JPH085274A - 回転蓄熱式熱交換器のシール部材 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ガスタービン等に使用される回転蓄熱式熱交
換器において、高圧空気通路と低圧ガス通路とをシール
するインナシール及びアウタシール等のシール部材の高
圧空気と低圧ガスとの圧力及び熱変形による高面圧の発
生を防止してシール部材とコアの端面との面圧を均一化
することにより、コア及びシール部材の面圧過大による
破損を防止する。 【構成】 前記シール部材のシューの断面形状を、厚肉
の両端部間にこれよりも薄肉に形成された肉抜き部を有
してなるように構成し、シュー中央部の可撓性を増加せ
しめる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はガスタービン等に使用さ
れる回転蓄熱式熱交換器のシール部材に関する。

【０００２】

【従来の技術】ガスタービン、各種熱回収プラント等に
おいては装置の熱効率の向上を図る手段の１つとして回
転蓄熱式熱交換器が用いられている。この回転蓄熱式熱
交換器は、高温ガスによって加熱された回転可能な固体
（コア）を熱交換体として利用するものであって固体を
一定時間高温ガス中にさらして熱を吸収させて蓄熱した
後に回転させて蓄熱面を移動し、次の一定時間蓄熱面を
低温ガスに接触せしめて固体に蓄えられた熱を低温ガス
中に放熱させることにより熱エネルギーを回収するもの
である。

【０００３】図１に前記回転蓄熱式熱交換器の概要を示
す。図において１は多数の細孔が形成されたセラミック
ス製ハニカム状エレメントを備えた円柱状のコアであ
り、該コア１はこれの外周に固着されたリングギヤ１ａ
を介して駆動源（ガスタービンのロータ軸等）により回
転軸Ｚ廻りに回転駆動せしめられる。

【０００４】６は燃焼器（図示せず）への高圧低温の空
気が流通する高圧低温空気通路、５はタービン（図示せ
ず）からの低圧高温のガスが流通する低圧高温ガス通路
であり、該高圧低温空気通路６と低圧高温ガス通路５と
はコア１の上端面１ｂにおいてアウタシール３により、
コア１の下端面１ｃにおいてインナシール２により夫々
シールされている。即ち前記アウタシール３の下面（摺
動面）とコアの上端面１ｂとが、インナシール２の上面
（摺動面）とコアの下端面１ｃとが夫々摺接されて両通
路５，６をシールされた状態でコア１が回転せしめられ
る。

【０００５】図２に前記インナシール２の平面図を、図
３に前記アウタシール３の平面図を、図５に図２のＡ−
Ａ断面及び図３のＢ−Ｂ断面に相当するインナシール２
及びアウタシール３の断面形状を示す。

【０００６】図５において１１は耐熱材料からなるシュ
ー、１０ａ，１０ｂは該シュー１１の反摺動面側に取付
けられた耐熱性ばね材料からなるダイヤフラムである。

【０００７】前記ダイヤフラム１０ａ，１０ｂの弾力に
よりインナシール２又はアウタシール３は、その一面
（ダイヤフラム面）がハウジング４の端面４ａに押圧さ
れるとともに、他面（シュー１１の摺接面１３）がコア
１の端面１ｃ又は１ｂに摺動自在に当接せしめられて、
高圧低温空気通路６と低圧高温ガス通路５との間をシー
ルして高圧空気の低圧側への洩れを防止することとな
る。

【０００８】

【発明が解決しよとする課題】前記インナシール２及び
アウタシール３は、シュー１１下面の摺動面１３が全面
で均一にコア１と接触することが要求される。

【０００９】しかしながら、図５に示されるような従来
のインナシール２及びアウタシール３にあっては、始動
時である常温状態では、シール部材自体の温度が低いた
め、シュー１１は、図６（ａ）に示されるように、やや
下に凸に撓む。一方、運転状態である高温状態ではシー
ル部材自体が高温となってシュー１１は図６（ｂ）に示
されるように、熱変形により上に凸に撓む。

【００１０】このためシュー１１の摺接面１３の両端１
３ａ，１３ｂとコア１との間に局部的に高面圧が発生す
る。しかるにコア１はセラミックス材からなっており、
しかもハニカム状に多数の細孔（ガス通路）が穿設され
た構造であるため、シュー１１と接触する端面１ａ部は
脆性が大きく前記局部的な高面圧によりコア１がこの高
面圧部位から破損を起こす。

【００１１】本発明の目的は、ガスタービン等に使用さ
れる回転蓄熱式熱交換器において、高圧空気通路と低圧
ガス通路とをシールするインナシール及びアウタシール
等のシール部材の高圧空気と低圧ガスとの圧力差及び熱
変形による高面圧の発生を防止してシール部材とコアの
端面との面圧を均一化することにより、コア及びシール
部材の面圧過大による破壊を防止することである。

【００１２】

【課題を解決するための手段】本発明は前記問題点に鑑
みてなされたものであって、この特徴とするところは、
支軸廻りに回転駆動され両端面間を連通する多数の細流
路を有する円柱状のコアと、該コアを支承するハウジン
グに当接されるダイヤフラム及び前記コアの両端面に摺
接するシューを有するシール部材とを備え、該シール部
材により高圧ガスと低圧ガスの流路域を区画して構成さ
れた回転蓄熱式熱交換器において、前記シール部材のシ
ューの断面形状を、厚肉の両端部間にこれよりも薄肉に
形成された肉抜き部を有してなるように構成し、シュー
中央部の剛性を低減し、可撓性を増加せしめたことであ
る。

【００１３】

【作用】本発明は、前記のようにシール部材のシューの
断面形状において、中央部に薄肉の肉抜き部を形成した
ので、シュー中央部の可撓性が増大し、回転蓄熱式熱交
換器の運転時において、シール部材が高温になることに
より生ずるシューの熱変形を打ち流す方向に高圧空気通
路からの高圧空気の圧力が肉抜き部に作用することとな
り、これによりシューの変形は均一化される。

【００１４】従って、従来のもののようなシューの両端
部とコアとの間に局部的な面圧過大現象の発生が阻止さ
れ、シューとコアの端面とは常時均一な面圧で摺接せし
められて、前記面圧過大によるコアの破損の発生が防止
される。

【００１５】

【実施例】以下、図面に基づいて本発明の実施例を例示
的に詳しく説明する。但し、この実施例に記載されてい
る構造部品の寸法，材質，形状，その相対位置などは特
に特例的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれの
みに限定する趣旨でなく単なる説明例に過ぎない。

【００１６】図２は、図１に示す回転蓄熱式熱交換器の
インナシール２の平面図、図３はアウタシール３の平面
図を示し、図４は図２に示すインナシール２のＡ−Ａ断
面図及び図３に示すアウタシール３のＢ−Ｂ断面図を示
す。

【００１７】図２において、２ａはインナシール２の円
環状のリム部、２ｂは該リム部２ａの中央部間を凍結す
るクロスアーム部である。

【００１８】また、図３において、アウタシール３は半
円環状のリム部３ａの両端をクロスアーム部３ｂにて連
結して構成されている。

【００１９】前記インナシール２及びアウタシール３の
断面形状は図４のように構成されており、図４において
２１はステンレス系耐熱鋼等の耐熱材料から成るシュ
ー、１０ａ，１０ｂは該シュー２１の反摺動面側に取付
けられた耐熱性ばね材料から成るダイヤフラムである。

【００２０】前記シュー２１の摺動面２１ｂ側には耐摩
耗性材料がコーティングされ、該コーティング面がコア
１の端面１ｃ，１ｂに摺接されている。一方、前記ダイ
ヤフラム１０の上面１０ａはハウジング４の端面４ａに
摺接されている。

【００２１】即ち、前記インナシール２又はアウタシー
ル３は、図１及び図４に示すように、コア１の端面１
ｃ，１ｂとハウジング４の端面４ａとの間のガス流通空
間内において、ダイヤフラム１０ａ，１０ｂのばね力に
よって、その１面（インナシールの場合は下面）が一定
の圧力でハウジング４に押圧されるとともに、他面（イ
ンナシールの場合は上面）即ち摺動面１３がコア１の端
面に該コア１が滑らかに回転可能となるように当接せし
められるようになっている。

【００２２】前記インナシール２、アウタシール３のシ
ール部材のシュー２１は、その断面形状（図２，図３の
Ａ−Ａ断面及びＢ−Ｂ断面）において、中央部に厚さｔ
なる薄肉とした肉抜き部２１ａを形成して中央部の剛性
を小さくし、可撓性有する形状に構成されている。

【００２３】前記肉厚ｔは、ダイヤフラム１０ａ，１０
ｂのばね定数、高圧空気通路６と低圧ガス通路５との最
大圧力差、シュー２１の最高温度等の外力要件及びシュ
ー材自体の高温強度を考慮して所要の可撓性を有しかつ
運転時に疲労破壊を起こさないような数値に設定され
る。

【００２４】前記のように構成されたシール部材（イン
ナシール２及びアウタシール３）を備えたガスタービン
用回転蓄熱式熱交換器の運転時において、負荷が増加す
ると、高圧低温空気通路６内の圧力が上昇して該空気通
路６と低圧高温ガス通路５内との圧力差が増加するとと
もに、インナシール２及びアウタシール３の温度が上昇
する。

【００２５】この際において、シール部材（インナシー
ル２及びアウタシール３）のシューは熱膨張により図４
のＹ矢印の方向に撓み図６に示す従来のものと同様にそ
の中央部が浮き上がり両端部がコア１の端面１ａに局部
的に強圧されようとするがシュー２１の中央に肉抜き部
２１ａが形成されているので、この部位の剛性が小さく
なることにより可撓性が大きくなる。

【００２６】さらに図４に示すように、肉抜き部２１ａ
の上面に前記高圧空気の圧力ｐが加わるのでシュー２１
の中央部にこれをコア端面１ａへ押付けようとする力が
作用し、中央部の浮き上がりが阻止され、シュー２１は
コア１の端面に均一に押圧される。これによりシュー２
１の摺接面１３とコア１の端面１ａとの間の局部的な面
圧上昇の発生が阻止される。

【００２７】尚、前記実施例においては、インナシール
２及びアウタシール３のクロスアーム部２ｂ，３ｂの断
面形状について説明したが、リム部２ａ，３ａにおいて
も前記構成を適用できのは勿論である。

【００２８】

【発明の効果】本発明によれば、シール部材のシューの
断面形状において、中央部に薄肉の肉抜き部を形成した
ので、シュー中央部の可撓性が増大し回転蓄熱式熱交換
器の運転時においてシール部材が高温になることにより
生ずるシューの熱変形を打ち消す方向に、高圧空気通路
からの高圧空気の圧力が肉抜き部に作用することとな
り、これによりシューの変形は均一化される。

【００２９】従って従来のもののようなシューの両端部
とコアとの間における局部的な面圧過大現象の発生が阻
止され、シューとコアの端面とは常時均一な面圧で摺接
せしめられて、前記面圧過大によるコアの破損の発生が
防止される。

【図面の簡単な説明】

【図１】ガスタービン用回転蓄熱式熱交換器の概略構造
図。

【図２】インナシールの平面図。

【図３】アウタシールの平面図。

【図４】本発明の実施例に係るシール部材の断面図。

【図５】従来例を示す図４応当図。

【図６】従来例の作用説明図

【符号の説明】

１ コア １ｂ，１ｃ コアの端面 ２ インナシール ３ アウタシール ４ ハウジング ４ａ ハウジングの端面 ５ 低圧高温ガス通路 ６ 高圧低温空気通路 １０ａ，１０ｂ ダイヤフラム １１ シュー ２１ａ 肉抜き部 ２１ｂ 摺接面

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 支軸廻りに回転駆動され両端面間を連通
   する多数の細流路を有する円柱状のコアと、該コアを支
   承するハウジングに当接されるダイヤフラム及び前記コ
   アの両端面に摺接するシューを有するシール部材とを備
   え、該シール部材により高圧ガスと低圧ガスの流路域を
   区画して構成された回転蓄熱式熱交換器において、 前記シール部材のシューの断面形状を、厚肉の両端部間
   にこれよりも薄肉に形成された肉抜き部を有してなるこ
   とを特徴とする回転蓄熱式熱交換器のシール部材。