JPH085693Y2 - 床擦れ防止用ベッド - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、寝たきりの病人の床擦
れを防止するため、病人が寝たままでベッドのマットレ
スを波打つように動かして病人の姿勢を変えることので
きる床擦れ防止用ベッドに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】長期間ベッドに寝たきりで自身では寝返
りも打てないような病人、特に高齢の病人の場合、その
ままにしておくと床擦れを起こすので、介護者（看護
婦）が病人の姿勢を時々変えてやる必要があった。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】病人の床擦れ防止のた
め介護者が病人の姿勢を変える場合、自力では動けない
ような病人であるから体調にも配慮しながら行わねばな
らず、そのため介護者が一人だけであると肉体的に大変
な作業で、精神的にも負担が大きかった。

【０００４】そこで本考案は前記事情に基いて成された
ものであり、寝たきりの病人の床擦れを防止するため、
介護者が一人でも病人の姿勢を簡単に変えることができ
る床擦れ防止用ベッドを提供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
の本考案による床擦れ防止用ベッドは、ベッドの枠体内
に多数の昇降部材を分散して立設し、前記の各昇降部材
上に跨ってマットレスを載せ、各昇降部材にその昇降量
を検出する変位センサーを付設し、各変位センサーの検
出データを参照しつつ各昇降部材を連携して動作させる
制御装置を備えていることを特徴とする。

【０００６】

【作用】本考案では、ベッドの枠体内に分散して立設し
た多数の昇降部材を制御装置により連携して昇降させ、
多数の昇降部材上に跨って敷設したマットレスを波打た
せてマットレス上の病人の姿勢を変えたり、マットレス
と病人との間に所々に隙間を設けたりして病人の床擦れ
を防止する。

【０００７】

【実施例】以下、本考案による床擦れ防止用ベッドにつ
いて具体的に説明する。本考案ベッドは、ベッド１の枠
体２内に多数の昇降部材３を分散して立設し、前記の各
昇降部材３上に跨ってマットレス４を載せ、各昇降部材
３にその昇降量を検出する変位センサー６を付設し、各
変位センサー６の検出データを参照しつつ各昇降部材３
を連携して動作させる制御装置５を備えたものである。

【０００８】本実施例においては、昇降部材３としてエ
アシリンダーを用い、各エアシリンダー３のシリンダー
本体７をベッド１の枠体２内に固定している。このエア
シリンダー３の配置方法は、平面的に適当に分散してあ
れば良く、例えば図２に示すように格子状に配したり、
あるいは千鳥状に配したりすることも可能である。

【０００９】制御装置５はベッドの側部など介護者が操
作しやすい位置に設置し、各エアシリンダー３に送気す
るための小型のコンプレッサー（図示せず）は騒音が病
人の耳障りにならずしかも目立たない位置に配置するこ
とが望ましい。

【００１０】この制御装置５では、各エアシリンダー３
に付設した変位センサー６の検出信号により各エアシリ
ンダー３の押上パッド８の位置を常時把握する。変位セ
ンサー６としては、例えばピストン１１の位置を磁気的
に検出する磁気センサーを用いる。通常は各エアシリン
ダー３の押上パッド８の上端を一定の高さ（最も低い位
置）に揃え、各エアシリンダー３上に跨って載せたマッ
トレス４に病人が水平に寝るようにしてある。

【００１１】また、制御装置５では予め組込んだプログ
ラムに従い、各エアシリンダー３に付設した変位センサ
ー６の検出データを参照しつつ、各エアシリンダー３の
先端側及び基端側の送排気口９，１０とコンプレッサー
（図示せず）との間に設けた電磁弁（図示せず）を個々
に且つ適当な時期に開閉することにより、各エアシリン
ダー３が連携して昇降するように制御している。

【００１２】各エアシリンダー３の連携して昇降する態
様は制御装置５に組込むプログラムの修正により適宜変
更又は追加可能であるが、例えばベッドの左側から右側
へ又は逆方向へ順送りに各エアシリンダー３を昇降した
り、あるいは中央のエアシリンダー３の押上パッド８が
低くて両側のエアシリンダー３の押上パッド８ほど高く
伸出する状態と、両側のエアシリンダー３の押上パッド
８が低くて中央のエアシリンダー３の押上パッド８ほど
高く伸出する状態とを交互に繰返したりして、エアシリ
ンダー３上のマットレス４を波状に動かすようする。

【００１３】従って、寝たきりの病人の介護者が制御装
置５を操作することで、多数のエアシリンダー３により
マットレス４が波状に動き、マットレス４上の病人を恰
も自分で寝返りを打ったかのように姿勢を変え、またマ
ットレス４と病人との間に適度に隙間を作り、寝たきり
の病人の床擦れを防ぐことができる。この制御装置５は
誤作動を防止する安全装置を付設することを前提とし
て、簡単なスイッチ操作で誰で容易に使用できるように
する。

【００１４】また、上記の各エアシリンダー３はシリン
ダー本体７内の先端側に適当量の空気が入っている状態
で先端側の送排気口９を封鎖するとともに、基端側の送
排気口１０からシリンダー本体７に適宜送出圧で空気を
送込むことで、ベッド１のスプリングの代わりにエアク
ッション（空気ばね）として使用できる。

【００１５】上記の各エアシリンダー３からなるエアク
ッションは、エアシリンダー３の基端側の送排気口１０
からシリンダー本体７内へ送込む空気圧を調整すること
により、エアクッションの柔らかさ、即ちばね定数を随
意に設定できる。そこで、使用者の気分（病人の体調）
に応じてエアクッションの柔らかさを調整し、いつでも
快適な寝心地を得ることができ、寝たきりの病人の床擦
れ防止にも効果的である。

【００１６】尚、昇降部材３としては、エアシリンダー
に代え、油圧シリンダーを用いても良い。油圧シリンダ
ーを使用した場合には、上記のエアシリンダーとほぼ同
様な構成となり、マットレス４を波打つよう動かせると
ともに、ベッドのクッションの柔らかさを随意に調整し
得る。

【００１７】その他、昇降部材３としてモーターで機械
的に上下動する機構、例えばボールネジ等を用いること
も可能である。ボールネジを使用する場合には、図４に
示す如く、各ボールネジ３毎に垂直な回転軸１２を正逆
転させる昇降用モーター１３を付設し、回転軸１２の正
逆転に伴なって上下動するナット１５に支持部材１６を
介して押上パッド８を取付け、変位センサー６として、
回転軸１２の回転を計測するか、あるいはボールネジ３
のガイドフレーム１４に沿って上下動する昇降部分（押
上パッド８とナット１５および支持部材１６のいずれ
か）の位置を計測するものを取付け、そして、制御装置
５により、変位センサー６の計測データを参照しつつ、
予め組込んだプログラムに従って、各昇降用モーター１
３を連携して制御するようにする。

【００１８】

【考案の効果】本考案による床擦れ防止用ベッドは、上
記の如くベッドの枠体内に多数の昇降部材を分散して立
設し、前記の各昇降部材上に跨ってマットレスを載せ、
各昇降部材にその昇降量を検出する変位センサーを付設
し、各変位センサーの検出データを参照しつつ各昇降部
材を連携して動作する制御装置を備えてあるので、介護
者は制御装置を操作するだけで、昇降部材を介してマッ
トレスを波打つよう動かし、ベッド上の病人の姿勢を変
えたり、またマットレスと病人の間に適当な隙間を作っ
たりして、寝たきりの病人の床擦れを簡単に防止するこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案による床擦れ防止用ベッドの断面図であ
る。

【図２】本案ベッドの昇降部材の配置例を示す一部切欠
平面図である。

【図３】（Ａ）（Ｂ）（Ｃ）は夫々本案ベッドの使用例
を示す要部断面図である。

【図４】本案ベッドに使用する昇降部材の他の実施例を
示す要部正面図である。

【符号の説明】

１ ベッド ２ 枠体 ３ 昇降部材（エアシリンダー、ボールネジ） ４ マットレス ５ 制御装置 ６ 変位センサー

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ベッド（１）の枠体（２）内に多数の昇
   降部材（３）を分散して立設し、前記の各昇降部材
   （３）上に跨ってマットレス（４）を載せ、各昇降部材
   （３）にその昇降量を検出する変位センサー（６）を付
   設し、各変位センサー（６）の検出データを参照しつつ
   各昇降部材（３）を連携して動作させる制御装置（５）
   を備えていることを特徴とする床擦れ防止用ベッド。