JPH0860772A - 建具用膳板の取付構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 カーテンウォールなどの建具の傾斜角度にか
かわらず、形状の異なる複数種類の膳板を必要とせず、
部品点数の増加を防ぐ。 【構成】 膳板４８，６０と、この膳板４８，６０に沿
って延びる取付部材３７，５１と、ヒンジ３６，５０，
６８，７８によって角変位自在に連結し、躯体に鉛直面
に対して傾斜して固定される建具３２の上枠３４および
下枠３５に、前記膳板４８，５９が取付けられた取付部
材３７，５１を、室内６１側でそれぞれ固定し、建具３
２の上枠３４と補助材４６との間の空間および建具３２
の下枠３５と補助材５２との間の空間を、前記膳板４
８，５９によって覆う。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、鉛直面に対して傾斜す
るカーテンウォールなどの建具に膳板を取付けるための
構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】図６は、典型的な先行技術の膳板の取付
構造を示す鉛直断面図である。この先行技術のカーテン
ウォール１は、板ガラス２の４周がアルミニウム合金の
形材から成り、ガラスパネル４の上部には無目材３が設
けられ、この無目材３にはヒンジ５によって排煙パネル
６が角変位自在に連結され、これらのガラスパネル４お
よび排煙パネル６によって構成される開口部７の上枠８
および下枠９には、アルミニウム合金またはステンレス
鋼から成る外装材１０，１１がそれぞれ固定されてい
る。

【０００３】このような、開口部７の上枠８には、室内
１３側で、前記上枠８と天井１４との間の空間を塞ぐ、
たとえばアルミニウム合金から成る上部膳板１５が固定
される。また、開口部７の下枠９には、この下枠９と床
に連なる腰板１６との間の空間を塞ぐ下部膳板１７が固
定される。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】このような先行技術で
は、前記開口部７がほぼ鉛直方向に配置されているた
め、各膳板１５，１７は、それぞれ同一の断面形状で図
６の紙面に直角な長手方向に連続的に設けることができ
るけれども、開口部７を傾斜して設ける必要があり、し
かもその傾斜角度が場所によって変化する場合には、図
６に示されるような構成によって各膳板１５，１７を開
口部７の上枠８および下枠９に取付けることができな
い。すなわち、図６に示される先行技術では、各膳板１
５，１７の室外１２側の各端部が、ビス１８，１９によ
って、上枠８および下枠９にそれぞれ予め固定されるＬ
字状の取付片２１，２２に固定されているので、前記開
口部７の鉛直面に対する傾斜角度が変化すると、各膳板
１５，１７の前記ビス１８，１９が挿通する室外１２側
の各一端部２３，２４を、開口部７の傾斜角度に応じて
傾斜させるとともに、幅（図６の左右方向）の異なる膳
板１５，１７を開口部７の傾斜角度に応じて複数準備し
なければならず、部品点数が多くなってしまうという問
題がある。

【０００５】したがって本発明の目的は、建具およびそ
れに連なる外装材の傾斜角度に拘わらず膳板の断面形状
の変化を少なくし、あるいはなくして、部品点数を少な
くすることができる建具用膳板の取付構造を提供するこ
とである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は、躯体に鉛直面
に対して傾斜して固定される建具の上枠および下枠に、
取付部材をそれぞれ固定し、取付部材に、この取付部材
に沿って延びる膳板を、枢着機構によって角変位自在に
連結し、建具の上枠と上部膳板補助材との間の空間およ
び建具の下枠と下部膳板補助材との間の空間を、前記膳
板によって覆うことを特徴とする建具用膳板の取付構造
である。

【０００７】

【作用】本発明に従えば、上枠および下枠に取付部材を
固定し、この取付部材に膳板を角変位自在に連結し、建
具の上枠と上部膳板補助材との間の空間および建具の下
枠と下部膳板補助材との間の空間を膳板によって覆うよ
うに構成される。これによって、建具の傾斜角度が変化
しても、前記取付部材が膳板に対して角変位し、したが
って膳板はたとえば水平のままとし、その膳板の断面形
状を前記建具の傾斜角度に応じて大きく変更することな
しに膳板を建具に取付けることができる。これによっ
て、建具の傾斜角度に応じて断面形状の異なる複数の膳
板を準備する必要がなくなり、断面形状の異なる膳板の
種類を少なくし、あるいは単一とし、建具の傾斜角度に
拘わらず少ない部品点数で建具の上枠と上部膳板補助材
との間の空間および建具の下枠と下部膳板補助材との間
の空間を覆うことができる。

【０００８】

【実施例】図１は、本発明の一実施例の傾斜建具用膳板
の取付構造を示す鉛直断面図である。たとえば、博物
館、美術館および展示ホールなどの建物には、外壁３１
が鉛直面に対して角度θを成して形成されており、この
外壁３１にはカーテンウォールと呼ばれる建具３２が同
様に角度θを成して傾斜して嵌め込まれる。建具３２
は、板ガラス３３と、板ガラス３３の上端部を保持する
アルミニウム合金の中空形材から成る上枠３４と、板ガ
ラス３３の下端部を保持し、アルミニウム合金の中空形
材から成る下枠３５とを有する。

【０００９】上枠３４には、下方に臨んで開放するＣ字
状の嵌合片３６が一体的に形成される取付部材３７が固
定される。上枠３４は、ボルト３８およびナット３９に
よってブラケット４０に固定される。ブラケット４０
は、方立４１にボルト４２およびナット４３によって固
定される。方立４１は、その長手方向に沿って一直線状
に延びる案内溝４４を有し、この案内溝４４に前記ボル
ト４２の頭部が嵌まり込み、ナット４３を緩めた状態で
ブラケット４０を位置決めすることができる。また、前
記ブラケット４０には、ボルト３８の軸部が挿通する長
孔４５が縦方向に延びて形成される。この長孔４５によ
って、ナット３９を緩めた状態で上枠３４をブラケット
４０に対して上下に位置決めすることができる。

【００１０】上枠３４には、上部膳板補助材４６の上方
に屈曲して延びる押さえ片４９がビス４７によって固定
される。取付部材３７には、この取付部材３７に沿って
上部膳板４８が矢符Ａ１，Ａ２方向に角変位自在に連結
される。このような上部膳板４８によって、建具３２の
上枠３４と上部膳板補助材４６との間の空間を覆うこと
ができる。

【００１１】下枠３５には、上方に臨んで開放するＣ字
状の嵌合片５０が一体的に形成される取付部材５１が固
定される。下枠３５にはまた、下部膳板補助材５２の下
方に延びる押さえ片５３がビス９０によって固定され
る。下枠３５には、ボルト５４およびナット５５によっ
てブラケット５６が固定され、ブラケット５６はボルト
５７およびナット５８によって前記方立４１に固定され
る。ボルト５７の頭部は、前記案内溝４４に嵌まり込
み、ナット５８を緩めた状態で、ブラケット５６を案内
溝４４に沿って変位させて位置決めすることができる。
また、ブラケット５６には、ボルト５４の軸部が挿通す
る長孔５９が形成され、この長孔５９によってブラケッ
ト５６に対して下枠３５を位置決めすることができる。
前記取付部材５１には、嵌合片５０によって矢符Ｂ１，
Ｂ２方向に角変位自在に支持される下部膳板６０が設け
られる。この下部膳板６０によって、建具３２の下枠３
５と下部膳板補助材５２との間の空間を覆うことができ
る。

【００１２】図２は、図１に示される上部膳板４８付近
の拡大断面図である。前記上部膳板４８は、建具３２の
上枠３４の室内６１側に前記取付部材３７によって取付
けられる。この上部膳板４８は、たとえばアルミニウム
合金から成る形材であって、上部膳板補助材４６とほぼ
平行に配置される平坦な板状部６２と、板状部６２の室
外６３側の幅方向一端部に連なり、建具３２の傾斜角度
θと同一の角度で上方に立上る室外側立上がり部６４
と、板状部６２の室内６１側の幅方向一端部からほぼ直
角に上方に立上る室内側立上がり部６５と、室内側立上
がり部６５の上端部から室内６１側に前記板状部６２と
平行に延び、天井板４６の屈曲部６６と前記押さえ片４
９の遊端部とによって挟持される挟持部６７と、板状部
６２の各立上がり部６４，６５間で、前記角度θを成し
て上方に傾斜して延び、遊端部６８が前記取付部材３７
の嵌合片３６の嵌合溝６９に、図３に示されるように、
回動自在に嵌まり込む連結片７０とを有する。前記嵌合
片３６と連結片７０とによって、枢着機構を構成する。

【００１３】前記板状部６２、各立上がり部６４，６５
および挟持部６７は、図２の紙面に直角な長手方向に延
び、連結片７０はこの長手方向に等間隔をあけて形成さ
れる。また、前記押さえ片４９は、上枠３４の長手方向
に間隔をあけて固定される、いわゆるピース材である。
この押さえ片４９間には、上部膳板補助材４６の上面
に、たとえば溶接によって固定される押さえばね７１が
設けられ、したがって上部膳板４８の挟持部６７は、押
さえ片４９と押さえばね７１とによって交互に弾発的に
押さえられ、浮上がりが防がれている。

【００１４】このような構成によって、建具３２の傾斜
角度θが変化しても、上部膳板４８は上部膳板補助材４
６とほぼ平行に配置した状態で、取付部材３７が前記傾
斜角度θに応じて角変位可能であるため、前記傾斜角度
θの変化に応じて上部膳板４８および取付部材３７の形
状を変更する必要がなく、これによって部品点数の増加
が防がれる。

【００１５】図４は、下部膳板６０付近の拡大断面図で
ある。下枠３５に取付部材５１によって室内６１側から
その取付部材５１に沿って取付けられる下部膳板５９
は、下部膳板補助材５２と平行に配置される平坦な板状
部７３と、板状部７３の室外６３側の幅方向一端部に連
なり、前記傾斜角度θとほぼ同一角度で、下方に突出す
る室外側立下がり部６４と、板状部７３の室内６１側の
幅方向一端部からほぼ直角に屈曲して下方に延びる室内
側立下がり部７５と、この室内側立下がり部７５の下端
部から室内６１側にほぼ直角に屈曲して延び、下部膳板
補助材５２の屈曲部７６と前記押さえ片５３とによって
挟持される挟持部７７と、板状部７３の各立下がり部７
４，７５間で傾斜角度θと同一方向に傾斜して下方に延
び、遊端部７８が取付部材５１の嵌合片５０の嵌合溝７
９に嵌まり込む連結片８０とを有する。前記嵌合片５０
と連結片８０とによって枢着機構を構成する。

【００１６】前記板状部７３、各立下がり部７４，７５
および挟持部７７は、図４の紙面に直角に長手方向に延
びる、いわゆる長尺材である。また連結片８０は、前記
長手方向に間隔をあけて形成される。取付部材５１と下
部膳板６０との連結は、たとえば図５に示されるよう
に、嵌合片５０には、その長手方向に前記連結片８０と
同一の間隔をあけて切欠き８１が形成され、この切欠き
８１を介して遊端部７８を嵌合溝７９内に嵌合させ、下
部膳板６０を嵌合溝７９に沿って長手方向に移動させる
ことによって、遊端部７８が嵌合溝７９内に抜け止めさ
れる。このように、遊端部７８の軸直角断面が円形とさ
れるのは、下部膳板６０上に人が乗るなどして荷重を受
けたとき、受圧面積を大きくして大きな強度で支持する
ためである。

【００１７】取付部材５１には、水抜き孔８３が形成さ
れ、また下枠３５には水抜きパイプ８４の基端部が嵌着
される取付孔８５が形成される。水抜きパイプ８４の他
端部には、排水用ホース８７が装着され、板ガラス３３
の室内６１側の表面などに結露した水を前記水抜き孔８
３、下枠３５内の空間８６、水抜きパイプ８４および排
水用ホース８７を介して図示しない排水パイプなどに排
出することができる。

【００１８】このような構成によって、建具３２の傾斜
角度θが変化しても、下部膳板６０は水平のままで取付
部材５１が下部膳板６０に対して角変位することができ
るので、下部膳板６０の形状を変更する必要がなく、こ
れによって部品点数を増加させることなしに、建具３２
と下部膳板補助材５２との間の空間を覆うことができ
る。

【００１９】

【発明の効果】以上のように本発明によれば、建具の上
枠および下枠に取付部材をそれぞれ固定し、この取付部
材に膳板を角変位自在に連結して、建具の上枠とその補
助材との間の空間および建具の下枠とその補助材との間
の空間を覆うようにしたので、前記建具の傾斜角度に拘
わらず、その傾斜角度の変化を許容することができ、し
たがって前記傾斜角度に応じて形状の異なる複数の膳板
を準備する必要がなく、部品点数の増加が防がれる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例の建具用膳板の取付構造を示
す鉛直断面図である。

【図２】図１に示される上部膳板４８付近の拡大断面図
である。

【図３】上部膳板４８と取付部材３７との取付状態を示
す断面図である。

【図４】図１に示される下部膳板６０付近の拡大断面図
である。

【図５】下部膳板６０と取付部材５１との取付状態を示
す一部の斜視図である。

【図６】典型的な先行技術の建具用膳板の取付構造を示
す鉛直断面図である。

【符号の説明】

３１ 外壁 ３２ 建具 ３３ 板ガラス ３４ 上枠 ３５ 下枠 ３６，５０ 嵌合片 ３７，５１ 取付部材 ４６ 上部膳板補助材 ４８ 上部膳板 ４９，５３ 押さえ片 ５２ 下部膳板補助材 ６０ 下部膳板 ６１ 室内 ６３ 室外 ６９，７９ 嵌合溝 ７０，８０ 連結片

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 躯体に鉛直面に対して傾斜して固定され
   る建具の上枠および下枠に取付部材をそれぞれ固定し、 取付部材に、この取付部材に沿って延びる膳板を、枢着
   機構によって角変位自在に連結し、 建具の上枠と上部膳板補助材との間の空間および建具の
   下枠と下部膳板補助材との間の空間を、前記膳板によっ
   て覆うことを特徴とする建具用膳板の取付構造。