JPH0853498A - モノクローナル抗体 - Google Patents

モノクローナル抗体

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JPH0853498A
JPH0853498A JP16284095A JP16284095A JPH0853498A JP H0853498 A JPH0853498 A JP H0853498A JP 16284095 A JP16284095 A JP 16284095A JP 16284095 A JP16284095 A JP 16284095A JP H0853498 A JPH0853498 A JP H0853498A
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JP
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monoclonal antibody
antibody
vpf
amino acid
vascular permeability
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JP16284095A
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Inventor
Shinichi Kondo
伸一 近藤
Mitsuya Hanatani
満也 花谷
Masaji Okamoto
雅次 岡本
Makoto Asano
誠 浅野
Tomoe Matsumoto
友恵 松本
Katsuhiko Matsuo
克彦 松尾
Iwao Omori
巌 大森
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Toagosei Co Ltd
Original Assignee
Toagosei Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 生化学試薬や癌その他の疾病の診断薬、治療
薬として有用な、ヒト血管透過性因子に対する中和活性
を有するモノクロナール抗体を提供する。 【構成】 アミノ酸残基数が121のヒト血管透過性因
子と反応するが、該因子のアミノ末端から奇数番目のア
ミノ酸を起点とする連続した10個のアミノ酸配列のペ
プチドのいずれとも反応しないモノクローナル抗体、こ
の血管透過性因子モノクローナル抗体を有効成分とする
制癌剤、およびこの血管透過性因子モノクローナル抗体
からのキメラ抗体またはひと化抗体を有効成分とする制
癌剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ヒト血管透過性因子
(以下VPFという)に対するモノクローナル抗体に関
するものである。このモノクローナル抗体はVPFに特
異的に反応し、VPFの生理活性を阻害することより、
VPFの生化学的解析、癌やその他の疾病の診断、治療
および疾病の進行や治療効果の判定などに広く利用する
ことができるものであり、医薬業界で利用されるもので
ある。
【0002】
【従来の技術】血管新生すなわち毛細血管内皮細胞の増
殖、移動及び組織への浸潤は胎児の生長、創傷治癒、癌
細胞の増殖などの生理的又は病理的現象において重要な
役割を果たしていることが知られている[(Folkman,J.,C
ancer Res.46:467(1986)]。血管新生を誘導する因子と
しては、直接的に血管内皮細胞に作用する物質として塩
基性線維芽細胞増殖因子(basic fibroblast growth fac
tor,bFGF)、酸性線維芽細胞増殖因子(acidic fibroblas
t growth factor,aFGF)、血管内皮細胞増殖因子/血管
透過性因子(vascular endothelial cell growth factor
/ vascularpermeability factor,VEGF/VPF)、血小板由
来内皮細胞増殖因子(platelet-derived endothelial ce
ll growth factor,PD-ECGF)等が、又、間接的に血管内
皮細胞に作用する物質としてtransforming growth fact
or-α(TGF-α)、transforminggrowth factor-β(TGF-
β)、angiogenin、tumor necrosis factor-α(TNF-α)
等が知られている[Folkman,J. & Shing,Y.,J.Biol.Che
m.,267:10931(1992)]。
【0003】血管透過性因子に関しては、マウス、ラッ
ト、モルモット、ウシ及びヒトの正常又は腫瘍細胞株で
分泌されていること、及び、組織別では脳、下垂体、腎
臓、卵巣に存在することが明らかにされている[(Ferrar
a, N., et. al. Endocrine Reviews 13:18(1992)]。
又、VPFに関しては、乳癌の血管新生と転移[Weider,
N, et.al. N.Engl.J.Med. 324:1(1991)] や、腎細胞癌
の血管新生[医学のあゆみ,168:231(1994)]、あるいは網
膜疾患における血管新生[Adamis,A.P. et.al., Bioche
m. Biophys. Res. Comm., 193:631(1993)]に関与してい
ることが報告されている。さらに、血管透過性因子は標
的細胞表面に存在する受容体(flt, fms-like tyrosine
kinase)と結合することにより細胞内へシグナルを伝達
することも明らかにされているが[De Vies,C. et. al.
Science,255:989(1992)]、血管透過性因子とその受容体
との相互作用機構やシグナル伝達機構については詳細に
は解明されていない。
【0004】VPF遺伝子については、その cDNAが
すでに単離されて塩基配列が決定され、アミノ酸配列も
推定されている。このVPF遺伝子からアミノ酸残基数
の異なる4種類の蛋白(アミノ酸残基数が121個、1
65個、189個、206個の4種類)が作られ、それ
らの中で121個のアミノ酸残基数のもの(VPF121)
と165個のアミノ酸残基数のもの(VPF165)が、血
管内皮細胞に対する作用が強いと言われている[(Ferrar
a,N., et. al. Endocrine Reviews 13:18(1992)]。VP
F121 はVPF165 のカルボキシル末端付近の44個の
アミノ酸が欠損したものであるが、VPF121 とVPF
165 の間で、血管内皮細胞に対する作用の違いがあるか
どうかについては明らかにはされていない。
【0005】モノクローナル抗体は抗血清(ポリクロー
ナル抗体)に比べて特異性が高く、抗原決定基が単一で
あるため必要な親和性の抗体を選択でき、恒常的に均一
な品質のものを得ることができるという特長を有してい
るため、生化学的な解析や臨床面における種々の疾患の
診断に広く使用されている。又、マウスモノクローナル
抗体の作製技術はKohler & Milstein によりにすでに確
立されており[Kohler & Milstein, Nature 256:495(197
5)]、蛋白質やペプチドや糖質や脂質あるいは低分子化
合物に対するモノクローナル抗体の作製が可能である。
VPFに対するモノクローナル抗体もVPF165 につい
てはすでに取得されているが、その抗体のVPF中の反
応部位は明らかにはされてはおらず、もちろんVPF12
1 に対する反応性も不明である[Kim, K. J. et. al. Gr
owth Factors,7:53(1992)]。一方、VPF121 はVPF
165 のアミノ酸配列の一部分のアミノ酸配列に相当する
ため、VPF121 に対するモノクローナル抗体はVPF
165 に対しても反応する可能性が高い。したがって、V
PFの抗体を作製する場合にはVPF121 を抗原として
用いるのが適当であると考えられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明者らはV
PF121 に対するモノクローナル抗体を作製し、VPF
の生化学的解析、癌やその他の疾病の診断、治療および
疾病の進行や治療効果の判定などに広く利用するために
研究を行った。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
に基づいて鋭意研究を行った結果、遺伝子操作技術によ
りVPF121 をグルタチオンS-トランスフェラーゼ(G
ST)との融合蛋白として大腸菌で産生させ、この融合
蛋白を抗原としてマウスモノクローナル抗体の作製を試
みて、VPF121 に対して反応性を有し、且つ中和活性
を有するが、VPF121 のアミノ酸配列中の連続した1
0個のアミノ酸配列に相当するペプチドには反応性を有
しないモノクローナル抗体を見出し、本発明を完成させ
た。即ち、本発明は、アミノ酸残基数が121のヒト血
管透過性因子と反応するが、該因子のアミノ末端から奇
数番目のアミノ酸を起点とする連続した10個のアミノ
酸配列を有するペプチドのいずれとも反応しないことを
特徴とするモノクローナル抗体に関するものである。更
に本発明は、前記VPFモノクローナル抗体、該血管透
過性因子モノクローナル抗体からのキメラ抗体またはひ
と化抗体を有効成分とする制癌剤に関するものである。
【0008】以下、本発明を詳細に説明する。 (1)モノクローナル抗体の製造 VPFモノクローナル抗体は、マウスをVPFで免役
し、脾細胞を取り出し、これとマウスミエローマ細胞と
を融合して得たハイブリドーマ細胞を培養することによ
り製造することができる。このハイブリドーマの製造
は、例えばKohlerと Milstein の方法[Nature 256:495
(1975)]等により行うことができる。 抗体産生細胞の調整 免疫用マウスには、BALB/C、C57BL/6系マ
ウス、C3H系マウス等が用いられる。そして、免疫マ
ウス1匹(8〜12周齢)に対してVPF50〜100
μgの量を抗原として2〜3週間ごとに2〜3回免疫を
行う。マウスの飼育及び脾細胞の採取は常法に従って行
われる。尚、免疫の際には、VPFに例えばグルタチオ
ンS−トランスフェラーゼ等を融合させ、得られた蛋白
質を抗原として用いることもできる。 ミエローマ細胞の調整 ミエローマ細胞としては、Sp2/0-Ag14(Sp2) 、P
3/NS1/1−Ag4−1(NS−1)、P3×63Ag8U.1等が
挙げられる。これら細胞の継代培養は、常法に従って行
われる。 細胞融合 脾細胞とミエローマ細胞と1:1〜10:1の割合で混
合し、分子量1000〜4000のポリエチレングリコ
ール(以下PEGという)、ダルベッコ改変イーグル培地
中、両細胞を30〜40℃、1〜3分間インキュベート
することにより細胞融合を行うことができる。 ハイブリドーマの選択 融合細胞(ハイブリドーマ)の選択は、ヒポキサンチン
(10-3〜10-5M)、アミノプテリン(10-6〜10-7
M)、チミジン(10-5〜10-6M)、ペニシリン(100
〜200単位/ml)、牛胎児血清(10〜20%)、スト
レプトマイシン(100〜200μg/ml)、2-メルカプ
トエタノール(10-5〜10-6M)を含む基礎培地を用い
て培養し、生育してくる細胞をハイブリドーマとするこ
とにより行われる。基礎培地としては、動物細胞の培養
に一般に用いられるRPMI1640培地、イーグルM
EM培地、イスコス改変ダルベッコ培地等が用いられ
る。 ハイブリドーマの培養 ハイブリドーマのクローン化は、限界希釈法により、少
なくとも2回繰り返して行う。ハイブリドーマを通常の
動物細胞の培養と同様にして培養すれば、培地中に本発
明の抗体が産生される。通常、5〜10×105個/ml
のハイブリドーマ細胞を、牛胎児血清(10%)、ペニシ
リン(100単位/ml)、ストレプトマイシン(100μ
g/ml)、2-メルカプトエタノール(5×10-5M)を含
むRPMI1640培地中で5%CO2存在下、37
℃、3〜4日間培養することによって培養液中に抗体が
分泌、蓄積される。又、ハイブリドーマ細胞をBALB
/C系マウスの腹腔内に移植して増殖することにより、
腹水中に本発明の抗体を蓄積させることもできる。 モノクローナル抗体の採取及び精製 ハイブリドーマ細胞の培養液中又は腹水中に蓄積したモ
ノクローナル抗体は、従来から用いられている硫安分画
法、PEG分画法、陰イオン交換クロマトグラフィー及
びゲル濾過クロマトグラフィーを用いる方法で精製され
る。又、プロティンAやプロティンG等のアフィニティ
ークロマトグラフィーによる方法も利用できる場合があ
る。モノクローナル抗体の選別には、酵素免疫測定法、
ウェスタンブロッティング法等が用いられる。又、モノ
クローナル抗体のIgGアイソタイプの決定は、モノク
ローナル抗体の酵素免疫測定法又はオクタロニー法等に
よって行うことができる。 (2)モノクローナル抗体の反応部位の同定 VPFのアミノ酸配列の一部分に相当するペプチド
の作製 VPF121 のアミノ末端からのアミノ酸残基数が奇数の
アミノ酸から、連続した10個のアミノ酸を一つのペプ
チドとして、57種類のペプチド(1種のみ9個のアミ
ノ酸からなる)を設計する。設計された各ペプチドは、
例えば、マルチピンペプチド合成法〔Maeji, N. J. et.
al., J. Immunol. method, 134:23(1990)〕等により合
成することができる。尚、合成したペプチドの定量はオ
ルトフタルアルデヒドを用いてアミノ基を定量すること
により行うことが可能である。 モノクローナル抗体と反応するペプチドの同定 以上のようにして合成した57種のペプチドはVPF12
1 の全領域に対応するものである。したがって、57種
のペプチドとモノクローナル抗体との反応性を調べるこ
とにより、当該モノクローナル抗体がVPFのどの部位
に反応しているかを明らかにすることができる。反応性
の測定には、酵素免疫測定法、オクタロニー法、ウェス
タンブロッティング法等が用いられる。
【0009】(3)モノクローナル抗体の制癌剤として
の使用 本発明のVPFモノクローナル抗体またはそのキメラ抗
体またはひと化抗体を制癌剤として投与する場合には、
投与する対象を特に限定しない。例えば、個々の癌種の
予防あるいは治療することを特異目的として用いること
ができる。また、投与する方法は経口又は非経口でもよ
く、経口投与には舌下投与を包含する。非経口投与に
は、注射、例えば皮下、筋肉、静脈注射、点滴、座剤等
を含む。また、その投与量は動物か人間かによって、ま
た年令、投与経路、投与回数により異なり、広範囲に変
えることができる。この場合、本発明のVPFモノクロ
ーナル抗体の有効量と適切な希釈剤及び薬学的に使用し
得る担体の組成物として投与される有効量は0.1〜1
00mg/kg体重/日であり、1日1回から数回に分けて
投与される。本発明のVPFモノクローナル抗体を経口
投与する場合、それに適用される錠剤、顆粒剤、細粒
剤、散剤、カプセル剤等は、通常それらの組成物中に製
剤上一般に使用される結合剤、包含剤、賦形剤、滑沢
剤、崩壊剤、湿潤剤のような添加物を含有する。また、
経口用液体製剤としては、内用水剤、懸濁剤、乳剤、シ
ロップ剤等いずれの状態であってもよく、また、使用す
る際に再溶解させる乾燥生成物であってもよい。更に、
その組成物は添加剤、保存剤のいずれを含有してもよ
い。
【0010】また、非経口投与の場合には、安定剤、緩
衝剤、保存剤、膨張化剤等の添加剤を含有し、通常単位
投与量アンプル若しくは多投与量容器又はチューブの状
態で提供される。上記の組成物は使用する際に適当な担
体、例えば発熱物質不含の滅菌した水で再溶解させる粉
体であってもよい。
【0011】
〔実施例1〕
(1)VPFモノクローナル抗体を産生するハイブリド
ーマの作製 単離したVPF cDNAを、グルタチオンS-トランスフ
ェラーゼ(GST)との融合蛋白(GST−VPF)として
大腸菌で発現させることにより、抗原として使用する蛋
白を得た。次いで、得られた蛋白を抗原として常法に従
ってマウスモノクローナル抗体を作製した。すなわちG
ST−VPF(100μg)をフロイント完全アジュバン
トと等量混合し、BALB/Cマウスの腹腔内に0日、
14日後、25日後の3回投与することにより免疫した
マウスの脾細胞とマウスミエローマ細胞(SP2)をPE
G存在下で、1分間インキュベーションすることにより
細胞融合させた。得られた細胞をHAT培地〔組成:ヒ
ポキサンチン(1×10-4M)、アミノプテリン(4×1
-7M)、チミジン(1.6×10-5M)、ペニシリン(1
00単位/ml)、牛胎児血清(20%)、ストレプトマイ
シン(100μg/ml)、2-メルカプトエタノール(2×
10-5M)を含むRPMI1640培地〕中で培養する
ことによりハイブリドーマを選別した。得られたハイブ
リドーマは限界希釈法によりクローニングした。一方V
PFを産生する酵母を、単離したVPF cDNAを含む
環状DNAを酢酸リチウム法で酵母Saccharomyces cer
evisiae に導入することにより作成し、この酵母の培養
液中から陽イオン交換クロマトグラフィー(東ソー株式
会社製TSK−SP650)、硫安沈澱及びゲル濾過ク
ロマトグラフィー(ファルマシア社製Superdex-75)
を用いて酵母由来のVPF(以下YVPFとする)を調
製した。このYVPFとクローン化したハイブリドーマ
の培養上清の反応性を酵素免疫測定法により調べ、YV
PFと反応するモノクローナル抗体を産生するハイブリ
ドーマを選択した。又、このハイブリドーマが産生する
モノクローナル抗体をMV101 と命名した。尚、得られ
たモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマは、通
商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所にFERM
P−14345として寄託されている。
【0012】(2)VPFモノクローナル抗体の調製 選択したハイブリドーマをヌードマウスの腹腔内に移植
し、モノクローナル抗体を大量に含む腹水を採取した。
この腹水をプロテインGアフィニティーカラム(MAbTrap
GII、ファルマシア社製)で処理することにより精製し
たモノクローナル抗体MV101 を得た。該MV101 抗体
のクラスを抗マウス免疫グロブリンサブクラス特異的抗
体を用いた酵素免疫測定法により調べた結果、IgG1
であった。また、下記の方法で測定したVPF121 に対
する解離定数は以下のとおりであり、従来のものに比較
して本発明のモノクローナル抗体は、VPFに対して強
い親和性を有することかせ判る。なお、VPF165 を抗
原とする市販のモノクローナル抗体(R&D Systems Inc.
製Quantikine) は、VPF121 との結合反応に異常が認
められ、解離定数を求めることはできなかった。 〇 1.09×10-11M±0.09×10-11M 解離定数の測定方法 モノクローナル抗体を0.1M塩化ナトリウムを含む25
mM炭酸緩衝液(pH 9.0)で2μg/mlに調整し、取外し
可能な有穴プレートに100μlずつ添加し、4℃で一
晩放置する。次に穴から溶液を除き、1%BSA−PB
Sを300μlずつ添加し、37℃で4時間放置する。
1%BSA−PBSを取り除いた後、0.1%BSA−
PBSで調整したVPFと125I−VPF(125Iラベル
化はクロラミンT法による)反応混液を穴あたり200
μl添加し、一晩放置する。この反応混液中のVPF濃
度は、VPFが0〜1ng/well、125I−VPFが100
00cpm/well(62.0pg/ml)とする。穴から反応混液を
とり除き、0.1%BSA−PBS(-)で6回洗浄した
後、穴を1個ずつ切離して分析用チューブに入れ、ガン
マーカウンターにてカウントし、その結果から撒布図か
ら解離定数を求める。
【0013】(3)抗VPFポリクローナル抗体の作製 GST−VPFを抗原として常法によりウサギを免疫し
た。抗体価の上昇したウサギの血清を分離し、陰イオン
交換カラムクロマトグラフィーで処理することによりウ
サギ抗VPFポリクローナル抗体のIgG画分を得た。
IgG画分の一部をペプシンで消化してF(ab')2を調製
し、マレイミド法によりペルオキシダーゼと結合させ、
ペルオキシダーゼ標識したウサギ抗VPFポリクローナ
ル抗体を得た。
【0014】(4)モノクローナル抗体とYVPFとの
反応性 MV101 抗体とYVPFとの反応の特性を酵素免疫測定
法により調べた。まず96穴の酵素免疫測定用プレート
にMV101 抗体(5μg/ml)を入れ4℃で一晩放置するこ
とによりMV101 抗体をプレートに吸着させた。0.1%
ウシ血清アルブミン(以下BSAという)を含むリン酸緩
衝化生理的食塩水(以下PBSという)でプレートの穴を
6回洗浄した後、1%BSAを含むPBSを穴一杯に入
れ室温で1時間放置した。穴から1%BSAを含むPB
Sを除いた後、種々の濃度のYVPFを入れ室温で1時
間放置した。0.1%BSAを含むPBSで6回洗浄後ペ
ルオキシダーゼ標識したウサギ抗VPFポリクローナル
抗体(0.1%BSAを含むPBS溶液)を入れ室温で1
時間放置した。0.1%BSAを含むPBSで6回洗浄後
0.2mg/mlオルトフェニレンジアミンおよび0.015%
過酸化水素を含む0.15Mクエン酸緩衝液(pH=5.0)を
入れて発色させた。反応は10%硫酸を加えて停止させ
た後、吸光度(OD490/650)を測定した。以上の方法で
測定した結果をグラフにプロットし図1に示した。YV
PFの濃度が2〜100ng/ml の範囲で吸光度の増加に
直線性が認められ、MV101 抗体がYVPFと特異的に
反応すること及びこの測定系で2〜100ng/ml のYV
PFが定量できることがわかった。
【0015】(5)モノクローナル抗体の反応部位の同
定 (a)VPFのアミノ酸配列の一部分に相当するペプチ
ドの作製 VPF121 のアミノ末端からのアミノ酸残基数が奇数の
アミノ酸から連続した10個のアミノ酸を1つのペプチ
ドとして、57種のペプチド(1種のみ9個のアミノ酸
からなる)を設計し、各ペプチドをマルチピンペプチド
合成法[Maeji,N,J, et.al. J.Immunol.method,134:23(1
990)]により合成した。まず96穴アッセイプレート用
ピンブロックのピンの先端に導入された9-フルオレニル
メトキシカルボニル(Fmoc)-β-アラニンからピペリジン
によりFmoc基を除去した後、ジシクロヘキシカルボジイ
ミドとヒドロキシベンゾトリアゾール存在下でFmoc-ア
ミノ酸を縮合させた。N,N-ジメチルホルムアミドで洗浄
後、再びジシクロヘキシカルボジイミドとヒドロキシベ
ンゾトリアゾール存在下でFmoc-アミノ酸を縮合させ、
この操作を繰り返すことにより目的のペプチドを合成し
た。縮合反応終了後、無水酢酸でアセチル化を行い、さ
らにトリフルオロ酢酸で側鎖保護基を除去した。ピン上
で合成したペプチドはピンを中性溶液中に浸すことによ
り切り出した。合成したペプチドの定量はオルトフタル
アルデヒドを用いてアミノ基を定量することにより行っ
た。合成した57種のペプチドのアミノ酸配列を以下の
表1、表2及び表3に示す。
【0016】
【表1】
【0017】
【表2】
【0018】
【表3】
【0019】表中、1から57までの数字はヘプチド識
別番号を示す。尚、「配列場所」に記載した番号(m-n)
は、配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち何番目(m番
目)から何番目(n番目)までの位置に相当するものであ
るかを意味する。例えば、識別番号1の配列場所は、配
列番号1記載のアミノ酸配列のうち、第1番目から第1
0番目までを意味し、括弧内はそのアミノ酸の表示(第
1番目のアラニン〜第10番目のアスパラギン)であ
る。
【0020】(b)MV101 抗体と反応するペプチドの
同定 以上のようにして合成した57種のペプチドはVPF12
1 の全領域に対応するものである。したがって57種の
ペプチドとMV101 抗体との反応性を調べることにより
MV101 抗体がVPFのどの部位に反応しているかを明
らかにすることができる。そこで酵素免疫測定法により
57種のペプチドとMV101 抗体との反応性を調べた。
96穴スミロンAプレート(住友ベークライト社製)に
2%グルタルアルデヒドを入れ室温で2時間放置した後
水で洗浄し、57種の10μMペプチド溶液を入れ4℃
で一晩放置した。0.1%BSAを含むPBS溶液でプレ
ートの穴を6回洗浄した後、1%BSAを含むPBSを
入れ室温で1時間放置した。1%BSAを含むPBSを
除いた後、ウサギ抗VPF抗体(0.1%BSAを含むP
BS溶液)を入れ室温で1時間放置した。0.1%BSA
を含むPBSで6回洗浄後ペルオキシダーゼ標識したヒ
ツジ抗ウサギIgG(カッペル社)(0.1%BSAを含むP
BS溶液)を入れ室温で1時間放置した。0.1%BSA
を含むPBSで6回洗浄後0.2mg/mlオルトフェニレン
ジアミンおよび0.015%過酸化水素を含む0.15Mク
エン酸緩衝液(pH=5.0)を入れて発色させた。反応は1
0%硫酸を加えて停止させた後、吸光度(OD490/650)
を測定した。以上の方法で測定した結果、57種のペプ
チドはすべて本モノクローナル抗体と特異的には反応し
なかった。
【0021】(6)VPFの生理活性に対するモノクロ
ーナル抗体の作用 MV101 抗体がVPFの生理活性を阻害するかどうかを
血管内皮細胞の細胞増殖促進活性に対する本モノクロー
ナル抗体の作用を調べることにより行なった。まず、本
発明者等がクローン化し通商産業省工業技術院生命工学
工業技術研究所に寄託した、VPFを産生する細胞He
La/v5(寄託番号:FERM P−13185)の調製
培地を作製し、モノクローナル抗体を加えて室温で30分
静置した。この溶液のVPF活性を測定するために予め
12穴プレートに培養しておいた104個のヒト臍帯由
来血管内皮細胞(HUVEC)に、モノクローナル抗体
−HeLa/v5調製培地混合液を混ぜ合わせ、RPMI1
640 45%、DMEM 45%、FBS 10%、
ウシインシュリン 10mg/l、ヒトトランスフェリン
5mg/l、2-メルカプトエタノール 0.01mM、2-アミノ
エタノール 0.01mM、亜セレン酸ナトリウム 10nM
(以下この溶液をアッセイ培地という)が1mlとなるよ
うにし、37℃、5%CO2 で5日間培養し細胞数を比
較した。HeLa/v5調製培地0.4ml中には約1.5ngのV
PFが含有されていることから[Kondo,S. et.al. Bioch
em. Biophys. Res. Commun. 194:1234(1993)]、この値
をもとにしてアッセイ培地中のVPF分子数を求めた。
このVPFに対して加える抗体分子を0、1、6、3
6、216倍に設定して実験を行ない、5日間培養した
後の細胞数を測定し、抗体を添加しなかった場合の細胞
数に対する百分率をグラフにプロットした(図2)。MV
101 抗体は添加量に依存してVPFによるHUVECの
増殖を抑制する作用がみられた。一方VPFとは全く異
なる蛋白であるアルファフェトプロテインに対するモノ
クローナル抗体では、MV101 抗体でみられたようなH
UVEC細胞の増殖抑制効果はみられなかった。このこ
とより、本モノクローナル抗体はVPFの活性を特異的
に阻害する作用(中和活性)を持っていることがわかっ
た。
【0022】(7)VPFモノクローナル抗体の薬理試
験 PLC/PRF/5及びHT−1080のヌードマウス
腫瘍系を用いて本発明のモノクローナル抗体の抗腫瘍実
験及び毒性試験を以下の通り行った。予め、腫瘍細胞P
LC/PRF/5又はHT−1080をマウス(ヌード
マウス)に接種し、腫瘍塊ができるまで飼育した。次い
で、腫瘍塊を2mm角程度に切り取り、これを別のヌード
マウスの腹部皮下に移植した。移植翌日より本発明のモ
ノクローナル抗体を、100μg/マウス/日の投与量
で合計10回投与した(投与日は、移植後1〜4、7〜
11及び14日目とした)。また、モノクローナル抗体
を投与しないもの、本発明のものではないモノクローナ
ル抗体(MV415 抗体)を投与したものを対照とした。
尚、実験に使用したマウスは、それぞれの腫瘍系につい
て、本発明のモノクローナル抗体投与群、対照群共に4
匹で行った。各群と腫瘍の形成及び腫瘍の大きさ(体
積)を比較した結果、図3及び図4に示す通り、いずれ
の腫瘍塊を移植した場合でも、無投与のものと比較した
場合は勿論、本発明のもの以外のVPFモノクローナル
抗体を投与したものに比較しても、本発明のVPFモノ
クローナル抗体は優れた腫瘍増殖抑制活性が確認され
た。 図3はPLC/PRF/5系を、図4はHT−1
080系の腫瘍塊を移植した場合の結果を示す。また、
図3及び図4中、白丸印は本発明のVPFモノクローナ
ル抗体MV101 投与群、四角印は本発明のものではない
モノクローナル抗体MV415 投与群、黒丸印は無投与群
を表す。さらに、本発明のモノクローナル抗体をヌード
マウスに投与しても体重減少は認められず、また、毛並
みや行動も正常なヌードマウスと差がないことから、本
発明のモノクローナル抗体は毒性の非常に低いものと考
えられる。
【0023】以上に明らかにしました様に本発明のモノ
クローナル抗体は、VPFの生化学的な解析や、癌やそ
の他の疾病の診断および疾病の進行や治療効果の判定な
どに広く利用することができるうえ、腫瘍の抑制剤とし
ても非常に有望なものである。
【0024】
【発明の効果】VPFは固形癌の増殖や転移あるいは目
の網膜疾患における血管新生などに関与していることか
ら、VPF121 に対するモノクローナル抗体であるMV
101 抗体はVPFの生化学的解析、癌やその他の疾病の
診断、治療および疾病の進行や治療効果の判定などに広
く利用することができる。
【0025】
【配列表】
配列番号:1 配列の長さ:121 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直線状 配列の種類:タンパク質 起源: セルライン: 配列: Ala Pro Met Ala Glu Gly Gly Gly Gln Asn His His Glu Val Val Lys 1 5 10 15 Phe Met Asp Val Tyr Gln Arg Ser Tyr Cys His Pro Ile Glu Thr Leu 20 25 30 Val Asp Ile Phe Gln Glu Tyr Pro Asp Glu Ile Glu Tyr Ile Phe Lys 35 40 45 Pro Ser Cys Val Pro Leu Met Arg Cys Gly Gly Cys Cys Asn Asp Glu 50 55 60 Gly Leu Glu Cys Val Pro Thr Glu Glu Ser Asn Ile Thr Met Gln Ile 65 70 75 80 Met Arg Ile Lys Pro His Gln Gly Gln His Ile Gly Glu Met Ser Phe 85 90 95 Leu Gln His Asn Lys Cys Glu Cys Arg Pro Lys Lys Asp Arg Ala Arg 100 105 110 Gln Glu Asn Pro Cys Gly Pro Cys Ser 121 115 120
【図面の簡単な説明】
【図1】MV101 抗体のYVPFに対する認識特性を示
す図である。
【図2】VPFの血管内皮細胞(HUVEC) への増殖
促進作用に対するモノクローナル抗体の作用を示す図で
ある(MV101抗体:〇、抗アルファフェトプロテイン
モノクローナル抗体:□)。
【図3】MV101 抗体の抗腫瘍活性を示す図である(M
V101 抗体:○、MV415 抗体:□、無投与:●)。
【図4】MV101 抗体の抗腫瘍活性を示す図である(M
V101 抗体:○、MV415 抗体:□、無投与:●)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 (C12P 21/08 C12R 1:91) (72)発明者 浅野 誠 茨城県つくば市大久保2番 東亞合成株式 会社つくば研究所内 (72)発明者 松本 友恵 茨城県つくば市大久保2番 東亞合成株式 会社つくば研究所内 (72)発明者 松尾 克彦 茨城県つくば市大久保2番 東亞合成株式 会社つくば研究所内 (72)発明者 大森 巌 茨城県つくば市大久保2番 東亞合成株式 会社つくば研究所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アミノ酸残基数が121のヒト血管透過
    性因子と反応するが、該因子のアミノ末端から奇数番目
    のアミノ酸を起点とする連続した10個のアミノ酸配列
    を有するペプチドのいずれとも反応しないことを特徴と
    するモノクローナル抗体。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の血管透過性因子モノクロ
    ーナル抗体を有効成分とする制癌剤。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の血管透過性因子モノクロ
    ーナル抗体からのキメラ抗体またはひと化抗体を有効成
    分とする制癌剤。
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