であっ
て、傘部2の背面側には、首部4に連なり、内燃機関の
バルブシートと当接するフェイス部5が形成されてい
る。製造方法では、まず、点線で示すような形状に素材
が加工される。このとき使用される素材は、析出硬化型
Ni基合金であって、NCF80AやNCF751など
が使用される。所定形状に形成された素材は、次いで、
1点鎖線に示す形状に切削加工され、その後、型にセッ
トされて、鍛造加工が施される。2点鎖線で示した形状
が、鍛造加工後の状態であって、このときの鍛造加工で
は、特に、フェイス部5に相当する部分にすべり変形が
生じるようにして行なわれる。
Description
製造方法に関し、特に、バルブの傘部フェイスの硬度を
向上させることができる製造方法に関する。
イスは、バルブシートと接触して燃焼室を開閉するため
に、耐磨耗性や高温耐食性が要求されており、このよう
な要求に応えるべく、傘部フェイスにステライト6,1
2,20などのCo基材料の盛金や、Colmonoy♯6など
のNi基材料の盛金が施されていた。ところが、近時の
内燃機関においては、燃焼の高温化が促進されており、
このような盛金では、耐久性が十分に満足されないとい
う問題があった。
特公昭64−8699号公報には、内燃機関のバルブの
耐磨耗性や高温耐食性を改善する技術が開示されてい
る。前者の公報に開示されている技術は、特定組成比率
の析出硬化型Ni基合金を素材として使用し、この素材
に、最終熱間加工終了温度が700〜900℃で、加工
率25〜75%の熱間加工を施し、引き続いて、650
〜825℃の温度条件で熱処理を施すことを要旨として
おり、後者の公報に開示されている技術は、強析出硬化
型耐熱合金を材料とし、傘部を700〜900℃の温度
範囲で加工率20%以上の鍛造により成形し、時効硬化
処理を施すことを要旨としている。
いる技術には、以下に説明する技術的な課題があった。
開示されている技術によると、耐磨耗性や高温耐食性が
向上するものの、その平均的な硬度は、ビッカース硬度
で420程度であって、この程度の硬度では、硬度が不
足していて、傘部フェイスへ燃焼残渣が食い込み、圧痕
が比較的早期に発生して、耐吹き抜け性が悪化するとい
う問題があり、特に、低質の燃料を使用するディーゼル
エンジンにおいては、十分な性能を発揮することができ
なかった。また、吸気弁に上記技術を適用した場合に
も、硬度不足から耐磨耗性の向上が満足できるものでは
なかった。
てなされたものであって、その目的は、耐吹き抜け性と
耐磨耗性とを十分に向上させることができる内燃機関用
バルブの製造方法を提供することにある。
め、本発明は、析出硬化型Ni基合金を素材として使用
し、この素材に20〜500℃の温度範囲内で、傘部フ
ェイスにスベリ変形が生じる鍛造またはロール加工を施
すことを特徴とする。ここで、傘部フェイスにスベリ変
形が生じる鍛造またはロール加工を施す際の温度条件を
20〜500℃の範囲内に規定する理由は、20℃(室
温)未満の温度条件では、鍛造またはロール加工が困難
になること、また、500℃を越える温度条件では、鍛
造またはロール加工が焼き鈍し状態になって、傘部フェ
イスの硬度が上げられないことから、前記温度範囲内で
の鍛造またはロール加工を施す必要がある。
を、傘部フェイスの外周側で20〜80%に設定すると
ともに、傘部フェイスの内周側で10〜30%に設定す
ることができる。すべり変形が生じる鍛造またはロール
加工の加工率は、これを大きくすればする程硬度は上昇
するが、加工率が10%未満の場合には、硬度の上昇効
果が十分得られず、また、加工率が80%を越えると、
硬度上昇が急激に大きくなり、加工が困難になるだけで
なく、素材の靱性劣化が顕著になるので、加工率は、1
0〜80%の範囲内に設定することが望ましい。
を内周側よりも大きくすると、外周側の硬度上昇が大き
くなり、圧痕の発生が少なくなる。傘部フェイスの内周
側の加工率の上限は、30%を越えないことが望まし
い。その理由は、加工率を上げると、前述した如く硬度
が上昇するものの、素材の靱性が低下し、バルブの欠損
事故に繋がるため、加工率を30%以下に抑えることが
望ましい。
ール加工の後に、400〜700℃の温度範囲で、12
0〜300分の熱処理を施すことができる。このような
熱処理を施すと、傘部フェイスの硬度が上昇するととも
に、加工歪みの均一化が図られる。この場合、400℃
未満の温度では、硬度の上昇効果が十分得られず、ま
た、700℃を越えると、焼き鈍し状態になって同様に
硬度の上昇効果が不十分になる。
にTi,Al,Nbなどの時効硬化元素を含有させるこ
とができる。このような時効硬化元素を素材に含ませて
おくと、バルブを内燃機関に使用したときに、700℃
程度の温度になると、時効特性が生かされて、運転中に
硬度アップを図ることができる。
ば、析出硬化型Ni基合金を素材として使用し、この素
材に20〜500℃の温度範囲内で、傘部フェイスにス
ベリ変形が生じる鍛造またはロール加工を施すので、傘
部フェイスの硬度を向上させることができる。
はロール加工の加工率を、前記傘部フェイスの外周側で
20〜80%に設定するとともに、前記傘部フェイスの
内周側で10〜30%に設定するので、傘部フェイスの
外周側を内周側よりも高硬度にすることができる。さら
に、請求項3の構成によれば、鍛造またはロール加工の
後に、400〜700℃の温度範囲で、120〜300
分の熱処理を施すので、傘部フェイスの硬度をより一層
向上させることができる。さらにまた、請求項4の構成
によれば、素材にTi,Al,Nbなどの時効硬化元素
を含有させるので、運転中に傘部フェイスの硬度をより
一層向上させることができる。
を参照して詳細に説明する。図1から図9は、本発明に
かかる内燃機関用バルブの製造方法の一実施例を示して
いる。同図に示す製造方法は、図1に実線で示したよう
に、弁棒1と、この弁棒1の先端側に傘部2が一体に形
成されたバルブ3を製造する方法であって、傘部2の背
面側には、首部4に連なり、内燃機関のバルブシートと
当接するフェイス部5が形成されている。
で示すような形状に素材が加工される。このとき使用さ
れる素材は、析出硬化型Ni基合金であって、例えば、
NCF80AやNCF751などが使用される。所定形
状に形成された素材は、図1中の1点鎖線に示す形状に
切削加工され、その後、型にセットされて、鍛造加工が
施される。
後の状態であって、このときの鍛造加工では、特に、バ
ルブ3のフェイス部5に相当する部分にすべり変形が生
じるようにして行なわれる。つまり、図1にハッチング
で示した部分Aが、図1に点々で示した部分Bに移動す
るように鍛造加工が行なわれる。このときの鍛造加工
は、例えば、室温(20℃)で行なわれ、鍛造加工の加
工率は、例えば、フェース部5の外周側5aに相当する
部分で20〜80%、フェース部5の内周側5bの相当
する部分で10〜30%に設定される。
ス部5に相当する部分の高さをh0とし、フェース部5
の外周側5aに相当する部分の加工後の高さをh1 、フ
ェース部5の内周側5bの相当する部分の加工後の高さ
をh2 とすると、(h0 −h1 )/h0 ×100%およ
び(h0 −h2 )/h0 ×100%として求めることが
できる。
品は、その後外周部分に切削加工を施して、図1に実線
で示した最終製品バルブ3に加工される。図2および図
3は、素材としてNCF80Aを用い、フェース部5の
外周側5aに相当する部分の加工率を約37%、フェー
ス部5の内周側5bの相当する部分の加工を約12%に
設定し、室温ですべり変形が生じるように鍛造加工した
バルブ完成品の金属組織の拡大写真である。
縦断面のマクロ組織の拡大写真であって、バルブのフェ
イス部となる部分にすべり変形の線が認められる。図3
は、図2の複数の部分のミクロ組織の拡大写真であっ
て、図4に符号1で示したスベリ線に近接した部分の写
真が図3(A)であり、同符号2で示したフェイス部の
表面側に相当する部分の写真が図3(B)であり、同符
号3で示したスベリ変形に関係しない部分の写真が図3
(C)である。
べり変形に関係しない部分では、緻密で組織的な金属結
晶の結合が認められ、スベリ線に近接した部分では、金
属結晶に乱れが認められ、表面側では、金属結晶が変形
を受けていることが認められる。本発明者らは、このよ
うな金属結晶の変化が硬度を向上させることに寄与して
いるものと推定している。
を撮影するために試作したバルブ完成品の硬度試験を試
みた。図5に示したものがこの硬度試験の試験結果であ
る。この硬度試験では、同一素材を使用して、スベリ変
形が生じない方法で加工したバルブ完成品についても硬
度試験を行なった。図6は、その硬度試験の結果を示し
ている。
ルブ完成品のフェイス部相当部分の中心と、その前後
1.5mmおよび3mmの点にそれぞれ測定点を設定
し、これらの各測定点における表面部および深さが0.
5,1,2,3,4,5mmの点についてビッカース硬
度計で硬度を測定した。図5に示した硬度試験の結果を
見ると、本発明の製造方法では、ビッカース硬度が50
0以上の測定点が非常に多く認められるが、図6の場合
には、最高値が400にも達していない。また、図5で
は、硬度パターンは、フェイス部の外周側に相当する部
分が、内周側に相当する部分よりも高くなっているが、
図6ではこのような傾向が認められない。
相当する部分で、表面から深い範囲までビッカース硬度
が500以上の部分が認められ、内周側に相当する部分
では、ビッカース硬度が500以上の部分は、比較的浅
い範囲に留まっている。この硬度試験から明らかなよう
に、本発明の製造方法のようにスベリ変形が生じるよう
な鍛造加工を施すと、硬度が大幅に向上することが確認
された。
は同一ではない)に所定の熱処理(時効処理)を施し、
その前後の硬度変化を測定した結果を示している。この
試験では、素材としてNCF80Aと、本出願人が開発
した材料であるNMC490(40Ni−25Cr−T
i−Al−Nb)とを使用した。また、硬度の測定点
は、図9に示した3点P1,P2,P3 とし、これらの各測
定点P1,P2,P3 において表面からの距離が6mmの点
までビッカース硬度を測定した。
700℃とし、これらの温度条件で5時間処理した。図
7,8において、白抜き○,△,□で示したのが時効処
理前のビッカース硬度であり、黒●,▲,■で示したの
が時効処理後のビッカース硬度である。図7,8の試験
結果を見ると明らかなように、時効処理を施すと、各部
においてビッカース硬度が上昇することが認められ、硬
度アップが最も上昇したのは、NCF80Aが500℃
で、NMC490が600℃であった。
のバルブと、一般的に吹き抜け性が最も高いと評価され
ている盛金材料Colmonoy♯6を使用したバルブとをそれ
ぞれ製造し、これらの市場試験を試みた際の試験結果を
示している。この試験では、直径の異なる複数のバルブ
を複数個ずつ製造し、実際に使用される船舶用内燃機関
に装着して、吹き抜けが発生するまでの運転期間を測定
した。
本発明の製造方法で得られたバルブであり、黒●がColm
onoy♯6を盛金したバルブである。この試験結果から明
らかなように、本発明にかかる製造方法で得られたバル
ブは、いずれの径においても約6000時間を経過して
も全く吹き抜けが認められないが、Colmonoy♯6を盛金
したバルブでは、2000時間経過の前後において吹き
抜けが発生していて、本発明の製造方法で得られるバル
ブの耐吹き抜け性が大幅に向上することが判る。
させる加工手段として、型を使用する鍛造加工を例示し
たが、本発明の実施は、これに限定されることはなく、
例えば、ロール加工によってスベリ変形を起こさせても
上記実施例と同等の作用効果が得られる。
本発明にかかる内燃機関用バルブの製造方法によれば、
傘部フェースの硬度が大幅に向上するので、燃焼残渣に
よる圧痕が非常に付き難くなり、耐吹き抜け性が向上す
ると同時に、耐磨耗性も大きく向上する。
ースの外周側と内周側との加工率を変えることにより、
硬度バランスを任意に設定することができるとともに、
外周側の加工率を内周側よりも高くすると、外周側で硬
度が高くなって、圧痕が非常に発生し難くなるととも
に、内周側の靱性を高く保つことができるので、欠損事
故も低減できる。
変形を生じさせる鍛造またはロール加工により硬度を向
上させた上に、時効処理によりさらに硬度が向上するの
で、耐磨耗性や耐吹き抜け性をより一層顕著に改善する
ことができる。またさらに、請求項4の構成によれば、
運転中においてより一層の硬度アップが図れるので、バ
ルブ寿命を延長することができる。
一実施例の加工過程を示す説明図である。
態の金属組織の図面代用拡大写真である。
真である。
ある。
態での硬度試験の測定結果を示す説明図である。
硬度試験の測定結果を示す説明図である。
に、熱処理を施した場合の、熱処理の前後における硬度
試験の測定結果を示す説明図である。
料ですべり変形を発生させた後に、熱処理を施した場合
の、熱処理の前後における硬度試験の測定結果を示す説
明図である。
ある。
の製造方法で得られたバルブとを市場試験した時の耐吹
き抜け性の試験結果を示すグラブである。
Claims (4)
- 【請求項1】 析出硬化型Ni基合金を素材として使用
し、この素材に20〜500℃の温度範囲内で、傘部フ
ェイスにスベリ変形が生じる鍛造またはロール加工を施
すことを特徴とする内燃機関用バルブの製造方法。 - 【請求項2】 前記鍛造またはロール加工の加工率を、
前記傘部フェイスの外周側で20〜80%に設定すると
ともに、前記傘部フェイスの内周側で10〜30%に設
定することを特徴とする請求項1記載の内燃機関用バル
ブの製造方法。 - 【請求項3】 前記鍛造またはロール加工の後に、40
0〜700℃の温度範囲で、120〜300分の熱処理
を施すことを特徴とする請求項1または2記載の内燃機
関用バルブの製造方法。 - 【請求項4】 前記素材にTi,Al,Nbなどの時効
硬化元素を含有させることを特徴とする請求項1から3
のいずれか1項記載の内燃機関用バルブの製造方法。
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-
1994
- 1994-08-24 JP JP6220776A patent/JP2925945B2/ja not_active Expired - Lifetime
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