JPWO2003006060A1 - Sh3ドメイン結合阻害剤 - Google Patents
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Abstract
本発明は、SH3ドメイン結合阻害活性を有する非ペプチド性化合物、SH3ドメイン結合阻害活性を有する分子量750未満の低分子化合物、中でも例えば上記一般式(I)もしくは(II)で表される化合物、サイトカラシン類等またはそれらの薬理学的に許容される塩を有効成分として含有するSH3ドメイン結合阻害剤を提供する。また、上記一般式(Va)、(Vb)もしくは(VI)で表される化合物またはそれらの薬理学的に許容される塩を提供する。
Description
技術分野
本発明は、非ペプチド性化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有するSH3ドメイン結合阻害剤に関する。また本発明は、SH3ドメイン結合阻害剤として有用な化合物に関する。
背景技術
細胞膜上には様々な受容体が存在し、細胞外刺激に応じて活性化されて細胞内にそのシグナルを伝達する。受容体の細胞質側には各種のシグナル分子が集まり、複合体を形成する。刺激の種類により、各シグナル分子は異なった生理作用を誘発する。シグナル分子の複合体の形成には、ドメイン構造が重要な役割を果たしている。その中でも、Srcホモロジードメイン3(SH3ドメイン)は、Srcファミリー間の相同性の高い領域として発見され、およそ60アミノ酸から成るドメインで様々な蛋白質中に位置し、プロリンを含む配列(プロリンリッチ配列)を認識して結合することが知られている[サイエンス(Science)、252巻、668頁(1991年)、同257巻、803頁(1992年)、ファセブ・ジャーナル(FASEB J.)、14巻、231頁(2000年)]。これらプロリンリッチ配列を有する蛋白質としてはHIV−1Nef、p22−phox、p47−phox、Sam68、Sos1、Zo1、Dynamin、c−Cbl等が知られている[例えばエムボ・ジャーナル(EMBO J.)、14巻、484頁(1995年)、プロシーディング・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス・オブ・ザ・ユー・エス・エー(Proc.Natl.Acad.Sci.USA)、91巻、10650頁(1994年)、ジャーナル・オブ・イムノロジー(J.Immunol.)、157巻、1226頁(1996年)、ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J.Biol.Chem.)、270巻、9115頁(1995年)等]。SH3ドメインを有する蛋白質は、例えばすべての真核生物、HIV等のウイルス等において見い出されており、普遍的な機能が考えられている。例えば、SrcファミリーキナーゼであるFynを始めとして、Ras−GAP、PLCγ、PI3K、Abl、Btk、Lyn、Hck、Fgr、Yes等酵素活性をもつものや、酵素活性をもたないアダプター蛋白質であるGrb2、Nck、Vav等、NADPHオキシダーゼ複合体の構成蛋白質であるp40−phox、p47−phox、p67−phox等[プロシーディング・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス・オブ・ザ・ユー・エス・エー(Proc.Natl.Acad.Sci.USA)、91巻、10650頁(1994年)]、その他Txk、Tec、Tsk、Crk、Cortactin等がSH3ドメインを有することが知られている。SH3ドメインを介した蛋白質−蛋白質結合は、適度の親和性による相互作用を通して、蛋白質複合体を形成する役割を果たしていると考えられている。
SH3ドメインを介した蛋白質−蛋白質結合は、例えば癌やAIDS(acquired immune deficiency syndrome)、アレルギー等様々な疾患において原因と考えられるシグナル分子間に存在する[バイオポリマー(Biopoly.)、43巻、383頁(1997年)]。このことから、SH3ドメインを介した蛋白質−蛋白質結合を阻害する(SH3ドメイン結合阻害活性)SH3ドメイン結合阻害剤は、これら疾患の治療薬として有効と考えられ、生体内における発癌等SH3ドメイン結合の関与する疾患原因蛋白質の調節を含む多くの用途に利用され得る。
ペプチドでは、SH3ドメイン結合配列に変異を加えたもの[セル(Cell)、76巻、933頁(1994年)、ケミカル・バイオロジー(Chem.Biol.)、7巻、R3−R8頁(2000年)]や、コンビナトリアル・ファージライブラリーからSrc、PI3K、Abl等様々なSH3ドメインを有する蛋白質のSH3ドメインに結合するペプチドをスクリーニングする方法(WO95/24419、特表2000−506522号)や、c−CrkのSH3ドメインに特異的に結合するペプチド(WO96/21011)が報告されている。ペプチドに修飾を施したペプチド性化合物では、SH3ドメイン結合を阻害するスピロラクタム化合物(WO98/54208)や、プロリン骨格を有するアミノ酸配列をその構造に含む合成ペプチドが固定化されている偏りのあるコンビナトリアル・ライブラリーより単離されたもの[ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサエティ(J.Am.Chem.Soc.)、118巻、287頁(1996年)]がある。これらに記載の化合物のうち最小の化合物は、分子量790であるが、Kd値は220μmol/Lと、そのSH3ドメインに対する結合力は弱かった[ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサエティ(J.Am.Chem.Soc.)、118巻、287頁(1996年)]。
これまで報告のあったSH3ドメイン結合阻害剤は、分子量750以上のプロリンを始めとする疎水性アミノ酸を基本とするペプチドまたはペプチド性の化合物であった。ペプチドまたはペプチド性の化合物は、例えば、一般的に血中安定性が低い、経口吸収性が悪い、分子量が大きいために細胞内への取り込みが容易でない、構造が複雑なために製造が容易でなくコストがかかる等、SH3ドメイン結合が関与する疾患の治療薬として用いるには、困難な点を多く含んでいた。
UCS15A(Luminacin C2/SI−4228A)は、ザ・ジャーナル・オブ・アンチバイオティックス(The Journal of Antibiotics)、53巻、579頁(2000年)、特開昭58−116686号、同昭63−22583号、同昭61−293920号、同昭62−294619号、同昭63−48213号、同平8−268888号に、骨吸収抑制作用、殺菌作用、免疫抑制作用、抗白癬菌作用、抗腫瘍活性を有する化合物として記載されている。
また、サイトカラシン類[サイトカラシン(cytochalasin)、ロセリカラシン(Rosellichalasin)、エポキシサイトカラシン(epoxycytochalasin)、カエトグロボシン(chaetoglobosin)、ペノカラシン(penochalasin)、アスポカラシン(aspochalasin)等]には、例えば血管新生阻害作用(WO98/41205)等の生物活性が知られている。
発明の開示
本発明の目的は、非ペプチド性化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有するSH3ドメイン結合阻害剤を提供することにある。また、本発明のもう1つの目的は、SH3ドメイン結合阻害剤として有用な化合物またはその薬理学的に許容される塩を提供することにある。
本発明は、以下の[1]〜[51]に関する。
[1]SH3ドメイン結合阻害活性を有する非ペプチド性化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有するSH3ドメイン結合阻害剤。
[2]非ペプチド性化合物が、分子量750未満の低分子化合物である上記[1]記載のSH3ドメイン結合阻害剤。
[3]SH3ドメイン結合阻害活性を有する非ペプチド性化合物が、一般式(I)
(式中、R1、R3a、R3bおよびR4は、同一または異なって、水素原子、ヒドロキシ、カルボキシ、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルコキシまたは置換もしくは非置換の低級アルカノイルオキシを表すか、またはR3aとR3bが一緒になって酸素原子を表し、R2aおよびR2bは、同一または異なって、水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキルまたは置換もしくは非置換の低級アルケニルを表し、R5aおよびR5bは、同一または異なって、水素原子、ヒドロキシ、カルボキシ、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換の低級アルカノイルオキシ、置換もしくは非置換の低級アルケノイルオキシまたは置換もしくは非置換の低級アルカノイルアミノカルボニルオキシを表すか、またはR5aとR5bが一緒になって酸素原子を表し、Xは酸素原子または−CH2−を表す)で表される化合物である上記[1]または[2]記載のSH3ドメイン結合阻害剤。
[4]SH3ドメイン結合阻害活性を有する非ペプチド性化合物が、一般式(II)
(式中、R6は水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキルまたは置換もしくは非置換の低級アルケニルを表し、R7およびR9は、同一または異なって、水素原子、ホルミル、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルカノイルまたは置換もしくは非置換のアラルキルを表し、R8、R10およびR11は、同一または異なって、水素原子、ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、置換もしくは非置換の低級アルカノイル、ホルミル、シアノ、ニトロ、アミノ、モノもしくはジ低級アルキルアミノ、置換もしくは非置換の低級アルカノイルアミノまたは置換もしくは非置換の低級アルコキシカルボニルを表す)で表される化合物である上記[1]または[2]記載のSH3ドメイン結合阻害剤。
[5]SH3ドメイン結合阻害活性を有する非ペプチド性化合物が、サイトカラシン類である上記[1]または[2]記載のSH3ドメイン結合阻害剤。
[6]SH3ドメイン結合阻害活性を有する非ペプチド性化合物が、一般式(IIIa)
(式中、R12aは置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換のヘテロアリールを表し、Q1は単結合または酸素原子を表し、−−−−は単結合または二重結合を表し、Q2と隣接する炭素原子の間の−−−−が二重結合を表すとき=Q2−は=C(CH3)−を表し、Q2と隣接する炭素原子の間の−−−−が単結合を表すとき−Q2−は−C(OH)(CH3)−を表す)で表される化合物である上記[1]または[2]記載のSH3ドメイン結合阻害剤。
[7]SH3ドメイン結合阻害活性を有する非ペプチド性化合物が、一般式(IIIb)
[式中、R12bは前記R12aと同義であり、Q3およびQ5は、同一または異なって、単結合または酸素原子を表し、−−−−は単結合または二重結合を表し、−−−−Q4 −−−−は=C(CH3)−、−C(=CH2)−、−CH(CH3)−または−C(CH3)=を表し、R12cおよびR12hは、同一または異なって、水素原子またはヒドロキシを表し、R12dおよびR12eは、同一または異なって、水素原子またはメチルを表し、R12fおよびR12gはホルミルを表すか、またはR12fとR12gが一緒になって、−−−−CR12hR12gと−CHR12eR12fの部分が、−−−−CR12h−C(OH)(CH3)−C(=O)−CHR12e−または−−−−CR12h−A−B−CHR12e−(式中、AおよびBは、同一または異なって、−CH(OH)−、−CH2−または−C(=O)−を表す)を表す]で表される化合物である上記[1]または[2]記載のSH3ドメイン結合阻害剤。
[8]Xが酸素原子であり、R2a、R3a、R4およびR5bが水素原子であり、R1およびR3bが同一または異なって、ヒドロキシ、カルボキシ、置換もしくは非置換の低級アルコキシまたは置換もしくは非置換の低級アルカノイルオキシであり、R2bが置換もしくは非置換の低級アルキルであり、R5aが一般式(IV)
[式中、R5cは置換もしくは非置換の低級アルキルを表し、R5dおよびR5eは、同一または異なって、水素原子、ヒドロキシまたは置換もしくは非置換の低級アルコキシを表すか、またはR5dとR5eが一緒になって酸素原子を表し、R5fおよびR5hは、水素原子、ホルミル、置換もしくは非置換の低級アルキルまたは置換もしくは非置換の低級アルカノイルを表し、R5gはホルミル、−CH=NQ(式中、Qは置換もしくは非置換の低級アルコキシ、置換もしくは非置換のアリールオキシ、置換もしくは非置換のアラルキルオキシ、置換もしくは非置換の低級アルキルアミノ、置換もしくは非置換のアリールアミノまたは置換もしくは非置換のアリールスルホニルアミノを表す)、置換もしくは非置換の低級アルキルまたは置換もしくは非置換の低級アルカノイルを表し、R5iおよびR5jは、同一または異なって、水素原子、ヒドロキシまたは置換もしくは非置換の低級アルコキシを表すか、またはR5iとR5jが一緒になって酸素原子を表す]である上記[3]記載のSH3ドメイン結合阻害剤。
[9]一般式(Va)
(式中、−−−−は単結合または二重結合を表し、R12a、Q1およびQ2は、それぞれ前記と同義である)で表される化合物またはその薬理学的に許容される塩。
[10]一般式(Vb)
[式中、−−−−は単結合または二重結合を表し、R12b、R12c、R12d、R12e、R12h、Q5および−−−−Q4 −−−−は、それぞれ前記と同義であり、−−−−CR12h−D−CHR12e−は−−−−CR12h−C(OH)(CH3)−C(=O)−CHR12e−または−−−−CR12h−A−B−CHR12e−(式中、AおよびBは、それぞれ前記と同義である)を表す]で表される化合物またはその薬理学的に許容される塩。
[11]一般式(VI)
[式中、R1A、R3AおよびR3Bは、同一または異なって、水素原子、ヒドロキシ、カルボキシ、置換もしくは非置換の低級アルコキシまたは置換もしくは非置換の低級アルカノイルオキシを表すか、またはR3AとR3Bが一緒になって酸素原子を表し、R2Aは置換もしくは非置換の低級アルキルを表し、R5c、R5d、R5e、R5f、R5h、R5iおよびR5jは、それぞれ前記と同義であり、R5Gはホルミル、ヒドロキシメチル、置換もしくは非置換の低級アルコキシメチル、置換もしくは非置換の低級アルカノイルオキシメチル、置換もしくは非置換の低級アルカノイルメチルまたは−CH=NQA(式中、QAは置換もしくは非置換の低級アルコキシ、置換もしくは非置換のアリールオキシまたは置換もしくは非置換のアラルキルオキシを表す)を表すが、ただしR5Gがホルミルであり、R3AまたはR3Bの一方が水素原子であるとき、R3AまたはR3Bの他方はヒドロキシとはならない]で表される化合物またはその薬理学的に許容される塩。
[12]上記[9]または[10]記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する医薬。
[13]上記[11]記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する医薬。
[14]上記[9]または[10]記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有するSH3ドメイン結合阻害剤。
[15]上記[11]記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有するSH3ドメイン結合阻害剤。
[16]SH3ドメイン結合が、SH3ドメインを有する蛋白質とプロリンリッチ配列を有する蛋白質の結合である上記[1]〜[8]、[14]および[15]のいずれかに記載のSH3ドメイン結合阻害剤。
[17]SH3ドメインを有する蛋白質および/またはプロリンリッチ配列を有する蛋白質が、ウイルスに由来する蛋白質である上記[16]記載のSH3ドメイン結合阻害剤。
[18]ウイルスに由来する蛋白質が、レトロウイルス、肝炎ウイルスまたはヘルペスウイルスに由来する蛋白質である上記[17]記載のSH3ドメイン結合阻害剤。
[19]SH3ドメインを有する蛋白質が、Src、Yes、Fgr、Hck、Lck、Abl、Fyn、Lyn、Blk、Yrk、Ras−GAP、PLCγ、PI3K、Tec、Txk/Rlk、Tsk/Emt/Itk、Btk、Crk、Grb2、Nck、Vav、STAT、Cortactin、p40−phox、p67−phox、p47−phox、TCRのシグナル分子(TCRsm)またはIL−2Rのβ鎖もしくはγ鎖である上記[16]記載のSH3ドメイン結合阻害剤。
[20]プロリンリッチ配列を有する蛋白質が、HIV−1Nef、p22−phox、p47−phox、Sam68、Sos1、Dynamin、c−Cbl、ZO1、pX ORF I、LHDAg、NS5A、pORF3、ICP10、LMP2A、TipまたはTioである上記[16]または[19]記載のSH3ドメイン結合阻害剤。
[21]SH3ドメインを有する蛋白質とプロリンリッチ配列を有する蛋白質の結合が、Grb2とSos1、FynとSam68、SrcとSam68、PLCγとSam68、Grb2とSam68、LynとHIV−1Nef、HckとHIV−1Nef、TCRsmとHIV−1Nef、p47−phoxとp22−phox、p67−phoxとp47−phox、LynとDynamin、CortactinとZO1、Lynとc−Cbl、IL−2Rのβ鎖もしくはγ鎖とpX ORF I、Grb2とNS5A、SrcとpORF3、HckとpORF3、FynとpORF3、PI3KとpORF3、PLCγとpORF3、Grb2とpORF3、Grb2とICP10、LynとLMP2A、LckとTip、LynとTio、HckとTio、LckとTio、SrcとTio、FynとTioまたはYesとTioの結合である上記[16]記載のSH3ドメイン結合阻害剤。
[22]SH3ドメインを有する蛋白質とプロリンリッチ配列を有する蛋白質の結合が、Grb2とSos1、FynとSam68、SrcとSam68、PLCγとSam68、Grb2とSam68、LynとHIV−1NefまたはCortactinとZO1の結合である上記[16]記載のSH3ドメイン結合阻害剤。
[23]上記[9]または[10]記載の化合物の製造に使用されるクロサイ ワイタケ目糸状菌類(Xylariales filamentous fungus)MPC1005(受託番号:FERM BP−7980)、アスペルギルス スペシーズ(Aspergillus sp.)MPC1006(受託番号:FERM BP−7899)およびアスペルギルス スペシーズ(Aspergillus sp.)MPC1009(受託番号:FERM BP−7900)からなる群から選ばれる微生物。
[24]上記[9]または[10]記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する抗腫瘍剤。
[25]上記[11]記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する抗腫瘍剤。
[26]上記[9]または[10]記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有するアレルギー性疾患治療剤。
[27]上記[11]記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有するアレルギー性疾患治療剤。
[28]上記[9]または[10]記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有するウイルス性疾患治療剤。
[29]上記[11]記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有するウイルス性疾患治療剤。
[30]上記[9]または[10]記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有するAIDS治療剤。
[31]上記[11]記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有するAIDS治療剤。
[32]SH3ドメイン結合阻害剤の製造のための上記[9]または[10]記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩の使用。
[33]SH3ドメイン結合阻害剤の製造のための上記[11]記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩の使用。
[34]抗腫瘍剤の製造のための上記[9]または[10]記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩の使用。
[35]抗腫瘍剤の製造のための上記[11]記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩の使用。
[36]アレルギー性疾患治療剤の製造のための上記[9]または[10]記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩の使用。
[37]アレルギー性疾患治療剤の製造のための上記[11]記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩の使用。
[38]ウイルス性疾患治療剤の製造のための上記[9]または[10]記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩の使用。
[39]ウイルス性疾患治療剤の製造のための上記[11]記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩の使用。
[40]AIDS治療剤の製造のための上記[9]または[10]記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩の使用。
[41]AIDS治療剤の製造のための上記[11]記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩の使用。
[42]上記[9]または[10]記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩の有効量を投与することを特徴とするSH3ドメイン結合が関与する各種疾患の治療および/または予防方法。
[43]上記[11]記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩の有効量を投与することを特徴とするSH3ドメイン結合が関与する各種疾患の治療および/または予防方法。
[44]上記[9]または[10]記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩の有効量を投与することを特徴とする悪性腫瘍の治療方法。
[45]上記[11]記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩の有効量を投与することを特徴とする悪性腫瘍の治療方法。
[46]上記[9]または[10]記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩の有効量を投与することを特徴とするアレルギー性疾患の治療および/または予防方法。
[47]上記[11]記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩の有効量を投与することを特徴とするアレルギー性疾患の治療および/または予防方法。
[48]上記[9]または[10]記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩の有効量を投与することを特徴とするウイルス性疾患の治療方法。
[49]上記[11]記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩の有効量を投与することを特徴とするウイルス性疾患の治療方法。
[50]上記[9]または[10]記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩の有効量を投与することを特徴とするAIDSの治療方法。
[51]上記[11]記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩の有効量を投与することを特徴とするAIDSの治療方法。
[52]SH3ドメイン結合阻害活性を有する化合物またはその薬理学的に許容される塩の有効量を投与することを特徴とするAIDSの治療方法。
[53]SH3ドメイン結合阻害活性を有する化合物またはその薬理学的に許容される塩の有効量を投与することを特徴とするウイルス性疾患の治療方法。
[54]SH3ドメイン結合阻害活性を有する化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有するAIDS治療剤。
[55]SH3ドメイン結合阻害活性を有する化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有するウイルス性疾患治療剤。
[56]AIDS治療剤の製造のためのSH3ドメイン結合阻害活性を有する化合物またはその薬理学的に許容される塩の使用。
[57]ウイルス性疾患治療剤の製造のためのSH3ドメイン結合阻害活性を有する化合物またはその薬理学的に許容される塩の使用。
以下、一般式(I)、(II)、(IIIa)、(IIIb)、(Va)、(Vb)および(VI)で表される化合物を、それぞれ化合物(I)、(II)、(IIIa)、(IIIb)、(Va)、(Vb)および(VI)という。
一般式(I)、(II)、(IIIa)、(IIIb)、(IV)、(Va)、(Vb)および(VI)の各基の定義において、
(1)低級アルキル、ならびに低級アルコキシ、低級アルコキシカルボニル、低級アルコキシメチル、低級アルキルアミノおよびモノもしくはジ低級アルキルアミノの低級アルキル部分としては、例えば直鎖もしくは分枝状の炭素数1〜8のアルキル、具体的にはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、tcrt−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル等、または例えば環状の炭素数3〜8のアルキル、具体的にはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル等があげられる。
(2)低級アルケニルとしては、例えば直鎖または分枝状の炭素数2〜8のアルケニル、具体的にはビニル、アリル、1−プロペニル、メタクリル、クロチル、1−ブテニル、3−ブテニル、2−ペンテニル、4−ペンテニル、2−ヘキセニル、5−ヘキセニル、1,5−ジメチル−4−ヘキセニル等、または二重結合を2〜4個有するアルケニル、具体的には1,3−ブタジエニル、1,3−ペンタジエニル、2,4−ペンタジエニル、1,5−ジメチル−1,4−ヘキサジエニル、1,3,5−ヘキサトリエニル等があげられる。
(3)低級アルカノイル、ならびに低級アルカノイルオキシ、低級アルカノイルオキシメチル、低級アルカノイルメチル、低級アルカノイルアミノおよび低級アルカノイルアミノカルボニルオキシの低級アルカノイル部分としては、例えば直鎖または分枝状の炭素数2〜8のアルカノイル、具体的にはアセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、イソバレリル、ピバロイル、ヘキサノイル、ヘプタノイル、オクタノイル等があげられる。
(4)アリール、ならびにアリールアミノ、アリールスルホニルアミノおよびアリールオキシのアリール部分としては、例えば炭素数6〜14のアリール、具体的にはフェニル、ナフチル、アントリル等があげられる。
(5)アラルキル、およびアラルキルオキシのアラルキル部分としては、例えば炭素数7〜15のアラルキル、具体的にはベンジル、フェネチル、ベンズヒドリル、ナフチルメチル等があげられる。
(6)ヘテロアリールとしては、例えば窒素原子、酸素原子および硫黄原子からなる群から選ばれるヘテロ原子を少なくとも1個以上含む、5員または6員の単環性芳香族複素環基、または窒素原子、酸素原子および硫黄原子からなる群から選ばれるヘテロ原子を少なくとも1個以上含む、3〜8員の環が縮合した二環もしくは三環性の縮環性芳香族複素環基等があげられ、より具体的には、例えばピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、キノリニル、イソキノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、ナフチリジニル、シンノリニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、チエニル、フリル、チアゾリル、オキサゾリル、インドリル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、プリニル等があげられる。
(7)ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素の各原子を表す。
(8)低級アルケノイルオキシの低級アルケニル部分は、前記低級アルケニル(2)と同義である。
(9)置換アリール、置換アリールオキシ、置換アリールアミノ、置換アリールスルホニルアミノ、置換アラルキルおよび置換アラルキルオキシにおける置換基としては、同一または異なって例えば置換数1〜5の、ヒドロキシ、ハロゲン、ホルミル、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、低級アルカノイル等があげられる。置換位置は特に限定されない。ここで示したハロゲン、低級アルキルおよび低級アルコキシの低級アルキル部分ならびに低級アルカノイルは、それぞれ前記ハロゲン(7)、前記低級アルキル(1)および前記低級アルカノイル(3)と同義であり、置換低級アルキルおよび置換低級アルコキシの置換基としては、置換数1〜3の例えばヒドロキシ、低級アルコキシ[該低級アルコキシの低級アルキル部分は前記低級アルキル(1)と同義である]、ハロゲン[該ハロゲンは前記ハロゲン(7)と同義である]等があげられる。
(10)置換低級アルキル、置換低級アルコキシ、置換低級アルコキシカルボニル、置換低級アルコキシメチル、置換低級アルカノイル、置換低級アルカノイルオキシ、置換低級アルカノイルオキシメチル、置換低級アルカノイルメチル、置換低級アルケノイルオキシ、置換低級アルカノイルアミノ、置換低級アルカノイルアミノカルボニルオキシ、置換低級アルキルアミノおよび置換低級アルケニルにおける置換基としては、同一または異なって例えば置換数1〜3の、ヒドロキシ、低級アルキル、低級アルコキシ、カルボキシ、オキソ、アミノ、エポキシ、置換もしくは非置換の低級アルカノイル、置換もしくは非置換の低級アルカノイルオキシ、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のアロイル等があげられる。置換位置は、特に限定されない。ここで示した低級アルカノイルおよび低級アルカノイルオキシの低級アルカノイル部分、低級アルキルおよび低級アルコキシの低級アルキル部分、ならびにアリールおよびアロイルのアリール部分は、それぞれ前記低級アルカノイル(3)、前記低級アルキル(1)、および前記アリール(4)と同義である。置換アリールおよび置換アロイルの置換基は、前記置換アリールの置換基(9)と同義であり、置換低級アルカノイルおよび置換低級アルカノイルオキシの置換基としては、置換数1〜3の例えばヒドロキシ、低級アルコキシ[該低級アルコキシの低級アルキル部分は前記低級アルキル(1)と同義である]、ハロゲン[該ハロゲンは前記ハロゲン(7)と同義である]等があげられる。
(11)サイトカラシン類としては、例えばサイトカラシン(cytochalasin)、ロセリカラシン(Rosellichalasin)、エポキシサイトカラシン(epoxycytochalasin)、カエトグロボシン(chaetoglobosin)、ペノカラシン(penochalasin)、アスポカラシン(aspochalasin)等があげられる。
(12)SH3ドメイン結合阻害とは、SH3ドメインを介した蛋白質−蛋白質結合の阻害のことである。
(13)SH3ドメイン結合は、例えばSH3ドメインを有する蛋白質とプロリンリッチ配列を有する蛋白質等との結合であればいずれでもよいが、例えばSH3ドメインを有する蛋白質および/またはプロリンリッチ配列を有する蛋白質が、ウイルスに由来する蛋白質である結合等があげられる。
ウイルスに由来する蛋白質としては、例えばヒト免疫不全ウイルス−1(HIV−1)、ヒトTリンパ球ウイルス−1(HTLV−1)等のレトロウイルスに由来する蛋白質、デルタ型肝炎ウイルス(HDV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、E型肝炎ウイルス(NEV)等の肝炎ウイルスに由来する蛋白質、単純ヘルペスウイルス−2(HSV−2)、EBウイルス(EBV)、サイミリヘルペスウイルス(H.saimiri)、アテレルヘルペスウイルス(H.ateles)等のヘルペスウイルスに由来する蛋白質等があげられる。
SH3ドメインを有する蛋白質としては、例えば非受容体型チロシンキナーゼのSrcファミリー蛋白質であるSrc、Yes、Fgr、Hck、Lck、Abl、Fyn(fgr/yes−related novel gene)、Lyn(lgr/yes−related novel gene)、Blk(B−cell lymphocyte kinase)、Yrk(Yes−related kinase)等、酵素活性を有するRas−GAP(ras−GTPasc−activating protein)、PLCγ(phospholipase C−gamma)、PI3K(phosphatidylinositol 3−kinase)等、非受容体型チロシンキナーゼのTecファミリー蛋白質であるTec、Txk/Rlk、Tsk/Emt/Itk、Btk(Bruton’s tyrosine kinase)等、アダプター蛋白質であるCrk(CT−10bregulated)、Grb2(growth factor receptor−bound protein 2)、Nck、Vav等、転写因子であるSTAT(signal transducers and activators of transcription)等、アクチン骨格形成に関わるCortactin等、NADPHオキシターゼ複合体の構成蛋白質であるp40−phox、p67−phox、p47−phox等、T細胞受容体のシグナル分子であるTCRsm[カレント・バイオロジー(Curr.Biol.)、11巻、1294頁(2001年)]等、IL−2R(interleukin−2 receptor)のβ鎖もしくはγ鎖[ジャーナル・オブ・バイロロジー(J.Virol.)、74巻、9828頁(2000年)]等があげられる。
プロリンリッチ配列を有する蛋白質としては、例えばウイルスの感染および/または増殖や、HIV−1の複製等に関わるNefであるHIV−1Nef等、NADPHオキシターゼ複合体の構成蛋白質であるp22−phox、p47−phox等、細胞周期に関わるSam68(src−associated mitotic substrate 68)等、アダプター蛋白質であるSos1(son of sevenless)、Dynamin、c−Cbl(casitas B−lineage lymphoma)等、細胞骨格に関わるZO1等、ウイルス感染の持続等に関わるHTLV−1のpX ORF I(open reading frame I of the pX regione)[ジャーナル・オブ・バイロロジー(J.Virol.)、74巻、9828頁(2000年)]等、ウイルスのRNA合成に関わるLHDAg(large hepatitis delta antigen)[ジャーナル・オブ・バイロロジー(J.Virol.)、72巻、2089頁(1998年)]、NS5A[プロシーディング・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス・オブ・ザ・ユー・エス・エー(Proc.Natl.Acad.Sci.USA)、961巻、5533頁(1999年)]、pORF3[ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J.Biol.Chem.)、276巻、42389頁(2002年)]、ICP10[ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J.Biol.Chem.)、271巻、17021頁(1996年)]等、ウイルスの宿主細胞での潜伏および/または透過に関わるLMP2A[エクスプレッション・オブ・セル・リサーチ(Exp.Cell Res.)、257巻、332頁(2000年)、ジャーナル・オブ・バイロロジー(J.Virol.)、69巻、7814頁(1995年)]、Tip[ジャーナル・オブ・バイロロジー(J.Virol.)、72巻、2607頁(1998年)]、Tio[ジャーナル・オブ・バイロロジー(J.Virol.)、73巻、4631頁(1999年)]等があげられる。
SH3ドメインを有する蛋白質とプロリンリッチ配列を有する蛋白質の結合としては、例えばFynとSam68[ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J.Biol.Chem.)、272巻、6214頁(1997年)]、SrcとSam68[モレキュラー・セル・バイオロジー(Mol.Cell Biol.)、15巻、186頁(1995年)]、Grb2とSos1[ネイチャー(Nature)、363巻、83頁(1993年)]、PLCγとSam68[オンコジーン(Oncogene)、18巻、4647頁(1999年)]、Grb2とSam68[モレキュラー・アンド・セルラー・バイオロジー(Mol.Cell.Biol)、15巻、186頁(1995年)]、LynとHIV−1NefもしくはHckとHIV−1Nef[エンボ・ジャーナル(EMBO.J.)、14巻、484頁(1995年)、バイロロジー(Virology)、262巻、55頁(1999年)]、TCRsmとHIV−1Nef[カレント・バイオロジー(Curr.Biol.)、11巻、1294頁(2001年)]、p47−phoxとp22−phox[プロシーディング・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス・オブ・ザ・ユー・エス・エー(Proc.Natl.Acad.Sci.USA)、91巻、10650頁(1994年)]、p67−phoxとp47−phox[プロシーディング・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス・オブ・ザ・ユー・エス・エー(Proc.Natl.Acad.Sci.USA)、91巻、10650頁(1994年)]、LynとDynamin[ジャーナル・オブ・イムノロジー(J.Immunol.)、157巻、1226頁(1996年)]、Lynとc−Cbl[ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J.Biol.Chem.)、270巻、9115頁(1995年)]、CortactinとZo1[ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J.Biol.Chem.)、273巻、29672頁(1998年)]、IL−2Rのβ鎖もしくはγ鎖とpX ORF I[ジャーナル・オブ・バイロロジー(J.Virol.)、74巻、9828頁(2000年)]、Grb2とNS5A[プロシーディング・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス・オブ・ザ・ユー・エス・エー(Proc.Natl.Acad.Sci.USA)、961巻、5533頁(1999年)]、
Grb2とpORF3[ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J.Biol.Chem.)、276巻、42389頁(2002年)]、Grb2とICP10[ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J.Biol.Chem.)、271巻、17021頁(1996年)]、LynとLMP2A[エクスプレッション・オブ・セル・リサーチ(Exp.Cell Res.)、257巻、332頁(2000年)、ジャーナル・オブ・バイロロジー(J.Virol.)、69巻、7814頁(1995年)]、LckとTip[ジャーナル・オブ・バイロロジー(J.Virol.)、72巻、2607頁(1998年)]、LynとTio、HckとTio、LckとTio、SrcとTio、FynとTioもしくはYesとTio[ジャーナル・オブ・バイロロジー(J.Virol.)、73巻、4631頁(1999年)]等があげられる。
非ペプチド性化合物の薬理学的に許容される塩は、例えば薬理学的に許容される酸付加塩、金属塩、アンモニウム塩、有機アミン付加塩、アミノ酸付加塩等を包含する。
非ペプチド性化合物の薬理学的に許容される酸付加塩としては、例えば塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩等の無機酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩等の有機酸塩等があげられ、薬理学的に許容される金属塩としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、マグネシウム塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩、亜鉛塩等があげられ、薬理学的に許容されるアンモニウム塩としては、アンモニウム、テトラメチルアンモニウム等の塩があげられ、薬理学的に許容される有機アミン付加塩としては、モルホリン、ピペリジン等の付加塩があげられ、薬理学的に許容されるアミノ酸付加塩としては、グリシン、フェニルアラニン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸等の付加塩があげられる。
次に、本発明で使用される非ペプチド性化合物の製造法について説明する。
なお、以下に示した製造法において、定義した基が反応条件下変化するか、または方法を実施するのに不適切な場合、有機合成化学で常用される方法、例えば官能基の保護、脱保護等[例えば、プロテクティブ・グループス・イン・オーガニック・シンセシス第三版(Protective Groups in Organic Synthesis third edition)、グリーン(T.W.Greene)著、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ・インコーポレイテッド(John Wiley & Sons Inc.)(1999年)]の手段に付すことにより容易に製造を実施することができる。また、必要に応じて置換基導入等の反応工程の順序を変えることもできる。
本発明で使用される非ペプチド性化合物は、例えば以下に示す一連の反応により製造することができる。
製造法1:
本発明で使用される非ペプチド性化合物のうち、化合物(VI)は、次の一連の反応工程により製造することができる。
工程1:
化合物(VI)のうち、R5Gがヒドロキシメチルである化合物(VIa)は、化合物(VII)から、次の反応工程により製造することができる。
(式中、R1A、R2A、R3A、R3B、R5c、R5d、R5e、R5f、R5h、R5iおよびR5jは、それぞれ前記と同義である)
化合物(VIa)は、化合物(VII)を還元剤で、不活性溶媒中で処理することにより、得ることができる。
還元剤としては、例えば水素化ホウ素ナトリウム、水素化リチウムアルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウム、ナトリウム水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウム等があげられ、該還元剤は化合物(VII)に対して1〜10当量用いられる。
不活性溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、クロロホルム、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン(THF)、ジエチルエーテル、トルエン、ジメチルホルムアミド(DMF)等があげられる。
反応は、0℃から用いる溶媒の沸点の間の温度で行われ、通常1分間〜24時間で終了する。
工程2:
化合物(VI)のうち、R5Gが置換もしくは非置換の低級アルコキシメチルまたは置換もしくは非置換の低級アルカノイルオキシメチルである化合物(VIb)は、工程1で得られる化合物(VIa)から、次の反応工程により製造することができる。
{式中、R1A、R2A、R3A、R3B、R5c、R5d、R5e、R5f、R5h、R5iおよびR5jは、それぞれ前記と同義であり、Rは置換もしくは非置換の低級アルキル[該低級アルキルは前記低級アルキル(1)と同義であり、置換低級アルキルの置換基は前記置換低級アルキルの置換基(10)と同義である]または置換もしくは非置換の低級アルカノイル[該低級アルカノイルは前記低級アルカノイル(3)と同義であり、置換低級アルカノイルの置換基は前記置換低級アルカノイルの置換基(10)と同義である]を表す}
化合物(VIb)は、工程1で得られる化合物(VIa)と1〜20当量のR−Z(式中、Rは前記と同義であり、Zは塩素、臭素、またはヨウ素の各原子を表す)を、塩基存在下、不活性溶媒中で反応させることにより得ることができる。また、Rが置換もしくは非置換の低級アルカノイルの場合には、R2O(式中、Rは前記と同義である)であるカルボン酸無水物をR−Zのかわりに用いることもできる。
塩基としては、例えばピリジン、トリエチルアミン、炭酸カリウム、炭酸セシウム、水素化ナトリウム等があげられ、該塩基は化合物(VIa)に対して1〜50当量、または溶媒としても用いられる。
不活性溶媒としては、例えばクロロホルム、ジクロロメタン、アセトン、ジエチルエーテル、アセトニトリル、THF、DMF等があげられる。
反応は、0℃から用いる溶媒の沸点の間の温度で行われ、通常5分間〜24時間で終了する。
工程3:
化合物(VI)のうち、R5Gが−CH=NQA(式中、QAは前記と同義である)である化合物(VIc)は、化合物(VII)から、次の反応工程により製造することができる。
(式中、R1A、R2A、R3A、R3B、R5c、R5d、R5e、R5f、R5h、R5i、R5jおよびQAは、それぞれ前記と同義である)
化合物(VIc)は、化合物(VII)と1〜10当量のQANH2(式中、QAは前記と同義である)を、必要に応じて塩基存在下、不活性溶媒中で反応させることにより得ることができる。
塩基としては、例えばピリジン、トリエチルアミン等があげられ、該塩基は化合物(VII)に対して1〜20当量用いられる。
不活性溶媒としては、例えばクロロホルム、ジクロロメタン、アセトン、ジエチルエーテル、アセトニトリル、THF、DMF等があげられる。
反応は、0℃から用いる溶媒の沸点の間の温度で行われ、通常5分間〜24時間で終了する。
なお、本製造法1における原料化合物(VII)は、例えばザ・ジャーナル・オブ・アンチバイオティックス(The Journal of Antibiotics)、53巻、579頁(2000年)または特開昭58−116686号に記載の方法、またはそれらに準じて得ることができる。
製造法2:
化合物(II)は、例えば化合物(VIII)から以下の方法により製造することができる。
(式中、R6、R8、R10およびR11は、それぞれ前記と同義であり、R7aおよびR9aはそれぞれ前記R7およびR9と同義であるが、同時に水素原子となることはない)
工程1:
化合物(IIa)は、化合物(VIII)と1〜10当量のR6CO2H(式中、R6は前記と同義である)またはその誘導体を、酸の存在下、不活性溶媒中で反応させることにより得ることができる。
酸としては、例えばぎ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸等の有機酸、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸、四塩化チタン、三フッ化ホウ素エーテル錯体等のルイス酸等があげられ、中でも三フッ化ホウ素エーテル錯体がより好ましく用いられる。酸は、化合物(VIII)に対して1〜100当量、または溶媒としても用いられる。
不活性溶媒としては、例えばクロロホルム、ジクロロメタン、THF、DMF等があげられる。
反応は、−30℃から用いる溶媒の沸点の間の温度で行われ、通常1分間〜24時間で終了する。
なお、原料化合物(VIII)は、市販品として、またはジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサエティ(J.Am.Chem.Soc.)、122巻、3071頁(2000年)に記載の方法もしくはそれに準じて得ることができる。
工程2:
化合物(IIb)は、製造法2の工程1で得られる化合物(IIa)を1〜20当量のR9aZ(R9aおよびZはそれぞれ前記と同義である)と、塩基存在下、不活性溶媒中で反応させることにより得ることができる。
塩基としては、例えばピリジン、トリエチルアミン、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸カルシウム、水素化ナトリウム等があげられ、該塩基は化合物(IIa)に対して1〜5当量用いられる。
不活性溶媒としては、例えばクロロホルム、ジクロロメタン、アセトン、ジエチルエーテル、アセトニトリル、THF、DMF等があげられる。
反応は、0℃から用いる溶媒の沸点の間の温度で行われ、通常5分間〜24時間で終了する。
製造法3:
化合物(IIIa)および化合物(IIIb)は、例えば特開平10−114776号、WO98/41205、ヘルベチカ・ヒミカ・アクタ(Helv.Chem.Acta)、62巻、1501頁(1979年)等に記載の方法、またはそれらに準じて得ることができる。
製造法4:
化合物(I)は、例えば前記製造法1に記載の方法、ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサエティ(J.Am.Chem.Soc.)、107巻、256頁(1985年)、同94巻、2549頁(1972年)等に記載の方法、ザ・ジャーナル・オブ・アンチバイオティックス(The Journal of Antibiotics)、53巻、579頁(2000年)、特開昭58−116686号等に記載の方法、またはそれらに準じて得ることができる。
本発明で使用される非ペプチド性化合物のうち、化合物(Va)および化合物(Vb)(サイトカラシン誘導体)は、次の培養法により製造することができる。
製造法5:
サイトカラシン誘導体は、サイトカラシン誘導体生産能を有する微生物を培地に培養し、培養物中にサイトカラシン誘導体を生成蓄積させ、該培養物からサイトカラシン誘導体を採取することによって製造される。
サイトカラシン誘導体生産能を有する微生物としては、サイトカラシン誘導体生産能を有する菌株であればいずれの菌株でも用いることができる。またこれらの菌株を人工的変異方法、例えば紫外線照射、X線照射、変異誘起剤処理等によって変異させた変異株または自然的に変異した変異株でも、サイトカラシン誘導体生産能を有するものであれば本発明に用いることができる。
具体的には、アスペルギルス スペシーズ(Aspergillus sp.)MPC1006、アスペルギルス スペシーズ(Aspergillus sp.)MPC1009、クロサイワイタケ目糸状菌類(Xylariales filamentous fungus)MPC1005等があげられる。
本発明のサイトカラシン誘導体生産能を有する微生物の培養に際しては、通常の糸状菌の培養法が適用される。培地としては、微生物の資化し得る炭素源、窒素源、無機物等を程よく含有する培地であれば合成培地、天然培地いずれでも使用できる。
炭素源としては、グルコース、澱粉、デキストリン、マンノース、フルクトース、シュクロース、ラクトース、キシロース、アラビノース、マンニトール、糖蜜等が単独でまたは組合せて用いられる。さらに、菌の資化能によっては炭化水素、アルコール類、有機酸等も用いられる。
窒素源としては、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸ナトリウム、尿素、ペプトン、肉エキス、酵母エキス、乾燥酵母、コーン・スチープ・リカー、大豆粉、カザミノ酸等が単独でまたは組合せて用いられる。
そのほか、必要に応じて塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、リン酸二水素カリウム、リン酸マグネシウム・8水塩、硫酸第一鉄、塩化カルシウム、硫酸マンガン、硫酸亜鉛、硫酸銅等の無機塩類を加えることもできる。さらに、使用菌の生育やサイトカラシン誘導体の生産を促進する微量成分を適当に添加することができる。
培養法としては、液体培養法、特に深部攪拌培養法が適している。培養は、16〜37℃、好ましくは25〜32℃の温度で、pH4〜10、好ましくはpH6〜8で行われ、培地のpH調整にはアンモニア水や炭酸アンモニウム溶液等が用いられる。培養は通常1〜10日で終了するが、サイトカラシン誘導体が培養液中および菌体中に生成蓄積され、培養物中の生成量が最大に達したときに培養を停止することが好ましい。
培養物中に蓄積したサイトカラシン誘導体の培養物からの単離精製は、通常の微生物代謝産物を培養物から単離精製するために常用される方法に従って行われる。例えば、培養物を濾過により培養濾液と菌体とに分け、菌体からクロロホルム、アセトン、メタノール等の溶剤で菌体成分を抽出する。ついで、抽出液と培養濾液とを併せて、ポリスチレン系吸着剤、例えばダイヤイオンHP−20(三菱化学社製)等に通塔して活性成分を吸着させ、ついでメタノール、アセトン等で溶出する。溶出液を濃縮し、オクタデシル基結合型シリカゲル(ODS)によるカラムクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、シリカゲル等によるカラムクロマトグラフィー等により、サイトカラシン誘導体を得る。なお、培養、単離精製操作中のサイトカラシン誘導体の検出は、薄層クロマトグラフィー、ついでヨード試薬を用いることにより行うことができる。
本発明者らは、サイトカラシン誘導体生産能を有する菌株として、土壌より新たに分離したアスペルギルス スペシーズ(Aspergillus sp.)に属するMPC1006、MPC1009が、SH3結合阻害作用を有するサイトカラシン誘導体を生産することを見い出した。
本発明化合物を生産する代表菌株MPC1006は、土壌より分離したものであり、その菌学的性質は次の通りである。
1.肉眼的観察
麦芽エキス寒天培地を用いて25℃で培養したとき、集落の直径は、培養7日目で38〜39mm、培養11日目で65〜68mmに達する。培養11日目の集落の表面中央部は、極めて薄い赤みをおびた黄色を呈し、その外側は極めて薄い黄色を呈する。また、集落の裏面は、中央部が薄い赤黄色、外側は極めて薄い黄色を呈する。
バレイショ・ブドウ糖寒天培地を用いて、25℃で培養したとき、集落の直径は、培養7日目で38〜40mm、培養11日目で46〜48mmに達する。培養11日目の集落の表面中央部は、明るい灰黄色を呈し、その外側は極めて薄い黄色を呈する。また、所々白色を呈する。集落の裏面中央部は、くすんだ黄色を呈し、その外側は薄い黄色を呈する。
本菌の生育温度範囲は11.5〜34℃で、28.5℃付近で最も良好に生育する。生育pH範囲は3.5〜11.5で、pH7.5前後で最も良好に生育する。
2.光学顕微鏡観察
麦芽エキス寒天培地を用いて、25℃で7日間培養したときの本菌の光学顕微鏡による観察結果は以下の通りである。
菌糸は、隔壁を有し、幅1.0〜3.0μm、平滑、無色で、よく分岐する。分生子柄は、隔壁を持たず、幅3.5〜5.0μm、長さ420〜700μm、平滑、無色で、分岐しない。分生子柄の先端は丸く膨らみ、頂のうを形成する。その直径は、12.5〜25.0μmであり、全面にメトレが形成され、メトレの長さは5.5〜8.0μmである。メトレの先に細いトックリ形のフィアライド(分生子形成細胞)が複生し、その長さは、3.5〜6.0μmである。その先にフィアライドから分生子が内生出芽型、フィアロ型に形成され連鎖する。このフィアロ型分生子は、単細胞、薄黄緑、球形〜亜球形を呈し、その表面は平滑で、直径1.5〜3.0μmである。本菌株では、上述したアナモルフのみ観察され、テレオモルフは観察されない。
また、本発明化合物を生産するもう1つの代表菌株MPC−1009も、土壌より分離したものであり、その菌学的性質は次の通りである。
1.肉眼的観察
麦芽エキス寒天培地を用いて、25℃で培養したとき、集落の直径は、培養4日目で18〜25mm、培養11日目で37〜48mmに達する。培養11日目の集落の表面中央部は、極めて薄い黄色を呈し、その外側は黄みの白色を呈する。また、集落の裏面は、明るい灰黄色を呈する。
バレイショ・ブドウ糖寒天培地を用いて、25℃で培養したとき、集落の直径は、培養4日目で17〜18mm、培養11日目で27〜31mmに達する。培養11日目の集落の表面中央部は、明るい灰黄色を呈し、その外側は黄みの白色を呈する。集落の裏面中央部は、明るい灰黄色を呈し、その外側は極めて薄い黄色を呈する。
本菌の生育温度範囲は13.0〜34.5℃で、27.5℃付近で最も良好に生育する。生育pH範囲は3.5〜11.2で、pH7.3前後で最も良好に生育する。
2.光学顕微鏡観察
麦芽エキス寒天培地を用いて、25℃で2週間培養したときの本菌の光学顕微鏡による観察結果は以下の通りである。
菌糸は、隔壁を有し、幅1.5〜2.5μm、平滑、無色で、よく分岐する。分生子柄は、隔壁を持たず、幅3.0〜5.0μm、長さ300〜350μm、平滑、無色で、分岐しない。分生子柄の先端は丸く膨らみ、頂のうを形成する。その直径は、15.0〜17.5μmでありその全面に細いトックリ形のフィアライド(分生子形成細胞)が複生する。フィアライドの長さは、10.0〜11.5μmである。メトレは形成されず、分生子は、フィアライドから内生出芽型、フィアロ型に形成され連鎖する。このフィアロ型分生子は、単細胞、薄緑、球形〜亜球形を呈し、その表面は平滑で、直径2.0〜3.0μmである。本菌株では、上述したアナモルフのみ観察され、テレオモルフは観察されない。
以上の菌学的性質から、本菌の分類学的位置をザ・ジェネラ・オブ・ファンジャイ・スポルレイティング・イン・ピュア・カルチャー、第2版(The Genera of Fungi Sporulating in Pure Culture,2nd ed.,Cramer,Vanduz,J.A.von Arx,1974年)に従って検索した結果、本菌はいずれも糸状不完全菌アスペルギルス スペシーズ(Aspergillus sp.)に属することが明らかとなった。本発明者らは、これらの菌株をそれぞれ「アスペルギルス スペシーズMPC1006(Aspergillus sp.MPC1006)」および「アスペルギルス スペシーズMPC1009(Aspergillus sp.MPC1009)」と命名し、それぞれ受託番号FERM BP−7899号(原寄託日:平成14年2月18日)およびFERM BP−7900号(原寄託日:平成14年2月18日)として、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6)に寄託した。
また、本発明化合物を生産するもう1つの代表菌株MPC1005も土壌より分離したものであり、その菌学的性質は次の通りである。
1.肉眼的観察
麦芽エキス寒天培地を用いて、25℃で培養したとき、集落の直径は、培養7日目で36〜39mm、培養11日目で73〜76mmに達する。培養11日目の集落の表面中央部は、白色を呈し、その外側は黄みの白色を呈する。また、集落の裏面中央部は、うすい黄色、その外側は極薄い黄色を呈する。
バレイショ・ブドウ糖寒天培地を用いて、25℃で培養したとき、集落の直径は、培養7日目で50〜55mm、培養11日目で75〜78mmに達する。培養11日目の集落の表面中央部は、黄みの白色を呈し、その外側は白色を呈する。集落の裏面中央部は、くすんだ赤みの黄色、その外側は極薄い黄色を呈する。
本菌の生育温度範囲は13.3〜38.6℃で、33.0℃付近で最も良好に生育する。生育pH範囲は3.7〜9.4で、pH7.2前後で最も良好に生育する。
2.光学顕微鏡観察
麦芽エキス寒天培地を用いて、25℃で4日間培養したときの本菌の光学顕微鏡による観察結果は以下の通りである。
菌糸は、隔壁を有し、幅0.5〜3.0μm、平滑、無色で、時に有色を呈し、よく分岐する。
上記1.記載の両寒天培地を用いて、25℃で2ヶ月以上培養したが、その培養世代において、アナモルフもテレオモルフも観察されなかった。
3.その他の性質
本菌の18SリボソーマルDNA(18S rDNA)の部分塩基配列(1228bp)は配列番号1で表される塩基配列を有していた。
上記塩基配列と、既知の菌類の18SrRNA、もしくは18SrDNA配列を用いて、近隣結合法により分子系統解析[プログラム名:CLUSTAIW、日本微生物生態学会報、10巻、119頁(1995年)]を行った結果、本菌は菌類界子嚢菌門核菌類(Pyrenomycetes)に属し、核菌類の中においてはクロサイワイタケ目(Xylariales)近縁であった。
以上の結果より、本発明者らは本菌を「クロサイワイタケ目糸状菌類MPC1005(Xylariales filamentous fungus MPC1005)」と命名し、受託番号FERM BP−7980号(原寄託日:平成14年3月26日)として、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6)に寄託した。
さらに、化合物(I)、(II)、(IIIa)、(IIIb)、(Va)、(Vb)、(VI)および原料化合物における各官能基の変換および置換基に含まれる官能基の変換は、上記工程以外にも有機合成化学で一般に用いられる酸化、還元、加水分解、公知の他の方法[例えば、コンプリヘンシブ・オーガニック・トランスフォーメーションズ第二版(Comprehensive Organic Transformations,second edition)、ラロック(R.C.Larock)著、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ・インコーポレイテッド(John Wiley & Sons Inc.)(1999年)に記載の方法等]等によっても行うことができる。また、必要に応じて反応工程の順序を変えることもできる。
上記各製造法における中間体および目的化合物は、有機合成化学で常用される分離精製法、例えば、濾過、抽出、洗浄、乾燥、濃縮、再結晶、各種クロマトグラフィー等に付して単離精製することができる。また、中間体においては特に精製することなく次の反応に供することも可能である。
化合物(I)、(II)、(IIIa)、(IIIb)、(Va)、(Vb)または(VI)の中には、幾何異性体、光学異性体等の立体異性体が存在し得るものもあるが、これらを含め、全ての可能な異性体およびそれらの混合物もこれらの化合物に包含される。
本発明で使用される非ペプチド性化合物、化合物(I)、(II)、(IIIa)、(IIIb)、(Va)、(Vb)または(VI)の塩を取得したいとき、本発明で使用される非ペプチド性化合物、化合物(I)、(II)、(IIIa)、(IIIb)、(Va)、(Vb)または(VI)が塩の形で得られるときはそのまま精製すればよく、また遊離の形で得られるときは、本発明で使用される非ペプチド性化合物、化合物(I)、(II)、(IIIa)、(IIIb)、(Va)、(Vb)または(VI)を適当な溶媒に溶解または懸濁し、酸または塩基を加えて単離、精製すればよい。
また、本発明で使用される非ペプチド性化合物、化合物(I)、(II)、(IIIa)、(IIIb)、(Va)、(Vb)または(VI)ならびにその薬理学的に許容される塩は、水または各種溶媒との付加物の形で存在することもあるが、これらの付加物も上記化合物またはその薬理学的に許容される塩に包含される。
本発明によって得られる化合物の具体例を、化合物(Va)、(Vb)または(VI)として第1〜3表に示す。
本発明では上記第1〜3表にあげた化合物も使用されるが、それらの他に本発明で使用される化合物の具体例を、化合物(I)、(II)、(IIIa)または(IIIb)として第4〜7表に示す。
次に、代表的な化合物(I)、(II)、(IIIa)、(IIIb)、(Va)、(Vb)または(VI)の薬理作用について試験例により具体的に説明する。
試験例1:SH3ドメイン結合阻害試験1
(1)プロリンリッチ配列を含む蛋白質と化合物の反応
プロリンリッチ配列を有する蛋白質Sam68にある5箇所のプロリンリッチ配列のうちC末端側の2箇所のプロリンリッチ配列を含むヒト組み換えSam68(以下Sam68ΔCと記す)[Sam68(331−433);サンタクルズ(Santa Crutz)社製]0.25μgを、0.1%BSA(bovine serum albumin)[牛血製アルブミン(F−V);ナカライテスク社製]を含む低張緩衝液であるRSB(10mmol/Lトリス−塩酸,pH7.6,10mmol/L NaCl、1.5mmol/L MgCl2)1mLに加え、Sam68ΔC溶液を調製した。化合物をジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解し、10mmol/Lの濃度のDMSO溶液を調製した。該DMSO溶液を上記Sam68ΔC溶液にそれぞれ終濃度が20および100μmol/Lになるように添加した。なお、添加するDMSOの量はどれも同じになるようにした。化合物を添加したSam68ΔC溶液を、回転培養機でゆるやかに回転させながら37℃で6時間保温して、化合物をSam68ΔCに反応させた。
(2)SH3ドメインを含む蛋白質と化合物添加後のプロリンリッチ配列を含む蛋白質との反応
上記(1)で化合物を反応させたSam68ΔC溶液に、SH3ドメインを有する蛋白質Fynのマウス組み換えSH3ドメインをアガロースビーズに結合させたFyn−SH3蛋白質−アガロースビーズ(以下Fyn−SH3ビーズと記す)[Fyn(85−139)AC;サンタクルズ(Santa Crutz)社製]5μLを加えた。化合物反応後のSam68ΔCと、SH3ドメインを含むFyn−SH3ビーズの蛋白質−蛋白質結合反応は、回転培養機でゆるやかに回転させながら4℃で16時間保温して行った。反応後のSam68ΔCとFyn−SH3ビーズの複合体を4℃、50ppmで3分間回転遠心機により沈澱させたのちに、界面活性剤を含むTritonX/Np40抽出緩衝液[50mmol/Lトリス−塩酸pH7.4、150mmol/L NaCl、1mmol/Lエチレンジアミン四酢酸塩(EDTA)、1% トリトンX−100(TritonX−100)、0.5% ノニデットP−40(NP−40)]1mLを加えて4℃で10分間回転培養機でゆるやかに回転後、同様に沈澱させ洗浄することを2回行った。洗浄後のSam68ΔCとFyn−SH3ビーズの複合体に30μLのレムリのサンプルバッファー[タンパク質の化学I−分離精製、東京化学同人、211頁(1976年)参照]を添加し、よく混合させた後、100℃で10分間加熱した。回転遠心機により25℃で1000ppmで5分間ビーズを沈澱後、上清を10%ポリアクリドアミドゲル電気泳動に供した。
(3)ウエスタンブロットによるFyn−SH3に結合したSam68ΔCの検出
以下のようにしてウエスタンブロットにより上清中のSam68ΔCを検出した。まず、上記(2)の電気泳動後のゲルを孔径0.45μmのニトロセルロース膜[プロトラン(Protran);シュライシャー・アンド・シュエル(Schleicher and Schuell)社製]にブロットした。膜に0.25%ゼラチンと0.2%Tween−20を含むリン酸緩衝液(PBS)(以下、PBS−TGとよぶ)をのせて4℃で一晩置いて非特異的結合をブロックした後、PBS−TGで1:1000に希釈したホース・ラディッシュ・パーオキシダーゼ(HRP)結合マウス抗GST抗体[GST(B−14)HRP;サンタ・クルズ(Santa Crutz)社製]を2時間反応させた。0.2%Tween−20を含むPBS(以下PBS−Tとよぶ)で洗浄した後、検出はECL試薬(アマシャム・ファルマシア・バイオテク社製)を用いた化学発光により行った。
その結果、第1〜3図に示すように、例えば化合物(I)、(II)、(IIIa)または(VI)により、濃度依存的に上清中のFyn−SH3ビーズに結合したSam68ΔCの量が減少していることが確認された。
試験例2:SH3ドメイン結合阻害試験2
(1)細胞抽出液の調製
ヒト大腸癌由来細胞株HCT116(ATCC番号CCL−247)を、10%ウシ胎児血清を含むマコイ変法培地[McCoy’s 5A modified medium;ギブコ(GIBCO)社製]を用いて、37℃、5%CO2条件下のCO2インキュベーターで細胞培養用100mm径ディッシュで培養した。ついで2日目のHCT116細胞ディッシュ2枚分に対し、化合物1をそれぞれ終濃度が0.5、1、2、2.5、5、10、20、および30μmol/Lになるように添加した。なお、添加する化合物1はあらかじめDMSOで希釈し、添加するDMSOの量はどれも同じになるようにした。化合物1を添加したHCT116細胞ディッシュを、37℃、5%CO2条件下のCO2インキュベーターで2時間保温して、化合物を作用させた。
化合物1を反応させたHCT116細胞ディッシュ2枚分を培地ごと回収し、界面活性剤を含むTritonX/Np40抽出緩衝液1mLを加え、よく混合させた後、回転培養機でゆるやかに回転させながら4℃で45分間攪拌して、細胞質内蛋白質を抽出した。この細胞抽出液を4℃、15,000rpmで30分間遠心し、上清を回収した。
(2)SH3ドメイン結合蛋白質複合体の抗体による免疫沈降
上記(1)で得られた化合物添加後の細胞抽出液に、それぞれ抗Src抗体[サンタクルズ(Santa Crutz)社製]3μg、抗PLCγ抗体[サンタクルズ(Santa Crutz)社製]3μg、抗Grb2抗体[サンタクルズ(Santa Crutz)社製]3μg、または抗Cortactin抗体[サンタクルズ(Santa Crutz)社製]3μgを加え、回転培養機でゆるやかに回転させながら4℃で16時間反応させた。抗体反応後の各SH3ドメイン結合蛋白質複合体にプロテインA/G結合アガロースビーズ30μLを加え、回転培養機でゆるやかに回転させながら4℃で1時間反応させた。反応後のSH3ドメイン結合蛋白質複合体を4℃、50ppmで3分間回転遠心機により沈澱させた後、界面活性剤を含むTritonX/Np40抽出緩衝液1mLを加えて4℃で10分間回転培養機でゆるやかに回転後、同様に沈澱させ洗浄することを3回行った。洗浄後のSH3ドメイン結合蛋白質ビーズ複合体それぞれに30μLのレムリのサンプルバッファー[タンパク質の化学I−分離精製、東京化学同人、211頁(1976年)参照]を添加し、よく混合させた後、100℃で10分間加熱した。回転遠心機により25℃、1000ppmで5分間ビーズを沈澱させた後、上清をそれぞれ7.5%ポリアクリドアミドゲル電気泳動に供した。
(3)ウエスタンブロットによるSH3ドメインを含む蛋白質に結合したプロリンリッチ配列を含む蛋白質の検出
以下のようにしてウエスタンブロットにより、上記上清中の各SH3ドメイン結合蛋白質複合体におけるプロリンリッチ配列を含む蛋白質を検出した。まず、上記(2)の電気泳動後のゲル中の蛋白質を0.45μmのニトロセルロース膜[プロトラン(Protran);シュライシャー・アンド・シュエル(Schleicher and Schuell)社製]にブロット後、膜にPBS−TGをのせて非特異的結合をブロックした。Sam68の検出にはウサギ抗Sam68抗体、Sosの検出にはウサギ抗Sos1抗体,ZO1の検出にはウサギ抗ZO1抗体をPBS−TGで1:1000に希釈して2時間反応させた。PBS−Tで洗浄した後、PBS−TGで1:4000に希釈したHRP結合抗ウサギ抗体[アマシャム(Amersham)社製]を1時間反応させた。PBS−Tで洗浄した後、検出はECL試薬(アマシャム・ファルマシア・バイオテク社製)を用いた化学発光により行った。
その結果、第4〜7図に示すように、SH3ドメインを含む蛋白質に結合したプロリンリッチ配列を含む蛋白質、すなわち図4ではSrcに結合したSam68の量、図5ではPLCγに結合したSam68およびGrb2に結合したSam68の量、図6ではGrb2に結合したSos1の量、図7ではCortactinに結合したZO1の量が化合物の添加によって、濃度依存的に減少していることが確認された。
試験例3:SH3ドメイン結合阻害試験3
(1)プロリンリッチ配列を含む蛋白質NefおよびSH3ドメインを有する蛋白質Lynと化合物の反応
プロリンリッチ配列を有するHIV−1由来組み換えNef[Nef(3−190);コルテックス(CORTEX)社製]0.3μgおよびウシ由来精製Lyn[Lyn;アップステイトバイオテクノロジー(Upstate Biotechnology)社製]1μgを、0.1%BSA(bovine serum albumin)を含む低張緩衝液であるRSB(10mmol/Lトリス−塩酸pH7.6、10mmol/L NaCl、1.5mmol/L MgCl2)1mLに加え、NefおよびLynの混合溶液を調製した。化合物をDMSOに溶解し、10mmol/Lの濃度のDMSO溶液を調製した。該DMSO溶液を上記NefおよびLynの混合溶液にそれぞれ終濃度が1、2、5および10μmol/Lになるように添加した。なお、添加する化合物はあらかじめDMSOで希釈し、添加するDMSOの量はどれも同じになるようにした。化合物を添加したNefおよびLynの混合溶液を、回転培養機でゆるやかに回転させながら4℃で16時間攪拌して、化合物をNefおよびLyn蛋白質に反応させた。
(2)SH3ドメイン結合蛋白質複合体の抗体による免疫沈降
上記(1)で得られた化合物添加後のNefおよびLynの混合溶液に抗Lyn抗体[サンタクルズ(Santa Crutz)社製]1μgを加え、回転培養機でゆるやかに回転させながら4℃で16時間反応させた。抗体反応後のNef/LynのSH3ドメイン結合蛋白質複合体にプロテインA/G結合アガロースビーズ10μLを加え、回転培養機でゆるやかに回転させながら4℃で1時間反応させた。反応後のSH3ドメイン結合蛋白質複合体を4℃、35ppmで3分間回転遠心機により沈澱させた後、界面活性剤を含むTritonX/NP40抽出緩衝液1mLを加えて4℃で10分間回転培養機でゆるやかに回転後、同様に沈澱させ洗浄することを3回行った。洗浄後のNef/LynのSH3ドメイン結合蛋白質ビーズ複合体にそれぞれ30μLのレムリのサンプルバッファー[タンパク質の化学1−分離精製、東京化学同人、211頁(1976年)参照]を添加し、よく混合させた後、100℃で5分間加熱した。回転遠心機により25℃、1000rpmで5分間ビーズを沈澱させた後、上清を7%ポリアクリルアミドゲル電気泳動に供した。
(3)ウエスタンブロットによるSH3ドメインを含むLyn蛋白質に結合したプロリンリッチ配列を含むNef蛋白質の検出
以下のようにしてウエスタンブロットにより、上記上清中のNef/LynのSH3ドメイン結合蛋白質複合体におけるプロリンリッチ配列を含むNef蛋白質を検出した。まず、上記(2)の電気泳動後のゲル中の蛋白質を0.45μmのニトロセルロース膜[プロトラン(Protran);シュライシャー・アンド・シュエル(Schleicher and Schuell)社製]にブロット後、膜にPBS−TGをのせて非特異的結合をブロックした。Nefの検出は、用いた組み換えNef蛋白質にβガラクトシダーゼが融合しているため、抗βガラクトシダーゼ抗体(抗β−gal抗体)を用いて行った。すなわち、ウサギ抗βガラクトシダーゼ抗体をPBS−TGで1:1000に希釈して2時間反応させた。PBS−Tで洗浄した後、PBS−TGで1:4000に希釈したHRP結合抗ウサギ抗体[アマシャム(Amersham)社製]を1時間反応させた。PBS−Tで洗浄した後、検出はECL試薬(アマシャム・ファルマシア・バイオテク社製)を用いた化学発光により行った。
その結果、第8図に示すように、SH3ドメインを含むLyn蛋白質に結合したプロリンリッチ配列を含むNef蛋白質の量が、化合物の添加によって濃度依存的に減少していることが確認された。
試験例4:化合物のSH3ドメイン結合阻害率の算出
試験例1の方法に準じてブロットした結果をもとに、以下のようにして化合物のSH3ドメイン結合阻害率を算出した。化学発光によりフィルムに現像されたFyn−SH3とSam68ΔCのバンド強度をゲルスキャナー[東洋紡(TOYOBO)社製]を用いて測定した。次にSam68ΔCのバンド強度をFyn−SH3のバンド強度で除し、Fyn−SH3のバンド強度に対するSam68ΔCのバンド強度を算出した。化合物無添加の場合のFyn−SH3のバンド強度に対するSam68ΔCのバンド強度の割合を100%とし、化合物添加後のSam68ΔCのバンド強度減少の割合を化合物のSH3ドメイン結合阻害率とした。その結果を第8表に示した。
以上、試験例1〜4により、化合物(I)、(II)、(IIIa)、(IIIb)、(Va)、(Vb)および(VI)は、優れたSH3ドメイン結合阻害作用を示した。
試験例5:HIV−1増殖抑制試験
(1)HIV−1感染および増殖抑制実験
MT2細胞(T細胞株)を10%牛胎児血清[ギブコ(GIBCO)社製,No.26140−079]を含むRPMI1640培地[ギブコ(GIBCO)社製,No.26140−076]を用いて2x105細胞/mLに調整し、24ウェルプレート[24well plate:コースター(Coster)社製,No.3526]に各ウェルあたり1mLずつ分注した。HIV−1 LAI株{ゲノム全長を含むDNAクローンpLAI[GenBank accession No.K02013,バイロロジー(Virology)、185巻、661頁(1991年)]を、FuGENE6 Transfection Reagent[ロッシュ(Roche)社製,No.1814443]を用いてHela細胞にトランスフェクト(transfect)後、2日目の培養上清を用いた}を、上記各ウェルに最終濃度500cpm/μLとなるように接種し、37℃で一晩静置した(ウイルスの感染)。ここへ、化合物またはPP2(Alexs社製,プロテインホスホターゼ2:4−アミノ−5−(4−クロロフェニル)−7−(tert−ブチル)ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン,Srcのチロシンリン酸化の阻害剤:コントロール)をそれぞれ終濃度が1、5、10、25および50μmol/Lになるように添加した(薬剤の添加)。以降、ウイルスを感染させた後、3、5、7および9日目に、それぞれ50μLの培養上清を回収し、測定まで−80℃で保存した。このとき、ウイルスを感染させ薬剤の添加を行わなかったウェルをpositive control、ウイルスの感染も薬剤の添加も行わなかったウェルをnegative controlとした。なお、該試験は同様の内容で3回実施した。
(2)HIV−1量の測定
HIV−1の定量は、ジャーナル・オブ・バイロロジー(J.Virol.)、38巻、239頁(1981年)に記載の方法に若干の改良を加え、RT assay法(Reverse Transcriptase assay)により行った。
上記(1)で得られた培養上清5μLに、RTカクテル{50mmol/L トリス pH7.5、50mmol/L EDTA、75mmol/L KCl、5mmol/L MgCl2、5μg/mL Poly(A)[ファルマシア(Pharmacia)No.27−4110−01]、1.6μg/mL oligo(dT)12−18[ファルマシア(Pharmacia)No.27−7858−01]、5mmol/L DTT(ジチオトレイトール)、0.05% NP−40、10μCi/mL[α−32P]dTTP}25μLを添加し、37℃で2時間インキュベーションした。反応後、その反応液6μLをDEAE filtermat[パーキン・エルマー(Perkin Elmer)社製,No.1450−522]にスポットし、未反応の[α−32P]dTTPを除去した後、固形シンチレータ MeltiLex−A[パーキン・エルマー(Perkin Elmer)社製,No.1450−441]をしみこませ、HIV−1の量を、RT活性のカウント(cpm/μL)としてMICROBETA PLUS liquid scintillation counter[パーキン・エルマー(Perkin Elmer)社製]を用いて測定した。
その結果、第12〜14図に示すようにコントロールであるPP2を添加した系では、positive controlと同様にHIV−1の量は増加し、第9〜11図に示すように化合物を添加した系では、HIV−1の量の増加が濃度依存的に抑制されていることが確認された。つまり化合物の添加によりHIV−1増殖抑制効果が認められた。
試験例6:細胞毒性試験
MT2細胞(T細胞株)を10%牛胎児血清[ギブコ(GIBCO)社製,No.26140−079]を含むRPMI1640培地[ギブコ(GIBCO)社製,No.26140−076]を用いて2x105個/mLに調整し、96ウェルプレート[96well plate:コースター(Coster)社製]に各ウェルあたり100μLずつ分注した。各ウェルに化合物を添加して培養し、3日目に細胞の状態を観察するとともに、細胞を回収し、0.4%トリパンブルー[シグマ(SIGMA),T−8154]で細胞を染色した後、生存細胞数を数えた。その結果、化合物1を10μmol/Lの濃度で添加した場合でも、生存細胞数の減少は見られなかった。
以上、試験例1〜6により、優れたSH3ドメイン結合阻害作用を有する化合物を有効成分とする薬剤はSH3ドメインを介した蛋白質−蛋白質結合が関与する各種疾患{例えば、AIDS、悪性腫瘍、アレルギー性疾患、ウイルス性疾患等[バイオポリマー(Biopolymer)、43巻、383頁(1997年)等]}に有効であることが示唆された。
化合物(I)、(II)、(IIIa)、(IIIb)、(Va)、(Vb)もしくは(VI)またはそれらの薬理学的に許容される塩は、そのまま単独で投与することも可能であるが、通常各種の医薬製剤として提供するのが望ましい。また、それら医薬製剤は、動物および人に使用されるものである。
本発明に係わる医薬製剤は、活性成分として化合物(I)、(II)、(IIIa)、(IIIb)、(Va)、(Vb)もしくは(VI)またはそれらの薬理学的に許容される塩を単独で、あるいは任意の他の治療のための有効成分との混合物として含有することができる。また、それら医薬製剤は、活性成分を薬理学的に許容される一種もしくはそれ以上の担体と一緒に混合し、製剤学の技術分野においてよく知られている任意の方法により製造される。
投与経路は、治療に際し最も効果的なものを使用するのが望ましく、例えば経口または、例えば静脈内等の非経口等をあげることができる。
投与形態としては、例えば錠剤、散剤、顆粒剤、シロップ剤、注射剤等がある。
経口投与に適当な、例えばシロップ剤のような液体調製物は、例えば水、蔗糖、ソルビット、果糖等の糖類、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類、ごま油、オリーブ油、大豆油等の油類、p−ヒドロキシ安息香酸エステル類等の防腐剤、ストロベリーフレーバー、ペパーミント等のフレーバー類等を使用して製造できる。また、錠剤、散剤および顆粒剤等は、例えば乳糖、ブドウ糖、蔗糖、マンニット等の賦形剤、澱粉、アルギン酸ソーダ等の崩壊剤、ステアリン酸マグネシウム、タルク等の滑沢剤、ポリビニールアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ゼラチン等の結合剤、脂肪酸エステル等の界面活性剤、グリセリン等の可塑剤等を用いて製造できる。
非経口投与に適当な製剤は、好ましくは受容者の血液と等張である活性化合物を含む滅菌水性剤からなる。例えば、注射剤の場合は、例えば塩溶液、ブドウ糖溶液または塩水とブドウ糖溶液の混合物等からなる担体等を用いて注射用の溶液を調製する。
また、これら非経口剤においても、経口剤で例示した希釈剤、防腐剤、フレーバー類、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、結合剤、界面活性剤、可塑剤等から選択される1種もしくはそれ以上の補助成分を添加することもできる。
化合物(I)、(II)、(IIIa)、(IIIb)、(Va)、(Vb)もしくは(VI)、またはそれらの薬理学的に許容される塩の投与量および投与回数は、投与形態、患者の年齢、体重、治療すべき症状の性質もしくは重篤度等により異なるが、通常経口の場合、成人一人当り0.01mg〜1g、好ましくは0.05〜50mgを一日一回ないし数回投与する。静脈内投与等の非経口投与の場合、成人一人当り0.001〜100mg、好ましくは0.01〜10mgを一日一回ないし数回投与する。しかしながら、これら投与量および投与回数に関しては、前述の種々の条件により変動する。
発明を実施するための最良の形態
以下に、本発明の態様を実施例および参考例で説明する。
実施例1:錠剤
常法により、次の組成からなる錠剤を調製する。化合物2(40g)、ラクトース(286.8g)および馬鈴薯澱粉(60g)を混合し、これにヒドロキシプロピルセルロースの10%水溶液(120g)を加える。この混合物を常法により練合し、造粒して乾燥させた後、整粒し打錠用顆粒とする。これにステアリン酸マグネシウム(1.2g)を加えて混合し、径8mmの杵をもった打錠機(菊水社製RT−15型)で打錠を行って、錠剤(1錠あたり活性成分20mgを含有する)を得る。
実施例2:カプセル剤
常法により、次の組成からなるカプセル剤を調製する。化合物12(200g)、アビセル(995g)およびステアリン酸マグネシウム(5g)を常法により混合する。この混合物をカプセル充填機(Zanasi社製、LZ−64型)により、ハードカプセル4号(1カプセルあたり120mg容量)に充填し、カプセル剤(1カプセルあたり活性成分20mgを含有する)を得る。
実施例3:注射剤
常法により、次の組成からなる注射剤を調製する。化合物10(1g)を精製大豆油に溶解させ、精製卵黄レシチン(12g)および注射用グリセリン(25g)を加える。この混合物を常法により注射用蒸留水で1000mLとして練合・乳化する。得られた分散液を0.2μmのディスポーザブル型メンブランフィルターを用いて無菌濾過後、ガラスバイアルに2mLずつ無菌的に充填して、注射剤(1バイアルあたり活性成分2mgを含有する)を得る。
実施例4:化合物2
参考例1で得られた化合物1(20mg;0.042mmol)をTHF(2mL)に溶解し、70%ナトリウム水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウム−トルエン溶液(0.040mL)を氷冷しながら加えた。0℃にて20分間撹拌した後、反応液に1mol/L酢酸−THF溶液(1mL)および酢酸エチル(10mL)を順次加えて抽出し、有機層を水および1mol/L塩酸水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで有機層を乾燥した後、濃縮し、得られた残渣をジイソプロピルエーテル(IPE)とn−ヘキサンの混合溶媒から結晶化させ、化合物2を12.3mg得た(収率61%)。
化合物2:
1H−NMR(CDCl3)δ(ppm):0.78(3H,d,J=6.6Hz),0.86(3H,t,J=7.3Hz),1.02(3H,d,J=6.6Hz),1.07(3H,t,J=7.7Hz),1.23(2H,m),1.52−1.61(3H,m),1.79(2H,m),1.96−2.01(2H,m),2.66(1H,d,J=2.9Hz),3.27(1H,t,J=6.1Hz),3.39(3H,s),3.54(1H,m),3.92(1H,d,J=7.7Hz),4.16(1H,m),4.35(1H,brt,J=9.9Hz),4.87(2H,s),4.97(1H,d,J=2.8Hz),7.41(1H,s),9.24(1H,s),13.4(1H,s);FAB−MS m/z 505[M+Na]+.
実施例5:化合物3
実施例4で得られた化合物2(10mg;0.021mmol)をピリジン(0.5mL)に溶解し、無水酢酸(0.5mL)を加え、室温で5時間撹拌した。反応液を濃縮した後、得られた残渣をIPEとn−ヘキサンの混合溶媒から結晶化させ、化合物3を4.6mg得た(収率32%)。
化合物3:
1H−NMR(CDCl3)δ(ppm):0.83(3H,t,J=7.2Hz),0.84(3H,d,J=7.2Hz),0.93(3H,d,J=6.8Hz),0.99(3H,t,J=7.5Hz),1.21(2H,m),1.56(3H,m),1.76(3H,m),1.95(1H,m),2.01(3H,s),2.04(3H,s),2.13(3H,s),2.35(3H,s),2.37(3H,s),2.99(1H,t,J=5.9Hz),3.18(3H,s),3.57(1H,m),3.89(1H,d,J=6.2Hz),4.29(1H,m),5.03(2H,s),5.50(1H,dd,J=4.8,12.1Hz),5.87(1H,s),7.91(1H,s);FAB−MS m/z 693[M+H]+.
実施例6:化合物4
参考例1で得られた化合物1(11mg;0.023mmol)をのメタノール(1mL)に溶解し、水素化ホウ素ナトリウム(4.9mg;0.13mmol)を加え、室温で1.5時間撹拌した。反応液に少量の1mol/L塩酸水溶液を加え、酢酸エチル(10mLx2)で抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮し、得られた残渣を分取薄層クロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=10/1)で精製し、化合物4を6.0mg得た(収率54%)。
化合物4:
1H−NMR(CDCl3)δ(ppm):0.80(3H,d,J=6.8Hz),0.89(3H,t,J=7.3Hz),1.01(3H,t,J=7.5Hz),1.02(3H,d,J=7.5Hz),1.26(2H,m),1.54−1.64(3H,m),1.79(3H,m),2.00(1H,m),2.67(1H,brs),2.74(1H,brs),2.91(1H,t,J=6.4Hz),2.98(1H,d,J=2.9Hz),3.27(1H,brs),3.38(3H,s),3.47(1H,m),3.72−3.89(2H,m),3.96(1H,t,J=7.5Hz),4.18(1H,brs),4.88(3H,brs),7.41(1H,s),9.32(1H,s),13.29(1H,s);FAB−MS m/z 507[M+Na]+.
実施例7:化合物6
参考例1で得られた化合物1(10mg;0.021mmol)をTHF(1mL)と水(0.5mL)の混合溶媒に溶かし、塩酸O−メチルヒドロキシルアミン(22mg;0.27mmol)を加え、室温で4時間撹拌した。反応液を酢酸エチル(10mL)で希釈後、水を加えて抽出し、有機層を1mol/L塩酸水溶液で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、濃縮し得られた残渣をIPEとn−ヘキサンの混合溶媒から結晶化させ、化合物6を5.6mg得た(収率52%)。
化合物6:
1H−NMR(CDCl3)δ(ppm):0.84(3H,t,J=7.3Hz),0.86(3H,d,J=6.8Hz),0.96(3H,d,J=6.8Hz),1.06(3H,t,J=7.5Hz),1.20(2H,m),1.48(1H,m),1.58(1H,s),1.60(2H,m),1.81(2H,m),1.99(2H,m),2.98(1H,brs),3.22(3H,s),3.26(1H,t,J=6.1Hz),3.70(1H,dd,J=7.3,14.1Hz),3.99(3H,s),4.17(1H,td,J=11.2,5.1Hz),4.34(1H,d,J=6.6Hz),4.40(1H,brt,J=8.3Hz),4.97(1H,d,J=3.5Hz),7.83(1H,s),8.69(1H,s),11.45(1H,s),13.75(1H,s);FAB−MS m/z 532[M+Na]+,510[M+H]+.
実施例8:化合物14
参考例1で得られた化合物1(33.5mg;0.0698mmol)をメタノール(2mL)に溶解し、2mol/Lトリメチルシリルジアゾメタンのn−ヘキサン溶液(1mL)を加え、室温で3.5時間撹拌した。反応液に酢酸(2滴)および酢酸エチル(30mL)を加えた後、水を加えて抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去した後、得られた残渣(45.6mg)をシリカゲル分取薄層クロマトグラフィー(n−ヘキサン/酢酸エチル=1/1)により精製し、化合物14を13.9mg得た(収率38%)。
化合物14:
1H−NMR(CDCl3,400MHz)δ(ppm):12.91(1H,s),7.81(1H,s),4.97(1H,d,J=2.4Hz),4.41(1H,m),4.18(1H,m),4.15(1H,d,J=6.8Hz),3.77(2H,d,J=5.6Hz),3.75(3H,s),3.72(1H,m),3.26(1H,dd,J=5.9,7.1Hz),3.22(3H,s),2.93(1H,brs),2.26(3H,s),2.01(1H,m),1.92(1H,m),1.84(2H,m),1.58(3H,m),1.47(1H,m),1.20(2H,m),1.06(3H,t,J=7.6Hz),0.98(3H,d,J=6.6Hz),0.86(3H,t,J=7.3Hz),0.81(3H,d,J=6.8Hz);13C−NMR(CDCl3,100MHz)δ(ppm):208.0,206.3,164.1,162.0,129.2,125.3,117.6,117.4,94.5,82.8,69.7,62.7,61.9,61.8,59.7,57.0,49.9,39.0,37.3,34.6,32.0,29.7,20.7,20.6,19.1,18.3,14.3,10.6;FAB−MS m/z 523[M+H]+.
実施例9:化合物15
参考例1で得られた化合物1(21.5mg;0.0448mmol)のジクロロメタン溶液(2mL)に4Åモレキュラーシーブス(30mg)を加え、次に4−メチルモルホリン−N−オキサイド(18.6mg;0.159mmol)のジクロロメタン溶液(0.5mL)およびテトラ(n−プロピル)アンモニウムパールテネート(3.9mg;0.0111mmol)のジクロロメタン溶液(0.5mL)を加え、室温で24時間撹拌した。反応液をろ過した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(1%メタノールのクロロホルム溶液)による精製を行い、化合物15を1.8mg得た(収率8.4%)。
化合物15:
1H−NMR(CDCl3,500MHz)δ(ppm):14.03(1H,s),13.01(1H,s),10.42(1H,s),8.03(1H,s),5.20(1H,d,J=3.2Hz),4.84(1H,m),4.34(1H,d,J=6.1Hz),3.77(1H,m),3.56(1H,dd,J=5.6,7.2Hz),3.22(3H,s),3.01(1H,d,J=3.2Hz),2.68−2.63(2H,m),2.00−1.80(2H,m),1.79−1.60(3H,m),1.26(2H,m),1.08(3H,t,J=7.6Hz),0.94(3H,d,J=6.7Hz),0.90(3H,d,J=6.9Hz),0.89(3H,t,J=7.5Hz);FAB−MS m/z 479[M+H]+.
実施例10:化合物17
参考例9で得られた化合物12(67.3mg;0.128mmol)を酢酸エチル(3mL)に溶解し、10%パラジウム−炭素(50mg)を加え、水素雰囲気下、室温で4時間撹拌した。反応液から触媒をろ別した後、シリカゲル分取薄層クロマトグラフィー(n−ヘキサンと酢酸エチルの混合溶媒)による精製を行い、化合物17を30.3mg得た(収率63%)。
化合物17:
1H−NMR(CDCl3,300MHz)δ(ppm):7.03(2H,d,J=8.6Hz),6.85(2H,d,J=8.6Hz),6.40(1H,m),6.07(1H,brs),5.31(1H,m),4.86−4.28(2H,m),3.79(3H,s),3.61(1H,m),3.19(1H,dd,J=5.5,10.5Hz),3.04(1H,m),2.80(1H,d,J=5.5Hz),2.76−2.49(4H,m),2.36(1H,m),2.19(1H,brd,J=12.5Hz),1.71(1H,brd,J=15.8Hz),1.49(3H,s),1.23(2H,m),1.19(3H,d,J=6.8Hz),1.14(3H,s),1.00(3H,d,J=7.2Hz);FAB−MS m/z 528[M+H]+.
実施例11:化合物18および19
参考例9で得られた化合物12(36.6mg;0.0697mmol)をクロロホルム(2mL)に溶解し、少量のp−トルエンスルホン酸一水和物を加え、室温で5時間撹拌した。反応液を濃縮した後、シリカゲル分取薄層クロマトグラフィー(n−ヘキサンと酢酸エチルの混合溶媒)による精製を行い、化合物18(26.8mg;収率73%)と化合物19(4.8mg;収率13%)をそれぞれ得た。
化合物18:
1H−NMR(CDCl3,300MHz)δ(ppm):7.04(2H,d,J=8.6Hz),6.84(2H,d,J=8.6Hz),6.59(1H,d,J=11.7Hz),5.81(1H,brs),5.72(1H,dd,J=9.9,14.9Hz),5.63(1H,d,J=11.7Hz),5.39(1H,brs),5.37(1H,m),5.17(1H,brs),3.80(1H,m),3.78(3H,s),3.35(1H,m),3.24(1H,m),2.98−2.92(3H,m),2.85(1H,dd,J=3.9,13.8Hz),2.69(1H,m),2.57(1H,dd,J=9.5,13.8Hz),2.15(1H,brd,J=13.4Hz),1.52(3H,s),1.16(3H,d,J=7.2Hz),1.14(3H,d,J=7.2Hz);FAB−MS m/z 526[M+H]+.
化合物19:
1H−NMR(CDCl3,300MHz)δ(ppm):7.00(2H,d,J=8.6Hz),6.79(2H,d,J=8.6Hz),6.57(1H,d,J=11.6Hz),6.13(1H,m),6.09(1H,brs),5.59(1H,d,J=11.6Hz),5.31(1H,m),3.81(2H,m),3.72(3H,s),3.36(1H,brt,J=6.8Hz),2.87(1H,m),2.76−2.60(4H,m),2.09(1H,brd,J=10.3Hz),1.61(3H,s),1.44(6H,s),1.10(3H,d,J=6.8Hz);FAB−MS m/z 526[M+H]+.
実施例12:化合物20
MPC1006株糸状菌の斜面培地から、一白金耳ずつを50mLの種培地(マッシュポテト3%、グルコース10%、酵母エキス0.5%、pH6.5)を入れた300mL容の三角フラスコ(2本)に接種し、28℃で5日間回転撹拌機上で培養して種培養液を得た。この種培養液2.5mLを50mLの生産培地(グルコース2%、マッシュポテト2%、ペプトン0.5%、KH2PO40.5%、Mg3(PO4)2・8H2O0.05%、pH6.0)を含む300mL容の三角フラスコ(40本)に接種して、25℃で5日間回転撹拌機上で培養を行った。培養終了後、培養液(2L)を吸引ろ過により菌体と上清に分け、培養上清をあらかじめ20%メタノールで充填したダイヤイオンHP−20(30mL)のカラムクロマトグラフィーに付し、40、50、60%メタノールで段階的に洗浄後、90および100%メタノールで溶出させた。溶出液(150mL)を濃縮後、酢酸エチルで抽出し、抽出物を高速液体クロマトグラフィー(Develosil HG−5 20×250mm;40〜100%アセトニトリル水溶液で段階的に溶出)により分離精製し、化合物20を2.2mg得た。
化合物20:
1H−NMR(CDCl3,400MHz)δ(ppm):7.15(1H,dd,J=2.2,15.4Hz),6.25(1H,brs),6.19(1H,brd,J=11.0Hz),6.03(1H,dd,J=2.2,15.4Hz),5.30(1H,m),4.55(1H,m),3.88(1H,dd,J=2.4,7.6Hz),3.82(1H,brd,J=11.0Hz),3.17(1H,dt,J=10.0,3.4Hz),3.09(1H,m),2.93(1H,dd,J=3.2,4.9Hz),2.39−2.34(1H,m),2.20−2.08(2H,m),1.73(3H,s),1.61(1H,m),1.50−1.46(1H,m),1.43−1.34(1H,m),1.39(3H,s),1.33−1.25(1H,m),1.21(3H,d,J=7.3Hz),0.931(3H,d,J=6.6Hz),0.926(3H,d,J=6.6Hz);13C−NMR(CDCl3,100MHz)δ(ppm):173.6,167.5,150.4,140.2,139.5,124.2,122.8,120.1,88.3,78.1,73.9,52.1,51.7,48.5,39.39,39.36,34.2,28.0,25.2,23.6,21.4,19.7,15.2,13.8;FAB−MS m/z 418[M+H]+.
実施例13:化合物21
MPC1009株糸状菌の斜面培地から、一白金耳ずつを4本の50mLの一次種培地(マッシュポテト3%、グルコース10%、酵母エキス0.5%、pH6.5)を入れた300mL容の三角フラスコに接種し、28℃で4日間回転撹拌機上で培養して一次種培養液を得た。この一次種培養液75mLを2.5Lの二次種培地(グルコース2%、マッシュポテト2%、ペプトン0.5%、KH2PO40.5%、Mg3(PO4)2・8H2O0.05%、pH6.0)を含む5L容のジャーファーメンターに接種して、25℃で24時間、通気撹拌培養を行った。得られた二次種培養液450mLを15Lの生産培地(グルコース2%、マッシュポテト2%、ペプトン0.5%、KH2PO40.5%、Mg3(PO4)2・8H2O0.05%、pH6.0)を含む30L容のジャーファーメンター(2基)に接種して、25℃で5日間通気撹拌培養を行った。培養終了後、培養液(30L)を吸引ろ過により菌体と上清に分け、菌体に20Lのメタノールを加え、撹拌して抽出した。抽出液をあらかじめ30%メタノール水溶液で充填したダイヤイオンHP−20(1.5L)のカラムクロマトグラフィーに付し、50%メタノール水溶液で洗浄後、100%メタノールで溶出させた。溶出液を濃縮後、酢酸エチルで抽出し、濃縮乾固すると23.7gの菌体抽出物が得られた。得られた菌体抽出物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルムとメタノールの混合溶媒)に付し、化合物21を含むフラクションを集め、濃縮乾固した。得られた残渣を90%メタノール水溶液とn−ヘキサンで分配し、脂肪酸成分を除去した。90%メタノール水溶液での抽出物(5.44g)をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサンと酢酸エチルの混合溶媒)に付し、化合物21を含むフラクションを集め、濃縮した。得られた残渣(1.24g)を少量のエーテルに溶解し、n−ヘキサンを加えて粉末化を行い、化合物21(343mg)を得た。
化合物21:
1H−NMR(CDCl3,500MHz)δ(ppm):7.33(1H,dd,J=2.5,15.4Hz),6.94(1H,brs),6.22(1H,d,J=10.8Hz),5.91(1H,dd,J=2.1,15.4Hz),5.29(1H,brs),4.51(1H,m),3.80(1H,d,J=10.8Hz),3.14(1H,ddd,J=3.0,3.0,10.3Hz),3.08(1H,m),2.89(1H,dd,J=3.3,4.8Hz),2.23(1H,dd,J=9.6,13.6Hz),2.11(1H,m),2.01(1H,m),1.88(1H,brs),1.75(1H,m),1.73(3H,s),1.68(1H,m),1.63(1H,m),1.53(1H,m),1.50(1H,m),1.44(3H,s),1.28(1H,m),1.20(3H,d,J=7.3Hz),0.92(3H,d,J=6.8Hz),0.91(3H,d,J=6.8Hz);13C−NMR(CDCl3,125MHz)δ(ppm):173.7,167.7,156.5,140.1,139.4,124.4,123.0,118.8,88.4,69.2,52.2,51.9,48.6,42.2,39.5,38.1,34.2,25.0,23.8,21.3,19.8,17.8,16.2,13.9;FAB−MS m/z 402[M+H]+.
実施例14:化合物16
MPC1005株糸状菌の斜面培地から、一白金耳ずつを4本の50mLの種培地(マッシュポテト3%、グルコース10%、酵母エキス0.5%、pH6.5)を入れた300mL容の三角フラスコに接種し、28℃で5日間回転撹拌機上で培養して種培養液を得た。この種培養液2.5mLずつを50本の50mLの生産培地(シュクロース3%、可溶性澱粉2%、乾燥酵母0.5%、麦芽エキス1%、コーンスティープリカー(CSL)0.5%、野菜ジュース20%、CaCO30.5%、pH6.0)を含む300mL容の三角フラスコに接種して、25℃で5日間回転撹拌機上で培養を行なった。
培養終了後、培養液(2.5L)を吸引ろ過により菌体と上清に分け、菌体に6Lのメタノールを加え、撹拌して抽出し、抽出液を約3Lになるまで減圧下濃縮した。培養上清と濃縮した菌体抽出液を合わせ、50%メタノールで充填したダイヤイオンHP−20(150mL)のカラムクロマトグラフィーに付し、50%メタノールで洗浄した後、100%メタノールで溶出した。溶出液を約200mLになるまで減圧下濃縮後、酢酸エチル(250mLx2)で抽出し、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濃縮乾固して得られた残渣(1.58g)を少量のメタノールに溶解し、あらかじめクロロホルム−メタノール(1:1)で充填したセファデックスLH−20のカラムクロマトグラフィー(内径3.0cm,高さ20cm)に付し、クロロホルム−メタノール(1:1)の混合溶媒で展開し溶出液を約20mLずつ分取した。化合物16を含むフラクションを集め、減圧下に濃縮乾固した。この乾固物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(50mL、メタノールとクロロホルムの混合溶媒)に付し、化合物16(18mg)を得た。
化合物16:
1H−NMR(CDCl3,500MHz)δ(ppm):7.05(2H,d,J=8.5Hz),6.81(2H,d,J=8.5Hz),6.66(1H,brs),6.39(1H,m),5.79(1H,ddd,J=1.7,10.0,15.1Hz),5.44(1H,ddd,J=3.9,11.2,15.1Hz),3.62(1H,t,J=5.9Hz),3.33(1H,m),3.32(1H,m),3.02(1H,dd,J=6.8,12.1Hz),2.89(1H,dd,J=5.4,10.0Hz),2.75(2H,m),2.67(1H,dd,J=2.1,5.9Hz),2.59(1H,d,J=5.4Hz),2.25(1H,m),2.24(1H,m),2.03(1H,dt,J=13.8,11.6Hz),1.88(3H,d,J=0.7Hz),1.17(3H,s),1.15(3H,d,J=6.6Hz),1.11(3H,d,J=7.3Hz);13C−NMR(CDCl3,125MHz)δ(ppm):206.2,171.9,169.1,155.1,143.1,135.1,132.7,130.8,130.6,128.7,126.1,115.8,84.9,60.4,57.2,54.4,49.5,47.0,43.9,39.9,39.8,36.8,36.1,19.7,17.4,13.0,12.8;FAB−MS m/z 480[M+H]+.
参考例1:化合物1(UCS15A/Luminacin C2/SI−4228A)
化合物1は、ザ・ジャーナル・オブ・アンチバイオティクス(The Journal of Antibiotics)、53巻、579頁(2000年)および特開昭58−116686号記載の方法により、該化合物の生産能を有するStreptomyces属に属する放線菌を培養し、培養液中から単離精製することにより得られた。
化合物1(UCS15A/Luminacin C2/SI−4228A):1H−NMR(CDCl3,300MHz)δ(ppm):14.16(1H,s),12.93(1H,s),10.35(1H,s),8.01(1H,s),4.85(1H,d,J=3.2Hz),4.36(1H,dd,J=8.1,9.6Hz),4.27(1H,d,J=7.0Hz),4.11(1H,ddd,J=4.6,11.4,11.4Hz),3.66(1H,m),3.53(1H,d,J=3.2Hz),3.19(1H,t,J=6.2Hz),3.14(3H,s),1.85−1.98(2H,m),1.69−1.78(2H,m),1.40−1.58(3H,m),1.08−1.19(2H,m),0.98(3H,t,J=7.5Hz),0.91(3H,d,J=6.6Hz),0.79(3H,t,J=7.3Hz),0.77(3H,d,J=6.8Hz);FAB−MS m/z 479[M−H]−.
参考例2:化合物5
化合物5は、特開昭62−294619号記載の方法に準じて得ることができるが、以下の方法によっても得ることができた。
参考例1で得られた化合物1(11mg;0.023mmol)をTHF(1mL)と水(0.5mL)とメタノール(1滴)の混合溶媒に溶かし、硫酸メチルヒドラジン(30mg;0.21mmol)を加え、室温で4時間撹拌した。反応液を酢酸エチル(10mL)で希釈後、抽出し、有機層を水と1mol/L塩酸水溶液で順次洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、濃縮し、得られた残渣をIPEとn−ヘキサンの混合溶媒から結晶化させ、化合物5を5.9mg得た(収率50%)。
化合物5:
1H−NMR(CDCl3)δ(ppm):0.84(3H,t,J=7.2Hz),0.86(3H,d,J=6.8Hz),0.96(3H,d,J=6.6Hz),1.06(3H,t,J=7.5Hz),1.21(2H,m),1.42−1.62(3H,m),1.82(2H,m),2.01(2H,m),3.00(3H,s),3.22(3H,s),3.26(1H,t,J=6.2Hz),3.70(1H,m),4.16(1H,m),4.35(1H,d,J=6.6Hz),4.40(1H,m),4.98(1H,s),6.72(1H,s),7.74(1H,s),8.21(1H,s),13.00(1H,brs),13.71(1H,s);FAB−MS m/z 477[M−CH3NH2]+,507[M−H]−.
化合物7、8、9は、ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサエティ(J.Am.Chem.Soc.)、122巻、3071頁(2000年)に記載の方法に準じて得られた。
参考例3:化合物7
レゾルシノール(600mg;5.45mmol)およびソルビン酸(600mg;5.36mmol)を三フッ化ホウ素エーテル錯体(10mL)に溶かし、120℃にて15分間撹拌した。反応液に氷冷しながら少量の水を加え、酢酸エチル(50mLx2)で抽出した。有機層から溶媒を減圧下留去した後、残渣をTHF(50mL)および水(50mL)の混合溶媒に溶かし、30分間加熱還流した。反応液を濃縮し、THFを留去した後、酢酸エチル(50mLx2)で抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。有機層を濃縮し、得られた残渣(1.54g)をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(75g;n−ヘキサン/酢酸エチル=3/1)で精製し、化合物7を566mg得た(収率60%)。
化合物7:
1H−NMR(CDCl3)δ(ppm):1.92(3H,d,J=5.1Hz),5.57(1H,brs),6.32−6.40(4H,m),6.91(1H,d,J=14.7Hz),7.48(1H,dd,J=9.9,14.7Hz),7.71(1H,d,J=9.2Hz),13.41(1H,s);FAB−MS m/z 205[M+H]+.
参考例4:化合物8
2−メチルレゾルシノール(500mg;4.03mmol)およびソルビン酸(450mg;4.01mmol)より、参考例3と同様にして化合物8を736mg得た(収率84%)。
化合物8:
1H−NMR(CDCl3)δ(ppm):1.90(3H,d,J=5.5Hz),2.14(3H,s),6.00(1H,brs),6.23−6.35(2H,m),6.39(1H,d,J=9.0Hz),6.92(1H,d,J=15.0Hz),7.46(1H,dd,J=9.9,15.0Hz),7.58(1H,d,J=9.0Hz),13.73(1H,s);FAB−MS m/z 219[M+H]+.
参考例5:化合物9
2,4−ジメチルレゾルシノール(1.08g;7.83mmol)およびソルビン酸(950mg;8.47mmol)より、参考例3と同様にして化合物9を971mg得た(収率53%)。
化合物9:
1H−NMR(CDCl3)δ1.91(3H,d,J=5.7Hz),2.15(3H,s),2.22(3H,s),5.32(1H,s),6.24−6.40(2H,m),6.95(1H,d,J=14.9Hz),7.45(1H,s),7.46(1H,dd,J=10.1,14.9Hz),13.60(1H,s);FAB−MS m/z 233[M+H]+.
参考例6:化合物10
化合物10は、テトラヘドロン(Tetrahedron)、31巻、1593頁(1975年)記載の方法によって得ることができるが、化合物7のメチル化によっても得ることができた。
参考例3で得られた化合物7(424mg;2.08mmol)を30mLのアセトンに溶解し、炭酸カルシウム(650mg;4.70mmol)およびヨウ化メチル(0.260mL;4.18mmol)を加え、1時間加熱還流した。反応液を室温にて放冷後、酢酸エチル(50mL)で希釈し、1mol/L塩酸水溶液を添加して抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮して得られた残渣(410mg)をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(30mL;n−ヘキサン/酢酸エチル=4/1)で精製し、化合物10を113mg得た(収率25%)。
化合物10:
1H−NMR(CDCl3)δ(ppm):1.91(3H,d,J=5.0Hz),3.85(3H,s),6.26−6.40(2H,m),6.43−6.47(2H,m),6.92(1H,d,J=14.9Hz),7.48(1H,dd,J=9.9,14.9Hz),7.71(1H,d,J=9.5Hz),13.50(1H,s);FAB−MS m/z 219[M+H]+
参考例7:化合物11
参考例3で得られた化合物7(137mg;0.672mmol)を25mLのアセトンに溶解し、炭酸カルシウム(1.50g;10.85mmol)およびヨウ化メチル(1.50mL;24.1mmol)を加え、3時間加熱還流した。参考例6と同様の後処理を行い、化合物11を122mg得た(収率78%)。
化合物11:
1H−NMR(CDCl3)δ(ppm):1.85(3H,d,J=6.2Hz),3.83(3H,s),3.84(3H,s),6.12−6.32(2H,m),6.46(1H,d,J=2.2Hz),6.51(1H,dd,J=2.2,8.6Hz),6.81(1H,d,J=15.2Hz),7.25(1H,dd,J=11.0,15.0Hz),7.66(1H,d,J=8.6Hz);FAB−MS m/z 233[M+H]+.
参考例8:化合物13(Cytochalasin E)
化合物13は、ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサエティ,パーキン・トランサクション1(J.Chem.Soc.,Perkin Trans.1)、541頁(1982年)、アグリカルチュラル・アンド・バイオロジカル・ケミストリー(Agric.Biol.Chem.)、53巻、1699頁(1989年)等に記載の方法に準じて、該化合物の生産能を有する糸状菌を培養し、培養液中から単離精製することにより得られた。
化合物13(Cytochalasin E):
1H−NMR(CDCl3,300MHz)δ(ppm):7.27−7.37(3H,m),7.15(2H,d,J=7.0Hz),6.53(1H,d,J=12.5Hz),6.00(1H,brs),5.89(1H,dd,J=8.1,15.0Hz),5.63(1H,d,J=12.5Hz),5.23(1H,m),3.71(1H,m),3.02(1H,m),2.94(1H,m),2.89(1H,dd,J=4.2,13.9Hz),2.50−2.70(4H,m),2.31(1H,m),2.15(1H,brd,J=15.0Hz),1.50(3H,s),1.25(3H,s),1.16(3H,d,J=6.1Hz),1.12(3H,d,J=6.8Hz);FAB−MS m/z 496[M+H]+
参考例9:化合物12(Mer−WF1726)
化合物12は、特開平10−114776号に記載の方法に準じて得られる。
化合物12(Mer−WF1726):
1H−NMR(CDCl3,500MHz)δ(ppm):7.06(2H,d,J=8.5Hz),6.86(2H,d,J=8.5Hz),6.51(1H,d,J=11.6Hz),6.16(1H,brs),5.90(1H,dd,J=9.3,14.9Hz),5.61(1H,d,J=11.6Hz),5.23(1H,ddd,J=3.8,10.9,14.9Hz),3.79(3H,s),3.68(1H,m),3.00(1H,dd.J=2.6,5.1Hz),2.94(1H,m),2.82(1H,dd,J=4.5,13.7Hz),2.69−2.60(4H,m),2.29(1H,dq,J=12.5,7.3Hz),2.15(1H,brd,J=13.8Hz),1.49(3H,s),1.25(3H,s),1.16(3H,d,J=6.8Hz),1.10(3H,d,J=7.3Hz);13C−NMR(CDCl3,125MHz)δ(ppm):211.8,170.0,158.9,149.4,142.2,131.6,130.6,128.5,127.9,120.5,114.4,87.1,77.3,60.7,57.3,55.3,53.8,48.0,45.9,44.1,40.9,39.1,35.9,24.4,20.1,19.7,13.3;FAB−MS m/z 526[M+H]+.
参考例10:化合物26(Aspochalasin C)、化合物27(Aspochalasin D)および化合物28(Aspochalasin E)
化合物26(Aspochalasin C)、化合物27(Aspochalasin D)および化合物28(Aspochalasin E)は実施例13に記載の方法により、MPC1009糸状菌の培養し、培養液中から単離精製することにより得られた。
また、ヘルベチカ・ヒミカ・アクタ(Helv.Chim.Acta)、62巻、1501頁(1979年)、ジャーナル・オブ・アンチバイオティクス(J.Antibiot.)、46巻、679頁(1993年)等に記載の方法に準じて、該化合物の生産能を有する糸状菌を培養し、培養液中から単離精製することによっても得ることができる。
化合物26(Aspochalasin C):
1H−NMR(CDCl3,400MHz)δ(ppm):7.32(1H,dd,J=0.7,16.3Hz),6.26(1H,dd,J=8.3,16.3Hz),6.07(1H,brs),5.99(1H,brd,J=11.2Hz),5.41(1H,m),3.95(1H,t,J=8.3Hz),3.49(1H,m),3.10(1H,m),3.02(1H,dd,J=3.7,5.4Hz),2.82(1H,brd,J=11.0Hz),2.46(2H,m),2.02(1H,m),1.93(1H,m),1.85(1H,ddd,J=2.7,13.2,13.2Hz),1.77(3H,d,J=1.5Hz),1.55(1H,m),1.41(3H,d,J=1.5Hz),1.24(2H,m),1.23(3H,d,J=7.3Hz),0.91(3H,d,J=6.6Hz),0.90(3H,d,J=6.6Hz);13C−NMR(CDCl3,100MHz)δ(ppm):198.2,174.4,140.8,138.3(2C),130.3,125.8,125.5,77.3,75.1,68.0,51.3,49.7,48.4,43.5,36.4,36.3,35.2,25.2,23.7,21.4,20.0,19.9,13.7;FAB−MS m/z 402[M+H]+.
化合物27(Aspochalasin D):
1H−NMR(CDCl3,300MHz)δ(ppm):7.14(1H,d,J=16.7Hz),6.14(1H,dd,J=5.0,16.5Hz),6.33(1H,brs),5.94(1H,d,J=10.8Hz),5.42(1H,brs),4.58(1H,brs),3.78(1H,brs),3.15(1H,m),3.00(1H,dd,J=2.8,5.7Hz),2.90(1H,d,J=10.8Hz),2.48(1H,m),2.16(2H,m),2.07(1H,m),1.75(3H,s),1.50(2H,m),1.30(3H,s),1.22(3H,d,J=7.3Hz),1.21(1H,m),0.90(3H,d,J=6.4Hz),0.88(3H,d,J=6.4Hz);13C−NMR(CDCl3,75MHz)δ(ppm):197.6,174.9,141.5,140.4,137.4,129.6,125.7,124.2,79.2,75.6,68.0,51.0,49.6,48.3,43.6,39.5,35.1,29.3,25.1,23.6,21.5,19.9,15.6,13.5;FAB−MS m/z 402[M+H]+.
化合物28(Aspochalasin E):
1H−NMR(DMSO−d6,500MHz)δ(ppm):8.10(1H,s),6.02(1H,d,J=10.9Hz),5.33(1H,brs),4.41(1H,d,J=5.9Hz),4.37(1H,d,J=4.0Hz),4.35(1H,brs),3.90(1H,d,J=17.6Hz),3.60(1H,brs),3.24(1H,brs),3.17(1H,brs),3.07(2H,m),2.48−2.40(2H,m),2.00−1.94(2H,m),1.76(1H,dd,J=5.2,17.6Hz),1.70(3H,s),1.60−1.44(2H,m),1.38(3H,d,J=1.1Hz),1.31(1H,m),1.16(3H,d,J=6.9Hz),1.09−0.98(2H,m),0.84(3H,d,J=6.6Hz),0.83(3H,d,J=6.5Hz);FAB−MS m/z 420[M+H]+.
参考例11:化合物22および化合物25(Aspochalasin B)
参考例10で得られる化合物27(31.7mg;0.0791mmol)をジクロロメタン(5mL)に溶解し、二酸化マンガン(250mg;2.44mmol)を加えて室温で2時間撹拌した。反応液をセライトを用いてろ過し、ろ液を濃縮した後、シリカゲル分取薄層クロマトグラフィー(クロロホルムとメタノールの混合溶媒)による精製を行い、化合物25(13.6mg;収率43%)および化合物22(5.1mg;収率16%)を得た。
また、化合物25(Aspochalasin B)はヘルベチカ・ヒミカ・アクタ(Helv.Chim.Acta)、62巻、1501頁(1979年)に記載の方法に準じて、該化合物の生産能を有する糸状菌を培養し、培養液中から単離精製することによっても得ることができる。
化合物25(Aspochalasin B):
1H−NMR(CDCl3,300MHz)δ(ppm):8.28(1H,d,J=16.5Hz),6.52(1H,d,J=16.5Hz),6.33(1H,d,J=11.2Hz),5.99(1H,brs),5.44(1H,brs),4.82(1H,brd,J=6.1Hz),3.59(1H,brs),3.19(1H,t,J=4.6Hz),3.11(1H,m),2.74(1H,brd,J=11.4Hz),2.62(1H,m),2.38(2H,m),1.86(1H,m),1.79(3H,brs),1.57(3H,m),1.24(3H,d,J=7.0Hz),1.22(3H,s),0.92(3H,d,J=5.9Hz),0.90(3H,d,J=6.2Hz);13C−NMR(CDCl3,75MHz)δ(ppm):205.1,195.5,173.2,141.6,138.8,136.4,126.5(2C),124.7,74.7,68.9,51.7,48.2,47.5,41.6,39.7,34.8,32.4,25.2,23.7,21.1,20.2,15.5,13.8;FAB−MS m/z 400[M+H]+.
化合物22:
1H−NMR(CDCl3,300MHz)δ(ppm):9.77(1H,brs),9.75(1H,d,J=7.7Hz),7.76(1H,d,J=15.8Hz),6.78(1H,dd,J=7.7,15.8Hz),6.12(1H,brs),5.76(1H,d,J=10.3Hz),5.34(1H,brs),3.23(1H,d,J=9.9Hz),3.16(1H,m),2.74(1H,t,J=4.8Hz),2.54(3H,m),2.33(2H,m),1.76(3H,brs),1.54(1H,m),1.50(3H,s),1.34(1H,m),1.21(3H,d,J=7.3Hz),0.92(6H,d,J=6.6Hz);FAB−MS m/z 400[M+H]+.
参考例12:化合物24(Aspochalasin A)
参考例11で得られる化合物25(28.9mg;0.0724mmol)をピリジン(0.5mL)に溶かし、トリエチルアミン(0.5mL)を加えて、室温で19時間撹拌した。反応液を水に注ぎ込み、クロロホルム(20mL)で抽出し、0.5mol/L塩酸水で洗浄した。シリカゲル分取薄層クロマトグラフィー(クロロホルム−メタノール)で精製し、化合物24(21.2mg;収率73%)を得た。
また、化合物24はヘルベチカ・ヒミカ・アクタ(Helv.Chim.Acta)、62巻、1501頁(1979年)に記載の方法に準じて、該化合物の生産能を有する糸状菌を培養し、培養液中から単離精製することによっても得ることができる。
化合物24:
1H−NMR(CDCl3,300MHz)δ(ppm):6.73(1H,brs),6.22(1H,d,J=11.0Hz),5.32(1H,brs),3.94(1H,dd,J=12.8,19.4Hz),3.67(1H,m),3.14−3.07(2H,m),2.94(1H,brd,J=9.5Hz),2.79(1H,brt,J=12.8Hz),2.55−2.40(3H,m),2.38−2.02(2H,m),1.99(1H,m),1.72(3H,s),1.56(1H,m),1.48(3H,s),1.19(3H,J=6.6Hz),1.16(2H,m),0.94(6H,d,J=6.6Hz);13C−NMR(CDCl3,75MHz)δ(ppm):208.7,202.6,197.6,175.5,140.0,135.7,125.1,124.8,66.3,52.1,50.7,48.7,43.4,38.8,36.6,35.3,31.4,31.2,25.0,23.5,21.4,19.9,14.8,13.4;FAB−MS m/z 400[M+H]+.
参考例13:化合物23
参考例11で得られる化合物25(216mg;0.541mmol)を酢酸エチル(30mL)に溶解し10%パラジウム−炭素(150mg)を加えて、水素雰囲気下、室温で4時間撹拌した。触媒をろ別した後、シリカゲル分取薄層クロマトグラフィー(クロロホルムとメタノールの混合溶媒)による精製を行い、化合物23を92.3mg得た(収率43%)。
化合物23:
1H−NMR(CDCl3,300MHz)δ(ppm):7.01(1H,brs),6.00(1H,d,J=10.6Hz),4.17(1H,brs),3.40(1H,m),2.89−2.76(3H,m),2.42−1.76(7H,m),1.64−1.44(2H,m),1.32(3H,d,J=1.1Hz),1.25−1.03(2H,m),0.92−0.85(15H,m);FAB−MS m/z 402[M+H]+.
産業上の利用可能性
本発明により、非ペプチド性化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有するSH3ドメイン結合阻害剤が提供される。また、本発明によりSH3ドメイン結合阻害剤として有用な化合物またはその薬理学的に許容される塩が提供される。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
第1図は、化合物(I)および(VI)を濃度を変えて添加した場合のイン・ビトロでのSam68ΔCとFyn−SH3の結合阻害アッセイの結果を示すものである。各レーン上部の数字は化合物番号およびSam68ΔC溶液に添加した各化合物の濃度(μmol/L)を示す。左側の記載は、各ブロットの名称を示す。
第2図は、化合物1および化合物(IIIa)を濃度を変えて添加した場合のイン・ビトロでのSam68ΔCとFyn−SH3の結合阻害アッセイの結果を示る。各レーン上部の数字は化合物番号およびSam68ΔC溶液に添加した各化合物の濃度(μmol/L)を示す。左側の記載は、各ブロットの名称を示す。
第3図は、化合物1、化合物(II)および(IIIa)を濃度を変えて添加した場合のイン・ビトロでのSam68ΔCとFyn−SH3の結合阻害アッセイの結果を示すものである。各レーン上部の数字は化合物番号およびSam68ΔC溶液に添加した各化合物の濃度(μmol/L)を示す。左側の記載は、各ブロットの名称を示す。
第4図は、化合物1を濃度を変えて添加した場合の細胞内のSrcとSam68の結合阻害アッセイの結果を示すものである。各レーン上部の数字はHCT116細胞に添加した化合物1の濃度(μmol/L)を示す。左側の記載は、ブロットの名称を示す。
第5図は、化合物1を濃度を変えて添加した場合の細胞内のPLCγとSam68の結合阻害アッセイの結果を示すものである。各レーン上部の数字はHCT116細胞に添加した化合物1の濃度(μmol/L)を示す。左側の記載は、ブロットの名称を示す。
第6図は、化合物1を濃度を変えて添加した場合の細胞内のGrb2とSos1の結合阻害アッセイの結果を示すものである。各レーン上部の数字はHCT116細胞に添加した化合物1の濃度(μmol/L)を示す。左側の記載は、ブロットの名称を示す。
第7図は、化合物1を濃度を変えて添加した場合の細胞内のCortactinとZO1の結合阻害アッセイの結果を示すものである。各レーン上部の数字はHCT116細胞に添加した化合物1の濃度(μmol/L)を示す。左側の記載は、ブロットの名称を示す。
第8図は、化合物1および3を濃度を変えて添加した場合のイン・ビトロでのNefとLynの結合阻害アッセイの結果を示すものである。各レーン上部の数字は化合物番号およびNefとLynの混合溶液に添加した化合物の濃度(μmol/L)を示す。左側の記載は、ブロットの名称を示す。
第9〜11図は、化合物1を濃度を変えて添加した場合のHIV−1増殖抑制試験の結果(RT Assay)を示すものであり、同条件で3回の試験を実施した結果である。グラフの縦軸左側は、HIV−1の量をRT活性のカウント(cpm/μL)として示したものであり、グラフの横軸下側は、HIV−1を感染させてからの経過日数(日)を示す。グラフ上の各プロットの意味は、以下の通りである。
□:positive contorol,×:negative contorol,●:化合物1(50μmol/L),▲:化合物1(25μmol/L),■:化合物1(10μmol/L),○:化合物1(5μmol/L),△:化合物1(1μmol/L)
第12〜14図は、PP2を濃度を変えて添加した場合のHIV−1増殖抑制試験の結果(RT Assay)を示すものであり、同条件で3回の試験を実施した結果である。グラフの縦軸左側は、HIV−1の量をRT活性のカウント(cpm/μL)として示したものであり、グラフの横軸下側は、HIV−1を感染させてからの経過日数(日)を示す。グラフ上の各プロットの意味は、以下の通りである。
□:positive contorol,×:negative contorol,●:PP2(50μmol/L),▲:PP2(25μmol/L),■:PP2(10μmol/L),○:PP2(5μmol/L),△:PP2(1μmol/L)
本発明は、非ペプチド性化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有するSH3ドメイン結合阻害剤に関する。また本発明は、SH3ドメイン結合阻害剤として有用な化合物に関する。
背景技術
細胞膜上には様々な受容体が存在し、細胞外刺激に応じて活性化されて細胞内にそのシグナルを伝達する。受容体の細胞質側には各種のシグナル分子が集まり、複合体を形成する。刺激の種類により、各シグナル分子は異なった生理作用を誘発する。シグナル分子の複合体の形成には、ドメイン構造が重要な役割を果たしている。その中でも、Srcホモロジードメイン3(SH3ドメイン)は、Srcファミリー間の相同性の高い領域として発見され、およそ60アミノ酸から成るドメインで様々な蛋白質中に位置し、プロリンを含む配列(プロリンリッチ配列)を認識して結合することが知られている[サイエンス(Science)、252巻、668頁(1991年)、同257巻、803頁(1992年)、ファセブ・ジャーナル(FASEB J.)、14巻、231頁(2000年)]。これらプロリンリッチ配列を有する蛋白質としてはHIV−1Nef、p22−phox、p47−phox、Sam68、Sos1、Zo1、Dynamin、c−Cbl等が知られている[例えばエムボ・ジャーナル(EMBO J.)、14巻、484頁(1995年)、プロシーディング・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス・オブ・ザ・ユー・エス・エー(Proc.Natl.Acad.Sci.USA)、91巻、10650頁(1994年)、ジャーナル・オブ・イムノロジー(J.Immunol.)、157巻、1226頁(1996年)、ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J.Biol.Chem.)、270巻、9115頁(1995年)等]。SH3ドメインを有する蛋白質は、例えばすべての真核生物、HIV等のウイルス等において見い出されており、普遍的な機能が考えられている。例えば、SrcファミリーキナーゼであるFynを始めとして、Ras−GAP、PLCγ、PI3K、Abl、Btk、Lyn、Hck、Fgr、Yes等酵素活性をもつものや、酵素活性をもたないアダプター蛋白質であるGrb2、Nck、Vav等、NADPHオキシダーゼ複合体の構成蛋白質であるp40−phox、p47−phox、p67−phox等[プロシーディング・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス・オブ・ザ・ユー・エス・エー(Proc.Natl.Acad.Sci.USA)、91巻、10650頁(1994年)]、その他Txk、Tec、Tsk、Crk、Cortactin等がSH3ドメインを有することが知られている。SH3ドメインを介した蛋白質−蛋白質結合は、適度の親和性による相互作用を通して、蛋白質複合体を形成する役割を果たしていると考えられている。
SH3ドメインを介した蛋白質−蛋白質結合は、例えば癌やAIDS(acquired immune deficiency syndrome)、アレルギー等様々な疾患において原因と考えられるシグナル分子間に存在する[バイオポリマー(Biopoly.)、43巻、383頁(1997年)]。このことから、SH3ドメインを介した蛋白質−蛋白質結合を阻害する(SH3ドメイン結合阻害活性)SH3ドメイン結合阻害剤は、これら疾患の治療薬として有効と考えられ、生体内における発癌等SH3ドメイン結合の関与する疾患原因蛋白質の調節を含む多くの用途に利用され得る。
ペプチドでは、SH3ドメイン結合配列に変異を加えたもの[セル(Cell)、76巻、933頁(1994年)、ケミカル・バイオロジー(Chem.Biol.)、7巻、R3−R8頁(2000年)]や、コンビナトリアル・ファージライブラリーからSrc、PI3K、Abl等様々なSH3ドメインを有する蛋白質のSH3ドメインに結合するペプチドをスクリーニングする方法(WO95/24419、特表2000−506522号)や、c−CrkのSH3ドメインに特異的に結合するペプチド(WO96/21011)が報告されている。ペプチドに修飾を施したペプチド性化合物では、SH3ドメイン結合を阻害するスピロラクタム化合物(WO98/54208)や、プロリン骨格を有するアミノ酸配列をその構造に含む合成ペプチドが固定化されている偏りのあるコンビナトリアル・ライブラリーより単離されたもの[ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサエティ(J.Am.Chem.Soc.)、118巻、287頁(1996年)]がある。これらに記載の化合物のうち最小の化合物は、分子量790であるが、Kd値は220μmol/Lと、そのSH3ドメインに対する結合力は弱かった[ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサエティ(J.Am.Chem.Soc.)、118巻、287頁(1996年)]。
これまで報告のあったSH3ドメイン結合阻害剤は、分子量750以上のプロリンを始めとする疎水性アミノ酸を基本とするペプチドまたはペプチド性の化合物であった。ペプチドまたはペプチド性の化合物は、例えば、一般的に血中安定性が低い、経口吸収性が悪い、分子量が大きいために細胞内への取り込みが容易でない、構造が複雑なために製造が容易でなくコストがかかる等、SH3ドメイン結合が関与する疾患の治療薬として用いるには、困難な点を多く含んでいた。
UCS15A(Luminacin C2/SI−4228A)は、ザ・ジャーナル・オブ・アンチバイオティックス(The Journal of Antibiotics)、53巻、579頁(2000年)、特開昭58−116686号、同昭63−22583号、同昭61−293920号、同昭62−294619号、同昭63−48213号、同平8−268888号に、骨吸収抑制作用、殺菌作用、免疫抑制作用、抗白癬菌作用、抗腫瘍活性を有する化合物として記載されている。
また、サイトカラシン類[サイトカラシン(cytochalasin)、ロセリカラシン(Rosellichalasin)、エポキシサイトカラシン(epoxycytochalasin)、カエトグロボシン(chaetoglobosin)、ペノカラシン(penochalasin)、アスポカラシン(aspochalasin)等]には、例えば血管新生阻害作用(WO98/41205)等の生物活性が知られている。
発明の開示
本発明の目的は、非ペプチド性化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有するSH3ドメイン結合阻害剤を提供することにある。また、本発明のもう1つの目的は、SH3ドメイン結合阻害剤として有用な化合物またはその薬理学的に許容される塩を提供することにある。
本発明は、以下の[1]〜[51]に関する。
[1]SH3ドメイン結合阻害活性を有する非ペプチド性化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有するSH3ドメイン結合阻害剤。
[2]非ペプチド性化合物が、分子量750未満の低分子化合物である上記[1]記載のSH3ドメイン結合阻害剤。
[3]SH3ドメイン結合阻害活性を有する非ペプチド性化合物が、一般式(I)
(式中、R1、R3a、R3bおよびR4は、同一または異なって、水素原子、ヒドロキシ、カルボキシ、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルコキシまたは置換もしくは非置換の低級アルカノイルオキシを表すか、またはR3aとR3bが一緒になって酸素原子を表し、R2aおよびR2bは、同一または異なって、水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキルまたは置換もしくは非置換の低級アルケニルを表し、R5aおよびR5bは、同一または異なって、水素原子、ヒドロキシ、カルボキシ、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換の低級アルカノイルオキシ、置換もしくは非置換の低級アルケノイルオキシまたは置換もしくは非置換の低級アルカノイルアミノカルボニルオキシを表すか、またはR5aとR5bが一緒になって酸素原子を表し、Xは酸素原子または−CH2−を表す)で表される化合物である上記[1]または[2]記載のSH3ドメイン結合阻害剤。
[4]SH3ドメイン結合阻害活性を有する非ペプチド性化合物が、一般式(II)
(式中、R6は水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキルまたは置換もしくは非置換の低級アルケニルを表し、R7およびR9は、同一または異なって、水素原子、ホルミル、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルカノイルまたは置換もしくは非置換のアラルキルを表し、R8、R10およびR11は、同一または異なって、水素原子、ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、置換もしくは非置換の低級アルカノイル、ホルミル、シアノ、ニトロ、アミノ、モノもしくはジ低級アルキルアミノ、置換もしくは非置換の低級アルカノイルアミノまたは置換もしくは非置換の低級アルコキシカルボニルを表す)で表される化合物である上記[1]または[2]記載のSH3ドメイン結合阻害剤。
[5]SH3ドメイン結合阻害活性を有する非ペプチド性化合物が、サイトカラシン類である上記[1]または[2]記載のSH3ドメイン結合阻害剤。
[6]SH3ドメイン結合阻害活性を有する非ペプチド性化合物が、一般式(IIIa)
(式中、R12aは置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換のヘテロアリールを表し、Q1は単結合または酸素原子を表し、−−−−は単結合または二重結合を表し、Q2と隣接する炭素原子の間の−−−−が二重結合を表すとき=Q2−は=C(CH3)−を表し、Q2と隣接する炭素原子の間の−−−−が単結合を表すとき−Q2−は−C(OH)(CH3)−を表す)で表される化合物である上記[1]または[2]記載のSH3ドメイン結合阻害剤。
[7]SH3ドメイン結合阻害活性を有する非ペプチド性化合物が、一般式(IIIb)
[式中、R12bは前記R12aと同義であり、Q3およびQ5は、同一または異なって、単結合または酸素原子を表し、−−−−は単結合または二重結合を表し、−−−−Q4 −−−−は=C(CH3)−、−C(=CH2)−、−CH(CH3)−または−C(CH3)=を表し、R12cおよびR12hは、同一または異なって、水素原子またはヒドロキシを表し、R12dおよびR12eは、同一または異なって、水素原子またはメチルを表し、R12fおよびR12gはホルミルを表すか、またはR12fとR12gが一緒になって、−−−−CR12hR12gと−CHR12eR12fの部分が、−−−−CR12h−C(OH)(CH3)−C(=O)−CHR12e−または−−−−CR12h−A−B−CHR12e−(式中、AおよびBは、同一または異なって、−CH(OH)−、−CH2−または−C(=O)−を表す)を表す]で表される化合物である上記[1]または[2]記載のSH3ドメイン結合阻害剤。
[8]Xが酸素原子であり、R2a、R3a、R4およびR5bが水素原子であり、R1およびR3bが同一または異なって、ヒドロキシ、カルボキシ、置換もしくは非置換の低級アルコキシまたは置換もしくは非置換の低級アルカノイルオキシであり、R2bが置換もしくは非置換の低級アルキルであり、R5aが一般式(IV)
[式中、R5cは置換もしくは非置換の低級アルキルを表し、R5dおよびR5eは、同一または異なって、水素原子、ヒドロキシまたは置換もしくは非置換の低級アルコキシを表すか、またはR5dとR5eが一緒になって酸素原子を表し、R5fおよびR5hは、水素原子、ホルミル、置換もしくは非置換の低級アルキルまたは置換もしくは非置換の低級アルカノイルを表し、R5gはホルミル、−CH=NQ(式中、Qは置換もしくは非置換の低級アルコキシ、置換もしくは非置換のアリールオキシ、置換もしくは非置換のアラルキルオキシ、置換もしくは非置換の低級アルキルアミノ、置換もしくは非置換のアリールアミノまたは置換もしくは非置換のアリールスルホニルアミノを表す)、置換もしくは非置換の低級アルキルまたは置換もしくは非置換の低級アルカノイルを表し、R5iおよびR5jは、同一または異なって、水素原子、ヒドロキシまたは置換もしくは非置換の低級アルコキシを表すか、またはR5iとR5jが一緒になって酸素原子を表す]である上記[3]記載のSH3ドメイン結合阻害剤。
[9]一般式(Va)
(式中、−−−−は単結合または二重結合を表し、R12a、Q1およびQ2は、それぞれ前記と同義である)で表される化合物またはその薬理学的に許容される塩。
[10]一般式(Vb)
[式中、−−−−は単結合または二重結合を表し、R12b、R12c、R12d、R12e、R12h、Q5および−−−−Q4 −−−−は、それぞれ前記と同義であり、−−−−CR12h−D−CHR12e−は−−−−CR12h−C(OH)(CH3)−C(=O)−CHR12e−または−−−−CR12h−A−B−CHR12e−(式中、AおよびBは、それぞれ前記と同義である)を表す]で表される化合物またはその薬理学的に許容される塩。
[11]一般式(VI)
[式中、R1A、R3AおよびR3Bは、同一または異なって、水素原子、ヒドロキシ、カルボキシ、置換もしくは非置換の低級アルコキシまたは置換もしくは非置換の低級アルカノイルオキシを表すか、またはR3AとR3Bが一緒になって酸素原子を表し、R2Aは置換もしくは非置換の低級アルキルを表し、R5c、R5d、R5e、R5f、R5h、R5iおよびR5jは、それぞれ前記と同義であり、R5Gはホルミル、ヒドロキシメチル、置換もしくは非置換の低級アルコキシメチル、置換もしくは非置換の低級アルカノイルオキシメチル、置換もしくは非置換の低級アルカノイルメチルまたは−CH=NQA(式中、QAは置換もしくは非置換の低級アルコキシ、置換もしくは非置換のアリールオキシまたは置換もしくは非置換のアラルキルオキシを表す)を表すが、ただしR5Gがホルミルであり、R3AまたはR3Bの一方が水素原子であるとき、R3AまたはR3Bの他方はヒドロキシとはならない]で表される化合物またはその薬理学的に許容される塩。
[12]上記[9]または[10]記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する医薬。
[13]上記[11]記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する医薬。
[14]上記[9]または[10]記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有するSH3ドメイン結合阻害剤。
[15]上記[11]記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有するSH3ドメイン結合阻害剤。
[16]SH3ドメイン結合が、SH3ドメインを有する蛋白質とプロリンリッチ配列を有する蛋白質の結合である上記[1]〜[8]、[14]および[15]のいずれかに記載のSH3ドメイン結合阻害剤。
[17]SH3ドメインを有する蛋白質および/またはプロリンリッチ配列を有する蛋白質が、ウイルスに由来する蛋白質である上記[16]記載のSH3ドメイン結合阻害剤。
[18]ウイルスに由来する蛋白質が、レトロウイルス、肝炎ウイルスまたはヘルペスウイルスに由来する蛋白質である上記[17]記載のSH3ドメイン結合阻害剤。
[19]SH3ドメインを有する蛋白質が、Src、Yes、Fgr、Hck、Lck、Abl、Fyn、Lyn、Blk、Yrk、Ras−GAP、PLCγ、PI3K、Tec、Txk/Rlk、Tsk/Emt/Itk、Btk、Crk、Grb2、Nck、Vav、STAT、Cortactin、p40−phox、p67−phox、p47−phox、TCRのシグナル分子(TCRsm)またはIL−2Rのβ鎖もしくはγ鎖である上記[16]記載のSH3ドメイン結合阻害剤。
[20]プロリンリッチ配列を有する蛋白質が、HIV−1Nef、p22−phox、p47−phox、Sam68、Sos1、Dynamin、c−Cbl、ZO1、pX ORF I、LHDAg、NS5A、pORF3、ICP10、LMP2A、TipまたはTioである上記[16]または[19]記載のSH3ドメイン結合阻害剤。
[21]SH3ドメインを有する蛋白質とプロリンリッチ配列を有する蛋白質の結合が、Grb2とSos1、FynとSam68、SrcとSam68、PLCγとSam68、Grb2とSam68、LynとHIV−1Nef、HckとHIV−1Nef、TCRsmとHIV−1Nef、p47−phoxとp22−phox、p67−phoxとp47−phox、LynとDynamin、CortactinとZO1、Lynとc−Cbl、IL−2Rのβ鎖もしくはγ鎖とpX ORF I、Grb2とNS5A、SrcとpORF3、HckとpORF3、FynとpORF3、PI3KとpORF3、PLCγとpORF3、Grb2とpORF3、Grb2とICP10、LynとLMP2A、LckとTip、LynとTio、HckとTio、LckとTio、SrcとTio、FynとTioまたはYesとTioの結合である上記[16]記載のSH3ドメイン結合阻害剤。
[22]SH3ドメインを有する蛋白質とプロリンリッチ配列を有する蛋白質の結合が、Grb2とSos1、FynとSam68、SrcとSam68、PLCγとSam68、Grb2とSam68、LynとHIV−1NefまたはCortactinとZO1の結合である上記[16]記載のSH3ドメイン結合阻害剤。
[23]上記[9]または[10]記載の化合物の製造に使用されるクロサイ ワイタケ目糸状菌類(Xylariales filamentous fungus)MPC1005(受託番号:FERM BP−7980)、アスペルギルス スペシーズ(Aspergillus sp.)MPC1006(受託番号:FERM BP−7899)およびアスペルギルス スペシーズ(Aspergillus sp.)MPC1009(受託番号:FERM BP−7900)からなる群から選ばれる微生物。
[24]上記[9]または[10]記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する抗腫瘍剤。
[25]上記[11]記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する抗腫瘍剤。
[26]上記[9]または[10]記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有するアレルギー性疾患治療剤。
[27]上記[11]記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有するアレルギー性疾患治療剤。
[28]上記[9]または[10]記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有するウイルス性疾患治療剤。
[29]上記[11]記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有するウイルス性疾患治療剤。
[30]上記[9]または[10]記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有するAIDS治療剤。
[31]上記[11]記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有するAIDS治療剤。
[32]SH3ドメイン結合阻害剤の製造のための上記[9]または[10]記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩の使用。
[33]SH3ドメイン結合阻害剤の製造のための上記[11]記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩の使用。
[34]抗腫瘍剤の製造のための上記[9]または[10]記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩の使用。
[35]抗腫瘍剤の製造のための上記[11]記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩の使用。
[36]アレルギー性疾患治療剤の製造のための上記[9]または[10]記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩の使用。
[37]アレルギー性疾患治療剤の製造のための上記[11]記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩の使用。
[38]ウイルス性疾患治療剤の製造のための上記[9]または[10]記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩の使用。
[39]ウイルス性疾患治療剤の製造のための上記[11]記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩の使用。
[40]AIDS治療剤の製造のための上記[9]または[10]記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩の使用。
[41]AIDS治療剤の製造のための上記[11]記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩の使用。
[42]上記[9]または[10]記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩の有効量を投与することを特徴とするSH3ドメイン結合が関与する各種疾患の治療および/または予防方法。
[43]上記[11]記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩の有効量を投与することを特徴とするSH3ドメイン結合が関与する各種疾患の治療および/または予防方法。
[44]上記[9]または[10]記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩の有効量を投与することを特徴とする悪性腫瘍の治療方法。
[45]上記[11]記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩の有効量を投与することを特徴とする悪性腫瘍の治療方法。
[46]上記[9]または[10]記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩の有効量を投与することを特徴とするアレルギー性疾患の治療および/または予防方法。
[47]上記[11]記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩の有効量を投与することを特徴とするアレルギー性疾患の治療および/または予防方法。
[48]上記[9]または[10]記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩の有効量を投与することを特徴とするウイルス性疾患の治療方法。
[49]上記[11]記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩の有効量を投与することを特徴とするウイルス性疾患の治療方法。
[50]上記[9]または[10]記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩の有効量を投与することを特徴とするAIDSの治療方法。
[51]上記[11]記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩の有効量を投与することを特徴とするAIDSの治療方法。
[52]SH3ドメイン結合阻害活性を有する化合物またはその薬理学的に許容される塩の有効量を投与することを特徴とするAIDSの治療方法。
[53]SH3ドメイン結合阻害活性を有する化合物またはその薬理学的に許容される塩の有効量を投与することを特徴とするウイルス性疾患の治療方法。
[54]SH3ドメイン結合阻害活性を有する化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有するAIDS治療剤。
[55]SH3ドメイン結合阻害活性を有する化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有するウイルス性疾患治療剤。
[56]AIDS治療剤の製造のためのSH3ドメイン結合阻害活性を有する化合物またはその薬理学的に許容される塩の使用。
[57]ウイルス性疾患治療剤の製造のためのSH3ドメイン結合阻害活性を有する化合物またはその薬理学的に許容される塩の使用。
以下、一般式(I)、(II)、(IIIa)、(IIIb)、(Va)、(Vb)および(VI)で表される化合物を、それぞれ化合物(I)、(II)、(IIIa)、(IIIb)、(Va)、(Vb)および(VI)という。
一般式(I)、(II)、(IIIa)、(IIIb)、(IV)、(Va)、(Vb)および(VI)の各基の定義において、
(1)低級アルキル、ならびに低級アルコキシ、低級アルコキシカルボニル、低級アルコキシメチル、低級アルキルアミノおよびモノもしくはジ低級アルキルアミノの低級アルキル部分としては、例えば直鎖もしくは分枝状の炭素数1〜8のアルキル、具体的にはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、tcrt−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル等、または例えば環状の炭素数3〜8のアルキル、具体的にはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル等があげられる。
(2)低級アルケニルとしては、例えば直鎖または分枝状の炭素数2〜8のアルケニル、具体的にはビニル、アリル、1−プロペニル、メタクリル、クロチル、1−ブテニル、3−ブテニル、2−ペンテニル、4−ペンテニル、2−ヘキセニル、5−ヘキセニル、1,5−ジメチル−4−ヘキセニル等、または二重結合を2〜4個有するアルケニル、具体的には1,3−ブタジエニル、1,3−ペンタジエニル、2,4−ペンタジエニル、1,5−ジメチル−1,4−ヘキサジエニル、1,3,5−ヘキサトリエニル等があげられる。
(3)低級アルカノイル、ならびに低級アルカノイルオキシ、低級アルカノイルオキシメチル、低級アルカノイルメチル、低級アルカノイルアミノおよび低級アルカノイルアミノカルボニルオキシの低級アルカノイル部分としては、例えば直鎖または分枝状の炭素数2〜8のアルカノイル、具体的にはアセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、イソバレリル、ピバロイル、ヘキサノイル、ヘプタノイル、オクタノイル等があげられる。
(4)アリール、ならびにアリールアミノ、アリールスルホニルアミノおよびアリールオキシのアリール部分としては、例えば炭素数6〜14のアリール、具体的にはフェニル、ナフチル、アントリル等があげられる。
(5)アラルキル、およびアラルキルオキシのアラルキル部分としては、例えば炭素数7〜15のアラルキル、具体的にはベンジル、フェネチル、ベンズヒドリル、ナフチルメチル等があげられる。
(6)ヘテロアリールとしては、例えば窒素原子、酸素原子および硫黄原子からなる群から選ばれるヘテロ原子を少なくとも1個以上含む、5員または6員の単環性芳香族複素環基、または窒素原子、酸素原子および硫黄原子からなる群から選ばれるヘテロ原子を少なくとも1個以上含む、3〜8員の環が縮合した二環もしくは三環性の縮環性芳香族複素環基等があげられ、より具体的には、例えばピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、キノリニル、イソキノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、ナフチリジニル、シンノリニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、チエニル、フリル、チアゾリル、オキサゾリル、インドリル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、プリニル等があげられる。
(7)ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素の各原子を表す。
(8)低級アルケノイルオキシの低級アルケニル部分は、前記低級アルケニル(2)と同義である。
(9)置換アリール、置換アリールオキシ、置換アリールアミノ、置換アリールスルホニルアミノ、置換アラルキルおよび置換アラルキルオキシにおける置換基としては、同一または異なって例えば置換数1〜5の、ヒドロキシ、ハロゲン、ホルミル、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、低級アルカノイル等があげられる。置換位置は特に限定されない。ここで示したハロゲン、低級アルキルおよび低級アルコキシの低級アルキル部分ならびに低級アルカノイルは、それぞれ前記ハロゲン(7)、前記低級アルキル(1)および前記低級アルカノイル(3)と同義であり、置換低級アルキルおよび置換低級アルコキシの置換基としては、置換数1〜3の例えばヒドロキシ、低級アルコキシ[該低級アルコキシの低級アルキル部分は前記低級アルキル(1)と同義である]、ハロゲン[該ハロゲンは前記ハロゲン(7)と同義である]等があげられる。
(10)置換低級アルキル、置換低級アルコキシ、置換低級アルコキシカルボニル、置換低級アルコキシメチル、置換低級アルカノイル、置換低級アルカノイルオキシ、置換低級アルカノイルオキシメチル、置換低級アルカノイルメチル、置換低級アルケノイルオキシ、置換低級アルカノイルアミノ、置換低級アルカノイルアミノカルボニルオキシ、置換低級アルキルアミノおよび置換低級アルケニルにおける置換基としては、同一または異なって例えば置換数1〜3の、ヒドロキシ、低級アルキル、低級アルコキシ、カルボキシ、オキソ、アミノ、エポキシ、置換もしくは非置換の低級アルカノイル、置換もしくは非置換の低級アルカノイルオキシ、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のアロイル等があげられる。置換位置は、特に限定されない。ここで示した低級アルカノイルおよび低級アルカノイルオキシの低級アルカノイル部分、低級アルキルおよび低級アルコキシの低級アルキル部分、ならびにアリールおよびアロイルのアリール部分は、それぞれ前記低級アルカノイル(3)、前記低級アルキル(1)、および前記アリール(4)と同義である。置換アリールおよび置換アロイルの置換基は、前記置換アリールの置換基(9)と同義であり、置換低級アルカノイルおよび置換低級アルカノイルオキシの置換基としては、置換数1〜3の例えばヒドロキシ、低級アルコキシ[該低級アルコキシの低級アルキル部分は前記低級アルキル(1)と同義である]、ハロゲン[該ハロゲンは前記ハロゲン(7)と同義である]等があげられる。
(11)サイトカラシン類としては、例えばサイトカラシン(cytochalasin)、ロセリカラシン(Rosellichalasin)、エポキシサイトカラシン(epoxycytochalasin)、カエトグロボシン(chaetoglobosin)、ペノカラシン(penochalasin)、アスポカラシン(aspochalasin)等があげられる。
(12)SH3ドメイン結合阻害とは、SH3ドメインを介した蛋白質−蛋白質結合の阻害のことである。
(13)SH3ドメイン結合は、例えばSH3ドメインを有する蛋白質とプロリンリッチ配列を有する蛋白質等との結合であればいずれでもよいが、例えばSH3ドメインを有する蛋白質および/またはプロリンリッチ配列を有する蛋白質が、ウイルスに由来する蛋白質である結合等があげられる。
ウイルスに由来する蛋白質としては、例えばヒト免疫不全ウイルス−1(HIV−1)、ヒトTリンパ球ウイルス−1(HTLV−1)等のレトロウイルスに由来する蛋白質、デルタ型肝炎ウイルス(HDV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、E型肝炎ウイルス(NEV)等の肝炎ウイルスに由来する蛋白質、単純ヘルペスウイルス−2(HSV−2)、EBウイルス(EBV)、サイミリヘルペスウイルス(H.saimiri)、アテレルヘルペスウイルス(H.ateles)等のヘルペスウイルスに由来する蛋白質等があげられる。
SH3ドメインを有する蛋白質としては、例えば非受容体型チロシンキナーゼのSrcファミリー蛋白質であるSrc、Yes、Fgr、Hck、Lck、Abl、Fyn(fgr/yes−related novel gene)、Lyn(lgr/yes−related novel gene)、Blk(B−cell lymphocyte kinase)、Yrk(Yes−related kinase)等、酵素活性を有するRas−GAP(ras−GTPasc−activating protein)、PLCγ(phospholipase C−gamma)、PI3K(phosphatidylinositol 3−kinase)等、非受容体型チロシンキナーゼのTecファミリー蛋白質であるTec、Txk/Rlk、Tsk/Emt/Itk、Btk(Bruton’s tyrosine kinase)等、アダプター蛋白質であるCrk(CT−10bregulated)、Grb2(growth factor receptor−bound protein 2)、Nck、Vav等、転写因子であるSTAT(signal transducers and activators of transcription)等、アクチン骨格形成に関わるCortactin等、NADPHオキシターゼ複合体の構成蛋白質であるp40−phox、p67−phox、p47−phox等、T細胞受容体のシグナル分子であるTCRsm[カレント・バイオロジー(Curr.Biol.)、11巻、1294頁(2001年)]等、IL−2R(interleukin−2 receptor)のβ鎖もしくはγ鎖[ジャーナル・オブ・バイロロジー(J.Virol.)、74巻、9828頁(2000年)]等があげられる。
プロリンリッチ配列を有する蛋白質としては、例えばウイルスの感染および/または増殖や、HIV−1の複製等に関わるNefであるHIV−1Nef等、NADPHオキシターゼ複合体の構成蛋白質であるp22−phox、p47−phox等、細胞周期に関わるSam68(src−associated mitotic substrate 68)等、アダプター蛋白質であるSos1(son of sevenless)、Dynamin、c−Cbl(casitas B−lineage lymphoma)等、細胞骨格に関わるZO1等、ウイルス感染の持続等に関わるHTLV−1のpX ORF I(open reading frame I of the pX regione)[ジャーナル・オブ・バイロロジー(J.Virol.)、74巻、9828頁(2000年)]等、ウイルスのRNA合成に関わるLHDAg(large hepatitis delta antigen)[ジャーナル・オブ・バイロロジー(J.Virol.)、72巻、2089頁(1998年)]、NS5A[プロシーディング・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス・オブ・ザ・ユー・エス・エー(Proc.Natl.Acad.Sci.USA)、961巻、5533頁(1999年)]、pORF3[ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J.Biol.Chem.)、276巻、42389頁(2002年)]、ICP10[ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J.Biol.Chem.)、271巻、17021頁(1996年)]等、ウイルスの宿主細胞での潜伏および/または透過に関わるLMP2A[エクスプレッション・オブ・セル・リサーチ(Exp.Cell Res.)、257巻、332頁(2000年)、ジャーナル・オブ・バイロロジー(J.Virol.)、69巻、7814頁(1995年)]、Tip[ジャーナル・オブ・バイロロジー(J.Virol.)、72巻、2607頁(1998年)]、Tio[ジャーナル・オブ・バイロロジー(J.Virol.)、73巻、4631頁(1999年)]等があげられる。
SH3ドメインを有する蛋白質とプロリンリッチ配列を有する蛋白質の結合としては、例えばFynとSam68[ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J.Biol.Chem.)、272巻、6214頁(1997年)]、SrcとSam68[モレキュラー・セル・バイオロジー(Mol.Cell Biol.)、15巻、186頁(1995年)]、Grb2とSos1[ネイチャー(Nature)、363巻、83頁(1993年)]、PLCγとSam68[オンコジーン(Oncogene)、18巻、4647頁(1999年)]、Grb2とSam68[モレキュラー・アンド・セルラー・バイオロジー(Mol.Cell.Biol)、15巻、186頁(1995年)]、LynとHIV−1NefもしくはHckとHIV−1Nef[エンボ・ジャーナル(EMBO.J.)、14巻、484頁(1995年)、バイロロジー(Virology)、262巻、55頁(1999年)]、TCRsmとHIV−1Nef[カレント・バイオロジー(Curr.Biol.)、11巻、1294頁(2001年)]、p47−phoxとp22−phox[プロシーディング・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス・オブ・ザ・ユー・エス・エー(Proc.Natl.Acad.Sci.USA)、91巻、10650頁(1994年)]、p67−phoxとp47−phox[プロシーディング・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス・オブ・ザ・ユー・エス・エー(Proc.Natl.Acad.Sci.USA)、91巻、10650頁(1994年)]、LynとDynamin[ジャーナル・オブ・イムノロジー(J.Immunol.)、157巻、1226頁(1996年)]、Lynとc−Cbl[ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J.Biol.Chem.)、270巻、9115頁(1995年)]、CortactinとZo1[ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J.Biol.Chem.)、273巻、29672頁(1998年)]、IL−2Rのβ鎖もしくはγ鎖とpX ORF I[ジャーナル・オブ・バイロロジー(J.Virol.)、74巻、9828頁(2000年)]、Grb2とNS5A[プロシーディング・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス・オブ・ザ・ユー・エス・エー(Proc.Natl.Acad.Sci.USA)、961巻、5533頁(1999年)]、
Grb2とpORF3[ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J.Biol.Chem.)、276巻、42389頁(2002年)]、Grb2とICP10[ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J.Biol.Chem.)、271巻、17021頁(1996年)]、LynとLMP2A[エクスプレッション・オブ・セル・リサーチ(Exp.Cell Res.)、257巻、332頁(2000年)、ジャーナル・オブ・バイロロジー(J.Virol.)、69巻、7814頁(1995年)]、LckとTip[ジャーナル・オブ・バイロロジー(J.Virol.)、72巻、2607頁(1998年)]、LynとTio、HckとTio、LckとTio、SrcとTio、FynとTioもしくはYesとTio[ジャーナル・オブ・バイロロジー(J.Virol.)、73巻、4631頁(1999年)]等があげられる。
非ペプチド性化合物の薬理学的に許容される塩は、例えば薬理学的に許容される酸付加塩、金属塩、アンモニウム塩、有機アミン付加塩、アミノ酸付加塩等を包含する。
非ペプチド性化合物の薬理学的に許容される酸付加塩としては、例えば塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩等の無機酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩等の有機酸塩等があげられ、薬理学的に許容される金属塩としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、マグネシウム塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩、亜鉛塩等があげられ、薬理学的に許容されるアンモニウム塩としては、アンモニウム、テトラメチルアンモニウム等の塩があげられ、薬理学的に許容される有機アミン付加塩としては、モルホリン、ピペリジン等の付加塩があげられ、薬理学的に許容されるアミノ酸付加塩としては、グリシン、フェニルアラニン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸等の付加塩があげられる。
次に、本発明で使用される非ペプチド性化合物の製造法について説明する。
なお、以下に示した製造法において、定義した基が反応条件下変化するか、または方法を実施するのに不適切な場合、有機合成化学で常用される方法、例えば官能基の保護、脱保護等[例えば、プロテクティブ・グループス・イン・オーガニック・シンセシス第三版(Protective Groups in Organic Synthesis third edition)、グリーン(T.W.Greene)著、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ・インコーポレイテッド(John Wiley & Sons Inc.)(1999年)]の手段に付すことにより容易に製造を実施することができる。また、必要に応じて置換基導入等の反応工程の順序を変えることもできる。
本発明で使用される非ペプチド性化合物は、例えば以下に示す一連の反応により製造することができる。
製造法1:
本発明で使用される非ペプチド性化合物のうち、化合物(VI)は、次の一連の反応工程により製造することができる。
工程1:
化合物(VI)のうち、R5Gがヒドロキシメチルである化合物(VIa)は、化合物(VII)から、次の反応工程により製造することができる。
(式中、R1A、R2A、R3A、R3B、R5c、R5d、R5e、R5f、R5h、R5iおよびR5jは、それぞれ前記と同義である)
化合物(VIa)は、化合物(VII)を還元剤で、不活性溶媒中で処理することにより、得ることができる。
還元剤としては、例えば水素化ホウ素ナトリウム、水素化リチウムアルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウム、ナトリウム水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウム等があげられ、該還元剤は化合物(VII)に対して1〜10当量用いられる。
不活性溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、クロロホルム、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン(THF)、ジエチルエーテル、トルエン、ジメチルホルムアミド(DMF)等があげられる。
反応は、0℃から用いる溶媒の沸点の間の温度で行われ、通常1分間〜24時間で終了する。
工程2:
化合物(VI)のうち、R5Gが置換もしくは非置換の低級アルコキシメチルまたは置換もしくは非置換の低級アルカノイルオキシメチルである化合物(VIb)は、工程1で得られる化合物(VIa)から、次の反応工程により製造することができる。
{式中、R1A、R2A、R3A、R3B、R5c、R5d、R5e、R5f、R5h、R5iおよびR5jは、それぞれ前記と同義であり、Rは置換もしくは非置換の低級アルキル[該低級アルキルは前記低級アルキル(1)と同義であり、置換低級アルキルの置換基は前記置換低級アルキルの置換基(10)と同義である]または置換もしくは非置換の低級アルカノイル[該低級アルカノイルは前記低級アルカノイル(3)と同義であり、置換低級アルカノイルの置換基は前記置換低級アルカノイルの置換基(10)と同義である]を表す}
化合物(VIb)は、工程1で得られる化合物(VIa)と1〜20当量のR−Z(式中、Rは前記と同義であり、Zは塩素、臭素、またはヨウ素の各原子を表す)を、塩基存在下、不活性溶媒中で反応させることにより得ることができる。また、Rが置換もしくは非置換の低級アルカノイルの場合には、R2O(式中、Rは前記と同義である)であるカルボン酸無水物をR−Zのかわりに用いることもできる。
塩基としては、例えばピリジン、トリエチルアミン、炭酸カリウム、炭酸セシウム、水素化ナトリウム等があげられ、該塩基は化合物(VIa)に対して1〜50当量、または溶媒としても用いられる。
不活性溶媒としては、例えばクロロホルム、ジクロロメタン、アセトン、ジエチルエーテル、アセトニトリル、THF、DMF等があげられる。
反応は、0℃から用いる溶媒の沸点の間の温度で行われ、通常5分間〜24時間で終了する。
工程3:
化合物(VI)のうち、R5Gが−CH=NQA(式中、QAは前記と同義である)である化合物(VIc)は、化合物(VII)から、次の反応工程により製造することができる。
(式中、R1A、R2A、R3A、R3B、R5c、R5d、R5e、R5f、R5h、R5i、R5jおよびQAは、それぞれ前記と同義である)
化合物(VIc)は、化合物(VII)と1〜10当量のQANH2(式中、QAは前記と同義である)を、必要に応じて塩基存在下、不活性溶媒中で反応させることにより得ることができる。
塩基としては、例えばピリジン、トリエチルアミン等があげられ、該塩基は化合物(VII)に対して1〜20当量用いられる。
不活性溶媒としては、例えばクロロホルム、ジクロロメタン、アセトン、ジエチルエーテル、アセトニトリル、THF、DMF等があげられる。
反応は、0℃から用いる溶媒の沸点の間の温度で行われ、通常5分間〜24時間で終了する。
なお、本製造法1における原料化合物(VII)は、例えばザ・ジャーナル・オブ・アンチバイオティックス(The Journal of Antibiotics)、53巻、579頁(2000年)または特開昭58−116686号に記載の方法、またはそれらに準じて得ることができる。
製造法2:
化合物(II)は、例えば化合物(VIII)から以下の方法により製造することができる。
(式中、R6、R8、R10およびR11は、それぞれ前記と同義であり、R7aおよびR9aはそれぞれ前記R7およびR9と同義であるが、同時に水素原子となることはない)
工程1:
化合物(IIa)は、化合物(VIII)と1〜10当量のR6CO2H(式中、R6は前記と同義である)またはその誘導体を、酸の存在下、不活性溶媒中で反応させることにより得ることができる。
酸としては、例えばぎ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸等の有機酸、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸、四塩化チタン、三フッ化ホウ素エーテル錯体等のルイス酸等があげられ、中でも三フッ化ホウ素エーテル錯体がより好ましく用いられる。酸は、化合物(VIII)に対して1〜100当量、または溶媒としても用いられる。
不活性溶媒としては、例えばクロロホルム、ジクロロメタン、THF、DMF等があげられる。
反応は、−30℃から用いる溶媒の沸点の間の温度で行われ、通常1分間〜24時間で終了する。
なお、原料化合物(VIII)は、市販品として、またはジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサエティ(J.Am.Chem.Soc.)、122巻、3071頁(2000年)に記載の方法もしくはそれに準じて得ることができる。
工程2:
化合物(IIb)は、製造法2の工程1で得られる化合物(IIa)を1〜20当量のR9aZ(R9aおよびZはそれぞれ前記と同義である)と、塩基存在下、不活性溶媒中で反応させることにより得ることができる。
塩基としては、例えばピリジン、トリエチルアミン、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸カルシウム、水素化ナトリウム等があげられ、該塩基は化合物(IIa)に対して1〜5当量用いられる。
不活性溶媒としては、例えばクロロホルム、ジクロロメタン、アセトン、ジエチルエーテル、アセトニトリル、THF、DMF等があげられる。
反応は、0℃から用いる溶媒の沸点の間の温度で行われ、通常5分間〜24時間で終了する。
製造法3:
化合物(IIIa)および化合物(IIIb)は、例えば特開平10−114776号、WO98/41205、ヘルベチカ・ヒミカ・アクタ(Helv.Chem.Acta)、62巻、1501頁(1979年)等に記載の方法、またはそれらに準じて得ることができる。
製造法4:
化合物(I)は、例えば前記製造法1に記載の方法、ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサエティ(J.Am.Chem.Soc.)、107巻、256頁(1985年)、同94巻、2549頁(1972年)等に記載の方法、ザ・ジャーナル・オブ・アンチバイオティックス(The Journal of Antibiotics)、53巻、579頁(2000年)、特開昭58−116686号等に記載の方法、またはそれらに準じて得ることができる。
本発明で使用される非ペプチド性化合物のうち、化合物(Va)および化合物(Vb)(サイトカラシン誘導体)は、次の培養法により製造することができる。
製造法5:
サイトカラシン誘導体は、サイトカラシン誘導体生産能を有する微生物を培地に培養し、培養物中にサイトカラシン誘導体を生成蓄積させ、該培養物からサイトカラシン誘導体を採取することによって製造される。
サイトカラシン誘導体生産能を有する微生物としては、サイトカラシン誘導体生産能を有する菌株であればいずれの菌株でも用いることができる。またこれらの菌株を人工的変異方法、例えば紫外線照射、X線照射、変異誘起剤処理等によって変異させた変異株または自然的に変異した変異株でも、サイトカラシン誘導体生産能を有するものであれば本発明に用いることができる。
具体的には、アスペルギルス スペシーズ(Aspergillus sp.)MPC1006、アスペルギルス スペシーズ(Aspergillus sp.)MPC1009、クロサイワイタケ目糸状菌類(Xylariales filamentous fungus)MPC1005等があげられる。
本発明のサイトカラシン誘導体生産能を有する微生物の培養に際しては、通常の糸状菌の培養法が適用される。培地としては、微生物の資化し得る炭素源、窒素源、無機物等を程よく含有する培地であれば合成培地、天然培地いずれでも使用できる。
炭素源としては、グルコース、澱粉、デキストリン、マンノース、フルクトース、シュクロース、ラクトース、キシロース、アラビノース、マンニトール、糖蜜等が単独でまたは組合せて用いられる。さらに、菌の資化能によっては炭化水素、アルコール類、有機酸等も用いられる。
窒素源としては、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸ナトリウム、尿素、ペプトン、肉エキス、酵母エキス、乾燥酵母、コーン・スチープ・リカー、大豆粉、カザミノ酸等が単独でまたは組合せて用いられる。
そのほか、必要に応じて塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、リン酸二水素カリウム、リン酸マグネシウム・8水塩、硫酸第一鉄、塩化カルシウム、硫酸マンガン、硫酸亜鉛、硫酸銅等の無機塩類を加えることもできる。さらに、使用菌の生育やサイトカラシン誘導体の生産を促進する微量成分を適当に添加することができる。
培養法としては、液体培養法、特に深部攪拌培養法が適している。培養は、16〜37℃、好ましくは25〜32℃の温度で、pH4〜10、好ましくはpH6〜8で行われ、培地のpH調整にはアンモニア水や炭酸アンモニウム溶液等が用いられる。培養は通常1〜10日で終了するが、サイトカラシン誘導体が培養液中および菌体中に生成蓄積され、培養物中の生成量が最大に達したときに培養を停止することが好ましい。
培養物中に蓄積したサイトカラシン誘導体の培養物からの単離精製は、通常の微生物代謝産物を培養物から単離精製するために常用される方法に従って行われる。例えば、培養物を濾過により培養濾液と菌体とに分け、菌体からクロロホルム、アセトン、メタノール等の溶剤で菌体成分を抽出する。ついで、抽出液と培養濾液とを併せて、ポリスチレン系吸着剤、例えばダイヤイオンHP−20(三菱化学社製)等に通塔して活性成分を吸着させ、ついでメタノール、アセトン等で溶出する。溶出液を濃縮し、オクタデシル基結合型シリカゲル(ODS)によるカラムクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、シリカゲル等によるカラムクロマトグラフィー等により、サイトカラシン誘導体を得る。なお、培養、単離精製操作中のサイトカラシン誘導体の検出は、薄層クロマトグラフィー、ついでヨード試薬を用いることにより行うことができる。
本発明者らは、サイトカラシン誘導体生産能を有する菌株として、土壌より新たに分離したアスペルギルス スペシーズ(Aspergillus sp.)に属するMPC1006、MPC1009が、SH3結合阻害作用を有するサイトカラシン誘導体を生産することを見い出した。
本発明化合物を生産する代表菌株MPC1006は、土壌より分離したものであり、その菌学的性質は次の通りである。
1.肉眼的観察
麦芽エキス寒天培地を用いて25℃で培養したとき、集落の直径は、培養7日目で38〜39mm、培養11日目で65〜68mmに達する。培養11日目の集落の表面中央部は、極めて薄い赤みをおびた黄色を呈し、その外側は極めて薄い黄色を呈する。また、集落の裏面は、中央部が薄い赤黄色、外側は極めて薄い黄色を呈する。
バレイショ・ブドウ糖寒天培地を用いて、25℃で培養したとき、集落の直径は、培養7日目で38〜40mm、培養11日目で46〜48mmに達する。培養11日目の集落の表面中央部は、明るい灰黄色を呈し、その外側は極めて薄い黄色を呈する。また、所々白色を呈する。集落の裏面中央部は、くすんだ黄色を呈し、その外側は薄い黄色を呈する。
本菌の生育温度範囲は11.5〜34℃で、28.5℃付近で最も良好に生育する。生育pH範囲は3.5〜11.5で、pH7.5前後で最も良好に生育する。
2.光学顕微鏡観察
麦芽エキス寒天培地を用いて、25℃で7日間培養したときの本菌の光学顕微鏡による観察結果は以下の通りである。
菌糸は、隔壁を有し、幅1.0〜3.0μm、平滑、無色で、よく分岐する。分生子柄は、隔壁を持たず、幅3.5〜5.0μm、長さ420〜700μm、平滑、無色で、分岐しない。分生子柄の先端は丸く膨らみ、頂のうを形成する。その直径は、12.5〜25.0μmであり、全面にメトレが形成され、メトレの長さは5.5〜8.0μmである。メトレの先に細いトックリ形のフィアライド(分生子形成細胞)が複生し、その長さは、3.5〜6.0μmである。その先にフィアライドから分生子が内生出芽型、フィアロ型に形成され連鎖する。このフィアロ型分生子は、単細胞、薄黄緑、球形〜亜球形を呈し、その表面は平滑で、直径1.5〜3.0μmである。本菌株では、上述したアナモルフのみ観察され、テレオモルフは観察されない。
また、本発明化合物を生産するもう1つの代表菌株MPC−1009も、土壌より分離したものであり、その菌学的性質は次の通りである。
1.肉眼的観察
麦芽エキス寒天培地を用いて、25℃で培養したとき、集落の直径は、培養4日目で18〜25mm、培養11日目で37〜48mmに達する。培養11日目の集落の表面中央部は、極めて薄い黄色を呈し、その外側は黄みの白色を呈する。また、集落の裏面は、明るい灰黄色を呈する。
バレイショ・ブドウ糖寒天培地を用いて、25℃で培養したとき、集落の直径は、培養4日目で17〜18mm、培養11日目で27〜31mmに達する。培養11日目の集落の表面中央部は、明るい灰黄色を呈し、その外側は黄みの白色を呈する。集落の裏面中央部は、明るい灰黄色を呈し、その外側は極めて薄い黄色を呈する。
本菌の生育温度範囲は13.0〜34.5℃で、27.5℃付近で最も良好に生育する。生育pH範囲は3.5〜11.2で、pH7.3前後で最も良好に生育する。
2.光学顕微鏡観察
麦芽エキス寒天培地を用いて、25℃で2週間培養したときの本菌の光学顕微鏡による観察結果は以下の通りである。
菌糸は、隔壁を有し、幅1.5〜2.5μm、平滑、無色で、よく分岐する。分生子柄は、隔壁を持たず、幅3.0〜5.0μm、長さ300〜350μm、平滑、無色で、分岐しない。分生子柄の先端は丸く膨らみ、頂のうを形成する。その直径は、15.0〜17.5μmでありその全面に細いトックリ形のフィアライド(分生子形成細胞)が複生する。フィアライドの長さは、10.0〜11.5μmである。メトレは形成されず、分生子は、フィアライドから内生出芽型、フィアロ型に形成され連鎖する。このフィアロ型分生子は、単細胞、薄緑、球形〜亜球形を呈し、その表面は平滑で、直径2.0〜3.0μmである。本菌株では、上述したアナモルフのみ観察され、テレオモルフは観察されない。
以上の菌学的性質から、本菌の分類学的位置をザ・ジェネラ・オブ・ファンジャイ・スポルレイティング・イン・ピュア・カルチャー、第2版(The Genera of Fungi Sporulating in Pure Culture,2nd ed.,Cramer,Vanduz,J.A.von Arx,1974年)に従って検索した結果、本菌はいずれも糸状不完全菌アスペルギルス スペシーズ(Aspergillus sp.)に属することが明らかとなった。本発明者らは、これらの菌株をそれぞれ「アスペルギルス スペシーズMPC1006(Aspergillus sp.MPC1006)」および「アスペルギルス スペシーズMPC1009(Aspergillus sp.MPC1009)」と命名し、それぞれ受託番号FERM BP−7899号(原寄託日:平成14年2月18日)およびFERM BP−7900号(原寄託日:平成14年2月18日)として、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6)に寄託した。
また、本発明化合物を生産するもう1つの代表菌株MPC1005も土壌より分離したものであり、その菌学的性質は次の通りである。
1.肉眼的観察
麦芽エキス寒天培地を用いて、25℃で培養したとき、集落の直径は、培養7日目で36〜39mm、培養11日目で73〜76mmに達する。培養11日目の集落の表面中央部は、白色を呈し、その外側は黄みの白色を呈する。また、集落の裏面中央部は、うすい黄色、その外側は極薄い黄色を呈する。
バレイショ・ブドウ糖寒天培地を用いて、25℃で培養したとき、集落の直径は、培養7日目で50〜55mm、培養11日目で75〜78mmに達する。培養11日目の集落の表面中央部は、黄みの白色を呈し、その外側は白色を呈する。集落の裏面中央部は、くすんだ赤みの黄色、その外側は極薄い黄色を呈する。
本菌の生育温度範囲は13.3〜38.6℃で、33.0℃付近で最も良好に生育する。生育pH範囲は3.7〜9.4で、pH7.2前後で最も良好に生育する。
2.光学顕微鏡観察
麦芽エキス寒天培地を用いて、25℃で4日間培養したときの本菌の光学顕微鏡による観察結果は以下の通りである。
菌糸は、隔壁を有し、幅0.5〜3.0μm、平滑、無色で、時に有色を呈し、よく分岐する。
上記1.記載の両寒天培地を用いて、25℃で2ヶ月以上培養したが、その培養世代において、アナモルフもテレオモルフも観察されなかった。
3.その他の性質
本菌の18SリボソーマルDNA(18S rDNA)の部分塩基配列(1228bp)は配列番号1で表される塩基配列を有していた。
上記塩基配列と、既知の菌類の18SrRNA、もしくは18SrDNA配列を用いて、近隣結合法により分子系統解析[プログラム名:CLUSTAIW、日本微生物生態学会報、10巻、119頁(1995年)]を行った結果、本菌は菌類界子嚢菌門核菌類(Pyrenomycetes)に属し、核菌類の中においてはクロサイワイタケ目(Xylariales)近縁であった。
以上の結果より、本発明者らは本菌を「クロサイワイタケ目糸状菌類MPC1005(Xylariales filamentous fungus MPC1005)」と命名し、受託番号FERM BP−7980号(原寄託日:平成14年3月26日)として、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6)に寄託した。
さらに、化合物(I)、(II)、(IIIa)、(IIIb)、(Va)、(Vb)、(VI)および原料化合物における各官能基の変換および置換基に含まれる官能基の変換は、上記工程以外にも有機合成化学で一般に用いられる酸化、還元、加水分解、公知の他の方法[例えば、コンプリヘンシブ・オーガニック・トランスフォーメーションズ第二版(Comprehensive Organic Transformations,second edition)、ラロック(R.C.Larock)著、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ・インコーポレイテッド(John Wiley & Sons Inc.)(1999年)に記載の方法等]等によっても行うことができる。また、必要に応じて反応工程の順序を変えることもできる。
上記各製造法における中間体および目的化合物は、有機合成化学で常用される分離精製法、例えば、濾過、抽出、洗浄、乾燥、濃縮、再結晶、各種クロマトグラフィー等に付して単離精製することができる。また、中間体においては特に精製することなく次の反応に供することも可能である。
化合物(I)、(II)、(IIIa)、(IIIb)、(Va)、(Vb)または(VI)の中には、幾何異性体、光学異性体等の立体異性体が存在し得るものもあるが、これらを含め、全ての可能な異性体およびそれらの混合物もこれらの化合物に包含される。
本発明で使用される非ペプチド性化合物、化合物(I)、(II)、(IIIa)、(IIIb)、(Va)、(Vb)または(VI)の塩を取得したいとき、本発明で使用される非ペプチド性化合物、化合物(I)、(II)、(IIIa)、(IIIb)、(Va)、(Vb)または(VI)が塩の形で得られるときはそのまま精製すればよく、また遊離の形で得られるときは、本発明で使用される非ペプチド性化合物、化合物(I)、(II)、(IIIa)、(IIIb)、(Va)、(Vb)または(VI)を適当な溶媒に溶解または懸濁し、酸または塩基を加えて単離、精製すればよい。
また、本発明で使用される非ペプチド性化合物、化合物(I)、(II)、(IIIa)、(IIIb)、(Va)、(Vb)または(VI)ならびにその薬理学的に許容される塩は、水または各種溶媒との付加物の形で存在することもあるが、これらの付加物も上記化合物またはその薬理学的に許容される塩に包含される。
本発明によって得られる化合物の具体例を、化合物(Va)、(Vb)または(VI)として第1〜3表に示す。
本発明では上記第1〜3表にあげた化合物も使用されるが、それらの他に本発明で使用される化合物の具体例を、化合物(I)、(II)、(IIIa)または(IIIb)として第4〜7表に示す。
次に、代表的な化合物(I)、(II)、(IIIa)、(IIIb)、(Va)、(Vb)または(VI)の薬理作用について試験例により具体的に説明する。
試験例1:SH3ドメイン結合阻害試験1
(1)プロリンリッチ配列を含む蛋白質と化合物の反応
プロリンリッチ配列を有する蛋白質Sam68にある5箇所のプロリンリッチ配列のうちC末端側の2箇所のプロリンリッチ配列を含むヒト組み換えSam68(以下Sam68ΔCと記す)[Sam68(331−433);サンタクルズ(Santa Crutz)社製]0.25μgを、0.1%BSA(bovine serum albumin)[牛血製アルブミン(F−V);ナカライテスク社製]を含む低張緩衝液であるRSB(10mmol/Lトリス−塩酸,pH7.6,10mmol/L NaCl、1.5mmol/L MgCl2)1mLに加え、Sam68ΔC溶液を調製した。化合物をジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解し、10mmol/Lの濃度のDMSO溶液を調製した。該DMSO溶液を上記Sam68ΔC溶液にそれぞれ終濃度が20および100μmol/Lになるように添加した。なお、添加するDMSOの量はどれも同じになるようにした。化合物を添加したSam68ΔC溶液を、回転培養機でゆるやかに回転させながら37℃で6時間保温して、化合物をSam68ΔCに反応させた。
(2)SH3ドメインを含む蛋白質と化合物添加後のプロリンリッチ配列を含む蛋白質との反応
上記(1)で化合物を反応させたSam68ΔC溶液に、SH3ドメインを有する蛋白質Fynのマウス組み換えSH3ドメインをアガロースビーズに結合させたFyn−SH3蛋白質−アガロースビーズ(以下Fyn−SH3ビーズと記す)[Fyn(85−139)AC;サンタクルズ(Santa Crutz)社製]5μLを加えた。化合物反応後のSam68ΔCと、SH3ドメインを含むFyn−SH3ビーズの蛋白質−蛋白質結合反応は、回転培養機でゆるやかに回転させながら4℃で16時間保温して行った。反応後のSam68ΔCとFyn−SH3ビーズの複合体を4℃、50ppmで3分間回転遠心機により沈澱させたのちに、界面活性剤を含むTritonX/Np40抽出緩衝液[50mmol/Lトリス−塩酸pH7.4、150mmol/L NaCl、1mmol/Lエチレンジアミン四酢酸塩(EDTA)、1% トリトンX−100(TritonX−100)、0.5% ノニデットP−40(NP−40)]1mLを加えて4℃で10分間回転培養機でゆるやかに回転後、同様に沈澱させ洗浄することを2回行った。洗浄後のSam68ΔCとFyn−SH3ビーズの複合体に30μLのレムリのサンプルバッファー[タンパク質の化学I−分離精製、東京化学同人、211頁(1976年)参照]を添加し、よく混合させた後、100℃で10分間加熱した。回転遠心機により25℃で1000ppmで5分間ビーズを沈澱後、上清を10%ポリアクリドアミドゲル電気泳動に供した。
(3)ウエスタンブロットによるFyn−SH3に結合したSam68ΔCの検出
以下のようにしてウエスタンブロットにより上清中のSam68ΔCを検出した。まず、上記(2)の電気泳動後のゲルを孔径0.45μmのニトロセルロース膜[プロトラン(Protran);シュライシャー・アンド・シュエル(Schleicher and Schuell)社製]にブロットした。膜に0.25%ゼラチンと0.2%Tween−20を含むリン酸緩衝液(PBS)(以下、PBS−TGとよぶ)をのせて4℃で一晩置いて非特異的結合をブロックした後、PBS−TGで1:1000に希釈したホース・ラディッシュ・パーオキシダーゼ(HRP)結合マウス抗GST抗体[GST(B−14)HRP;サンタ・クルズ(Santa Crutz)社製]を2時間反応させた。0.2%Tween−20を含むPBS(以下PBS−Tとよぶ)で洗浄した後、検出はECL試薬(アマシャム・ファルマシア・バイオテク社製)を用いた化学発光により行った。
その結果、第1〜3図に示すように、例えば化合物(I)、(II)、(IIIa)または(VI)により、濃度依存的に上清中のFyn−SH3ビーズに結合したSam68ΔCの量が減少していることが確認された。
試験例2:SH3ドメイン結合阻害試験2
(1)細胞抽出液の調製
ヒト大腸癌由来細胞株HCT116(ATCC番号CCL−247)を、10%ウシ胎児血清を含むマコイ変法培地[McCoy’s 5A modified medium;ギブコ(GIBCO)社製]を用いて、37℃、5%CO2条件下のCO2インキュベーターで細胞培養用100mm径ディッシュで培養した。ついで2日目のHCT116細胞ディッシュ2枚分に対し、化合物1をそれぞれ終濃度が0.5、1、2、2.5、5、10、20、および30μmol/Lになるように添加した。なお、添加する化合物1はあらかじめDMSOで希釈し、添加するDMSOの量はどれも同じになるようにした。化合物1を添加したHCT116細胞ディッシュを、37℃、5%CO2条件下のCO2インキュベーターで2時間保温して、化合物を作用させた。
化合物1を反応させたHCT116細胞ディッシュ2枚分を培地ごと回収し、界面活性剤を含むTritonX/Np40抽出緩衝液1mLを加え、よく混合させた後、回転培養機でゆるやかに回転させながら4℃で45分間攪拌して、細胞質内蛋白質を抽出した。この細胞抽出液を4℃、15,000rpmで30分間遠心し、上清を回収した。
(2)SH3ドメイン結合蛋白質複合体の抗体による免疫沈降
上記(1)で得られた化合物添加後の細胞抽出液に、それぞれ抗Src抗体[サンタクルズ(Santa Crutz)社製]3μg、抗PLCγ抗体[サンタクルズ(Santa Crutz)社製]3μg、抗Grb2抗体[サンタクルズ(Santa Crutz)社製]3μg、または抗Cortactin抗体[サンタクルズ(Santa Crutz)社製]3μgを加え、回転培養機でゆるやかに回転させながら4℃で16時間反応させた。抗体反応後の各SH3ドメイン結合蛋白質複合体にプロテインA/G結合アガロースビーズ30μLを加え、回転培養機でゆるやかに回転させながら4℃で1時間反応させた。反応後のSH3ドメイン結合蛋白質複合体を4℃、50ppmで3分間回転遠心機により沈澱させた後、界面活性剤を含むTritonX/Np40抽出緩衝液1mLを加えて4℃で10分間回転培養機でゆるやかに回転後、同様に沈澱させ洗浄することを3回行った。洗浄後のSH3ドメイン結合蛋白質ビーズ複合体それぞれに30μLのレムリのサンプルバッファー[タンパク質の化学I−分離精製、東京化学同人、211頁(1976年)参照]を添加し、よく混合させた後、100℃で10分間加熱した。回転遠心機により25℃、1000ppmで5分間ビーズを沈澱させた後、上清をそれぞれ7.5%ポリアクリドアミドゲル電気泳動に供した。
(3)ウエスタンブロットによるSH3ドメインを含む蛋白質に結合したプロリンリッチ配列を含む蛋白質の検出
以下のようにしてウエスタンブロットにより、上記上清中の各SH3ドメイン結合蛋白質複合体におけるプロリンリッチ配列を含む蛋白質を検出した。まず、上記(2)の電気泳動後のゲル中の蛋白質を0.45μmのニトロセルロース膜[プロトラン(Protran);シュライシャー・アンド・シュエル(Schleicher and Schuell)社製]にブロット後、膜にPBS−TGをのせて非特異的結合をブロックした。Sam68の検出にはウサギ抗Sam68抗体、Sosの検出にはウサギ抗Sos1抗体,ZO1の検出にはウサギ抗ZO1抗体をPBS−TGで1:1000に希釈して2時間反応させた。PBS−Tで洗浄した後、PBS−TGで1:4000に希釈したHRP結合抗ウサギ抗体[アマシャム(Amersham)社製]を1時間反応させた。PBS−Tで洗浄した後、検出はECL試薬(アマシャム・ファルマシア・バイオテク社製)を用いた化学発光により行った。
その結果、第4〜7図に示すように、SH3ドメインを含む蛋白質に結合したプロリンリッチ配列を含む蛋白質、すなわち図4ではSrcに結合したSam68の量、図5ではPLCγに結合したSam68およびGrb2に結合したSam68の量、図6ではGrb2に結合したSos1の量、図7ではCortactinに結合したZO1の量が化合物の添加によって、濃度依存的に減少していることが確認された。
試験例3:SH3ドメイン結合阻害試験3
(1)プロリンリッチ配列を含む蛋白質NefおよびSH3ドメインを有する蛋白質Lynと化合物の反応
プロリンリッチ配列を有するHIV−1由来組み換えNef[Nef(3−190);コルテックス(CORTEX)社製]0.3μgおよびウシ由来精製Lyn[Lyn;アップステイトバイオテクノロジー(Upstate Biotechnology)社製]1μgを、0.1%BSA(bovine serum albumin)を含む低張緩衝液であるRSB(10mmol/Lトリス−塩酸pH7.6、10mmol/L NaCl、1.5mmol/L MgCl2)1mLに加え、NefおよびLynの混合溶液を調製した。化合物をDMSOに溶解し、10mmol/Lの濃度のDMSO溶液を調製した。該DMSO溶液を上記NefおよびLynの混合溶液にそれぞれ終濃度が1、2、5および10μmol/Lになるように添加した。なお、添加する化合物はあらかじめDMSOで希釈し、添加するDMSOの量はどれも同じになるようにした。化合物を添加したNefおよびLynの混合溶液を、回転培養機でゆるやかに回転させながら4℃で16時間攪拌して、化合物をNefおよびLyn蛋白質に反応させた。
(2)SH3ドメイン結合蛋白質複合体の抗体による免疫沈降
上記(1)で得られた化合物添加後のNefおよびLynの混合溶液に抗Lyn抗体[サンタクルズ(Santa Crutz)社製]1μgを加え、回転培養機でゆるやかに回転させながら4℃で16時間反応させた。抗体反応後のNef/LynのSH3ドメイン結合蛋白質複合体にプロテインA/G結合アガロースビーズ10μLを加え、回転培養機でゆるやかに回転させながら4℃で1時間反応させた。反応後のSH3ドメイン結合蛋白質複合体を4℃、35ppmで3分間回転遠心機により沈澱させた後、界面活性剤を含むTritonX/NP40抽出緩衝液1mLを加えて4℃で10分間回転培養機でゆるやかに回転後、同様に沈澱させ洗浄することを3回行った。洗浄後のNef/LynのSH3ドメイン結合蛋白質ビーズ複合体にそれぞれ30μLのレムリのサンプルバッファー[タンパク質の化学1−分離精製、東京化学同人、211頁(1976年)参照]を添加し、よく混合させた後、100℃で5分間加熱した。回転遠心機により25℃、1000rpmで5分間ビーズを沈澱させた後、上清を7%ポリアクリルアミドゲル電気泳動に供した。
(3)ウエスタンブロットによるSH3ドメインを含むLyn蛋白質に結合したプロリンリッチ配列を含むNef蛋白質の検出
以下のようにしてウエスタンブロットにより、上記上清中のNef/LynのSH3ドメイン結合蛋白質複合体におけるプロリンリッチ配列を含むNef蛋白質を検出した。まず、上記(2)の電気泳動後のゲル中の蛋白質を0.45μmのニトロセルロース膜[プロトラン(Protran);シュライシャー・アンド・シュエル(Schleicher and Schuell)社製]にブロット後、膜にPBS−TGをのせて非特異的結合をブロックした。Nefの検出は、用いた組み換えNef蛋白質にβガラクトシダーゼが融合しているため、抗βガラクトシダーゼ抗体(抗β−gal抗体)を用いて行った。すなわち、ウサギ抗βガラクトシダーゼ抗体をPBS−TGで1:1000に希釈して2時間反応させた。PBS−Tで洗浄した後、PBS−TGで1:4000に希釈したHRP結合抗ウサギ抗体[アマシャム(Amersham)社製]を1時間反応させた。PBS−Tで洗浄した後、検出はECL試薬(アマシャム・ファルマシア・バイオテク社製)を用いた化学発光により行った。
その結果、第8図に示すように、SH3ドメインを含むLyn蛋白質に結合したプロリンリッチ配列を含むNef蛋白質の量が、化合物の添加によって濃度依存的に減少していることが確認された。
試験例4:化合物のSH3ドメイン結合阻害率の算出
試験例1の方法に準じてブロットした結果をもとに、以下のようにして化合物のSH3ドメイン結合阻害率を算出した。化学発光によりフィルムに現像されたFyn−SH3とSam68ΔCのバンド強度をゲルスキャナー[東洋紡(TOYOBO)社製]を用いて測定した。次にSam68ΔCのバンド強度をFyn−SH3のバンド強度で除し、Fyn−SH3のバンド強度に対するSam68ΔCのバンド強度を算出した。化合物無添加の場合のFyn−SH3のバンド強度に対するSam68ΔCのバンド強度の割合を100%とし、化合物添加後のSam68ΔCのバンド強度減少の割合を化合物のSH3ドメイン結合阻害率とした。その結果を第8表に示した。
以上、試験例1〜4により、化合物(I)、(II)、(IIIa)、(IIIb)、(Va)、(Vb)および(VI)は、優れたSH3ドメイン結合阻害作用を示した。
試験例5:HIV−1増殖抑制試験
(1)HIV−1感染および増殖抑制実験
MT2細胞(T細胞株)を10%牛胎児血清[ギブコ(GIBCO)社製,No.26140−079]を含むRPMI1640培地[ギブコ(GIBCO)社製,No.26140−076]を用いて2x105細胞/mLに調整し、24ウェルプレート[24well plate:コースター(Coster)社製,No.3526]に各ウェルあたり1mLずつ分注した。HIV−1 LAI株{ゲノム全長を含むDNAクローンpLAI[GenBank accession No.K02013,バイロロジー(Virology)、185巻、661頁(1991年)]を、FuGENE6 Transfection Reagent[ロッシュ(Roche)社製,No.1814443]を用いてHela細胞にトランスフェクト(transfect)後、2日目の培養上清を用いた}を、上記各ウェルに最終濃度500cpm/μLとなるように接種し、37℃で一晩静置した(ウイルスの感染)。ここへ、化合物またはPP2(Alexs社製,プロテインホスホターゼ2:4−アミノ−5−(4−クロロフェニル)−7−(tert−ブチル)ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン,Srcのチロシンリン酸化の阻害剤:コントロール)をそれぞれ終濃度が1、5、10、25および50μmol/Lになるように添加した(薬剤の添加)。以降、ウイルスを感染させた後、3、5、7および9日目に、それぞれ50μLの培養上清を回収し、測定まで−80℃で保存した。このとき、ウイルスを感染させ薬剤の添加を行わなかったウェルをpositive control、ウイルスの感染も薬剤の添加も行わなかったウェルをnegative controlとした。なお、該試験は同様の内容で3回実施した。
(2)HIV−1量の測定
HIV−1の定量は、ジャーナル・オブ・バイロロジー(J.Virol.)、38巻、239頁(1981年)に記載の方法に若干の改良を加え、RT assay法(Reverse Transcriptase assay)により行った。
上記(1)で得られた培養上清5μLに、RTカクテル{50mmol/L トリス pH7.5、50mmol/L EDTA、75mmol/L KCl、5mmol/L MgCl2、5μg/mL Poly(A)[ファルマシア(Pharmacia)No.27−4110−01]、1.6μg/mL oligo(dT)12−18[ファルマシア(Pharmacia)No.27−7858−01]、5mmol/L DTT(ジチオトレイトール)、0.05% NP−40、10μCi/mL[α−32P]dTTP}25μLを添加し、37℃で2時間インキュベーションした。反応後、その反応液6μLをDEAE filtermat[パーキン・エルマー(Perkin Elmer)社製,No.1450−522]にスポットし、未反応の[α−32P]dTTPを除去した後、固形シンチレータ MeltiLex−A[パーキン・エルマー(Perkin Elmer)社製,No.1450−441]をしみこませ、HIV−1の量を、RT活性のカウント(cpm/μL)としてMICROBETA PLUS liquid scintillation counter[パーキン・エルマー(Perkin Elmer)社製]を用いて測定した。
その結果、第12〜14図に示すようにコントロールであるPP2を添加した系では、positive controlと同様にHIV−1の量は増加し、第9〜11図に示すように化合物を添加した系では、HIV−1の量の増加が濃度依存的に抑制されていることが確認された。つまり化合物の添加によりHIV−1増殖抑制効果が認められた。
試験例6:細胞毒性試験
MT2細胞(T細胞株)を10%牛胎児血清[ギブコ(GIBCO)社製,No.26140−079]を含むRPMI1640培地[ギブコ(GIBCO)社製,No.26140−076]を用いて2x105個/mLに調整し、96ウェルプレート[96well plate:コースター(Coster)社製]に各ウェルあたり100μLずつ分注した。各ウェルに化合物を添加して培養し、3日目に細胞の状態を観察するとともに、細胞を回収し、0.4%トリパンブルー[シグマ(SIGMA),T−8154]で細胞を染色した後、生存細胞数を数えた。その結果、化合物1を10μmol/Lの濃度で添加した場合でも、生存細胞数の減少は見られなかった。
以上、試験例1〜6により、優れたSH3ドメイン結合阻害作用を有する化合物を有効成分とする薬剤はSH3ドメインを介した蛋白質−蛋白質結合が関与する各種疾患{例えば、AIDS、悪性腫瘍、アレルギー性疾患、ウイルス性疾患等[バイオポリマー(Biopolymer)、43巻、383頁(1997年)等]}に有効であることが示唆された。
化合物(I)、(II)、(IIIa)、(IIIb)、(Va)、(Vb)もしくは(VI)またはそれらの薬理学的に許容される塩は、そのまま単独で投与することも可能であるが、通常各種の医薬製剤として提供するのが望ましい。また、それら医薬製剤は、動物および人に使用されるものである。
本発明に係わる医薬製剤は、活性成分として化合物(I)、(II)、(IIIa)、(IIIb)、(Va)、(Vb)もしくは(VI)またはそれらの薬理学的に許容される塩を単独で、あるいは任意の他の治療のための有効成分との混合物として含有することができる。また、それら医薬製剤は、活性成分を薬理学的に許容される一種もしくはそれ以上の担体と一緒に混合し、製剤学の技術分野においてよく知られている任意の方法により製造される。
投与経路は、治療に際し最も効果的なものを使用するのが望ましく、例えば経口または、例えば静脈内等の非経口等をあげることができる。
投与形態としては、例えば錠剤、散剤、顆粒剤、シロップ剤、注射剤等がある。
経口投与に適当な、例えばシロップ剤のような液体調製物は、例えば水、蔗糖、ソルビット、果糖等の糖類、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類、ごま油、オリーブ油、大豆油等の油類、p−ヒドロキシ安息香酸エステル類等の防腐剤、ストロベリーフレーバー、ペパーミント等のフレーバー類等を使用して製造できる。また、錠剤、散剤および顆粒剤等は、例えば乳糖、ブドウ糖、蔗糖、マンニット等の賦形剤、澱粉、アルギン酸ソーダ等の崩壊剤、ステアリン酸マグネシウム、タルク等の滑沢剤、ポリビニールアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ゼラチン等の結合剤、脂肪酸エステル等の界面活性剤、グリセリン等の可塑剤等を用いて製造できる。
非経口投与に適当な製剤は、好ましくは受容者の血液と等張である活性化合物を含む滅菌水性剤からなる。例えば、注射剤の場合は、例えば塩溶液、ブドウ糖溶液または塩水とブドウ糖溶液の混合物等からなる担体等を用いて注射用の溶液を調製する。
また、これら非経口剤においても、経口剤で例示した希釈剤、防腐剤、フレーバー類、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、結合剤、界面活性剤、可塑剤等から選択される1種もしくはそれ以上の補助成分を添加することもできる。
化合物(I)、(II)、(IIIa)、(IIIb)、(Va)、(Vb)もしくは(VI)、またはそれらの薬理学的に許容される塩の投与量および投与回数は、投与形態、患者の年齢、体重、治療すべき症状の性質もしくは重篤度等により異なるが、通常経口の場合、成人一人当り0.01mg〜1g、好ましくは0.05〜50mgを一日一回ないし数回投与する。静脈内投与等の非経口投与の場合、成人一人当り0.001〜100mg、好ましくは0.01〜10mgを一日一回ないし数回投与する。しかしながら、これら投与量および投与回数に関しては、前述の種々の条件により変動する。
発明を実施するための最良の形態
以下に、本発明の態様を実施例および参考例で説明する。
実施例1:錠剤
常法により、次の組成からなる錠剤を調製する。化合物2(40g)、ラクトース(286.8g)および馬鈴薯澱粉(60g)を混合し、これにヒドロキシプロピルセルロースの10%水溶液(120g)を加える。この混合物を常法により練合し、造粒して乾燥させた後、整粒し打錠用顆粒とする。これにステアリン酸マグネシウム(1.2g)を加えて混合し、径8mmの杵をもった打錠機(菊水社製RT−15型)で打錠を行って、錠剤(1錠あたり活性成分20mgを含有する)を得る。
実施例2:カプセル剤
常法により、次の組成からなるカプセル剤を調製する。化合物12(200g)、アビセル(995g)およびステアリン酸マグネシウム(5g)を常法により混合する。この混合物をカプセル充填機(Zanasi社製、LZ−64型)により、ハードカプセル4号(1カプセルあたり120mg容量)に充填し、カプセル剤(1カプセルあたり活性成分20mgを含有する)を得る。
実施例3:注射剤
常法により、次の組成からなる注射剤を調製する。化合物10(1g)を精製大豆油に溶解させ、精製卵黄レシチン(12g)および注射用グリセリン(25g)を加える。この混合物を常法により注射用蒸留水で1000mLとして練合・乳化する。得られた分散液を0.2μmのディスポーザブル型メンブランフィルターを用いて無菌濾過後、ガラスバイアルに2mLずつ無菌的に充填して、注射剤(1バイアルあたり活性成分2mgを含有する)を得る。
実施例4:化合物2
参考例1で得られた化合物1(20mg;0.042mmol)をTHF(2mL)に溶解し、70%ナトリウム水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウム−トルエン溶液(0.040mL)を氷冷しながら加えた。0℃にて20分間撹拌した後、反応液に1mol/L酢酸−THF溶液(1mL)および酢酸エチル(10mL)を順次加えて抽出し、有機層を水および1mol/L塩酸水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで有機層を乾燥した後、濃縮し、得られた残渣をジイソプロピルエーテル(IPE)とn−ヘキサンの混合溶媒から結晶化させ、化合物2を12.3mg得た(収率61%)。
化合物2:
1H−NMR(CDCl3)δ(ppm):0.78(3H,d,J=6.6Hz),0.86(3H,t,J=7.3Hz),1.02(3H,d,J=6.6Hz),1.07(3H,t,J=7.7Hz),1.23(2H,m),1.52−1.61(3H,m),1.79(2H,m),1.96−2.01(2H,m),2.66(1H,d,J=2.9Hz),3.27(1H,t,J=6.1Hz),3.39(3H,s),3.54(1H,m),3.92(1H,d,J=7.7Hz),4.16(1H,m),4.35(1H,brt,J=9.9Hz),4.87(2H,s),4.97(1H,d,J=2.8Hz),7.41(1H,s),9.24(1H,s),13.4(1H,s);FAB−MS m/z 505[M+Na]+.
実施例5:化合物3
実施例4で得られた化合物2(10mg;0.021mmol)をピリジン(0.5mL)に溶解し、無水酢酸(0.5mL)を加え、室温で5時間撹拌した。反応液を濃縮した後、得られた残渣をIPEとn−ヘキサンの混合溶媒から結晶化させ、化合物3を4.6mg得た(収率32%)。
化合物3:
1H−NMR(CDCl3)δ(ppm):0.83(3H,t,J=7.2Hz),0.84(3H,d,J=7.2Hz),0.93(3H,d,J=6.8Hz),0.99(3H,t,J=7.5Hz),1.21(2H,m),1.56(3H,m),1.76(3H,m),1.95(1H,m),2.01(3H,s),2.04(3H,s),2.13(3H,s),2.35(3H,s),2.37(3H,s),2.99(1H,t,J=5.9Hz),3.18(3H,s),3.57(1H,m),3.89(1H,d,J=6.2Hz),4.29(1H,m),5.03(2H,s),5.50(1H,dd,J=4.8,12.1Hz),5.87(1H,s),7.91(1H,s);FAB−MS m/z 693[M+H]+.
実施例6:化合物4
参考例1で得られた化合物1(11mg;0.023mmol)をのメタノール(1mL)に溶解し、水素化ホウ素ナトリウム(4.9mg;0.13mmol)を加え、室温で1.5時間撹拌した。反応液に少量の1mol/L塩酸水溶液を加え、酢酸エチル(10mLx2)で抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮し、得られた残渣を分取薄層クロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=10/1)で精製し、化合物4を6.0mg得た(収率54%)。
化合物4:
1H−NMR(CDCl3)δ(ppm):0.80(3H,d,J=6.8Hz),0.89(3H,t,J=7.3Hz),1.01(3H,t,J=7.5Hz),1.02(3H,d,J=7.5Hz),1.26(2H,m),1.54−1.64(3H,m),1.79(3H,m),2.00(1H,m),2.67(1H,brs),2.74(1H,brs),2.91(1H,t,J=6.4Hz),2.98(1H,d,J=2.9Hz),3.27(1H,brs),3.38(3H,s),3.47(1H,m),3.72−3.89(2H,m),3.96(1H,t,J=7.5Hz),4.18(1H,brs),4.88(3H,brs),7.41(1H,s),9.32(1H,s),13.29(1H,s);FAB−MS m/z 507[M+Na]+.
実施例7:化合物6
参考例1で得られた化合物1(10mg;0.021mmol)をTHF(1mL)と水(0.5mL)の混合溶媒に溶かし、塩酸O−メチルヒドロキシルアミン(22mg;0.27mmol)を加え、室温で4時間撹拌した。反応液を酢酸エチル(10mL)で希釈後、水を加えて抽出し、有機層を1mol/L塩酸水溶液で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、濃縮し得られた残渣をIPEとn−ヘキサンの混合溶媒から結晶化させ、化合物6を5.6mg得た(収率52%)。
化合物6:
1H−NMR(CDCl3)δ(ppm):0.84(3H,t,J=7.3Hz),0.86(3H,d,J=6.8Hz),0.96(3H,d,J=6.8Hz),1.06(3H,t,J=7.5Hz),1.20(2H,m),1.48(1H,m),1.58(1H,s),1.60(2H,m),1.81(2H,m),1.99(2H,m),2.98(1H,brs),3.22(3H,s),3.26(1H,t,J=6.1Hz),3.70(1H,dd,J=7.3,14.1Hz),3.99(3H,s),4.17(1H,td,J=11.2,5.1Hz),4.34(1H,d,J=6.6Hz),4.40(1H,brt,J=8.3Hz),4.97(1H,d,J=3.5Hz),7.83(1H,s),8.69(1H,s),11.45(1H,s),13.75(1H,s);FAB−MS m/z 532[M+Na]+,510[M+H]+.
実施例8:化合物14
参考例1で得られた化合物1(33.5mg;0.0698mmol)をメタノール(2mL)に溶解し、2mol/Lトリメチルシリルジアゾメタンのn−ヘキサン溶液(1mL)を加え、室温で3.5時間撹拌した。反応液に酢酸(2滴)および酢酸エチル(30mL)を加えた後、水を加えて抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去した後、得られた残渣(45.6mg)をシリカゲル分取薄層クロマトグラフィー(n−ヘキサン/酢酸エチル=1/1)により精製し、化合物14を13.9mg得た(収率38%)。
化合物14:
1H−NMR(CDCl3,400MHz)δ(ppm):12.91(1H,s),7.81(1H,s),4.97(1H,d,J=2.4Hz),4.41(1H,m),4.18(1H,m),4.15(1H,d,J=6.8Hz),3.77(2H,d,J=5.6Hz),3.75(3H,s),3.72(1H,m),3.26(1H,dd,J=5.9,7.1Hz),3.22(3H,s),2.93(1H,brs),2.26(3H,s),2.01(1H,m),1.92(1H,m),1.84(2H,m),1.58(3H,m),1.47(1H,m),1.20(2H,m),1.06(3H,t,J=7.6Hz),0.98(3H,d,J=6.6Hz),0.86(3H,t,J=7.3Hz),0.81(3H,d,J=6.8Hz);13C−NMR(CDCl3,100MHz)δ(ppm):208.0,206.3,164.1,162.0,129.2,125.3,117.6,117.4,94.5,82.8,69.7,62.7,61.9,61.8,59.7,57.0,49.9,39.0,37.3,34.6,32.0,29.7,20.7,20.6,19.1,18.3,14.3,10.6;FAB−MS m/z 523[M+H]+.
実施例9:化合物15
参考例1で得られた化合物1(21.5mg;0.0448mmol)のジクロロメタン溶液(2mL)に4Åモレキュラーシーブス(30mg)を加え、次に4−メチルモルホリン−N−オキサイド(18.6mg;0.159mmol)のジクロロメタン溶液(0.5mL)およびテトラ(n−プロピル)アンモニウムパールテネート(3.9mg;0.0111mmol)のジクロロメタン溶液(0.5mL)を加え、室温で24時間撹拌した。反応液をろ過した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(1%メタノールのクロロホルム溶液)による精製を行い、化合物15を1.8mg得た(収率8.4%)。
化合物15:
1H−NMR(CDCl3,500MHz)δ(ppm):14.03(1H,s),13.01(1H,s),10.42(1H,s),8.03(1H,s),5.20(1H,d,J=3.2Hz),4.84(1H,m),4.34(1H,d,J=6.1Hz),3.77(1H,m),3.56(1H,dd,J=5.6,7.2Hz),3.22(3H,s),3.01(1H,d,J=3.2Hz),2.68−2.63(2H,m),2.00−1.80(2H,m),1.79−1.60(3H,m),1.26(2H,m),1.08(3H,t,J=7.6Hz),0.94(3H,d,J=6.7Hz),0.90(3H,d,J=6.9Hz),0.89(3H,t,J=7.5Hz);FAB−MS m/z 479[M+H]+.
実施例10:化合物17
参考例9で得られた化合物12(67.3mg;0.128mmol)を酢酸エチル(3mL)に溶解し、10%パラジウム−炭素(50mg)を加え、水素雰囲気下、室温で4時間撹拌した。反応液から触媒をろ別した後、シリカゲル分取薄層クロマトグラフィー(n−ヘキサンと酢酸エチルの混合溶媒)による精製を行い、化合物17を30.3mg得た(収率63%)。
化合物17:
1H−NMR(CDCl3,300MHz)δ(ppm):7.03(2H,d,J=8.6Hz),6.85(2H,d,J=8.6Hz),6.40(1H,m),6.07(1H,brs),5.31(1H,m),4.86−4.28(2H,m),3.79(3H,s),3.61(1H,m),3.19(1H,dd,J=5.5,10.5Hz),3.04(1H,m),2.80(1H,d,J=5.5Hz),2.76−2.49(4H,m),2.36(1H,m),2.19(1H,brd,J=12.5Hz),1.71(1H,brd,J=15.8Hz),1.49(3H,s),1.23(2H,m),1.19(3H,d,J=6.8Hz),1.14(3H,s),1.00(3H,d,J=7.2Hz);FAB−MS m/z 528[M+H]+.
実施例11:化合物18および19
参考例9で得られた化合物12(36.6mg;0.0697mmol)をクロロホルム(2mL)に溶解し、少量のp−トルエンスルホン酸一水和物を加え、室温で5時間撹拌した。反応液を濃縮した後、シリカゲル分取薄層クロマトグラフィー(n−ヘキサンと酢酸エチルの混合溶媒)による精製を行い、化合物18(26.8mg;収率73%)と化合物19(4.8mg;収率13%)をそれぞれ得た。
化合物18:
1H−NMR(CDCl3,300MHz)δ(ppm):7.04(2H,d,J=8.6Hz),6.84(2H,d,J=8.6Hz),6.59(1H,d,J=11.7Hz),5.81(1H,brs),5.72(1H,dd,J=9.9,14.9Hz),5.63(1H,d,J=11.7Hz),5.39(1H,brs),5.37(1H,m),5.17(1H,brs),3.80(1H,m),3.78(3H,s),3.35(1H,m),3.24(1H,m),2.98−2.92(3H,m),2.85(1H,dd,J=3.9,13.8Hz),2.69(1H,m),2.57(1H,dd,J=9.5,13.8Hz),2.15(1H,brd,J=13.4Hz),1.52(3H,s),1.16(3H,d,J=7.2Hz),1.14(3H,d,J=7.2Hz);FAB−MS m/z 526[M+H]+.
化合物19:
1H−NMR(CDCl3,300MHz)δ(ppm):7.00(2H,d,J=8.6Hz),6.79(2H,d,J=8.6Hz),6.57(1H,d,J=11.6Hz),6.13(1H,m),6.09(1H,brs),5.59(1H,d,J=11.6Hz),5.31(1H,m),3.81(2H,m),3.72(3H,s),3.36(1H,brt,J=6.8Hz),2.87(1H,m),2.76−2.60(4H,m),2.09(1H,brd,J=10.3Hz),1.61(3H,s),1.44(6H,s),1.10(3H,d,J=6.8Hz);FAB−MS m/z 526[M+H]+.
実施例12:化合物20
MPC1006株糸状菌の斜面培地から、一白金耳ずつを50mLの種培地(マッシュポテト3%、グルコース10%、酵母エキス0.5%、pH6.5)を入れた300mL容の三角フラスコ(2本)に接種し、28℃で5日間回転撹拌機上で培養して種培養液を得た。この種培養液2.5mLを50mLの生産培地(グルコース2%、マッシュポテト2%、ペプトン0.5%、KH2PO40.5%、Mg3(PO4)2・8H2O0.05%、pH6.0)を含む300mL容の三角フラスコ(40本)に接種して、25℃で5日間回転撹拌機上で培養を行った。培養終了後、培養液(2L)を吸引ろ過により菌体と上清に分け、培養上清をあらかじめ20%メタノールで充填したダイヤイオンHP−20(30mL)のカラムクロマトグラフィーに付し、40、50、60%メタノールで段階的に洗浄後、90および100%メタノールで溶出させた。溶出液(150mL)を濃縮後、酢酸エチルで抽出し、抽出物を高速液体クロマトグラフィー(Develosil HG−5 20×250mm;40〜100%アセトニトリル水溶液で段階的に溶出)により分離精製し、化合物20を2.2mg得た。
化合物20:
1H−NMR(CDCl3,400MHz)δ(ppm):7.15(1H,dd,J=2.2,15.4Hz),6.25(1H,brs),6.19(1H,brd,J=11.0Hz),6.03(1H,dd,J=2.2,15.4Hz),5.30(1H,m),4.55(1H,m),3.88(1H,dd,J=2.4,7.6Hz),3.82(1H,brd,J=11.0Hz),3.17(1H,dt,J=10.0,3.4Hz),3.09(1H,m),2.93(1H,dd,J=3.2,4.9Hz),2.39−2.34(1H,m),2.20−2.08(2H,m),1.73(3H,s),1.61(1H,m),1.50−1.46(1H,m),1.43−1.34(1H,m),1.39(3H,s),1.33−1.25(1H,m),1.21(3H,d,J=7.3Hz),0.931(3H,d,J=6.6Hz),0.926(3H,d,J=6.6Hz);13C−NMR(CDCl3,100MHz)δ(ppm):173.6,167.5,150.4,140.2,139.5,124.2,122.8,120.1,88.3,78.1,73.9,52.1,51.7,48.5,39.39,39.36,34.2,28.0,25.2,23.6,21.4,19.7,15.2,13.8;FAB−MS m/z 418[M+H]+.
実施例13:化合物21
MPC1009株糸状菌の斜面培地から、一白金耳ずつを4本の50mLの一次種培地(マッシュポテト3%、グルコース10%、酵母エキス0.5%、pH6.5)を入れた300mL容の三角フラスコに接種し、28℃で4日間回転撹拌機上で培養して一次種培養液を得た。この一次種培養液75mLを2.5Lの二次種培地(グルコース2%、マッシュポテト2%、ペプトン0.5%、KH2PO40.5%、Mg3(PO4)2・8H2O0.05%、pH6.0)を含む5L容のジャーファーメンターに接種して、25℃で24時間、通気撹拌培養を行った。得られた二次種培養液450mLを15Lの生産培地(グルコース2%、マッシュポテト2%、ペプトン0.5%、KH2PO40.5%、Mg3(PO4)2・8H2O0.05%、pH6.0)を含む30L容のジャーファーメンター(2基)に接種して、25℃で5日間通気撹拌培養を行った。培養終了後、培養液(30L)を吸引ろ過により菌体と上清に分け、菌体に20Lのメタノールを加え、撹拌して抽出した。抽出液をあらかじめ30%メタノール水溶液で充填したダイヤイオンHP−20(1.5L)のカラムクロマトグラフィーに付し、50%メタノール水溶液で洗浄後、100%メタノールで溶出させた。溶出液を濃縮後、酢酸エチルで抽出し、濃縮乾固すると23.7gの菌体抽出物が得られた。得られた菌体抽出物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルムとメタノールの混合溶媒)に付し、化合物21を含むフラクションを集め、濃縮乾固した。得られた残渣を90%メタノール水溶液とn−ヘキサンで分配し、脂肪酸成分を除去した。90%メタノール水溶液での抽出物(5.44g)をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサンと酢酸エチルの混合溶媒)に付し、化合物21を含むフラクションを集め、濃縮した。得られた残渣(1.24g)を少量のエーテルに溶解し、n−ヘキサンを加えて粉末化を行い、化合物21(343mg)を得た。
化合物21:
1H−NMR(CDCl3,500MHz)δ(ppm):7.33(1H,dd,J=2.5,15.4Hz),6.94(1H,brs),6.22(1H,d,J=10.8Hz),5.91(1H,dd,J=2.1,15.4Hz),5.29(1H,brs),4.51(1H,m),3.80(1H,d,J=10.8Hz),3.14(1H,ddd,J=3.0,3.0,10.3Hz),3.08(1H,m),2.89(1H,dd,J=3.3,4.8Hz),2.23(1H,dd,J=9.6,13.6Hz),2.11(1H,m),2.01(1H,m),1.88(1H,brs),1.75(1H,m),1.73(3H,s),1.68(1H,m),1.63(1H,m),1.53(1H,m),1.50(1H,m),1.44(3H,s),1.28(1H,m),1.20(3H,d,J=7.3Hz),0.92(3H,d,J=6.8Hz),0.91(3H,d,J=6.8Hz);13C−NMR(CDCl3,125MHz)δ(ppm):173.7,167.7,156.5,140.1,139.4,124.4,123.0,118.8,88.4,69.2,52.2,51.9,48.6,42.2,39.5,38.1,34.2,25.0,23.8,21.3,19.8,17.8,16.2,13.9;FAB−MS m/z 402[M+H]+.
実施例14:化合物16
MPC1005株糸状菌の斜面培地から、一白金耳ずつを4本の50mLの種培地(マッシュポテト3%、グルコース10%、酵母エキス0.5%、pH6.5)を入れた300mL容の三角フラスコに接種し、28℃で5日間回転撹拌機上で培養して種培養液を得た。この種培養液2.5mLずつを50本の50mLの生産培地(シュクロース3%、可溶性澱粉2%、乾燥酵母0.5%、麦芽エキス1%、コーンスティープリカー(CSL)0.5%、野菜ジュース20%、CaCO30.5%、pH6.0)を含む300mL容の三角フラスコに接種して、25℃で5日間回転撹拌機上で培養を行なった。
培養終了後、培養液(2.5L)を吸引ろ過により菌体と上清に分け、菌体に6Lのメタノールを加え、撹拌して抽出し、抽出液を約3Lになるまで減圧下濃縮した。培養上清と濃縮した菌体抽出液を合わせ、50%メタノールで充填したダイヤイオンHP−20(150mL)のカラムクロマトグラフィーに付し、50%メタノールで洗浄した後、100%メタノールで溶出した。溶出液を約200mLになるまで減圧下濃縮後、酢酸エチル(250mLx2)で抽出し、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濃縮乾固して得られた残渣(1.58g)を少量のメタノールに溶解し、あらかじめクロロホルム−メタノール(1:1)で充填したセファデックスLH−20のカラムクロマトグラフィー(内径3.0cm,高さ20cm)に付し、クロロホルム−メタノール(1:1)の混合溶媒で展開し溶出液を約20mLずつ分取した。化合物16を含むフラクションを集め、減圧下に濃縮乾固した。この乾固物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(50mL、メタノールとクロロホルムの混合溶媒)に付し、化合物16(18mg)を得た。
化合物16:
1H−NMR(CDCl3,500MHz)δ(ppm):7.05(2H,d,J=8.5Hz),6.81(2H,d,J=8.5Hz),6.66(1H,brs),6.39(1H,m),5.79(1H,ddd,J=1.7,10.0,15.1Hz),5.44(1H,ddd,J=3.9,11.2,15.1Hz),3.62(1H,t,J=5.9Hz),3.33(1H,m),3.32(1H,m),3.02(1H,dd,J=6.8,12.1Hz),2.89(1H,dd,J=5.4,10.0Hz),2.75(2H,m),2.67(1H,dd,J=2.1,5.9Hz),2.59(1H,d,J=5.4Hz),2.25(1H,m),2.24(1H,m),2.03(1H,dt,J=13.8,11.6Hz),1.88(3H,d,J=0.7Hz),1.17(3H,s),1.15(3H,d,J=6.6Hz),1.11(3H,d,J=7.3Hz);13C−NMR(CDCl3,125MHz)δ(ppm):206.2,171.9,169.1,155.1,143.1,135.1,132.7,130.8,130.6,128.7,126.1,115.8,84.9,60.4,57.2,54.4,49.5,47.0,43.9,39.9,39.8,36.8,36.1,19.7,17.4,13.0,12.8;FAB−MS m/z 480[M+H]+.
参考例1:化合物1(UCS15A/Luminacin C2/SI−4228A)
化合物1は、ザ・ジャーナル・オブ・アンチバイオティクス(The Journal of Antibiotics)、53巻、579頁(2000年)および特開昭58−116686号記載の方法により、該化合物の生産能を有するStreptomyces属に属する放線菌を培養し、培養液中から単離精製することにより得られた。
化合物1(UCS15A/Luminacin C2/SI−4228A):1H−NMR(CDCl3,300MHz)δ(ppm):14.16(1H,s),12.93(1H,s),10.35(1H,s),8.01(1H,s),4.85(1H,d,J=3.2Hz),4.36(1H,dd,J=8.1,9.6Hz),4.27(1H,d,J=7.0Hz),4.11(1H,ddd,J=4.6,11.4,11.4Hz),3.66(1H,m),3.53(1H,d,J=3.2Hz),3.19(1H,t,J=6.2Hz),3.14(3H,s),1.85−1.98(2H,m),1.69−1.78(2H,m),1.40−1.58(3H,m),1.08−1.19(2H,m),0.98(3H,t,J=7.5Hz),0.91(3H,d,J=6.6Hz),0.79(3H,t,J=7.3Hz),0.77(3H,d,J=6.8Hz);FAB−MS m/z 479[M−H]−.
参考例2:化合物5
化合物5は、特開昭62−294619号記載の方法に準じて得ることができるが、以下の方法によっても得ることができた。
参考例1で得られた化合物1(11mg;0.023mmol)をTHF(1mL)と水(0.5mL)とメタノール(1滴)の混合溶媒に溶かし、硫酸メチルヒドラジン(30mg;0.21mmol)を加え、室温で4時間撹拌した。反応液を酢酸エチル(10mL)で希釈後、抽出し、有機層を水と1mol/L塩酸水溶液で順次洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、濃縮し、得られた残渣をIPEとn−ヘキサンの混合溶媒から結晶化させ、化合物5を5.9mg得た(収率50%)。
化合物5:
1H−NMR(CDCl3)δ(ppm):0.84(3H,t,J=7.2Hz),0.86(3H,d,J=6.8Hz),0.96(3H,d,J=6.6Hz),1.06(3H,t,J=7.5Hz),1.21(2H,m),1.42−1.62(3H,m),1.82(2H,m),2.01(2H,m),3.00(3H,s),3.22(3H,s),3.26(1H,t,J=6.2Hz),3.70(1H,m),4.16(1H,m),4.35(1H,d,J=6.6Hz),4.40(1H,m),4.98(1H,s),6.72(1H,s),7.74(1H,s),8.21(1H,s),13.00(1H,brs),13.71(1H,s);FAB−MS m/z 477[M−CH3NH2]+,507[M−H]−.
化合物7、8、9は、ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサエティ(J.Am.Chem.Soc.)、122巻、3071頁(2000年)に記載の方法に準じて得られた。
参考例3:化合物7
レゾルシノール(600mg;5.45mmol)およびソルビン酸(600mg;5.36mmol)を三フッ化ホウ素エーテル錯体(10mL)に溶かし、120℃にて15分間撹拌した。反応液に氷冷しながら少量の水を加え、酢酸エチル(50mLx2)で抽出した。有機層から溶媒を減圧下留去した後、残渣をTHF(50mL)および水(50mL)の混合溶媒に溶かし、30分間加熱還流した。反応液を濃縮し、THFを留去した後、酢酸エチル(50mLx2)で抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。有機層を濃縮し、得られた残渣(1.54g)をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(75g;n−ヘキサン/酢酸エチル=3/1)で精製し、化合物7を566mg得た(収率60%)。
化合物7:
1H−NMR(CDCl3)δ(ppm):1.92(3H,d,J=5.1Hz),5.57(1H,brs),6.32−6.40(4H,m),6.91(1H,d,J=14.7Hz),7.48(1H,dd,J=9.9,14.7Hz),7.71(1H,d,J=9.2Hz),13.41(1H,s);FAB−MS m/z 205[M+H]+.
参考例4:化合物8
2−メチルレゾルシノール(500mg;4.03mmol)およびソルビン酸(450mg;4.01mmol)より、参考例3と同様にして化合物8を736mg得た(収率84%)。
化合物8:
1H−NMR(CDCl3)δ(ppm):1.90(3H,d,J=5.5Hz),2.14(3H,s),6.00(1H,brs),6.23−6.35(2H,m),6.39(1H,d,J=9.0Hz),6.92(1H,d,J=15.0Hz),7.46(1H,dd,J=9.9,15.0Hz),7.58(1H,d,J=9.0Hz),13.73(1H,s);FAB−MS m/z 219[M+H]+.
参考例5:化合物9
2,4−ジメチルレゾルシノール(1.08g;7.83mmol)およびソルビン酸(950mg;8.47mmol)より、参考例3と同様にして化合物9を971mg得た(収率53%)。
化合物9:
1H−NMR(CDCl3)δ1.91(3H,d,J=5.7Hz),2.15(3H,s),2.22(3H,s),5.32(1H,s),6.24−6.40(2H,m),6.95(1H,d,J=14.9Hz),7.45(1H,s),7.46(1H,dd,J=10.1,14.9Hz),13.60(1H,s);FAB−MS m/z 233[M+H]+.
参考例6:化合物10
化合物10は、テトラヘドロン(Tetrahedron)、31巻、1593頁(1975年)記載の方法によって得ることができるが、化合物7のメチル化によっても得ることができた。
参考例3で得られた化合物7(424mg;2.08mmol)を30mLのアセトンに溶解し、炭酸カルシウム(650mg;4.70mmol)およびヨウ化メチル(0.260mL;4.18mmol)を加え、1時間加熱還流した。反応液を室温にて放冷後、酢酸エチル(50mL)で希釈し、1mol/L塩酸水溶液を添加して抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮して得られた残渣(410mg)をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(30mL;n−ヘキサン/酢酸エチル=4/1)で精製し、化合物10を113mg得た(収率25%)。
化合物10:
1H−NMR(CDCl3)δ(ppm):1.91(3H,d,J=5.0Hz),3.85(3H,s),6.26−6.40(2H,m),6.43−6.47(2H,m),6.92(1H,d,J=14.9Hz),7.48(1H,dd,J=9.9,14.9Hz),7.71(1H,d,J=9.5Hz),13.50(1H,s);FAB−MS m/z 219[M+H]+
参考例7:化合物11
参考例3で得られた化合物7(137mg;0.672mmol)を25mLのアセトンに溶解し、炭酸カルシウム(1.50g;10.85mmol)およびヨウ化メチル(1.50mL;24.1mmol)を加え、3時間加熱還流した。参考例6と同様の後処理を行い、化合物11を122mg得た(収率78%)。
化合物11:
1H−NMR(CDCl3)δ(ppm):1.85(3H,d,J=6.2Hz),3.83(3H,s),3.84(3H,s),6.12−6.32(2H,m),6.46(1H,d,J=2.2Hz),6.51(1H,dd,J=2.2,8.6Hz),6.81(1H,d,J=15.2Hz),7.25(1H,dd,J=11.0,15.0Hz),7.66(1H,d,J=8.6Hz);FAB−MS m/z 233[M+H]+.
参考例8:化合物13(Cytochalasin E)
化合物13は、ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサエティ,パーキン・トランサクション1(J.Chem.Soc.,Perkin Trans.1)、541頁(1982年)、アグリカルチュラル・アンド・バイオロジカル・ケミストリー(Agric.Biol.Chem.)、53巻、1699頁(1989年)等に記載の方法に準じて、該化合物の生産能を有する糸状菌を培養し、培養液中から単離精製することにより得られた。
化合物13(Cytochalasin E):
1H−NMR(CDCl3,300MHz)δ(ppm):7.27−7.37(3H,m),7.15(2H,d,J=7.0Hz),6.53(1H,d,J=12.5Hz),6.00(1H,brs),5.89(1H,dd,J=8.1,15.0Hz),5.63(1H,d,J=12.5Hz),5.23(1H,m),3.71(1H,m),3.02(1H,m),2.94(1H,m),2.89(1H,dd,J=4.2,13.9Hz),2.50−2.70(4H,m),2.31(1H,m),2.15(1H,brd,J=15.0Hz),1.50(3H,s),1.25(3H,s),1.16(3H,d,J=6.1Hz),1.12(3H,d,J=6.8Hz);FAB−MS m/z 496[M+H]+
参考例9:化合物12(Mer−WF1726)
化合物12は、特開平10−114776号に記載の方法に準じて得られる。
化合物12(Mer−WF1726):
1H−NMR(CDCl3,500MHz)δ(ppm):7.06(2H,d,J=8.5Hz),6.86(2H,d,J=8.5Hz),6.51(1H,d,J=11.6Hz),6.16(1H,brs),5.90(1H,dd,J=9.3,14.9Hz),5.61(1H,d,J=11.6Hz),5.23(1H,ddd,J=3.8,10.9,14.9Hz),3.79(3H,s),3.68(1H,m),3.00(1H,dd.J=2.6,5.1Hz),2.94(1H,m),2.82(1H,dd,J=4.5,13.7Hz),2.69−2.60(4H,m),2.29(1H,dq,J=12.5,7.3Hz),2.15(1H,brd,J=13.8Hz),1.49(3H,s),1.25(3H,s),1.16(3H,d,J=6.8Hz),1.10(3H,d,J=7.3Hz);13C−NMR(CDCl3,125MHz)δ(ppm):211.8,170.0,158.9,149.4,142.2,131.6,130.6,128.5,127.9,120.5,114.4,87.1,77.3,60.7,57.3,55.3,53.8,48.0,45.9,44.1,40.9,39.1,35.9,24.4,20.1,19.7,13.3;FAB−MS m/z 526[M+H]+.
参考例10:化合物26(Aspochalasin C)、化合物27(Aspochalasin D)および化合物28(Aspochalasin E)
化合物26(Aspochalasin C)、化合物27(Aspochalasin D)および化合物28(Aspochalasin E)は実施例13に記載の方法により、MPC1009糸状菌の培養し、培養液中から単離精製することにより得られた。
また、ヘルベチカ・ヒミカ・アクタ(Helv.Chim.Acta)、62巻、1501頁(1979年)、ジャーナル・オブ・アンチバイオティクス(J.Antibiot.)、46巻、679頁(1993年)等に記載の方法に準じて、該化合物の生産能を有する糸状菌を培養し、培養液中から単離精製することによっても得ることができる。
化合物26(Aspochalasin C):
1H−NMR(CDCl3,400MHz)δ(ppm):7.32(1H,dd,J=0.7,16.3Hz),6.26(1H,dd,J=8.3,16.3Hz),6.07(1H,brs),5.99(1H,brd,J=11.2Hz),5.41(1H,m),3.95(1H,t,J=8.3Hz),3.49(1H,m),3.10(1H,m),3.02(1H,dd,J=3.7,5.4Hz),2.82(1H,brd,J=11.0Hz),2.46(2H,m),2.02(1H,m),1.93(1H,m),1.85(1H,ddd,J=2.7,13.2,13.2Hz),1.77(3H,d,J=1.5Hz),1.55(1H,m),1.41(3H,d,J=1.5Hz),1.24(2H,m),1.23(3H,d,J=7.3Hz),0.91(3H,d,J=6.6Hz),0.90(3H,d,J=6.6Hz);13C−NMR(CDCl3,100MHz)δ(ppm):198.2,174.4,140.8,138.3(2C),130.3,125.8,125.5,77.3,75.1,68.0,51.3,49.7,48.4,43.5,36.4,36.3,35.2,25.2,23.7,21.4,20.0,19.9,13.7;FAB−MS m/z 402[M+H]+.
化合物27(Aspochalasin D):
1H−NMR(CDCl3,300MHz)δ(ppm):7.14(1H,d,J=16.7Hz),6.14(1H,dd,J=5.0,16.5Hz),6.33(1H,brs),5.94(1H,d,J=10.8Hz),5.42(1H,brs),4.58(1H,brs),3.78(1H,brs),3.15(1H,m),3.00(1H,dd,J=2.8,5.7Hz),2.90(1H,d,J=10.8Hz),2.48(1H,m),2.16(2H,m),2.07(1H,m),1.75(3H,s),1.50(2H,m),1.30(3H,s),1.22(3H,d,J=7.3Hz),1.21(1H,m),0.90(3H,d,J=6.4Hz),0.88(3H,d,J=6.4Hz);13C−NMR(CDCl3,75MHz)δ(ppm):197.6,174.9,141.5,140.4,137.4,129.6,125.7,124.2,79.2,75.6,68.0,51.0,49.6,48.3,43.6,39.5,35.1,29.3,25.1,23.6,21.5,19.9,15.6,13.5;FAB−MS m/z 402[M+H]+.
化合物28(Aspochalasin E):
1H−NMR(DMSO−d6,500MHz)δ(ppm):8.10(1H,s),6.02(1H,d,J=10.9Hz),5.33(1H,brs),4.41(1H,d,J=5.9Hz),4.37(1H,d,J=4.0Hz),4.35(1H,brs),3.90(1H,d,J=17.6Hz),3.60(1H,brs),3.24(1H,brs),3.17(1H,brs),3.07(2H,m),2.48−2.40(2H,m),2.00−1.94(2H,m),1.76(1H,dd,J=5.2,17.6Hz),1.70(3H,s),1.60−1.44(2H,m),1.38(3H,d,J=1.1Hz),1.31(1H,m),1.16(3H,d,J=6.9Hz),1.09−0.98(2H,m),0.84(3H,d,J=6.6Hz),0.83(3H,d,J=6.5Hz);FAB−MS m/z 420[M+H]+.
参考例11:化合物22および化合物25(Aspochalasin B)
参考例10で得られる化合物27(31.7mg;0.0791mmol)をジクロロメタン(5mL)に溶解し、二酸化マンガン(250mg;2.44mmol)を加えて室温で2時間撹拌した。反応液をセライトを用いてろ過し、ろ液を濃縮した後、シリカゲル分取薄層クロマトグラフィー(クロロホルムとメタノールの混合溶媒)による精製を行い、化合物25(13.6mg;収率43%)および化合物22(5.1mg;収率16%)を得た。
また、化合物25(Aspochalasin B)はヘルベチカ・ヒミカ・アクタ(Helv.Chim.Acta)、62巻、1501頁(1979年)に記載の方法に準じて、該化合物の生産能を有する糸状菌を培養し、培養液中から単離精製することによっても得ることができる。
化合物25(Aspochalasin B):
1H−NMR(CDCl3,300MHz)δ(ppm):8.28(1H,d,J=16.5Hz),6.52(1H,d,J=16.5Hz),6.33(1H,d,J=11.2Hz),5.99(1H,brs),5.44(1H,brs),4.82(1H,brd,J=6.1Hz),3.59(1H,brs),3.19(1H,t,J=4.6Hz),3.11(1H,m),2.74(1H,brd,J=11.4Hz),2.62(1H,m),2.38(2H,m),1.86(1H,m),1.79(3H,brs),1.57(3H,m),1.24(3H,d,J=7.0Hz),1.22(3H,s),0.92(3H,d,J=5.9Hz),0.90(3H,d,J=6.2Hz);13C−NMR(CDCl3,75MHz)δ(ppm):205.1,195.5,173.2,141.6,138.8,136.4,126.5(2C),124.7,74.7,68.9,51.7,48.2,47.5,41.6,39.7,34.8,32.4,25.2,23.7,21.1,20.2,15.5,13.8;FAB−MS m/z 400[M+H]+.
化合物22:
1H−NMR(CDCl3,300MHz)δ(ppm):9.77(1H,brs),9.75(1H,d,J=7.7Hz),7.76(1H,d,J=15.8Hz),6.78(1H,dd,J=7.7,15.8Hz),6.12(1H,brs),5.76(1H,d,J=10.3Hz),5.34(1H,brs),3.23(1H,d,J=9.9Hz),3.16(1H,m),2.74(1H,t,J=4.8Hz),2.54(3H,m),2.33(2H,m),1.76(3H,brs),1.54(1H,m),1.50(3H,s),1.34(1H,m),1.21(3H,d,J=7.3Hz),0.92(6H,d,J=6.6Hz);FAB−MS m/z 400[M+H]+.
参考例12:化合物24(Aspochalasin A)
参考例11で得られる化合物25(28.9mg;0.0724mmol)をピリジン(0.5mL)に溶かし、トリエチルアミン(0.5mL)を加えて、室温で19時間撹拌した。反応液を水に注ぎ込み、クロロホルム(20mL)で抽出し、0.5mol/L塩酸水で洗浄した。シリカゲル分取薄層クロマトグラフィー(クロロホルム−メタノール)で精製し、化合物24(21.2mg;収率73%)を得た。
また、化合物24はヘルベチカ・ヒミカ・アクタ(Helv.Chim.Acta)、62巻、1501頁(1979年)に記載の方法に準じて、該化合物の生産能を有する糸状菌を培養し、培養液中から単離精製することによっても得ることができる。
化合物24:
1H−NMR(CDCl3,300MHz)δ(ppm):6.73(1H,brs),6.22(1H,d,J=11.0Hz),5.32(1H,brs),3.94(1H,dd,J=12.8,19.4Hz),3.67(1H,m),3.14−3.07(2H,m),2.94(1H,brd,J=9.5Hz),2.79(1H,brt,J=12.8Hz),2.55−2.40(3H,m),2.38−2.02(2H,m),1.99(1H,m),1.72(3H,s),1.56(1H,m),1.48(3H,s),1.19(3H,J=6.6Hz),1.16(2H,m),0.94(6H,d,J=6.6Hz);13C−NMR(CDCl3,75MHz)δ(ppm):208.7,202.6,197.6,175.5,140.0,135.7,125.1,124.8,66.3,52.1,50.7,48.7,43.4,38.8,36.6,35.3,31.4,31.2,25.0,23.5,21.4,19.9,14.8,13.4;FAB−MS m/z 400[M+H]+.
参考例13:化合物23
参考例11で得られる化合物25(216mg;0.541mmol)を酢酸エチル(30mL)に溶解し10%パラジウム−炭素(150mg)を加えて、水素雰囲気下、室温で4時間撹拌した。触媒をろ別した後、シリカゲル分取薄層クロマトグラフィー(クロロホルムとメタノールの混合溶媒)による精製を行い、化合物23を92.3mg得た(収率43%)。
化合物23:
1H−NMR(CDCl3,300MHz)δ(ppm):7.01(1H,brs),6.00(1H,d,J=10.6Hz),4.17(1H,brs),3.40(1H,m),2.89−2.76(3H,m),2.42−1.76(7H,m),1.64−1.44(2H,m),1.32(3H,d,J=1.1Hz),1.25−1.03(2H,m),0.92−0.85(15H,m);FAB−MS m/z 402[M+H]+.
産業上の利用可能性
本発明により、非ペプチド性化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有するSH3ドメイン結合阻害剤が提供される。また、本発明によりSH3ドメイン結合阻害剤として有用な化合物またはその薬理学的に許容される塩が提供される。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
第1図は、化合物(I)および(VI)を濃度を変えて添加した場合のイン・ビトロでのSam68ΔCとFyn−SH3の結合阻害アッセイの結果を示すものである。各レーン上部の数字は化合物番号およびSam68ΔC溶液に添加した各化合物の濃度(μmol/L)を示す。左側の記載は、各ブロットの名称を示す。
第2図は、化合物1および化合物(IIIa)を濃度を変えて添加した場合のイン・ビトロでのSam68ΔCとFyn−SH3の結合阻害アッセイの結果を示る。各レーン上部の数字は化合物番号およびSam68ΔC溶液に添加した各化合物の濃度(μmol/L)を示す。左側の記載は、各ブロットの名称を示す。
第3図は、化合物1、化合物(II)および(IIIa)を濃度を変えて添加した場合のイン・ビトロでのSam68ΔCとFyn−SH3の結合阻害アッセイの結果を示すものである。各レーン上部の数字は化合物番号およびSam68ΔC溶液に添加した各化合物の濃度(μmol/L)を示す。左側の記載は、各ブロットの名称を示す。
第4図は、化合物1を濃度を変えて添加した場合の細胞内のSrcとSam68の結合阻害アッセイの結果を示すものである。各レーン上部の数字はHCT116細胞に添加した化合物1の濃度(μmol/L)を示す。左側の記載は、ブロットの名称を示す。
第5図は、化合物1を濃度を変えて添加した場合の細胞内のPLCγとSam68の結合阻害アッセイの結果を示すものである。各レーン上部の数字はHCT116細胞に添加した化合物1の濃度(μmol/L)を示す。左側の記載は、ブロットの名称を示す。
第6図は、化合物1を濃度を変えて添加した場合の細胞内のGrb2とSos1の結合阻害アッセイの結果を示すものである。各レーン上部の数字はHCT116細胞に添加した化合物1の濃度(μmol/L)を示す。左側の記載は、ブロットの名称を示す。
第7図は、化合物1を濃度を変えて添加した場合の細胞内のCortactinとZO1の結合阻害アッセイの結果を示すものである。各レーン上部の数字はHCT116細胞に添加した化合物1の濃度(μmol/L)を示す。左側の記載は、ブロットの名称を示す。
第8図は、化合物1および3を濃度を変えて添加した場合のイン・ビトロでのNefとLynの結合阻害アッセイの結果を示すものである。各レーン上部の数字は化合物番号およびNefとLynの混合溶液に添加した化合物の濃度(μmol/L)を示す。左側の記載は、ブロットの名称を示す。
第9〜11図は、化合物1を濃度を変えて添加した場合のHIV−1増殖抑制試験の結果(RT Assay)を示すものであり、同条件で3回の試験を実施した結果である。グラフの縦軸左側は、HIV−1の量をRT活性のカウント(cpm/μL)として示したものであり、グラフの横軸下側は、HIV−1を感染させてからの経過日数(日)を示す。グラフ上の各プロットの意味は、以下の通りである。
□:positive contorol,×:negative contorol,●:化合物1(50μmol/L),▲:化合物1(25μmol/L),■:化合物1(10μmol/L),○:化合物1(5μmol/L),△:化合物1(1μmol/L)
第12〜14図は、PP2を濃度を変えて添加した場合のHIV−1増殖抑制試験の結果(RT Assay)を示すものであり、同条件で3回の試験を実施した結果である。グラフの縦軸左側は、HIV−1の量をRT活性のカウント(cpm/μL)として示したものであり、グラフの横軸下側は、HIV−1を感染させてからの経過日数(日)を示す。グラフ上の各プロットの意味は、以下の通りである。
□:positive contorol,×:negative contorol,●:PP2(50μmol/L),▲:PP2(25μmol/L),■:PP2(10μmol/L),○:PP2(5μmol/L),△:PP2(1μmol/L)
Claims (57)
- SH3ドメイン結合阻害活性を有する非ペプチド性化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有するSH3ドメイン結合阻害剤。
- 非ペプチド性化合物が、分子量750未満の低分子化合物である請求の範囲1記載のSH3ドメイン結合阻害剤。
- SH3ドメイン結合阻害活性を有する非ペプチド性化合物が、一般式(I)
(式中、R1、R3a、R3bおよびR4は、同一または異なって、水素原子、ヒドロキシ、カルボキシ、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルコキシまたは置換もしくは非置換の低級アルカノイルオキシを表すか、またはR3aとR3bが一緒になって酸素原子を表し、R2aおよびR2bは、同一または異なって、水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキルまたは置換もしくは非置換の低級アルケニルを表し、R5aおよびR5bは、同一または異なって、水素原子、ヒドロキシ、カルボキシ、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換の低級アルカノイルオキシ、置換もしくは非置換の低級アルケノイルオキシまたは置換もしくは非置換の低級アルカノイルアミノカルボニルオキシを表すか、またはR5aとR5bが一緒になって酸素原子を表し、Xは酸素原子または−CH2−を表す)で表される化合物である請求の範囲1または2記載のSH3ドメイン結合阻害剤。 - SH3ドメイン結合阻害活性を有する非ペプチド性化合物が、一般式(II)
(式中、R6は水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキルまたは置換もしくは非置換の低級アルケニルを表し、R7およびR9は、同一または異なって、水素原子、ホルミル、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルカノイルまたは置換もしくは非置換のアラルキルを表し、R8、R10およびR11は、同一または異なって、水素原子、ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、置換もしくは非置換の低級アルカノイル、ホルミル、シアノ、ニトロ、アミノ、モノもしくはジ低級アルキルアミノ、置換もしくは非置換の低級アルカノイルアミノまたは置換もしくは非置換の低級アルコキシカルボニルを表す)で表される化合物である請求の範囲1または2記載のSH3ドメイン結合阻害剤。 - SH3ドメイン結合阻害活性を有する非ペプチド性化合物が、サイトカラシン類である請求の範囲1または2記載のSH3ドメイン結合阻害剤。
- SH3ドメイン結合阻害活性を有する非ペプチド性化合物が、一般式(IIIb)
[式中、R12bは前記R12aと同義であり、Q3およびQ5は、同一または異なって、単結合または酸素原子を表し、−−−−は単結合または二重結合を表し、−−−−Q4 −−−−は=C(CH3)−、−C(=CH2)−、−CH(CH3)−または−C(CH3)=を表し、R12cおよびR12hは、同一または異なって、水素原子またはヒドロキシを表し、R12dおよびR12eは、同一または異なって、水素原子またはメチルを表し、R12fおよびR12gはホルミルを表すか、またはR12fとR12gが一緒になって、−−−−CR12hR12gと−CHR12eR12fの部分が、−−−−CR12h−C(OH)(CH3)−C(=O)−CHR12e−または−−−−CR12h−A−B−CHR12e−(式中、AおよびBは、同一または異なって、−CH(OH)−、−CH2−または−C(=O)−を表す)を表す]で表される化合物である請求の範囲1または2記載のSH3ドメイン結合阻害剤。 - Xが酸素原子であり、R2a、R3a、R4およびR5bが水素原子であり、R1およびR3bが同一または異なって、ヒドロキシ、カルボキシ、置換もしくは非置換の低級アルコキシまたは置換もしくは非置換の低級アルカノイルオキシであり、R2bが置換もしくは非置換の低級アルキルであり、R5aが一般式(IV)
[式中、R5cは置換もしくは非置換の低級アルキルを表し、R5dおよびR5eは、同一または異なって、水素原子、ヒドロキシまたは置換もしくは非置換の低級アルコキシを表すか、またはR5dとR5eが一緒になって酸素原子を表し、R5fおよびR5hは、水素原子、ホルミル、置換もしくは非置換の低級アルキルまたは置換もしくは非置換の低級アルカノイルを表し、R5gはホルミル、−CH=NQ(式中、Qは置換もしくは非置換の低級アルコキシ、置換もしくは非置換のアリールオキシ、置換もしくは非置換のアラルキルオキシ、置換もしくは非置換の低級アルキルアミノ、置換もしくは非置換のアリールアミノまたは置換もしくは非置換のアリールスルホニルアミノを表す)、置換もしくは非置換の低級アルキルまたは置換もしくは非置換の低級アルカノイルを表し、R5iおよびR5jは、同一または異なって、水素原子、ヒドロキシまたは置換もしくは非置換の低級アルコキシを表すか、またはR5iとR5jが一緒になって酸素原子を表す]である請求の範囲3記載のSH3ドメイン結合阻害剤。 - 一般式(VI)
[式中、R1A、R3AおよびR3Bは、同一または異なって、水素原子、ヒドロキシ、カルボキシ、置換もしくは非置換の低級アルコキシまたは置換もしくは非置換の低級アルカノイルオキシを表すか、またはR3AとR3Bが一緒になって酸素原子を表し、R2Aは置換もしくは非置換の低級アルキルを表し、R5c、R5d、R5e、R5f、R5h、R5iおよびR5jは、それぞれ前記と同義であり、R5Gはホルミル、ヒドロキシメチル、置換もしくは非置換の低級アルコキシメチル、置換もしくは非置換の低級アルカノイルオキシメチル、置換もしくは非置換の低級アルカノイルメチルまたは−CH=NQA(式中、QAは置換もしくは非置換の低級アルコキシ、置換もしくは非置換のアリールオキシまたは置換もしくは非置換のアラルキルオキシを表す)を表すが、ただしR5Gがホルミルであり、R3AまたはR3Bの一方が水素原子であるとき、R3AまたはR3Bの他方はヒドロキシとはならない]で表される化合物またはその薬理学的に許容される塩。 - 請求の範囲9または10記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する医薬。
- 請求の範囲11記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する医薬。
- 請求の範囲9または10記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有するSH3ドメイン結合阻害剤。
- 請求の範囲11記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有するSH3ドメイン結合阻害剤。
- SH3ドメイン結合が、SH3ドメインを有する蛋白質とプロリンリッチ配列を有する蛋白質の結合である請求の範囲1〜8、14および15のいずれかに記載のSH3ドメイン結合阻害剤。
- SH3ドメインを有する蛋白質および/またはプロリンリッチ配列を有する蛋白質が、ウイルスに由来する蛋白質である請求の範囲16記載のSH3ドメイン結合阻害剤。
- ウイルスに由来する蛋白質が、レトロウイルス、肝炎ウイルスまたはヘルペスウイルスに由来する蛋白質である請求の範囲17記載のSH3ドメイン結合阻害剤。
- SH3ドメインを有する蛋白質が、Src、Yes、Fgr、Hck、Lck、Abl、Fyn、Lyn、Blk、Yrk、Ras−GAP、PLCγ、PI3K、Tec、Txk/Rlk、Tsk/Emt/Itk、Btk、Crk、Grb2、Nck、Vav、STAT、Cortactin、p40−phox、p67−phox、p47−phox、TCRのシグナル分子(TCRsm)またはIL−2Rのβ鎖もしくはγ鎖である請求の範囲16記載のSH3ドメイン結合阻害剤。
- プロリンリッチ配列を有する蛋白質が、HIV−1Nef、p22−phox、p47−phox、Sam68、Sos1、Dynamin、c−Cbl、ZO1、pX ORF I、LHDAg、NS5A、pORF3、ICP10、LMP2A、TipまたはTioである請求の範囲16または19記載のSH3ドメイン結合阻害剤。
- SH3ドメインを有する蛋白質とプロリンリッチ配列を有する蛋白質の結合が、Grb2とSos1、FynとSam68、SrcとSam68、PLCγとSam68、Grb2とSam68、LynとHIV−1Nef、HckとHIV−1Nef、TCRsmとHIV−1Nef、p47−phoxとp22−phox、p67−phoxとp47−phox、LynとDynamin、CortactinとZO1、Lynとc−Cbl、IL−2Rのβ鎖もしくはγ鎖とpX ORF I、Grb2とNS5A、SrcとpORF3、HckとpORF3、FynとpORF3、PI3KとpORF3、PLCγとpORF3、Grb2とpORF3、Grb2とICP10、LynとLMP2A、LckとTip、LynとTio、HckとTio、LckとTio、SrcとTio、FynとTioまたはYesとTioの結合である請求の範囲16記載のSH3ドメイン結合阻害剤。
- SH3ドメインを有する蛋白質とプロリンリッチ配列を有する蛋白質の結合が、Grb2とSos1、FynとSam68、SrcとSam68、PLCγとSam68、Grb2とSam68、LynとHIV−1NefまたはCortactinとZO1の結合である請求の範囲16記載のSH3ドメイン結合阻害剤。
- 請求の範囲9または10記載の化合物の製造に使用されるクロサイワイタケ目糸状菌類(Xylariales filamentous fungus)MPC1005(受託番号:FERM BP−7980)、アスペルギルス スペシーズ(Aspergillus sp.)MPC1006(受託番号:FERM BP−7899)およびアスペルギルス スペシーズ(Aspergillus sp.)MPC1009(受託番号:FERM BP−7900)からなる群から選ばれる微生物。
- 請求の範囲9または10記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する抗腫瘍剤。
- 請求の範囲11記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する抗腫瘍剤。
- 請求の範囲9または10記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有するアレルギー性疾患治療剤。
- 請求の範囲11記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有するアレルギー性疾患治療剤。
- 請求の範囲9または10記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有するウイルス性疾患治療剤。
- 請求の範囲11記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有するウイルス性疾患治療剤。
- 請求の範囲9または10記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有するAIDS治療剤。
- 請求の範囲11記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有するAIDS治療剤。
- SH3ドメイン結合阻害剤の製造のための請求の範囲9または10記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩の使用。
- SH3ドメイン結合阻害剤の製造のための請求の範囲11記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩の使用。
- 抗腫瘍剤の製造のための請求の範囲9または10記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩の使用。
- 抗腫瘍剤の製造のための請求の範囲11記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩の使用。
- アレルギー性疾患治療剤の製造のための請求の範囲9または10記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩の使用。
- アレルギー性疾患治療剤の製造のための請求の範囲11記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩の使用。
- ウイルス性疾患治療剤の製造のための請求の範囲9または10記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩の使用。
- ウイルス性疾患治療剤の製造のための請求の範囲11記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩の使用。
- AIDS治療剤の製造のための請求の範囲9または10記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩の使用。
- AIDS治療剤の製造のための請求の範囲11記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩の使用。
- 請求の範囲9または10記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩の有効量を投与することを特徴とするSH3ドメイン結合が関与する各種疾患の治療および/または予防方法。
- 請求の範囲11記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩の有効量を投与することを特徴とするSH3ドメイン結合が関与する各種疾患の治療および/または予防方法。
- 請求の範囲9または10記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩の有効量を投与することを特徴とする悪性腫瘍の治療方法。
- 請求の範囲11記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩の有効量を投与することを特徴とする悪性腫瘍の治療方法。
- 請求の範囲9または10記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩の有効量を投与することを特徴とするアレルギー性疾患の治療および/または予防方法。
- 請求の範囲11記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩の有効量を投与することを特徴とするアレルギー性疾患の治療および/または予防方法。
- 請求の範囲9または10記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩の有効量を投与することを特徴とするウイルス性疾患の治療方法。
- 請求の範囲11記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩の有効量を投与することを特徴とするウイルス性疾患の治療方法。
- 請求の範囲9または10記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩の有効量を投与することを特徴とするAIDSの治療方法。
- 請求の範囲11記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩の有効量を投与することを特徴とするAIDSの治療方法。
- SH3ドメイン結合阻害活性を有する化合物またはその薬理学的に許容される塩の有効量を投与することを特徴とするAIDSの治療方法。
- SH3ドメイン結合阻害活性を有する化合物またはその薬理学的に許容される塩の有効量を投与することを特徴とするウイルス性疾患の治療方法。
- SH3ドメイン結合阻害活性を有する化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有するAIDS治療剤。
- SH3ドメイン結合阻害活性を有する化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有するウイルス性疾患治療剤。
- AIDS治療剤の製造のためのSH3ドメイン結合阻害活性を有する化合物またはその薬理学的に許容される塩の使用。
- ウイルス性疾患治療剤の製造のためのSH3ドメイン結合阻害活性を有する化合物またはその薬理学的に許容される塩の使用。
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