JPH0853387A - 新規化合物f−11263 - Google Patents

新規化合物f−11263

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JPH0853387A
JPH0853387A JP6189722A JP18972294A JPH0853387A JP H0853387 A JPH0853387 A JP H0853387A JP 6189722 A JP6189722 A JP 6189722A JP 18972294 A JP18972294 A JP 18972294A JP H0853387 A JPH0853387 A JP H0853387A
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JP
Japan
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agent
compound
sphingomyelinase
acremonium
tnf
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JP6189722A
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Yoko Ogura
陽子 小倉
Futoshi Nara
太 奈良
Takeshi Hosoya
剛 細矢
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Sankyo Co Ltd
Original Assignee
Sankyo Co Ltd
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Publication date
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P20/00Technologies relating to chemical industry
    • Y02P20/50Improvements relating to the production of bulk chemicals
    • Y02P20/52Improvements relating to the production of bulk chemicals using catalysts, e.g. selective catalysts

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  • Medicines Containing Material From Animals Or Micro-Organisms (AREA)
  • Acyclic And Carbocyclic Compounds In Medicinal Compositions (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】本発明は、下記式(I)で表される新規化合物
F−11263: 【化1】 等に関する。 【効果】本発明の新規化合物F−11263は、抗HI
V剤、抗糖尿病剤、抗動脈硬化剤、抗骨粗しょう症剤、
抗血栓剤、抗炎症剤、免疫抑制剤、利尿剤、そして、呼
吸器系疾患、甲状腺疾患、アルツハイマー病、肝炎、腎
炎、白血病、及びカケクシアに対する予防薬、治療薬と
して使用できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、スフィンゴミエリナー
ゼを阻害し各種医薬として有用な新規化合物F−112
63及びその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】インターロイキン−1β(以下、「IL
−1β」という。)の生物作用は多様であり、一般には
生体の恒常性維持に必須な生体物質と考えられている。
ところが、IL−1βの産生調節機能に異常が発生し、
IL−1βが過剰に生産されると、種々の疾患の原因と
なる。また、腫瘍壊死因子−α(以下、「TNF−α」
という。)はある種の腫瘍細胞やウイルス感染細胞を死
滅させたり、顆粒球の抗細菌性作用を増強させる等の作
用を有するが、TNF−αも過剰に生産された場合に
は、幾つかの疾患の主要な病因となる。
【0003】この二つのサイトカインは全く異なる遺伝
子の産物で、その構造に類似性はなく、各々に対応した
独自の受容体を有するが、それらの標的細胞、生物活性
には重複する点が多い。例えば、両サイトカインは生体
内に入ったエンドトキシン(LPS)によって起こる敗
血症性ショックの主要原因であり〔Tracy K.J. et al.
Science, 234, 470 (1986)、Tracey K.J. et al. Natur
e(London), 330, 662(1987)〕、その他、肉芽腫〔Kobay
ashi K. et al. J. Immunol., 134, 358 (1985)〕、髄
膜炎菌髄膜炎やマラリア感染〔Curfs J.H.A. et al. J.
Exp.Med., 172,1287 (1990)〕等、外来性の微生物、寄
生虫及びウイルス等に由来する感染症に密接に関係す
る。この様な急性期炎症反応に於ける主要な各段階、即
ち、局所への炎症細胞の浸潤〔Gamble J.R. et al. Pro
c.Natl.Acad.Sci.U.S.A., 82, 8667(1985) 、宮坂 昌
之ら Annual Review 免疫’91, 57 中外医学社 (199
1) 〕、発熱〔Dinarello C.A. Lymphokines, 14, 1 (1
987) 〕、急性期蛋白の誘導〔Perimutter D.H. et al.
J.Clin.Invest., 78,1349 (1986) 〕、プロスタノイ
ド、特にPGE2 産生の促進に〔Dayer J.-M. et al. J.E
xp.Med., 162, 2163 (1985) 、Turinsky J. et al. Am.
J.Physiol. 262, E476 (1992)、Ballou L.R. et al.
J.Biol.Chem. 267, 20044 (1992)〕、両サイトカイン
は積極的な役割を担っている。
【0004】また、IL−1βとTNF−αは慢性の炎
症疾患、例えば、慢性関節リウマチ(RA)発症及び進
展に関与し、滑膜組織に於けるリンパ球浸潤の活性化、
滑膜細胞の増殖促進、及び軟骨細胞の破壊、破骨細胞の
活性化による骨吸収の促進作用を示す〔Mizel S.B. et
al. Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A. 78, 2474 (1980) 、Mi
yasaka N. et al. Arthritis Rheum., 31, 480 (198
8)、Arend W.P. and Dayer J.-M. Arthritis Rheumatis
m., 33, 305 (1990)〕。その他、同じリウマチ性疾患で
ある膠原病〔Tanaka Y. et al. J.Immunol., 143, 1584
(1989) 〕、全身性血管炎を主体とする川崎病〔Leung
D.Y.M. et al. J.Exp.Med., 164, 1958 (1986)〕、肉芽
腫とそれに続く線維症に伴う慢性炎症にも関わることが
知られている〔Le J. and Vilcek J. Lab.Invest., 56,
234 (1987) 〕。現在、慢性炎症性疾患の治療剤として
使用されているグルココルチコイドは、その作用一部が
これらサイトカインの産生抑制にあることが知られてい
るが〔Lew W. et al. J.Immunol., 140, 1895 (1988)
〕、グルココルチコイドは、その多様な生理作用によ
り種々の重篤な副作用を誘起する不利を併せ持つ。
【0005】さらに、IL−1βとTNF−αは単球の
血管内皮細胞への接着、内皮下への遊走[Pober J.S. e
t al. J.Immunol., 137, 1893 (1986)、Nelken N.A. et
al.J.Clin.Invest. 88, 1121 (1991) 〕、血管平滑筋
細胞の内膜での異常増殖を促進する等〔Raines E.W. et
al. Science 243, 393 (1989)〕、粥状動脈硬化の発
症、進展に関与する。
【0006】また、IL−1βとTNF−αは、血小板
活性化因子(PAF)の産生促進、組織因子の内皮細胞
膜表面への誘導、トロンボモジュリンプロテインCの減
少、プラスミノーゲンアクチベーターインヒビター1の
産生抑制をきたし、全体として血小板凝集と血液凝固を
招来して血栓形成の原因となる〔Bevilacqua M.P. eta
l. Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A., 83, 4533 (1986) 、Le
J. and Vilcek J. Lab.Invest., 56, 234 (1987) 、佐
藤 靖史 現代医療, 23, 3163 (1991) 〕。
【0007】インスリン依存型糖尿病(IDDM)で
は、その発症に至る過程に潜在的、慢性的、自己免疫的
な炎症が膵島、特に膵β細胞に起こっているが、IL−
1βやTNF−αはそれに関与する〔Nerup J. et al.
Diabetes Care., 11, 16 (1988) 。一方、インスリン非
依存型糖尿病(NIDDM)に際しても、TNF−αは
脂肪細胞での産生を介して筋肉、肝細胞に作用し、イン
スリン抵抗性を発揮することに関与する〔Spiegelman
B.M. et al. J. Biol.Chem., 268, 6823 (1993)〕。糸
球体腎炎発症の主体を成すメサンギウム細胞の増殖と基
質の増生にIL−1βとTNF−αは深く関与する〔We
rber H.I. et al. J.Immunol., 138, 3207 (1987) 、Ba
ud L. et al. Kidney Int., 41, 600 (1992)〕。
【0008】IL−1βやTNF−αはT細胞からのI
L−2産生やその分泌、その受容体発現を促し、また、
その他の免疫細胞に作用してその働きを高めることで免
疫能を賦活化する〔Gillis S. and Mizel S.B. Proc.Na
tl.Acad.Sci.U.S.A. 78, 1133 (1981)、Scheurich P. e
t al. J.Immunol., 138, 1786 (1987)〕。この作用によ
り両サイトカインは、例えば移植の際に生じる移植片対
宿主病(GVHD)発症の一因となる。
【0009】TNF−αは、慢性の感染症やガン患者に
於いて脂肪細胞のリポプロテインリパーゼ活性を抑制し
て食欲不振を引き起こすことにより、極度の体重減少・
消耗を引き起こし(cachexia)、そのためTNF−αは
カケクチン(cachectin )と呼ばれている〔Beutler B.
et al. Nature(London), 316, 552 (1985) 〕。TNF
−αは、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)感染細胞にお
いて、染色体内に挿入されたHIVのウイルスゲノム末
端:LTRからの転写を転写因子NF−κBを介して活
性化させ、HIVの増殖をこう進させる〔Nabel G. et
al. Nature, 326, 711 (1987) 、Schreck R. et al. EM
BO Journal, 10, 2247 (1991) 〕。
【0010】その他、IL−1βやTNF−αの過剰生
産に基づく疾患として、劇症肝炎〔Muto Y. et al. Lan
cet II, 72 (1988) 〕、喘息、特発性肺線維症〔Kelley
J.Am.Rev.Respir.Dis., 141(3), 765 (1990)〕、AR
DS(adult respiratory distress syndrome )〔Mill
ar A. et al. Lancet II, 712 (1989)〕等の呼吸器系疾
患、自己免疫性甲状腺疾患〔江口 勝美ら 最新医学か
らのアプローチ1 サイトカインから, メジカルレビュ
ー社, 38 (1991) 〕、ライム病〔Habicht G.S.et al.
J.Immunol., 134, 3147 (1985) 〕、アルツハイマー病
〔Griffin W.S.T.at al. Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,
86, 7611 (1989)〕、クローン病〔八木田旭邦 医学の
あゆみ, 147, 375 (1988) 〕、中毒ショック症候群〔Ik
ejima T. et al. J.Clin.Invest., 73, 1312 (1984)
〕、骨粗しょう症〔Pacifici R. et al. Proc.Natl.Ac
ad.Sci.U.S.A., 86, 2398 (1989) 〕、痛風〔Di Giovin
e F.S.et al. J.Immunol., 138, 3213 (1987) 〕、急性
骨髄性白血病〔Sakai K. et al. J.Exp.Med., 166, 158
7 (1987)〕、子宮内膜炎〔Romero R., et al. Am.J.Obs
tet.Gynecol. 160, 1117 (1989) 〕などが挙げられる。
【0011】スフィンゴミエリナーゼは、生体内の細胞
膜系および核内に含まれるコリン含有脂質の一つである
スフィンゴミエリンを基質として、このものをセラミド
とホスホリルコリンに分解する酵素である。本酵素は、
当初は酸性域に至適pHを有するリソソームの水解酵素
の一つとして見い出されたが、最近では中性域に至適p
Hを有する同酵素活性がミクロソーム画分、形質膜にも
見い出されており〔Allan D. et al. Biochim.Biophy
s.Acta., 693, 53 (1982)、T-Koizumi K. and Kojima
K. J.Biochem., 99, 1803 (1986)〕、これらの諸酵素が
生体内のスフィンゴミエリンの代謝に実際的に関与して
いるものと考えられる。
【0012】上記反応の生成物の一つセラミドは更にセ
ラミダーゼにより加水分解され、脂肪酸とスフィンゴシ
ンを生じる。そして、スフィンゴミエリンが哺乳動物体
内で代謝されて、セラミドさらにスフィンゴシンとなる
ことは in vivo の実験で確かめられている〔Schneide
r P.B. and Kennedy E.P. J.Lipid Res., 9, 58 (196
8)〕。スフィンゴミエリンの分解産物であるこのセラミ
ドやスフィンゴシンは、細胞の増殖・分化、及び、それ
らに密接に関連をもつ情報伝達の制御機構に関与してい
ることが示され〔小島清秀と小泉恵子 蛋白質 核酸
酵素, 36, 629 (1991)〕、この反応経路はスフィンゴミ
エリン経路と呼ばれている。
【0013】IL−1βやTNF−αが標的細胞の受容
体に結合し、その後、細胞内にてシグナル伝達がされる
ときに、このスフィンゴミエリン経路が関与しているこ
とが示されている〔Dressler K.A. et al. Science, 25
5, 1715 (1992)、Mathias etal. Science, 259, 519 (1
993) 〕。
【0014】従って、スフィンゴミエリナーゼ活性の阻
害物質によりこれらTNF−αやIL−1βのシグナル
伝達を遮断することができ、これらサイトカインが関与
する病態を改善することができる。
【0015】一方、スフィンゴミエリナーゼの反応物が
シクロオキシゲナーゼを活性化し、これを介してPGE2産
生を促進していることが示されている(Ballou L.R. et
al.J. Biol. Chem. 267, 20044, (1992))。
【0016】また、スフィンゴミエリナーゼ反応そのも
のが、粥状動脈硬化の発症に関わるLDLや変性LDL
の末梢細胞内への取り込みを促進し、コレステロール・
エステル合成及びその細胞内蓄積を増加させ〔Stein O.
et al. Biochim. Biochim. Ata., 1126, 291(1992)、
Chatterjee S. J.Biol.Chem., 268, 3401 (1993)〕、
本病態の進展に関わることが予想されている。
【0017】さらに、スフィンゴミエリナーゼの活性化
は腎臓の近位尿細管に於いてジヌソイド側の頂端膜内に
あるスフィンゴミエリン含量を減らし、Na依存性に機
能するリン酸や糖の取り込みを減少させる〔Vrtovsnik
F. et al. Kidney International., 41, 983(199
2)〕。
【0018】また、HIVに感染したCEM細胞でセラ
ミドの量が亢進していることが示され[Veldhoven P.P.
V. et al. Biochem. Biophys. Res. Comm., 187, 209
(1992)] 、生体内のHIV感染細胞でスフィンゴミエリ
ナーゼが活性化していることが示されている。
【0019】以上の事実から、スフィンゴミエリナーゼ
に対する特異的な阻害物質は、抗HIV剤、抗糖尿病
剤、抗動脈硬化剤、抗骨粗しょう症剤、抗血栓剤、抗炎
症剤、免疫抑制剤、利尿剤、そして、呼吸器系疾患、甲
状腺疾患、アルツハイマー病、肝炎、腎炎、白血病、及
びカケクシアに対する予防薬、治療薬として使用でき
る。
【0020】しかしながら、スフィンゴミエリナーゼに
対して特異的かつ強力な阻害物質は現在まで見い出され
ていない。
【0021】従来、IL−1β作用を特異的に阻害する
物質としては、可溶性IL−1レセプターやIL−1レ
セプターアンタゴニストが見いだされ、これらを用いて
の敗血症性ショック患者やRA患者での症状改善がみら
れている。
【0022】また、TNF−α作用を特異的に阻害する
可溶性TNF受容体、抗TNF抗体を用いての、エンド
トキシンショックや急性GVHDなどを対象とした臨床
試験が実施され、その有効性が観察されている〔Vincen
t J.-L. et al. Chest, 101,810 (1992) 、Herve P. et
al. Blood, 79, 3362 (1992)〕。
【0023】しかし、これらは何れもペプチド性もしく
は高分子量の物質であるため、薬剤としての体内への吸
収性や血中での安定性等に於いて欠点を有する。かかる
観点より、スフィンゴミエリナーゼに対して特異的な阻
害活性を有する、低分子生理活性物質が望まれていた。
【0024】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは微生物二
次代謝産物中よりスフィンゴミエリナーゼ阻害作用を持
つ物質を検索し、土壌より分離した アクレモニウム属
に属するSANK11894株(FERM BP−46
83)株の培養液中に、スフィンゴミエリナーゼ阻害作
用を有する新規化合物、F−11263が生産されるこ
とを見出して本発明を完成した。
【0025】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、
(1)下記式(I)で表される新規化合物F−1126
3:
【0026】
【化2】
【0027】(2)アクレモニウム(Acremonium)属に
属するF−11263生産菌を培養し、その培養物より
F−11263を採取することを特徴とするF−112
63の製造法、(3)アクレモニウム(Acremonium)属
に属するF−11263生産菌が、アクレモニウム(Aa
cremonium )sp.SANK11894株である、(2)
記載の製造法、(4)アクレモニウム(Acremonium)s
p.SANK11894株に関する。
【0028】本発明のF−11263は下記の物理化学
的性状を有する。
【0029】1) 性質;黄色針状結晶。 2) 溶解性;メタノール、酢酸エチルなどの有機溶媒に
可溶。
【0030】3) 呈色試験;50%硫酸、ヨウ素に陽
性。
【0031】4) 融点;83〜86℃ 5) 分子式;C11123 (高分解能質量分析法によ
り測定) 6) 分子量;192(高分解能FAB−MS法により
[M+Na]+ 215.0663 (測定値) ) (計算値:215.0684) 7)元素分析値;実測値 C:68.58 % H:6.18% 計算値 C:68.73 % H:6.29% 8) 紫外線吸収スペクトル(メタノール); 230nm (
ε7400), 372 nm ( ε1200) 9) 赤外線吸収スペクトル(KBr); 3324, 3052, 2
973, 1659, 1634, 1585, 1302, 1138 cm-1 10) 1H−核磁気共鳴スペクトル;( 重クロロホルム
中: δPPM, TMS基準) 6.77(d, J=16.2Hz, 1H), 6.76(s, 1H), 6.76(d, J=1.8H
z, 1H), 6.75(d, J=1.8Hz,1H), 6.60(d, J=16.2Hz, 1
H), 1.42(s, 6H) 11) 13C−核磁気共鳴スペクトル;( 重クロロホルム
中: δPPM, TMS基準) 187.9(s), 187.1(s), 147.9(d), 142.1(s), 136.8(d),
136.7(d), 129.2(d), 118.3(d), 71.5(s), 29.8(q) 12) 高速液体クロマトグラフグラフィー 保持時間: 6.5分 カラム:Senshu Pak ODS-H-2151, 6φ×150mm(セ
ンシュー科学製) 溶媒: アセトニトリル−水(35:65) 流速: 1ml/min 検出: UV 220nm 生産菌 本発明において用いられる Acremonium 属に属する菌
株としては、例えばAcremonium sp. SANK1189
4株(FERM BP−4683)を挙げることがで
き、この菌株の菌学的性状は次のとおりである。
【0032】SANK11894は土壌から希釈平板法
によって分離されたものである。そのPDAおよびWS
H寒天平板上での菌学的特徴は次の通りである。
【0033】PDA培地上での生育は23℃、8日間で
30mmに達し、最初は白色の綿毛状だが、さらに培養
を継続することによって、分生子の形成に伴ない、中央
部から黒色の粉状となる。裏面に赤褐色の色素を浸出す
る。やや中央部が盛り上がり、放射線状のしわを形成す
る。
【0034】WSH培地上での生育は23℃、8日間で
30mmに達し、全体に平坦である。分生子形成はWS
H培地上で良好である。裏面はほぼ白色で、色素の浸出
はみられない。
【0035】PDAおよびWSH培地上の生育で、栄養
菌糸は無色であり、数本の菌糸が束となり、その上に多
数の分生子形成細胞を生ずる。分生子形成様式はフィア
ロ型。フィアライドはきり型であり、先端へ向かって細
まり、その大きさは14〜42×2μmである。一部に
粒子を付着し、部分的に表面は粗である。カラーは不明
瞭である。分生子はフィアライド上に集合し、擬頭状の
粘塊となる。分生子は楕円形で、単細胞で、暗褐色であ
り、その大きさは4〜6×2〜4μmである。以上の形
態は、Gams(1971)(Gams,W. (1971) Cephalosporium-ar
tige Schimmelpilze, 262p. G.Fischer, Stuttgart. )
の体系でいうGliomastix節に所属するAcremonium属菌に
一致する。しかしながら、Acremoniumは非常に多数の種
を含む大きな属であり、分類学的再検討を要する種も多
数含まれているため、現時点では種レベルの同定を行う
のは不適当であろう。よってSANK11894をAcre
monium sp. と同定した。なお、本菌は、1994年5
月31日に、通商産業省工業技術研究院生命工学工業技
術研究所に寄託され、寄託番号FERM BP−468
3を付された。
【0036】培養法及び精製法について 本発明の新菌株を分離するに際し使用される分離培地と
しては炭素源、窒素源、無機イオンおよび有機栄養源等
より選択されたものを適宜含有する培地であれば合成ま
たは天然培地の何れでも使用可能である。F−1126
3はSANK11894株を適当な培地で培養し、それ
から採取することによって得られる。栄養源としては、
従来真菌類の菌株の培養に利用されている公知のものが
使用できる。例えば、炭素源としてはグルコース、シュ
ークロース、澱粉、グリセリン、水飴、糖蜜、大豆油な
どが使用できる。また、窒素源としては大豆粉、コーン
スチープリカー、生イースト、ジャガイモ、硫酸アンモ
ニウム、硝酸ナトリウム等を使用しうる。このほか必要
に応じて炭酸カルシウム、リン酸塩等の無機塩類を添加
するほか、菌株の発育を助け、F−11263の生産を
促進するような有機および無機物を適当に添加すること
ができる。培養法としては、一般の抗生物質を生産する
方法と同じく液体培養法、特に深部培養法が最も適して
いる。培養は、好気的条件下で行なわれ、培養に適当な
温度は20〜30℃であるが、多くの場合23℃付近で
培養する。F−11263の生産は、振盪培養で通常5
〜8日で最高値に達する。
【0037】培養終了後、培養液中の菌体あるいはろ液
に存在するF−11263を培養液の容量程度のアセト
ン、アセトニトリルのような有機溶媒を添加し混合する
ことにより抽出する。抽出物中に存在する固形部分を珪
藻土をろ過操作助剤とするろ過操作または遠心分離によ
って分別し、そのろ液または上清中に存在するF−11
263を、スフィンゴミエリナーゼ阻害活性を指標にし
て、その物理化学的性状を利用し抽出精製する。例え
ば、この抽出液中に存在するF−11263は、まず濃
縮操作で混在する有機溶媒を除去した後に水と混和しな
い有機溶剤、例えばnーブタノール、メチルエチルケト
ン、酢酸エチル、クロロホルム、塩化エチレン、塩化メ
チレンなどの単独または、それらの組み合わせにより抽
出精製することができる。あるいは吸着剤として、例え
ば活性炭または吸着用樹脂であるアンバーライトXAD
−2、XAD−4(ローム・アンド・ハース社製)等
や、ダイヤイオンHP−10、HP−20、CHP−2
0P、HP−50(三菱化成(株)製)等を使用する事
ができる。F−11263を含む液を上記のごとき吸着
剤の層を通過させて不純物を吸着させて取り除くか、ま
たはF−11263を吸着させた後、メタノール水、ア
セトン水、n−ブタノール水などを用いて溶出させるこ
とにより得られる。このようにして得られたF−112
63は、更にシリカゲル、フロリジルのような担体を用
いた吸着カラムクロマトグラフィー、セファデックスL
H−20(ファルマシア社製)などを用いた分配カラム
クロマトグラフィー、セファデックスG−25(ファル
マシア製)などを用いたゲルろ過クロマトグラフィー、
および順相、逆相カラムを用いた高速液体クロマトグラ
フィー等で精製することが出来る。
【0038】スフィンゴミエリナーゼ阻害活性は以下の
方法で測定できる。
【0039】即ち、先ず、基質溶液として10μlの
[N−メチル−14C]スフィンゴミエリン(牛、52m
Ci/mmol、25μCi/ml;アマシャム社)と
200μlのスフィンゴミエリン(牛、20mM、シグ
マ社)を窒素ガスで乾固させた後、200μlの1M
トリス−塩酸緩衝液(pH7.5)、40μlの10%
(v/v)トリトンX−100、20μlの0.5M
MgCl2 、及び1.24mlのH2 Oを加えて48
℃、30分のインキュベーションを行い、プローブ型超
音波破砕装置で、20Wの出力条件下、15秒、2回の
超音波処理を施し、[14C]スフィンゴミエリンを含む
混合ミセル系を作成した。
【0040】スフィンゴミエリナーゼ反応は、この様に
して用意した基質溶液150μlに検体溶液10μlを
混合し、ウイスターイマミチ系雄性ラット脳のミクロソ
ーム画分(25,000×g〜100,000×g、蛋
白質濃度3〜4mg/ml)40μlを酵素溶液として
加えて37℃、40分インキュベーションすることによ
り行った。反応終了後、クロロホルム:メタノール
(2:1、v/v)を500μl加えて抽出操作を施
し、得られた水層150μlを3mlのピコフローTM4
0と混合して、反応物である[14C]ホスフォリルコリ
ン量を液体シンチレーションカウンターで測定した。ス
フィンゴミエリナーゼ活性は、この測定値からスフィン
ゴミエリナーゼ反応に必要なMgCl2 を除いた場合で
の測定値を差し引いた値として計算される。
【0041】本発明のF−11263を抗HIV剤、抗
糖尿病剤、抗動脈硬化剤、抗骨粗鬆症剤、抗血栓症剤、
抗炎症剤、免疫抑制剤、利尿剤、そして、呼吸器系疾
患、甲状腺疾患、アルツハイマー病、肝炎、腎炎、白血
病、およびカケクシアに対する予防薬、治療薬として用
いる場合、種々の形態で投与される。その投与形態とし
ては例えば錠剤、カプセル剤、顆粒剤、シロップ剤、等
による経口投与、また注射剤(静脈内、筋肉内、皮
下)、点眼剤、坐薬等による非経口投与を挙げることが
できる。
【0042】これらの各種製剤は、常法に従って主薬に
賦形剤、結合剤、崩壊剤、潤沢剤、矯味矯臭剤、溶解補
助剤、縣濁剤、コーティング剤等既知の医薬製剤技術分
野において通常使用しうる既知の補助剤を用いて製剤化
することができる。その使用量は症状、年齢、体重、投
与方法および剤形等によって異なるが通常は成人に対し
て1日50mg〜1000mgを投与することができ
る。
【0043】
【実施例】次に実施例をあげて本発明を更に具体的に説
明するが、本発明はこれに限定されない。
【0044】実施例1. F−11263 物質の精製 (1) 培養 Acremonium sp. SANK11894株を無菌的に、滅
菌した後述の組成の培養培地100mlを含むバッフル
の付いた500mlの三角フラスコ(種フラスコ)に接
種した。次いでこれを23℃で7日間、200rpm のロ
ータリー振とう機で前培養を行った。
【0045】培地組成 グリセロール 50gジャガイモ 50g イースト・エキストラクト 5g マルト・エキストラクト 5g 水道水 1000ml pH無調整 本培養は次のように行った。滅菌した上述の組成の培養
培地100mlを含むバッフルの付いた500mlの三
角フラスコ30本に種培養液をそれぞれ5ml入れ、2
3℃で7日間、200rpm のロータリー振とう機で培養
を行った。
【0046】(2) 単離 三角フラスコ30本分の培養液に濾過助剤セライト54
5を加えて吸引ろ過を行った。次にこれを等量の酢酸エ
チルで3回抽出した。酢酸エチル層を飽和食塩水で洗浄
後、無水硫酸ナトリウムで脱水し、減圧濃縮して黄褐色
粉末を4.5g得た。この粉末を少量のメタノールに溶
解し、20%含水アセトニトリル溶媒で平衡化した12
0mlのコスモシール140C18−OPNカラム(ナカ
ライテスク社製)にチャージした。このカラムを500
mlの20%含水アセトニトリル溶媒で溶出し分画し
た。以下の(3) に記載する、スフィンゴミエリナーゼ阻
害活性の認められた分画を濃縮したところ、758mg
の黄色物質を得た。このうち296mgを少量のヘキサ
ン−酢酸エチル=2:1に溶解し、同じ溶媒で平衡化し
た逆相液体クロマトグラフィー(ローバーSi−60、
25φ×310mm、メルク社製)にチャージし、同じ
溶媒で10ml/分の流速で展開した。220nmの吸
収を検出し13〜15分に溶出されるピークを分取し、
減圧留去により溶媒を除去したところ、199.9mg
の黄色物質を得た。
【0047】 (3) スフィンゴミエリナーゼ阻害活性の測定法 スフィンゴミエリナーゼの酵素源としてラット脳を用
い、先ず、以下の様にそのミクロソーム画分を調製し
た。10匹のウイスターイマミチ系雄性ラット(9週
齢)を頚動脈放血後、全脳を摘出した。迅速に、小脳を
除去後、予め4℃に冷却したバッファーA(0.25M
シュークロース、1mM EDTA、1mMPMS
F、0.1mM ロイペプチン、5mM トリス−塩酸
緩衝液、pH7.4)130mlを加え、4℃条件下、
ポッターのホモジナイザーを用いて脳細胞の破砕を行っ
た。次に、得られた細胞破砕液を4℃条件下、700×
g、10分間の遠心分離を行い、その上清を更に、4℃
条件下、25,000×gで10分間の遠心分離を行っ
た。最後に、得られた上清を4℃条件下、100,00
0×gで60分間の超遠心分離を行い、その沈澱物をミ
クロソーム画分とした。尚、この画分はスフィンゴミエ
リナーゼの活性測定時まで液体窒素下で凍結保存し、使
用時にバッファーAで蛋白質濃度3〜4mg/ml程度
になる様に調製した。
【0048】スフィンゴミエリナーゼ活性は混合ミセル
系を使って以下の様に測定した。即ち、先ず、混合した
10μlの[N−メチル−14C]スフィンゴミエリン
(牛、52mCi/mmol、25μCi/ml;アマ
シャム社)と200μlのスフィンゴミエリン(牛、2
0mM、シグマ社)を窒素ガスで乾固させた後、200
μlの1M トリス−塩酸緩衝液(pH7.5)、40
μlの10%(v/v)トリトンX−100、20μl
の0.5M MgCl2 、及び1.24mlのH2 Oを
加えて48℃、30分のインキュベーションを行った。
そして、プローブ型超音波破砕装置で、20Wの出力条
件下、15秒、2回の超音波処理を施し、[14C]スフ
ィンゴミエリンを含む混合ミセル系を作成した。
【0049】スフィンゴミエリナーゼ反応は、この様に
して用意した基質溶液150μl に検体溶液10μlを
混合し、先に供述した酵素溶液40μlを加えて37
℃、40分インキュベーションすることにより行った。
反応終了後、クロロホルム:メタノール(2:1、v/
v)を500μl加えて抽出操作を施し、得られた水層
150μlを3mlのピコフローTM40と混合して、反
応物である[14C]ホスフォリルコリン量を液体シンチ
レーションカウンターで測定した。スフィンゴミエリナ
ーゼ活性は、この測定値からスフィンゴミエリナーゼ反
応に必要なMgCl2 を除いた場合での測定値を差し引
いた値として計算される。
【0050】この方法で測定した、スフィンゴミエリナ
ーゼ反応を50%阻害するのに必要なF−11263の
濃度は0.8μg/mlであった。
【0051】
【発明の効果】本発明の新規化合物F−11263は、
抗HIV剤、抗糖尿病剤、抗動脈硬化剤、抗骨粗しょう
症剤、抗血栓剤、抗炎症剤、免疫抑制剤、利尿剤、そし
て、呼吸器系疾患、甲状腺疾患、アルツハイマー病、肝
炎、腎炎、白血病、及びカケクシアに対する予防薬、治
療薬として使用できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A61K 31/12 ABJ 9455−4C ABX 9455−4C ACB 9455−4C ACD 9455−4C ACS 9455−4C ACV 9455−4C ADV 9455−4C 35/74 ABA G 7431−4C AED D 7431−4C C12N 9/99 (C12N 1/20 C12R 1:645) (C12P 7/66 C12R 1:645)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記式(I)で表される新規化合物F−1
    1263。: 【化1】
  2. 【請求項2】アクレモニウム(Acremonium)属に属する
    F−11263生産菌を培養し、その培養物よりF−1
    1263を採取することを特徴とするF−11263の
    製造法。
  3. 【請求項3】アクレモニウム(Acremonium)属に属する
    F−11263生産菌が、アクレモニウム(Acremoniu
    m)sp.SANK11894株である、請求項2に記載
    の製造法。
  4. 【請求項4】アクレモニウム(Acremonium)sp.SAN
    K11894株。
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