JPH0860322A - Si−P含有鋼溶融亜鉛めっき鋼板および合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 - Google Patents

Si−P含有鋼溶融亜鉛めっき鋼板および合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法

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JPH0860322A
JPH0860322A JP19557294A JP19557294A JPH0860322A JP H0860322 A JPH0860322 A JP H0860322A JP 19557294 A JP19557294 A JP 19557294A JP 19557294 A JP19557294 A JP 19557294A JP H0860322 A JPH0860322 A JP H0860322A
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Masahiko Hori
雅彦 堀
Masahiro Arai
正浩 荒井
Atsuhisa Yagawa
敦久 矢川
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Abstract

(57)【要約】 【目的】Si含有鋼を母材とする、特に自動車用鋼板とし
て好適な溶融亜鉛めっき鋼板および合金化溶融亜鉛めっ
き鋼板の製造方法の提供。 【構成】Si: 0.2重量%以上およびP:0.02重量%以上
を含有する鋼板を母材とし、予熱処理し、次いで、550
〜700 ℃の温度範囲で10秒以上熱処理する工程、および
露点が−30〜0 ℃の還元性雰囲気中で、750 〜850 ℃の
温度範囲で1〜30秒熱処理する工程を順次経た後、溶融
亜鉛めっき浴に浸漬して溶融亜鉛めっき、および更に合
金化処理を行う。 【効果】めっき濡れ性不良および合金化速度の遅れを改
善し、経済的かつ効率的に製造することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、珪素(Si)を 0.2重量
%以上、および燐(P)を0.02重量%以上含有する鋼を
母材とし、特に自動車用鋼板として好適な溶融亜鉛めっ
き鋼板および合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】近年、家電製品、建材、および自動車等
の産業分野においては、溶融亜鉛めっき鋼板が大量に使
用されており、とりわけ、経済性と、防錆機能ならびに
塗装後の性能の点で優れる合金化溶融亜鉛めっき鋼板が
広く用いられている。また、自動車車体用に使用される
鋼板に対しては、燃費向上のため軽量化が望まれてお
り、P、Si、Mn(マンガン)などを添加した高張力鋼板
の開発が進んでいるが、それに伴って、これらの高張力
鋼板を母材とする合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造が要
求されてきた。なかでも、高強度で、延性の良好なSi含
有鋼を母材とするめっき鋼板の製造は重要な課題であ
る。
【0003】しかしながら、Si含有鋼は優れた材料特性
を示す反面、これを母材として溶融亜鉛めっきを施す
と、不めっきの発生、合金化速度の遅延などの問題があ
った。
【0004】溶融亜鉛めっき鋼板は、通常、適当な脱脂
洗浄工程を経た後、もしくは脱脂洗浄を行わずに、鋼板
を弱酸化性または還元性雰囲気で予熱し、その後水素
(H2)と窒素(N2)の混合ガスからなる還元性雰囲気で
焼鈍し、次いでめっき温度付近まで冷却して溶融亜鉛浴
に浸漬することにより製造されるが、Si含有鋼にあって
は、焼鈍過程で鋼板表面にSi酸化物が生成し、めっき時
の濡れ性を阻害する。通常、予熱時には、鋼板表面に厚
さが80nm程度の酸化膜が形成される方が溶融亜鉛との濡
れ性の点で望ましいとされているが、Si含有鋼を母材と
する場合は、80nm程度の厚さの酸化膜ではSi酸化物の表
面での濃化を防止することはできない。
【0005】溶融亜鉛めっき後、合金化を行う場合、Al
(アルミニウム)濃度が0.10重量%程度のめっき浴で連
続的に溶融亜鉛めっきした鋼板を熱処理炉で 500〜600
℃の材料温度で3〜30秒加熱して、Fe(鉄)−Zn(亜
鉛)合金めっき層を形成する。
【0006】めっき層はFe−Znの金属間化合物からな
り、その平均Fe濃度は、一般に8〜12重量%である。め
っき付着量は、通常、片面当たり25〜70g /m2であり、
この範囲未満のものは通常の方法で製造するのが難し
く、また、この範囲を上回るものはめっき層の耐パウダ
リング性を確保することが困難なので、一般には供給さ
れていない。この合金化の過程においても、Si含有鋼を
母材とする場合は、焼鈍後のSi酸化物の濃化による初期
反応性の低下などのために、合金化が遅延するという問
題があり、その改善が要求されている。
【0007】濡れ性の向上および合金化の促進を図るた
めの有力な方法として、例えば、溶融亜鉛めっきに先立
ち鋼板表面にFeを電気めっきする方法(特開昭57−7916
0 号公報)が提案されている。しかし、この方法では電
気めっきを行うための設備を要し、また、そのための工
程が付加されるので生産コストが上昇するという問題が
あって実用的ではない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、Si含有鋼を
母材として用いる場合のめっき濡れ性不良および合金化
速度の遅れを改善し、溶融亜鉛めっき鋼板ならびに合金
化溶融亜鉛めっき鋼板を経済的かつ効率的に製造する方
法を提供することを課題としてなされたものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、Siを 0.2
重量%以上含有するSi含有鋼に種々の元素を添加した鋼
板を母材とし、焼鈍時の雰囲気の露点およびヒートパタ
ーンを変えて溶融亜鉛めっきを行い、めっき濡れ性に対
する改善効果について検討した。また、濡れ性の良好な
ものについて、合金化させたときの合金化速度を調査し
た。その結果、Pを0.02重量%以上含有させた鋼板に対
して特定の条件で熱処理を施すと、不めっきが発生せ
ず、合金化速度の遅延も起こらないことを見いだした。
焼鈍直後の鋼板表面をESCAにより分析すると、Pの
酸化物が生成し、Si酸化物の表面占有率が低下している
ことから、焼鈍時におけるSi酸化物の濃化が抑制される
ことによるものと考えられる。
【0010】本発明は上記の知見に基づいてなされたも
ので、その要旨は、下記の溶融亜鉛めっき鋼板および合
金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法にある。
【0011】(1) Si: 0.2重量%以上およびP:0.02重
量%以上を含有する鋼板を母材として溶融亜鉛めっき鋼
板を製造するに際し、母材鋼板を予熱処理した後、露点
が5〜20℃の還元性雰囲気中で、 550〜700 ℃の温度範
囲で10秒以上熱処理する工程、および露点が−30〜0℃
の還元性雰囲気中で、 750〜850 ℃の温度範囲で1〜30
秒熱処理する工程を順次経た後、溶融亜鉛めっき浴に浸
漬して溶融亜鉛めっきを行うことを特徴とするSi−P含
有鋼溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
【0012】(2) Si: 0.2重量%以上およびP:0.02重
量%以上を含有する鋼板を母材として合金化溶融亜鉛め
っき鋼板を製造するに際し、母材鋼板を予熱処理した
後、露点が5〜20℃の還元性雰囲気中で、 550〜700 ℃
の温度範囲で10秒以上熱処理する工程、および露点が−
30〜0℃の還元性雰囲気中で、 750〜850 ℃の温度範囲
で1〜30秒熱処理する工程を順次経た後、溶融亜鉛めっ
き浴に浸漬して溶融亜鉛めっきし、さらに合金化処理を
行うことを特徴とするSi−P含有鋼合金化溶融亜鉛めっ
き鋼板の製造方法。
【0013】
【作用】以下、本発明方法について詳細に説明する。な
お、特に断らない限り「%」は「重量%」を意味する。
【0014】本発明方法でめっきの対象とする母材鋼板
は、主として連続式溶融亜鉛めっきライン(CGL)内
で還元焼鈍を必要とする鋼板で、焼鈍時の鋼板温度が 7
50〜850 ℃の範囲のものである。
【0015】母材の組成は、Si: 0.2%以上およびP:
0.02%以上であって、その他の成分については、C:
0.1%以下、S:0.03%以下、Ti: 0.3%以下、Mn: 2.
0%以下、Cr: 1.0%以下、Ni: 1.0%以下、Cu: 1.0
%以下、Nb: 0.3%以下、B:100ppm以下、Al: 0.2%
以下であることが望ましい。ここで「以下」というの
は、実質的に0または痕跡(trace )であってもよいこ
とを意味する。
【0016】Si含有量が 0.2%未満であれば、従来の方
法でも不めっきの発生はなく、また、合金化速度も十分
大きく、本発明方法を適用する必要はない。Si含有量の
上限については特に規定しないが、材料特性を調整する
上から 2.0%程度含有させれば十分である。
【0017】Pの含有量は、0.02%未満では本発明方法
で規定する熱処理を施しても表面に十分なP酸化物を形
成させることができず、所期の効果が期待できない。ま
た、P含有量の上限は材料特性からおのずと制限され、
0.2%程度である。これを超えて含有させると、延性な
どの材料特性が劣化し、あるいは圧延時に割れが発生し
て成形が困難になる。
【0018】その他の、C、S、Ti、Mn、Cr、Ni、Cu、
Nb、BおよびAlについては、上記の範囲内、また、それ
以外の不可避不純物については、不純物元素ごとに0.01
%以内で、かつ合計 0.5%以内であれば、含有されてい
ても本発明方法の効果は損なわれない。
【0019】上記の組成を有する母材は、熱間圧延後、
酸洗処理を施され、次いで冷間圧延され、母材鋼板とし
て本発明方法におけるめっきの対象となる。
【0020】以下、本発明方法を工程順に説明する。
【0021】本発明方法を実施するに当たっては、好ま
しくは、まず母材鋼板を脱脂し、鋼板表面に付着してい
る圧延油や鉄粉等を除去、洗浄する。脱脂は、例えば、
2〜3%程度の水酸化ナトリウム水溶液(60〜90℃)中
に10〜300 秒程度浸漬することによって行う。トリクレ
ン、シンナーなどの有機溶剤脱脂、アルカリ溶液中での
電解脱脂などを行ってもよい。これらの脱脂方法を2以
上組み合わせ、実施してもよい。また、脱脂の前工程と
して、 0.2〜2g/m2程度の研削を行ってもよい。
【0022】脱脂後、鋼板を十分水洗し、ブローなどで
乾燥した後、炉に装入して熱処理を施す。熱処理工程
は、鋼板を予熱する工程、還元性雰囲気中で加熱する工
程およびめっき温度付近まで冷却する工程からなってい
る。
【0023】予熱工程では、鋼板を微酸化性雰囲気中で
550℃まで昇温する。加熱は、バーナーによる加熱、通
電加熱、誘導加熱、赤外線加熱などの加熱方式により行
う。
【0024】無酸化炉を用いてもよい。
【0025】還元性雰囲気中での加熱工程では、本発明
方法で定める条件に基づく加熱処理、すなわち、露点が
5〜20℃の還元性雰囲気中で行う、 550〜700 ℃の温度
範囲での10秒以上の加熱処理(以下、これを熱処理と
いう)、および露点が−30〜0℃の還元性雰囲気中で行
う、 750〜850 ℃の温度範囲での1〜30秒の加熱処理
(以下、これを熱処理という)を行う。
【0026】熱処理は鋼板表面におけるP酸化物の生
成を促進させるために行う加熱処理で、露点を5〜20℃
に調整した還元性雰囲気中で鋼板を 550〜700 ℃の温度
域に10秒以上保持する。
【0027】還元性雰囲気としては水素と窒素の混合ガ
スを用いればよく、水素濃度が2〜10体積%で残部が窒
素を主体とするガスが好ましい。
【0028】露点が5℃未満ではP酸化物の生成が十分
ではなく、濡れ性改善の効果は認められない。上限を20
℃とするのは、これ以上露点を高くするとFe−Si複合酸
化物(Fe2SiO4 、Fe2SiO3 )の生成速度が速く、濡れ性
が低下する。
【0029】露点を5〜20℃に調整するには、例えば、
露点が−60〜−40℃の水素と窒素の混合ガスを加湿器を
通して炉内に導入する方法、あるいは炉内のガスを循環
させ、その途中に加湿器を設けておく方法を用いればよ
い。加湿器は、混合ガスを1時間で炉内を満たし、ある
いは交換できる程度のものであれば十分である。
【0030】加熱温度は、 550℃未満ではP酸化物の生
成速度が十分ではなく、 700℃を超えるとP酸化物の他
にSi酸化物も生成し、濡れ性を向上させることができな
い。
【0031】この還元性雰囲気中における 550〜700 ℃
の温度域での鋼板の保持時間は10秒以上とすることが必
要で、10秒に満たないとP酸化物の生成が不十分なので
所期の効果が得られない。保持時間の上限は、60秒程度
とするのが好ましく、それ以上処理しても効果は変わら
ず、生産性を低下させ、あるいは炉長を長くしなければ
ならない等の弊害があり、実用的でない。
【0032】加熱には、ラジアントチューブによる間接
加熱、通電加熱、誘導加熱、赤外線加熱などの加熱方式
を用いればよいが、次工程での加熱速度を考慮すると、
赤外線加熱、誘導加熱および通電加熱の各方式のいずれ
かを採用するのが好ましい。
【0033】次いで、熱処理、すなわち露点が−30〜
0℃の還元性雰囲気中で、 750〜850 ℃の温度域に1〜
30秒保持する加熱処理を行う。この工程は、母材鋼板に
所定の材料特性(引張強度、加工性など)を与える焼鈍
処理を目的とする。
【0034】還元性雰囲気としては、熱処理の場合と
同じく、水素と窒素の混合ガス(例えば、水素濃度が2
〜10体積%で残部が窒素を主体とするガス)を用いれば
よい。
【0035】露点を−30℃以上とするのは、熱処理で
生成したP酸化物の還元速度を低下させ、Si酸化物の表
面被覆率を下げるためである。露点が−30℃未満ではP
酸化物が還元されてFeの表面が露出し、その部分で速や
かにSiの選択酸化が起こり、Si酸化物の被覆率が上がっ
て、濡れ性が低下する。露点の上限を0℃とするのは、
0℃を超えるとFe酸化物の還元速度が著しく低下し、母
材鋼板の表面に若干存在するFe酸化物を還元しきれず、
不めっきが生じるからである。なお、めっき装置のスロ
ート部分を長くして、露点への影響を避けるような配慮
をしておくのが望ましい。
【0036】加熱温度は、 750℃未満では母材鋼板の材
料特性(引張強度、加工性など)を確保することができ
ず、 850℃を超えると本発明方法で規定する鋼板を用い
てもSi酸化物の生成を抑制することができず、濡れ性が
劣化する。
【0037】熱処理で鋼板表面にP酸化物を生成させ
た後、熱処理の温度範囲までの加熱は急速加熱とし、
昇温速度を20℃/s 以上とするのが好ましい。昇温速度
が小さいと、その間にSiが濃化する場合があるからであ
る。
【0038】この還元性雰囲気中における 750〜850 ℃
の温度域での鋼板の保持時間は1〜30秒とすることが必
要で、30秒を超えて滞留させると、上記の条件下であっ
てもP酸化物が還元されてしまい、Si酸化物が表面に濃
化して濡れ性が低下する。保持時間の下限を1秒とする
のは、1秒に満たないと十分な再結晶が起こらず必要な
材料特性を付与できないからである。
【0039】加熱には、急速加熱が可能な通電加熱また
は誘導加熱方式の加熱装置を用いるのが好ましい。
【0040】還元性雰囲気中での加熱を終了した後、冷
却帯で鋼板温度をめっき温度付近まで低下させる。冷却
速度が小さいとSiの濃化が生じやすいので、10℃/s 以
上で冷却するのが好ましい。
【0041】上記の熱処理を施した母材鋼板に溶融亜鉛
めっき、あるいは更に、合金化溶融亜鉛めっきを施す。
【0042】めっきは、浴温 460±20℃、浴中Al濃度0.
03〜0.2 %の溶融亜鉛めっき浴中に2〜6秒浸漬して行
えばよい。浴中Al濃度は、0.03%未満では浴中へのFeの
溶解度が高くなるため浴中にドロスが発生しやすく、操
業が困難になり、一方、 0.2%程度までであれば本
発明方法を適用してめっき可能なので、上記の範囲とす
るのが好ましい。なお、めっき後、合金化処理をする場
合は、浴中Al濃度は0.03〜0.15%、好ましくは0.08〜
0.11%とする。通常は0.12%以下とするのが望ましい
が、本発明方法を適用すれば合金化速度が促進されるの
で、0.15%としてめっきを施しても合金化が容易であ
る。また、侵入材温は、 420℃より低いと初期反応性の
低下により濡れ性不良となり、 520℃を超えるとFe−Zn
反応性が高くなりすぎてドロスが発生しやすくなるの
で、 420〜520 ℃とするのが好ましい。
【0043】合金化処理は、従来行われている条件に基
づき 450〜600 ℃で行えばよく、加熱方式は、バーナー
加熱、誘導加熱などの加熱方式を用いればよい。
【0044】上記本発明方法によれば、Si含有鋼を母材
として用いてもめっき濡れ性不良および合金化速度の遅
れが生じないので、生産性を低下させず効率的に溶融亜
鉛めっき鋼板および合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造す
ることができる。この方法は電気めっき等の工程が付加
されることもないので、経済的にも有利である。
【0045】
【実施例】表1に示す化学組成を有する7種類の炭素鋼
の冷延鋼板(未焼鈍材、板厚:0.8mm)を 250mm× 100mm
に裁断して供試材とし、この供試材をあらかじめ10%水
酸化ナトリウム水溶液で脱脂した後、所定雰囲気での熱
処理が可能でかつ還元性雰囲気から直接溶融めっきが可
能な竪型溶融めっき装置((株)レスカ製)を用いて種
々の条件下で溶融亜鉛めっきを行った。
【0046】熱処理は、この竪型溶融めっき装置内で、
まず、N2雰囲気中 500〜600 ℃で予熱し(保持時間な
し)、次いで、露点:5〜20℃の、N2+(2〜10)体積
%H2雰囲気中 550〜700 ℃で10秒以上保持(昇温速度:
20℃/s )する熱処理、および、露点:−30〜0℃
の、N2+10体積%H2雰囲気中 750〜850 ℃で1〜30秒保
持(昇温速度:20℃/s )する熱処理を順次行った
後、鋼板温度 520℃以下に冷却した(冷却速度:20℃/
s )。なお、比較のため、上記範囲から外れる条件での
熱処理も行った。
【0047】めっきは、Al濃度が0.08〜0.20%の亜鉛浴
を用い(表2および表3参照)、浴温を 460℃として行
った。めっき時間は2秒とし、ガスワイパーにより亜鉛
付着量が約60g /m2(片面当たり)になるように調整し
た。
【0048】めっき後、めっきを施した部分(長さ150m
m ×幅100mm 、両面)を目視検査して不めっきの発生状
態を調査した。さらに、 500℃の塩浴で合金化処理し、
合金化完了までの時間を測定した。なお、合金化完了時
間は、めっき皮膜中のFe濃度が9〜11重量%になったと
きの時間とした。
【0049】調査結果を表2および表3に示す。表2お
よび表3のめっき評価の欄の◎印は不めっきのない場
合、△印は最大長さ1mm以下の不めっきのある場合、×
印は最大長さ1mmを超える不めっきのある場合を表す。
また、合金化評価の欄の○印は合金化速度が速い場合
(30秒以下)、×印は遅い場合(30秒超え)を意味す
る。
【0050】この結果から明かなように、本発明方法で
定める条件を満たす熱処理を行った場合、濡れ性不良に
よる不めっきの発生がなく、合金化速度に遅れが生じる
こともなく、良好な結果が得られた。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】
【表3】
【0054】
【発明の効果】上記本発明方法によれば、Siを 0.2%以
上含有する鋼を母材として用いる場合のめっき濡れ性不
良および合金化速度の遅れを改善し、溶融亜鉛めっき鋼
板ならびに合金化溶融亜鉛めっき鋼板を経済的かつ効率
的に製造することができる。この鋼板は、特に自動車用
鋼板として好適である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Si: 0.2重量%以上およびP:0.02重量%
    以上を含有する鋼板を母材として溶融亜鉛めっき鋼板を
    製造するに際し、母材鋼板を予熱処理した後、露点が5
    〜20℃の還元性雰囲気中で、 550〜700 ℃の温度範囲で
    10秒以上熱処理する工程、および露点が−30〜0℃の還
    元性雰囲気中で、 750〜850 ℃の温度範囲で1〜30秒熱
    処理する工程を順次経た後、溶融亜鉛めっき浴に浸漬し
    て溶融亜鉛めっきを行うことを特徴とするSi−P含有鋼
    溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】Si: 0.2重量%以上およびP:0.02重量%
    以上を含有する鋼板を母材として合金化溶融亜鉛めっき
    鋼板を製造するに際し、母材鋼板を予熱処理した後、露
    点が5〜20℃の還元性雰囲気中で、 550〜700 ℃の温度
    範囲で10秒以上熱処理する工程、および露点が−30〜0
    ℃の還元性雰囲気中で、 750〜850 ℃の温度範囲で1〜
    30秒熱処理する工程を順次経た後、溶融亜鉛めっき浴に
    浸漬して溶融亜鉛めっきし、さらに合金化処理を行うこ
    とを特徴とするSi−P含有鋼合金化溶融亜鉛めっき鋼板
    の製造方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2022129989A1 (en) * 2020-12-15 2022-06-23 Arcelormittal Annealing method

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