JPH0852591A - 原子力プラント機器肉盛溶接用粉末並びに原子力プラントバルブ - Google Patents
原子力プラント機器肉盛溶接用粉末並びに原子力プラントバルブInfo
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- JPH0852591A JPH0852591A JP6188128A JP18812894A JPH0852591A JP H0852591 A JPH0852591 A JP H0852591A JP 6188128 A JP6188128 A JP 6188128A JP 18812894 A JP18812894 A JP 18812894A JP H0852591 A JPH0852591 A JP H0852591A
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- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02E—REDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
- Y02E30/00—Energy generation of nuclear origin
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- Butt Welding And Welding Of Specific Article (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 Coを含有しない合金組成を有し、耐摩耗
性、耐焼付性及び耐食性が優れた肉盛り溶接を摺動部に
形成することができる原子力プラント機器溶接用粉末及
び原子力プラントバルブを提供する。 【構成】 原子力プラント機器肉盛溶接用粉末は、C;
0.05乃至0.15重量%、Si;0.3乃至1.0
重量%、Mn;0.1乃至1.0重量%、Cr;45乃
至55重量%、Al;3.0乃至4.0重量%、Nb;
1.5乃至2.5重量%、Fe;1.5乃至2.5重量
%、O;0.050重量%以下、N;0.10乃至0.
60重量%、残部はNi及び不可避的不純物からなる組
成を有する。
性、耐焼付性及び耐食性が優れた肉盛り溶接を摺動部に
形成することができる原子力プラント機器溶接用粉末及
び原子力プラントバルブを提供する。 【構成】 原子力プラント機器肉盛溶接用粉末は、C;
0.05乃至0.15重量%、Si;0.3乃至1.0
重量%、Mn;0.1乃至1.0重量%、Cr;45乃
至55重量%、Al;3.0乃至4.0重量%、Nb;
1.5乃至2.5重量%、Fe;1.5乃至2.5重量
%、O;0.050重量%以下、N;0.10乃至0.
60重量%、残部はNi及び不可避的不純物からなる組
成を有する。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、原子力プラントに使用
されるバルブ等の摺動部に硬化肉盛層を形成するために
使用される原子力プラント機器肉盛り溶接用粉末及びそ
れを使用して摺動部に肉盛溶接した原子力プラントバル
ブに関する。
されるバルブ等の摺動部に硬化肉盛層を形成するために
使用される原子力プラント機器肉盛り溶接用粉末及びそ
れを使用して摺動部に肉盛溶接した原子力プラントバル
ブに関する。
【0002】
【従来の技術】摺動部に使用される部品は、耐食性はも
とより、耐摩耗性及び耐焼付(かじり)性が優れている
ことが要求される場合が多く、原子力プラントバルブの
摺動部も同様に、耐食性、耐摩耗性及び耐焼付性が優れ
ていることが要求されている。そこで、このような摺動
部に、溶射又は粉体肉盛溶接(以下、PTA(Plas
ma Transferred Arc)という)等に
よって、上述の各性能が優れた肉盛層を形成するように
した技術が注目されている。従来、このような用途に使
用する合金粉末としては、ステライト系合金といわれる
Co−Cr−W系の合金がある。
とより、耐摩耗性及び耐焼付(かじり)性が優れている
ことが要求される場合が多く、原子力プラントバルブの
摺動部も同様に、耐食性、耐摩耗性及び耐焼付性が優れ
ていることが要求されている。そこで、このような摺動
部に、溶射又は粉体肉盛溶接(以下、PTA(Plas
ma Transferred Arc)という)等に
よって、上述の各性能が優れた肉盛層を形成するように
した技術が注目されている。従来、このような用途に使
用する合金粉末としては、ステライト系合金といわれる
Co−Cr−W系の合金がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このス
テライト系合金は、Coを約60重量%含んでおり、こ
の材料を原子力プラントバルブの摺動部に適用した場
合、摺動によって生じる摩耗粉は半減期が長い60Coに
核変換する可能性があり、定期検査等の際に汚染が問題
となる。
テライト系合金は、Coを約60重量%含んでおり、こ
の材料を原子力プラントバルブの摺動部に適用した場
合、摺動によって生じる摩耗粉は半減期が長い60Coに
核変換する可能性があり、定期検査等の際に汚染が問題
となる。
【0004】このため、従来からCoを含まない合金材
料が検討されてきている。コルモノイ系合金といわれる
Ni−Cr−Si−B系材料は硬さは十分であるが、耐
焼付性及び耐割れ性がステライト系合金よりかなり劣る
ため、その用途は極めて限定されたものとなる。その
他、Ni系合金も検討されているが、このNi系合金は
特に耐焼付性に問題があると考えられており、実用化に
は至っていない。例えば、特開平1−273693号に
開示されたNi−Cr−Al系合金は、高温における耐
食性及び耐摩耗性ではステライト系合金と同等の性能を
有するものの、低温においてはやはり耐焼付性が十分で
はなく、原子力バルブ等へ用いることは困難である。
料が検討されてきている。コルモノイ系合金といわれる
Ni−Cr−Si−B系材料は硬さは十分であるが、耐
焼付性及び耐割れ性がステライト系合金よりかなり劣る
ため、その用途は極めて限定されたものとなる。その
他、Ni系合金も検討されているが、このNi系合金は
特に耐焼付性に問題があると考えられており、実用化に
は至っていない。例えば、特開平1−273693号に
開示されたNi−Cr−Al系合金は、高温における耐
食性及び耐摩耗性ではステライト系合金と同等の性能を
有するものの、低温においてはやはり耐焼付性が十分で
はなく、原子力バルブ等へ用いることは困難である。
【0005】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであって、Coを含有しない合金組成を有し、耐摩耗
性、耐焼付性及び耐食性が優れた肉盛り溶接を摺動部に
形成することができる原子力プラント機器溶接用粉末及
び原子力プラントバルブを提供することを目的とする。
のであって、Coを含有しない合金組成を有し、耐摩耗
性、耐焼付性及び耐食性が優れた肉盛り溶接を摺動部に
形成することができる原子力プラント機器溶接用粉末及
び原子力プラントバルブを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明に係る原子力プラ
ント機器肉盛溶接用粉末は、C;0.05乃至0.15
重量%、Si;0.3乃至1.0重量%、Mn;0.1
乃至1.0重量%、Cr;45乃至55重量%、Al;
3.0乃至4.0重量%、Nb;1.5乃至2.5重量
%、Fe;1.5乃至2.5重量%、O;0.050重
量%以下、N;0.10乃至0.60重量%、残部はN
i及び不可避的不純物からなることを特徴とする。
ント機器肉盛溶接用粉末は、C;0.05乃至0.15
重量%、Si;0.3乃至1.0重量%、Mn;0.1
乃至1.0重量%、Cr;45乃至55重量%、Al;
3.0乃至4.0重量%、Nb;1.5乃至2.5重量
%、Fe;1.5乃至2.5重量%、O;0.050重
量%以下、N;0.10乃至0.60重量%、残部はN
i及び不可避的不純物からなることを特徴とする。
【0007】本発明に係る原子力プラント用バルブは、
前記原子力プラント機器溶接用粉末を使用して肉盛溶接
した摺動部を有することを特徴とする。
前記原子力プラント機器溶接用粉末を使用して肉盛溶接
した摺動部を有することを特徴とする。
【0008】
【作用】本願発明者等は、従来のNi−Cr−Al系合
金にNbを添加することにより、γ”相及びδ相を析出
させ、これにより耐焼付性及び耐摩耗性を向上させるこ
とができることを見い出し、本発明を完成するに至っ
た。
金にNbを添加することにより、γ”相及びδ相を析出
させ、これにより耐焼付性及び耐摩耗性を向上させるこ
とができることを見い出し、本発明を完成するに至っ
た。
【0009】以下、本発明の原子力プラント機器肉盛溶
接用粉末の成分添加理由及び組成限定理由について説明
する。C(炭素):0.05〜0.15重量% CはCrと結合してM23C6なる炭化物を結晶粒界に形
成して粒界結合力を強化する作用がある。また、Cは固
溶体を強化する成分である。このような効果を得るため
には、Cを0.05重量%以上添加することが必要であ
る。しかし、Cが0.15重量%を超えると、γ’相
(Ni3Al)、γ”相(Ni3Nb)の析出が減少する
ため、肉盛層の強度及び硬さが低下することになる。こ
のような理由で、Cの含有量を0.05〜0.15重量
%とする。
接用粉末の成分添加理由及び組成限定理由について説明
する。C(炭素):0.05〜0.15重量% CはCrと結合してM23C6なる炭化物を結晶粒界に形
成して粒界結合力を強化する作用がある。また、Cは固
溶体を強化する成分である。このような効果を得るため
には、Cを0.05重量%以上添加することが必要であ
る。しかし、Cが0.15重量%を超えると、γ’相
(Ni3Al)、γ”相(Ni3Nb)の析出が減少する
ため、肉盛層の強度及び硬さが低下することになる。こ
のような理由で、Cの含有量を0.05〜0.15重量
%とする。
【0010】Si(ケイ素):0.3〜1.0重量% Siは合金の脱酸作用を有する他、溶湯の流動性を高め
る作用がある。このため、Siは0.3重量%以上添加
することが必要である。しかし、Si含有量が1.0重
量%を超えると、溶接時の耐割れ性を低下させることに
なる。このため、Siの含有量を0.3〜1.0重量%
とする。
る作用がある。このため、Siは0.3重量%以上添加
することが必要である。しかし、Si含有量が1.0重
量%を超えると、溶接時の耐割れ性を低下させることに
なる。このため、Siの含有量を0.3〜1.0重量%
とする。
【0011】Mn(マンガン):0.1〜1.0重量% Mnは脱酸作用の他、M23C6を結晶粒界部に析出させ
る効果を有する。このような効果を発揮するためには、
Mnを0.1重量%以上添加することが必要である。し
かし、Mn含有量が1.0重量%を超えると、脆化層の
析出が促進され、延性が低下してしまう。従って、Mn
の含有量を0.1〜1.0重量%とした。
る効果を有する。このような効果を発揮するためには、
Mnを0.1重量%以上添加することが必要である。し
かし、Mn含有量が1.0重量%を超えると、脆化層の
析出が促進され、延性が低下してしまう。従って、Mn
の含有量を0.1〜1.0重量%とした。
【0012】Cr(クロム):45〜55重量% CrはM23C6なる炭化物を形成し、粒界結合力を強化
する作用がある。また、Crは耐応力腐食割れ性を向上
させる効果を有する。このような効果を得るため、Cr
を45重量%以上添加することが必要である。しかし、
55重量%を超えてCrを含有すると、脆化層が多くな
り、耐割れ性が低下することになる。従って、Crの含
有量は45〜55重量%である。
する作用がある。また、Crは耐応力腐食割れ性を向上
させる効果を有する。このような効果を得るため、Cr
を45重量%以上添加することが必要である。しかし、
55重量%を超えてCrを含有すると、脆化層が多くな
り、耐割れ性が低下することになる。従って、Crの含
有量は45〜55重量%である。
【0013】Al(アルミニウム):3.0〜4.0重
量% AlはNiと結合して硬質相であるγ’(Ni3Al)
を形成し、合金の耐摩耗性が向上する。また、AlはN
と結合してAlNを形成し、合金の耐摩耗性及び耐焼付
性を向上させる。このような効果を得るためには、Al
を3.0重量%以上添加することが必要である。しか
し、Al含有量が4.0重量%を超えると、耐割れ性が
低下する。従って、Alの含有量は3.0〜4.0重量
%である。
量% AlはNiと結合して硬質相であるγ’(Ni3Al)
を形成し、合金の耐摩耗性が向上する。また、AlはN
と結合してAlNを形成し、合金の耐摩耗性及び耐焼付
性を向上させる。このような効果を得るためには、Al
を3.0重量%以上添加することが必要である。しか
し、Al含有量が4.0重量%を超えると、耐割れ性が
低下する。従って、Alの含有量は3.0〜4.0重量
%である。
【0014】Nb(ニオブ):1.5〜2.5重量% NbはNiと結合してγ”相及びδ相を析出し、耐摩耗
性及び耐焼付性を向上させる。このような効果を得るに
は、Nbを1.5重量%以上添加することが必要であ
る。しかし、Nb含有量が2.5重量%を超えると、合
金の耐割れ性が低下する。従って、Nbの含有量は1.
5〜2.5重量%である。
性及び耐焼付性を向上させる。このような効果を得るに
は、Nbを1.5重量%以上添加することが必要であ
る。しかし、Nb含有量が2.5重量%を超えると、合
金の耐割れ性が低下する。従って、Nbの含有量は1.
5〜2.5重量%である。
【0015】Fe(鉄):1.5〜2.5重量% Feは前記γ’相及びγ”相等の形成を促進し、組織の
安定性を高め、合金の硬さを高める元素である。そのた
め、摺動部に高い面圧がかかり、肉盛り部の硬さがより
一層より高いことが必要な場合には、Feの添加が有効
である。このようにFeの添加により合金の硬度を高め
るためには、Feの含有量を1.5重量%以上にするこ
とが必要である。しかし、Feの含有量が2.5重量%
を超えると、逆に合金が硬化しすぎ、耐食性も低下す
る。従って、Feの含有量は1.5〜2.5重量%であ
る。
安定性を高め、合金の硬さを高める元素である。そのた
め、摺動部に高い面圧がかかり、肉盛り部の硬さがより
一層より高いことが必要な場合には、Feの添加が有効
である。このようにFeの添加により合金の硬度を高め
るためには、Feの含有量を1.5重量%以上にするこ
とが必要である。しかし、Feの含有量が2.5重量%
を超えると、逆に合金が硬化しすぎ、耐食性も低下す
る。従って、Feの含有量は1.5〜2.5重量%であ
る。
【0016】O(酸素):0.050重量%以下 酸素含有量が0.050重量%を超えると、溶接ビード
中にブローホールが発生する。従って、酸素(O)の含
有量は0.050重量%以下とする。
中にブローホールが発生する。従って、酸素(O)の含
有量は0.050重量%以下とする。
【0017】N(窒素):0.10〜0.60重量% NはAlと結合してAlNを形成し、耐摩耗性及び耐焼
付性を向上させる元素である。この効果を得るために
は、Nを0.10重量%以上含有することが必要であ
る。しかし、N含有量が0.60重量%を超えると、前
記γ’相及びγ”相の析出が減少し、硬度及び靱性が低
下する。従って、Nの含有量は0.10〜0.60重量
%とする。
付性を向上させる元素である。この効果を得るために
は、Nを0.10重量%以上含有することが必要であ
る。しかし、N含有量が0.60重量%を超えると、前
記γ’相及びγ”相の析出が減少し、硬度及び靱性が低
下する。従って、Nの含有量は0.10〜0.60重量
%とする。
【0018】なお、上述の組成を有する本発明合金にお
いては、時効処理をすることにより、前記γ’、γ”相
がより一層安定なものになる。このため、合金粉末を摺
動部に肉盛り溶接した後、この肉盛り部を時効処理する
ことにより、その耐摩耗性等を更に一層向上させること
ができる。
いては、時効処理をすることにより、前記γ’、γ”相
がより一層安定なものになる。このため、合金粉末を摺
動部に肉盛り溶接した後、この肉盛り部を時効処理する
ことにより、その耐摩耗性等を更に一層向上させること
ができる。
【0019】一方、原子力プラントに使用されるバルブ
等の摺動部に肉盛溶接する方法としては、従来、溶加棒
を使用する酸素アセチレンガス溶接法及びTIG溶接法
がある。しかし、近年、プラズマアークにより粉末を溶
融し、肉盛溶接するPTA法が注目されている。このP
TA法は他の方法より母材への希釈を抑制することが可
能であると共に、硬くて脆いために溶加棒にすることが
困難な材料でも同成分を粉末化することにより溶接が可
能になるという利点がある。
等の摺動部に肉盛溶接する方法としては、従来、溶加棒
を使用する酸素アセチレンガス溶接法及びTIG溶接法
がある。しかし、近年、プラズマアークにより粉末を溶
融し、肉盛溶接するPTA法が注目されている。このP
TA法は他の方法より母材への希釈を抑制することが可
能であると共に、硬くて脆いために溶加棒にすることが
困難な材料でも同成分を粉末化することにより溶接が可
能になるという利点がある。
【0020】そこで、本発明に係る組成の合金粉末を使
用して、原子力用バルブフェース部をPTA溶接するこ
とによりバルブを製造する。また、同様にして、本発明
組成の合金粉末を使用してシート部を溶接することによ
りバルブシートを製造する。このようにして、本発明組
成の合金粉末を使用して摺動部を肉盛り溶接した原子力
プラント用バルブは、耐摩耗性、耐焼付性及び耐食性が
優れている。
用して、原子力用バルブフェース部をPTA溶接するこ
とによりバルブを製造する。また、同様にして、本発明
組成の合金粉末を使用してシート部を溶接することによ
りバルブシートを製造する。このようにして、本発明組
成の合金粉末を使用して摺動部を肉盛り溶接した原子力
プラント用バルブは、耐摩耗性、耐焼付性及び耐食性が
優れている。
【0021】
【実施例】次に、本発明の実施例に係る合金粉末を使用
して肉盛り溶接し、その品質を調べた結果について、そ
の比較例と比較して説明する。 1.耐摩耗性、耐焼付性試験 下記表1に示す組成の粉末をガスアトマイズ法により製
造し、得られた粉末を分級して63〜250μmに粒度
調整したものをPTA用粉末とした。実施例は本発明の
組成範囲に入るもの、比較例は本発明の範囲から外れる
もの、従来例は従来のCo系合金である。この粉末を下
記表2の条件でPTA溶接した。この肉盛り溶接部か
ら、試験片A(片面盛り、厚さ:23mm、幅:24m
m、長さ:90mm)及び試験片B(両面盛り、厚さ:
25mm、幅:20mm、長さ:25mm)の2種類の
試験片を切り出した。
して肉盛り溶接し、その品質を調べた結果について、そ
の比較例と比較して説明する。 1.耐摩耗性、耐焼付性試験 下記表1に示す組成の粉末をガスアトマイズ法により製
造し、得られた粉末を分級して63〜250μmに粒度
調整したものをPTA用粉末とした。実施例は本発明の
組成範囲に入るもの、比較例は本発明の範囲から外れる
もの、従来例は従来のCo系合金である。この粉末を下
記表2の条件でPTA溶接した。この肉盛り溶接部か
ら、試験片A(片面盛り、厚さ:23mm、幅:24m
m、長さ:90mm)及び試験片B(両面盛り、厚さ:
25mm、幅:20mm、長さ:25mm)の2種類の
試験片を切り出した。
【0022】得られた試験片を図1のような試験機によ
って摩耗・焼付試験を行った。即ち、図1に示すよう
に、試験片Aと試験片Bとをその肉盛り部(図中、斜線
にて示す)同士を接触させて、1対の試験片Aの間に試
験片Bを挟んだ。試験片Aは台座上に設け、試験片A同
士を相互に近づく方向に押圧することにより、試験片A
と試験片Bとの間に面圧2MPaを印加した。そして、
試験片Bを上下5mmの振幅で、5サイクル(5秒/サ
イクル)の速度で上下に振動させ、各5サイクルの摺動
毎に面圧を2MPaずつ上昇させ、最終的に40MPa
まで上昇させた。耐摩耗性及び耐焼き付け性試験の評価
は、試験後の肉盛部の表面状態(粗さ等)及び摩耗粉の
量により行った。
って摩耗・焼付試験を行った。即ち、図1に示すよう
に、試験片Aと試験片Bとをその肉盛り部(図中、斜線
にて示す)同士を接触させて、1対の試験片Aの間に試
験片Bを挟んだ。試験片Aは台座上に設け、試験片A同
士を相互に近づく方向に押圧することにより、試験片A
と試験片Bとの間に面圧2MPaを印加した。そして、
試験片Bを上下5mmの振幅で、5サイクル(5秒/サ
イクル)の速度で上下に振動させ、各5サイクルの摺動
毎に面圧を2MPaずつ上昇させ、最終的に40MPa
まで上昇させた。耐摩耗性及び耐焼き付け性試験の評価
は、試験後の肉盛部の表面状態(粗さ等)及び摩耗粉の
量により行った。
【0023】
【表1】
【0024】
【表2】
【0025】2.溶接性(耐割れ、作業性)試験 原子力バルブシートを模擬した溶接試験として、表1に
示した成分の粉末を下記表3の条件でPTA溶接した。
この際のビード中の割れにより耐割れ性を評価し、また
粉末飛散等から作業性の評価を行った。なお、母材の形
状を図3に示す。母材は直径250mmの円板の円縁部
に幅が30mm、深さが3mmのリング状の凹部を設け
たものである。
示した成分の粉末を下記表3の条件でPTA溶接した。
この際のビード中の割れにより耐割れ性を評価し、また
粉末飛散等から作業性の評価を行った。なお、母材の形
状を図3に示す。母材は直径250mmの円板の円縁部
に幅が30mm、深さが3mmのリング状の凹部を設け
たものである。
【0026】
【表3】
【0027】3.応力腐食割れ試験 前記「1.耐摩耗性、耐焼付性試験」及び「2.溶接性
(耐割れ、作業性)試験」の試験結果において良好であ
った材料について、加圧水型の一時冷却水を模擬した下
記表4に示す条件下で、図2に示すような4点曲げ治具
により応力を負荷した試験片(厚さ:2mm、幅:15
mm、長さ:65mm)の応力腐食割れ試験を行った。
即ち、この治具は、試験片をその両側の2点で支え、こ
の下面視点よりも中央側の2点で下方に応力を印加し
た。なお、負荷は各材料の耐力値に対し、70%の応力
とした。
(耐割れ、作業性)試験」の試験結果において良好であ
った材料について、加圧水型の一時冷却水を模擬した下
記表4に示す条件下で、図2に示すような4点曲げ治具
により応力を負荷した試験片(厚さ:2mm、幅:15
mm、長さ:65mm)の応力腐食割れ試験を行った。
即ち、この治具は、試験片をその両側の2点で支え、こ
の下面視点よりも中央側の2点で下方に応力を印加し
た。なお、負荷は各材料の耐力値に対し、70%の応力
とした。
【0028】
【表4】
【0029】4.試験結果 下記表5は前記試験1,2の結果を示す。なお、硬さは
試験2における試験片表面のビッカース硬さ(30kg
f)である。従来例のCo含有合金は、ステライトN
o.6相当の粉末であり、耐摩耗・耐焼付性、耐割れ
性、作業性とも良好である。また、本発明の実施例1〜
6は、このステライト系合金と同等の上記性能が得られ
た。
試験2における試験片表面のビッカース硬さ(30kg
f)である。従来例のCo含有合金は、ステライトN
o.6相当の粉末であり、耐摩耗・耐焼付性、耐割れ
性、作業性とも良好である。また、本発明の実施例1〜
6は、このステライト系合金と同等の上記性能が得られ
た。
【0030】これに対し、比較例7はAl及びNb量と
も低く、硬度が低いため、焼き付きを起こした。比較例
8はAl量が少なく、耐焼付性が劣る。また、比較例9
はAl量が多く、溶接中に割れを生じた。比較例10は
Nb量が少なく、耐焼付性が劣る。比較例11はNb量
が多いため、割れが発生した。比較例12はC量が低
く、耐焼付性が劣り、比較例13はC量が多いため、耐
焼付け性が劣り、割れも生じた。比較例14はSi量が
少ないために母材とのなじみが悪く、粉末飛散も多くな
った。比較例15はSi量多いため、割れが生じた。比
較例16はMn量が少なく、耐焼付性が劣り、比較例1
7はMn量が多いため、割れが生じ、耐焼付性も劣るも
のである。比較例18はCr量少なく、硬さが低いた
め、耐焼付性が劣り、比較例19はCr量が多いため、
割れが生じた。比較例20はFe量が少ないため、硬さ
が低く、耐焼付性が劣り、比較例21は逆にFe量が多
いため、硬さが低く、耐焼付性が劣るものであった。比
較例22は酸素量が多いため、粉末飛散が多く、ブロー
ホールも発生し、割れが生じた。比較例23はN量が少
ないため、耐焼付け性が劣り、比較例24はN量が多い
ため、耐焼付性が劣った。
も低く、硬度が低いため、焼き付きを起こした。比較例
8はAl量が少なく、耐焼付性が劣る。また、比較例9
はAl量が多く、溶接中に割れを生じた。比較例10は
Nb量が少なく、耐焼付性が劣る。比較例11はNb量
が多いため、割れが発生した。比較例12はC量が低
く、耐焼付性が劣り、比較例13はC量が多いため、耐
焼付け性が劣り、割れも生じた。比較例14はSi量が
少ないために母材とのなじみが悪く、粉末飛散も多くな
った。比較例15はSi量多いため、割れが生じた。比
較例16はMn量が少なく、耐焼付性が劣り、比較例1
7はMn量が多いため、割れが生じ、耐焼付性も劣るも
のである。比較例18はCr量少なく、硬さが低いた
め、耐焼付性が劣り、比較例19はCr量が多いため、
割れが生じた。比較例20はFe量が少ないため、硬さ
が低く、耐焼付性が劣り、比較例21は逆にFe量が多
いため、硬さが低く、耐焼付性が劣るものであった。比
較例22は酸素量が多いため、粉末飛散が多く、ブロー
ホールも発生し、割れが生じた。比較例23はN量が少
ないため、耐焼付け性が劣り、比較例24はN量が多い
ため、耐焼付性が劣った。
【0031】以上の結果から、従来例及びこの従来例の
ステライト系合金粉末と同等の諸性能を有する実施例1
〜6の合金粉末について、前記3の応力腐食割れ試験を
行った。この結果、実施例1〜6の合金粉末は、いずれ
も従来例のステライト系合金粉末と同様に、試験片に腐
食及び割れが発生せず、良好な結果が得られた。
ステライト系合金粉末と同等の諸性能を有する実施例1
〜6の合金粉末について、前記3の応力腐食割れ試験を
行った。この結果、実施例1〜6の合金粉末は、いずれ
も従来例のステライト系合金粉末と同様に、試験片に腐
食及び割れが発生せず、良好な結果が得られた。
【0032】
【表5】
【0033】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る原子
力プラント機器肉盛り溶接用粉末は、Coを含有しない
にも拘わらず、Coを含有する従来のステライト系合金
粉末と、同等以上の優れた耐摩耗性、耐焼付性及び耐食
性を有し、それを原子力プラントバルブ又はバルブシー
トの摺動部の肉盛り溶接に適用することにより、このバ
ルブ又はバルブシートは優れた耐摩耗性、耐焼付性及び
耐食性を具備する。そして、本発明の合金粉末は、Co
を含有しないので、半減期が長い60Coに核変換した摩
耗粉が発生する虞がなく、汚染の問題を回避することが
できる。
力プラント機器肉盛り溶接用粉末は、Coを含有しない
にも拘わらず、Coを含有する従来のステライト系合金
粉末と、同等以上の優れた耐摩耗性、耐焼付性及び耐食
性を有し、それを原子力プラントバルブ又はバルブシー
トの摺動部の肉盛り溶接に適用することにより、このバ
ルブ又はバルブシートは優れた耐摩耗性、耐焼付性及び
耐食性を具備する。そして、本発明の合金粉末は、Co
を含有しないので、半減期が長い60Coに核変換した摩
耗粉が発生する虞がなく、汚染の問題を回避することが
できる。
【図1】耐摩耗性及び耐焼付性試験の結果を示す図であ
る。
る。
【図2】4点曲げ試験に使用する治具を示す図である。
【図3】溶接性試験に使用する母材の形状を示す図であ
る。
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G21D 1/00 (72)発明者 隅田 武男 大阪府大阪市北区中之島3丁目3番22号 関西電力株式会社内 (72)発明者 橋本 芳造 神奈川県藤沢市宮前字裏河内100番1 株 式会社神戸製鋼所藤沢事業所内 (72)発明者 宮崎 邦彰 神奈川県藤沢市宮前字裏河内100番1 株 式会社神戸製鋼所藤沢事業所内
Claims (2)
- 【請求項1】 C;0.05乃至0.15重量%、S
i;0.3乃至1.0重量%、Mn;0.1乃至1.0
重量%、Cr;45乃至55重量%、Al;3.0乃至
4.0重量%、Nb;1.5乃至2.5重量%、Fe;
1.5乃至2.5重量%、O;0.050重量%以下、
N;0.10乃至0.60重量%、残部はNi及び不可
避的不純物からなることを特徴とする原子力プラント機
器肉盛溶接用粉末。 - 【請求項2】 請求項1に記載の原子力プラント機器肉
盛溶接用粉末を使用して肉盛溶接した摺動部を有するこ
とを特徴とする原子力プラントバルブ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6188128A JPH0852591A (ja) | 1994-08-10 | 1994-08-10 | 原子力プラント機器肉盛溶接用粉末並びに原子力プラントバルブ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6188128A JPH0852591A (ja) | 1994-08-10 | 1994-08-10 | 原子力プラント機器肉盛溶接用粉末並びに原子力プラントバルブ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0852591A true JPH0852591A (ja) | 1996-02-27 |
Family
ID=16218220
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP6188128A Pending JPH0852591A (ja) | 1994-08-10 | 1994-08-10 | 原子力プラント機器肉盛溶接用粉末並びに原子力プラントバルブ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0852591A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006009052A (ja) * | 2004-06-22 | 2006-01-12 | Okano Valve Mfg Co | 防食方法 |
JP2006255741A (ja) * | 2005-03-16 | 2006-09-28 | Jfe Steel Kk | プレス金型の型かじり性評価方法およびその試験装置 |
-
1994
- 1994-08-10 JP JP6188128A patent/JPH0852591A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006009052A (ja) * | 2004-06-22 | 2006-01-12 | Okano Valve Mfg Co | 防食方法 |
JP2006255741A (ja) * | 2005-03-16 | 2006-09-28 | Jfe Steel Kk | プレス金型の型かじり性評価方法およびその試験装置 |
JP4677804B2 (ja) * | 2005-03-16 | 2011-04-27 | Jfeスチール株式会社 | プレス金型の型かじり性評価方法およびその試験装置 |
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